獣人総合スレ 11もふもふ
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
少女の消えそうな声を掻き消すようにルイカは『キンギョソウ』の種の袋を奪い、乱暴にレジ済みのテープを貼った。
「デモデモダッテ?そんなオトナになるなっ」
「ひっ!」
「持ってけ。ルル姉いないから内緒だっ」
「で……」
言うまでもなく、少女の言葉は「でも」だ。だが、ルイカを信頼するように少女は言葉を飲み込んだ。
花の種を手に入れた少女は、自分の周りに一足早く花咲かせながら店を後にした。
それを確認したルイカはそっと自分の財布から硬貨を取り出してレジに忍び込ませた。
#
連休が過ぎ、日常が戻る。
ルイカも勤労少年の日々を忘れ去りたい思い出にすることが出来てほっと胸を撫で下ろしていた。
廊下から窓を覗いて風に当たる。こんなしあわせなことが花屋では出来ないなんて。
校庭に咲くちいさな花々。金の匂いを沸き立たせずに眺めることが出来るなんて。
「たりー……」
悪態をついてくるりと回れ右。ポケットに手を突っ込むのは癖だからあまりいちゃモンつけるなよ、とルイカは一歩足を出すと
その足にちいさなウサギの少女がつまづいた。ばさっと大きな音を立てて、抱えていた数冊の本をあたりに撒き散らす。
ころりころげたウサギの子。
じっと待っていたんじゃないけれど、ウサギが一羽ころげて木の根っこ。
「ったく!おれ、こんな面倒、お断りなんだけどなー」
膝を押えて、涙目ながら顔を上げた顔に見覚えは無いか。
「あ……」
連休の日に花の種を買いに来た少女だ。ワンピースではなく制服とスクールベストに身を包んだ、古風な昭和の香りただようJKだ。
おどおどとした態度、涙溢れだしそうな瞳。忘れたくても忘れられないウサギの娘との再会にルイカは口元を震わせていた。
世話を焼くことが苦手なルイカは散らばった本を拾ってやると、はさんである栞に目を奪われた。
栞……ではない。小さな紙袋、上部が切り取られて微かに土の香りがする。 『キンギョソウ』の花の種。
乱暴に貼られたレジ済みのテープも端っこがめくれかけていた。
「気をつけろよ。お前が怪我したら、花の世話するヤツいねーだろ」
紙袋の栞をはさんだ本を心底大事そうに抱きしめて、ウサギの少女は慇懃にルイカにお辞儀をしていた。
ふと、がらっと窓が響く音がする。
「おーい、ルイカ。笹野をいじめるんじゃねーぞ」
「いじめてねーし」
教室の窓から廊下に顔出したネコの男がくたびれた顔で割って入ってきた。野次馬なら人参くわえて失せろと、
一矢報いたいけど、相手はネコだ。しかも教師だし。古文教師の帆崎だった。
「笹野は筆、進んでるのか」
「ひゃっ。あの……あの、帆崎せんせ……」
何もそんな話をルイカの前で……と言いげに、笹野と呼ばれたウサギの少女は耳を伏せたい気持ちで目を丸くした。
「ザッキー、まじ鬼畜。怯えてんじゃん」
「笹野はいつも通りだ。外道からにゃ言われたくないな」
「だから、いじめてねーし」
「この前書いたヤツ、面白かったぞ。やっぱり美女と野獣は永遠の鉄板だな。美女の大胆さと野獣の繊細さのコントラストが絶妙だ」
ルイカは思い出した。
ルル姉の寝不足の理由。
窓枠から乗り出した帆崎は紙袋の栞がはさまった本を笹野から引ったくると、栞がはさまれたページを開いた。
本とともに育ったから、本の扱いは慣れている感じだと言わんばかり。
「新作も早く仕上げないと、キンギョソウが咲いてしまうぞ。おれは待てても花は待たんからな」
「……で」
ルイカが笹野をちらと一瞥。
笹野が言わんとする一言を察したのだ。
「花はいつも前向きだ。後ろ向きの花をおれは見たことないな」
「……あの」
「しかし、いい花選んだな。待ってるぞ」
「あの……あの」
笹野はルイカがいてくれたからちょっぴり自信がついた。
しかし、笹野はその事実さえも否定するかもしれない。本をぎゅうっと抱きしめるて場を濁す。
「デモデモダッテ」は口にはしないけど、それだけでも御の字だ。
ルイカがよそ見ををしている隙に。
「はいっ」
笹野は心地の良い身震いをしていた。
おしまい。 動画添附禁止 裁判 遠隔キンピラ 詐称 ハウスアメリカNHK
動画添附禁止 裁判 遠隔キンピラ 詐称 ハウスアメリカNHK
動画添附禁止 裁判 遠隔キンピラ 詐称 ハウスアメリカNHK 白先生、運動会の季節ですよ。
着替え後の教室に忍び込んじゃダメですよ。 むしろ一緒に着替える。というわけでジャージBBA誰かはよ ,ィ廴  ̄`゙''ー‐--、__ ヽ \ \
`、 \ `丶 〉 \ ヽ、
`、 \ _,.-‐''"´ ̄ ,イヽ、丶、〉 ヽ、
\ ヽヽ _,.-''" , ', イ"',, ヽ
丶、ヾ, イ \
/ ///\ ヽ、 丶
/ {{,,//-  ̄ \ ', ヽ
||=,/ 二ニ .ヽ、 〉 }
| ,/ 三彡 ̄ ̄ ', / |
| i| 三彡 ,. ニ== .! / |
| ! l ` -―--、,,___ ! 〉 〉 / ',
ヽ /王ミ i゙ | } ! ! ! /! \
., -‐ て7 }´~~ `}===゙、 | | | ! ! / /、 \ \
, - ‐ ゙ | 丶__ // !/ ///!/ ヘヽ、 ヽ \ ゞ
