【BL】ボーイズラブ・やおい創作総合【801】
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ボーイズラブ・やおい関連作品を総合的に扱うスレです。
一次でも二次でも、小説からイラスト・漫画まで、なんでもどうぞ。
ここは全年齢板です!
−どんな時でも腐女子、腐男子の心を忘れずに逝きましょう−
◇前スレ◇
【腐】やおい・お耽美・ボーイズラブ【BL】
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1229760468/
◇お約束◇
・投下の際は、最初に属性や作品傾向等を記入しましょう。
(ショタ、青年、学園もの、社会人もの等)
・雑談も大歓迎です! だが、しかし! 作品が投下された直後の雑談は控えてください。
・苦手だなと思った作品はあえて読まない、批評しない!
・感想、アドバイスには作者さんへの配慮を忘れずに。
・荒らしにはをスルーを徹底しましょう! あ、テンプレ、少しミスった!
「荒らしにはを」って、何だよ……最初っからすいません……orz ハ,,ハ
( ゚ω゚ ) お断りします
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((⊂ ) ノ\つ))
(_⌒ヽ
ヽ ヘ }
ε≡Ξ ノノ `J \ / .::::::::::::::::::::::::;;:;;::,ッ、:::::: ) く ホ す
\ l ,ッィrj,rf'"'"'" lミ::::::: く れ モ ま
Y ,!ミ::::::: ヽ な 以 な
`ヽ、 | くミ:::::::: ノ い 外 い
|、__ ャー--_ニゞ `i::::,rく か は
``''ー- ゝ、'l  ゙̄´彑,ヾ }::;! ,ヘ.) ! 帰
゙ソ """"´` 〉 L_ っ
/ i , /| て r
≡=- 〈´ ,,.._ i 't-'゙ | ,へ ,r┘
,、yx=''" `ー{゙ _, -、 ; l レ' ヽr、⌒ヽ'
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_,,、- ゙、 ー'' / ; `、
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-''" / `ー─''ぐ;;;;' ,' ノ
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i |::| )i:lソ |::l. で に │
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/,.、 ," ヽ .|::|__,,、-''|::|::::/| か. モ │
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い 女 ホ ヽ:::::::::::::::::::::::::ヽ、,:::::::::::::::::::::::::
ま 子 モ 〉∧i i゙i .|l, 、ヽ斗l' ヽ::::::::::::::
せ な が /`トl、{.ヽ.l!、 イ℃)ヽ,i::::::::::::
ん ん 嫌 >! (℃}`ヽ ヽ!"´´ ヽ l,:::::::::::
!!!! か い l 、 "/// ////// u |:::::::::
な i /// ヽ ._....-- 、. !::::::::
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. / 、 ゙ッ.l:::::::::,i'"/./゛.--ィ_.ゝ/i"\ |::::::
.| .''" .l /:::::://○iラ"、.フ゛ i' .l′ 'l:::::: スレ復活記念&即死回避記念ということで、王道の英国寄宿学校モノ。
これから10レス程投下します。
「神様」
僕は、自分一人しか居なくなった、この部屋で、ただ、その一言だけを口にした。
どうして僕は、奴を好きになってしまったのだろう。
今、考えても、もう、そのきっかけなど思い出せないのだけれど。
此処は英国内に数有る寄宿学校でも最も特殊な学校の1つだ。
この学園は、生徒の数も少なく、世間にあまり知られた存在ではない。
だが、此処で学ぶ生徒は、世界でも屈指の名門財閥や王族の子弟に限られている。
おまけに、此処は男子校だから、此処で学ぶのは、必然的に世界の名だたる名門財閥や企業、果ては、国家
の後継者になることを目された者ばかり、ということになる。
皆、この学園に、世間一般で言うところの学問のみだけでなく、帝王学を学ぶために、籍を置いているのだ。
まあ、そんな学園に籍を置いている僕自身も、当然、それなりの家柄に属してはいるのだけれど。
そんな中でも、僕、ヴィットーレ・ディ・イエッリと、奴、リオン・ライオット・ヴァン・トーガは、少し
毛色が違う。
僕らは、ある意味、金で買われて、この学園に籍を置いているのだ。
そう、僕らの家よりも更に世界に名だたる名家 − 世界でも5本の指に入る位の実業家の後継者として、そ
の地位を継ぐ立場に在る者 − ミカエル・レアン・ダイ・ク − 彼の為の専属シークレットサービスとして、
法外な金を積まれて雇われているからだ。 僕は小さな頃から、自分が誰か − 世界に名だたる者の側近となるべく、育てられているのだということを
自覚はしていた。
それは、僕の実家、イタリアのイエッリ家が、代々、そういう稼業を生業にしてきたからなのだけれども。
僕自身の一見、16,7歳の少年らしく、華奢にさえ見える身体つきや、プラチナというよりは、シルバー
に近い、短く整えられた髪と、アイスブルーの瞳を備えた容姿……年齢よりも若干……いや、ほんの少しだが、
確実に16歳という実年齢よりも1歳程度は、幼く見えるこの姿からは、そんなことを推測する奴はまず居な
いと思うが……僕自身が、既にどこかの小国の大統領付きSPを軽く凌ぐ程の護衛としての能力と、名門大学
出身の一流企業の役員クラスに匹敵する程の知力と判断力を兼ね備えた、スペシャルハイクラスのSPなのだ。
奴、トーガにしたって、それは同じだ。 更に、僕等の護衛対象たるミカエルに至っては、彼の持つその英知は、僕やトーガを軽く凌ぐものだ。
おまけに、彼、ミカエルの風になびき、波打つようなプラチナゴールドの髪と、蒼天の空を思わせる深みを
帯びたブルーアイズに彩られている、その誰の人目をも引かずにはおかない、類まれなる端正な容姿は、正に
宗教画の天使のようだった。
何においても、並はずれた力量を持つ彼にとっては、今さら、この学園での寮生活を送る必要など、本来な
ら無かった。
まあ、それでも、彼が普通の学園生活を送りたいと願った、その望みを叶えるために、僕等の雇い主でもあ
る、ミカエルの父上は、彼が本来籍を置く必要など、全く無い、この学園への入学を許可したのだけれども。
そのお陰で、僕等は今、自分達が置かれている身の上を考慮すれば、本来なら送ることなど出来ない、僕等
にとっては、これでも最大限に普通の生活に近い、この学園での生活を送っている。 「……全く、なんでこうなったんだか……」
僕は一人きりになった学生寮の自室で、ベッドの上に座ったまま、更に盛大に溜息をついた。
僕と居室を共にしているトーガは、18歳で、一応、僕の先輩にあたる。
この学園では、入学してから1、2年の間は、先輩と居室を共にするのが習わしだったので、その前までは、
ミカエルと奴が同室だったのだが、今では、奴と僕が居室を共にしている状況にあった。
そのために、僕がこの学園に入学してきてから、ミカエルはこの隣の部屋に、ルームメイトの居ないままで、
実質、特例に近い形になってしまってはいるが、一人での生活を送っている。
僕等の主、ミカエルは、1年間の期限付きとはいえ、その生活が気に入ったらしく、このところ、いたく上
機嫌だ。 問題は、僕自身の方だ。
なんで、よりによって、同室の……奴を……トーガを好きだとか、意識するようになっちゃったのか、自分
でも、自分のこの気持ちの意味が解らない。
僕はそう思いながら、この部屋の天井を見上げてから、再び大きな溜息をついた。
トーガは、一昔前に、何処かの国で流行った、少女向けのアニメーションに登場する王子様みたいな、スカ
イブルーの澄んだ瞳と、ストレートのプラチナブロンドの長い髪を後ろで一束に結った、その人目を引く容姿
の割には、僕なんかよりも断然、大人の男という形容詞が相応しい体躯をしている。
ミカエルには、負けるものの、トーガは、かなり流麗な容姿をしてはいる。
が、奴は、どこから、どう見ても男だ。
おまけに、腕っ節も僕よりも遥かに強く、僕自身が弱い訳では、決してないが……僕は奴に勝ったことが、
一度も無い。 「あいつが……俺に対して、過剰な介抱をするからだ……」
僕は小声でそう言いながら、制服を着たその姿のまま、今まで座っていたトーガのベッドへと身を投げ出し
た。
確かにあの時、俺は……不覚にも40℃近い熱を出していて……不覚にも寒いとか言って、震えていたし、
意識も朦朧としていたけど……朝まで、添い寝をして欲しいなんて、頼んだ覚えは無い! 全く無い!!
そんなことを思いながら、僕は無意識に、自らの身体を横たえていたトーガのベッドを自分の拳で思い切り
強く叩いていた。
僕がトーガのベッドを思い切り叩き終えた、その次の瞬間、いや、叩き終えたとほぼ同時に、この部屋のド
アを開ける音がした。
全くもって、またも、有るまじき不覚を取ったとしか言いようが無いが、僕はその瞬間まで、ドアの外に人
が立っていたことに気付いていなかったのだ。
僕はそのドアが開く音がしたのと同時に、瞬時にベッドから身体を起こして、ドアの方へと振り返った。
そして、そのドアの先に立っていたのは、もちろん、トーガである。
奴は、僕のそんな様子を目に留めて、したり顔で微笑むと、僕に対して少々意地の悪い言葉を投げかける。 「おや、ヴィー、俺のベッドで、何をしてるの? ひょっとして、俺の温もりが恋しくなった?」
「ばっ、何言ってんの! 僕がそんなもの恋しがる訳ないだろう! 少し疲れてただけだ!!」
自分でも馬鹿だとは思うが、咄嗟の事だった所為もあったのか、僕はトーガのその言葉に対して、少々、過
剰に反応していた気がする。
僕がこういう過剰な反応をすると、いつもトーガから舐めた真似をされるのだと、常日頃から解っているの
にも拘わらずに、だ。
案の定、トーガは、にっこりと微笑みながら、この部屋のドアを閉めると、僕が座っていたベッドの端へと
やってきた。
それから、トーガは自らもベッドの端へと腰を掛けると、奴とは反対に、ベッドから立ち去ろうとしていた
僕の手をやや強引に引いた。
僕はトーガの強い腕の力の所為で、自らの手を引かれて、あっけなくバランスを崩し、再びベッドへと座り
込んだ。
トーガはそれから更に、僕の手をぐっと引き込むと、自らの元に僕を引き寄せるようにして力を入れる。 「っあ! 馬鹿、トーガっ! 何しやがる!」
トーガにこんな風にされて、僕が声を上げるのも最近では、毎度のことだ。
いつも悔しいとは思うが、僕よりも圧倒的に力の強いトーガに対して、上手いこと抵抗する術が今のところ
見つからない。
トーガは僕の手首を握ったそのままの姿勢で、ほんの少しの間、僕をじっと見つめるようにした後、まるで
いつもの決められた儀式をするかのように、僕の唇へと、軽いキスを贈る。
それから、ほんの一瞬の、その口付けを解いた後に、今、僕の手首を握っているのとは、逆側の腕を伸ばして、僕の背中へと手を廻し、更に強く僕を抱きしめるようにして、引き寄せた。
そして、トーガは僕を抱きしめながら、僕の耳元で、いつもの言葉を、まるで、祈るかのうように、囁くよ
うして呟く。 「ヴィー、愛している。 頼むから……いつまでも俺の親友でいてくれ……」
「トーガ……解ったから……もう、解ってるから……さっさと、この腕を解きやがれ!!」
こうして僕は毎回、精一杯の強がりを言ってから、トーガの腕を振り解く。
そう、これも、もう、毎回のことだ。
恐らく、トーガが本気になれば、僕が奴の腕を振りほどくことなど、出来はしないだろう。
そう、多分、これは、お互いがお互いのことを理解した上での儀式なのだ。
この先へと、その一線を越える、情愛を伴う、あの行為さえしなければ、
僕とトーガは、唯一無二の親友のままでいられる。 それだけは、確かなのだ。
それは、互いに解っている。
トーガ、多分、俺の方が、本気で貴方を愛しているよ……
僕はそう思いながら、自分自身の、この鼓動の速さが、唯一無二の、目の前にいる親友に、届かないように
と願う。
そして、これも、いつものことだが、少し勢いをつけてから、その大切な、僕自身を、暖かな心地良さにも
似た優しい気持ちへと、導いてくれる、大切な親友の強い腕を振り解くのだ。
―― 君との関係の永遠を祈りながら ――
【END】 BLものは初めて書いたんですが、やっぱ、難しいですね。
機会があればまた投下したいです。どうぞよろしく。 乙乙!
ディーがツンデレ可愛くて、すごくツボですw
続きができたら、ぜひまた投下してね あ、名前が違ってたよ… ヴィー だったね
でも、本当に楽しく読ませてもらいました
続きに期待w 「おかえり」
部屋に戻ってきたばかりの僕に、君は声をかけた。
「で、こんな夜中に何処に行っていたんだ?」
その君の優しい声を聞いただけで、僕の背中に熱いものがはしる。
そう、言える訳がない。
君が欲しくて―昂るこの気持ちを抑えるために、夜風にあたりに行っていたなんて。
「ちょっとね、月があんまり綺麗だったから。夜風にあたってきただけだよ」
僕は、精一杯の笑顔で、君に答える。
「……ふうん」 君は、そう言うと、いつものように、ふわりと包み込むように優しく僕を抱きしめた。
それは、この部屋に戻って来た時に、いつもお互いにしている、他愛も無い挨拶なのだけれど。
君に抱きしめられる―だだ、それだけで、僕の身体の深い処がまた、余計な熱を帯び始める。
「どうでも良いけど……無理はするなよ」
君は、僕を抱きしめたまま、そう言った。
「うん、そうだね……ありがとう」
僕は、やっとの思いで君にそう答える。
君への想いを封じたままで。
*fin* この板が細々とでも存続していってくれると良いかなーと思います
どうぞよろしく >>28
おぉっ、投下だ! 乙です、乙です!
なんか切なくて、ちょいエロなところに萌えたw レスありがとー!
調子に乗って再び投下してみる
今度は相手側Sideということで 「おかえり」
そう言った俺の言葉に、君は真夜中の散歩から帰宅したところを不意に見つけられた子猫のように、ほんの少しの不安と驚きが入り混じったような瞳で俺を見上げる。
「で、こんな夜中に何処に行っていたんだ?」
「ちょっとね、月があんまり綺麗だったから。夜風にあたってきただけだよ」
俺からの問いかけに、君はいつものように、精一杯の強がりで、そう答える。
俺は、そんな君を見つめながら―
この理性という感情を失くすような真似は決してしないことを、自らに言い聞かせる。 そして、俺は、いつものように、ふわりと君を抱きしめる。
それは、君に触れられる数少ない機会の一つだから。
君を抱きしめる―
だだ、それだけで、いつも必死に抑えている、あの熱い感情が、俺の中で更なる熱を再び帯び始める。
「どうでも良いけど……無理はするなよ」
俺は、君を抱きしめたまま精一杯の理性をかき集めて、そう言った。
「うん、そうだな……ありがとう」
君の小さな声を聞きながら、俺は、やっとの思いで耐える。
君を奪いたいという、この熱情を封じたままで。
*fin* 読んでくれてありがとう
あ、最後のセリフが違ってた
「うん、そうだね……ありがとう」でした
今度はちゃんとしたSSも書けるようになりたいなぁ
確かに……
ボクっ娘×心配症の兄っていう、シチュを妄想して
不覚にも萌えてしまったw
スレ違いだけど、そういうのも美味しいよね あんまり需要が無さそうだけど、書いちゃったので、投下
・ファンタジーもの
・竜騎士×少年
・萌え成分少なし
・全年齢板の許容範囲に止めてはいますが、残酷描写少々、慰みもの描写もごく微小にあり
そんなの全然OKだぜ! って方はどうぞ 「下衆な真似はするな」
その短い言葉とともに、一瞬にしてその男の首は飛んだ。
この蒼い空の上空から、男の背後へと、今、瞬く間に降下してきた、一人の竜騎士の剣によって、首を撥ね
られたのだ。
その瞬間、小さな少年を抱きしめていた、貴族と思しきその男の身体は、血飛沫を上げながら、仰向けに
仰け反るようにして倒れていった。
「う……うあぁあぁあ!!」
少年を抱きしめていた、その貴族の男の取り巻きとして、一緒に連れ立って来ていた数人の男達も、竜騎
士の青年の尋常ならざる怒りを帯びた瞳の気迫に押され、勝ち目などないことを瞬時に悟って、その場から
逃げ出していく。 「済まない、大丈夫か」
竜騎士の青年は、その場に両膝をついたまま、茫然としていた、金色の髪の小さな少年に歩み寄ると、そ
の背中へとふわりと外套をかけた。
それから、その少年の傍らに片膝をついて座ると、あまりに凄惨な光景を目の前にして、碧い瞳を見開いた
まま、その場から動けなくなっていた、少年の整った面ざしの前へと、自らの手をかざし、その瞳を覆うよう
にして、視界を遮ってから言った。
「済まなかった、これは、もう、お前が見なくても良いものだから」
「っ、あぁあぁあ……」
金髪碧眼の少年は、その竜騎士の声を聞くと、彼の腕にしがみつくようにしながら、泣いていた。
無理も無い。恐らくこの少年は、これまでに耐えがたい、屈辱と凌辱にまみれた日々を送ってきたのだろう。
竜騎士の腕の中で泣いていた、その少年は、衣服を何も身につけていなかった。
その身体に身につけていたのは、首元にある頑丈な首輪と、そこからつながれて、彼の胸元の辺りにまで
下がっている鎖だけだ。 ここは、とある貴族の宮殿の片隅に位置する小さな―それでも、世間一般の常識からすれば、かなり広大
な箱庭のように整備された庭園の一角だった。
竜騎士の青年は、先の戦で大きな功績を上げたこの貴族の宮殿に、警備と視察を兼ねて訪れるように、と
いう主君からの命を受けて、この地を訪れていたのだ。
彼は、先程、この箱庭の上空で自らが騎乗していた飛竜の翼の合間から、偶然見かけたその光景を目に
した瞬間、自らの内側に湧き上がる激しい怒りのために、我を忘れていた。
それは、ある意味、自分が幾度となく行った、他人の命を狩るという行為よりも、酷いものだったからだ。 彼が上空から偶然見かけた少年には、首輪と、それをつなぐ鎖以外には身に纏うものは一切無かった。
そして、その少年の小さな背中には、取り囲まれた数人の男達から、度々、大きな暴力を受けていること
が、この上空から見ても明らかに解る程の傷跡がいくつも見て取れた。
更に―少年が縋りつくように懇願していた、一際立派な服を着ていた貴族の男は、少年を優しく抱きしめな
がらも、その顔に、誰が見ても背筋が凍りつく程に、残忍としか言いようの無い、笑みを浮かべていた。
そんな様子を上空からほんの少し、目にしただけで、この少年が、それまでに受けてきた仕打ちを理解する
には、充分だった。
こんな年端もいかない、小さな子供が―ある意味、貴族として最高の趣向を凝らしたこの庭園―そう、箱庭
の中で、慰みものとして、飼育されるようにして、囲われているのだ。
こんなにもひどい真似を許しておける筈など、絶対にない。
そう思った瞬間に、青年の心は、ただ純粋な怒りだに満ちていた。 その自らの気持ちに呼応させるように、青年は自らが騎乗している飛竜に対して、その場所へと一気に降
下するように、手綱をさばきながら、素早く指示を出した。
そうして、騎乗していた飛竜が下降体制に入ったのと同時に、その飛竜の背中から、自らの身体を乗り出
すようにすると、庭園に向かって、しなやかな身のこなしで、飛び降りる。
彼は、飛竜よりも早い速度で地上へと真っ直ぐに降下し、一足早く庭園に到着すると、それと同時に貴族
の男の首を何の躊躇い無く、自らの剣で一気に撥ねていた。
彼は、先程の自らのこの行いが、今、自分の手元で泣いている、この華奢で、可憐な雰囲気さえ合わせ持
つ少年に対して、更なる衝撃を与える結果となってしまったことを、改めて詫びるために、少年の身体の向
きを変えるようにして、抱き抱え直してから、再び声をかけた。
「本当に済まなかった、私は、レオン・デュランダール。 ガリアの竜騎士だ。
君に危害を加えていた奴らはもう居ないから、安心していい」 「……りゅう……きし……」
少年は、そう名乗った青年の腕の中で、涙に泣きぬれたその顔のまま、見上げるようにして、自らに微笑み
かけてくれた青年の顔を見つめていた。
その青年は、改めて見ると、青年というにはまだ早い、17、8歳位の年頃の少年だった。
彼は、短く整えられた銀色の髪と、蒼い空を映したような精悍な眼差しの瞳が印象的な、竜騎士として相応
しい人目を引く、美しい容姿をしていた。
だがそれは、今年13歳になる、自分のこの痩せた身体とは、異なるなんと逞しい体躯だろうか。
金髪碧眼の少年は、そう思いながら、レオンと名乗ったその少年をぼんやりと見つめていた。
彼は、騎士としてはそれ程筋骨隆々とした身体付きだった訳ではないが、それでも、細く、華奢な自分の身
体を易々と抱きあげていたのだ。 「……レ……オン……」
「うん、そうだよ、私は、レオンって、いうんだ。君の名前は?」
「僕は……ディア・マリ・スイール」
金髪の少年は、自らに残っている気力を振り絞るようにして、レオンにそう告げた。
レオンは、その声を聞いて、自らの腕の中の金髪の少年に向かって再び微笑みかけると、先程、レオンが
着地した後に、ほんの少し遅れて、この庭園に到着していた大きな飛竜の鞍の上へと少年を運び上げた。
「ディア、悪いけれど、少し先を急ぐよ。このまま此処にいる訳には、いかないからね」
レオンはそう言うと、ふわりと跳ぶようにして、飛竜の上へと、自らも軽やかに騎乗すると、先に騎乗させて
いたディア華奢な身体を優しく包み込むように支えてから、手元の手綱を引いた。 「フェイ、頼むよ、急いでここを出よう」
自らが最も信頼するパートナーである飛竜の名を呼び、レオンがいつものように軽く手綱を引くと、その合図
に従って、フェイと呼ばれた飛竜は、二人を乗せたまま、大きな翼を拡げ、瞬く間に空へと浮かびあがった。
そして、辺りを流れる風の気流に乗ってくるりと旋回すると、フェイは主であるレオンの命に従い、帰路を辿
り始める。
その大きな飛竜の上で、二人は、それぞれに廻る想いを馳せていた。
ディアは、自分とは対照的な逞しさを兼ね備えた、この銀色の髪の美しい、蒼く強いまなざしを持つ少年
が、今までの地獄のような日々から、その勇敢な行いで、救いだしてくれたことに、心から感謝していた。
それと同時に―まだ所々で、途切れていきそうになる自らの意識の中で、彼の名前をもう一度思い出そうと
していた。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています