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非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part37 [無断転載禁止]©2ch.net
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0001創る名無しに見る名無し
垢版 |
2016/01/12(火) 00:10:53.13ID:Tf6AlFiL
1999年刊行された小説「バトル・ロワイアル」

現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。

基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前に登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などを発表するかは書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・ロワ名を「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
  〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!

前スレ
非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part36
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1425485657/

非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html
0151迫真パロロワ部 優勝の裏技 ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/03/31(木) 03:00:34.48ID:9dGDuMsb
「あの、これ」

横から留渦が話しかけてきた。
今考え中だと返そうとするが、差し出された物を見て言葉を引っ込める。
ベレッタM92F。
アメリカ軍を始め世界中で幅広く使われている自動拳銃。
今自分が最も欲している、イカれ男へ対抗するための武器。

「私のバッグに入ってたんですけど、使ったことないから…」

そう言う日本人の少女を、青年は見やる。
確かに、見るからに争い事とは無縁そうな少女だ。
銃を使った以前に、殴り合いすらしたことが無いようにまで思える。
だが青年にとっては別。
銃を受け取ると慣れた手付きで残弾をチェックし、満足げに頷く。

「おい!ペド野郎!」

未だ銃を乱射する男へ向け、声を張り上げる。
青年の呼びかけに反応したのか、一瞬銃撃が止まった。

「これでも食らっとけ!」

男へ向けて何かが投合された。
突然の反撃に驚いた男は、反射的に投げつけられたモノへ向け、両手の銃を撃つ。
それは無数の銃弾を受け綿を散らす。
そこで男は投合されたものが何なのか気付く。
それは男が愛してやまない友の仲間。
ボロ雑巾のような有様になってしまったそれの名は、

「アチャモ…」

呆然と呟く男。
と、両腕に焼けるような痛みが走る。
男が隙を見せたのを見逃さず、青年が飛び出し銃で撃ったのだ。
痛みに銃を手放しそうになるが、なんとか耐える。
そして青年が追い討ちを掛ける前に、銃弾をばら撒く。
狙いもつけない滅茶苦茶な攻撃だったが、青年を怯ませる事はできた。
その隙に男は全速力で公園を後にした。





「逃げやがったか」

男が去った方を睨み、舌打ちをする青年。
次いでボロボロになった公衆トイレに意識を向ける。
0152迫真パロロワ部 優勝の裏技 ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/03/31(木) 03:02:44.17ID:9dGDuMsb
「おい、もう出てきていいぞ」

青年の言葉を受け、緊張した面持ちで留渦が出てくる。
キョロキョロと辺りを見回し、男の姿がどこにもないのを確認し、ほぅっと息を吐いた。

「あの…ありがとうございました」
「別に礼なんざいい。コイツを譲って貰ったしな」

片手の銃を青年はヒラヒラと見せる。

「それよりここを離れるぞ。あの野郎が散々撃ったせいで、音を聞いた奴らが集まってくるかもしれねぇ」
「は、はい」

足早に去ろうとする青年。
その後ろを少し慌てて留渦が追う。
雑な言葉遣いで、お世辞にも良い態度とは言えない。
けれど悪い人ではない。
どこか耳雄に似た頼もしさを感じる。
前を行く背中を見ながら、留渦はそんな事を思っていた。

「ああ、そういやガキ」
「…ガキじゃありません。日野留渦です」
「そりゃ悪かったな。俺はジェイク・ミューラーだ、留渦」

危機を乗り切った青年と少女は行動を共にする。
かつて、己に流れる呪われた血で、世界をバイオテロから救った青年。
彼はこの地で何を成すのだろうか。

【ジェイク・ミューラー@バイオハザードシリーズ】
[状態]:疲労(小)
[装備]:ベレッタM92F(13/15)@バイオハザードシリーズ
[道具]:共通支給品一式、9mmパラベラム弾装填マガジン×6、人間便器マスク@真夏の夜の淫夢、クルスとセツナの盗撮写真@NEEDLESS
[思考]
基本:殺し合いからの脱出
0:留渦を連れて公園付近から離れる。
[備考]
※参戦時期はバイオハザード6終了後
※まだ名簿を確認していません

【日野留渦@でろでろ】
[状態]:精神疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いはしない。お兄ちゃんたちに会いたい
0:公園から離れる
1:お兄ちゃんたちを探す
[備考]
※参戦時期は原作終了後

支給品紹介
【ベレッタM92F@バイオハザードシリーズ】
日野留渦に支給。
イタリアのピエトロ・ベレッタ社が開発した自動拳銃。
世界中の軍隊で幅広く使用されており、S.T.A.R.S.やB.S.A.A.にも正式支給されている。
『0』、『1』、『5』に登場。
0153迫真パロロワ部 優勝の裏技 ◆84AHk0CknU
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2016/03/31(木) 03:04:02.98ID:9dGDuMsb
【人間便器マスク@真夏の夜の淫夢】
ジェイク・ミューラーに支給。
口の部分が開いている。
KBTITがまひろに装着させ、そこへおじさんが小便をした。
尿意を催したおじさんの為に即席の便器を用意するKBTITは人間の鑑。

【クルスとセツナの盗撮写真@NEEDLESS】
ジェイク・ミューラーに支給。
学園編に登場した聖ローズ学園の生徒、凛が盗撮した二人のパンチラ写真。

【アチャモのぬいぐるみ@現実】
ジェイク・ミューラーに支給。
某ポケ○ンに登場するアレのぬいぐるみ。


「ごめんだゾ、ポッチャマ……」

公園から少し離れた先の住宅地。
そこで男は涙を流していた。

「絶対にアチャモの仇は取ってやるゾ」

男の手には先程乱射していた銃ではなく、青い生き物のぬいぐるみがあった。
ぬいぐるみに話しかける男の方針、それは殺し合いに優勝すること。
そして願いを叶えられる権利を使い、殺し合いを無かったことにするというものだった。
男にはぬいぐるみ――ポッチャマがそうアドバイスしてくれたのを確かに聞いた。
最後には皆生き返るのだから、自分達が優勝しても問題は無い。
だから殺すのではなく、少しの間眠ってもらうのと同じだ、と。
誰が聞いても男の正気を疑う話だが、当の本人は本気でポッチャマがそう言ったと信じている。
さっきは逃げてしまったが、今度は上手くやってみせる。

「と、その前に腕の治療しないとな」

ここからだと小学校が近い。
そこの保健室なら包帯や消毒液があるだろう。
ポッチャマを大事に抱き歩く男、MURの目には確かな狂気が宿っていた。


【MUR@真夏の夜の淫夢】
[状態]:疲労(中)、頬に痣、両腕に銃創(出血中)
[装備]:ポッチャマのぬいぐるみ@現実
[道具]:共通支給品一式、キャリコM100-P×2(57%、65%)@バイオハザードシリーズ、予備マガジン×6、クリスのマチェット@バイオハザードシリーズ
[思考]
基本:ポッチャマと一緒に優勝するゾ〜
1:小学校へ行き腕の治療をする
2:皆殺し
[備考]
0154迫真パロロワ部 優勝の裏技 ◆84AHk0CknU
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2016/03/31(木) 03:05:35.65ID:9dGDuMsb
支給品紹介
【クリスのマチェット@バイオハザードシリーズ】
MURに支給。
バイオハザード5においてクリスの初期装備。

【キャリコM100-P@バイオハザードシリーズ】
MURに支給。
サブマシンガンのキャリコM100を改造し、セミオート式のハンドガンにしたもの。
大型の特殊なマガジンが付いている。

【ポッチャマのぬいぐるみ@現実】
MURに支給。
その名の通りポッチャマのぬいぐるみ。


投下終了です
0155 ◆ZC0oB5s5Dg
垢版 |
2016/04/02(土) 00:48:51.85ID:j6DKocAG
保守です。

素手でゾンビを倒せる敵を相手に応戦できる大先輩……迫真空手は伊達じゃないですね。
0156 ◆ymCx/I3enU
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2016/04/04(月) 22:04:08.60ID:mne7b0V1
保守です。
やっぱりただの池沼じゃないか(呆れ)MURァ!
0157 ◆84AHk0CknU
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2016/04/06(水) 04:46:44.64ID:ZcQpqzLe
感想ありがとうございます

投下します
0158狼と不要者、交わらず ◆84AHk0CknU
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2016/04/06(水) 04:48:52.70ID:ZcQpqzLe
「クソッ、参ったな」

住宅街で青年、トミー・ドーキンズは頭を抱えていた。
普段と何一つ変わらぬ一日を過ごし、自室で眠りに就いた筈が誘拐され、殺し合いを命じられている。
質の悪いドッキリか何かだと思いたいが、自分の冷静な部分がそれを否定する。
殺された二人の人間、首にある金属の感触、そして異様な雰囲気の会場。
それら全てを作り物や気のせいと断じる事は、トミーにはできなかった。

「今回ばっかりは流石にお手上げだよ……」

これが何時も遭遇している怪事件なら、ここまで悩むことはなかった。
マートンが得意のオカルト知識で情報を集め、自分とローリーが戦う。
実にシンプルで分かり易い解決方法。
しかし今回は違う。
人の悪意によって引き起こされた凶悪犯罪。
怪物退治の経験だけでは解決できない。

「あぁもう!とにかくマートンを探そう!」

頭をガシガシと掻き、半ばやけくそ気味に叫ぶ。
ここには親友のマートンも居る。
戦う力の無いオタクのマートンを一人にしておくのは危険だ。
それに彼ならば何か良い打開策が思いつく…かもしれない。

「よし。それじゃ…」

ふーっと息を吐く。
次の瞬間、トミーに異変が起こった。
整った髪が大きく逆立ち、眉毛ともみ上げは動物の毛のように変化。
獣のような鋭い爪に、黄色く光る両目。
半年前、キャンプ場で狼に噛まれ発現した能力。
街に現れる怪物や超能力者を倒してきたプレザントビルの狼男。
それこそがトミーのもう一つの顔である。

「無事でいてくれよ、マートン…!」

友の無事を願い、狼男は夜の街を駆け抜ける。


0159狼と不要者、交わらず ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/04/06(水) 04:49:51.61ID:ZcQpqzLe
「…?」

走り去る狼男の姿を目撃した一人の少女。
可愛らしく小首を傾げる彼女の名は梔。
シメオン少女部隊の一員にしてミッシングリンク級のニードレスである。

「……」

梔は考える。
狼男はおそらくニードレスだろう。
シメオンの者では無いようだが、対峙しても余裕で屠る自身はある。
故に取り合えずどうでもいい。

次に考えたのは、自分はこの場でどう動くか。
まず優勝を目指すという選択肢はない。
参加している仲間は未央、セツナ、そして一時共闘しているクルスの三人。
しかし生き残れるのは二人。
自分ともう一人以外の二人を切り捨てる事になってしまう。
なら願いを叶える権利とやらで、切り捨てた二人を生き返らせるか?
これも有り得ない。
あんな胡散臭い奴の言葉を誰が馬鹿正直に信じるものか。
何らかの強力な力は持っているだろうが、それでも死者の復活など到底信じられない話だ。

では三人と合流し脱出を目指すという道。
優れた洞察力と推理力を持つクルスなら、何か良い手を考え付くかもしれない
だがこれも中々難しい。
ここにはアダム・ブレイド、照山最次、六道銀の忌々しいブレイド一行も居る。
後者二人はまだしも、ブレイドの戦闘力は桁違いだ。
そしてクルスは元々敵である自分達よりも、仲間であるブレイドたちとの合流を優先するだろう。
そうなれば益々こちらはマズい状況に追い込まれる。

「……」

うんうんと頭を捻り考えること数分。
悩んだ末に梔は決断する。
脱出するまでは(非常に不本意だが)ブレイドたちとも可能な限り協力することを。
そもそも今回はブレイド一行、少女部隊双方に取って予期せぬ異常事態だ。
敵の敵は味方という言葉があるように、どちらからしても今優先して倒すべき相手はロロである。
未央はもとより、セツナも多分賛同してくれるはず。
となるとクルスを優先して探し、ブレイドに会う前にこちらで確保しておく。
何だかんだであいつはお人好しだ、ブレイド達との仲介役として利用できるだろう。
それに少しだが…情もある。
戦闘力皆無のヘタレなのだから、さっさと見つけてやるかと思い歩き出す。
0160狼と不要者、交わらず ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/04/06(水) 04:51:38.22ID:ZcQpqzLe
「……」

歩く梔の頭に浮かぶのは敬愛する上司、楼閣寺璃瑠。
シメオンビルでの失態以降は会えずに、日々寂しい思いをしていた。
今は殺し合いに拉致され、更に彼女とは離れてしまう有様。
梔は挫けず決意する。
必ず脱出し、もう一度璃瑠の下に戻ることを。
愛しい璃瑠の顔を思い浮かべる度に、体中に力が漲る。
湧き上がる気力に身を任せ、梔は歩く速度をを速めた。





三つ。
彼女が知らない事がある。

この場に居るセツナは梔以外の全員を殺す気であること。

無力だと思っているクルスは近い未来、梔達を超える聖痕保持のニードレスへ覚醒するということ。




そして、ブレイド一味も少女部隊も、彼女が愛する璃瑠やアークライトでさえ。
六道銀と左天に利用される捨て駒でしかないということを。


【トミー・ドーキンズ@ハイスクール・ウルフ】
[状態]:健康、狼男へ変身中
[装備]:なし
[道具]:共通支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:殺し合いはしない。何とか脱出したい
1:マートンを探す
[備考]
※シーズン2、第26話「正体暴露」以降からの参戦

【梔@NEEDLESS】
[状態]:健康
[装備]:鉄火巻き@NEEDLESS
[道具]:共通支給品一式、スケッチブックと油性ペン@NEEDLESS
[思考]
基本:殺し合いから脱出する
1:仲間を探す。優先するのは山田(クルス)
2:ブレイド達を警戒。但し可能ならば休戦に持ち込む。
[備考]
※参戦時期は学園編、最初の殺人〜事件解決の間のどこか
0161狼と不要者、交わらず ◆84AHk0CknU
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2016/04/06(水) 04:52:43.31ID:ZcQpqzLe
支給品紹介
【鉄火巻き@NEEDLESS】
梔に支給。
ファンとジェット機能が付いた梔専用のガントレット。
主にファンを通して香〈フレグランス〉の能力を発動する。
名前に特に意味は無い。

【スケッチブックと油性ペン@NEEDLESS】
梔に支給。
彼女は基本喋らないので、これに字を書いて会話する。
防水加工済み。
0162これから毎日参加者を焼こうぜ? ◆84AHk0CknU
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2016/04/06(水) 04:56:28.74ID:ZcQpqzLe
もう一つ投下します

雄一少年は思う。
これは神が自分へ天罰を下したのではないかと。

バトルロワイアルへ招かれる前の雄一を取り巻く環境は、お世辞にも良いとは言えないものだった。
両親は毎晩いつも喧嘩をしてばかりで、酷いときには雄一に八つ当たりをする。
父は彼の玩具を蹴り飛ばし、母は家に入れと言いながら何故か扉を閉めるキチガイ行動をする。
自らの境遇への悲しみは、やがて他の幸福な家庭への嫉妬に変わっていった。
夜な夜な家を抜け出しては、仲の良い家族の住む家にマッチで火をつけて回った。

―火事だー!火事だー!(難聴なホモにははいだらー!と聞こえる)

そうして逃げ惑い慌てる住人を楽しげに眺めていた時、気付けば殺し合いをさせられている。
放火という罪を犯した雄一の行いを、天は見落としていなかったということなのだろうか。

「だ、だってしょうがないじゃないか。パパとママがいつも喧嘩を…」

言い訳をしてみるもそれを聞く者はいない。
仮に聞く人間がいても、それで雄一の行いを許すなどまず無いのだが。

「し、死にたくない…。僕は、死にたくないんだ。だ、だからこれも、仕方ないことなんだ…」

俯きブツブツと呟く雄一。
手には支給品である銃型の火炎放射器が握られている。
雄一は近くにあった観葉植物くんへ向けて、引き金を引く。
勢いよく発射された炎によって、哀れ観葉植物くんは火達磨となった。
燃え盛る観葉植物くんを暗い瞳で見つめる雄一。

「はは…。そうだ、もっと燃えるがいいや。他の人たちも皆燃やして、優勝してパパとママが仲直りするよう頼めばいいんだ…」

引きつった笑みを浮かべながら、雄一は殺し合いに乗る事を選んだ。

八つ当たりで罪の無い家庭へ放火し、身勝手な考えで殺し合いに乗る。
人間の屑がこの野郎……(憤怒)
0163これから毎日参加者を焼こうぜ? ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/04/06(水) 04:57:22.31ID:ZcQpqzLe
【雄一@チャージマン研!】
[思考]:精神異常
[装備]:小型火炎放射器@チャージマン研!
[道具]:共通支給品一式
[思考]
基本:優勝する
1:皆燃えるがいいや!
[備考]
※参戦時期はジュラル星人に放火現場を見られる直前

支給品紹介
【小型火炎放射器@チャージマン研!】
雄一に支給。
「これから毎日家を焼こうぜ?」の迷言で有名なジュラルが使った、片手サイズの火炎放射器。
本編では研が防火用の特殊シャッターを仕掛けておいたため、この武器で火事が起きる事はなかった。
0164 ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/04/06(水) 04:58:27.13ID:ZcQpqzLe
短いですが投下終了です
0165 ◆ymCx/I3enU
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2016/04/08(金) 21:24:40.04ID:PKoNeyP/
投下乙です
観葉植物くんかわいそうだと思った(こなみ)

自分も投下します
0166SUSTAIN THE UNTRUTH ◆ymCx/I3enU
垢版 |
2016/04/08(金) 21:35:08.81ID:PKoNeyP/
28話 SUSTAIN THE UNTRUTH

孤児院の中を一通り調べて他に誰も居ない事を確認した黒牙は、孤児院を後にして森を抜けるべく歩いていた。
が、迷った。どこかで道を間違えたのか全く森から出られずにいた。

「おっかしいなー道の通りに歩いていたと思ったんだけどな……あーって言うか道途中から酷く荒れていたし、
痕跡消えかけていたから見失ったのかも……あの孤児院、よく思い返したら使われなくなって長いようだったからなぁ」

孤児院から伸びていた道は舗装されておらず、途中で雑草が生い茂り道の形が判然としない程に荒廃していた。
どうやらそれが元で道を見失い迷ってしまったと、黒牙は道に迷った理由を考える。
考えた所で状況は好転しないのだが。

「……木の上にでも登ってみる? ……あれ」

何かを発見する黒牙。
自分と同じように森の中を歩く青い犬か狼の青年のようだった。
もしかしたら、この森を抜ける手掛かりになるかもしれないが。

「接触してみるか……?」

もしも「乗っていた」ら、その場で始末してしまおうと考えながら、黒牙はその獣人青年に声を掛けた。

「あのー」
「あ?」
「ちょっとよろしいですかー」

◆◆◆

ウォラゴは森を抜けられず苛立ちを募らせていた。
軍事施設跡を出発して早々に迷ってしまっていた。地図とコンパスで確認したつもりだったが、甘かったらしい。
と言うよりかつての道路の痕跡を見付け「地図とコンパスを使わなくてもこれを辿れば大丈夫だろう」と考えてしまい、
結果的に森の中で道路の痕跡は消滅して迷子になる羽目となった。

「クソッ、森の中で野垂れ死には勘弁だぜ」

どうにかして森を抜け出す方法を見付けなくては、と、ウォラゴは打開策を練ろうとしていた。

「あのー」
「あ?」
「ちょっとよろしいですかー」

不意に声を掛けられる。見れば、黒と赤の人狼の男が居た。
「女だったら良かったのに」などと思いながら、ウォラゴは返事をする。不機嫌な様子を隠そうともせず。
実際に機嫌は悪かったし、初対面の人物と話す時愛想笑いが出来るような男でも無かった。

「何だよ」
「ちょっと道に迷ってしまって、この森抜けようとしてる者ですけど」

そこまで聞いてウォラゴはこの人狼が自分と同じく道に迷っていて、
恐らく森を抜ける手掛かりを得る為に自分に接触してきたのであろう事を察した。
そしてますます不機嫌になる。自分がまさに森を抜ける方法を探している真っ最中だと言うのにそれを尋ねられても困ると言う物。
0167SUSTAIN THE UNTRUTH ◆ymCx/I3enU
垢版 |
2016/04/08(金) 21:35:57.93ID:PKoNeyP/
「知らねぇよ」
「え?」
「この森どうすれば抜けられるかって聞きてぇんだろ? 生憎だけどな俺も道に迷ってる真っ最中なんだ。
そんなモンこっちが聞きてぇぐれぇだよ。クソッタレ」
「アッハイ」

少し戸惑いつつも、人狼は納得したようだ。

「すみません……あの、それともう一つ聞きたい事が……」
「あ? 今度は何だよ」

まだ何か有るのか、とウォラゴはうんざりしながら聞き返す。
人狼は少し声のトーンを変えてウォラゴに質問した。

「貴方は殺し合いに乗っていますか?」
「……」

人狼の雰囲気の変化をウォラゴは見逃さなかった。表情こそ柔和だったが刺すような殺気を漂わせている。
この人狼は殺し合いには乗っていないようだ。そして、雰囲気から察するに、殺し合いに乗っている者は容赦無く排除するスタンスを取っているのだろう。
どう質問に答えるべきか? ここで「乗っている」と正直に答えればほぼ間違い無くこの人狼と交戦する事になるが。
今一番優先しなければならない事は。

「いんや、乗ってねぇよ?」

ウォラゴは嘘を吐いた。
今はこの森を抜けるのが先決、無駄に戦って体力を消耗するのは良くない。
むしろ、乗っていない振りをしてこの人狼を利用し森を脱出する方法を探った方が良いとウォラゴは考えた。

「……そうか……それは良かったです」

人狼は少しの間思考する素振りを見せたが一応は信じたようだ。
とは言っても鵜呑みにしている訳では無いと言う事は見て取れた。

「……一緒にこの森から抜ける方法探さねぇか」
「そうですね、一人より二人の方が効率も上がるでしょうし」
「俺はウォラゴってんだ、宜しく」
「俺は黒牙です」

ウォラゴの申し出を、黒牙と名乗った人狼は承諾し、二人は森を抜ける為しばらく共に行動する事となった。

(とりあえず、今はこれで良い。森から抜けた後は……こいつはどうすっかな)

森を脱出した後に黒牙をどうするか、心の中でウォラゴは思案する。

◆◆◆
0168SUSTAIN THE UNTRUTH ◆ymCx/I3enU
垢版 |
2016/04/08(金) 21:36:42.13ID:PKoNeyP/
このウォラゴと名乗った狼(らしい)青年は「殺し合いには乗っていない」と言っていたが、鵜呑みには出来ないと黒牙は思った。
微かではあるがウォラゴからは性交の痕跡と言える臭いが漂っていた。
今現在彼は単独であるが、性行為にまで持ち込んだ女性とわざわざ別れたりするだろうか。
考えられるのはこのウォラゴが「女性を暴行した後」では無いかと言う可能性。暴行した後に女性を殺害したと言う事も考えられる。
もっとも憶測でしか無いのだが、ともかくこのウォラゴと言う男は完全に信用するには至らないと黒牙は心の中で判断していた。

それでも彼はウォラゴと行動を共にする事にした。
今は森を一刻も早く脱出する事が最優先事項だ。

(でも、森から抜けられたら、この男はどうするかな)

ウォラゴと歩きながら、黒牙は心の中で森を抜けた時のウォラゴの処遇を考える。


【午前/B-3森】
【ウォラゴ】
状態:健康
装備:ハンティングナイフ
持物:基本支給品一式、消毒用エタノール(500ml)
現状:優勝狙い。今は殺し合いに乗ってない振りをして黒牙と行動し森を抜ける方法を探す。森を抜けた後は黒牙はどうするか考え中。
備考:黒牙が警戒している事は察している。

【黒牙】
状態:健康
装備:薪割り斧
持物:基本支給品一式、古びたビデオテープ(5)
現状:殺し合いには乗らないが襲い掛かってきた者や危険と判断した者は排除する。
弓那や殺し合いに乗っていない者の捜索。ビデオテープの内容を確認したい。ウォラゴとはしばらく行動するが警戒。
備考:特に無し
0169 ◆ymCx/I3enU
垢版 |
2016/04/08(金) 21:37:55.98ID:PKoNeyP/
投下終了です
SUSTAIN THE UNTRUTHはDir en greyの楽曲の一つですが意訳すると「嘘の上塗り」だそうです
0170 ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/04/10(日) 22:20:32.07ID:2pM99Mgk
投下乙です
性交の臭いを察知するとは流石人狼

自分も投下します
0171覚醒 の 臭き 野獣 ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/04/10(日) 22:22:35.43ID:2pM99Mgk
「カンノミホ……(意味不明)」

会場西側の住宅地にある一軒家で、某有名女優の名らしきものを呟いた男。
何故か海パンのみの姿で鍛えられた肉体を晒しているが、浅黒い肌やチリチリとした剛毛で見た者に「くさい」「きたない」「うんこの妖精」
というホモガキ並の感想を抱かせそうである。
彼の名は野獣先輩。
24歳の学生であり生粋のホモという異色のプロフィールの持ち主だ。

「頭に来ますよ〜!(憤怒)」

野獣先輩は激怒していた。
それはロロが非道な行いをしたからか?
答えは否。確かにあの青年の外道行為には顔を顰めたが、殺されたのはどちらも他人。
それほど怒ることでもない。
では知り合いも殺し合いに参加しているからか?
それも違う。確かに名簿で愛する遠野の名を見た時は主催者に怒りを抱いた。
しかし残りの二人、先輩のMURは老け顔の池沼であるし、後輩のKMRは以前MURと二人がかりでレイプしてからは、
険悪な関係となっている。
死のうがどうなろうが別に構わない存在だ。

では何故野獣先輩が激怒しているのか。
それは先輩が殺し合いに連れて来られた時期に関係している。

野獣先輩は以前から恋心を抱いていた遠野を自宅に招待した。
遠野に屋上で肌を焼いていかないかと提案、心優しい遠野は笑顔でそれを快諾。
しかしそれは野獣先輩のゲスい罠だった。
先輩は睡眠薬を仕込んだアイスティーを遠野に飲ませる。
そして介抱するふりをして地下室に連れ込みレイプするという、クッソ汚い行為に及ぼうとしたのだ。

「もう溜まっちゃってんのにさぁ……」

野獣先輩は遠野に襲い掛かろうとしたその瞬間、殺し合いへと拉致された。
後輩の体を味わおうと性欲が最高潮に達したタイミングでの、まさかのおあずけ。
これには殺し合いへの恐怖より昏睡レイプを邪魔された怒りの方が勝った。
0172覚醒 の 臭き 野獣 ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/04/10(日) 22:24:25.69ID:2pM99Mgk
「どうっすかな〜」

ロロへの怒りはそのままに、自分はどう行動すべきかを考える。
最優先は自分と遠野の安全確保。
優勝して遠野と共に生還するか、それとも殺し合いには乗らずロロを倒す道を行くか。

思考の末、方針決定したのは数分後の事だった。





「ギャオーン…(こ、怖過ぎるワオーン)」

住宅地をおっかなびっくり歩く一頭の犬。
如何にも辛そうな顔をした日野家のペット、サイトーさんである。

「ワオワオーン…(耳雄くーん……留渦ちゃーん……どこに居るんだワオーン……)」

臆病な性格のサイトーさんは殺し合いにただただ恐怖していた。
今まで犬小屋を燃やされたり、犬専門風俗でぼったくられたりと散々な事ばかりだったが、こんな事態は初めてである。
飼い主である日野兄妹に会いたい。
あまり話したことは無いが、この際カントクでもいい。
一刻も早くこの恐怖から逃げたい。
そう思い涙を流して歩くサイトーさん。


その時、風を切るような音がし、同時にサイトーさんの意識も闇に沈んだ。
サイトーさんの頭部には金属製の矢が突き刺さっている。
突如巻き込まれた殺し合いで、耳雄達との再会も叶わずサイトーさんは呆気なく死んだ。
しかし、ある意味彼は幸せだったのかもしれない。
痛みも迫る死を感じることもなく、一瞬で逝けたのだから。


【サイトーさん@でろでろ 死亡】





「ちゃんと仕留められたみたいっすね〜」

軽い声と共にサイトーさんの死体に近付く汚物ステロイドこと野獣先輩。
流石に海パン一丁のままでいるのは抵抗があり、バッグに入っていた黒一色の服を着ることにした。
付属で変わったデザインのヘルメットのようなものあり、身を守る為にと念を入れそれも装着する。
着終わると外から鳴き声を聞こえたが、野良犬と思い無視。
しかしデイバッグを背負っているのが見えて考えは一変、支給品のクロスボウを使いサイトーさんを射殺したのだ。
クロスボウなど初めて使ったが、一撃で殺せたという結果に野獣先輩は満足気な表情だ。
死体から取り上げたデイバッグの中身を確認、水と食糧を自分のバッグに移し、サイトーさんの支給品である散弾銃を取り出す。

「いいねぇ〜!」

クロスボウ以上の強力な武器に益々機嫌を良くする野獣先輩。
試し撃ちとばかりにサイトーさんへ向け引き金を引く。
至近距離での銃撃を受け、道路中に血と肉片が飛び散る。
0173覚醒 の 臭き 野獣 ◆84AHk0CknU
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2016/04/10(日) 22:26:28.52ID:2pM99Mgk
「Foo↑〜気持ちいィ〜!」

その絶大な威力にテンションが上がる。
上機嫌のまま野獣先輩は他の参加者を探しに出発した。

犬とはいえ罪の無い参加者を殺した野獣先輩。
だが彼は殺し合いに乗ったというわけではない。
野獣先輩はまず自分と遠野の安全を最優先として動くつもりである。
道中強くて殺し合いに反対する者と出会ったなら、仲間にしてもらい身の安全を確保する。
但し、サイトーさんのように役立たずと思われる参加者は、見つからないよう始末し支給品を奪う。
そうして殺し合いが進み、脱出の方法が見つかったのならそちらに付き、無理そうならば遠野と共に優勝を目指す。
これが野獣先輩の方針だ。

(それにこの状況なら遠野も俺に惚れるかもしれないよなぁ?)

殺し合いの中起こる後輩の危機に颯爽と駆けつける先輩。
頼れる男の背中を見たら遠野は間違いなく自分に惚れるだろう。
そう考えるとこの状況は、悪いものではないのかもしれない。

「ほら行くど〜」

犬を殺したことなど全く気に留めず、軽快な足取りでその場を離れる。
やっぱり野獣先輩は人間の屑じゃないか(呆れ)


【野獣先輩@真夏の夜の淫夢】
[状態]:健康
[装備]:黒の騎士団の制服@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー、ベネリM3(6/7)@バイオハザードシリーズ
[道具]:共通支給品一式(食糧と水×2)、エイダのクロスボウ@バイオハザードシリーズ、金属矢×20、パイルボム×8、12ゲージ弾×21
[思考]
基本:遠野と共に生き残る
1:遠野を探す
2:強くて殺し合いに反対する人間の仲間にしてもらう
3:足手まといは隙を見て殺す
4:最終的に脱出が可能ならそちらへ、無理なら優勝を目指す
[備考]
※参戦時期は「昏睡レイプ!野獣と化した先輩」で、遠野を地下室に運んだ直後。
0174覚醒 の 臭き 野獣 ◆84AHk0CknU
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2016/04/10(日) 22:27:56.80ID:2pM99Mgk
支給品紹介
【黒の騎士団の制服@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
野獣先輩に支給。
ゼロ率いる黒の騎士団が着用する黒一色の制服。
顔を隠すためのゼロの仮面をモチーフにしたフルフェイスのマスク付き。

【エイダのクロスボウ@バイオハザードシリーズ】
野獣先輩に支給。
エイダ・ウォンが愛用する武器で、通常の金属矢と爆弾付矢の二種類を発射する。
無音で撃ち出すので周囲に気付かれず敵を排除可能。
『6』に登場。

【ベネリM3@バイオハザードシリーズ】
サイトーさんに支給。
イタリアのベネリ社が開発した銃。
イナーシャーシステムという特殊なセミオートマチック機能を持ち、連射速度の遅さを克服している。
『5』に登場。
0176 ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/04/12(火) 02:41:19.62ID:7r0/YiV4
名簿に一部変更を

【真夏の夜の淫夢】
○AKYS→○TNOK

に変更します
0178シスター・プリンセス ◆84AHk0CknU
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2016/04/15(金) 22:14:40.58ID:v7SIJWMI
姫小路秋子は一般人である。
兄の秋人に恋心を持つ極度のブラコンという面を除けば容姿端麗、成績優秀、スタイル抜群の三拍子揃った完璧な少女。
しかし、特殊な能力や戦闘の経験などは皆無の女子高生。
そんな彼女は今とある学生寮の一室で涙目になっていた。

(なんなんですかこれぇ……)

いきなり知らない場所で目が覚め、変な男に殺しあえと言われた。
次いで視界に映ったのは、頭を吹き飛ばされた二人の人間。
惨劇に口から悲鳴が出た瞬間意識を失い、気付けば兄や生徒会メンバーと住んでいる寮の自室に居たのである。

(ほ、本当に、夢じゃないの……?)

スタート地点が見慣れた自室だった為、最初は気味の悪い夢を見たのだと思った。
制服のまま眠りこけるなんて疲れてるのかなぁ、と思い起き上がる。
とりあえず変な夢を見た不快感を払拭するために、最愛の兄の顔でも見に行こうと考えた時、
首に違和感を感じた。
思わず手で触り伝わってきたのは、柔らかい肌ではなく固い金属の感触。
鳥肌が立つのを感じながら恐る恐る鏡を覗き込む。
映ったのは何時もと変わらぬ自分の姿。
唯一つ、奇妙な首輪が嵌められているという事以外は。

さっきの光景は夢ではない。
本当に人が死んだ。
そして自分は殺し合いをさせられている。
事実を認識した時、秋子は恐怖でへたり込んだ。

「いや…いやです……お兄ちゃん………」

溢れ出す涙。
兄に助けを求めるが、駆けつけてはくれない。
この地で自分は悪い人に殺されてしまうのだろうか。
もう二度と秋人や皆には会えなくなるのだろうか。
悪い考えばかりが渦巻き、涙はさらに溢れようとした時。
0179シスター・プリンセス ◆84AHk0CknU
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2016/04/15(金) 22:15:32.24ID:v7SIJWMI
「あの、大丈夫ですか?」
「ひゃう!?」

か細い少女の声が聞こえた。
驚きのぞけりつつも秋子はバッと振り向く。
そこには瞳を閉じた少女が、半分ほど開いた襖障子から顔を覗かせていた。





「うぅ…、ごめんなさい。みっともない所をお見せして…」
「いえそんな、謝らないでください」

中学生の少女に平謝りする女子高生。
どこかおかしな光景があった。

「はぁ…。我ながら情けないです…」

数分前、突然の少女の登場にパニックになった秋子。
そんな秋子へ少女は冷静に対応し、殺し合いの意思が無い事を伝えた。
相手が冷静だった為か、秋子も次第に落ち着きを取り戻し、慌てて自分の失態を謝罪したのだった。
話を聞くと少女、ナナリー・ランペルージはまだ中学生とのこと。
更には盲目なうえ、両足も不自由なため車椅子無しでは移動できないという。
非常事態とはいえ、本来ならば年上である自分がしっかりしなければならないのに、その役目をナナリーにさせてしまった。
これには秋子も先程の自分を恥じていた。

とにかく秋子が落ち着いた事で、二人は情報交換を行う事にした。
目が見えないナナリーに代わり秋子が名簿や地図、支給品の確認をする。
名簿を読み上げる際に秋人と那須原アナスタシア、猿渡銀兵衛春臣の名を見つけ、思わず立ち上がりそうになった秋子だが、
ナナリーに余計な心配を掛ける訳にはいかないとどうにか堪えた。
ナナリーの方も兄と友だちの名があったらしい。
支給品はナナリーに銃が支給されていたが、盲目では狙いを付けられないので、秋子が譲り受けることになった。
初めて触る銃の感触に緊張しながら、できればこれを使う機会が無い事を祈る。
そしてこれからどう動くかの話になったのだが。

「秋子さん、本当にいいんですか?」
「勿論ですよ!ナナリーちゃんがお兄さん達に早く再会できるよう、私に任せてください!」

車椅子を押しながら秋子は朗らかに答える。
彼女はナナリーの兄達の捜索を手伝うと言った。
0180シスター・プリンセス ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/04/15(金) 22:16:18.34ID:v7SIJWMI
「でもやっぱり迷惑なんじゃ……」
「んもう!同じ妹同士なんだから、そんな水臭いことは言いっこなしです!それに途中でお兄ちゃんたちに会えるかもしれないですし」
「ありがとうございます、秋子さん…」

秋人達に早く会いたいという思いはある。
けれど体の不自由な、そして自分と同じく兄や友との再会を願うナナリーを放っておくことはできなかった。

「では行きましょう!レッツ・ゴーです!」

ナナリーを不安にさせないために、明るく振舞う秋子。
同行者の気遣いにナナリーは感謝と申し訳なさを抱く。

『どうやら善人のようだな』

と、そんな言葉を放ち現れる一人の少女。
外見はナナリーに瓜二つだが彼女と違い、瞳は開き己の両足で立っている。
ピッチリとした青のボディスーツに身を包み、表情はどこか好戦的だ。
突如姿を見せた不振人物に、秋子は気付いていない。
それは当然だ。
少女の姿はナナリーにしか見えず、声も彼女にしか聞こえないのだから。

『だが気をつけろ。この場では私たちの力は制限されている』

少女――魔導器ネモの言葉に小さく頷く。
ルルーシュと瓜二つの男、ロロ・ヴィ・ブリタニアの手による殺し合い。
それに巻き込まれたのは兄であるルルーシュと、大切な友だちのアリス。
秋子と会う前にネモと話し合い、殺し合いの阻止を決意した。
ブリタニア帝国や日本解放戦線のような理不尽な暴力を、ナナリーは決して認めない。
ロロという男が何者なのかは分からないが、彼が死と悲しみを振りまくというのなら、絶対に自分が止めてみせる。

白き魔女は胸中で、静かに反逆の炎を燃やしていた。
0181シスター・プリンセス ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/04/15(金) 22:17:29.94ID:v7SIJWMI
【姫小路秋子@おにいちゃんだけど、愛さえあれば関係ないよねっ】
[状態]:健康
[装備]:ブラックテイル(16/16)@バイオハザードシリーズ
[道具]:共通支給品一式、予備マガジン×5、不明支給品1〜3(確認済み、武器なし)
[思考]
基本:お兄ちゃんたちに会いたい
1:ナナリーちゃんのお兄さん達を一緒に探す
2:お兄ちゃん達を探す
[備考]
※参戦時期は原作5巻以降


【ナナリー・ランペルージ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:健康
[装備]:ナナリーの車椅子@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー
[道具]:共通支給品一式
[思考]
基本:殺し合いを止める
1:秋子さんと行動。もしもの時は彼女を守る
2:お兄様とアリスちゃんを探す
[ネモの思考]
基本:ナナリーを守る
[備考]
※参戦時期はCODE14開始直後
※マークネモの召喚時間10分。再召喚には3時間のインターバルが必要。
※制限により未来線を読むギアスは最長で数秒後まで。それ以降は不鮮明なものしか見れない。
また主催者に関するものは一切見れない。

支給品紹介
【ブラックテイル@バイオハザードシリーズ】
ナナリー・ランペルージに支給。
正式名称はスプリングフィールドXD。
『4』に登場。

【ナナリーの車椅子@コードギアス・ナイトメア・オブ・ナナリー】
本人が最初から所持。
手動の他、電動で動く機能付き。
0183 ◆ymCx/I3enU
垢版 |
2016/04/18(月) 16:49:17.67ID:SvOrGeb+
保守、そして投下乙です
0185 ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/04/23(土) 02:06:01.13ID:rvrcfyIT
早く書かないとなー俺もなー
0186 ◆ymCx/I3enU
垢版 |
2016/04/25(月) 10:10:33.11ID:N55MPRu4
保守
筆が進まんな中々
0188 ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/04/28(木) 02:17:24.97ID:AXgRIAEi
名簿をちょっと変更します

【真夏の夜の淫夢】
○TNOK
【the4400】
○ショーン・ファレル/○イザベル・タイラー
【バイオハザード(実写版)】
○アリス・アバーナシー

を外し

【仮面ライダードライブ】6/6
○泊進ノ介/○詩島剛/○チェイス/○ハート/○ブレン/○メディック

を追加し、投下します
0189彼らの新たな戦いとはなにか ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/04/28(木) 02:20:26.11ID:AXgRIAEi
西暦2014年。
世界は静止し、崩壊するはずだった。

人類支配を目論む機械生命体――通称ロイミュード。
「重加速」と呼ばれる現象を引き起こし、人類の脅威となったロイミュードに立ち向かった戦士――仮面ライダー。
両者が幾度もぶつかり合い、また時にはお互いを理解する中で現れた真の脅威。
ロイミュードの生みの親である狂気の科学者、蛮野天十郎。
全人類のデータ化という蛮野の野望を打ち砕くため、人間とロイミュードは共闘し、激闘の末蛮野を倒した。
同時に全てのロイミュードも死亡し、仮面ライダーの戦いも幕を閉じた。

そう、その筈だった――





「ふざけるなっ!」

オフィスビル内の一室で、泊進ノ介は憤慨していた。
ロイミュードとの戦いを終え、捜査一課の刑事に戻った矢先に巻き込まれたこの事件。
大勢の人間に殺し合いを強要し、少年と老人の命を呆気なく奪ったロロという男。
人の命を玩具のように扱う、あの蛮野と同じ外道に対し進ノ介は激しい怒りを燃やしていた。

(お前の目的が何なのかは知らない。けど俺は必ず殺し合いを止めてお前を捕まえる……!!)

如何なる理由があれど犯罪に手を染める事を、泊進ノ介は決して認めない。
市民を傷つけ恐怖に陥れる行為を、泊進ノ介は決して許さない。
殺し合いは絶対に止める。
そしてロロもこの手で逮捕する。
一警察官として進ノ介は決意した。

「だから…もう一度俺に力を貸してくれ!ベルトさん!」
『ああ、勿論だ進ノ介』

その声は進ノ介の腰の部分から発せられた。
そこにあるのは銀色のベルト。
中央のディスプレイには赤線で顔のようなものが浮かんでいる。
このベルトこそ科学者クリム・スタインベルトの意識を保存し、進ノ介を仮面ライダーへと変身させるツール。
ドライブドライバーである。

「にしても、まさかこんな形でベルトさんにまた会えるなんて思わなかったぜ」
『それには私も同感だ。厳重に封印した筈なのだがね…』

地下に封印した筈が再び進ノ介の手元にある。
ロロの持つ得体の知れない力を一人と一本は警戒する。

「っと、これも確認しとかないとな」

言いながら進ノ介は名簿を開く。
載っている名を確認していると、急に驚きの声を上げた。
0190彼らの新たな戦いとはなにか ◆84AHk0CknU
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2016/04/28(木) 02:21:38.82ID:AXgRIAEi
『どうした進ノ介?』
「どうもこうも……」

名簿にあった知っている名の人物。
まず詩島剛は問題ない。
彼は殺し合いなどには絶対に乗らない、心強い仲間だ。
現在マッハに変身する為のベルトは失われているので、できれば早めに合流する必要があるが。
問題はチェイス、ハート、ブレン、メディックの四体だ。

「どうなってるんだよ、チェイスたちはもう…」
『うーむ……。コアが消滅したロイミュードを復活させる手立てをロロ・ヴィ・ブリタニアは持っている、ということか…?』
「あいつが最初に言ってた死者の蘇生って、これのことなのか?」

ロイミュードとはいえ死んだ者を生き返らせる力。
俄かには信じられないが…。

「けど、もし本当にチェイスが生き返ったんなら俺は会いたいよ…」

蛮野との戦いで命を落とした大切な仲間。
戦いが終わり勝利を喜び合う中に居て欲しかった男。
殺し合いという最悪の状況だが、チェイスが生きているのなら会いたいと進ノ介は思った。

『…その気持ちは私も同じだよ。剛や霧子も彼との再会を喜ぶはずだ。それでハート達だが…』

チェイス以外のロイミュード三体。
蛮野との戦いで共闘したとはいえ、彼らとは元々敵同士だ。
生き返ったのならば再び、人間を支配するために立ち塞がるかもしれない。
ならばハートたちは倒すのが正しい選択となるのだが…。

『できれば戦いたくない、と考えているのかい?』
「……ベルトさんにはお見通しか」

己の命を賭して蛮野からメディックを救ったブレン。
ハートと進ノ介の勝利を信じ、全ての力を使い切ったメディック。
最後までロイミュードの誇りを捨てず、進ノ介の友となり消滅したハート。
彼らの戦う理由を、最期を見てきた。
だからこそできることなら戦いたくない、チェイスのように人間と共存する道を選んで欲しい。
身勝手で甘い考えだが、それが進ノ介の願いだった。

『やれやれ…。分かった。では彼らに会った時最初にどうするかは君に任せよう』
「ベルトさん…!」
『だが向こうがどうあっても聞き入れない時は戦うんだ。いいね?』
「ああ分かってる。……ありがとうな、ベルトさん」

名簿をしまい今度は地図を取り出す。
会場は中央に都市エリアがあり、東一帯は森林地帯、西は住宅地。
南は海岸と港、そして北には荒野が広がっている。
各エリアにある様々な施設。
その中で進ノ介が目的地として提案したのは、都市部にある久留間運転免許試験場だった。
0191彼らの新たな戦いとはなにか ◆84AHk0CknU
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2016/04/28(木) 02:22:34.30ID:AXgRIAEi
『特状課を目指すのか』
「ああ、剛とチェイスもここに行く可能性は高いしな」
『なら丁度良い。私もドライブピットがあるかどうか確認しておきたい』
「ドライブピットを?」
『ああ。あそこなら首輪を外す為の設備も整っているし、事件解決までの拠点として使える』

話が纏まるとビルの外に出る。
そして入り口前に停めてある一台の赤い車に乗り込んだ。

「ベルトさんが俺の手元にあった時点で予想はしてたけど、トライドロンまでロロに持ち出されてたのか」
『だがドライブの装備は万全ではない。用心しろ進ノ介』
「ああ、分かってる」

アクセルを踏み出発する。
泊進ノ介――仮面ライダードライブの新たな戦いがここに始まった。


【泊進ノ介@仮面ライダードライブ】
[状態]:健康、運転中
[装備]:ドライブドライバー+シフトブレス@仮面ライダードライブ、トライドロン@仮面ライダードライブ
[道具]:共通支給品一式、各種シフトカー(何台か不足あり)@仮面ライダードライブ
[思考]
基本:殺し合いを止めロロを逮捕する
1:まずは特状課を目指す
2:一般人の保護
3:剛とチェイスを探す
4:ハートたちを警戒。ただできることなら戦いたくない
[備考]
※参戦時期は本編終了後。
0192 ◆84AHk0CknU
垢版 |
2016/04/28(木) 02:25:43.42ID:AXgRIAEi
投下終了です
書くのが遅すぎなんだよね、それ一番言われてるから(自戒)
0193 ◆ymCx/I3enU
垢版 |
2016/04/28(木) 13:26:26.07ID:BQiT7s/0
投下乙です
仮面ライダーは平成ライダーの最初の奴小学生の頃にちょっと見てました…

自分もようやく一話出来たので投下します
0194図らずも前門の虎と後門の狼 ◆ymCx/I3enU
垢版 |
2016/04/28(木) 13:31:39.61ID:BQiT7s/0
29話 図らずも前門の虎と後門の狼

遊園地を後にしたミーウこと修明院美宇は市街地へとやって来ていた。
果たしてここに殺し合いに乗っていない参加者、そして伊藤椿は居るのだろうか。

「あ、これ、椿が欲しいって言ってた奴だ」

とあるCDショップの店先に並べられていたCDに注目するミーウ。
以前、椿が欲しいが中々見付からないと言っていた物だ。
土産に持って行ってしまおうかとも思ったが、盗品では椿も喜ばないだろうと思い止まった。

「椿どこに居るんだろ、って言うか、まだ生きてるのかしら……」

今現在の安否も知れぬ親友の姿をミーウは捜す。

「!」
「……誰だ」

一人の人間の青年と遭遇する。髪も服も黒を基調とし、澱んだ目付きをした見るからに明るくはなさそうな印象だ。

「……待って」
「あ?」
「取り敢えず、その、私は戦うつもりは無いから」
「ふぅん……まあお前弱そうだしな。俺もやり合うつもりは無ぇよ」
「弱っ……ン゛ン゛ッ、いや、それは良いわ……人を捜しているの」
「人?」
「友達……伊藤椿って言うんだけど。私と同じ制服で、桃色の髪の女の子、見てない?」
「見てねぇな。デケェ虎ならさっき鉢合わせになったがな……悪いが、他を当たってくれ」

そう言い終わるや否や、青年はさっさと立ち去ろうとした。

「ちょっと待って!」

もう一個聞きたい事が残っていたミーウは青年を引き留める。
青年は迷惑そうにミーウを睨めつけた。

「何? お前に構ってるヒマ無ぇんだけど俺」
「もう一個だけ聞きたい事が有って……貴方、この殺し合いには……乗ってる?」
「……」

青年は即答はしない。ミーウは万一の事態も考えいつでも武器を構えられるようにする。
少し間を置いて青年は返答した。

「強そうな奴とならいくらでも戦いてぇとは思ってるよ」
「……そう」

その返答内容から読み取れるのは、この青年は言わば「対強者限定で殺し合いに乗っている」と言う事。
「強者」と言うのは殺し合いに乗っているか否かは関係無いのだろう。
この青年は仲間とするには危険過ぎるとミーウは判断した。

「もう良いだろ?」
「えぇ、ありがとう……」

青年は去って行った。
名前を聞き忘れた事にミーウが気付いた時にはもう青年の姿は見えなくなっていた。

◆◆◆
0195図らずも前門の虎と後門の狼 ◆ymCx/I3enU
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2016/04/28(木) 13:32:06.11ID:BQiT7s/0
狼獣人の兵士、北原大和。
シェパード犬青年との交戦後、市街地へと逃げ込み、現在は建物と建物の間の細い路地に身を潜めていた。

(隠れてばかりでも駄目だ、何か、行動に移さないと……)

殺し合いに乗っていない参加者を集めゲームに反抗する、それが大和の大凡の目的である。
その為には身の安全ばかり気にしてはいられない。
路地から少し顔を出して辺りの様子を窺うが、先程の犬青年の姿は無く追ってきてはいないようだった。
安全を確かめ、大和は通りに出る。

「行くか」

気持ちを切り替え大和は歩き始めた。

次の出会いは十分と経たない内に起きた。
とある十字路に差し掛かった時、曲がり角の向こうから足音が近付いてくるのを大和の耳は聴く。

「!」

大和はその場に立ち止まり足音の主が現れるのを待つ。
万一の場合を考え軍刀をいつでも抜けるようにする。

「……あ? 誰だ? ……今度は狼か」

現れたのは人間の青年。

「待ち伏せでもしてたのか?」
「いや違う。俺は殺し合うつもりは無い。あんたは……どうだ?」
「ふぅん……さっきの狐と同じような事言ってんな」

青年の口ぶりから、どうやら殺し合いに乗っていない参加者は自分以外にも居るようだと大和は少し安堵する。
だが今問題なのはこの青年が殺し合いに乗っているか否か。

「ったく、同じ事何度も言うのは嫌いなんだけどな」

吐き捨てるようにそう言って、少し間を置いてから青年は返答する。

「強そうな奴となら、戦いてぇとは思ってるよ」
「……そうか」

大和の声に滲むのは落胆の色。
青年は殺し合いに積極的になっている訳では無いが「強者と戦う」と言っていると言う事は殺し合いそのものは否定していない。
なら自分の同志とは成り得ない――大和はそう結論付けた。
それならこの青年はどうするべきか、それを大和が考え出したその時。

「ところでさ、お前、陸軍の兵士だよな? その戦闘服」
「あ、ああ」

急に青年の様子が変わったような気がして、大和は身構える。

「って事は強いか?」
「……っ」
0196図らずも前門の虎と後門の狼 ◆ymCx/I3enU
垢版 |
2016/04/28(木) 13:32:26.61ID:BQiT7s/0
その台詞で大和は確信に至る。青年は自分と戦う気だと。
次の瞬間、青年が動く。
大和の頭部目掛けて腕を振りかぶった。
身体を後ろへ反らし、青年の腕を避ける大和。
青年の手にはマイナスドライバーが握られている。もし避けるのが遅ければ大和の脳髄を刺し貫いていただろう。

「やるじゃん。あの見掛け倒しの虎とは違ぇみてぇだな」
「やめろ……! 俺は殺し合う気は無いって言ってるだろ!」
「知るかよ。さっき言っただろ? 強ぇ奴と戦うのが目的なんだって。やる気が無いならその気にさせるしか無ぇな。
ほら、さっさとその刀、抜けよ!」

大和の説得にも耳を貸さず、青年はとても素早い身のこなしで襲い掛かる。
その上、急所を確実に狙う攻撃が多く、大和は回避で精一杯となってしまう。
この時点で青年が一般人では無く戦い慣れしていると言う事が大和にも分かった。
自分も本気を出さねば殺られると言う事も。

「その刀飾りかよ?」
「くそっ!」

ここで死ぬ訳には行かない。大和は軍刀を抜き、反撃を開始する。
マイナスドライバーよりも遥かにリーチが有り斬れ味も鋭い軍刀の刃が青年に向かう。

「そうこなくっちゃなァ」

楽しそうに笑みを浮かべながら青年は斬撃をかわす。
軍の訓練で仕込まれた剣術を大和は繰り出すも、青年には当たる気配が無い。
涼しい顔で避けられるのみ。挑発にも見えるその表情、そして全く攻撃が当たらない事に苛立ちを募らせる大和。

「何だよ俺に一太刀も浴びせられねぇのか、お前もその程度かァ? がっかりだな」
「うるさい……!」
「もういいや。終わりにしちまおう」
「!?」

期待外れの色を滲ませた宣言の直後、大和は脇腹に焼けるような熱を感じた。
それがマイナスドライバーが脇腹に深く刺さったせいであると理解するのに数秒を要した。

「ぐあ……!?」
「筋は良いモン持ってると思ったけどそれだけだったな」

青年は大和の脇腹からマイナスドライバーを引き抜き、間髪入れず、ドライバーの次の行き先を定め突き出した。
大和の胸元。戦闘服の頑強な生地と、毛皮に覆われた皮膚、筋肉を刺し貫き、心臓に達した。
その瞬間大和の死が決定付けられる。

(そんな、まだ、何も、出来ていないのに……! 畜生……)

薄れゆく意識の中、結局殺し合いに一矢報いる事も出来なかった事を、大和は悔やみ続けた。

◆◆◆
0197図らずも前門の虎と後門の狼 ◆ymCx/I3enU
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2016/04/28(木) 13:33:11.37ID:BQiT7s/0
アスファルトの上に倒れ、今や屍と化した狼兵士を見下ろす茂晴。
彼が狼に対して口にした通り、最初に出会った虎よりは手応えの有る相手だった。だが結局、それだけであった。

「ったく弱い奴ばっかだな……」

つまらなそうに言いながら、茂晴は狼の持っていた軍刀を回収し、次の獲物を探すべく立ち去った。


【北原大和  死亡】
【残り40人】


【午前/E-5市街地】
【修明院美宇】
状態:健康
装備:グロック19(15/15)
持物:基本支給品一式、グロック19の弾倉(3)
現状:殺し合いには乗らない。椿及び殺し合いに乗っておらず役に立ちそうな参加者の捜索。殺し合いからの脱出方法を探す
備考:伏島茂晴の容姿のみ記憶。

【午前/E-5市街地】
【伏島茂晴】
状態:健康
装備:マイナスドライバー
持物:基本支給品一式、手鉤、三十二年式軍刀
現状:強そうな奴と戦いたい。優勝については今の所保留
備考:修明院美宇の容姿のみ記憶。美宇から離れた場所に居る。
0198 ◆ymCx/I3enU
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2016/04/28(木) 13:34:16.55ID:BQiT7s/0
投下終了です
こんなんじゃいつロワ終わるかわかんねぇな
キャラは殺せる時にさっさと殺そうぜ!
0199 ◆84AHk0CknU
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2016/04/30(土) 03:51:11.19ID:ps8W1PFp
投下乙です
茂晴は王道を往く強マーダーですね、間違いない……

自分も投下します
0200怪物たちの使命/任務とはなにか ◆84AHk0CknU
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2016/04/30(土) 03:52:48.03ID:ps8W1PFp
コンベンションセンターホテル。
かつて日本解放戦線によるホテルジャックが起こった場所。
本来は河口湖にあるはずの施設が、猿渡銀兵衛春臣のスタート地点だった。

「外に放り出されなかったのは幸いかな」

真っ暗闇の中見知らぬ土地を、いつ危険な輩が襲ってくるか分からないのに歩き回る。
それは余りに危険で無謀な行動だ。
屋内ならば少なくとも外に居るよりは落ち着いてものを考えられる。
それにこの広い施設なら危険な参加者に襲われても、隠れる場所が多くありそうだ。
殺し合いというからには当然、人を殺すのに躊躇しない者も47人の中に混じっているのだろう。

「殺し合い、か……」

バトルロワイアル。
悪質なドッキリか何かだと思いたいが、銀兵衛の冷静な部分はそれを否定してしまう。
絶望の表情を貼り付けたまま頭部が吹っ飛んだ死体は、作り物や特殊メイクなどではないと。
悲鳴を上げた人々は仕掛け人などではなく、本物の恐怖を植え付けられた哀れな生贄たちなのだと。
目を瞑り夢なら覚めてくれと願っても、それが叶うことなどない。
この状況は紛れもない現実なのだから。
自分も見せしめの二人のように呆気なく死んでしまうかもしれない。
或いは歪んだ思考の持ち主によって、もっと無残な死を迎える可能性だってある。
何とか冷静に努めようとするが、湧き上がる恐怖が消える気配はなかった。

「秋人……」

思わず大好きな親友の名が口から出る。
この地には彼とその妹の秋子、生徒会メンバーのアナスタシアもいる。
彼らはどうしているのだろうか。
自分と同じくどこかの施設に飛ばされたのか、それとも外に放置されたのか。
それとも他の参加者に襲われ、既にもう――

「っ!駄目だ駄目だ、そんな事考えるな……!」

つい悪い想像をしてしまった。
そんな筈はないと銀兵衛は自分に言い聞かせる。

(…早く皆を探そう)

不安と恐怖を抑え付け歩き出す銀兵衛。
非常灯のみが照らす廊下を慎重に進む。
人気の無い深夜の建物に一人でいるというのは、殺し合いとはまた別の恐怖感が生まれてくる。
秋人たちの前では強がっていたが、銀兵衛は幽霊や怪談の類は人一倍苦手な少女だ。

「ふ、ふんっ。馬鹿馬鹿しい…」

誤魔化すように独り言を呟く。
気のせいか先程よりも震えが酷くなった体を動かし歩き出す。

「大丈夫か?」
「ひゃんっ!?」

と、背後から唐突に話しかけられた。
素っ頓狂な声を上げながら、銀兵衛は驚きで転倒してしまう。
彼女が痛みとパニックで涙目になりながら振り向くと、一人の男が無表情で立っていた。


0201怪物たちの使命/任務とはなにか ◆84AHk0CknU
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2016/04/30(土) 03:53:53.97ID:ps8W1PFp
「すまない。驚かせてしまったようだな」
「い、いえ。大丈夫ですから」

無数のテーブルが並べられているホール。
パーティー会場として使われていた、だだっ広い空間にで銀兵衛と男は話をしている。
突然現れた男に対し軽くパニックになってていた銀兵衛だが、相手が冷静であったため一先ず警戒を解いた。

「僕は猿渡銀兵衛春臣と言います」
「チェイスだ」
「チェイス、さん?あの、渾名か何かですか?」
「本名だ。名簿にも載っている」

どこからどう見ても日本人なのだがキッパリ本名だと言われた。
冗談のつもりなのだろうかと銀兵衛は考えたが、チェイスは無表情のまま。
念の為名簿を見ると確かにチェイスと記されている。
初対面の相手に失礼なのだが、紫尽くしの服装も合わせて変わった人だと銀兵衛は思った。

それからお互いの知り合いも殺し合いに連れて来られていること。
それぞれの名前と特徴を伝え合った。

「泊進ノ介さんに詩島剛さんですか」
「ああ。…聞き覚えは無いのか?」
「えっ?いえ初めて聞きましたけど…。有名な人たちなんですか?」
「……いや、知らないのならいい。おかしな事を言ってすまなかった」

心なしか難しい顔をしたチェイスに対し、銀兵衛は何か気に障ることを言ってしまったのかと内心焦った。
しかしチェイスはそれ以上何かを言いはしなかった。

「お前の学友三人の捜索、俺も手伝おう」
「いいんですか?」
「ああ。ここに居る間はお前とその仲間を守る事を約束する」
「チェイスさん…。ありがとうございます」

ちょっと変わってて無愛想だけど悪い人ではない。
そんな印象をチェイスに抱きながら銀兵衛は感謝の言葉を伝えた。
そうだ、ここには危ない人間だけでなく、彼のように殺し合いに反対する人だってちゃんと存在するのだ。
ずっと心に圧し掛かっていた不安が少し和らいだのを銀兵衛は感じた。

「行くぞ。俺から離れるな」
「はい、分かりま――っ!?」

荷物を纏め部屋を出ようとした時、それは聞こえた。
ズシン、ズシンという物音。
巨大な“なにか”が足音を立てて、こちらに近付いてくる。

「これは……?」
「下がっていろ銀兵衛」

困惑する銀兵衛を庇うようにし、チェイスが音の方向を睨む。
その腰には奇妙な形のベルトが巻かれていた。
更に片手には玩具のような小さいバイクを握り締めている。
それを見て銀兵衛は訝しげな視線を向けるが、間近に迫った音にビクリと肩を震わせた。
二人が緊張した面持ちで、壁の向こう側に居る“なにか”の出方を窺う。

次の瞬間、「それ」は現れた。
0202怪物たちの使命/任務とはなにか ◆84AHk0CknU
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2016/04/30(土) 03:54:42.73ID:ps8W1PFp
「――――――!!!」

壁を粉砕し、獣のような雄叫びを上げる怪物。
2メートルを越える巨体で、胴体と四肢に銀の装甲が着けられている。
肌は青白く、所々抉れて肉が見えている状態だ。

「ひっ……」

不気味に呻く異形の姿に銀兵衛から小さく悲鳴が漏れる。
少女の怯えなど知ったことかとばかりに、怪物は左拳を握り締める。
同時に右腕に装着した巨大なアームをカチカチと鳴らす。

「ロイミュードではないようだな」

銀兵衛を下がらせチェイスが一歩前に出る。
ベルトのパネルを上げ、開いたスペースにバイクを装填。
今度はパネルを下げる。

『SIGNAL BIKE』
「変身」
『RIDER!CHASER!』

ベルトから電子音声が響きチェイスの体が紫の光に包まれる。
暗闇を裂くような光が収まると、そこには銀と紫の装甲に全身を包んだ戦士の姿があった。
背後で息を呑む銀兵衛を無視し、片手にハンドルグリップのような銃「ブレイクガンナー」を持ちチェイスは駆け出す。

「ハァッ!」

走り出した勢いのまま、強化された腕力で拳を振るう。
拳は怪物の腹部を捉える。
が、僅かに呻き声を出しただけで効いた様子は無い。
続けてブレイクガンナーによる打撃を繰り出すが、やはり怯みはしない。
怪物が巨体に見合わぬ速さで左腕を振り下ろす。
チェイスは横に飛ぶことで剛腕を回避。

「――――!!」

怪物がアームを振り回す。
無骨な金属によるその一撃が強力なのは一目瞭然だ。
食らってなるものかとチェイスは回避に集中する。
紙一重でアームを躱し、時にはブレイクガンナーで受け流す。
その時感じた怪物の腕力に仮面の中で顔を顰める。

「くっ…」

距離を取るように背後へと飛ぶ。
戦っている場所が広いホールなのが幸いした。

『GUN』

ブレイクガンナーを遠距離用の形態に変え銃口を向ける。
引き金を引くとエネルギー弾が発射され着弾した。
装甲に当たり火花を散らす。
怪物にとっても未知の攻撃だったのか、動きを止めている。
しかしそれも束の間の事、一声吼えると弾が当たるのも意に介さず、チェイスへ向け突っ込む。
ブレイクガンナーを連射するが怪物は止まらない。
テーブルを吹き飛ばしながら、目障りな相手を押し潰さんとタックルが迫る。
岩石のような肩がぶつかる寸前、チェイスは怪物の背後へ回るように大きく跳躍。
怪物の真上に来た瞬間、剥き出しの顔面へ向けてトリガーを引く。
0203怪物たちの使命/任務とはなにか ◆84AHk0CknU
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2016/04/30(土) 03:56:20.11ID:ps8W1PFp
「――――!!??」

これは流石に堪えたのか怪物から初めて苦痛のような響きの声が出る。
敵両腕で顔を押さえ膝を突いている隙に、チェイスは次の行動に移っていた。
再度ベルトのパネルを上げ、上部に付いているスイッチを押す。
そしてパネルを下げる。

『ヒッサツ!FULL SLOTTLE!』
『CHASER!』

右足にエネルギーが溜まっていく。
怪物を倒すための力を纏い、繰り出されるのは必殺の飛び蹴り。
紫色の光を纏った右足が怪物へと迫る。
己へ近付く脅威に反応したのだろうか、怪物は咄嗟に右腕を突き出す。
僅かに拮抗するが、アームは砕かれ怪物の胸部へ右足が突き刺さる。

「―――――!!!」

衝撃で外まで吹き飛ばされる怪物。
運の悪い事に今戦っていた場所は超高層ビルの最上階。
怨嗟の篭った叫びと共に、地上へと落ちていった。





怪物の落下を見届けるとチェイスは変身を解く。
振り返ると恐る恐るといった様子で、銀兵衛がテーブルの後ろから身を出す。
その顔は強張っていた。

「怪我は無いか?」
「は、はい。大丈夫、です……」
「そうか」

顔には出していないが内心安堵するチェイス。

「あ、あの…。あなたはいったい…」
「?仮面ライダーを知らな……いや、話は後だ。今の音を聞いて危険な連中が集まる可能性は高い。
まずはここを離れるぞ」

そう言って歩き出すチェイスの後ろを、納得のいかない思いをしながら銀兵衛が続く。

(あぁもう訳が分かんないよ……)

突然拉致されての殺し合いというだけでも困惑しているというのに。
それに加えて、怪物と特撮ヒーローのような姿へ変身する男。
それなりに変わった環境で日常を過ごすとはいえ、銀兵衛は血生臭いゴタゴタとは無縁の一般人。
現実味の無い光景の連続で頭が痛くなりそうだ。

(……)

前を歩くチェイスの背を見る。
彼の正体が何者なのかは分からない。
情報交換の時の反応といい、語っていない事は多いと思う。
けれど彼は銀兵衛を守ってくれた。
足手まといとなりそうな自分を見捨てず戦ってくれた。
0204怪物たちの使命/任務とはなにか ◆84AHk0CknU
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2016/04/30(土) 03:57:47.32ID:ps8W1PFp
「チェイスさん」
「?」
「ありがとうございました」

深々と頭を下げる。

「チェイスさんがいなかったら、僕は死んでいました。だから、ありがとうございます」
「気にするな。俺はお前を守ると約束した」

背をむけたままそっけなく言うチェイス。
けどその姿に不思議と冷たさは感じなかった。
柔らかい笑みを浮かべるが、すぐ不安げに曇りだす。

(秋人…秋子ちゃん…那須原さん……)

大切な友人たちの名を内心で呟く。
あんな怪物まで存在するこの地で彼らは無事でいるだろうか。
早く会って無事を確かめたい。
そして会長とありさが待つ元の日常に皆で戻りたい。

銀兵衛が友の身を案じる傍ら、チェイスも思考に耽っていた。

(仮面ライダーを知らない、か……)

融合型ロイミュードの病院襲撃を切っ掛けに知れ渡った仮面ライダーの正体。
警察の正式発表もあり、仮面ライダーが泊進ノ介だということは全国民にとって周知の事実である。
だというのに銀兵衛は仮面ライダーの存在自体知らないようだった。
そんな事がありえるのか。

だがそれ以上に不可解な事がある。
それは、

(何故俺は生きている?)

あの時。
自分は蛮野の攻撃から剛を庇い致命傷を負った。
そして最後の力を振り絞り、蛮野を道連れに自爆した。
コアも消滅し完全に死んだはず。
それが今は傷一つなく二本の足で立っている。

(名簿を信じるならば、俺だけでなくブレンも復活しているのか……)

その最後を目撃したロイミュード。
チェイスがこうして蘇っているなら、ブレンの方もほぼ間違いないだろう。
余りにも不可解な事が多すぎる状況。
頭を抱えながらも少女とロイミュードは、ホテルを出る為にエレベーターに乗り込んだ。


【チェイス@仮面ライダードライブ】
[状態]:疲労(中)
[装備]:マッハドライバー炎+シグナルチェイサー@仮面ライダードライブ、ブレイクガンナー@仮面ライダードライブ
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0〜1(ドライブ出典のものではない)
[思考]
基本:仮面ライダーとして戦う
1:銀兵衛と彼女の友を守る
2:進ノ介と剛を探す
3:ハートたちに会ったら……?
4:あるのならばライドチェイサーとシンゴウアックスを探す
[備考]
※参戦時期は本編45話死亡後。
0205怪物たちの使命/任務とはなにか ◆84AHk0CknU
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2016/04/30(土) 03:58:40.68ID:ps8W1PFp
【猿渡銀兵衛春臣@お兄ちゃんだけど、愛さえあれば関係ないよねっ】
[状態]:精神疲労(小)
[装備]:なし
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0〜3
[思考]
基本:秋人たちを探す
1:チェイスさんと行動
2:秋人たちが心配
[備考]
※参戦時期は原作8巻以降。


怪物は死んでいなかった。
元々の桁外れなタフさに加え、主催者よりもたらされた装甲。
これによりダメージこそ受けたものの未だ生きている。
暫し大の字になり休息を取っていたが、十分だと判断したのか立ち上がる。
目の前には何時の間にか換えのアタッチメントが落ちてあった。
それを拾い右腕に装着し歩き出す。

この怪物は47人の参加者の中で最も異質な存在だろう。
怪物は自分が殺し合いをしている自覚など全く無い。
ただ一つの任務を遂行する為に動いている。
その任務とはある男の捕獲。
殺し合いに連れて来られる以前と同じもの。
例え舞台が違い、主催者に新たな装備を与えられても、その基本行動は何一つ変わらない。

怪物の名はウスタナク。
目的はジェイク・ミューラーの捕獲。

【ウスタナク@バイオハザードシリーズ】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(大)
[装備]:アタッチメント(ドリル)、テスタメントの装甲服@NEEDLESS
[道具]:なし
[思考]
基本:ジェイク・ミューラーの捕獲
1:ターゲットの捕獲。それ以外は全て殲滅
[備考]
※参戦時期はジェイク編チャプター2終了後。
※アタッチメントは破壊されると主催者側で新たなものを用意します。
全て破壊された場合どうなるかは現在不明です
※アタッチメント(通常アーム)破壊。
0207 ◆ymCx/I3enU
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2016/05/01(日) 23:50:16.20ID:L1pNNJxV
投下乙です

自分も投下します、今回はちょっとエッチです
0208イカした色仕掛けさよなら命懸け ◆ymCx/I3enU
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2016/05/01(日) 23:50:55.96ID:L1pNNJxV
30話 イカした色仕掛けさよなら命懸け

「! あいつは……!」

倉持忠敏は前方数百メートル先についに追い求めていた姿を見付けた。
赤い鬣に白い身体を持ったユニコーンである。
喜んで、忠敏はそのユニコーンに走って近付いた。

「おーい、そこのあんた!」
「誰だ?」
「警戒しないでくれ、俺は危害を加えるつもりは無い」

高鳴り興奮する心を抑えつつ、ユニコーンの警戒を解こうとする忠敏。
近くで見ればユニコーンの身体は何とも良く引き締まり、股間には立派な雄の象徴。忠敏がそそられる材料が全て揃っている。

「単刀直入に言おう」
「え?」
「俺は、オス馬に掘られるのが大好きなんだ……だからあんたに掘って欲しい!」
「何?」
「開催式であんたの事見掛けてからずっと探していた。いや、分かってる。ユニコーンは処女にしか興味が無いって事は、
ちゃんと分かってるし、そうで無くても……」
「つまり、男が、オスが好きって事か?」
「? あ、ああ……但し馬限定だけど」

聞き返してきたユニコーンの声色には確かな「喜び」が滲んでいた。
予想外の展開に忠敏は少し困惑気味に、ユニコーンの質問に返答する。

「全然構わない! って言うか嬉しい!」
「え!?」
「俺、ゲイなんだ……つまりアンタとヤるのは全然オーケーだ!」
「マジで!?」

まさかの展開。ユニコーンと言えば忠敏がそう言ったように処女にしか興味を持たないと言うのが定説だが、
目の前のユニコーンはそれを覆す存在であった。

「俺はユージーン。アンタは?」
「倉持忠敏。これは、何と言う幸運だ! やばいテンションが上がる!」
「落ち着け忠敏、ここは見晴らしが良すぎて危ないから適当な場所を見付けてそこで、な?」
「よーし……」

今すぐにでもズボンを脱ぎ捨て尻を出したい気持ちを抑え、忠敏はユージーンと共にまぐわいに相応しい場所を探す。
程無く、とある民家の敷地内に有る納屋に決定しそこへと侵入した。
入口にバリケードを作り外からの侵入を防ぐ。人間男と角有り牡馬の二人だけの空間の出来上がり。
早速忠敏は服を脱ぎ捨て全裸になった。
0209イカした色仕掛けさよなら命懸け ◆ymCx/I3enU
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2016/05/01(日) 23:51:25.98ID:L1pNNJxV
「オス馬とヤり慣れてるって聞いたけど」
「おう、これを見てくれユージーン」
「うわっ、やばいだろこれ……穴が拡がってないか?」

後ろの門をユージーンに見せ付ける忠敏。
ユージーンは軽く驚いた。
一体今まで何頭の牡馬の太い杭を激しく打ち込まれたのだろうか、
門は門の機能を果たせるかどうか心配になる位の拡張ぶりを見せていた。
そして、暫く見詰めていたユージーンは次第に鼻息荒く興奮してゆく。

「ああ、凄い、そそられてきたよ忠敏ィ……フーッ、フーッ、すぐにでも根元までぶち込んでやるぜ! ってなりたいけど、
まずローションの代わりにベロベロしないとな、流石にこのままはきついだろぉ?」
「良いよ、来いよ……」

突き出された拡がり過ぎた門に、ユージーンはたっぷり唾液を含ませた舌を近付けていく。

その後、納屋の中から人間男の喘ぎとオス馬の嘶きが延々と響いていた。
納屋がギシギシと揺れ、屋根から土埃が落ちる程であった。


【午前/E-4市街地境家】
【ユージーン】
状態:興奮
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:命果てるその時まで自分の欲望の為に行動する。忠敏と暫く一緒に居る。
備考:特に無し

【明朝/F-4酒場周辺】
【倉持忠敏】
状態:興奮
装備:調達した文化包丁
持物:基本支給品一式、ウィズダム商店謹製催淫剤
現状:死ぬ前にユージーンと思う存分過ごす。
備考:催淫剤の効能については未確認
0210 ◆ymCx/I3enU
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2016/05/01(日) 23:52:43.94ID:L1pNNJxV
投下終了です

忠敏の状態表の上にある酒場云々はミスですので無視して下さい

ひでぇSSだ、でもやめぬ
0211 ◆84AHk0CknU
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2016/05/02(月) 02:54:27.76ID:M9AqSMe6
投下乙です
え、なにこの内容は…(困惑)
0212 ◆ymCx/I3enU
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2016/05/03(火) 02:06:32.28ID:CB7jW69m
一時期頭おかしくなってた頃はこれよりもっとやばいSS大量生産してました(半ギレ)
詳しくは美女と野獣ロワ、もっとEXオリロワ辺りを見て貰えれば

そんな事より投下だ!
投下します
0213かくされたメッセージ ◆ymCx/I3enU
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2016/05/03(火) 02:07:48.82ID:CB7jW69m
31話 かくされたメッセージ

港を探索し、特に自分達以外の参加者の姿は無いと判断した須牙襲禅、新藤真紀の二人。
別の場所へ移動しようと、港の敷地から外へと出た時。

「誰だ?」
「ひっ」

襲禅がガバメントを突き付け威嚇するのは、巫女服姿の少女。
左上腕には矢と思しき物が刺さり、少なくない量の血が流れていた。

「ま、待って下さい……私は殺し合う気は、無いです」

怯えながらも、少女は戦意が無い事を訴える。
襲禅は暫くして銃を下ろす。少女はほっとした表情を浮かべた。

「お前一人か?」
「は、はい。今は……」
「今は? ……まあ良い、お前名前何て言うんだ?」
「布川、小春です」
「布川さんね? 私達も殺し合いには乗っていないから、安心して。酷い怪我……手当しないとまずいわね……」
「しゃーねーな……港に戻るか。事務所に非常用の医療キットぐれぇ有んだろ」
「す、すみません……」

小春と名乗った少女を、襲禅と真紀は仲間に迎え入れ、傷の手当の為小春と共に港へと引き返す。
襲禅は正直に言うとまだ完全には警戒を解いていなかったものの万一の時は無理矢理ねじ伏せられる相手だと判断し、
これ以上事を荒立てる真似はしなかった。

……
……

港の事務所内。
矢が抜かれ、応急処置が施された後、小春は今までの自分の経緯を二人に話す。
知人である犬のタローを捜している事。
ゲーム開始直後、藤堂リフィアと言う狼の少女と出会うものの目の前で殺されてしまい、
襲撃者から命辛がら逃げ延びた末、港に辿り着いて二人と出会った事。

「大変だったね……傷は、どう?」
「大分楽になりました……ありがとうございます」
「お前とリフィアってのを襲ったのはどんな奴なんだ?」
「わ、分からないです……良く見てません……痛くて、混乱してて、逃げるので精一杯で」
「無理も無ぇか……」

今後の為にも襲撃者、つまり危険人物の情報は手に入れておきたかった襲禅だが、小春は自分とリフィアを襲った人物については、
激しい混乱状態であったせいか覚えている事は全くと言って良い程無かった。

「私達は殺し合いには乗っていないから、安心して」
「はい」
「もし良ければ私達と一緒に行かない?」
「良いんですか?」
「良いよね? 襲禅」
「……別に良いが、足手纏いにはなんなよ」
「襲禅ったら……ごめん、口悪いけど気にしないで」
「だ、大丈夫です……一緒に、行かせて下さい」
「うん。宜しくね布川さん」

小春は襲禅と真紀と同行する事になった。
目の前で人が殺され、更に自分も殺されかけ、精神的に大きなショックを受けていた小春にとって仲間が出来た事は大きな安らぎを与える。
左腕の傷はまだ痛み、余り動かせそうには無いものの、手当して貰っただけでも有難かった。
0214かくされたメッセージ ◆ymCx/I3enU
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2016/05/03(火) 02:08:27.21ID:CB7jW69m
(うっ……痒い……そろそろ掻いた方が良いかな)

と、ここで小春の股間のむず痒さがピークに達する。
流石に二人の目の前で掻く訳にも行かず、小春は二人に断って事務所に併設されたトイレへと向かった。

……
……

「なぁ、真紀」
「何? 小声で」

小春がトイレへ向かった後、襲禅は真紀に小声で話し掛けた。
何事か分からなかったが真紀も小声で返す。

「あのガキ、ビョーキ持ちだぜ」
「は?」

急にお前は何を言い出すんだといった様子で真紀は襲禅を睨む。
襲禅曰く「人間には感知不可能な微量ではあるが、特有のニオイを嗅いだ」との事。
馬鹿馬鹿しいと一瞬真紀は思いはしたが確かに狼獣人である襲禅の鼻は普通の人間よりもよっぽど利く。

「つまりよ、あのガキビョーキ貰うぐれぇにはヤってるってこった」
「成程……いやでも別に今それは関係無い事じゃない」
「ま、そうだがな」
「多分、隠してるに違い無いし気付いていない振りしておこう、ね?」
「別に言いふらすつもりも無ぇよ」

小春が性病に罹っている事に気付いた事は黙っておこうと二人は話し合う。
その後話はこれからの事についての内容へと移り、声の音量も元に戻る。

「さてと、布川さんが戻ったら、どうする?」
「同じだ。別の所移動するぞ。一先ずは……東の畑が広がってる方に行ってみっか」
「どうせ宛ても無いし……良いよ、それで行こう」

二人は次の行き先を港から東に存在する畑地帯へと決めた。
そして小春が用を足してトイレから出てくるのを大人しく待った。

……
……

「くぅ、痒い……」

トイレの個室内でスカートをたくし上げ、小春はデリケートな部分を傷付けない程度に掻き続けていた。
自分が性病である事を外の二人が察してしまっている事など彼女は露程も知らない。
0215かくされたメッセージ ◆ymCx/I3enU
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2016/05/03(火) 02:08:52.12ID:CB7jW69m
【午前/A-6港事務所】
【須牙襲禅】
状態:健康
装備:コルト ガバメント(7/7)
持物:基本支給品一式、コルト ガバメントの弾倉(3)
現状:殺し合う気は無いが必要有らば戦う。真紀と行動。布川を連れて行く。東の畑地帯を目指す。
備考:特に無し

【新藤真紀】
状態:健康
装備:拳銃型ライター
持物:基本支給品一式
現状:殺し合う気は無い。武器が欲しい。襲禅と行動する。布川さんを連れて行く。東の畑地帯を目指す。
備考:特に無し


【午前/A-6港事務所トイレ】
【布川小春】
状態:左上腕に矢傷(応急処置済、余り左腕は動かせない)、秘部を掻いている
装備:スペンサーM1860カービン(7/7)
持物:基本支給品一式、.56-56スペンサー弾(14)
現状:殺し合いには乗らない。タローを捜す。須牙さん、新藤さんと行動する。
備考:藤堂リフィアは死んだと思っている。襲撃者(志水セナ)の容姿は把握していない
0216 ◆ymCx/I3enU
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2016/05/03(火) 02:09:39.19ID:CB7jW69m
投下終了です。

小春の持つ銃は次の話で真紀に渡る予定(怪我で使えないので)
0217 ◆ymCx/I3enU
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2016/05/05(木) 01:33:28.36ID:lfnY/fOa
投下します
登場は長嶺和歌子とウラジーミル
0218心と身体は乖離、狂宴に気もそぞろ ◆ymCx/I3enU
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2016/05/05(木) 01:33:59.38ID:lfnY/fOa
32話 心と身体は乖離、狂宴に気もそぞろ

汚い犬に襲われた場所から、長嶺和歌子とウラジーミルは南へ移動し、
比較的状態の良い廃屋の中に入りそこで情報交換を行う。

「友達がこのゲームに呼ばれているのか」
「はい、無事だと良いんですけど」
「そして犬と、***をするのが大好きと」
「はい」
「友達は心配だろうね、そして、レベルが高い」

ウラジーミルが信用出来る相手と見込んで、和歌子はこの殺し合いに呼ばれている自分の友人の事や、
自分が犬との交わりを趣味としている事を話した。
ただ、友人である彩愛も自分と一緒に犬との遊びを愉しんでいる事は言わなかった。こればかりは彩愛の感情も考慮しなければならない為。

(〈小学生で獣姦愛好家なんて、なら、頼めばもしかしたら、いやいや、流石にそれは駄目だ〉)

つい邪な考えが浮かんでしまうがそれを振り払うウラジーミル。
しかし生粋のロリコンである彼。和歌子を保護してからと言うものそう言った考えがしばしば頭を過ってしまう。
度々、自分の心の中で、欲望との攻防戦を繰り広げる有様。

(〈今まで和歌子ちゃんみたいな女の子と、これだけ長く一緒に居た事は無かったからなぁ……。
うう、くそっ、ドキドキしてしまって仕方無い。本当なら、本当だったら、押し倒したい! でもそんな事したら……〉)

何度目になるか分からない理性と欲望の戦いを脳内で繰り広げるウラジーミル。

(〈しっかりしろ、ウラジーミル・イリイチ・コスイギン!
……和歌子ちゃんは、この殺し合いに突然巻き込まれて、汚い犬に犯されかけて、自分だってとても怖い筈だろうに。
それでもしっかりと受け答えして、友達の事を心配しているんだぞ。凄く良い子なんだ。変態かもしれないけど。
そんな良い子に、邪な思いを抱くなんて、お前は恥知らずにも程が有るだろ……!〉)

自分自身を心の中で叱咤する。
そしてウラジーミルは気持ちを整えるつもりで軽く息を吸って吐き、和歌子の方を向いて言った。

「和歌子ちゃんが良ければ……一緒に行動しないか?」
「ウラジーミルさん、良いんですか?」
「僕は別に知り合いが居る訳じゃないからね……全然、大丈夫だよ。
こんな危ない状況で、小さい女の子一人じゃ、絶対にまずいと思う……さっきの犬みたいな奴がまだ大勢居るかもしれないし。
……あくまで、和歌子ちゃんが良ければ、だけど……」
「全然大丈夫です! むしろ、こっちからお願いしようと思ってた位で……!」

ウラジーミルの申し出を和歌子は喜んだ。
気丈に振舞っては居たものの、所詮は小学校高学年程度の女の子である。
殺し合いと言う以上状況下に放り出され、友達の安否も分からない、そして死への恐怖で心細い中、汚い犬に犯されそうになり、
和歌子の精神への負荷は相当なものになっていた。
今のままで一人で行動する事は、和歌子には考えられなかった。
ウラジーミルに助けて貰い彼の優しさに触れてしまっては尚更。

「それなら、良かった。それじゃあ、宜しくね和歌子ちゃん」
「こちらこそ宜しくお願いします」

二人は握手をして互いに改めて挨拶し合った。
大きな、毛皮に覆われ鋭い爪の生えたウラジーミルの手は、和歌子にとってとても温かく頼もしかった。
0219心と身体は乖離、狂宴に気もそぞろ ◆ymCx/I3enU
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2016/05/05(木) 01:35:20.70ID:lfnY/fOa
その後、二人は未だ支給品の確認をしていなかった事を思い出し互いに確認する。
ウラジーミルは作業用の白いロープと切断用の100円ショップで売られているような安っぽい作りのカッター。
和歌子は旧式のリボルバーと予備弾数発。説明書によれば「コルト ポリスポジティブ」と言う名前の銃らしかった。  
ウラジーミルの支給品はそのままでは武装足りえない為、近くに有った木材の切れ端を拾い一応の武装とする。
和歌子は子供の自分に扱えるかどうか不安に思いつつ、ポリスポジティブを装備した。

装備と荷物を整えた後、二人は廃村を抜けるべく、南へと歩き始める。

ところでウラジーミル・イリイチ・コスイギンは本当に欲望を捨て去る事が出来たのだろうか。

人間がそんな簡単に変われないように人間並の知性を持った獣だってそんな簡単に変われはしないだろう。

どうなる事やら(ゲス顔)。


【午前/C-3廃村】
【長嶺和歌子】
状態:健康
装備:コルト ポリスポジティブ(6/6)
持物:基本支給品一式、.32コルトニューポリス弾(12)
現状:死にたくない。あやちゃん(籠彩愛)と会いたい。ウラジーミルさんと行動する。
備考:タロー(名前は未確認)を危険人物と判断。

【ウラジーミル・コスイギン】
状態:健康
装備:拾った木材
持物:基本支給品一式、作業用ロープと切断用カッターナイフ
現状:殺し合いには乗らない。和歌子ちゃんと行動。彼女を守り、友達である彩愛ちゃんを捜す。
備考:タロー(名前は未確認)を危険人物と判断。
0220 ◆ymCx/I3enU
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2016/05/05(木) 01:36:14.27ID:lfnY/fOa
投下終了です
タイトル元ネタはボカロ曲の一つ「梅花話譚」の歌詞の一節の改変
0221 ◆ymCx/I3enU
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2016/05/06(金) 13:02:28.39ID:biK1tC4/
投下します
登場は北宇智恭世とタロー
0222浅い眠り続いていた ◆ymCx/I3enU
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2016/05/06(金) 13:03:02.93ID:biK1tC4/
33話 浅い眠り続いていた

黒豹の女性、北宇智恭世は優秀な女ビジネスマンだったが、ゲーマーとしての顔も持っていた。
そんな彼女が今回の殺し合いゲームに参加させられ考えるのはゲームに乗り優勝する事。
いつもテレビやパソコンの画面に向かってそうしているようにゲームをプレイしクリアする事である。
だが流石にポリゴンで構成されたバーチャルの世界とは訳が違う。
先程、支給された手榴弾で参加者を一人爆殺した時の、爆風、爆発音、硝煙と土煙そして血の臭い。
無数の肉片と化した数秒前まで生きていた女性の死体。
全ての事柄が紛れも無い「現実」であるのだと恭世に突き付けていた。
そして相手が死ぬのと同じように自分もいつ本当の死が訪れてもおかしくない事も。

しかし、それらの「現実」を受け入れてなお、恭世の心は彼女自身驚く程に冷静だった。
罪悪感、後悔、恐怖、悲観、全て無いのだ。とても淡々としていた。
自嘲気味に「自分はおかしくなったのか、それとも元からおかしかったのか」と考えながら、恭世は草原地帯の少し丘になってる場所から、
前方に見えるそこそこ規模の大きいホテルを見下ろしていた。
E-2エリアのホテルのようだ。

「さて、どうしようかしらね……」

どのようにしてホテルにアプローチしようか考える恭世。
正面から行くか、裏から行くか、それとも。

「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ……」
「ん?」

恭世の思考は不意に聞こえてきた荒い息遣いに中断させられる。
息遣いの聞こえる方向に顔を向けると、すこに居たのは薄汚い大きなオス犬。

(何コイツ、うわっくさい……毛もボサボサ)

犬から放たれる酷い悪臭と不潔の権化のような見た目に思わず恭世は顔を顰める。
デイパックを所持し、首輪もしているのでこの犬もこのゲームの参加者の一人なのであろう。
しかし恭世はこの犬を今すぐどうにかしてしまおうと言う気にはなれない。余りの不潔ぶりに触りたくないのだ。

「う〜……なぁ、なあ」
「え?」

その犬は恭世に声を掛けてきた。涎を垂らし、とても知性を感じられない瞳を見て恭世は犬に対し更に嫌悪感を募らせる。

「コハルって、女のコ、見てない? ハァハァ」
「コハル? 女の子?」
「巫女服の、とってもかわいいおんなのこぉ、見てなイ??」

犬はどうも捜し人が居るようだった。
しかし、恭世は犬が言うような女の子など会ってはいないし知らない。
名簿にそう言えばそのような名前が載っていたような気もしたが、そもそも犬が誰を捜していようが関係無いしどうでも良い。

「見てない。ごめんなさい。私は貴方の力にはなれないわ」

否定の台詞を口にする恭世。
一刻も早くこの犬にはどこかへ行って貰いたかった。
0223浅い眠り続いていた ◆ymCx/I3enU
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2016/05/06(金) 13:03:27.65ID:biK1tC4/
「ウー? 本当ニ? しらない?」
「知らないって! 隠してないから! 隠す必要も無いんだし!」
「ウゥ〜、ワカッタ……」

有力な情報を得られず肩を落とす犬。
良いぞそのままどうぞどこかへ消えてくれと心の中で恭世は願う。
ところがそう都合良くは問屋は卸してはくれぬ。

「ホテルがある、コハルいるかナ、いってミよー」
「なっ、ちょっと待っ……」

犬はよりにもよって恭世が今から行こうとしていたホテルに向かって行ってしまった。
思わず恭世も引き止めようとしたが、犬はさっさと歩き去ってしまう。
辺りを警戒する様子も全く無く――そう言えば先程自分に話し掛けてきた時もそうだった――捜している少女の事しか頭に無いのだろう。
見た目と喋り方に違わず知能も低いようであった。

それはともかく、犬がホテルに向かった事で行き先を変えようかと思ったが、
あんな汚く頭も悪そうな犬のせいで自分の行動が制限されると言うのは、
流石にプライドが許さず結局当初の予定通りにホテルに向かう事とした。
次にあの犬と対面するならばもう我侭を言わずさっさと始末してしまう事にして。

◆◆◆

廃村を脱したタローは、森を抜けて草原へと到着した。
遠くには海も見えて開放感が有った。
まだ愛する布川小春の姿は見えない。たまたま出会った黒豹の女性に訊いてみたが、手掛かりは得られなかった。
そんな中見付けた大きなホテルにタローは向かう。
布川小春が居ればいいなと思いながら。

このゲームが始まってからと言うもの、タローの考えている事のほとんどは、布川小春を見付けて***したい、
可愛い女の子が居たら***したい、そのような過大な性欲に基づいた物が大半を占めており、深慮など一切無い。
彼は「今自分が殺し合いをさせられている」「だから自分も小春もいつ危険に晒されるか分からない」と言う事をイメージしていなかった。
死と隣り合わせの場所に放り出されていると言う現実を、逃げている訳では無く、認識していない。

良くも悪くも、タローは「いつも通り」なのであった。


【午前/D-2、E-2境界線付近の草原地帯】
【北宇智恭世】
状態:健康
装備:九八式柄付手榴弾(4)
持物:基本支給品一式、小学生用彫刻刀セット
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。もっと武器が欲しい。ホテルに向かう。犬(タロー)は次会ったら始末する。
備考:タローの外見のみ記憶。コハル(布川小春)がタローの知人である事を知った。


【午前/E-2ホテル周辺の草原地帯】
【タロー】
状態:健康
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:コハル(布川小春)と会いたい。交尾したい。ホテルに向かう。
備考:長嶺和歌子、ウラジーミル・コスイギン、北宇智恭世の外見のみ記憶。
0225 ◆84AHk0CknU
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2016/05/08(日) 01:31:35.61ID:yBArDM8u
投下乙です
こんなクッソ汚いの受け入れるとか小春ちゃん変態すぎィ!

自分も早く書かないと
0226 ◆ymCx/I3enU
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2016/05/10(火) 22:07:27.60ID:MZBLhxhE
保守
GW開けて二日連続残業とか(疲れが)出、出ますよ…
0227 ◆ymCx/I3enU
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2016/05/12(木) 22:27:52.40ID:XSrtnQxO
保守
最近昼間アツゥイ!
0228 ◆ymCx/I3enU
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2016/05/14(土) 18:23:58.72ID:A5IDzEbH
保守
更新プログラムきらい
0231 ◆84AHk0CknU
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2016/05/23(月) 05:40:31.01ID:y78QMwGE
保守
ネタは浮かぶのに筆が進まないってこれもう分かんねぇな…
0232 ◆ymCx/I3enU
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2016/05/23(月) 14:00:24.28ID:mFXQlSrB
ようやく出来たんで投下します
0233さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU
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2016/05/23(月) 14:01:21.26ID:mFXQlSrB
34話 さっきまであった人影どこへやら

少女・大木弓那、悪魔獣人女・コンゼノア、そして変態クソギツネの三人組。
身を潜めていた民家(クソギツネのせいで半壊)から出発する準備を始めていた。
クソギツネこと隠塚英紀は――自業自得ではあったが――弓那とコンゼノアの二人による暴行により少しボロボロになっていた。

「クソギツネ、準備はまだ終わんないの?」
「そ、そのクソギツネって言うのやめてよぅ……オ*ニーも済ませたしもう大丈夫」
「こいついつもシコってんな」

弓那にクソギツネ呼ばわりされコンゼノアには呆れられ酷い扱いの英紀。但し先述の通り自業自得である。
それは英紀自身も理解していたしそれに。

「何か服、調達しなくて良いの? 裸じゃ防御力が心配よ」
「そうだよ。せめて下だけでも……」

先程とは打って変わり英紀を気遣う弓那とコンゼノア。
二人は心底から英紀を嫌悪している訳でも無く、その事に英紀も気付いていた。
それ故に多少は反抗すれど酷い扱いを受けても英紀は怒りはしなかった。

「心配してくれてありがとう。でも大丈夫だよ」

英紀は、いやらしい淫靡なものでは無い、純粋な微笑みを浮かべ二人に言う。

「そう……」
「うーん、分かった」

弓那とコンゼノアはそれ以上英紀に服を着るようには言わなかった。
この時の彼女達の心中はと言うと。

(いや服着ろよこの変態淫乱キツネ……チ*コブラブラさせて外歩いて平気とかどんだけだよコイツ!)
(何その拘り!? 何でそんな服着たくないの! そんなに露出がしたいの!?)

弓那、コンゼノア共に英紀の「裸で居たい」と言う意味不明な拘りに呆れ果てていた。
呆れ果ててはいたが彼の鋼の意思も感じ取っておりもうこれ以上着衣の要求をした所で徒労に終わると判断、
表面上は英紀の意思を受け入れて平静であるように装っていた。

◆◆◆

有翼の混血半獣人の女性・ザスキアと淫乱変態犬女の末盛眸美。
しばらく民家の中に留まり、腹ごしらえ等を行っていた。

「私は思うんだがヒトミ。チキンラーメンとお徳用ラーメンは似て非なる物だと」
「ああ、それは何となく分かる気がする」

出会った当初に比べ二人の間の緊張感はやや薄らいでいた。多少の日常会話はこなすようになる。
しかし関係は決して対等では無い事を眸美は理解していた、それ故に不用意な事は言わないように気を付けている。
口を滑らせて失礼な事を言ってザスキアの機嫌を損ねれば命に関わりかねない。
一方のザスキアは別に眸美の一挙手一投足をそこまで念入りに監視していた訳では無いのだが。

「……む」
「え、どうかした?」
「誰か居るな、外に……」
「本当?」
0234さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU
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2016/05/23(月) 14:01:43.83ID:mFXQlSrB
外に気配を感じたザスキアは窓に寄ってカーテンの隙間から外を見る。眸美も続いた。
するとザスキアの言う通り、外の畑地帯の農業用道路を、一人の獣人の少女が歩いているのが見えた。
遠目からもはっきり分かる程、少女は血塗れで、大きな怪我をしていると思われる。
手にはクロスボウを持っていた。

「どうする? ザスキア」
「見た所手負いのようだが……」

少女は遠目から見ても酷い怪我をしている事は明らかで、ならばわざわざ始末しなくてもその内に死に至るだろうとザスキアは考える。
一方の眸美はザスキアがどのような判断を下そうと反論する気は無かったが、負傷し彷徨っている狼少女に、
見ず知らずの存在とは言え少なからず同情の気持ちが有った。

「あいつは放っておいても問題無いだろう」
「そっか……」

放っておく、と言うザスキアの言葉に眸美は内心安堵した。だが。

「あれ、でもザスキア……あの子、こっちに来るっぽいんだけど」
「えっ、来んの?」

少女はふらつきながらもザスキアと眸美の隠れている民家の方へ歩いてくる。
このまま行けば確実に鉢合わせとなる。

「来るか、なら仕方無い。殺そう」
「殺すんだやっぱ……」
「文句が有るのか?」

マルティニ・ヘンリー銃の銃口をちらつかせ眸美を脅すザスキア。眸美は「そう言う訳じゃない」と全力で否定する。

「そうか、文句では無いのなら良いんだ……私が殺る。眸美、事が済むまでお前は隠れていろ」
「はい」

眸美に適当に身を潜めるよう指示し、ザスキアは玄関付近にて少女を待ち構えた。
暫くして、玄関の引き戸のガラス越しに、少女の姿が映る。狼の獣人のようだ。
ガララ、と引き戸が開き狼少女が家の中に入る。

「お邪魔しまーす……誰も、居ない?」

恐る恐ると言った様子で確認する少女。
ザスキアがすぐ近くに居る事には気付いていないようだ。
一気に決めてしまおう――――ザスキアは物陰から飛び出し、マルティニ・ヘンリー銃を狼の少女に向けて構えた。

「あっ……!?」

驚き目を見開く少女。直後、銃声が響いた。

ダァン!!

その銃声を聞いた、別室に隠れている眸美は身体をビクンと震わせる。

(あの子が撃たれた……)

さっきまで生きていた少女はほぼ間違い無く今の銃撃で斃れたであろう。ごめんなさい、どうか恨まないで下さいと眸美は心の中で詫びた。
部屋で体育座りをして、恐らく少女の所持品を漁ってからザスキアが自分に声を掛けるであろうからそれを眸美待っていた。
だが。
0235さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU
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2016/05/23(月) 14:02:19.47ID:mFXQlSrB
「なっ!? お前何で生きて……ぐああ!!」
「え!?」

ザスキアの悲鳴が眸美の耳に届く。
何かが床に倒される音、その直後、酷く鈍い音が響いた。

「がぁ、あ゛! ヤ、メ、ギャッ! ァ! ごぁ、あ゛あ……ア」
「え? え?」

鈍い音が何度も何度も響く。ザスキアの悲鳴が断続的に続いていたがやがて、聞こえなくなってしまった。
ザスキアの声が止んだ後も、暫く鈍い音は響いていたが、やがてそれも止んだ。

「……っ……」

静寂。ただ静寂。
何が起きたのか、眸美は確認しに行く勇気は無い。
ただ、何とか把握出来るのはザスキアが何者かに「やられた」事。

誰に?

(に、逃げなきゃ)

眸美は自分の荷物を持って、震えながら立ち上がる。
今すぐこの場から逃げなければ。そうしなければ自分の身に災いが降り注ぐ。確固たる理由は無いが、本能的に眸美はそう思った。
ザスキアの生死など気にする余裕は全く無い。
逃げなければ。逃げなければ。眸美の心臓は異様な速さで脈打ち始めていた。

「オイ」
「――!!」

背後からドスの利いた少女の声で声を掛けられ、眸美は止まった。そしてゆっくり振り向いた。

胸元に穴が空いた狼の少女が眸美を睨んで立っていた。
その双眸に籠るは殺意と憎悪。彼女の手にはザスキアが持っていた筈のライフルが握られ、ストックの部分が赤く染まっている。
それを見て、眸美はザスキアがどうなったのかを悟る事が出来た。

「仲間?」
「は?」
「おまえ、さっきの女の、仲間?」

「さっきの女」とはザスキアの事に違い無い。
そして彼女はザスキアを明確な殺意を持って手に掛けた――もっとも先に仕掛けたのはザスキアだが――自分は確かにザスキアの仲間と言うか隷属していた。
それを正直に言えば良いのか? 言えば丸く収まるのか――そんな事は有り得ない、と、恐怖で震えながら眸美はどうにか思考回路を巡らせる。
なら取るべき選択肢は一つ。

「ち、違う、よ」

嘘を吐いた。こうしなければ、確実に死の運命が決定してしまうと眸美は踏んだのだ。

「……」

狼少女は黙る。
その沈黙の間が眸美はとても嫌だった。頼むから信じてくれ、殺さないでくれと、内股になり涙を滲ませ、震えて失禁しかけながら、心の中で願い続ける。
そして狼少女は。

「そう……」

肯定の言葉を吐いた。
直後に、床に倒れてしまった。
今度こそ死んだのかと眸美は思ったが、どうやら気絶しているだけのようだ。
0236さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU
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2016/05/23(月) 14:02:49.29ID:mFXQlSrB
「……ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……!」

緊張から開放され、その場にへたり込んでしまう眸美。未だ心臓の鼓動は激しく収まっていない。
今まで絶頂に達した時に心臓の鼓動が急加速した事は幾度も有れど今回のは全く異質。
一歩間違えれば今ここに生きてはいなかった筈。

「に、逃げよう」

もう一刻も早く、狼の少女から離れ、この家からも離れて安全な場所を見付けたかった。
何故狼少女が胸を撃たれ生きているのか、気にはなったが今それを追求するつもりなど全く無い。
もうザスキアの事などどうでも良い、先の狼少女の憎悪と殺意に当てられ、自分の生命を最優先としなければと言う思いで一杯。

自分の荷物を引っ提げて部屋の窓から外に飛び出し、眸美は足早に民家を後にした。

ほんの少しだけ尿が漏れ出していた事には眸美は気付いていなかった。

◆◆◆

銃声がどこかから響く。もっともこの殺し合いが始まってからどこかから銃声が響くなど当たり前の事なので三人共別に驚きもしない。
ただ今の銃声は比較的近くから鳴り響いたようであった。

「今の銃声、ちょっと近くなかった?」
「近かったような気がする……」
「近くで戦闘でも起きたのかな……?」

銃声についてそれぞれコメントする弓那、コンゼノア、英紀。
近隣で戦闘が起きている可能性も有る為、辺りに注意しつつ進む。
そしてとある民家の前を通りかかった時、三人はその民家の玄関が開けっ放しになっている事に気付いた。
気になる物が有った為、三人はその民家へと入って行く。
そして玄関先にて、頭部を何度も殴打されて惨殺された有翼の半獣人の女性の死体が転がっているのを見付ける。
濃密な血の臭いが漂っていた。

「うっぷ」

その血の臭いに耐え切れず吐き気を催す英紀。
弓那とコンゼノアは吐き気を催すには至らなかったものの酷い殺され方をした死体に気分を悪くする。

「殴り殺されたのね、酷い……」
「まだ殺されてからそう時間は経って無いみたい……さっきの銃声と関係が有るのかな?」

気の毒に思うコンゼノアの傍で弓那は死体がまだ殺されて間も無い様子である事から先程の銃声との関連性を推測する。
血の跡が点々と続いていたとある部屋に移動するともう一人倒れていた。
弓那とは違う学校の制服に身を包んだ狼の少女。こちらも血塗れで、胸元と首に傷が有り特に胸元が酷い損傷具合であったがまだ息は有り気絶しているだけのようだった。
彼女の傍にはストックが血塗れのライフルらしき物が落ちている。

「う、うう……」
「あ、気が付いた?」

狼の少女が意識を取り戻す。

「私は……ああ、そうだ、また……て、あれ? 貴方達は……」
「安心して。私達は殺し合う気は全く無いから。酷い怪我だけど、喋っても平気?」
「痛……うん、痛いけど何とかね。傷も暫くすれば治るから……」
「そうは言っても手当てが必要ね、コンゼノア。何か手当て出来る物、探してきてくれる?」
「分かった」
「英紀は見張りお願い」
「オーケー」
0237さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU
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2016/05/23(月) 14:04:26.74ID:mFXQlSrB
弓那の指示を受け自分の仕事をするコンゼノアと英紀。

「私、大木弓那。ちょっとずつで良いから何が有ったのか聞かせて貰えるかな? ええと……」
「藤堂リフィア。分かったわ……大木さん」
「弓那で良いよ」
「そっか……私も、リフィアで良いよ」

リフィアを手当てすると共に、弓那はここで何が起きたのか話を聞く事にした。

◆◆◆

謎の砲撃を受けながらも奇跡的に軽傷で済んだ黒狐女憲兵山津有岐。
半壊し最早身を潜めるのには適さなくなった民家を出発し田園地帯を歩いていた。

(誰か、居る……)

前方数百メートル程先に、有岐は三人の参加者を発見する。
赤っぽいブレザーを着た黒髪の少女、露出の多いボンテージ風の格好をした兎のような獣人の女性、そして何故かほぼ全裸の狐の男性。
何故狐は全裸なのかは一先ず置いておき、有岐が注目したのは狐の持っているロケット砲らしき物。
旧ソ連製のRPG-7と思われた。

(さっきの砲撃はまさか……)

先程自分を襲った砲撃は狐の男の手による物では無いかと有岐は疑う。
あのような代物がそう大勢に支給されているとも考えにくく、あの狐の男は自分が隠れていて尚且つ砲撃された民家からそう離れていない場所に居た。
可能性は高い、と有岐は見る。自分があの民家に隠れていた事を分かっていたのかそれとも否なのかは分からないが。

(私を砲撃したのはあの狐の男、ほぼ間違い無い……別に違うとしても、あんな物騒な代物持っている奴は、早めに潰しておくのが無難よね)

狐の男を砲撃の下手人と断定し――実際それは正しいのだが――有岐は狐の男を含む三人を尾行し始める。
少女と女性には恨みは無いが、有岐の最終目標である優勝狙いの性質上、見逃すつもりは無かった。
例え狐の男が砲撃の犯人で無かったとしても、それならば通常の索敵として男を含む三人を標的にするつもりであった。

途中、銃声がどこかから響いた。
比較的近くからだったが、目に見える範囲での銃撃では無かったようで、一旦動きを止めた三人も有岐もすぐに行動を再開する。

三人はとある民家の中へと入って行った。
門柱付近で有岐は一度止まり、思考する。
一度に三人を相手にするのは厳しいが狭い室内で一人ずつ潰していけばこちらにも分が有る。

(なら裏口から……)

有岐は裏口が有ると思われる場所へ慎重に回り込む。

◆◆◆

「うーん、救急箱とか無いかな……」

弓那に言われた通り、狼少女を手当てする為の道具を探すコンゼノア。

「以外と見付からないもんね……最悪布を鋏で切って包帯の代わりにするしか……ん?」

コンゼノアは背後に人の気配を感じた。
弓那か? 英紀か?
少なくとも彼女はその二人のどちらかであると思っていた。
そして振り向く。
0238さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU
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2016/05/23(月) 14:05:52.76ID:mFXQlSrB
コンゼノアの胸元に刀身が突き刺さる。
身体を貫通し、背中から血塗れの刃が飛び出した。

「……がはっ……だ、誰……」

吐血しながら誰何するコンゼノア。
見知らぬ黒狐の女性だった。黒い制服に身を包み、左腕には白い腕章。そこには赤い文字で「憲兵 -MP-」と書かれていた。

「貴方に、恨みは無いけどね、ごめん」

黒狐女性はそれだけ言うと、コンゼノアの身体から刃を引き抜き、次の瞬間、刀を薙いで、コンゼノアの首を斬り飛ばした。
宙を舞い、畳の上に転がるコンゼノアの首。血飛沫は天井まで汚し、首を失ったコンゼノアの肉体は崩れ落ちた。

(……こんなあっさり……終わるなんて……弓那……英紀……逃げ……て……)

微かに残り、そして消えて行く意識の中、コンゼノアは仲間二人の身を案じた。

◆◆◆

リフィアから一通りの経緯を聞く弓那。

「かなり壮絶ね……その半裸の犬の女ってのは、多分逃げたんじゃない? 私達が来た時にはそんなの居なかったし」
「そう……でも、逃げてくれて良かったかも……勢いで殺してしまいそうだったから……」
「貴方、不死体質?」
「うん、で、復活すると一時的に凄く凶暴になっちゃうの。いや、それでも人を殺して良いなんて理由にはならないってのは分かってるんだけど……」
「責めるつもりなんか全然無いから大丈夫よ。こんな状況だし、そもそも殺した二人が先に仕掛けてきたんだから」
「あ、ありがとう……」

罪悪感を感じるリフィアを弓那は気遣った。
リフィアも「人殺し」と罵られ拒絶されるのではと恐れていたが、そうはならず安堵した。

「私も英紀もコンゼノアも殺し合いには乗ってないから。何なら仲間にならない?」
「良いの?」
「全然。それじゃ宜しく……にしても、コンゼノアまだかな」

手当ての道具を探しに行かせたコンゼノアの帰りが遅い事に弓那は不審がった。
それ程広くは無いこの民家でそこまで探すのに時間が掛かるのだろうかと。
一方、見張りを命ぜられた英紀は玄関先でその任に着いていた。有翼女性の死体が気になったが片付けるのも億劫だったので我慢する。

「正面だけ見張ってても見張りとして成立しないと思うけど……僕一人じゃこれが精一杯だよね……精が一杯……いやらしい」

下らない独り言を言いながら見張りを続けていた。
すると、廊下の曲がり角の向こうから足音が近付いてくるのが聞こえた。
コンゼノアが戻ってきたのかと英紀は思い、声を掛ける。

「コンゼノア?」

だが返事は無く、代わりに曲がり角から足音の主が姿を現した。
それはコンゼノアでは無く、黒い憲兵の制服を着た黒狐の若い女性。右手には刀を、左手にはコンゼノアが持っていた筈のサブマシンガンが握られている。
制服は何やら汚れてボロボロになっていた。

「!? 誰!?」
「どうしたの英紀……え? だ、誰よ貴方!?」

見知らぬ人物の登場に驚く英紀と、英紀の声を聞き部屋から顔を出した弓那の二人が揃って狐女性に誰何する。
リフィアもまた弓那同様部屋から顔を出して、その狐女憲兵を確認した。
0239 ◆ymCx/I3enU
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2016/05/23(月) 14:07:28.72ID:mFXQlSrB
連投規制かかりそうなのでここで一度止めます
今日夜勤なので帰ってきてから続きをば(深夜1時以降)

投下したい方居れば投下して頂いて結構です
0241さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU
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2016/05/24(火) 03:18:13.34ID:Hb7yWbhy
「その銃はコンゼノアの……どうして持ってる!? まさか……」
「彼女は殺した」
「!」

コンゼノアを殺したと言う狐女憲兵。刀には、恐らく拭き残しと思われる血糊が僅かに付着し、彼女の顔や、衣服にも血飛沫の跡が見て取れた。
淡々とした口調からも、虚言では無い事は明らか。

「よくも……!」

珍しく怒りを露にする英紀。それに対し狐女憲兵は尚も淡々とした口調で述べる。

「英紀、さん? って言うの。貴方に聞きたいのだけど」
「え?」
「私、とある民家に隠れていたら、どこかから砲撃されて死にかけたの」
「……」

それを聞いた途端、英紀と弓那が硬直する。何の事か分からぬリフィアは二人の様子に少し困惑した。
狐女憲兵が見舞われた砲撃は、十中八九先刻の英紀のRPG-7暴発による物であろう。
彼女は自分を死に至らしめかねない事をしてくれた砲撃の主に復讐しようとしていてその砲撃犯として英紀を疑っているのだ。
実際、砲撃は、故意では無いにしろ英紀の手による物だった。それは揺るぎ無い事実である。
だがそれを正直に言えば、間違い無く英紀の命運は尽きるであろう。

「心当たりは、無い? 英紀さん」
「……あ、あー……」

答えに窮する英紀。
確かに被害をもたらしてしまった事は申し訳無く思ったが、まだ死にたくは無い。
何とかこの場を穏便に切り抜けられる方法を、普段淫らな事しか考えないその脳みそで必死に彼は考えた。

「憲兵さんその人です」
「……ふぁ?」

突如聞こえた弓那の台詞が余りにも信じ難い物だったので変な声が出てしまった。
英紀は弓那とリフィアの方に向き直る。二人はとても無感情な目をしていた。

「憲兵さんを殺しかけたのはその変態クソギツネです」
「……ちょ、弓那」
「ごめんね英紀。短い間だったけどありがとうさようなら」
「貴方の犠牲を無駄にはしませんから」

それだけ言い残して弓那とリフィアは部屋に引っ込み、程無くして遠ざかって行く足音が聞こえた。

無言でサブマシンガンを構える狐女憲兵。

「……違うんです、違うの、わざとやったんじゃないんです、ちょっと、持ってみたらうっかり引き金引いちゃって、
決して貴方の事を殺そうとした訳じゃないんです、ですからどうかどうか、話せば、話せば分か――――」
「問答は無用と存じます」

ダダダダダダッ、とサブマシンガンが火を噴いて、英紀の身体を穴だらけにした。
白と黄色の毛並みが赤く染まり、口から大量の血が溢れ、英紀は壁にもたれそのまま崩れ落ちる。
せめて一回位掘られたかったな、そして見捨てるなんて酷すぎるけどどうか弓那ともう一人、確かリフィアだったけ、二人共生き残ってくれ――――。
遠のく意識の中、英紀は死ぬ前に一度もまぐわいを行えなかった事への無念を噛み締めると共に、
自分を人身御供にして逃げて行った二人へ恨むような事もせず、その行き先に幸運多からん事を祈った。

一方の弓那とリフィアは窓から飛び出し家の敷地を出ると農作業用の道路を走った。
リフィアは重傷であったが、走れる位には治癒していた。ご都合主義とか言わない。
0242さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU
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2016/05/24(火) 03:18:53.78ID:Hb7yWbhy
「とにかく離れよう。英紀の犠牲を無駄にしちゃ駄目。あとコンゼノアも」
「生きねば!」

コンゼノアはともかく英紀を人身御供にしておいて実に都合の良い事を言う二人であった。

そして取り敢えず復讐を完遂した狐女憲兵――山津有岐。
他の二人には逃げられたようだが、現時点では気にする必要も有るまい。
それにしてもこの男は何故全裸なのだろうかと有岐は思ったが本人を殺してしまった以上もう理由は聞けないしそこまで徹底的に追求するつもりも無い。
自分を殺しかけたロケット砲、RPG-7と予備の弾薬、及び玄関に転がっていた女性の死体を漁り弾薬と、
恐らくそれに対応すると思われるストックが血塗れになった旧式の単発ライフルを入手する。
一気に増えた武装をデイパックに詰め込んで行く。改めてデイパックの構造の特異性を有岐は思い知らされた。
いくら物を入れても満杯にならず重さも一定、まるでどこかの猫型ロボットのポケットのようだと。

「一体どういう仕組みなんだろうこのデイパック……まあ、良いか……一先ず、復讐は終わったから……これからどうしよう」

まとめた荷物を持ち、玄関を出て家の正門へと向かいながら有岐はこれからの行動を思案する。

◆◆◆

一人となった眸美は畑地帯と市街地を隔てる林の中に有る古いトタン板の倉庫の中に隠れていた。
体育座りの体勢で震えている。剥き出しの尻に、苔生した土の地面はとてもひんやりとして気持ち悪いが気にして居られない。
恐ろしい物を見てしまったと眸美は先刻、ザスキアを殺したあの狼少女の事を思い浮かべる。
明らかに致命傷と思われる酷い傷を負わされていたのに身動きが取れていたあの子は一体何者だろうか。
思い出すだけで背筋に悪寒が走るあの凄まじいまでの憎悪と憤怒を湛えた双眸は当分いや恐らく一生忘れる事は出来まい。

「もう、あの子には会いたくない……」

願わくば、あの狼少女には二度と出会わぬ事を眸美は切に願った。
その後、気を紛らわせようと思い、秘部をまさぐり自分を慰めようとしたが今ひとつ気が乗り切れず、すぐ断念して大人しくじっとしていた。


【ザスキア・フェルカー  死亡】
【コンゼノア  死亡】
【隠塚英紀  死亡】
【残り37人】
0243さっきまであった人影どこへやら ◆ymCx/I3enU
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2016/05/24(火) 03:19:22.85ID:Hb7yWbhy
【午前/C-6畑地帯野田家周辺】
【大木弓那】
状態:健康
装備:特殊警棒
持物:基本支給品一式
現状:殺し合う気は無い。黒牙の捜索。リフィアと一緒にどこか安全そうな所を目指す。
備考:レカ、山津有岐の容姿のみ記憶、危険人物と判断。
また藤堂リフィアより布川小春と末盛眸美(名前未確認)の情報を得る。

【藤堂リフィア】
状態:首に矢傷(治りかけ)、胸元に貫通銃創(命に別状無し)、少しだけ貧血気味、血塗れ
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品、競技用クロスボウ(0/1)、クロスボウの矢(9)
現状:殺し合いには乗らない。但し襲われたらそれなりに対処はする。弓那と一緒にどこか安全そうな所を目指す。
備考:布川小春の事が少し心配。山津有岐の容姿のみ記憶、危険人物と判断。末盛眸美の容姿のみ記憶。こちらは今の所保留。


【午前/C-5、C-6境界線付近の林の中に有るバラック倉庫】
【末盛眸美】
状態:疲労(中)、精神的ショック(中)、少し失禁
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:殺し合いはしたくない。死にたくない。
備考:藤堂リフィア(名前未確認)を危険人物と判断。もう二度と会いたく無いと思っている。


【午前/C-6畑地帯野田家】
【山津有岐】
状態:身体のあちこちに裂傷と軽い火傷、服が部分的に焦げている、返り血(少)
装備:直刀
持物:基本支給品一式、IMIミニウージー(12/32)、ミニウージーのマガジン(5)、マルティニ・ヘンリー銃(0/1、ストック血塗れ)、
.577/450マルティニ・ヘンリー弾(10)、USSR RPG-7(1/1)、85mmロケット弾(2)
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。これからどうする?
備考:大木弓那、藤堂リフィアの容姿のみ記憶。今の所二人を追うつもりは無い。
0244 ◆ymCx/I3enU
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2016/05/24(火) 03:20:58.50ID:Hb7yWbhy
投下終了です
クソ長くなった、はっきり分かんだね
しかしこんなペースじゃいつ終わるか分からんなぁ
0247POWER&GLORY ◆ymCx/I3enU
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2016/05/27(金) 13:22:54.29ID:ovDgSigW
35話 POWER&GLORY

「むぅ」

ホテル一階廊下に有る姿見で、松宮深澄は自分の首にはめられた首輪を観察していた。
非常に高度な技術で作られているのは分かるが、やはり分解でもして中身を見ない事には首輪が外せそうかどうかは分からない。
色々と推論してみてもやはり「首輪のサンプル」を入手しなければどうにもならないと深澄は思う。

「……伊藤と本庄は、乳繰り合いでもしてるんだろうか」

一方の深澄の同行者となっていた竜人少年本庄忠朝とバニーガール伊藤文子は深澄の予想通りホテル一階のラウンジにて乳繰り合っていた。

「ハァハァ、忠朝君もう私我慢出来ない……お願い、ね?」
「でもこんな所で……ラウンジでなんて……恥ずかしい」
「誰も居ないから大丈夫よ……松宮さんも離れてるしぃ……ハァハァ……」

息を荒くして顔を赤らめながらズボンの上から忠朝の隆起した股間をさする文子。
忠朝もまた文子の胸元の衣装を肌蹴させて柔らかい乳房を揉む。
本気で事に及ぶのも時間の問題と思われていた。だが闖入者が現れる。
ラウンジの外の庭へ続く扉が開き、薄汚れた巨躯の犬が入ってきた。
涎を垂らし、息を荒くし、焦点の定まらない目を、金髪のバニーガールに向ける。
オス犬――タローはホテルに近付いた時、微かに人間の女の発情したニオイを嗅ぎ付け、それを辿って来たのだ。

「おんなの、この、×××のニオイぃ……ハッハッハッハッ」
「えっ……誰……うあ!?」
「どうしたの忠朝君……ひっ!? 何この犬! いつの間に?」

突然現れた汚いオス犬に驚く二人。とにかく汚く毛皮もボサボサで少し離れていても分かる程の異臭を放っていた。
そして股間にぶら下がる、恐らく何らかの病気を抱えているのであろうイボだらけの逸物にも気付き二人共嫌悪感が増す。

「うさぎのねーちゃんん、ヤろぉ!!」
「え、私!? い、嫌だ!」

タローは文子に狙いを定め飛びかかろうとする。
拒絶する文子。この汚い犬に犯されるような事になれば確実に何らかの病気を移されてしまう。
それ以前に忠朝以外の男やオスに犯されるなど断固として拒否すべき事。

「おいやめろ! 伊藤さんに手を出すな!」

忠朝が文子の前に躍り出て彼女を庇う。先程までの快感に蕩けていた表情とは打って変わって大切な女性を守ろうとする少年の顔になっていた。

「ジャマスンナ!!」
「おふっ」

しかしあっさりタローの体当たりを食らい気絶させられてしまう。
いかんせん彼は弱かった。

「忠朝君! ああん弱過ぎるよぉ……って、嫌ああ! 松宮さーん! 松宮さーん助けてぇ!」
「はうぅウ、良いニオイ〜」
「ぎゃあああああ! 病気になるから駄目〜!」

自分にのしかかろうとするオス犬を涙目になりながら文子は必死に振り払おうとしたがオス犬の方が力が強い。
ビリビリと衣装を破かれほとんど裸にされた挙句、後ろからホールドされ万事休すに。

「だ、駄目っ、あ、ああーーーーーーー! あああーーーーー!」

ラウンジに悲痛な叫びが響き、その後犬の荒い息遣いと女の喘ぎと嗚咽の混じった声が聞こえるようになった。

悲鳴を聞き付けた深澄が到着した時にはもう、事は終わっており、満足そうな表情を浮かべたタローは瘤の膨らみ切ったそれを文子から引き抜いて後始末し、
文子は四つん這いでそこから黄ばんだ犬汁を垂れながしながらさめざめと泣いていた。そして忠朝はまだ伸びたままであった。
0248POWER&GLORY ◆ymCx/I3enU
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2016/05/27(金) 13:23:36.15ID:ovDgSigW
「あー、大丈夫か伊藤」
「全然……臭いし汚いし……忠朝君以外嫌なのに……イっちゃった……って言うか、病気になっちゃった……絶対……うっ、うっ」
「取り敢えず、身体を洗った方が良い……お前は何なんだ」

異臭に鼻を塞ぎながら深澄はタローに誰何する。

「俺、タロー……ハッハッ、俺ね……」

タローが深澄に自分の名前を述べて捜している小春の事を聞こうとした辺り。
何かが床にバウンドして忠朝の腹の上に落ちた。その衝撃で忠朝はようやく気絶から目を覚ます。だが数秒後、彼の意識は閃光と爆音と共に再び途絶える。
そして二度と目覚める事は無かった。

大爆発がラウンジを破壊する。
ガラスは粉々に砕け天井板が剥がれ落ち、テーブルや椅子、ソファーが吹き飛ばされた。
爆心地の忠朝は悲鳴を上げる間も無く四散し肉片となり、すぐ傍に居た文子も身体の半分以上をミンチに転じ即死した。
深澄とタローはどうなったか? 結論から言うと二人共辛うじて難を逃れた。

「ぐぅ……」
「イってェ……」

軽傷と、爆音で一時的に聴力が低下しつつも、爆心地から離れた所で起き上がる二人。
深澄は忠朝の腹の上に落ちた物が何であるかをすぐに理解し回避行動を取った。
タローもまた本能的に危険を感じ取り忠朝から離れたのだ。

「手榴弾か……? 誰が……いや、それより逃げるべきだな」

誰の仕業か分からないが明確な殺意を持っている事は明らかだ。手榴弾相手では分が悪く今現在の自分は戦うには危険である。
逃げるべきだと判断し動こうとした深澄の視界に有る物が映る。

「あれは」

それは血塗れの首輪。恐らく忠朝の物であろう。
身体が爆発でバラバラになり首輪が外れたらしかった。
またと無い好機と見た深澄はその首輪を掴み取り、傷の痛みを堪えながら出口へと走った。
その背中をタローも追い掛けて行った。
深澄を犯そうなどと思った訳では無く、逃げようとしたら深澄が逃げて行くのが見えたので何となく後を追ったと言うだけであった。

◆◆◆

爆撃を行った張本人、黒豹の女性北宇智恭世。煙が収まるのを待ってから爆心地に足を運ぶ。

「うわっ……」

先刻一人を爆殺した時と同様、天井板や床材、調度品の残骸等に混じり血糊と肉片が飛び散っている。
それら肉片は狙った四人の内の一人の竜人少年の成れの果てであろう。
もう一人、ホテル周辺で出会ったあの汚いオス犬に哀れにも強姦されていた様子の金髪のバニーガールもまた、竜人少年に比較すればまだ原型を留めていたが、
身体の半分以上はミンチとなって内臓が飛び散る有様。内臓特有の異臭が鼻を突き、恭世は顔を顰める。
二人の物と思われる、外側だけボロボロになったデイパックを拾い上げ、恭世は一度ラウンジから出た。
他の二人、女憲兵とオス犬は逃げたらしい。だが二人仕留められただけでも十分。

「死んだ二人の持物は……何これ、モンキーレンチに麻酔薬? あんま良いの持ってないわね……」

殺した二人からは大した戦利品は得られず不満顔の恭世。
仕方無しと諦めてモンキーレンチと麻酔薬を自分のデイパックに突っ込んだ。

最初に一人を殺した時と比較しても、明らかに殺人への抵抗感は薄くなっていた。

◆◆◆
0249POWER&GLORY ◆ymCx/I3enU
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2016/05/27(金) 13:24:10.49ID:ovDgSigW
ホテルから離れた深澄。
折角得た仲間を二人共失う羽目になったが、首輪のサンプルを入手出来た事は不幸中の幸いと言うべきか。
ただ、些か厄介な事になっていた。
ホテルで文子を犯した汚いオス犬のタローが何故かついてきていた。

「お前どうしてついてくる?」
「何となく〜」

タローはと言うと、特に理由も無く深澄についてきていただけだった。
だが、深澄が取り敢えず市街地を目指そうとしているのに対し、どうもタローも同様に市街地に行こうとしているようだった。
深澄はすぐにでも追い払いたかったが、うっかりタローの身体に触れてしまうのを恐れ出来ない。それ程までにタローの身体は触るのが憚られる汚さ。

「余り私に近付くな。妙な真似をしたら殺すぞ」
「アンタは、何かヤる気が起こらなイよぅ」
「……」

先程の文子への仕打ちから自分を性的に襲うつもりでは無いかと深澄はタローに対し警戒し威圧していたが、
タローはそのような気は彼にしては珍しく全く無い。深澄もまた文子並に美女なのであるが、どうにもタローの食指は動かなかった。
取り敢えず今現在、タローは自分をどうこうする気は無いらしいと深澄は判断し、臭いさえ我慢すればさして邪魔にもならないであろうから放置する事にする。

「……行くか……言っておくが何が有ってもお前を助けたりはしない」
「うぅーきらわれてるぅ」

深澄とタローは共に市街地を目指す事となった。

(しかし「ヤる気が起こらない」とは私には女としての魅力が無いと言う事か……? いや、何考えてるんだ……私……)

心の中でタローが自分に言った一言が少し気になってしまっている割と乙女な深澄であった。


【本庄忠朝  死亡】
【伊藤文子  死亡】
【残り35人】


【午前/E-2ホテルへの道路】
【松宮深澄】
状態:身体中に軽い裂傷及び軽いダメージ、一時的に聴力低下(回復中)
装備:サバイバルナイフ
持物:基本支給品一式、本庄忠朝の首輪
現状:殺し合いからの脱出手段を探す。首輪を解析したい。タローには警戒。
備考:伊藤文子と本庄忠朝には山津有岐と言う部下がこの殺し合いに呼ばれている事しか話していない。
爆撃の犯人(北宇智恭世)の姿は把握していない。

【タロー】
状態:身体中に軽い裂傷及び軽いダメージ、一時的に聴力低下(回復中)
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:コハル(布川小春)と会いたい。もっと交尾したい。女憲兵(松宮深澄)と一緒に行く。
備考:長嶺和歌子、ウラジーミル・コスイギン、北宇智恭世の外見のみ記憶。
爆撃の犯人(北宇智恭世)の姿は把握していない。松宮深澄には欲情しない(出来ない?)様子。


【午前/E-2ホテル一階】
【北宇智恭世】
状態:健康
装備:九八式柄付手榴弾(3)
持物:基本支給品一式、小学生用彫刻刀セット、モンキーレンチ、麻酔薬
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。もっと武器が欲しい。犬(タロー)は次会ったら始末する。 これからどうしようか……。
備考:タロー、松宮深澄の外見のみ記憶。コハル(布川小春)がタローの知人である事を知った。
0250 ◆ymCx/I3enU
垢版 |
2016/05/27(金) 13:25:01.12ID:ovDgSigW
投下終了です
どんどん脱落させて行くよ!
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