{.~ 丶 ノ ヽ |/,ノ \\ ゝ \ヾ/
 ̄` -、 r ┴- .―´ i___ __}  ̄ \ /
- _ ` -、_/ }--、_ ,.´ { { { { \ , -‐¨ ̄ ̄`ヽ、 /
`ヽ ___ } {/ 川川川川川川 / 丶/
丶 てヽ{ ヽ {{{ { 彡{゙´ / で 用 言 ま 丶 /
__ ` } - ,.ノ 丶 /. す .意 い ず i /
~~ / ヽ __/. よ す 出 は i /
/ ヽ `l : .る .し. i/
. r ´ ヽ l ? べ っ i
..{. ヽ l き ぺ /
.| ヽ 丶. が /
.i 丶 丶 / まるで(いろいろと)成長していない。
ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/804/shiro_sukumizu.jpg BBAだってスク水着たいし。
一緒にプール入りたいし。 >>173
>>174
「よもぎもち」「よもぎもち」って考えていたら、なぜかチェンジしていた…。
だけど、書いちゃった。
投下します。 いつもは本ばかり読んでいるヤツが、こともあろうに市民プールにいる。
それだけで、なぜにそこにいる理由を聞きたい欲がもくもくと湧く。
インクの代わりに塩素のにおいがつんと鼻をつき、乾き切らない髪の毛はダウンライトに照らされてきらりと光る。
100パー文学少年を地でゆく犬上ヒカルが、じゃばじゃばとバタ足している姿を想像すると、なんとなくおかしく感じてしまう。
夏の青空の装いに包まれた因幡リオは素直にそんな内容の言葉をヒカルに伝えた。
「ぼくだって、泳ぎにぐらい行くよ」
「まじ?犬上って、休みの日は部屋か図書館にヒッキーなイメージだし」
お互い私服姿をさらすのは、よそよそしさでどこかくすぐったい。
誰に見せるためのもんではないが、ワンピース姿のリオは自分の太ももをヒカルにさらすことに抵抗はなかった。
家には弟がいるリオにとっては、同級生の男子などは年下以下の子供扱いだ。一方、一人っ子のヒカルは、同級生のリオでさえも
おしゃれの霧に塗れた、光輝く、色のにおいたつ、ませた一人のレディに見えてきた。
女子高生に人気のブランドもののバッグを肩にかけたリオが、自分のサンダルをロッカーに仕舞う後ろ姿さえも、
ヒカルには背伸びしても届くことのない、高嶺の花咲く女性を意識させるものだった。
「今、すいてる?」
「うん。でも小学生たちが来るかも」
「まじ?そうなの?やばいじゃん。ってか、知ってるの?」
「この時間はね」
時計の針は午前のまま。
良い子で真面目な、まー子の時間。
「むー」
おしゃれいっぱいなリオは唇をかみ締めた。
市民プールの受付は清々しい空気が淀むことなく行き交う。
職員とすれ違うたびに、体育会系の挨拶が飛び交うからだ。
「こんにちはー!」
「お疲れ様ー!」
にこやかな笑顔が厭味なぐらいに爽やかだ。
そういえば、同じ市の施設である図書館とはえらい違いだと、ヒカルはここにくるたびに戸惑いを感じていた。
ヒカルは職員たちの目を避けるように、玄関脇のロビーの椅子に腰をかけた。ずんと疲れが腰に落ちる。
なのに、ヒカルはスポーツバッグから一冊のハードカバーの本を出し、栞のページまでたどっていた。
ぴかぴかの女子丸出しな財布を片手に、リオはヒカルの行動に義務感溢れるツッコミを浴びせた。が。 「続き、気になるし」
と、あっさりしたヒカルの答えにリオは納得がいかなかった。
誰だって、響かぬ太鼓など興味はナッシング。
「そういえば。表にわらび餅屋さん……いたよね」
自転車で荷台を引いた移動販売のわらび餅屋。
市民プール前に夏季はちょくちょく現れるらしい。
涼しげな装飾に、何故か萌えボイスの売り子の声が痛々しくも微笑ましい。
本とリオの財布にヒカルは目を移し、売り子の声に耳傾けて、夏の始まりを五感で受け止める。
「これからボディに磨きをかけて、女子力アップをたくらむわたしを誘ってる?」
「いや、ああいう売りに来たわらび餅って、コンビニのよりも美味しいし」
「おごれっ」
予期せぬリオのむちゃなツッコミにヒカルは目を背けてささやかな抵抗を見せた。
#
ヒカルの予想通りプールは空いていた。
だだっ広い市民プールは夏の香りが漂う。高い天井が開放感をいやがうえにも煽っていた。
中央のコースでは、がっつりと25メートルをクロールで往復するスイマーが占領し、素人風情を寄せ付けない空気を漂わせていた。
生きるか死ぬか、誰もが刀の柄に手を乗せる戦乱の世で、のほほんと優雅な茶会を開くようなものだ。
上級者向けだしと、ビート板を脇に抱えたリオがそんな殺伐としたコースに入るはずもなく、ロープで仕切られた端のコースに
そそくさと向かった。
眼鏡が無いことは眼鏡っ娘であるリオにはもどかしい。いつも見えている世界がぼんやりとしか写らないからだ。
だからか、塩素のにおいと激しい水しぶきの音が異様にはっきりと聞こえる。
そっとプールサイドに腰掛けた浜辺のウサギの足が生暖かい水に浸る。ゆらゆらと揺れる水面がひざ小僧をなぞり、
合わせた太ももをじわりと濡らす。なんだか不安になる気持ちは何故だろうと、リオは薄い手ですくった水をそんなに
大きくない胸に掛ける。リオの体を包み込む濃紺のスクール水着がぴっちりと体に吸い付く感触が胸を締め付ける。
ほんのちょっとの幼さと少女のはかなさを兼ね合わせたつやを放ったリオの肢体がするりと水中に吸い込まれた。
小さな水しぶきがリオの顎を濡らし、ゆらゆらと波立つ水面が胸をなぞる。
「遠いなぁ……」
たった25メートル。歩いて行けばなんともない距離なのに、プールというだけで途方もなく彼方に感じる。
ビート板を前方に突き出して、両腕をぴんと伸ばし、躊躇いつつも水面に顔を付けてスタートを切る。
壁を蹴る両足が水中で軽くなったと同時に、物凄い勢いでバタ足を始めた。
くねりながらバタ足で進むウサギのリオ。長い耳が水面から突き出してゆっくりゆっくりと前方へと舵を取る。
「ぷはぁ!」
志半ばで終了。
遥かに遠い対岸が顔を滴り落ちる水で余計に歪んで見えた。
はあはあと肺を突き破りそうなぐらいに荒い呼吸、口に入る液体がむせ返り、たらりと口角から流れ落ちる。 「ぐるぢいよぉ……」
こんなときに自分の側に素敵な男子がいてくれたら。
ぎゅっと厚い胸板に飛び込んで包み込まれたいし。
出来ることなら眼鏡が似合って、ほんの少しドSな理系男子なんぞよかろう。
「端から誰かに頼ろうだなんて、とんだ王女さま気取りだな」
「泣き顔を隠そうとして水をかぶっても無駄だぞ」
(うるさいよっ。ばーかばーか)
いもしないドS男子の幻覚をつんつんと人差し指で突いて朦朧としたなか妄想に耽っていると、隣のコースの
がっつりスイマーがばんばんと水しぶき立ててリオを追い抜いていた。
現実かあ……。
眩しい太陽の光があれば目をつぶる理由が出来たのに、残念ながら屋内プールではそんな淡い期待も泡と消える。
何度も何度も足を着きながらようやく対岸にたどり着いた頃には、小学生たちの声がきんきんに響いていた。
彼女らの声を耳にしているリオは荒くも激しい息遣いで濡れたスクール水着の脇腹をを指で弾いた。
#
ふらふらと心地好い疲労に苛まれたリオがロビーに立ち寄ると、犬上ヒカルはいまだに本を読んでいた。
とっくに乾ききった髪の毛をまた濡らしやろうかと、リオはヒカルに近付くと、目の前のテーブルに食べかけのわらび餅の容器が
置いてあることに気付いた。透明感溢れるわらび餅、控え目さとわびさびが憎いきな粉。水色とのコントラストが主張の無い甘さを
引き立てている。
きっと、食感は絶妙なんだろう。コンビニなんかのものよりも歯ごたえが本格派らしいし。
「美味しかった?」
「……」
「ごめん、いいトコなんだよね。本」
返事をしなかった理由はそれじゃないと言いたげに、ページをめくる手を止めたヒカルがリオを見上げた。
乾ききらないリオの体からは塩素と甘い汗のにおいで淡い水色の香りがしていた。
制服姿と違うリオの姿に僅かなる罪悪感を抱きつつ、ヒカルはぱたりと栞を挟んで本を置いた。
「美味しそうだよね、わらび餅。ぷるぷるぷるんって」
「うん」
「あーあ。誰かわたしにわらび餅おごってくんないかなあ」
目の前にいるのは眼鏡でもなく、理系でもなく、ドSでもないただの文学少年だ。
なのに期待を寄せて、恥じらいもない悪あがきをするリオの頬は微かに赤い。まるでビート板を頼りにバタ足で進む
スクール水着の少女みたいだ。 「あ」
立ち上がったヒカルの腕を慌てたリオが引っ張る。
いや、まじに受け取られちゃ。
空気ってもんがあるじゃない。
それに……彼氏じゃないんだから、おごってくれなくてもいーし。
「犬上っ」
と、リオが声をあげると、ヒカルの目の前のわらび餅がすっと浮かんだ。
リオとは全く面識のない男がヒカルの前に座り、食べかけのわらび餅を再び口にしていた。
「因幡が美味しそうに言うから、食べたくなったし」
ヒカルはそう言い残すと市民プール玄関前のわらび餅移動販売のリアカーに駆けた。
ヒカルの背後のリオは、ぽんとキックをお見舞いしようと脚を上げたが空振りに終わった。
#
水泳の帰りの電車は眠気を誘う。
雲の上のような揺れ具合は、乳酸の溜まった体に睡魔を召喚させる呪いのようだ。
とくに高架を走る私鉄線の車窓が催眠のための効果を高める。
「……食べときゃ良かったかなー」
意地を張って、ヒカルが買ってきたわらび餅を拒んだ。
ぷるぷると弾けるわらび餅が無駄に美味しそうだった。
きな粉の甘さが手招きしていた。
だけど、彼氏じゃねーし、わたしそんなに乾いてないし。
リオがかけていた眼鏡を外してみると、ぼんやり車窓に映った自分の姿が浮かんでいた。まるで自分が空を飛んでいるみたいだ。
なんだか、この景色、リフレイン。
そうだ、プールの中だ。
遥か遠く25メートル先の対岸目指してバタ足していたプールの中。
「勘違いも甚だしいぞ。おごってもらえると思うな」
(おごってなんて言ってないしー)
リオは電車の中でも素敵なドS男子が側にいてくれたらなと、一人妄想をしていた。
きっとコンビニのわらび餅は甘い。
おしまい。 ttp://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/820/rio_train.jpg
メガネなしのいいんちょって、初めて描いた気がする。
これもアリじゃないのか?異論は認める。
投下おわり。 スク水は子猫組に許された特権かと思ったけどリオのもいいね!
控えめな身体に映えそう
塩素の香りが漂ってきそうなよいSSでした NHKビデオ金銭ミルクGALコンチネンタル中東パクキン沖縄海焼きそば 西村ニューヨーク反省会ファミレス深夜ランチおしゃべり問題
NHKビデオ金銭ミルクGALコンチネンタル中東パクキン沖縄海焼きそば 西村ニューヨーク反省会ファミレス深夜ランチおしゃべり問題
NHKビデオ金銭ミルクGALコンチネンタル中東パクキン沖縄海焼きそば 西村ニューヨーク反省会ファミレス深夜ランチおしゃべり問題 初期からいた絵師さんどうしてるのかな。
むちむちかわいい絵の。 早く冷たいかき氷を食べたいニャと、サンダルを鳴らしてコレッタは自宅の扉を開けた。
こんな日のおやつはかき氷一択だ。夏休みも折り返し、盛夏の街も眩しいぐらい。子猫のコレッタの白い毛並みがきらきらと、
錦糸のようなブロンドの髪もさらさらと。暑いのはやっぱり苦手だニャ、早く冷房の効いたリビングでぐたっと平たくなりたいニャと、
重い足を玄関へ一歩差し出す。
待ちわびたかの勢いで廊下の奥から飛び出してきたのは、コレッタと同じ毛並みに同じ髪を持つコレッタの母だった。
「おかえりなさいー!コレッタちゃん!お風呂にする?おやつにする?それとも『お、か、あ、さ、ん』?」
「おやつニャ!」
ニャニャ?!
何のどっきりニャ?
今までのぐったりコレッタは速攻切り上げて、コレッタの母の脇を稲妻走るスピードでリビングへと駆け抜けていったコレッタ。
振り返り様に我が子のリアクションに戸惑うコレッタの母は、腰に巻いたエプロンをずりあげていた。
「夏休みっぽいコスチュームだったのに、コレッタちゃん、気に入らなかったのかなぁ……」
これでも結構気合い入れてゼッケン書いたんだよ?
十ンー年振りのスクール水着、オトナかわいくエプロンまでオプションしたのに。
開けたままの玄関からは、灰色の表の世界の彼方、落ち着いた風が流れ込んできた。
ひんやりとしたリビングでコレッタはアザラシになっていた。
エアコンからの丁度よいぐらいの冷風が火照った体を包み込む。やれやれこれは天国の居心地でコレッタが母のスマホを
ぐりぐりと扱っていると、母が戻ってくる足音を聞き顔を曇らせた。
「あんまり使い過ぎちゃだめよー」
「ニャ、ニャ?」
「どうしたの?」
「花火大会はあしたニャね……」
スマホの画面には夜空に花咲いた色とりどりの花火が描かれていた。明日は街の花火大会。池を囲んだ公園で、毎年行われる風物詩だ。
ただ、心配事がコレッタの猫耳に付きまとう。窓がそれを示すように。
「いけない!雨が降ってきたよ!」
ぱらぱらと雨粒がテラスを濡らし、じわじわと軒先の洗濯物を湿らせてゆくお天気テロ。
コレッタの母は目を丸くして、洗濯物を取り込みに走った。
「ぬれちゃうニャ!早く!」
「大丈夫よ!スクール水着、着てるから!」
母の返事を気に止めずに、コレッタは洗濯物を取り込む加勢に没頭した。 早く冷たいかき氷を食べたいニャと、サンダルを鳴らしてコレッタは自宅の扉を開けた。
こんな日のおやつはかき氷一択だ。夏休みも折り返し、盛夏の街も眩しいぐらい。子猫のコレッタの白い毛並みがきらきらと、
錦糸のようなブロンドの髪もさらさらと。暑いのはやっぱり苦手だニャ、早く冷房の効いたリビングでぐたっと平たくなりたいニャと、
重い足を玄関へ一歩差し出す。
待ちわびたかの勢いで廊下の奥から飛び出してきたのは、コレッタと同じ毛並みに同じ髪を持つコレッタの母だった。
「おかえりなさいー!コレッタちゃん!お風呂にする?おやつにする?それとも『お、か、あ、さ、ん』?」
「おやつニャ!」
ニャニャ?!
何のどっきりニャ?
今までのぐったりコレッタは速攻切り上げて、コレッタの母の脇を稲妻走るスピードでリビングへと駆け抜けていったコレッタ。
振り返り様に我が子のリアクションに戸惑うコレッタの母は、腰に巻いたエプロンをずりあげていた。
「夏休みっぽいコスチュームだったのに、コレッタちゃん、気に入らなかったのかなぁ……」
これでも結構気合い入れてゼッケン書いたんだよ?
十ンー年振りのスクール水着、オトナかわいくエプロンまでオプションしたのに。
開けたままの玄関からは、灰色の表の世界の彼方、落ち着いた風が流れ込んできた。
ひんやりとしたリビングでコレッタはアザラシになっていた。
エアコンからの丁度よいぐらいの冷風が火照った体を包み込む。やれやれこれは天国の居心地でコレッタが母のスマホを
ぐりぐりと扱っていると、母が戻ってくる足音を聞き顔を曇らせた。
「あんまり使い過ぎちゃだめよー」
「ニャ、ニャ?」
「どうしたの?」
「花火大会はあしたニャね……」
スマホの画面には夜空に花咲いた色とりどりの花火が描かれていた。明日は街の花火大会。池を囲んだ公園で、毎年行われる風物詩だ。
ただ、心配事がコレッタの猫耳に付きまとう。窓がそれを示すように。
「いけない!雨が降ってきたよ!」
ぱらぱらと雨粒がテラスを濡らし、じわじわと軒先の洗濯物を湿らせてゆくお天気テロ。
コレッタの母は目を丸くして、洗濯物を取り込みに走った。
「ぬれちゃうニャ!早く!」
「大丈夫よ!スクール水着、着てるから!」
母の返事を気に止めずに、コレッタは洗濯物を取り込む加勢に没頭した。 #
翌日の夜は、期待以上の星空を披露してくれたから、コレッタと母は一等星の瞳で花火大会へと出掛けて行った。
池を囲んだ公園には近隣の人々で賑わいを見せて、ひと夏のうたかたなる思い出を刻む。
池の側はすこぶる涼しい。風が流れると子猫の袖をくすぐる。自然の悪気のないいたずらにコレッタは頬を赤らめた。
浴衣姿のコレッタはぴょんと跳び跳ねる。淡い桜色
「ヒカルくんニャ!」
金色も髪をなびかせて、とみに駆け出したコレッタは、犬の少年の尻尾に飛び付いた。猫とは違う、
豊穣の麦畑を思い起こさせる、犬の尻尾だ。すりすりとヒカルの尻尾に頬擦りしているコレッタをなだめる母は、
ヒカルの足元をさりげなく一瞥したのちに、オトナも会釈でヒカルに敬意を示した。
「コレッタちゃんがぼくと行きたいって言うんです」
「ウチのコレッタが申し訳ありません(靴はわりときれい目。第一チェックポイントOKね)」
「待たせてごめんね、コレッタ」
「とんでもありません(時間はきちっとしている。第二チェックポイントよしっ)」
ヒカルの背中に隠れたコレッタからは、細い尻尾が小枝の様相でしなった。
よくて兄妹、ヒカルとコレッタの間柄は歳の差ありすぎて、邪な妄想を掻き立てる余裕さえもあり得ない。
(コレッタちゃんだもんね。男の子を虜にしても不思議じゃないし)
コレッタの母はヒカルが背中に気を取られている合間を盗んで、ヒカルの下ろした手の甲に自分の手の甲を当ててみた。
びくっと、ヒカルの胸が鳴る音が雑踏の中で響く。
ノースリーブの二の腕が、半袖姿のヒカルに触れるか触れないかの距離であやふやと揺れていた。
わたし、ヒトヅマですけど、昔オンナノコでしたよ?
コレッタの母は、コレッタをそのまま大人にした可憐さに加えて、浴衣の艶やかさに花火の儚さを持った
夏の香りでヒカルの鼻腔をくすぐった。
わたし、ヒカルくんより年上ですけど?
でも、こんな夜は同い年になってもいいですよね?
勝手過ぎる妄想だが、ヒカルの脳内は淫らな桃色の霧で霞んでいた。
「お祈りしてよかったわぁ。花火日和ね」
「はい?」
「昨日、神社でお祈りしてきたんですよ」
昨日の夕方、うとうとと惰眠を貪ったコレッタだ。もしやと、母が雨の中、神社で祈る姿を思い浮かべた。 『あした、晴れニャすように』
きっと、そうかもニャ。コレッタはほんのちょっとだけ母を尊敬した。
さすがコレッタのおかあさんニャよ……とヒカルに対して自慢げな顔をしている娘の側から母がのたまう。
「『コレッタちゃんの素敵なボーイフレンドと出会えますように』って、ですよ」
「……」
「コレッタちゃんがしあわせになるなら、わたしなんでもするね。ヒカルくん、勘違いしちゃだめよ。ふふっ」
あどけない表情を見せる母をコレッタはオトナにも似た目線でじっと見ていた。
どーん、と一番の花火が場を繋いだ。
おしまい。
「それじゃ、犬上くんわたしと……」
http://download5.getuploader.com/g/sousaku_2/848/yuuri04.jpg
おしまいです。 兎宮かなめたんをお借りしました。
http://www19.atwiki.jp/jujin/pages/955.html
『月と吹き矢』
いい歳こいて、吹き矢遊びですか?
白衣を纏い、くたびれた七分袖のシャツを見せ隠れさせて、ひと尋強の細長い筒を握り締める。
中は空洞、一方には口を添える、真新しいマウスピースが装着されていた。
元・男の子、二十年ぐらい前は男の子。そんな血が騒ぐから、真面目のまー子の声など届かない。
化学教師と名を変えたもの、跳月十五・三十ンー歳を止めるのは、風紀委員長でも無理なこと。
「今日のの授業のことなんですけど」
「待ってくれ。ぼくは今、コイツに手を焼きたいんだ」
「生徒が聞いているんですよ?この授業の為に、朝から化学の教科書で何度も予習したのに、わからんちんです!」
「今日は早く仕事を済ませたい。何年に一度あるかないかなんだ」
跳月は書類にまみれた机の上にぽつんと置かれた一本の細長い筒を手に取った。
単純な構造の物体は、リオには意味なく見えても白衣が無駄に価値を付ける。
朝のテレビもそこそこに、跳月の授業にかけた熱が一気に冷却されてゆく。
「はづきちーっ」
もうちょっと話していたいのに、名前も知らない一本の筒が邪魔をする。
ガラクタにまみれた化学準備室は男の子の城だと言っても過言ではない。
グレーのペンキむき出しのスチール棚にずらりと並んだジャンク品の数々。使いどころを尋ねれば、いつかきっと使うで
済まされてしまうアバウトさ。とっておく理由はないけれど、捨てる理由だってないのだから。
天井に張り巡らされた蜘蛛の巣のようなコードの類。行く先、つながれた先など覚えちゃいない。
ニキシー管には陽炎のように数字が浮かび、オシロスコープの画面も『いつか出番が来るんだ』と、来るはずの無い活躍の時を待ち望む。
どこを引いても理系の巣窟にぽつんと飛び込んだ風紀委員長・因幡リオ。
見るからに文系。
ひいき目に見ても文系。
跳月との共通点はメガネなのかと、そこでやっとつながりを見つける。
「どこで手に入れたんですか」
「教えない。秘密だから」
「ケチ!」 答えなんか求めちゃいない。
リオは跳月の声だけ聞ければ満足だ。
でなければ、理屈だらけの機械の館に入る理由さえないんだから。
物珍しそうに吹き矢を視姦する跳月の目は本気だ。まるで、想い人を必死に口説き落とすような勢い。
「吹き矢は単純な構造ながら、攻撃力は物凄い。アルミニウムの缶を貫通させる威力を持つ」
「おもちゃじゃないですか」
「因幡は吹き矢のことを何も知らない」
漢字を並べた跳月は両手で吹き矢を鉄棒のように握って、小さな砲台の感触を楽しんでいた。
片方にはマウスピース。両手で口元に当てると、矢を充填し易いように手元に矢の代えが銃のレボルバーのように並ぶ。
どうしてこうも跳月が吹き矢に興味を示し始めたのか。リオは吹き矢の威力よりも跳月本人に興味があった。
理知的で、冷静で、オトナの魅力があるのに。
どうしてこうも、子どもっぽいのか。
オトナに憧れるリオは、歳の離れた跳月を兄のように見ていた。
「ん?」
「誰?ねえ、はづきち!」
「おい。入って来いよ」
跳月が少し開いた扉に向かって声を投げる。
小さな隙間から女子の瞳がちらりと。
リオは息を呑んだ。
「……あの、跳月先生」
「実に面白い。暗器としても利用価値がある」
「……返して」
「ああ。でも、中庭で吹くんじゃないぞ。兎宮」
レースのリボンで括ったポニーテールの髪揺らし、リオと同じウサギの耳を持った一人の少女がおどおどと化学準備室へと
足を踏み入れる瞬間、跳月の顔は少年の恥じらいの顔をそっと夕暮れの明かりとともに見せた。
「兎宮さん……」
「ひっ」 兎宮かなめ。
控えめで、引っ込み思案の激しい……そして、吹き矢が得意な女子高生だった。
放課後、ここまで愛機を取り返しにやってきた。と言うより、跳月に呼ばれてやって来た。
かなめが吹き矢を再び手中に取り戻し、ウサギのように跳ね返って部屋から出ようとした時のこと、跳月がオトナの声で呼び止めた。
「兎宮」
「はい?」
「ブースターを付けてみたい。初速度を加速させることで無装着状態で0.48ジュールだった運動エネルギーを倍にすることが可能だ」
「ほんとうですか」
「ああ。提案なんだが、今度ぼくにこれを貸してくれないか。もちろん悪いようにはしない。
その代わり、兎宮の所属するサバゲーチームの参謀として働く。全力を尽くすから」
「あ……ありがとうございます。跳月先生が居てくれれば、虎に翼です」
跳月とかなめの会話を傍で聞いていたリオは、黙って自分の通学バックを肩にかけていた。
自分がこの場に居ることが場違いであることを自覚しつつ、そっと化学準備室から遠のいた。
「さて、仕事を急ぐか。日の入りまでには終わらせなければ」
跳月の声だけを残して、リオは振り向かずに廊下を歩いた。
帰り道、夜の帳に浮かぶ月は迷いの無い丸さだった。
そんなやさしい光でも、リオの心は落ち着かなかった。
(はづきちのこと、かなめは何にもしらないくせに)
確かにリオは化学準備室の常連だ。私的公的どちらでもあの部屋には放課後居ることが多い。
落ち着くからか。はたまた……。
聞いたことの無いような単語をつらつらと交わしつつ、かなめの笑顔をかっさらった跳月。
そして、見せたことの無いような顔を跳月に見せていたかなめ。
「かなめだ」 まん丸な月に見守られて、かなめは公園のベンチで佇んでいた。
夕暮れがだんだん早くなり、ウサギたちも早々と物陰に隠れるのに都合がよい季節だ。
仕込み杖かと尋ねればそうではないと返されて、隙を見せるとびゅっと矢を叩き込むことなど朝飯前。
吹き矢を肩に掛けているからか緊張感のかけらを見せない兎宮からは、よく訓練されたスナイパーのオーラが漂っていた。
「ねえ。はづきちのどこが好きなの?」
「え……跳月先生のこと?」
「好きは言い過ぎた!」
同い年だからこそ、ちょっと悔しい。
スタートラインは違わないはずなのに、知らない間に付いてきたアドバンテージがリオを苦しめる。
「好きなの?吹き矢」
「いや……ちょっと、面白いかなぁって。ふぁあ……」
「眠い?」
「うん。昨日、遅くまで……銃器の手入れを」
跳月と出会う口実をむりくり作っているリオからすれば、単純なきっかけで跳月を饒舌にさせたことが腑に落ちなかった。
兎宮の返答にいい顔をしたくなかったリオはすくっと立ち上がり、夜空に浮かぶ白金の月を指差した。
「すごいよね、兎宮さん。かっこいいよ。もしかして、最強かも」
「因幡さん、わたし」
「わたしが兎宮さんならば、月を吹き矢で吹き落とす!そして、闇夜に乗じて『わたしを奪って』とはづ……」
リオが兎宮の表情を確認出来ないまま、兎宮はその場から矢のように立ち去った。
公園に残されたリオが瞬く月に腹を抱えて笑われていた。
自宅の窓から同じ月を眺めていたリオは人に見せられないぐらいの情けない顔をしていた。
「どうして、あんなこと言っちゃったんだろなぁ」
楽な寝巻き姿で外を眺めるていると、真面目のまー子ですら涙目の迷い子になってしまう。
兎宮は今頃何をしているのだろう。メールをしたくても、よく知らない子だし、いわんやSNSをや。
ただ、言えるのは見ている月が同じ音色で輝いていることを明日化学準備室で話せることだ。
いや、化学準備室に兎宮が来るという保証はない。だとすれば、リオはますます胸が痛んだ。
兎宮の真似をして吹き矢を発射させる態勢を取ってみる。多分、こんな感じ。流儀はきっとあるんだろうけど両手で筒を作り
口に当てて勢い良く息を吹きかけてみた。 「あ!?」
さっきまでうっすらと月光に照らされていた街が、一瞬で闇に落ちた。
まさか、本当に月が吹き落とされるなんて。
こんなことが出来るのは「兎宮さん……?」
いや。違う。
月蝕だ。
コンパスで描いたように美しい円形の星が、闇の魔王に蝕まれてゆく。
ゆっくりと下方から月が溶けてゆく。
月のウサギたちも突如やってきた夜の帳に右往左往。
そうえいば、月蝕だったよね。
ウサギが月のお祭りを忘れてどうする。
時間を忘れたリオが天体の戯れごとに気をとられていると、日中、跳月が口にしていたことを思い出した。
「何年に一度あるかないかなんだ」
きっと、跳月は眺めている。
月が暇を頂く姿を。
きっと、兎宮は夢の中。
野原で愛銃抱えて戦地に赴く夢を。
「そうだ」
明日は、この話をしよう。
兎宮とちょっと差が付いたことが嬉しくて、リオは冷えた体を温めるために暖かい布団に飛び込んだ。
「眠いや」
夜があってよかったと、きっと月だって喜んでるだろうし。
おしまい。
かわいすぎてこころぴょんぴょん
http://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/879/kokoro_pyonpyon.jpg 季節ネタです。
『委員長とチョコレート』
美味しいコーヒーの味わい方。
まずは手先が縮こまるぐらい寒い場所に行きましょう。
そして、はぁっと白い息を吐くのが良いでしょう。
熱々のコーヒーがカップ自販機から湯気を立てて現れる。大きめの紙コップには琥珀色の水面が揺れる。
芳ばしい香りで、学園の自販機コーナーはちょっとしたカフェテリアに様変わり。
委員会の仕事を終えた因幡リオは日の傾き始めた時間を一滴のコーヒーで潤わせようとしたものの、誤算によって
時間だけを消費することに奥歯を噛み締めていた。委員会の後の空がたそがれ色に滲む。
「あつー……」
予想外の温度に口をつけるだけでもやっとのこと。
竜のように湯気を立ち上らせている紙コップを侮ると、いたずらにリオのメガネだけを曇らせてゆく。
二月だから寒いのは当たり前、暖を取るためにちびちびと激熱のコーヒーを口にするのはリオが熱いものが苦手だからだ。
考え事すら回らずに、ニーソックスから覗かせるふとももに、ひゅうと如月の風が舞う。
めくれかかるスカートを抑える手などはそっちのけだった。
「リオ、お待たせー」
「待ってないよ。まだ残ってたんだ、モエったら」
芹沢モエという娘は北風ともすぐに仲良くなれる娘だ。だから、こんなに寒いのにけらけらと笑っていられる。
「図書館で調べものしてたらさ、こんな時間になってただけなんだけどさー」
モエのスクールバッグからは家庭的なタイトルの本が顔を覗かせていた。
リオは「時期的にねぇ」と、頷いた。委員会のことですっかり記憶の中から消え去っていたものがかたちをなしてゆく。
とろとろに溶けた液体が固まるように。
「誰にあげるの?モエ」
「予定は未定」
「義理でも?」
「バレンタインの流れに乗るしかないってねー。でもさ、図書館でお菓子の本探してもなかなか見つかんねーし、やっと見つけたしー」
自販機でコーヒーを購入しながらモエは愚痴めいた希望を呟いていた。
コーヒーが注ぎ終わった紙コップを手にしたモエが氷のごとく固まった。
「やっべー。こんな寒い日にアイスコーヒーなんてマジ拷問?」
ぼやきながらボタンを押したので間違えた。しゃりしゃりと細かな氷が浮かぶアイスコーヒーがミスキャストな灰色の空。
「そうだ。モエ、それちょうだい」
リオは冷え冷えのコーヒーを持つモエの手を握り締めると、自分の持つ熱々のアイスコーヒーへとコーヒーを注いだ。
これでいくらかましになると、リオは凍てつく頬が溶けかけた顔をしていた。
飲みやすい温度になったコーヒーを含むと幸せな時間がゆっくりと過ぎてゆく。
モエとこの時間を過ごせるのはあとどのくらい残されているのだろうか。だから大事に時を踏み締めるためにもう一口。
「どうしようかなー。あげる相手なんかいないし」
リオがかまってちゃんの名を借りる。
ウソだ。本当はいる。
だけど、相手は教師だった。堂々と言える訳がない。
モエはわざとすっとぼける。
「何を?」
「分かってるくせに。チョコレート」
「早く、バレンタイン過ぎないかなぁ。街はきっとリア充の巣窟だよ」
#
一週間が過ぎて。
委員会が終わった頃には雨が降っていた。土曜日は休みなのに春休みが近いからと登校しなければならないのは委員だから。
いつもと違う景色を見せてくれる校内は新鮮と言えば新鮮と言えよう。一雨ごとに春が近付いてくると思えば……などと、
季節を楽しむ余裕はリオにはなかった。
今日の委員会はどっと疲れが出る。
活発な意見交換もあったが、席の中央で仕切るリオのHPはすれすれまで削れていた。
「疲れたよー」
渡り廊下のコンクリからはアーモンドのような雨のにおいが漂っていた。
いつもの自販機の前に立つとほっと気が緩むはずが、そうさせないのは暦のせいだ。
二月なかばになると世の乙女たちはせわしなくなるという。理由は聞くな。
もちろんリオだって恋する乙女の端くれだ。ただ、相手のハードルが高いだけ。たったそれだけで苦しい思いをするなんて。
こういうイベントは世の中を満喫して、リアルを充実に暮らす人たちの為のイベントなのだ。
むしろ、今日の日に委員会があってよかったと、チョコを幸せにする自信のないリオは密かに感謝した。 「あーあ」
自販機にコインを投入する音がリア充との断絶を意味するハサミに聞こえた。耳を塞ぎたいのを我慢して、
ホットコーヒーのボタンを押す。自販機の中で湯気立つコーヒーが注がれ始めると、リオはスクールバッグから
リボンの着いた小箱を誰にも見られないようにこっそり取り出した。
淡い色の包装紙を丁寧に剥がし、ふたを開けると小さなハート型のチョコレートが顔を出した。
今日の残りもあと六時間弱、そのままただの残り物になれ果てるぐらいならば、いっそ自分の手によって介錯するのがせめて。
コーヒーが注ぎ終わった合図の電子音を耳にしたリオは熱々のコーヒーにハート型のチョコレートを投入した。
吸い込まれるように沈んだチョコレートは琥珀色の泉を甘く仕立ていった。
「リオ!チョコでも食らえ!」
ふいに口元へと押し付けられる甘い感触。
これが愛しの○○ならばと妄想するも、残念ながら目の前にいたのは芹沢モエだった。
デコレーションされた茶色の板状のチョコがまっさらな形でモエの手のひらに収まっていた。
「あーあ。相手もいないのに本命チョコ作ったけど」
「本命チョコが生まれてきた理由がないよね」
「もう、リオでいいや」
不貞腐れたモエはぱっきりとチョコを二つに割ると、両手のふさがったリオの口へと押し込んだ。
疲れたハートとフィジカルにスイートなチョコが侵食し、回復の呪文が体内で唱えられる……も、気分は晴れなかった。
だって、校内から出ると街はリア充の巣窟だから。
「あれ。リオって、熱いの平気なの?」
湯気立つコーヒーカップをモエは覗き込んだ。リオが投げ入れたチョコの塊は自らの身を削りながら、コーヒーを甘く蕩けさせる。
「ってか、なんでモエは学校来てんの?」
「だって、街はリア充の巣窟だしー」
ぽりぽりとモエのチョコを齧っていたリオは口直しにコーヒーを口にすると、輪をかけた甘さが心を突き刺した。
おしまい。
http://dl6.getuploader.com/g/sousaku_2/918/moe+rio+2015.jpg コレッタママ「ね?コレッタちゃんも大きくなったら付けてみる?」
コレッタ「そのころには廃れてるニャ」
白先生「じゃ、今のうちに『例の紐』をつけるんだ!」
http://download1.getuploader.com/g/sousaku_2/935/a+string+in+question.jpg
コレッタ「ニャ、にゃああああああ?」 ネパール地震『311』に発生・・・人工地震か!?
日本時間3時11分に発生した。地震波形が爆発型である。スパイクが2連発。
http://richardko shimizu.at.webry.info/201504/article_162.html
2015年5月11日に第2の『3・11人工地震』が計画されているという予測
世界のエリートと直接繋がりのある週刊エコノミストの表紙が気になります。
右下に11.3(3月11日)とその左横に11.5(5月11日)と書かれています。
左下の地球儀の中の日本地図が変だそうです。ふむ。近畿地方がない。
http://mizu8882.blog.fc2.com/blog-entry-457.html 家で不労所得的に稼げる方法など
参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。
グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"
PI39WHJ0HL 知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』
8KFKH 中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね
SA4 玉祥文と申します。
自作の獣人小説を宣伝します。
『龍潭の虎』
https://www.アマゾン.co.jp/dp/B08417LHD4
『龍潭の虎 横行四方』
https://www.アマゾン.co.jp/dp/B085G43WD5
アマゾンでのご購入及びレビューをお願いいたします。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています