X



トップページ創作発表
683コメント522KB

マルチジャンルバトルロワイアルpart20

0431第四回放送 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/01/04(金) 21:17:02.28ID:qGeYnOkp
 
 
 
【1】


 モニターのスイッチを乱暴に消して、ギラーミンは葉巻に火を点ける。
 ニコチンとタールが肺に染み込む感覚を堪能してから、天を仰いで息を吐く。
 白い煙は室内を僅かに漂っただけで、すぐに天井に吸い込まれていった。
 煙草よりも強い葉巻独特の甘い匂いさえ、根こそぎに飲み込まれてしまう。
 とうの昔に勘付いていた事実が、いまのギラーミンには腹立たしい。
 彼がいる部屋は、窮屈で、無機質で、必要最低限の物品以外は存在しない。
 嗜好品のなかで唯一葉巻だけは許されているが、このように空気清浄機能はやけに優れている。
 また部屋を出ることも許されず、この扱いは奴隷や囚人のそれと大差ない。
 かつては宇宙一の殺し屋とまで称されたというのに、現状はこのザマである。

 なにも――脱獄前と変わらない。

 当然、この仕事が終われば、莫大なマージンが入ってくる。
 そういう契約は交わされているし、『上のヤツら』にしてみればその程度大した痛手でもないだろう。
 契約をいちいち守ってくれる理由もないが、同時に約束を反故にしてくる理由もない。
 そういう輩のほうが支払いがいいことくらい、これまで培ってきた経験でギラーミンは承知している。
 ゆえに、仕事を請けた。
 もとより、職を失った身であったのだ。
 自由を得られるのであれば、飛びつかぬ理由がない。

(『誰でもよかった』……ねえ)

 かつて告げられた言葉が、ギラーミンの脳裏を掠める。
 自分を選んだ理由を尋ねた際、『上のヤツら』はそう言ってのけたのだ。
 辺境宇宙の連中でもなければ、名前を聞いただけで震え上がる――宇宙一の殺し屋に向かって、だ。
 あえて反発を買おうとしてきたような、挑発じみた言い方ではない。
 単に当たり前のことを当たり前に告げるだけの、そんな口ぶりであった。

「けッ」

 不快感を露に吐き捨てて、被っていたテンガロンハットを深く押さえつける。
 全身を包むボディスーツやマントと同色の黒い帽子で、強引に視界を覆ってしまう。
 『上のヤツら』がギラーミンをどう見ているのかなど、とうに分かっていたはずだ。
 それを理解した上で、失ってしまった自由を得るために仕事を請けたのではないか。
 むしろ、膨大な選択肢のなかから自分に白羽の矢が立ったのは、運がよかったと言えよう。
 にもかかわらず、どうしていまになって苛立っているのか。

 ――考えるまでもなかった。

 このこじんまりとした部屋には、殺し合いの会場を映し出すモニターが設置されている。
 六時間ごとの放送時刻をただ待つだけというのも味気ないため、ギラーミンは時折そのモニターを眺めて時間を潰していた。
 さしておもしろいものでもなかったものの、この場には酒も女もないのだから仕方がない。
 当初は野比のび太とドラえもんの二人を追っていたが、どちらも早々に脱落してしまった。
 他に気になる参加者もいないため、適当にザッピングして大きな動きのある映像を眺めるのが恒例となっている。

 先ほどもそうしていたところ、一人の少女が脱落した。
 ギラーミンは彼女の名前を覚えていなかったが、数時間後に読み上げることになるのだろう。
 ともあれ、その少女がギラーミンの癇に障った。
 彼女は死んだ。殺された。
 この場での脱落とは、すなわちそういうことだ。
 別段、驚くことではない。

 が――その態度が問題である。
0434第四回放送 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/01/04(金) 21:18:03.43ID:qGeYnOkp
 
 彼女は満足して死んでいった。
 自ら率先して、他人に自分を殺させた。
 体内に魔獣が棲んでいるからといって、他人に引き金を引かせたのだ。

「気に喰わねえ」

 帽子で表情を隠したまま、ギラーミンは歯を軋ませる。
 死に行くなか、少女は安堵の笑みを浮かべていた。
 これでいいと確信しているかのように、微笑んでいたのだ。
 なにより、それが気に入らない。

 死ぬというのに。

 自由を失うというのに。

 どうして、満足しているというのか。

 人間は死ねば、もう終わりだ。
 この仕事を請けて以来、様々な世界について知ることになった。
 それでも、本当にありとあらゆる世界を見てきたというのに、死ねばどうにもならないという点だけは変わらない。
 あらゆる世界における常識を知らぬワケではないだろうに、彼女は死に際に笑ったのだ。

「気に喰わねえ」

 再度、吐き捨てる。
 いや、違う。
 再度ではない。
 再度どころではない。
 もう何度目かになるか分からないほど、毒づいてばかりだ。
 はたして、なにがこんなに気に喰わないというのか。

 ゆっくりと思い返していこうとした――そのときだった。

 微かな物音もなく。
 一切の兆候もなく。

 なにか――形容し難い気配が現れた。

 それも、すぐ近くに。
 この狭い部屋のなかに。
 手を伸ばせば届く範囲に。
0439第四回放送 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/01/04(金) 21:19:31.24ID:qGeYnOkp
 
「……ッ」

 反射的に、ギラーミンは腰かけていた椅子から跳び上がる。
 凄まじい速度で、視界を遮っていたテンガロンハットをかぶり直す。

 明らかになった視界の先には、一人の男が悠然と立っていた。
 身に纏っているのは、高級そうな黒いスーツ。
 金色の髪はきめ細かく、背中の半ば辺りまで伸ばされている。
 初対面の男だったが、ギラーミンはその目に見覚えがあった。
 猛禽類を連想させる鋭い目付きは、これまで放送の原稿を手渡してきた三人の男女と同じものだ。
 その三人からも奇妙な雰囲気を感じたが、眼前の男は別格だった。
 彼らは得体のしれないものを隠しているような気配を放っていたが、この男だけは違う。
 すべてを呑み込んでしまいそうな――そんな、得体の知れなさを上回る底知れなさがある。

「いったいなにが気に喰わないんだい、ギラーミン」

 ギラーミンの動揺を見透かしたような笑みを浮かべて、男が尋ねてくる。
 それに対して、ギラーミンは平時と変わらぬ口調を作る。

「…………まだ次の仕事には早いはずだ、四人目さんよ」

 すると、男は大げさに肩を竦めた。
 そんな演技じみた動作ののちに、ゆっくりともったいぶって口を開く。

「この部屋に来たのは四番目だが、私は『四人目』などではない」

 ギラーミンが眉をひそめると、男は聞いてもいないのに説明を始めた。

「母(アリス)の葛藤を移し、それぞれに異なる解答を導き出すように生まれた『キースシリーズ』。
 私は、その長兄たるキース・ブラックの『模造品』だ。決して『四人目』ではないし、また断じて『一人目』でもない」

 真の一人目は、殻のなかに潜んでいた父に呑み込まれた。
 ブラックは自嘲気味な笑みを浮かべながら続けたが、ギラーミンにはその意味を察することはできなかった。



 ◇ ◇ ◇
0443第四回放送 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/01/04(金) 21:20:47.16ID:qGeYnOkp
 
 
 
【3】


 ――――ギラーミンが指をほんの少し動かしただけで、銃口を向けられていた扉は消し飛んだ。

 彼の手元で白煙を吐く拳銃の名は、ジャンボガンと言う。
 その名に恥じぬ威力でありながら、反動は驚くほど少ない。
 『上のヤツら』が用意した得物であり、野比のび太が手にしたこともあるらしい。

「大層なもん用意してくれたもんだ」

 満足げに呟いて放送室を一歩出ると、そこには闇が広がっていた。
 闇のなかにいくつか気配があるが、そのいずれもギラーミンの求める相手ではない。
 ゆえに気配のほうに向き直ることもせずに、目指すべき扉へと歩み寄っていく。

「ギラーミン……!? 貴様、いったいどういうつもりだ!?」

 声をかけられたので仕方なく振り返ると、三人の男女がいた。
 これまで三度の放送の度に、原稿を用意してきた連中だ。

「どういうつもりもなにもねェ」

 彼らも、所詮は『上のヤツら』の指示に従っているだけだ。
 そんな操り人形に用はないので、ギラーミンは短く答えることにした。


「テメェらと違って、俺は俺だ。
 俺本人であって、他の何者でもねえ」


 返事を待たず、闇のなかにある一つの扉に駆け寄っていく。
 緊急時用に備え付けられた『上のヤツら』の元に通じる扉だ。
 扉を開けると、眩い光が漏れ出してくる。
 あまりの光度に内部の様子は窺えないが、ギラーミンは躊躇せずに一歩踏み込んだ。
0444第四回放送 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/01/04(金) 21:21:49.88ID:qGeYnOkp
 
 
 ――――瞬時に、視界が切り替わる。


 次の瞬間には、ギラーミンはこれまでいたのとは違う場所に立っていた。
 殺し合いの説明を行った大広間でも、窮屈な放送室でも、闇だけが広がる空間でもない。
 完全に異なっている、また別の場所。
 遠く離れた地点なのか、あるいはすぐ近くなのか、そもそも同一世界であるのか否か――
 推測することさえまったく不可能であるが、ともかくギラーミンが求める相手はそこにいる。

 あるいは――在る。
 もしくは――有る。

 なんにせよ、たしかにそこに存在していた。

「よォ……遅れたな」

 そう、遅れた。
 あまりにも、遅れてしまった。
 殺し合いが始まってから二十時間ほど経過しているが、そんな程度ではない。
 二十時間前よりずっと早く、こうして相対するべきだったのだ。
 なぜなら、ギラーミンは決闘者であるのだから。
 すでに大局が決まっていてなお、一対一の決闘を申し込むような男であるのだから。
 なまじ決闘後も生き延びてしまったために、刑務所などに収容されてしまったために、うっかり忘れてしまっていた。

 欲しているのは自由などではない。
 仕事を成し遂げるという成果でもない。

 ただ、納得をしたいのだ。

 戦争屋は生き抜くためにあらゆる手段を使うが、決闘者は――納得がいく結末を得るために手段を絞る。

 なぜ、満足した笑みが気に入らなかったのか。
 そんなものは、一度気付いてしまえば明白だった。
 自分がどういう人間であったのか思い返せば、すぐに分かった。
 なによりそれを求めていたはずの自分が、それを放棄していたからに他ならない。
 ギラーミンがギラーミンであるのなら、他ならぬギラーミン自身を許してはならなかったのだ。

(…………感謝してやるぜ)

 自分自身を思い出すきっかけを与えてくれた男に、ギラーミンは胸中で頭を下げる。
 そうしてから、テンガロンハットを高く掲げた。

「こいつが合図だ」

 言って、テンガロンハットを上空へと放り投げる。
 戦争屋なら問答無用で銃を抜くだろうが、ギラーミンはそれをしない。
 舞い上がった帽子が地面に触れるのを待ちながら、口角を吊り上げる。
 少し前まで苛立たしかった笑みとて、現在のギラーミンには浮かべることができるのだった。



 ◇ ◇ ◇
0446第四回放送 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/01/04(金) 21:22:22.05ID:qGeYnOkp
 
 
 
【4】



 闇の広がる部屋に残された三人は、ギラーミンが入っていった扉を見据えている。
 扉の向こうからは銃声はおろか、物音一つ聞こえてこない。
 すでにギラーミンが入ってだいぶ経っているが、はたしてどうなったのであろうか。
 誰一人として口を開こうとせず、闇のなかには静寂が広がっていく。

「――ふふ。この場合、放送はどうなるのだろうな?」

 静寂を破ったのは三人の誰でもなく、放送室から戻ってきたブラックだ。
 三人は目を見開いたのち、合点がいったような表情となる。

「ブラック兄さん、貴方がギラーミンをけしかけたの?」

 問いかけたのはバイオレットだったが、その疑問は三人共通のものであるらしい。
 シルバーとグリーンは驚いた素振りも見せずに、ブラックに鋭い視線を飛ばしている。

「けしかけた? バイオレット、君がなにを言っているのか分からないな」
「その演技に付き合うのにも飽きた」
「辛辣だな、シルバー。
 飽きるほど長い付き合いじゃないだろう。私たちが作られてから、三日と経っていないのだから」

 やれやれと口に出して、ブラックは長い金髪を掻き揚げる。

「私が他人をけしかけたりなどしないことは、『アレックス』の記憶を持つお前がよく知っていることだろう?」

 シルバーの視線が、よりいっそう鋭くなる。
 キースシリーズ随一の威圧感が膨れ上がるが、ブラックは意に介さずに続ける。
0447第四回放送 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/01/04(金) 21:22:53.20ID:qGeYnOkp
 
「私は、父とは違う。
 他者の意思に干渉などしない。あくまで、少し言葉を交わしただけだ。
 ギラーミンの造反は彼が勝手にやったことであり、私のあずかり知るところではない。
 ただ、私たちの知るギラーミンという人間らしい行動ではあったが、それはやはり彼自身の『意思』ゆえのものだろう」

 再び、静寂が闇のなかに広がる。
 たっぷり一分ほど待って誰も切り出さないのを確認してから、ブラックは胸ポケットに手を伸ばす。
 取り出されたのは、掌に乗るサイズの小さな砂時計だった。

「命というものは、このように止まることなく落ち続けている。
 我々ARMS適正者とて、いずれすべての砂が落ち切って息絶えてしまう。
 死は避けられないにもかかわらず、こうしてガラスに閉じ込められている。
 自分ではない何者かによって作られた、目に見えないガラスにだ。
 あの男は自らの手で、ガラスを砕きに行った。その結果すべての砂が落ちると承知の上で――な」

 言い終えても、返事はない。
 繰り返したりはせず、ブラックは砂時計を胸ポケットにしまう。

「ではな、放送まで休む予定だったのを忘れていたよ」

 三人に背を向けて数歩踏み出したところで、いきなり呼び止められる。
 キースシリーズの末弟、グリーンだ。

「待って、兄さんッ! もしかして、兄さんは――みんなに『希望を探せ』と言うの!?」

 予期せぬ内容に、ブラックは言葉を失ってしまう。
 しばしの時間をかけて意味を理解すると、思わず笑いがこみ上げてくる。
 どうやら、弟妹たちは随分と壮大な勘違いをしていたらしい。

「なにを言い出すかと思えば、『希望』とは……下らないな」

 どうにか笑みを抑えて、嘘偽りない真実を告げてやる。


「そんなものを探せなど、私は一度として思ったことはないよ」


 断言して、ブラックは闇のなかに消えていく。
 弟妹たちの声が背中へと浴びせられたが、もう止まってやるつもりはなかった。
0452第四回放送 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/01/04(金) 21:23:58.45ID:qGeYnOkp
 
 
 
 ◇ ◇ ◇





【5】


 ――――放送の原稿は、時間通りに出現した。





 ◇ ◇ ◇
 
 
 
0455第四回放送 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/01/04(金) 21:24:30.88ID:qGeYnOkp
 
 
 
【6】


 殺し合い開始から、ついに丸一日が経過した。
 幸運な、あるいは不運な生存者の諸君、放送の時間だ。
 これまで通りに、禁止エリアと死者を告げていく……が、その前に報告しておくことがある。

 すでに気付いているだろうが、放送の担当者が変わった。
 私の名は、キース・ブラックという。
 単なる進行役でしかないので、別に覚えてもらわずとも結構だ。
 私の名前よりも気になることが、君たちにはあることだろうしな。
 余計な疑問を抱いたせいで殺し合いに支障が出るのも好ましくないので、君たちの抱いている疑問を解消するとしよう。

 ギラーミンは――殺された。

 この殺し合いを企てた首謀者の手によって、な。
 君たちが目の敵にしていたギラーミンは、所詮は表向きの進行役に過ぎなかったというワケだ。
 この私のような替えが、いくらでも利く――ね。

 少し頭の回るものならば、すぐに違和感を抱いたことだろう。
 殺し屋稼業を営めなくなったからといって、このように大それた汚名返上の場など設けるものか。
 だいたい、諸君らほどの手練れを気付かれずに一気にさらえるのならば、殺し屋でなくとも十分に裏稼業で儲けられる。
 殺し合いの首謀者を殺せば願いが叶うというのも、なかなかおかしな話だ。
 裏に願いを叶えてくれる存在がいなければ、そんなものは到底不可能だろう。死人がどうして願いを叶えられる?
 にもかかわらず、ギラーミンが首謀者と疑わぬものが少なからずいたのには、多少驚いてしまった。
 随分と素直で、見ていて微笑ましくなるほどだった。
 諸君らは、もっと他人を疑うことを覚えたほうがいい。
 せっかくここまで生き延びたのだから、下らぬ勘違いで命を落としたくはないだろう?

 …………話題が逸れてしまったな。
 いい加減に、本題に入るとしよう。
 まずは禁止エリアから発表していこう。
 決して復唱しないので、考え込むのはあとにしたほうがよいだろう。
0456第四回放送 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/01/04(金) 21:25:10.26ID:qGeYnOkp
 
 
 01:00よりH−6。


 03:00よりC−3。


 05:00よりC−5。


 以上、三エリアだ。
 では、死者の発表に移るとしよう。


 アルルゥ

 伊波まひる

 真紅

 トニートニー・チョッパー

 ニコラス・D・ウルフウッド

 古手梨花

 ブレンヒルト・シルト

 ラッド・ルッソ

 竜宮レナ

 ロベルタ


 メモを取るなどして死者の名を数えているものならば分かるだろうが、残る参加者は十四名となった。
 つまり未だ生存している諸君らは、他の十三名より長生きすればいいということだ。
 盤上に最後に唯一残るコマになるべく、これまで通りに精を出してくれたまえ。



【第四回放送 終了】
【残り参加者 14名】
0460第四回放送 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/01/04(金) 21:25:59.05ID:qGeYnOkp
 
 
 
 ◇ ◇ ◇



【2】


「テメェが何人目かなんざ知ったこっちゃねえ。
 ただよォ、『模造品』ってのはいったいどういうことだ」

「喩えでもなんでもない。そのままの意味さ。
 私は、キース・ブラックの肉体と記憶を持つだけのクローンだ。
 君の言う『上のヤツら』に作られた――ね。
 最初に訪れたシルバーも、次のグリーンも、先ほどのバイオレットも同様さ。
 ゆえに我々はとある世界にいる四人のキースシリーズの模造品であって、断じてキースシリーズのオリジナルではない」

「…………」

「ああ、安心していい。
 君はオリジナルだ。殺し合いに呼び集められた不幸な参加者たちもね。
 あくまで、君の言う『上のヤツら』がこの私に真実を話していたとしたら――だがね」

「……たりめェだ」

「当たり前? ふふ、当たり前か。そう思うのか、君は」

「なにが言いてェ」

「いや、大したことじゃないさ。
 ただ、本当に『当たり前』なのかと思ってね」

「なにがおかしいッ!?」

「おかしくはない。ただ、あまりに不自然なだけでね。
 私の言わんとしていることが、本当に分からないのか?
 それは気付かない素振りであって、本当は訊くまでもないのだろう?
 殺し屋として成り上がった聡明な君ならば、とうに勘付いているはずだろう?
 演技などしたところで無意味だ。一度浮かんだものを完全に忘れ去ることなど不可能だ。
 現に、『本人と変わらぬ肉体』と『本人と変わらぬ記憶』を持つクローンが眼前にいるというのに――
 どうして、君は違うと言える? 言い切ることができる? ましてや、なぜそれが『当たり前』になる?」

「……テメェらと違って、本人だという自覚が――」

「自覚、か。
 そんなものは私だってあったさ。クローンであると告げられ、証拠を目の当たりにするまでは。
 君はどうだ? 自らが肉体と記憶を受け継いだクローンである可能性を前にして、それでも本人であると断言できるか?
 君がクローンであるという証拠はないが、しかし本人であるという証拠もまたないはずだ。
 それでも『当たり前』だと言うならば、その発言に至った確たる証拠があったのだろう?」

「それは――」

「それは……なんだい? 続きは出ないだろう? 口籠るしかないだろう?
 いや、構わない。何一つ間違っていない。それで正しい。
 誰一人として、自分が自分であるという証明などできない。
 証明に至る裏付けが足りないし――そんなものは存在しない」
0462第四回放送 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/01/04(金) 21:27:16.14ID:qGeYnOkp
「…………」

「さて……そうして考えてみると、どうなのだろうな。
 はたして、君は、本当に、ギラーミンという人間なのか?」

「…………」

「宇宙一の殺し屋として名を轟かせ、野比のび太との決闘に敗北し、宇宙警察に逮捕され、どうにか脱獄を成功させるも殺し屋を続けることは難しくなった――あの、ギラーミンなのか?
 宇宙一の殺し屋として名を轟かせ、野比のび太との決闘に敗北し、宇宙警察に逮捕され、どうにか脱獄を成功させるも殺し屋を続けることは難しくなった――そんな記憶を持つだけの模造品ではないのか?」

「俺は――」

「俺は? 何者なんだい? 君は、いったい何者なんだ? 答えられるのならば、是非とも答えてみてくれないか?」

「…………」

「沈黙か。
 正しい解答だ。本人にせよ、別人にせよ、断定できる人間はいない」

「…………」

「ふむ。考え込むか。
 構わない。放送までは時間があるからな。せいぜい考えてくれればいい」

「…………テメェ、なにがしたい」

「なにが、とは?」
0463第四回放送 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/01/04(金) 21:27:47.24ID:qGeYnOkp
 
「そんな情報漏らして、なにを企んでやがる。
 俺が混乱することなんざ、『上のヤツら』は望んでねェだろ。
 少し考えりゃ分かる。今回の件は間違いなく、テメェの独断だろう」

「さすがに察しがいい。
 君が乗り込んで解決しなかった揉め事が、唯一の例外を除いて存在しないだけはある」

「はぐらかすんじゃねえ。答えろ」

「その質問には、我が妹と同じ言葉で返答するとしよう」

「テメェ――!」

「『答える必要はない』」

「…………ッ」

「用は済んだ。
 数時間後に、また訪れるだろう」

「…………待ちな」

「なに?」

「乗ってやるよ、テメェの口車に。
 だが、勘違いするなよ。テメェのためじゃねェ」

 慣れ切った動作で、ギラーミンは腰のホルスターに手を伸ばす。
 銃口を扉に向けると、ずっしりとした重みが腕に伝わってくる。
 随分と久しぶりに銃を握った――そんな気がした。

「他ならぬ俺に、俺が俺だと証明するためだ」



【ギラーミン 存在確認】
【ギラーミン 死亡確認】
0466 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/01/04(金) 21:28:42.93ID:qGeYnOkp
投下完了です。
誤字、脱字、その他ありましたら、指摘してください。
支援ありがとうございました。


ちなみに、これまで『私』だったギラーミンの一人称がいきなり『俺』になっているのは原作通りです。
0469創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/01/04(金) 23:40:19.95ID:Zku2KavT
投下乙です!

ギラーミンが死んだ!?
ギラーマンだのギラーなんとかとか色々言われてきたがここで退場とは
漫画版のような格好いいギラーミンでした

キースシリーズのみならずギラーミンまで偽物の可能性ありとは、
これは会場全員クローンも可能性ありか

しかしキースブラックが参加者の心も主催陣の心もかき回すなぁ
これは放送後一波乱の予感
0470創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/01/05(土) 00:05:14.59ID:z5Qw9vn+
投下乙です!

【ギラーミン 存在確認】が格好いい
最期に決闘者としての意地を貫く、いい最期だった

前回に引き続き存在感が半端ないブラック、真意はどこにあるのやら…

放送で読み上げられる名前を見ていると、
一つ一つドラマがあったのを思い出してホロリとくるな
さて放送開け、参加者は覚悟完了しているのが多い中、揺れ動く主催陣、どちらも一体どう動くのか
0471創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/01/05(土) 01:17:53.58ID:qEj3UcLb
投下乙!
あれ、ギラーミンってこんなにかっこよかったっけ……?
まさか放送役が変わるとは思わなかったからびっくり。
ノリノリでギラーミンを煽っていくブラックが素敵でした。
それにしても『上のヤツら』とは一体どういう集団なのだろうか
0473創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/01/06(日) 14:09:39.15ID:5Jsdkw9k
放送投下乙です!
最後に自分らしく散っていったギラーミンに敬礼!

おっと、そういえば予約解禁はいつからだろうか……
0474創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/01/06(日) 19:08:49.08ID:3PvD0IYu
放送乙です!
ようやく主催関連が進んで来た感じがしますね!

予約解禁日は遅らせるデメリットはあまりなさそうな気がする。
7日の0:00からか8日の0:00からは?
0479創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/01/09(水) 22:24:34.41ID:qNdT/Usw
おそらく需要はないが支給品移動をまとめてみた

表記
数字:話数
(→○○) : 次の話でその人物に移動
(○○より) : その話でその人物から取得
* : 初登場
≪○○≫: 破壊or消滅
<○○> : 不明or放置
死亡後の(→○○) : 支給品が一括で移動
0480創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/01/09(水) 22:28:29.61ID:qNdT/Usw
6/6【うたわれるもの】
○ハクオロ
026【所持品】:基本支給品一式、不明支給品1〜3個(未確認)
042【装備】:(ミュウツーから)*ガイルの剣(血塗れ)@ポケットモンスターSPECIAL *スモーカー大佐の十手@ONE PIECE
【所持品】:基本支給品一式、不明支給品0〜2個(確認済み)
061【装備】:ガイルの剣@ポケットモンスターSPECIAL スモーカー大佐の十手@ONE PIECE
【所持品】:(トウカから)大型レンチ@BACCANO!、(トウカから)ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、
基本支給品一式、不明支給品0〜2個(確認済み)
070【装備】:ガイルの剣@ポケットモンスターSPECIAL スモーカー大佐の十手@ONE PIECE
【所持品】:大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、基本支給品一式、
*クチバの伝説の進化の石(炎、雷、氷)@ポケットモンスターSPECIAL
091【装備】:ガイルの剣@ポケットモンスターSPECIAL スモーカー大佐の十手@ONE PIECE(→クロコダイル)
【所持品】:大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、基本支給品一式、
クチバの伝説の進化の石(炎、雷、氷)@ポケットモンスターSPECIAL
0104【所持品】:大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、基本支給品一式、クチバの伝説の進化の石(炎、雷、氷)@ポケットモンスターSPECIAL
≪ガイルの剣は橋の上に落ちています →橋崩落≫
0123【所持品】:大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、 基本支給品一式×2<ハクオロ、魅音>、
クチバの伝説の進化の石(炎、雷、氷)@ポケットモンスターSPECIAL、 (魅音より)空気ピストル@ドラえもん (魅音より)メリルのハイスタンダード・デリンジャー(2/2)@トライガン・マキシマム 、
(魅音より)排撃貝@ONE PIECE、 (魅音より)デリンジャーの残弾20
0136【所持品】:基本支給品一式×4、 (切嗣より)コンテンダー・カスタム@Fate/Zero 、(切嗣より)防災用ヘルメット、
(切嗣より)コンテンダーの弾薬箱(スプリングフィールド弾27/30) 、(切嗣より)ロープ×2、(切嗣より)消火器、(切嗣より)防火服、 (切嗣より)カッターナイフ、
(切嗣より)黒色火薬入りの袋、大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、(→B-4河原(北岸)→美琴より)双眼鏡、
(→B-4河原(北岸)→美琴より)医薬品多数、(→B-4河原(北岸)→美琴より)ライター、 (→B-4河原(北岸)→美琴より)起源弾@Fate/Zero(残り28発)、
クチバの伝説の進化の石(炎、雷、氷)@ポケットモンスターSPECIAL、
空気ピストル@ドラえもん メリルのハイスタンダード・デリンジャー(2/2)@トライガン・マキシマム 、排撃貝@ONE PIECE、 デリンジャーの残弾20、
(→B-4河原(北岸)→美琴より)鉄パイプ爆弾×4、(→B-4河原(北岸)→美琴より)*治癒符5枚@終わりのクロニクル
0148【所持品】:基本支給品一式×4、 コンテンダー・カスタム@Fate/Zero 、防災用ヘルメット、コンテンダーの弾薬箱(スプリングフィールド弾27/30) 、
ロープ×2、消火器、防火服、 カッターナイフ、黒色火薬入りの袋、大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、
双眼鏡、医薬品多数、ライター、 起源弾@Fate/Zero(残り28発)、クチバの伝説の進化の石(炎、雷、氷)@ポケットモンスターSPECIAL、 空気ピストル@ドラえもん
メリルのハイスタンダード・デリンジャー(2/2)@トライガン・マキシマム 、排撃貝@ONE PIECE、 デリンジャーの残弾20 鉄パイプ爆弾×4、治癒符5枚@終わりのクロニクル
0160【所持品】:基本支給品一式×4、 コンテンダー・カスタム@Fate/Zero 、防災用ヘルメット、コンテンダーの弾薬箱(スプリングフィールド弾27/30) 、ロープ×2、消火器、防火服、
カッターナイフ、黒色火薬入りの袋、大型レンチ@BACCANO!、ミュウツー細胞の注射器@ポケットモンスターSPECIAL、双眼鏡、医薬品多数、ライター、 起源弾@Fate/Zero(残り28発)、
クチバの伝説の進化の石(炎、雷、水)@ポケットモンスターSPECIAL、 空気ピストル@ドラえもん メリルのハイスタンダード・デリンジャー(2/2)@トライガン・マキシマム 、
排撃貝@ONE PIECE、 デリンジャーの残弾20 鉄パイプ爆弾×4、治癒符5枚@終わりのクロニクル
0173死亡
(→佐山)
<大型レンチ@BACCANO! A-2古城跡・庭園に放置>
0481創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/01/09(水) 22:29:35.88ID:qNdT/Usw
○エルルゥ
033[装備]:*悟史の金属バッド@ひぐらしのなく頃に [道具]:基本支給品一式・首輪探知機(→バラライカ)、
*アミウダケ@ワンピース *サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、*庭師の如雨露@ローゼンメイデン
057死亡
(→E−2→クリストファー、沙都子)

○アルルゥ
015[装備]:*おはぎ@ひぐらしのなく頃に [道具]:支給品一式、不明支給品(1〜3)
036[装備]:おはぎ@ひぐらしのなく頃に [道具]:支給品一式、(一つ使用)*ニースの小型爆弾×4@BACCANO!、
不明支給品(0〜2)
065[装備]おはぎ@ひぐらしのなく頃に [道具]支給品一式、ニースの小型爆弾×4@BACCANO!、不明支給品(0〜2)
078[装備]なし [道具]支給品一式、ニースの小型爆弾×4@BACCANO!、不明支給品(0?2)
おはぎ@ひぐらしのなく頃に 完食
0118[道具]支給品一式×2<アルルゥ、仗助>、ニースの小型爆弾×4@BACCANO!、 不明支給品(0〜2) <アルルゥ>(→クリストファー)、
(仗助から)不明支給品(0〜1)<仗助>
0130[道具]支給品一式×2<アルルゥ、仗助>、ニースの小型爆弾×4@BACCANO!、不明支給品(0〜1) <アルルゥ>、不明支給品(0〜1)<仗助>
0135[装備]なし [道具]支給品一式×2<アルルゥ、仗助>、ニースの小型爆弾×1@BACCANO!、 不明支給品(0〜1)<仗助> 、*ひらりマント
0150[道具]支給品一式×2<アルルゥ、仗助>、ニースの小型爆弾×1@BACCANO!、不明支給品(0〜1)<仗助> 、ひらりマント
0156[装備](春日→F-2橋付近より)トウカの刀@うたわれるもの [道具]支給品一式×2<アルルゥ、仗助>、ニースの小型爆弾×1@BACCANO!、
不明支給品(0〜1)<仗助> 、ひらりマント
0172[装備]無し [道具]無し
(→E-2林の何処か)
0177[装備]無し [道具](E-2林の何処かより)支給品×2<アルルゥ、仗助>、 (E-2林の何処かより)不明支給品(0〜1)<仗助> 、
(E-2林の何処かより)ひらりマント、(E-2林の何処かより)トウカの刀@うたわれるもの
0183[装備]無し [道具]支給品×2<アルルゥ、仗助>、 不明支給品(0〜1)<仗助> 、ひらりマント、トウカの刀@うたわれるもの 
0192[装備]無し [道具]無し 
(→ライダー)
0193[装備]:無し [道具]:(ライダーより)支給品×2<アルルゥ、仗助>、(ライダーより)不明支給品(0〜1)<仗助>、
(ライダーより)ひらりマント@ドラえもん 、(ライダーより)トウカの刀@うたわれるもの、(グラハムより)サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL
0194死亡
(→ミュウツー)
0487創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/01/12(土) 16:15:48.25ID:S4X/opr/
アルルゥ、レナ、梨花が死んで
放送で一番ダメージ大きいと思ったサトコがどうなるかも気になるな。
症候群再発なんてこともあるか?
0491ハロー・モンスター ◆Wott.eaRjU
垢版 |
2013/01/14(月) 22:24:34.83ID:c1vBymtH
列車とは人間が数多く発明した中でも素晴らしいものだと思う。
列車は地に寝そべった線路を伝い、どこまでも進んでいく。
道が続く限り、旅を求める人間が居る限り、列車は止まらない。
喜び、怒り、悲しみ、楽しみ。誰しもが持つ感情が、人の数だけ詰まっている。
社会的な身分や肩書による違いはない。列車は、ただ彼らを等しく迎えてくれる。
ただし、列車の運行を邪魔しなければという決まりはある。
もし、それが破られそうになった時は。
その時こそが、『車掌』の出番だ。


思えば案外と気に入っていたのかもしれない。
人の想いを乗せて走る、箱船の番人が。
たとえ本業である便利屋を忍ぶための、仮初の姿としてもだ。
今までの業務で手を抜いたことなど一度もない。
だからこそ、途中で投げ出してしまった仕事は終わらせなければいけない。


決めたのだから。
この仕事は必ず最後までやり通すのだと。
車掌の仕事だからというわけじゃない。
そもそも、もう名前や肩書なんて大した意味は持たないのだから。
ただ、自分が決めた世界のルールを覆すような生き方はしたくない。


数々の名を捨て、一人の『“怪物(モンスター)”』は依然として世界に立っている。



◇     ◇     ◇
0492ハロー・モンスター ◆Wott.eaRjU
垢版 |
2013/01/14(月) 22:25:48.46ID:c1vBymtH
身体の調子はある程度までは戻ってきた。
赤い毛髪を生やした男は、やや暗い表情を浮かべながらそう考えていた。
数時間前の戦闘が、鮮明に脳裏をよぎる。
勝ちはしたものの、彼が支払った代償は確かにあった。
数を減らした弾薬に、背負わされた疲労に、うちつけられた無数の傷。
だが、弾薬以外の問題は既にかなりといっていい程に解決している。
弾薬だって、新しいものがきっとその内手に入るだろう。
なにせこの世界は彼の一部のようなもの。
すぐには難しいとしても、自分の望みを無下にすることなんて出来やしないのだから、

「あー……どうにも調子が狂うよな。勉強にはなったけどさ」

両手を組み、そのまま頭上に上げて軽く伸びる。
伸ばされた身体と共に吐き出された一言は、内容とは裏腹に呆れるほどに軽い。
死線を潜り抜けてきたばかりとはとても思えない言葉だ。
先程のチョッパーだけでなく、彼はこの殺し合いで多くの参加者と戦った。
力を持つ者、持たない者と分け隔てなく戦った彼は、今までにない苦労を味わった。
力を持った者は誰もが一級であり、力を持たない者も最後まで抵抗をしてくれた。
身体が動かしにくい事も含め、ここでは全てが思い通りにいかないことがよく理解出来た。

「丸一日経ったしなぁ。うん、切り替えていこう。俺は――生まれ変わる!!」

不意に何かを振り切るように頭を左右に振り出し、続けて両手で軽く両頬を叩く。
よし、と自らを鼓舞するかのような勢いがそこにあった。
見る見るうちに表情には生気が戻り、両目にも光が浮かぶ。
ちょうど彼が生やしている、燃えさかる赤髪のような色だった。
たとえ本調子ではなくても、彼は『世界』のために止まるわけにはいかないのだから。

「俺を入れて、あと14人。先が見えないわけじゃない」

先程聞こえてきた放送の内容を想起する。
死者の数は今までの放送とあまり変わらず。禁止エリアとやらも既に記録は取ってある。
自分が殺した参加者の名前も聞いたが、今更抱く感情はなかった。
いくら自分に喰らいついてきたとしても、死んでしまえば意味はない。
この会場のどこかで知らぬ内に死んでいった幼馴染のように。
ただ、忘れることは決してしない。それが彼なりの彼らに対する敬意の現れなのだろう。

「そういえばギラーミンってヤツは死んだんだな」

死んだ人間はもう一人居るらしい。
この殺し合いの首謀者ではなく、進行役だった男、ギラーミン。
切り捨てられたのかはわからないが、彼にとってはどうでもいい。
まだ新しく進行役となった、キース・ブラックという人間の方が気にはなる。
先程の放送で色々と好き放題言ってくれた事を、彼は覚えていた。
いつかはお礼をしなければいけない。
キース・ブラックの話しに出た、願いを叶えてくれる存在を確認した後にでも。
0493ハロー・モンスター ◆Wott.eaRjU
垢版 |
2013/01/14(月) 22:26:51.81ID:c1vBymtH
「……まったく、どうしてこんなところに居るんだろうな」

思えば不思議な話だった。
便利屋である自分が、金も貰わずに誰かを殺し回っている。
一銭の金にもならないし、殺してやりたいやつらじゃない。
殺すだけでは飽き足らず、ヘンテコな銃を振り回して、奇妙な人形を引き連れている。
不意に幼馴染達が今の自分を見たらどう思うかを考えたが、直ぐに答えは出た。
きっと笑われて、ぶん殴られる。あいつらならそうに違いないと。
だが、彼はただ殴られるだけで終わる男ではない。
彼なら、殴り返す。殴って、取り戻す。
彼は自らが居るべき場所を取り返すために、人を殺している。

「さてと……しんみりするのはもうなしだ。生まれ変わった俺は一味違う」

死んだ者はもう戻ってこない。
『何でも願いを叶える』という言葉に彼は騙されるつもりはない。
死者が戻ってくる事など絶対に有り得ないと、言われるまでもなくわかっている。
だからこそ、残ったものは取りこぼしたくはない。
まだ生きている筈の幼馴染達の無事をこの目で確認する。
そのために自らの鍛え上げた技術と力以外に、傍らに立つ人形だって利用する。
段々と扱い方に慣れ、時間の止め方のコツも掴めてきたのだから。
やがて、彼の視界に大きな建築物が飛び込む。
どこへ行く理由も目的もなく、ただひたすらに南下し続けていた彼は、表情を崩した。


「“怪物(モンスター)”は“怪物(モンスター)”らしく、お城にでも攻め込むさ。
“騎士(ナイト)”の歓迎の一つでも、あったら嬉しいけどな」


A-2、古城跡。
名前を捨てた『怪物』は、奇しくも同じ『怪物』が待つ場所を見つけた。
そこで待つ『怪物』は、彼が喰らった『怪物』の仲間であることを彼はまだ知らない。




一人の『“怪物(クレア・スタンフィールド)”』は依然として世界を回し続けている。
0494ハロー・モンスター ◆Wott.eaRjU
垢版 |
2013/01/14(月) 22:27:29.18ID:c1vBymtH
【A-2/2日目 深夜】
【クレア・スタンフィールド@BACCANO!】
[状態]:疲労(小)、全身に打撲
[装備]:スタンドDISC『スター・プラチナ』@ジョジョの奇妙な冒険、スプリングフィールドXDの弾丸×7、拳銃の予備弾×30
    二重牙@トライガン・マキシマム(20%、70%)、AMTオートマグ(0/7 予備弾×15)
[道具]:支給品一式×5<クレア、一方通行、レヴィ(一食消費、水1/5消費)、クリストファー、カルラ>、未確認支給品(0〜1)
    クリストファーのマドレーヌ×8@バッカーノ!シリーズ、ミカエルの眼の再生薬×3@トライガン・マキシマム
    噴風貝(ジェットダイアル)@ONEPIECE、応急処置用の簡易道具@現実、痛み止め
    パ二ッシャーの予備弾丸1回分、ロケットランチャーの予備弾頭2個
    ○印のコイン、AK47カラシニコフ(0/40、予備弾40×3)、蓮の杖@とある魔術の禁書目録
[思考・状況]
基本行動方針:優勝し、キース・ブラック達から元の世界へ戻る方法を聞き出す。
 1:優勝のために他の参加者を殺す。迅速に、あらゆる可能性を考慮して。
 2:フィーロを殺した相手が分かったら、必ず殺す。
 3:スター・プラチナに嫌悪感はあるがある程度割り切っている。
【備考】
 ※参戦次期は1931~特急編~でフライング・プッシーフット号に乗車中の時期(具体的な時間は不明)
 ※ほんの一瞬だけ時間停止が可能となりました。
  ※名前を聞いていなかった為、カズマとクリスの死を知りません。
 ※もう一度ミカエルの眼の再生薬を服用すれば、命に係わるかも知れないため使用しないほうがよいと思っています。
 ※○印のコインの意味は不明です。使い道があるのかもしれませんし、ないのかもしれません。
0495 ◆Wott.eaRjU
垢版 |
2013/01/14(月) 22:29:10.77ID:c1vBymtH
投下終了しました。
何かあればお願いします。
0496創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/01/14(月) 23:05:19.20ID:KfH8XUei
投下乙です!

うお、ロワにきて味わった苦戦やコンクリートや悲しみや何もかも
一言で区切りをつけてしまえるとは…!
クレアの怖いところは天才的な戦闘力よりなによりこの精神の怪物的な強靭さだなぁ

残念、お城にいるのは騎士じゃなくて剣士だw
そういやチョッパーの最期を仇の口から語られることになるゾロの心境はいかほどか
古城勢にとって一番戦いの相性の悪そうな奴が最初にやってくる、
これは一体どうなるんだ
0497創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/01/14(月) 23:24:57.84ID:4j50ESZG
投下乙です!
クレアさっぱりと生まれ変わるの巻。一日経ったのをこう使うとは。
原作最新刊で達人10人相手に舐めプして遊んでたし、何人相手でもガチで負けるビジョンが見えないぞ、この怪物は。
ゾロの技とか佐山の細工とか全部見抜きかねない努力する天才に対して古城組はどう戦っていくのか…
0498創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/01/17(木) 02:03:03.20ID:yURhJ7Bp
投下乙!

生まれ変わった、凄い表現だ
今までの諸々を切り捨てるのではなく、切り替える
さてもう一人の世界の中心と出会っても、陽気な怪物は世界を回せるかな
0499 ◆OQO8oJA5SE
垢版 |
2013/01/17(木) 23:36:50.40ID:EfNz4hr2
したらばの方にも書きましたがこちらでも。
このたび延長しましたが、遅れ気味だったところ諸事情により執筆時間がとれず
完成は困難だと判断いたしまして、予約を破棄させていただきます……
楽しみにされていた方、申し訳ありませんでした。
0506創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/02/15(金) 00:26:19.08ID:2f+u0Aa+
おお!バレンタイン仕様だ!!
アルルゥ可愛いなぁ。でも二枚目wwwwww

予約も楽しみ!
0507創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/02/15(金) 02:33:21.34ID:H+7bSKtX
うおおおおおお! 熱い支援が着ている!
これはテンションあがらざるをえない
0508創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/02/15(金) 02:37:41.08ID:iJJkBMEh
かわゆす
0510創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/02/15(金) 23:12:45.02ID:jiJSBiaV
ゲームで吉良の声が聖上&ケリィと同じだと聞いて、ここを思い出してしまった
0512 ◆5ddd1Yaifw
垢版 |
2013/02/17(日) 22:07:14.53ID:SCAdms2i
予約分が完成したので投下します。
0513リスタート・ワールド ◆5ddd1Yaifw
垢版 |
2013/02/17(日) 22:08:16.10ID:SCAdms2i
クエスチョン

小鳥遊宗太にとって、伊波まひるとはどのような存在ですか?

アンサー

――――。



##########



どうして、彼女が死ななければいけなかったんだ。
俺が第一に思ったのは、伊波さんの死の否定だった。
死。消失。デリート。
言葉では様々ではあるが、確かなことは一つ。

伊波まひるとは、もう二度と会えない。

悔しいに決まっている。悲しいに決まっている。
この胸を締め付ける鈍い痛みは、俺の思考力を削ぎとっていく。
君の笑顔をもう見れないという純然たる事実は、俺をへたり込ませるには十分だった。
出会いは碌なものではなかったけれど、俺にとっては思い出となっていたんだ。
そもそも、いきなり殴られるなんて予想もつかないって。
あれはすごく痛かったなぁ……。

ああ、戯言だ。

もう会えないとわかっていながらも、俺はこの戯言――逃避を抑えることはできない。
伊波さんのことを忘れて、前を向くことなんて出来はしない。
伊波さんはよくもわからない怪物に乗っ取られて、一度は助けられたと思ったのに。
結局、死んでしまった。いや、殺された?

殺したのは誰だ? あの銀色の小さな女の子?

殺されたらどうする? 復讐でもするのか?

「できる訳……ないだろッ!」

小さなものを愛する俺にはどうしても、それができなかった。
復讐に身を任せることが一番の逃げ道と理解しているのにもかかわらずだ。
どうあっても、超えてはいけない境界線を超えることを、俺は許せない。
畜生…………。
畜生、畜生、畜生。
俺は……俺は……っ!
0514リスタート・ワールド ◆5ddd1Yaifw
垢版 |
2013/02/17(日) 22:09:45.44ID:SCAdms2i
「ああああっ、ぁぁアアア、がああああああああっ!」

口から自然と叫び声が上がる。
大きな声を叫び散らして。掠れた声を何度も何度も絞り散らして。
そうでもしないとやっていられない。
彼女を失った痛みを少しでも和らげる為にも。

そして、和らげるが故に、優勝という甘美な誘惑に一瞬、心を揺らされてしまった。

きっと、望まない。
伊波さんはこんなこと、望まない。
佐山君達を殺して、俺が優勝して。
君を蘇らせるという願い事を――否定するだろう。
そもそも、優勝するにしても……俺一人で残りの参加者達を倒せるのか?

ノーだ。断言できる。

怪我をしている佐山君にさえ敵わない俺が、できるわけがない。
それでも。それでも。それでも……っ!
俺は君の笑顔を、もう一度見たいんだ。
こんなにも辛いなんて思わなかったんだ。
君がいない世界が寂しいと思ってしまうなんて、ね。

それは何故?
どうして、俺はこんなにも伊波さんの笑顔を見れないことが辛いんだ?
もう一度――彼女の蘇生を考えてしまうくらいに、恋焦がれてしまうんだ?

「もしかして?」

そう、あるはずのない可能性。
俺が小さなもの以外で、12歳以上の年増を好きになる訳がない。
だけど。伊波さんともう会えないと知った今、俺は何を考えていた?
どうにかして、彼女の笑顔を見たいと思わなかったか?
また一緒に、君とワグナリアで働きたいと考えなかったか?
少し顔を赤く染めて微笑む彼女を可愛いと思わなかったか?

「……気づくな、気づくなっ!!!! 気づいたら、戻れなくなる…………っ」

――もう遅い。遅すぎた。
散らばっていたパズルのピースは全て揃ってしまった。
もう、気づいてるはずなんだ。
確かめようがないなんて嘘っぱちだ。
そんなの、俺が作った逃げ道でしかない。
彼女の想いの行方はわからずとも、俺の想いの行方はわかるはずだ。
俺自身が認めたくなくて、逃げているだけ。
0515リスタート・ワールド ◆5ddd1Yaifw
垢版 |
2013/02/17(日) 22:13:00.14ID:SCAdms2i
「俺は、俺は……っ! 伊波さんのことが」

自然と、口から言葉が漏れだしてしまう。
もう、出してしまうしかない。
だって、仕方がないだろう? これ以上は誤魔化しがきかないんだから。
小鳥遊宗太が伊波まひるに対してどう思っていたかって?
そんなの、決まってるだろ……!

「すき、だったんだ――――!」

好きだよ! ああ、好きだったよ!
彼女のことが心の底から好きだった!
そんな彼女が目の前で崩れていくのを見て、俺は思ったさ!
どうしてって! まだ、俺は君にハッキリと好きだって伝えていないのに!

「ごめんっ……ごめん……! 好きって言えなくて、ごめん……!」

もっと、速く。この殺し合いに呼ばれる前に伝えていれば。
俺が勇気を出して、君に向き合っていれば。

「……くそっ。クソっっ!!」

もう過ぎたことだ。伊波さんは死んで、俺はまだ生きている。
俺だけが生きているのだ。
だから――。

「生きてやる……絶対、最後まで生き残ってやる!」

――俺は生きるよ。君が繋いでくれた分まで。
後追い自殺? それだけはやってはいけない。
俺が死んだら、誰が伊波さんの死をワグナリアの皆に、伊波さんのお父さんに伝えられるのだ。
この役目は俺しかいない。否、俺だけしかやってはいけない“仕事”だ。

「このまま不貞腐れてちゃ、いけないよな……!」

結構、時間はかかったけれど。
立ち上がろう。横に君が並び立ってくれないのは悲しいけれど。
心に、君を強く刻み込む。それで、今は我慢しよう。
君の好きなままの小鳥遊宗太でいるから。
他の誰が君を忘れることになったとしても。忘れない、君のこと。

「俺は……伊波さんが好きでした!」

もうすぐ、現実――どうしようもないぐらいにクソッタレっている世界に意識は戻るだろう。
きっと、辛い。何度も君がいない事実に、俺は苦しめられると思う。
ずっと、ずっと。俺は――君を想って痛みを抱えてしまうかもしれないけど。
もう少しだけ、頑張ってみようと思うんだ。
いつか、俺が君の元へと向かう時。
今度は俺から、君に好きだって伝えるまで。
だから、今はまたねって。さよならなんかじゃない、こういう時はいつか会えることを考えた方が楽しいから。
0516リスタート・ワールド ◆5ddd1Yaifw
垢版 |
2013/02/17(日) 22:16:31.70ID:SCAdms2i
「またね、伊波さん」

――うん。またね。

だから、気のせいだろう。
振り返った瞬間、君の笑顔がほんの数秒だけ。
俺の視界に映ったのは……気のせいだ。
だけど。そんな幻でも。
嬉しいと思ってしまった自分の現金さに少し笑ってしまって。

「行ってきます」

君の分まで、俺は進むよ。
ゆっくりでも、前に。


##########



クエスチョン

小鳥遊宗太にとって、伊波まひるとはどのような存在ですか?

アンサー

俺が好きだってハッキリ言える女性です。



【A-2 居館一階 応接間/1日目 深夜】
【小鳥遊宗太@WORKING!!】
[状態]:全身に痛み、気絶中(もうすぐ目覚め?)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(一食分の食事を消費)、地下の地図、伊波まひるのヘアピン@WORKING!!
[思考・状況]
1:絶対に生き残る。
※獏の制限により、過去を見る時間は3分と長くなっています。このことに気づきかけています。
※地下鉄を利用するのは危険だと考えています。
※放送は聞いていません。
0518創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/02/18(月) 00:08:14.45ID:fUJn1aWB
投下乙です!

小鳥遊君がついに認めよったぁああああ!
ああくそ、いなみんが生きてる時に落ちてればいいものが見れたかもしれないのに…いや、性格上無理だなぁ
認めるまでの思考が甘酸っぱい、しかし取り返しのつかない思いを
きちんと正面から受け止める所が男前だよ小鳥遊君!
しかし改めて、殺意を抱くこともできないレベルの小さい物好きって筋金入りだ

モヤモヤ組最後の一人、小鳥遊君も吹っ切れて
古城組を待ち受ける波乱に対する準備が出来た、といえるかな
どうなるか楽しみだ
0519創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/02/19(火) 23:42:22.33ID:ECNcQJEX
投下乙!

小鳥遊君ふっきれたか!
いなくなってから気づくとは皮肉だが、ここまでしっかり前を向けたならよかった

いやーでもまさか「俺が好きだってハッキリ言える女性です。」とまで吹っ切れるとは
佐山先生の荒療治がきいたかな
0520創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/02/20(水) 00:00:01.08ID:vY1FwXNr
投下乙!
小鳥遊ついに認めよった!
普段なら絶対に認めなさそうだけど、気絶中だからこれはありえる。
これからの佐山との絡みが気になります!
0521 ◆GOn9rNo1ts
垢版 |
2013/03/12(火) 20:51:07.55ID:c9/+iwJB
御坂美琴、ライダー(イスカンダル)を投下します
0522消失証明・存在証明 ◆GOn9rNo1ts
垢版 |
2013/03/12(火) 20:53:07.56ID:c9/+iwJB
『人の存在、もしくは消失は、他者に認識されることで初めてその事実を浮き彫りにする』


◇ ◇ ◇



劇場。
老若男女の役者によって、華やかさをもたらす大道具によって、アクセントを加える小道具によって、あっと驚く様々な仕掛けによって。
恋した少女と結ばれる喜びを、最愛の夫を喪う哀しみを、裏切った親友への怒りを、ハッピーエンドで締めくくられる楽しみを。
そして、それ以外の大げさな細やかな、ありとあらゆる感情さえも。
観客たちに見せて、聞かせて、感じさせる、人が創り上げてきた文化の拡散場。

そんな世界が、壊されていた。

このホールの主たるステージ。その壁はへこみ、幕は穿たれ、床は抉られた上に一部は『消失』している。
ガンマンたちによる決闘の爪痕は、整えられていた演劇の場をいっそ芸術的なまでに戦いの場へと仕立てあげていた。
一方、客席を汚しているのは折れたり曲がったり絶たれたりしていて元の管の形を保てていない鉄や、もはや誰にも座ってはもらえない千切れたクッション材だ。
砕け散り、散乱している材料たちをよくよく観察すれば、それらが魔王の力によって散らされたパイプ椅子のなれの果てだと分かる。
舞台裏では、男女を助ける役を請け負う人形(デウス・エクス・マキナ)が地面に這いつくばっていた。
とある参加者を殺人鬼から救った見返りを求めることもなく、天から現世へと落とされた天使(大道具)は温和な微笑みを地の底に向けて浮かべ続けている。

まるで小さな戦争が起こったかのような、荒れ果てた様相を露わにする空間だった。
舞台は荒らされ、武器の欠片が打ち捨てられ、天からの遣いは神託を寄越すこともなく沈黙を保っている。
無惨に破壊されたモノたちは、この場で行われた戦いの激しさ、苛烈さを己らの欠損した身体を以て語っている。
しかし、それでもまだ足りないと言わんばかりに、この空間に充満しつつあるモノがあった。
ただの戦いではないと、単なる争いではないと。
まるで戦争のようだと表現し得る、行われたのは殺し合いだと証明し得る要素。

死の香りだ。

それは、人と人とが傷つけ合った結果、外界へと剥き出しにされる命の証。
生を奪い合う戦いの、死を与え合う争いの果てに流出し、戦場を赤黒く染める色。

血の匂いだ。

夥しい量の血液が、一人の人間の身体中から零れ落ちていた。
数々の気に食わない人間を殴り倒してきた、両の腕が断たれていた。
死体を踏みつけ生きている人間を足蹴にしてきた、両の脚が切られていた。
いわゆる四肢たる部分が、本体と永遠の別れを余儀なくされ、客席に転がっている。
作り物では決して有りえない生々しいヒトの残骸が、劇場という優雅たるべき世界を完全にぶち壊していた。
0523消失証明・存在証明 ◆GOn9rNo1ts
垢版 |
2013/03/12(火) 20:54:45.70ID:c9/+iwJB
壊れた世界の隅っこで、彼は空(くう)を見上げていた。


スポットライトの当たらない位置で。
見上げる先には、天井がある。
飽きることなく、何かを求めるかのように。
彼は、届かない高みへと獰猛な笑みを送った。

「なんで」

『落ちていた』彼を見つけ、嘆きを漏らした少女の声がした。
男は返答を行えない。いつもの軽口も、狂ったような叫びも、発しはしない。
当然だ。
彼――ラッド・ルッソは「頭と身体を切り離されて」喋ることのできる存在ではない。
不死の力を以てしても、力が制限されるこの空間では五体不満足で生きてはいられない。
四肢が奪われるのみならず一首を切り離されてしまっては、彼に出来ることなど何も残されてはいなかった。

「なんで――――死んでるのよ!」

結論を言ってしまえば。

御坂美琴の、目の前で。

同行者だった一人の男が、世界を壊され、死んでいた。



◇ ◇ ◇



「余は人ってもんを王として束ねる上で、沢山の人間を見てきた」

時間がないのはここに来るまでの話で分かっていた。
ここでただ混乱しているだけでは、征服王が追っていたもう一つの命をも取りこぼしてしまいかねない。

「中には、愛する者に先立たれて屍のようになってしまった者もおった」

それでも、何もせずに立ち去るのはどうしても気が引けた。
死んだらおしまい、さようならなんて別れは、したくなかった。

「ただ死に場所を探して、我武者羅に戦場を駆け抜けた兵もいた」

そんなこちらの空気を敏感に感じ取ったのか、ライダーは一歩を踏み出す。
何をしていいのか分からない、それでも何かしたいという私の想いを代行するかのように。
0524消失証明・存在証明 ◆GOn9rNo1ts
垢版 |
2013/03/12(火) 20:55:45.12ID:c9/+iwJB
「それで、だ」

埋葬をする時間はない。
その代わりに、とでも言わんばかりに。

「こやつは行く先々で誰彼構わず噛みついていたらしい」

物怖じすることなく生首に手を伸ばし、死者の顔を眠りの形へと変えていく。
いつもやっているように。自然な手つきで。

「グラハムの坊主によれば、最初に集められた場所で殺された女はこやつの恋人だったそうだ」

ホールに響く言葉は、決して私に対する慰めなどではないだろう。
ただ、彼自身が感じたことを、そのまま口に出しているだけのこと。

「これはただの憶測にすぎんが、もしかしたらこの男は」

だけど

瞼を閉じ、永遠の眠りについたラッドの顔は


「死にたかった、のかもしれんなあ」


安らかなものに、見えてしまって。


「それでも、私は」


「アンタに生きていて欲しかった」



◇ ◇ ◇



その森は生命に満ち溢れていた。
草木は生い茂り、緑を飾るように色取り取りの花がぽつぽつと咲いている。
虫は地を這い小鳥が空を舞っている。湖を調べれば小魚の影を見ることもできるだろう。
元気いっぱいの少年少女が駆け回り、暇を持て余した大人たちが散策を行うに相応しい、健全な自然環境。

そう。健全すぎる、自然環境。
0525消失証明・存在証明  ◆GOn9rNo1ts
垢版 |
2013/03/12(火) 20:57:59.92ID:c9/+iwJB
お手本のように澄んでいる大気。
誰かに見せるように整えられた景観。
排除されたかのように存在していない害獣、害虫、毒花。
穿った見方をしてしまえば。
参加者たちが不自然だと思わない程度に。
まるで、一つの目的をもってして造られた実験場のような。
まるで、神の手をして完璧たる形に創られた箱庭のような。
『意図をもって互いに殺し合わなければ死人が出ない』ように設計されたような、理想の世界。


つくられた世界の中心で、彼女は空(そら)を見上げていた。


ガサガサと茂みをかき分ける音がしても、彼女は何の反応も起こさなかった。
例え「王様」が迎えに来ようとも、耳をパタパタさせて近づくことも人見知りを発症し離れることもしない。
起き上がることのない彼女の様子を見て、大きな男の陰から息を呑む声がした。

『殺し合い開始から、ついに丸一日が経過した』

無機質な声が難しいお話を始めようとも、彼女の瞳が興味深げに輝くことはない。
なにかを呟くように半開きになった口は、もはや何の呼気も発しはしない。
蟻が、障害物であるかのように彼女の身体を登って、降りていく。

「…………………」

王は何も言わず、悟りきった表情で彼女の前までやって来た。
目線を合わせるようにしゃがみこんだ彼の背中は、普段よりもずっと小さく見えた。
木の枝にとまった小鳥が、淋しげに囀りを奏でる。

「―――――」

男が大きな口から小さく漏らしたのは、いかなる思いを込めた囁きだっただろうか。
彼の言葉は少女に届かず、諦めたかのように開かれた掌の上に零れ落ちていく。
触れた瞼は、生者の手の温かさを拒絶するかのように、冷たかった。

ぱたぱたと動いていた獣の耳は、もう動かない。
ふんわりした尾は、だらりと力無く垂れたまま。
小さな小さな身体は、汚れのない綺麗なままで。
ただ魂だけが散歩に行ってしまったかのようで。

『では、死者の発表に移るとしよう』

結論を言ってしまえば。

征服王イスカンダルの、目の前で。

『アルルゥ』

同行者だった一人の少女が、世界に絶望して、死んでいた。
0526消失証明・存在証明  ◆GOn9rNo1ts
垢版 |
2013/03/12(火) 20:59:20.05ID:c9/+iwJB
◇ ◇ ◇



「……あの」

「そっちはそっちの思惑があって余を止めようとしたのだろ。誤解は互いに存在した」

それでも。
私の放った電撃によって、探知機という便利な道具が壊れてしまったのは確かな事実であり。
もしもイスカンダルが何の邪魔もされずにこの場へ駆けつけることが出来ていたならば、彼女は死なずに済んだのかもしれない。
それに、私が軽率な行動に出なければ、ラッドだって死なずに済んだかもしれない。
それをいうなら真紅だって。ブレンヒルトだって……。

放送という名の、主催者からの絶対的宣告によって。
死なせてしまった、救えなかった仲間のことを思い出してしまう。
仲間のおかげで何度立ち上がることが出来ても、また新たな重みが私を押し潰していく。
仕方のないことだと、どうしようもなかったのだと。
開き直れるほど、私は強くはなかった。

「懺悔も、謝罪も、後悔も、いくらでも後でするが良い」

気弱な考えを、見透かされたのだろうか。
野太い、芯のある言葉が私を現実に引き戻した。
ライダーは、アルルゥの頭を一撫でして立ち上がり

「トニートニー・チョッパー。
ニコラス・D・ウルフウッド。
竜宮レナ。古手梨花」

己が胸に確認するように、静かに彼らの名前を呼んだ。
放送で呼ばれた彼ら彼女らは。死んだと伝えられた彼ら彼女らは。
いずれも、志を同じくする仲間だったのだと。
イスカンダルは毅然とした態度で語った。
彼だって、死んでしまった仲間たちのことを悼んでいるに違いない。
救えなかったおのれの不甲斐なさを、痛感しているに違いない。
だけど、彼は真っ直ぐな眼差しを私に向けた。

「仲間の死から、逃げるのではない。目を逸らすのではない。
背負った上で、進み続ける気概を見せよ!」

叫びは、イスカンダル自身に言い聞かせているようにも感じた。
きっと今まで、この場に呼ばれる以前にも王として沢山の死を、見てきたのだろう。
それでも、何があっても。何十、何百、それ以上の屍を得ながら。
夢を諦めることなく、悲しみに足を止めることもなく。
沢山の想いを抱いて、背負って、進み。
これからもそのつもりで、生き抜いていく。

これはその証明だと言うかのように。
今まで歩いてきた大地の感触を確かめるように、強く一歩を踏み出し。
見たこともないどこかに声を届かせんとするかのごとく、大きく一呼吸を済ませ。
イスカンダルは空に向かって――――吼えた。

「聞いておるのだろう、胸糞悪い神気取りよ!」
0527消失証明・存在証明  ◆VRC931rh5U
垢版 |
2013/03/12(火) 21:00:12.32ID:c9/+iwJB
あの放送で、新たに放送を行った男は言った。
この殺し合いにはギラーミンなど駒のように扱い、殺してしまえる首謀者がいるのだと。
さながら演劇を楽しむ観客のように、語り部にさえもならずに、遥か高みで嗤っているだけの存在がいるのだと証明された。
イスカンダルが行うのは、そんな未だ姿の見えない黒幕に向けた、雷鳴のように響く宣言だ。

「貴様のような臆病者なんぞが『我ら』を折れると思うなよ!」

一転、ニヤリと笑い、大きすぎる手でばしりと私の背中を叩いてくる。
その衝撃に思わずつんのめり、悪態をつきながらも、私は嬉しかった。
ただ、何もかもを失っただけじゃない。新たに得た繋がりもあったのだと。
ヒリヒリする背中の痛みで、実感出来たのだから。

「せいぜい、ぬくぬくと温まったせまーい穴蔵で怯えながら、我が軍勢の到来を待つが良い!」

死んでいった仲間たちの遺志を継ぎ。
生きている仲間たちと力を合わせながら。
立ちはだかる全ての壁を制覇し、蹂躙した暁には。
きっとその場に、到達すると。

征服の限りを尽くしこの世の果てを夢見た、と豪語する『王』は


「貴様は――――――余が首を取る」


高々と、宣戦布告を告げた。
0528消失証明・存在証明  ◆VRC931rh5U
垢版 |
2013/03/12(火) 21:01:02.57ID:c9/+iwJB
「さて、余は往くぞ。着いて来れるか、小娘?」

イスカンダルはこちらに向き直りながら、わざとらしく意地の悪い笑みを浮かべた。
同盟者を試すかのように、いまさら小娘なんて記号で呼んで見せて。
この宣言を聞き、お前の方は何もせずにあとを着いて来るだけか、と。
落ち込み、悲しみ、いつまでも燻っているだけなのか、と。
彼なりに発破をかけているのだと分かってはいるけど――――火が付いた。

もう、大丈夫だ。

「私には『御坂美琴』って名前があんのよ、おっさん」

努力の末に辿り着いた学園都市第三位という肩書を。
超電磁砲≪レールガン≫と渾名される御坂美琴を。

「ナメんな!!!」

いつものようにコインを弾く。
今はまだ届かない高みからこちらを見下ろしてる、誰だか知らないムカつくヤツを狙うように。
散り散りになりながらも未だ残っている、私たち以外の12人の参加者に見せつけるように。
『超電磁砲』として放つ先は、星が輝く夜空の向こう。
轟音を置き去りにして撃ち出されたコインは燃え上がり、闇を切り裂き、光となって。
数瞬の後には、儚く大気に溶けていった。


これが、こんなゲームを思いついた大馬鹿野郎に送る、私なりの宣戦布告。


そして「私はここにいるぞ」とこの世界に見せつける、御坂美琴の存在証明だ。


それでこそ我が同盟者に相応しいと呵呵大笑する大男を見上げ、私はふと、この『王』の有り様を思った。
言葉も、行動も、自分の言いたいことしたいことばかりで、理屈も何もあったもんじゃない。
でも、だからこそ人は彼に惹かれ、魅かれていくのだろう。
奪い取った何もかもを受け入れ、背負っていく巨大な旗頭に、みなが集まっていくのだろう。

脳裏をよぎるのは――――何故か、アイツのツンツン髪だった。

「良い顔になったな、美琴よ」

「とーぜん。負けてなんか、いられないんだから」

出来る限り不敵に、力を籠めて笑ってみる。
子供みたいに夢を追い続ける男に。
どんな時でも諦めず、前を向いて進む馬鹿に。
追いつこうと、そう思った。
0536創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/03/12(火) 21:08:41.60ID:WP+Uyor/
支援
0540消失証明・存在証明 ◆GOn9rNo1ts
垢版 |
2013/03/12(火) 21:09:46.55ID:c9/+iwJB
【F−4 湖岸/一日目 深夜】
【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】
[状態]:疲労(小)、胴体に貫通傷×3(小)、全て再生中
    多大な喪失感、強い決意、≪体内:全て遠き理想郷(アヴァロン)@Fate/Zero≫
[装備]:薔薇の指輪@ローゼンメイデン、ナース服、コイン。
[道具]:基本支給品一式(食料一食、水1/5消費)、不明支給品0〜2個(未確認)、病院で調達した包帯や薬品類
    コイン入りの袋(装備中の物と合わせて残り88枚)、タイム虫めがね@ドラえもん、首輪(ジョルノ)
    真紅のローザミスティカ@ローゼンメイデン、蒼星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン
    ARMS『騎士(ナイト)』@ARMS、真紅の左腕(損傷大)、不思議の国のアリス@現実他、いくつかの本、ナースキャップ
[思考・状況]
0:ライダーの同盟者と合流。
1:首輪を解体できそうな人物(第一候補はグラハム)を探す。
2:一人でも多くの人を助ける、アイツの遣り残した事をやり遂げる。
3:人は絶対に殺したくない。
4:自分と関わり、死んでしまった者達への自責の念。
5:上条当麻に対する感情への困惑。
6:ライダーと行動する。
【備考】
 ※参加者が別世界の人間、及び参加時期が違う事を聞きました。
 ※会場がループしていると知りました。
 ※真紅と情報交換し、ローゼンメイデンの事などについて大雑把に聞きました。
 ※あすかと情報交換し、スクライドの世界観について大雑把に聞きました。
 ※地下空間の存在を知りました。地下にループ装置があるのではと推察しています。
 ※会場は『○』の形に成っているという仮説を立てています。
 ※全て遠き理想郷(アヴァロン)が体内にあることを知りません。
 ※ラッドの事を『原石』(天然の能力者)かも知れないと考えています。
 ※参加者についての情報は以下の通りです。
  協力できそうな人物:レナ、沙都子、梨花、ゾロ、チョッパー、アルルゥ、佐山、小鳥遊、グラハム、ウルフウッド
  直接出会った危険人物:ゼロ、ラズロ(リヴィオ)、メイド(ロベルタ)、宇宙人(ミュウツー)
  要注意人物:白仮面の男(ハクオロ)、ヴァッシュ、水銀燈(殺し合いに乗っているようであれば彼女を止める)
 ※首輪の機能について、以下のように考えています。
  確実に搭載されているだろう機能:「爆弾」「位置情報の発信機」「爆破信号の受信機」「脈拍の測定器」
  搭載されている可能性がある機能:「盗聴器」「翻訳機」
 ※首輪は何らかの力によって覆われていて、破魔の紅薔薇にはその力を打ち消す効果があると考えています。
0541消失証明・存在証明 ◆GOn9rNo1ts
垢版 |
2013/03/12(火) 21:10:35.80ID:c9/+iwJB
【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】
[状態]:魔力消費(やや大)、疲労(小)、腹部にダメージ(小)、全身に傷(小)および火傷(小)、腕に○印
[装備]:包帯、象剣ファンクフリード@ONE PIECE、破魔の紅薔薇@Fate/Zero
[道具]:基本支給品一式×3、無毀なる湖光@Fate/Zero
    イリアス英語版、各作品世界の地図、ウシウシの実・野牛(モデル・バイソン)@ワンピース
    探知機(故障中)、エレンディラのスーツケース(残弾90%)@トライガン・マキシマム
[思考・状況]
 0:グラハム、沙都子との合流地点へ向かう。
 1:バトルロワイアルで自らの軍勢で優勝。
 2:首輪を外すための手段を模索する。
 3:北条沙都子を守る。
 4:サーヴァントの宝具を集めて戦力にする。
 5:有望な強者がいたら部下に勧誘する。
【備考】
 ※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。
 ※臣下を引きつれ優勝しギラーミンと戦い勝利しようと考えています。 本当にライダーと臣下達のみ残った場合ギラーミンがそれを認めるかは不明です。
 ※レナ・チョッパー・グラハムの力を見極め改めて臣下にしようとしています。
 ※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
 ※自分は既に受肉させられているのではと考えています。
 ※ブケファラス召喚には制限でいつもより魔力を消費します。しばらく召喚出来ません(詳しい時間は不明)。
 ※北条沙都子、アルルゥもまずは同盟に勧誘して、見極めようとしています。
 ※現在の魔力残量では『王の軍勢』をあと一度しか発動できません
 ※別世界から呼ばれたということを信じました。
 ※会場のループを知りました。
 ※オープニングの映像資料を確認しました。
0542 ◆GOn9rNo1ts
垢版 |
2013/03/12(火) 21:11:06.74ID:c9/+iwJB
以上で投下を終了します。支援くださった方ありがとうございました。
0543創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/03/12(火) 22:41:00.85ID:G7rLheV8
投下乙です!

熱い、これは熱い…!
亡くしたものを受け止め、後悔と無力感で暗く沈む気持ちを吹き飛ばす宣戦布告
喪失によって背負った重さを捨てるのではなく、ただ力に換えて前に進む二人がなんとも眩しい
作中にもある通り、何百の夢を束ねて突き進んでいた王だからこその宣言
これは共についていきたいと思わせる王だ!
ビリビリも今までの散々な道のりを乗り越えての真っ直ぐな決意が、強さを感じさせる
両者ともにこぼし続けた美琴とライダーだからこそ、この宣戦布告は映える…!

しかし語り部にさえならない黒幕は臆病者か
原作でマスターに対して共に戦うことを重視していたライダーからしてみれば、なるほど相当な軽蔑の対象だ
黒幕は謎に包まれまくっているけど、二人には頑張ってほしいなぁ
0544創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/03/12(火) 23:23:10.83ID:ad1pSPhm
久々の投下乙!
ライダーかっこいいなぁ!
対主催の要待ったなしの存在感が凄い。
仲間を沢山失った○同盟だけど、ライダーと美琴には頑張って欲しいな
0545創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/03/13(水) 18:26:58.22ID:FvhJE/u3
投下乙です。
かっこいい…これぞ、漢の姿ですわ。
真っ直ぐなライダーにそれを追いかける美琴。
いいコンビになっているなあ。
それと、ラッドの死を悲しむってのも胸に来る。
0546創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/04/02(火) 22:42:24.72ID:KJN+amcm
避難所にエイプリルフール来てたー!
Dルートはドリームルートだったのか
いい夢見せてもらいました!
0550創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/09/26(木) 21:43:46.17ID:GcoSQXmS
だれか・・・いるの?
0553創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/10/24(木) 20:53:46.20ID:jKBpRoXo
\(^o^)/
0555オレはここに在り ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:40:07.56ID:Tl1UHFf5
 
 
 ◇ ◇ ◇


 ミュウツーは、これまで以上の速度で森林を飛行していた。
 先ほどの放送の内容を振り払うかのように、飛行するのに念動力を集中させる。
 そんな思惑とは裏腹に、彼の聡明な頭脳は考えてしまう。

『ギラーミンは――殺された』

 聞いたこともない声の男が、自分と約束をしたはずのギラーミンの死をあっさりと告げた。
 さらに、人を疑うことを覚えたほうがいいと続けた。

 はたして、約束は果たされるのだろうか。
 考えたくないのに、意図せず考えてしまう。
 一度浮かんでしまえば、もう永遠に消えることのない疑問だった。

(わかっていたことだ)

 そういう可能性は、それこそ二十四時間前から考えている。
 それを踏まえた上で、行く道を決めた。
 いまさら、いったいなにを迷うことがあろう。

 ――こきゃっ。

 やけに軽い音。
 柔らかな感触。
 子ども特有のぬくもり。
 小枝でも折るかのようなたやすさ。

 硬い機穀剣を持っているはずの手が、未だ彼女の元にあるかのように錯覚しそうになる。

(……わかっていたことだ)

 勢いよく頭を横に振って、さらに飛行速度を上げる。
 加速した甲斐あってか、ほどなくして森林を抜けて市街地が見えてくる。
 そうしてエリアE−5に足を踏み入れるやいなや、脳内にすっかり慣れた例の声が響く。

 ・━━━見えぬところに真実がある。

 ミュウツーは首を傾げる。
 エリアE−5には半日ほど前にも来ているが、その際はこのようにいきなり声が聞こえてくることはなかった。
 そんな疑問は、すぐに氷解してしまう。
 デイパックに入れていたはずの二つの鍵が浮かび上がり、これまで放っていなかった念動力を帯びているのだ。
 カギを両方揃えた上でこのエリアに来て、初めて作用する仕掛けであったのだろう。
 宙を舞う二つの鍵が空中のある点に突き刺さり、ともに四十五度ほど右に回転する。
 次の瞬間、鍵が刺さった箇所にドアノブが一つずつ出現すると、遅れて巨大なドアが姿を現す。
 怪訝に思うミュウツーをよそに、ドアノブが勝手に回転してドアがゆっくりと開いた。

 ドアに呑み込まれたミュウツーは、いつの間にかこれまでとはまったく異なる世界に立っていた。
 眼前にはこれまで見てきた二つの湖とは比べ物にならないほど大きな湖があり、周囲には青々とした木々が生い茂っている。
 ドアをくぐっただけなのだから、さきほどまでいた場所と遠く離れていないはずなのに、市街地の面影はまったくない。
 高く飛び上がって周囲を眺めても森が広がるばかりであり、また漂っていた血の臭いも掻き消えてしまっている。
 いままでいた場所とはまったく異なる場所で、巨大なドアだけがどこまでも異質だった。

 ――三つの湖に隠された力を解き放て。
0558オレはここに在り ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:41:06.97ID:Tl1UHFf5
 
(ここがそう……なのか?)

 疑問に水を差すかのようなタイミングで、首輪から電子音声が響いた。
 概念空間に入ったとき特有の警告――ではなかった。

『宣告。宣告。あなたは概念空間【第三の湖】へと入りました』

 さらに、首輪ではない別の方向から声が響く。
 首を動かそうと、念動力を張り巡らそうと、音源は見当たらない。
 かといって、テレパシー特有の感覚もない。

『参加者No.58【ミュウツー】を確認しました』

 そうして――ミュウツーの首輪が外れた。

 やけに呆気なく、すんなりと。
 ミュウツーを二十四時間縛り付けていた首輪は、真っ二つに分かれて落下した。

「……なっ!?」

 思わず声を漏らしてしまったミュウツーだったが、力が漲る感覚で我に返る。
 否、これが本来の彼の念動力が。
 これまでが制限されていたのであって、いまの状態こそがベストコンディションのミュウツー。
 幻のポケモンの遺伝子からカツラが作り出した戦闘特化ポケモン。

 同時に足元に出現したポケモン用の回復アイテムにも驚くべきなのだが、そんなものに驚いている場合ではない。
 首に手をやっても、なんの異物感もない。
 地面に落ちている二つの金属片をわざわざ拾い上げてみると、これが首輪なのは間違いない。

(力を解き放て、とはこういうことなのか!?)

 意図が読めない。
 いったい、なにがしたいというのか。
 しかし、ミュウツーはすぐに心を落ち着ける。
 関係ない。いまさら枷が外れたところで、やることに変わりはない。

 怪訝に思いながらも、すぐに視線は湖の中央へと向かう。
 そこに白銀の刀身と黄金の鍔が鮮やかな宝剣があるのは、先ほど飛び上がったときにすでに確認済みだ。
 辿り着いてみれば、やはりいかなる原理かはわからないが、水面に宝剣が浮いている。

 手に取ってみると――その『真名』が頭に流れ込んできた。

(…………なるほど、な)

 ――第1、第2の湖を解き放つ事により、約束された勝利へと導くだろう』

 テレパシーがフラッシュバックする。
 得物はすでにいくつもあると思っていたが、脳裏に流れ込んできた『真名』とは比べ物にならない。
 まさしく約束された勝利と言っていい。

(約束――勝利。
 そうだ。エクスカリバー、俺は)

 ミュウツーは勝利せねばならない。
 交わした約束のために。
 交わした相手がすでにこの世にいなかろうと、果たされることを信じねばならないのだ。
 ゆっくりと飛んで、湖のほとりまで戻って着地する。
 飛行中は超能力で引き寄せていたエクスカリバーを自らの手で握り、決意を新たにする。
0559オレはここに在り ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:41:56.58ID:Tl1UHFf5
 
 その瞬間――だった。

 湖が振動し、先ほどまでエクスカリバーが浮かんでいた中心部から機械が飛び出す。
 空中に映像が映し出されたことで、ミュウツーはようやくその機械の正体が投影装置だと気付く。

『ご苦労様。中々の名演技だったよ。
 君のために個室を用意してある。放送までは時間があるからね、それまでは休むといい』

 スクリーンもない空間に映し出すことなどできるのだろうか。
 そんな疑問を抱いたが、すぐに掻き消えた。

『シルバー兄さん……これで良かったの?』

 解決したのではない。そんな疑問が吹き飛ぶ代物が映し出されたのだ。

『ああ。バイオレット、お前にも手間を取らせたな』

 聞き覚えのある声だった。
 かつて、湖になにかがあると仄めかしたテレパシーの主だ。
 最初に映った青年とよく似ているが、彼より一回り年上のようで落ち着いた印象を醸し出している。


『なるほどね。いつの間に人質なんか取ったのかと思ってたけど――――【ホログラムでそう見せかけてただけ】か』


「…………は?」

 遺伝子ポケモンたる彼らしからぬ、あんまりにも人間じみた声が漏れた。



 明かされた真実は、予想だにしないもの――ではなかった。
 予想していた。
 それも相当前から。
 可能性の一つとして。
 わかっていたのだ。
 その可能性もある、と。
 その上で行く道を選んだ。
 その上で殺し合いに乗った。
 その上で――

 ――こきゃっ。

 知らず、エクスカリバーを握る力が弱まる。
 先ほど決意を新たに握り締めたはずの剣が地面に触れる寸前で、どうにか念動力でもって宙に浮かせる。
 再び手元まで戻そうとしたが制御が覚束なく、思いのほか上空まで行ってしまう。
 いつもならば、それこそ両手を動かすように念動力を使えるはずだというのに。
 ましてや首輪が解除されて、本来の力を取り戻しているというのに。

(オレは――どうしてここにいる……?)

 あんな映像を見せられるまで、ミュウツーには確固たるものがあった。
 なんのために生きて、なんのために他を切り捨てるのか。
 胸を張ってとはいえないが、それでも断言できる回答は心のなかにあった。
 主のためにここに在る。その確信があった。
 しかしいまとなっては、そんなものはない。なにもない。
0561創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/11/19(火) 13:42:17.98ID:IyR9N7hm
支援
0562オレはここに在り ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:42:51.72ID:Tl1UHFf5
 
 ――なんのためにここに在る?

 わからない。
 前なら違った。
 けれど、いまはわからない。
 いままでの葛藤はなんだったのか。
 たったの一日、たったの二十四時間。
 その一言では流せぬほど、手を罪で染めてしまった。

 ――なんのために……

 わからない。
 考えたくない。
 考えたところで答えが出るとも思えない。
 それだけはわかっているのに、考えてしまう。

『教えてくれ……マスター……』

 テレパシーを飛ばす。
 返答があるはずもない。
 送った相手がいないのだから。
 返ってくるワケがない――のに。

『ふん、またか』

 無意味であるはずのテレパシーに、返答が届く。

「――ッ!?」

 聞き覚えのある声だ。
 湖へとそそのかし、そして主のホログラムを見せた、あの――

『貴様――ッ!』
『くだらないな。俺のせいだと言うのか?
 違うな。あくまで誘導しただけで、決めたのは貴様だ』
『なにを……ッ』

 なにを。
 なにを――
 なにを、なんだというのか。
 そこから先が、一向に出てこない。
 言い返せないのを待って、男はテレパシーを送ってくる。

『俺は貴様に興味を抱いていた。
 同じく他者に作られた存在であり、そして同じく戦闘生命としての生を強要された貴様に』

 戦闘生命という単語に、ミュウツーの肩が跳ねる。
 前にテレパシーを送ってきたときにも、この男は同じ単語を使っていた。

『かつての俺――いやキース・シルバーは、籠のなかの鳥に過ぎなかった。
 父たる兄に導かれた、母によって定められたすでに決まっている運命に従うだけの、な』
『なにを……言っている』

 これは、ミュウツーの本心だ。
 そのはずなのに、すでに決まっている運命という響きが、やけに頭に残る。

『それは違うな。わかるはずだ。貴様なら。
 父に捕獲されて以来その父の命令に従い戦いに投じ、父と己を縛る呪縛から解かれ自由の身になっても、その有り余る力を持て余していた貴様なら――』
0566オレはここに在り ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:43:33.18ID:Tl1UHFf5
 
 無言。
 なにも言わないというよりも、なにも返せない。

『己の意思がない。
 父や気を許した存在の指示に従うことはあっても、自らの意思でその力をどのように振るえばいいのかわからない。それが貴様だ』
『ちが――』

 う、と。
 たった一文字を送れない。
 ちょっと念じるだけだというのに。
 なぜか、できない。
 制限などすでにないのに。
 あったところで影響ないほど短い言葉だというのに。

『ここに来てから、貴様の根幹にあったものはなんだ?
 時間は腐るほどあった。
 二十四時間あれば、貴様の頭脳ならどれだけのことを考えられる?
 にもかかわらず、ただテレパシーを飛ばすだけだ。マスターマスターと。
 行動の指針を求めるばかり。教えてもらうばかり。道を聞くばかり。戦闘生命と呼ぶにも値しない。機械となにも変わらない。
 戦闘機械であるのなら、それは単なる兵器に過ぎない。使い手の手を離れて自動的に動くというだけで、その実は使い手を離れていない。繰り人形だ』

 反論を送らねばならない。
 そんなものではないと主張したい。
 それなのに、ミュウツーには歯を噛み締めるしかできない。

『仮に俺がなにもしなかったとして、お前という存在に、他にやることでもあったのか?』
『…………』

 たっぷり五分経過する。
 そんな風に数えられるくらいには冷静なのに、飛ばされる疑問には答えられない。
 いや、考えたくないだけだ。
 考えているクセに。
 考えていないことにしている。

『ふん。やはりな』

 一拍置いて、男が飛ばしてきたテレパシーは荒い口調であった。


『ならば、改めて考えろ。
 他の参加者に二十四時間遅れてッ!
 父はいないッ! 気を許した存在もッ、憎むべきカタキもッ、息絶えたッ! いまッ!』


 改めて、ミュウツーは実感する。
 目を逸らしていた事実と向き直る。
 いまこの場には自分しかいない。
 殺し合いの会場に戻っても、以前からよく知る存在は誰一人としていない。


『たとえ作られた存在であろうと、思考する力があるのならッ! お前にも、自分が心から欲している何かがあるはずだッ!』


 同盟を組んだ相手がいるものの、彼もまた迷っている。
 彼は向き合っていた。
 向き合っているフリをしていたミュウツーとは違う。
 彼に遅れること数時間、いま――目の前にあるものに直面せねばならない。
0567オレはここに在り ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:44:10.95ID:Tl1UHFf5
 
 
『オレ、は――』


 考える。
 初めて。
 いまになって。
 二十四時間が経過して。
 ようやく、第一歩を踏み出す。
 マスターにどう在るべきか訊くのではなく。
 自らの意思で。
 なにをしたいのかを。
 どう在るべきなのかを。
 なにをするべきなのかを。


『オレは――!』


 まず、過去を思い出す。

 ミュウツーの最初の記憶は、巨大なフラスコのなかから培養液越しに見る世界だ。
 誰もかれもが自分を見ているようで見ていない、そんな冷たい視線。
 唯一、時おりやさしい視線を向けてくれたのが父だった。
 アレがどれだけの期間であったかは定かではないが、とても長かったように思う。
 あの研究所から飛び出し、追っ手を撒き、ハナダシティ郊外に逃げ込んで、静かに暮らそうとした。
 そんな計画は一日と持たなかった。
 研究所以外のところで過ごしたことのないポケモンが、いきなり屋外で過ごせるはずもない。
 生まれ持った戦闘欲と、持て余す念動力が制御できずにいた。
 どうにか払拭しようと、野生のポケモンや通りがかったポケモントレーナーに襲いかかる日々。
 そんな苦しみを終わらせてくれたのは、父とレッドだった。
 そこからの日々は、それまでの日々がやけに長く感じるのとは対照的に、妙に短く感じる。
 対等の存在として触れ合ってくれる一方、将来別れるときのために屋外での過ごし方まで教えてくれた。
 レッドだけでなく、彼の後輩であるイエローも同じように接してくれた。

 そして、いまを見つめる。

 レッドはいない。
 イエローはいない。
 そうして、ミュウツーは人殺しとなった。
 もう、人を殺していない状態には戻れない。
 自己再生で怪我は塞がっても、全身に染み込んだ見えない血は永遠に取れない。
 たとえ帰ることができたところで、これまでと同じ日々は過ごせない。
 帰ることが可能だからといって、帰れるとは限らない。
 あの世界に、いまのミュウツーの居場所は――ない。


『オレは――――!!』


 ◇ ◇ ◇
0570オレはここに在り ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:45:59.93ID:Tl1UHFf5
 
 
 御坂美琴は、現在進行形で引いていた。
 引いていたと言っても、クジや綱をではなければ、人目でもない。
 いや、ナース服とかいう人目を引く格好はしていたのだが、それはこの際関係ない。
 そういうのではなく、いわゆるドン引き的な意味で引いていた。

「……うわぁ…………」
「どうした、美琴よ。早く乗らぬか」
「あーうん……わかってるわよ、うん」
「……お前、もしかしてびびっ」
「はあーーーーー!? そんなワケないじゃない! 私びびらせたら大したもんよ!」
「此奴はなかなかに大したもんだがな」
「…………うん、見りゃわかる、うん、マジ」

 ライダーが召喚した彼の愛馬・ブケファラスを前に、御坂美琴はドン引きだった。

 彼女の名誉のために言うが、別に馬を見たのが初めてだとかそういうワケではない。
 パッと見それっぽくはないものの、彼女は常盤台中学というかなりお嬢様学校に通っており、乗馬自体に抵抗があるのではない。
 実際に乗ったこと自体はないとはいえ、すぐ近くで見たりはしている。
 ならば、なぜ引くことがあろうか。
 ましてや、このような非常事態である。
 速く移動できるのならば、それに越したことはないではないか。

 美琴自身もそう思っていた。
 そもそもライダーがブケファラスを再召喚をするだけの魔力を回復したと告げた際、急かしたのは美琴である。
 だったら、なおさら乗れよ。失礼だろ。ご飯まだーを連呼しといてすぐ食わねーみたいなもんだろ。
 そう思うだろう。
 正しい。
 すごく正しい。
 それでも、美琴にだって言い分がある。

 考えてみれば当然なのだが、ブケファラスは身長二メートルをゆうに超えるライダーの愛馬である。
 だから、まあ、ね。
 うん。
 すっごいデカいんだ。

(これ、馬じゃないでしょ! いや、さっきも見たけど!! 間近で見ると余計に!!!)

 再び彼女の名誉のために言うが、御坂美琴はバカじゃない。
 レベル5足りうる演算能力とかはおいておいて、普通に一般的な知識はある。
 だから馬を知ってる。
 美琴、馬、知ってる。

 そしてブケファラスの名誉のために言うが、断じてブケファラスが馬っぽくないワケじゃない。
 カバのようにずんぐりむっくりしているワケでも、ヘビのようにぬめってるワケでも、クジャクみたいに妙な色してるワケでもない。
 むしろ美しい。
 見るからに速く走りそうなほど優れた引き締まったボディに、艶やかな漆黒の毛並み、纏う馬具はそのすべてが高級品。
 まさしく馬。
 馬そのものである。
 なんなら馬オブ馬と言っていい。
 ただ、全体的に普通の馬の三倍くらい大きいだけだ。
0572オレはここに在り ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:46:30.97ID:Tl1UHFf5
 
 
 
「…………ふむ」

 ブケファラスを前に視線を上げたり下げたりするのを繰り返す美琴を見て、イスカンダルはため息を吐いた。
 この反応が意外だったワケではない。
 予想していたのだが、外れて欲しかっただけだ。

(まあ現代日本の小娘であれば、普通はこのようなものか)

 とはいえこのまま時間を浪費する余裕もないので、首根っこ掴んでやろうかと思った――そのときだった。


 ――――東から太陽が昇ってきた。


 六時間ほどフライングしたことに気付いたのか、すぐに再び夜に戻る。

(……なワケあるかッ!)

 当たり前だ。
 それほど大規模な時間操作など、できてたまるものか。

 ただ、『太陽と錯覚してしまうほどの光』が放たれただけだ。

 先ほど美琴が射出したレールガンとは比べ物にならないくらいに、強烈な光が。

 唖然としている美琴をよそに、イスカンダルは思考を巡らす。
 あの輝きには見覚えがある。
 というのも、二度も至近距離で見ているのだ。
 さらに言えば、そのうち一度は自分に目がけて放たれている。

 ゆえに、見紛うはずがない。

 ようやくここまで届いた魔力の残滓が、まさしくあの魔力放出だと雄弁に語っている。
 もはや間違いないという確信が、イスカンダルのなかにはある。
0575オレはここに在り ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:47:26.41ID:Tl1UHFf5
 
 だからこそ――おかしいのだ。

 いま現在手元にあるランサーの宝具は、常時発動している宝具である。
 対して、『あの宝具』は真名を解放しなくては発動しない宝具なのだ。
 だというのに、使い手である『彼女』はこの場にいない。
 真名解放とは、真名を知っていれば使えるという簡単なものではない。
 特に『あの宝具』のような代物は。

 であるならば、『彼女』がこの場にいるとでも言うのだろうか。
 いや、それもまた考えにくい。
 サーヴァントのクラスではない名で名簿に記されている可能性や、名簿に書かれていないだけの可能性自体はあるが、『彼女』のような参加者がいれば耳に入ってこないはずがない。
 もっと言ってしまえば、出会っているはずなのだ。
 得体の知れぬ殺し合いの首謀者が用意した名簿は信用していないが、イスカンダルはイスカンダル自身の縁を信じている。

 このような狭い会場に、もしもイスカンダルとギルガメッシュとともに『彼女』が詰め込まれていたのならば――引き合わぬはずがない。

 だとすれば、やはり『彼女』以外が使用したことになる。
 本来不可能にもかかわらず、何者かがやってのけたのだ。

(しかもこのタイミング――か)

 残り参加者は十四名。
 死者のペースからすれば、もう殺し合いも終わる寸前だと勘違いしかねない。
 だが、実際はそんなに簡単な話ではない。
 参加者が減れば出会う確率も減る。
 禁止エリアというシステム自体はあるが、会場が狭くなるペース自体は緩やかだ。
 他者の宝具を強引に使用するほどの魔術師ならば、そんなことはよくわかっているはずだ。

 にもかかわらず――真名を解放した。

 魔力を膨大に消費する対城宝具を。
 よりによって、周囲が暗い分だけ余計に目立つ深夜に。

 さて、どうするべきか――

(……む?)

 ここまで考えたところで、イスカンダルは背中に微かな違和感を覚えた。
 振り返ってみれば、美琴がうしろに跨ってぎゅうっと手を回していた。
 どうやら今後の方針を議論する必要も、首根っこを掴んでやる必要もないらしい。

「うむ……まあそうするわな、フツー」

 素っ気なく返したはずなのに僅かに頬が緩んでしまっているのに気付き、イスカンダルはすぐに前に向き直ると思い切り手綱を引いた。


 ◇ ◇ ◇
0576オレはここに在り ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:48:31.26ID:Tl1UHFf5
 
 
 エリアE−5に、市街地であった名残はほとんどない。
 戦闘の跡がいくつもあるとはいえ、ほんの少し前まではたしかに市街地であったというのに、いまとなっては瓦礫の山だ。
 電柱は倒れ、電線は引き千切れ、街灯は砕け、街路樹は折れ、車は引っ繰り返り、屋根は剥がれ、壁は粉と化し、標識は歪にねじ曲がっている。
 病院などの強固に作られたと思しき建物はいくつか残っているが、それらも表面は焼け焦げてしまっており、ガラスに至っては割れていないものを探すほうが難しい。

 そんな一瞬にして荒廃した街の中心に、ミュウツーは悠然と立っている。
 エクスカリバーの真名解放によって消耗した体力は、すでに回復薬で取り戻した。
 一つしかない道具を使用してしまったが、断じて惜しいとは思っていない。
 戦闘中にあんなものを使う隙はそうそうないので、使えるときに使っただけだ。
 これまでのミュウツーならば、回復薬を保管して身体を休めただろう。
 しかし、いまとなってはその必要はない。

 ――すでに制限は解除されているのだから。

 両手両足がもぎ取られたり、腹に大穴が開く程度ならば、『自己再生』で十分だ。
 回復薬を消費したマイナスよりも、真名解放をすれば根こそぎに念動力を持っていかれることを知れたプラスのほうが大きい。
 あそこまで消耗してしまえば、自己再生でもすぐには追いつかない。
 多少時間をかければ問題ないだろうが、その多少は戦闘においては大きすぎる。

 それに――狙い通りの結果はもたらされた。
 見覚えのある二人の男女が巨大な黒馬を駆って、凄まじい勢いで接近してきているのだ。


『もはや、どこにもオレの居場所はない。
 故郷には帰れないし――過去には戻れない』


 二人と一匹にテレパシーを送り、黄金の剣を持たぬ左手を微かに上げる。

 直後、ミュウツーの周辺が一変した。
 雰囲気などという曖昧な感覚ではなく、見て分かるほど明らかに『変質』した。
 深夜の肌寒い空気が生温かいものとなり、先ほどまでほとんどなかった風と化す。
 その勢いは見る見る増していき、さらに吹く方向までもがことごとく異なっている。
 ほどなくして風は巨大な竜巻を形成し、周囲の瓦礫をも持ち上げてしまう。

 ――――『サイコウェーブ』。

 元来、その名は超能力で形成した波状光線の総称だ。
 いまミュウツーが行っているものとは、似ても似つかない。
 どちらかと言えば、飛行タイプの『風起こし』や、ドラゴンタイプの『竜巻』に近い。
 しかしながら威力が雲泥の差である上に、全体にミュウツーの強大な念動力を帯びている。

 だから、『呼ぶしか』なかった。

 たとえ、同じ名前をした他の技と大幅に異なっていようと。

 『サイコ(超能力)』の『ウェーブ(うねり)』という大枠に、無理やりにでも『当てはめるしか』なかった。 


『だから帰らないし――戻らない。
 これまでの二十四時間のように死を振り撒いて、生を終わらせるだけだ』


 無数の瓦礫を持ち上げる巨大な竜巻の中心で、ミュウツーはエクスカリバーを前に突き出す。
 剣を向けられた先では、巨馬がすでに瓦礫なき大地に蹄を埋め込んで、漆黒の体毛をなびかせながら強引に踏ん張っている。
 その上に跨る巨漢は、竜巻にうろたえる素振りすら見せずに涼しい顔で切り出す。
0577オレはここに在り ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:49:16.50ID:Tl1UHFf5
 
「余は、貴様が何者なのか知らん。
 いかなる経緯でそのような結論を出したのかも知らん。
 知る気もないし、考えを改めるよう説教してやるほど物好きでもない。
 貴様がその剣の持ち主のように王ならば話は別だが、そうでないのならな。
 ただ単に……この征服王・イスカンダルと考え方が違って気に喰わないという、それだけよ」

 吹きすさぶ強風でさえ、その声を掻き消すことはままならない。
 何千人もの民衆が一堂に会していようと聞き取れるほど通る声で、巨漢・イスカンダルは高らかに宣言する。


「いかなる失態を犯そうと、王ならば帰還して民に武勇伝を語らねばなるまいッ!
 余は帰るし戻るッ! この下らぬ殺し合いは終わらせても、余の夢は終わらせぬッ!!」


 巨漢のまったく臆さぬ声に応えるように、イスカンダルの背中に必死で掴まっている少女もどうにかこうにか首を前に出す。
 暴風に煽られて髪が全部持ち上げられるわ、ナース服がばっさばっさなびいてるわでえらいヴィジュアルになりつつも、やっとこさミュウツーを睨みつける。
 風に負けないようにという気持ちの表れか、二回深呼吸してから大きく口を開いた。


「こちとら、終わりたいとか知ったこっちゃねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーわよっ!!!」


 その後大きく開けた口に砂埃でも入ったのらしくやたらむせていたが、とにもかくにもミュウツーまで彼女の声は届いていた。



【E−5 /2日目 深夜】

【ミュウツー@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:全快、首輪解除、制限解除
[装備]:約束された勝利の剣@Fate/Zero
[道具]:基本支給品×3<アルルゥ、仗助、ミュウツー>、どこでもドア@ドラえもん(残り1回)、
    第一の湖の鍵(E−)第二の湖の鍵(−5)
    不明支給品(0〜1)<仗助>、ひらりマント@ドラえもん
    トウカの刀@うたわれるもの、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、機殻剣『V−Sw(ヴィズィ)』@終わりのクロニクル
[思考・行動]
 1:戦って死ぬ。
【備考】
※3章で細胞の呪縛から解放され、カツラの元を離れた後です。
 念の会話能力を持ちますが、信用した相手やかなり敵意が深い相手にしか使いません。
※V−Swは本来出雲覚にしか扱えない仕様ですが、なんらかの処置により誰にでも使用可能になっています。
 使用できる形態は、第1形態と第2形態のみ。第2形態に変形した場合、変形できている時間には制限があり(具体的な時間は不明)、制限時間を過ぎると第1形態に戻り、
 理由に関わらず第1形態へ戻った場合、その後4時間の間変形させる事はできません。
 第3形態、第4形態への変形は制限によりできません。
※概念空間の存在を知りました。
※首輪解除による制限解除により、支給品に課せられた制限まで解除されるかは後続の書き手に任せます。


【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】
[状態]:だいぶ再生した
    多大な喪失感、強い決意、≪体内:全て遠き理想郷(アヴァロン)@Fate/Zero≫
[装備]:薔薇の指輪@ローゼンメイデン、ナース服、コイン。
[道具]:基本支給品一式(食料一食、水1/5消費)、不明支給品0〜2個(未確認)、病院で調達した包帯や薬品類
    コイン入りの袋(装備中の物と合わせて残り88枚)、タイム虫めがね@ドラえもん、首輪(ジョルノ)
    真紅のローザミスティカ@ローゼンメイデン、蒼星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン
    ARMS『騎士(ナイト)』@ARMS、真紅の左腕(損傷大)、不思議の国のアリス@現実他、いくつかの本、ナースキャップ
0580オレはここに在り ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:50:25.61ID:Tl1UHFf5
[思考・状況]
 0:アイツと戦う
 0:そん次、ライダーの同盟者と合流。
 1:首輪を解体できそうな人物(第一候補はグラハム)を探す。
 2:一人でも多くの人を助ける、アイツの遣り残した事をやり遂げる。
 3:人は絶対に殺したくない。
 4:自分と関わり、死んでしまった者達への自責の念。
 5:上条当麻に対する感情への困惑。
 6:ライダーと行動する。
【備考】
 ※参加者が別世界の人間、及び参加時期が違う事を聞きました。
 ※会場がループしていると知りました。
 ※真紅と情報交換し、ローゼンメイデンの事などについて大雑把に聞きました。
 ※あすかと情報交換し、スクライドの世界観について大雑把に聞きました。
 ※地下空間の存在を知りました。地下にループ装置があるのではと推察しています。
 ※会場は『○』の形に成っているという仮説を立てています。
 ※全て遠き理想郷(アヴァロン)が体内にあることを知りません。
 ※ラッドの事を『原石』(天然の能力者)かも知れないと考えています。
 ※参加者についての情報は以下の通りです。
  協力できそうな人物:レナ、沙都子、梨花、ゾロ、チョッパー、アルルゥ、佐山、小鳥遊、グラハム、ウルフウッド
  直接出会った危険人物:ゼロ、ラズロ(リヴィオ)、メイド(ロベルタ)、宇宙人(ミュウツー)
  要注意人物:白仮面の男(ハクオロ)、ヴァッシュ、水銀燈(殺し合いに乗っているようであれば彼女を止める)
 ※首輪の機能について、以下のように考えています。
  確実に搭載されているだろう機能:「爆弾」「位置情報の発信機」「爆破信号の受信機」「脈拍の測定器」
  搭載されている可能性がある機能:「盗聴器」「翻訳機」
 ※首輪は何らかの力によって覆われていて、破魔の紅薔薇にはその力を打ち消す効果があると考えています。


【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】
[状態]:魔力消費(中)、腹部にダメージ(小)、全身に傷(小)および火傷(小)、腕に○印
[装備]:包帯、象剣ファンクフリード@ONE PIECE、破魔の紅薔薇@Fate/Zero、ブケファラス@Fate/Zero
[道具]:基本支給品一式×3、無毀なる湖光@Fate/Zero
    イリアス英語版、各作品世界の地図、ウシウシの実・野牛(モデル・バイソン)@ワンピース
    探知機(故障中)、エレンディラのスーツケース(残弾90%)@トライガン・マキシマム
[思考・状況]
 0:アイツと戦う。
 0:そん次、グラハム、沙都子との合流地点へ向かう。
 1:バトルロワイアルで自らの軍勢で優勝。
 2:首輪を外すための手段を模索する。
 3:北条沙都子を守る。
 4:サーヴァントの宝具を集めて戦力にする。
 5:有望な強者がいたら部下に勧誘する。
【備考】
 ※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。
 ※臣下を引きつれ優勝しギラーミンと戦い勝利しようと考えています。 本当にライダーと臣下達のみ残った場合ギラーミンがそれを認めるかは不明です。
 ※レナ・チョッパー・グラハムの力を見極め改めて臣下にしようとしています。
 ※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
 ※自分は既に受肉させられているのではと考えています。
 ※ブケファラス召喚には制限でいつもより魔力を消費します。
 ※北条沙都子もまずは同盟に勧誘して、見極めようとしています。
 ※現在の魔力残量では『王の軍勢』をあと一度しか発動できません
 ※別世界から呼ばれたということを信じました。
 ※会場のループを知りました。
 ※オープニングの映像資料を確認しました。
0583オレはここに在り ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:51:21.06ID:Tl1UHFf5
 
 
 ◇ ◇ ◇


「ブラック兄さん!
 シルバー兄さんがいないんだッ! いったいどこに――!」

「死んだよ」

「な……!?」

「始末された、と言うべきだな。
 ギラーミンのいう『上のヤツら』に。
 我々に指示を下している殺し合いの首謀者に、な」

「ど、どうして――ッ!?」

「どうして? 本当に分からないのか?
 シルバーがルールを破ったから、以外にないだろう?
 参加者への干渉は一度きり、こんなわかりやすく簡単なルールも覚えられないのか?」

「違う!」

「なに?」

「どうして、兄さんはそんなに平然としていられるのかッ! それを訊いてるんだッ!」

「…………ふふ」

「なっ、なにを笑ってるんだよ!」

「さあね。
 模倣品のお前もまた、まだまだ『真理』を見極められんのだな、と思っただけさ」

「……ッ! 兄さん!!」

「――砂はすでに流れ始めているんだ、グリーン」





【キース・シルバー(クローン)@ARMS 死亡確認】
0585オレはここに在り ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:51:59.44ID:Tl1UHFf5
 
 
 
【アイテム紹介】


【約束された勝利の剣@Fate/Zero】

 概念空間【第三の湖】に置いてあった。
 このロワに参加していないセイバー(アーサー王)の宝具。
 生前、アーサー王が湖の乙女から授かった聖剣で、見た感じは鍔がゴールドで柄がブルーの西洋剣。
 普通に斬っても相当強い上、真名を解放したら凄まじい勢いの魔力を放出する。わかりやすく言うと、ビームを出す。


【かいふくのくすり@ポケットモンスターSPECIAL】

 概念空間【第三の湖】にて、参加者No.58【ミュウツー】を確認したら出現した。
 体力が全快するだけでなく、状態異常までなかったことにするすっごい薬。
 通常2ターンかかるところを1ターンで済ませられるので、シナリオクリアではすごく頼りになる。



【備考】
※ミュウツーが参加者No.58なのは、五十音に並べたら五十八番目だからです。もしも数え間違っていたら指摘してください。
※ちなみにライダーとアーチャーは、イスカンダルとギルガメッシュとした場合の順番です。
※エリアE−5が『約束された勝利の剣』で崩壊した上、サイコウェーブで現在進行形でヤバいです。細かい破壊具合は後続の書き手に任せます。
0588携帯 ◆hqLsjDR84w
垢版 |
2013/11/19(火) 13:57:28.77ID:7tgT8/wr
最後にさるがきました。

投下完了です。
誤字、脱字、その他ありましたら、指摘してください。
支援感謝!
0589創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/11/19(火) 14:13:07.89ID:IyR9N7hm
投下乙です!
ミュウツーが制限やら首輪やらと一緒に今までの柵まで解放して破壊者に成り切ったのか、これは強い
ただでさえエクスカリバー強いのにじこさいせいやサイコウェーブなどのチート能力まで取り戻したこいつを果たして二人は止められるのか!
っていうか美琴はまずブケファラスに慣れないとどうしようもないぞ!w
シルバーはミュウツーのために、そしてきっとミュウツーを通して自分自身のために命を投げ出したのか……クローンにもクローンの意地があった
0590創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/11/19(火) 16:15:55.05ID:cDm6PfSH
投下乙!
おおう、カツラさんはそういうことだったのか……
クローンであるシルバーといい、ここで繋がったな
そして繋がったといえばアルルゥ関係でライダーとミュウツーが出会ってしまったか
本気ミュウツーを果たして終わらせてやることができるのか
或いはそれさえも知ったこっちゃないと御坂が頑張るか
続き期待。 しかしブケファラスがなんか可愛く思えたw
0591創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/11/20(水) 00:20:45.78ID:7bl/as8L
投下乙です!
制限やしがらみから解き放たれたミュウツー。
もう戻れないとはいえ、悲しい選択過ぎる……
そしてその場所に向かうのはアルルゥのことで因縁の深いライダー組……
これは非常に続きが気になりますね!
こうなることを知って干渉を行ったであろうシルバーにも敬礼!
0592創る名無しに見る名無し
垢版 |
2013/12/08(日) 21:43:45.11ID:B9X+1ySF
投下乙!
湖の謎はそうきたかー!今まで出なかったからな
ミュウツーの覚悟は重いな……題名とすごくマッチしてていい
制限も解除されたし、覚悟も完了してるしこれはやばそうだ
主催陣営にも動きがあって先が気になる
0593創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/01/27(月) 21:41:26.78ID:s2Iwy06K
頑張れ、ライダー、美琴。
死ぬな、負けるな。
0595創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/06/18(水) 21:18:56.83ID:xutBseBQ
しばらく見てないから、書くとなると色々整理してからってのが大変そうでなぁ
0600 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 22:21:17.24ID:ggPLFTLR
予約すれのほうにも書きましたが推敲のためあと30分ほどいただけるとありがたいです
0605 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:02:06.29ID:ggPLFTLR
「AAAALaLaLaLaLaLaLie――――ッ!!!!」


瓦礫に砂塵吹きすさぶ町並みに大英雄の咆哮が響き渡る。
そしてイスカンダルと御坂美琴を乗せてアスファルトを踏み砕く神馬ブケファラスの蹄音。
その進む先は竜巻の如き豪風、その中心。
待ち構える怪物の名はミュウツー。
台風の語源となった神話の怪物テュポーンのように、旋風巻き起こるそのど真ん中で立ちはだかる。
轟ッ――――と風がさらに力を増す。
人をやすやすと吹き飛ばすその威力は、神馬の突撃すら風のみで踏みとどまらせる力を持つ。

「ぬう!」
「おっさん、どいて!」

増幅された豪風に対して、踏みとどまるブケファラス。
手綱を引くイスカンダル。
そしてその背から顔を出す御坂美琴。

「何をする気――」
「ぶっぱなす!」

イスカンダルが問う間に、青白い火花を帯びたコインが、一直線に空間を貫いた。
美琴の代名詞たる超電磁砲だ。
一筋の閃光が道路上を渡って疾走、音速の壁を越えた衝撃波が空間を揺さぶる。
だが、それをミュウツーは風の壁で跳ね返す。

「んならあッ!」

あっさりと弾かれた。だがそれにショックを受けるほど、今の美琴のメンタルは弱くない。
今度はコインを三枚ほど取り出し、連射。
またも青白い火花とソニックブームの衝撃音がビル街に轟いた。


ガォガォガォン――!


直撃音。だがその音質に違和感。
三つの音が一つに重なった甲高い反射音。
そこから一瞬遅れてあちこちのビルが破砕、瓦礫をばらまく。
本体には当たっていない。
いったいどうすれば届くというのか。
だが――、

「弱まった!」
「よし、行けぇブケファラスよ!」

主たるイスカンダルの命令に神馬は大きく嘶き、そしてわずかの時間、弱まった逆風の中を再び駆けだす。
牽制に何度も超電磁砲を放ち、風の威力を殺しながら美琴がさけんだ。
0608 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:03:43.92ID:ggPLFTLR
「正直、そろそろ電池切れだわ。一気にケリつけるわよ!」
「ふん、心得た!」

激戦続きで、美琴の能力の根源である電気はとっくの昔に枯渇しつつある。
それでも真紅から譲り受けた支給品である改造スタンガンからの補給で、どうにかここまでもたせる事ができた。
だがそれがいつまでもつか、と美琴は考える。相手は風だけで近寄ることすらままならない力を持っている。
しかも自分の必殺技であるはずの超電磁砲すらあっさり弾き返し、連射が牽制程度にしかならない。

(――あの白い外見といい、アイツを思い出すわね……ったく)

学園都市第一位。
因縁の相手。
妹達を一万人以上も虐殺した白髪の殺戮鬼。
怒りのままに、殺す気で撃った超電磁砲を跳ね返され、手も足も出ず。
一方通行――――、

「――それでも今のあたしは、止まってなんかいられないのよ!」

相手に手を出させないよう、間断なく三連射。
超電磁砲はもともと連射にむかず、三点バーストを繰り返すのはきついが、そこは多少の無理でどうにかこなす。
しかし電力の枯渇は間近だ。それだけはどうにもならない。

「頼んだわよ、おっさん」
「おうよ!」

敵との相対距離は30メートルほど。
ここが間合いだ。ついに届いた。
ブケファラスが飛ぶように駆け走る。
神馬は強烈な向かい風を切り裂き、一足飛びで白い怪物へ肉迫する。

「我が名はイスカンダル――!!」

大音声で名乗り、象剣ファンクフリードの一撃を大上段から振るう。
怪物がそれを真っ向から受け止める。
強烈な衝撃が、怪物の足元に位置するアスファルトに蜘蛛の巣状のひびを生んだ。
そのときイスカンダルは見た。
怪物がその手に持つ、風に包まれた不可視の刀身――黄金の聖剣。
紛れも無い、騎士王が伝説を刻んだ幾多の戦場で共にあった、約束された勝利の剣。
かつて真っ向勝負で自らの戦車を打ち砕いた、兵を、軍を、城すら打ち砕く、その名はエクスカリバー。

「貴様がなぜそれを持っているかは知らん! だが――!」

間髪入れず二撃目。
もう一方の手に持つ槍、破魔の紅薔薇。
0611 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:06:10.15ID:ggPLFTLR
怪物はそれをいつの間にか手にした巨大なスプーンで受け止めた。

「やるのぉ!」
「……!」

膠着状態だ。
だが、イスカンダルは感じていた。
黄金の剣が青白く輝きを帯びた風を纏っていることに。
今までの旋風とは別の、殴りつけるような圧を帯びた風が生まれ始めていたことに。
そして結論を得た。
いかに竜巻でも美琴の超電磁砲を跳ね返すなど不可能だ。
跳ね返したものの正体は、これだ。
いや、竜巻と青い剣風の合わせ技。

『爆ぜろ、風王結界』
「ぐぉ……!!」

跳ね返される――と、イスカンダルは予感した。
ブケファラスの巨体が浮き上がり、足元定かでない感覚。
一瞬後に馬ごと吹き飛ばされるであろう、と。

「――!!」

だが、その一瞬に予測を打ち破ったのは美琴だった。
その手に構えるのは、いつのまにかイスカンダルの荷物から取り出した、無骨なスーツケース。
ケースの横っ腹に空いた大穴を怪物に向けている。
その大穴は砲口だ。
真紅の鉄杭――クリムゾンネイルを放つ砲口だ。
その凶悪な砲口が火花を散らす。
美琴の電磁力だ。
大砲の弾よりも巨大な鉄杭が、美琴の力でさらに加速するクリムゾンネイル・レールガン――!!

「いっけぇぇ――――――――ッッ!!!!」

その炸裂音は爆撃。
弾頭が音速を超えた衝撃波がさらに上乗せされる。
イスカンダルはとっさに美琴を抱きかかえ、ブケファラスにしがみつく。
感覚がおかしくなるほどの轟音を至近距離でくらい、神馬は大きくよろめいた。
だが主人をその背から振り落とすような真似はしない。
爆心地と呼べる場所から10メートルほど後ずさり、なんとか踏みとどまった。

「無茶なことをしおって……!」

イスカンダルは顔をしかめた。
砂塵が巻き起こり、視界を遮る。敵はどうなったのか確認できない。
0614 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:07:48.82ID:ggPLFTLR
では味方はどうかというと――、

「ぎぃっ……!」
「脱臼か!? バカモノめ! だから無茶だと――」

撃った瞬間の強烈な反動で、美琴の手首の間接が外れていた。
魔人の武具たるクリムゾンネイルを、身体的には一般人の枠をでない美琴が撃てば、こうなるのは自明の理。
だがイスカンダルが驚愕するのはここからだった。
外れた関節が見る間に元どおりになっていく。

「まさか貴様も不死身とやらなのか……」
「いやぁ私もよく分かんないけどね……今、この状況なら丁度いいじゃない。ほら――」

美琴が顎で敵の方を指し示した。
見れば砂塵は晴れ、その向こうに敵の姿がある。
美琴の撃ち放った必殺の鉄杭は、怪物の肩部分を大きく抉り取っていた。
だがその傷もまるでフィルムを逆再生するように塞がってしまう。
常識を超えた再生能力をあちらも持っているということだ。

「どいつもこいつも……!」
「……ま、だから丁度いいってわけよ。これ、借りてくわね」

プケファラスから飛び降り、そして地に落ちていたクリムゾンネイルのスーツケースを担ぐように持ち上げ、敵へと一歩踏み出す美琴。
怪我をしても治らない人間は前衛で戦わなくてもいい。
自分ならばいくら傷ついても何とかなるだろう。
そう考えて、美琴はイスカンダルの前に出る。
だがもちろん、それを黙って良しとする征服王ではない。

「待てぃ!! 貴様が考えていることぐらい察しがつくが、余がそんなつまらん考えに乗ると思うか!!」
「……別にどうだっていいでしょ。あたしが勝手にやるのよ。だからアンタもそんなに戦いたければ好きに……」
「無論、そのつもりだ。だが暫し待て。余はどうしてもあやつに聞かねばならんことがある」

王の威厳を漂わせた重い声だった。
自分のみならず、誰かの命運を背負って放つ言葉だ。イスカンダル個人ではなく、アレクサンダー大王としての言葉。
その声を無視できずに立ち止まる美琴の横にブケファラスの轡を並べ、そして征服王は再生をほとんど終えた敵をまっすぐに睨む。

「我が名はマケドニアの征服王イスカンダルなり――!!」

相手はその名乗りに応えない。
ただ聖剣とスプーンを構え、そして再び風を生む。
その風に砂塵が舞う。
ブケファラスのたてがみが風に踊り、イスカンダルのマントがはためく。
その姿がまるで歴史映画のようだ、と美琴は思った。

「我が盟友、獣の耳をもつわらべを、アルルゥを殺したのは貴様に相違ないか!!」
「――ッ!!」

怪物がその言葉を聞いて、大きく揺れ動いたのを美琴は見た。
イスカンダルは巌のような迫力を保ったまま動じず、さらに問う。

「相違ないのか? 余はその答えをどうあっても聞かねばならん。どうなのだ!!」
『………………そのとおりだ』

先刻と同じ、聴覚を無視してテレパシーで頭に届く声。
怪物はやや俯き加減で、初めてイスカンダルの問いに応える。
0616 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:09:17.79ID:ggPLFTLR
「ならば更に問う。なぜ一度は攫っておきながら殺した。その理由を語る気はあるか?」
『………………ない』

美琴が見上げれば、イスカンダルの表情には大きな険があった。
この偉丈夫は怒っている。その怒りがさらに声を重くする。

「理由を語り、その行動を悔いるならば事情を聞いてやらんでもない。だがそうではないと。そう答えればどうなるかも分かっているのだな」
『語る気はない。「オレが」そう決めたからだ。それは何があっても揺らがない』
「よかろう――」

イスカンダルが発した最後の言葉は死刑宣告だ。裁判は終わった。
あとはその剣を振りかざし、首を落とすだけ。そう決めた審判の一声だった。
こいつは王だ。たった独り、だがその独りの王だ。
王は王である限り、独りであっても、万民の王であっても、その意思を揺るがすことはできない。

「ならば名乗れ!! かつて盟約を交わしたアルルゥの死に報い、その魂を安んじるために、このイスカンダルが貴様を討ち果たす!
 アルルゥを殺した貴様は何者だ! 揺らがぬ決意があるのなら、それに懸けて堂々たる名乗りを上げてみよ! 名乗れ、怨敵よ!!」
『オレは…………オレの名は…………ミュウツーだ!!』

怪物が名乗った。
同時に旋風が巻き起こる。
僅かに青白い輝きを帯びた白銀の旋風が、再び竜巻となって、砂塵を、瓦礫を舞い上げる。

「うわぁ!」
「捕まれ美琴よ!」
「ご、ごめん! 助かった!」
「構わん。お主も盟友だからな」

吹き飛ばされかけた美琴を抱えてブケファラスの背に乗せてから、イスカンダルは確固たる意思をこめて巨大な竜巻を睨んだ。
相手は聖剣を携えた竜巻の怪物。災害の権化たる神話の竜そのもの。
稲妻の姫を抱き、王は大いなる勇気と、そして亡き友との誓いをもって竜退治に挑む。


「ミュウツーよ! 改めて名乗ろうぞ! 我が名は――――征服王イスカンダル!!!!」


◆◆◆
0621 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:11:23.52ID:ggPLFTLR
青銀の暴風がビル街の瓦礫を巻き上げ、そして地に叩きつける。
ミュウツーの操る風は、もはや災害そのものだった。
その風に挑む二人と一頭は、時折ビルに身を隠しながら、常に移動し、反撃のチャンスを伺う。
イスカンダルがクリムゾンネイルの銃身を支え、美琴が加速させる鉄杭のレールガンは、敵の強力な暴風に阻まれて届かない。
もっと近い位置から撃たなくては、先刻のようにはいかない。
だが近づけない。
かといって、ぼやぼやしているとたちまち瓦礫の雨を叩きつけられる。
圧倒的な暴風のせいで機動力も十全とはいかない。

「このままでは埒があかんぞ、美琴よ!」
「わかってる!」

この瓦礫の雨と竜巻を超えて、再びミュウツーへと近づかなければならない。
策はある。だが電力が足りない。
充電用のスタンガンのスイッチを押す。
しかし、既に十分な電力は残っていなかった。
美琴は舌打ちして、スタンガンをアスファルトに投げ捨てる。

「作戦に必要な電力がもうないのよ。チャンスは一度、あってもギリギリ二度が限界だわ」
「博打だな」
「ええ」
「だが、この状況では是非もなかろう」

それが一かバチかの作戦でも、できないならばともかく、できるならばやるしかない。
そのチャンスを、この手でモノにするしかないのだ。

「そうよね。じゃあ、いくわよ」
「おう。美琴よ、思うように埒を開けよ」

合図とともに二人を乗せたブケファラスが駆け出した。
たちまち突風と瓦礫の雨が降り注ぐ。
まともに眼すら開けていられない暴風域の只中で、美琴はイスカンダルの背から、風の向こうのミュウツーを見る。
竜巻の壁がまるで空間を歪めている様で、はっきりと敵の姿を可視化できないほどだ。
この嵐を超えていかに近づくか。

「いくわよ!」
「おお!」

イスカンダルがクリムゾンネイルを構える。
彼の膂力ならば美琴のように脱臼することはないだろう。美琴の仕事は砲身に手を沿え、電磁力で加速させてやるだけでいい。

「1、2、3、二発発射!」

美琴の合図とともにイスカンダルが引き金を引く。
二発の鉄杭が火花と放電に伴うオゾン臭を撒き散らして突貫する。
それは竜巻の中心に届くかに思えた。
0624 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:12:55.99ID:ggPLFTLR
だが。


――轟!


竜巻の中心が爆ぜた。
そして鉄杭が跳ね飛ばされて一発は近くのビル壁へ、もう一発はアスファルトへ突き刺さる。
ミュウツーの反撃。
路上に止めてあった乗用車が、まるで冗談のように宙を舞い、数台まとめて降り注ぐ。
だがその間にブケファラスは移動し、すでに次弾の発射準備が完了していた。

「1、2、3、もっかい二発発射!」

またも電磁加速されたクリムゾンネイルが二発。
またも竜巻の爆発。
またも赤い鉄杭がビル壁や地面に突き刺さる。

「いくわよ、ありったけ――!!」

崩れかけたビルの屋上に飛び移り、そこから残弾を全てミュウツーへ向けて撃ち下ろす。
文字通りの鉄杭の雨。
美琴の超電磁砲の連射限界は、確認してある限りは八発。
その八発を一気にぶちかました。
それを敵は爆発的な暴風で押し返す。
二つがぶつかり合う音は、風の爆烈音。
うねるように、または跳ねるように、鉄杭は風に跳ね返され、周囲に突き刺さる。

一発目――逸れて地面へ。

二発目――またも逸れて地面へ。

三発目――跳ね返されてビル壁に突き刺さる。

四発目――逸れて地面へ。

五発目――跳ね返されてそのまま飛んでいった。

六発目――逸れて地面へ。

七発目――わずかに逸れてそのまま敵の背後へ。

そして――八連射のラスト一発がついに壁を貫く。

「やった……!」

美琴は声を絞り出し、小さくガッツポーズ。
正真正銘の限界までの連射で、美琴の疲労はいよいよ極限に達しようとしている。
0627 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:14:17.00ID:ggPLFTLR
そしてイスカンダルも美琴の様子を見て、それを察していた。
ここが勝機。絶対に逃してはならない。

「よくやった! あとは任せよ、美琴! 良き臣民の働きには応えてやらねばな!」
「ちょ、誰が臣民……!」
「AAAALaLaLaLaLaLaLie――――ッ!!!!」

美琴を置いて、五階建てビルの屋上から、イスカンダルは神馬の手綱を握りしめ、一切の躊躇を見せることなく竜巻のど真ん中に飛び込んだ。
暴風のガードは相当に弱まっている。
その証拠に、先ほどまでは見えなかった敵の姿がはっきりと確認できる。
クリムゾンネイルに右肩のあたりを抉られ、だがたちどころに再生しつつあるミュウツーの姿だ。
動かぬ右手の代わりに左手でスプーンを前に突き出し、迎撃の構え。
そんな不完全な状態で征服王の渾身の一撃を防げるものではない。

「どおりゃっ!」
『――ッ!』

ファンクフリードの一撃でミュウツーの体勢が大きく揺らいだ。
イスカンダルはそこを狙って容赦なく第二撃を打ち込む。
――が、そこでミュウツーの背中から、予測の外の斬撃が襲う。

「なんとぉッ!」

間一髪、破魔の紅薔薇で受けた。
それは尻尾で掴んだエクスカリバーだった。
千切れかけた右手から尻尾へと受け渡し、背中ごしに一撃。
かろうじて肩口を掠めただけで凌いだイスカンダルは獰猛な笑みを浮かべた。

「やるのォ、貴様! 強いではないか!」
『……!』

黄金の剣と紅の槍の鍔迫り合い。
純粋な力ではイスカンダルが勝るようだ。
徐々に押し込んでいく。
だが、ミュウツーには風の加護がある。

『爆ぜろ、風王――なに!?』

エクスカリバーの爆風で吹き飛ばそうと真名を開放しかけ、そこでミュウツーの表情が歪む。
それを見てイスカンダルがニヤリと笑った。
爆風が発生しない。
イスカンダルがそれを封じたのだ。

「ランサーとセイバーの戦いを見ておいたのが、こんな所で役立つとは僥倖、僥倖!」

鍔迫り合いの体勢のまま、さらにぐいぐいと押し込む。
破魔の紅薔薇の能力は魔力封じ。
この力で、聖剣が発生させる魔力の風を抑え込んでいるのだ。
0630 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:16:06.91ID:ggPLFTLR
かつて第四次聖杯戦争で、本来の槍の持ち主であるディルムッドが、まさにこのエクスカリバーの風を封じたのをイスカンダルは見ていた。
それがここで生きるとは――――イスカンダルは戦いの流れがこちらに来ていると踏む。
ここで押し込む。そして押し切る。
距離を取られては、また竜巻の壁に阻まれる。
道を切り開いてくれた美琴はもう限界だ。故に次はない。
ここで絶対に逃がしてはならない。
とことんまで押し込み、このまま甲冑組み打ちの間合いで叩き伏せるのみ――

「ぬぅん!」
「ガブッ……!」

イスカンダルは鍔迫り合いから、槍を握ったままの左手を捻り、そのまま敵の顔面に叩き込んだ。
テレパシーではなく、顎を殴られて物理的に発した悲鳴を、ミュウツーが上げる。
さらに右手のファンクフリードを振り上げ、そのまま押しつぶす構えだ。
だがそこで尻尾に足をとられる。

「むう!」
『ガアッ!』

そのまま馬から引きずり下ろされる。
敵は主人のいないブケファラスを切り捨てようと聖剣を振りかざす。

「下がれ、ブケファラス!」

イスカンダルの命令によって、神馬は霊体化して姿を消した。
間一髪、何もなくなった空間を黄金の剣閃が切り裂いたのはその直後。
眼前の獲物を殺し損ねたミュウツーの眼がギロリと、地を這うイスカンダルに向く。
砂塵まみれの偉丈夫は、自分を地に伏せたその尻尾を決して離さぬよう握り締めながら立ち上がった。

「やる。やるな、貴様。流石に強いわい」
『……』

至近距離。
野獣のような笑みの征服王。
一方、全く表情を変えず、視線で純粋に殺意のみを叩きつける怪物の眼光。

「そこまでの強さがありながら、なぜわざわざアルルゥを殺めたのだ」
『……』
「争いを望まぬ子だった。か弱い童だった。貴様ほどの漢が殺さなくてはならん理由はなかったはずだ」
『……』

イスカンダルの瞳は笑っていない。
怒りと悲しみをこめた眼で、まっすぐにミュウツーを見極めようとしている。

「本当に貴様が殺したのか。今、余の心中には疑問が渦巻いている。貴様があの童を殺すような奸物だとはどうにも考えられん」
『オレだ。オレが殺した。貴様がどう思っていようが、それが真実だ』
「なにか理由があるのか。あの時、殺そうと思えば攫うことなどせず殺せた。なぜ攫った。なぜ殺した。真実は何だ」
『……』
0633 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:18:24.15ID:ggPLFTLR
命のやりとりの中で、王の眼は戦いとは別のものを見ていた。
ミュウツーがアルルゥを殺したという場面を誰かが見ていたわけではない。
ただミュウツーがそうだと言った。それだけだ。

『オレが、アルルゥを殺すようには思えないだと? ……なぜそう思う。今、この瞬間にも、オレは貴様を殺そうと考えているぞ?』
「余には、貴様が殺戮を楽しむような輩には見えん。ならば戦いには理由があるはずだ。戦いにもならぬ童を殺すのならば、なおのこと」
『それを聞いてどうするというのだ。聞いたところでどうにもなるまい!』
「あるのだな、理由が」

イスカンダルは握っていた尻尾を離す。
全身に纏っていた殺気が霧消する。

「もし、貴様が本当に殺したとしてもだ。理由があってやむなく殺したのであれば、貴様を倒したところでアルルゥの弔いにはならん」
『貴様……!』

殺気をこめて睨むミュウツーに、征服王は雄大にひとつ頷き、そしてその大きな手を差し出した。

「貴様の理由とやらを話せ。それを明らかにせねば、余が戦う理由はないからのう」
『そんなことは関係ない! アルルゥをどんな理由で殺そうと、オレが今、貴様らを皆殺しにすることとは関係ないんだッ!!!!』


◆◆◆
0635 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:19:26.91ID:ggPLFTLR
.

――ああ。


オレに理由なんてないんだ。


オレがミュウツーとして生まれたことにあるのは他人の都合、他人の理由だけだ。


自分の理由なんてない。


ギラーミンどもの都合で踊らされただけだ。


流されて、考えず、流されて、考えまいとして。


そのツケを今更オレに払えなんて言うのか。


レッドもイエローもいなくなった。


もうオレの居場所なんてどこにもない。


それでもオレにツケを払えっていうのか。


生まれようとして生まれたわけじゃない。


戦いたくて戦ったわけじゃない。


流されたくて流されたわけじゃない。


殺したくて殺したわけじゃない。


こんなところにいたくて、オレは生きてるわけじゃない。


だから、せめて、オレはオレの終わりを自分で決める。


それだけは、それだけは、オレから奪わないでくれ。


――――すまない、アルルゥ。


◆◆◆
0638 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:21:01.95ID:ggPLFTLR
.

『――オレは、』
「む?」

いくばくかの沈黙があった。
征服王は怪物の言葉をただ、待った。
ビルの上からそれを見下ろす満身創痍の美琴も、固唾を呑んで見守った。
そしてついに解き放たれた声。


『オレはいでんしポケモン、ミュウツー』


『戦うために作り上げられた戦闘生命体』


『改造されて、兵器として生まれてきたオレは生物ですらない』


『だから戦うために理由なんかいらない』


『殺すために理由なんかいらない』


『戦う』


『殺す』


『しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね』


この時点でイスカンダルも、美琴も理解していた。
ミュウツーは怪物になったのだと。
怪物は人と言葉を交わさない。
人の意を解さない。
それほどまでの殺意。
それほどまでの狂気。
追い詰められた獣。


『しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね
 しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね
 しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね
 しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね
 しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね
 しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね しね
 目の前にいる、モノ、全て、しんでしまえ――――――――!!!!』


◆◆◆
0642 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:23:05.84ID:ggPLFTLR
.

出会ったときの最初の一声は――――、


「ミャー」


…………だった。


「あんた、私のクローンなわけ?」
「はい」


気味の悪い都市伝説。
超能力者量産計画。
学園都市ならば、そんな馬鹿げた科学技術が実現できないとはいいきれない。
いつか自分と同じ遺伝子を持つクローンが目の前に現れるんじゃないか。
下らない噂と一蹴しながら、心のどこかでそういうことを考えて怯えていた。
でも、実物が現れてみると、こんなあっさりな感じで――――、

「そこの双子、姉妹ゲンカはよくねーぞ」
「コイツは妹じゃないっ!」
「オイオイ冗談でもそんなこと言うもんじゃないぞ」

アイスクリーム屋のおじさんに姉妹と間違われて、アイスをもらったり。

「オイッ」
「何のことでしょう? と、ミサカはチョコミントの爽やかな余韻を楽しみつつシラを切ります」

そのアイスを盗み食いされたり。

「うん。鏡で見るより分かりやすいし客観視できるわね。こうして見ると結構アリって気も……」
「いやいや、ねーだろ。とミサカは、ミサカの素体のセンスに愕然とします」
「なっ何おう!」

缶バッジ取り合って。




「それにコレは――――お姉様に頂いた、初めてのプレゼントですから」




これじゃまるで本当の姉妹みたいじゃない。
0644 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:24:23.95ID:ggPLFTLR
『「妹達」を運用した絶対能力者への進化法』
『二万体の「妹達」との戦闘シナリオをもって絶対能力者への進化を達成する』
『第9982次実験』
『開始時刻』
『八月十五日』
『21:00』


悪ふざけにも程があるわ。
私を殺すとか、代わりにクローンを使うとか、レベル6進化計画とか――――、




「――――さようなら、お姉様」




別れ際の言葉が頭から消えなくて、杞憂であって欲しいと願いながら追いかけた。
人気のない、寂れたビル街の狭間に存在する裏路地。
橋を降りてコンテナ置き場へ。
そこで見たものは――――、


「何で……何でこんな計画に加担したの?」
「アァ? 何だイキナリ」
「答えて! それだけの力があって……無理やりやらされてるわけじゃないんでしょ!
 こんなイカレた計画に協力する理由は何!? あの子に恨みでもあったわけ?」
「……理由? 理由ねェ。そりゃあ――」


イカレた最強の能力者。
不吉な気配を漂わせるアルビノの白髪。
顔面をばっくり裂いたような狂った笑み。
学園都市第一位。
そして――――、


「何よ……それ……絶対的な力? ムテキ? そんな……そんな事でッ……アンタはッ! そんなッ!」


まるで子供が無邪気に虫の足をもぐように。
そして飽きたら無造作に捨てるように。
付け根から引きちぎられていた。
コンテナ置き場の砂利の上にどうでもいいみたいに捨てられていた。
血塗れの。
あの子の。
脚。




「そんなモノのために、あの子を殺したのか――――ッ!!!!」




◆◆◆
0648創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/08/04(月) 23:27:14.20ID:zRJb46vY
 
0649創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/08/04(月) 23:27:34.62ID:1AjUFURs
 
0650 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:28:28.45ID:ggPLFTLR
.

…………アンタ達……何なの……?


おかしいよ……何でこんな計画に付き合ってるの?


殺されちゃうのよ?


こんなの……ワケわかんない…………


――――何でよ!!


生きてるんでしょ!?


命があるんでしょ!?


アンタ達にも……あの子にもッ!!




「ミサカは計画のために作られた模造品です」




「作り物の身体に借り物の心、単価にして十八万円の――――」




「実験動物ですから」




◆◆◆
0652 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:29:20.60ID:ggPLFTLR
【御坂美琴@とある魔術の禁書目録】
[状態]:だいぶ再生した
    多大な喪失感、大きな動揺、≪体内:全て遠き理想郷(アヴァロン)@Fate/Zero≫
[装備]:薔薇の指輪@ローゼンメイデン、ナース服、コイン。
[道具]:基本支給品一式(食料一食、水1/5消費)、病院で調達した包帯や薬品類
    コイン入りの袋(装備中の物と合わせて残り59枚)、タイム虫めがね@ドラえもん、首輪(ジョルノ)
    真紅のローザミスティカ@ローゼンメイデン、蒼星石のローザミスティカ@ローゼンメイデン
    ARMS『騎士(ナイト)』@ARMS、真紅の左腕(損傷大)、不思議の国のアリス@現実他、いくつかの本、ナースキャップ
[思考・状況]
 0:アイツと戦う
 0:そん次、ライダーの同盟者と合流。
 1:首輪を解体できそうな人物(第一候補はグラハム)を探す。
 2:一人でも多くの人を助ける、アイツの遣り残した事をやり遂げる。
 3:人は絶対に殺したくない。
 4:自分と関わり、死んでしまった者達への自責の念。
 5:上条当麻に対する感情への困惑。
 6:ライダーと行動する。
【備考】
 ※参加者が別世界の人間、及び参加時期が違う事を聞きました。
 ※会場がループしていると知りました。
 ※真紅と情報交換し、ローゼンメイデンの事などについて大雑把に聞きました。
 ※あすかと情報交換し、スクライドの世界観について大雑把に聞きました。
 ※地下空間の存在を知りました。地下にループ装置があるのではと推察しています。
 ※会場は『○』の形に成っているという仮説を立てています。
 ※全て遠き理想郷(アヴァロン)が体内にあることを知りません。
 ※ラッドの事を『原石』(天然の能力者)かも知れないと考えています。
 ※参加者についての情報は以下の通りです。
  協力できそうな人物:レナ、沙都子、梨花、ゾロ、チョッパー、アルルゥ、佐山、小鳥遊、グラハム、ウルフウッド
  直接出会った危険人物:ゼロ、ラズロ(リヴィオ)、メイド(ロベルタ)、宇宙人(ミュウツー)
  要注意人物:白仮面の男(ハクオロ)、ヴァッシュ、水銀燈(殺し合いに乗っているようであれば彼女を止める)
 ※首輪の機能について、以下のように考えています。
  確実に搭載されているだろう機能:「爆弾」「位置情報の発信機」「爆破信号の受信機」「脈拍の測定器」
  搭載されている可能性がある機能:「盗聴器」「翻訳機」
 ※首輪は何らかの力によって覆われていて、破魔の紅薔薇にはその力を打ち消す効果があると考えています。
0653創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/08/04(月) 23:29:42.54ID:zRJb46vY
  
0654 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:30:12.66ID:ggPLFTLR
◆◆◆




――――オマエはこれより戦いの神になる……




――――オマエは最も多くの死を振りまき……




――――ついには屍の山の頂上で息絶える……




――――地獄からの使者となろう!!!!




◆◆◆
0657 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:31:17.01ID:ggPLFTLR
【E−5 /2日目 黎明】

【ミュウツー@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:全快、首輪解除、制限解除
[装備]:約束された勝利の剣@Fate/Zero
[道具]:基本支給品×3<アルルゥ、仗助、ミュウツー>、どこでもドア@ドラえもん(残り1回)、
    第一の湖の鍵(E−)第二の湖の鍵(−5)
    不明支給品(0〜1)<仗助>、ひらりマント@ドラえもん
    トウカの刀@うたわれるもの、サカキのスピアー@ポケットモンスターSPECIAL、機殻剣『V−Sw(ヴィズィ)』@終わりのクロニクル
[思考・行動]
 1:戦って死ぬ。不退転。
【備考】
※3章で細胞の呪縛から解放され、カツラの元を離れた後です。
 念の会話能力を持ちますが、信用した相手やかなり敵意が深い相手にしか使いません。
※V−Swは本来出雲覚にしか扱えない仕様ですが、なんらかの処置により誰にでも使用可能になっています。
 使用できる形態は、第1形態と第2形態のみ。第2形態に変形した場合、変形できている時間には制限があり(具体的な時間は不明)、制限時間を過ぎると第1形態に戻り、
 理由に関わらず第1形態へ戻った場合、その後4時間の間変形させる事はできません。
 第3形態、第4形態への変形は制限によりできません。
※概念空間の存在を知りました。
※首輪解除による制限解除により、支給品に課せられた制限まで解除されるかは後続の書き手に任せます。



【ライダー(征服王イスカンダル)@Fate/Zero】
[状態]:魔力消費(中)、腹部にダメージ(小)、全身に傷(小)および火傷(小)、腕に○印
[装備]:包帯、象剣ファンクフリード@ONE PIECE、破魔の紅薔薇@Fate/Zero、
    エレンディラのスーツケース(残弾30%)@トライガン・マキシマム
[道具]:基本支給品一式×3、無毀なる湖光@Fate/Zero
    イリアス英語版、各作品世界の地図、ウシウシの実・野牛(モデル・バイソン)@ワンピース
    探知機(故障中)、
[思考・状況]
 0:ミュウツーと戦う。
 0:そん次、グラハム、沙都子との合流地点へ向かう。
 1:バトルロワイアルで自らの軍勢で優勝。
 2:首輪を外すための手段を模索する。
 3:北条沙都子を守る。
 4:サーヴァントの宝具を集めて戦力にする。
 5:有望な強者がいたら部下に勧誘する。
【備考】
 ※原作ギルガメッシュ戦後よりの参戦です。
 ※臣下を引きつれ優勝しギラーミンと戦い勝利しようと考えています。 本当にライダーと臣下達のみ残った場合ギラーミンがそれを認めるかは不明です。
 ※レナ・チョッパー・グラハムの力を見極め改めて臣下にしようとしています。
 ※『○』同盟の仲間の情報を聞きました。
 ※自分は既に受肉させられているのではと考えています。
 ※ブケファラス召喚には制限でいつもより魔力を消費します。
 ※北条沙都子もまずは同盟に勧誘して、見極めようとしています。
 ※現在の魔力残量では『王の軍勢』をあと一度しか発動できません
 ※別世界から呼ばれたということを信じました。
 ※会場のループを知りました。
 ※オープニングの映像資料を確認しました


【改造スタンガン@現実】
真紅から美琴に渡った。リミッターをはずしており、生命に危険なレベルまで電力を上げることができる。
電池切れでE-5に捨てられた。
0658創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/08/04(月) 23:32:11.64ID:zRJb46vY
    
0659 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/04(月) 23:32:19.53ID:ggPLFTLR
投下終了です。お待たせしてすいませんでした。

タイトルは「ポケットモンスター ゴールデンソード&シルバーストーム」です。
0660創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/08/04(月) 23:33:56.21ID:zRJb46vY
投下乙!!
おもしれえええええええええええ!
続き読みてえええええええええええええ!
久々に動いたのはわかってるし、まず続きが来たことを喜ぶべきなのもわかってるけど、なにより続き読みてえええええええ!!
ミュウツーと御坂がいちいちグサグサ来るし、そんななか征服王はひたすら征服王だし、おもしれー!
0661創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/08/04(月) 23:40:52.98ID:tGFbGV7N
投下乙!
ミュウツーのいでんしポケモン設定をここでそう活かすかー!クローン妹がいる美琴の心境やいかに!
イスカンダルは相変わらず豪快で、なおかつ他者を見る目があるなあ
しかし、流石に獣と化したミュウツーに勧誘は無理ぽ。追い詰められた獣がどれだけ暴れるのか楽しみで仕方ない
0662創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/08/09(土) 19:09:05.60ID:lT7t5vvk
投下乙! 面白いぞー!
美琴といでんしポケモンの邂逅は何を生み出すのか!?
っていうかもうポケモンじゃなく普通のモンスターだよ!

作者に多大な敬意と感謝をこめて、改めて投下乙!
0663創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/08/10(日) 01:16:48.09ID:Sminryj/
風王結界ってセイバー個人の魔術であってエクスカリバーとは全く関係ないんじゃなかったっけ
0664創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/08/10(日) 21:27:42.11ID:VmSCIy+L
投下乙!
ここでおしまいとかまじかー!
クリムゾンネイル・レールガンが地味に好き
タイトルのセンスもいいなぁ
0665 ◆SqzC8ZECfY
垢版 |
2014/08/10(日) 21:53:12.83ID:mznzTd1D
>>663
ググってみても諸説あってハッキリしないのですが、風王結界の由来が、マーリンによる透明になる魔法らしいことからエクスカリバー由来ではなさそうですね。
直ちに修正にかかります
0666 ◆UcWYlNNFZY
垢版 |
2014/08/12(火) 00:14:09.75ID:45RRnpNU
お待たせしました。投下始めます
0668護りえなかった事と救い得なかった事と ◆UcWYlNNFZY
垢版 |
2014/08/12(火) 00:17:07.56ID:45RRnpNU
「そんなものか」

放送を聴いたリヴィオが呟いた言葉はそれだけだった。
ミュウツーと分かれて、廃坑にある小屋で放送を聞いていた。
けれど、何も特別な感想を持つこともない。
頭がすげ変わっただけのことだ。
それだけで殺し合いに大きな影響はない。
盤面の更に上にいる者が変わっただけで、駒は変わることはないのだから。
取り除かれた駒の数も順当に落ちているとしかいえないだろう。
同盟者の一人が死んだ所で、リヴィオそのものはやることは変わらない。
同盟は殆ど消滅したに近いが、ミュウツーがまだ居る。
彼を意識しながら、戦えばいいだけだ。
為すべき事を為せばいい。

それ、即ち、生きる事に繋がる。

その為には、いや、リヴィオがリヴィオ・ザ・ダブルファングである為には、やるべきことがある。
人間台風、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの抹殺。
心のそこから決めた、ひとつの思い。
何もかも護ろうとして、何かも諦めていない。
あの真紅の男。
あぁ、そうだ。何もかも手放さないで、理想を語る人間。
なのに、彼は、もう既に取りこぼしているではないか。
彼自身の盟友を護れてないではないか。

「護りたいもの、大切な友達を護れてない癖に、貴方は下らない理想を言ってるのでしょうね」

ニコラス・D・ウルフウッドは、ヴァッシュにとっても唯一無二の盟友ではなかったのだろうか。
自分の使命すらも放り投げて、助けにいくぐらいの。
それなのに、彼は護りきれなかった。
ウルフウッドの話を聞く限りだと、この殺し合いでも出会えてすらなかっただろう。
何が、友達だ。
そんな人すら、護れないのに。


「あぁ……なんだ、そういうことか」

あの男が護れないから、ウルフウッドもまた護れなかったのか。
リヴィオは納得したように、冷めた言葉を口にする。
護るというのは、どんなに大変なことで、そしてどんなに身勝手で、どんなに重いことだろう。
そんなのに縛られて、あの人は逝った。
不死身の人間の理想に縛られて、護れずに逝った。
何かを切り捨てられずに、逝った。
あこがれていた男は、きっとそんな「護る」事に囚われて逝ったのか。
0669護りえなかった事と救い得なかった事と ◆UcWYlNNFZY
垢版 |
2014/08/12(火) 00:18:11.89ID:45RRnpNU
ヴァッシュは、あの男は、護ろうとしていた。
世界の人を、大切な仲間を、身内を、全部、全部。
護りきれてないのに。
護れていないのに。
大切な友達すら失わせて。


ギリっと、リヴィオは歯をかみ締めた。


誰かを護ること。


そんなこと、出来る訳がないだろう。
そんなの、この世界では、無理だ。
いつだって、生き残るに必死で。
いつだって、死ぬ事に怯えて。
他人を護ることが、自分の救いになるなんてこと。


絶対に、あり得てはいけない。



救いになるというなら。




なぜ、ニコラス・D・ウルフウッドは死んだ?


あんな、疲れた表情で、なぜ逝った?



不相応な生き方をして、大切な少女を護れず、何故、逝った?





「……そんなものは――――救いになりえないんですよ。ヴァッシュ・ザ・スタンピード」



だから、そんなものは、救いにならない。
誰も殺さずに護るなんてできやしない。
きっと、このように死んでしまう。
貴方がそんなことをいえるのは、死なないからだ。
絶対的な力を持ってるからだ。
0670護りえなかった事と救い得なかった事と ◆UcWYlNNFZY
垢版 |
2014/08/12(火) 00:19:26.17ID:45RRnpNU
そんなモノが。


今を生きるので、精一杯な人間を惑わすな。




あぁ。


だから、殺そう。



護るという言葉すら、もう聞きたくない。



この世界に、愛も平和もない。



そんなものが救いになるなら…………






ウルフウッドは死ななかったのだから。




そんなものが救いとなるというなら。





ヴァッシュ・ザ・スタンピードは、ニコラス・D・ウルフウッドを護れてないといけないだろう?




護れてないじゃないか。
0671護りえなかった事と救い得なかった事と ◆UcWYlNNFZY
垢版 |
2014/08/12(火) 00:19:58.84ID:45RRnpNU
救えてないじゃないか。



大切な友達すら。




「だから、俺は…………」





ふと、目に入ったものがあった。
小屋の壁に掛かっていた黒い外套と、黒い帽子だった。
今の自分の服が余りにも血まみれだった事に気付き、それを羽織る事にする。
血塗れで感付かれても面倒だから。
休憩は終わりだと、リヴィオは小屋をでて、思い走り出す。






「――貴方を殺すんです、大切な友達すら、護れなかった貴方を、ね」




護りえなかったもの。
それが、ウルフウッドを狂わし、死に至らしめたというなら。


ヴァッシュ・ザ・スタンピードはきっと、ニコラス・D・ウルフウッドを殺したのだろう。


だというなら、自分は、俺は、僕は、




「――――誰が、この力を何かを護る為につかってやるものか」




もう誰かを護る事は、絶対にないのだろう。








◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
0672護りえなかった事と救い得なかった事と ◆UcWYlNNFZY
垢版 |
2014/08/12(火) 00:21:19.06ID:45RRnpNU
あの時、護った事を思い出した。
高いところから落ちそうになった少女を護った、記憶。
誰かに頼りにされた、唯一の記憶。
けれど、それは、もう遠い昔で。




きっと、もう、それは、二度と思い出すことはないだろう。







今、偶然にも誰かを護る決意をしたリヴィオと同じ姿をした、リヴィオが居る。



けれど、それは近いようで、絶対的に遠いモノ。



ニコラス・D・ウルフウッドが救い。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードが頼りにした男。



そんなものには、何処にも無く、遠いモノで。
何もかも正反対になってしまったモノ。




そんな、モノが、そこには在った。
0673護りえなかった事と救い得なかった事と ◆UcWYlNNFZY
垢版 |
2014/08/12(火) 00:24:01.08ID:45RRnpNU
【H−3 南部/2日目 深夜】
【リヴィオ・ザ・ダブルファング@トライガン・マキシマム】
【状態】:ラズロ帰還、両手両足にダメージ、筋肉断裂、全身にダメージ(大)、背中のロボットアーム故障
【装備】:黒衣の外套、パ二ッシャー@トライガン・マキシマム(弾丸数35% ロケットランチャーの弾丸数1/2) ラズロのパ二ッシャー(弾丸数35% ロケットランチャーの弾丸数0/2)@トライガン・マキシマム
【道具】:支給品一式×9(食料一食、水1/2消費)、スチェッキン・フル・オートマチック・ピストル(残弾20発)@BLACK LAGOON、
     M94FAカスタム・ソードカトラス×2@BLACK LAGOON、.45口径弾×19、.45口径エンジェルアーム弾頭弾×2@トライガン・マキシマム
     ココ・ジャンボ@ジョジョの奇妙な冒険、.45口径弾24発装填済みマガジン×2、.45口径弾×24(未装填)
     天候棒(クリマ・タクト)@ワンピース、ミリィのスタンガン(残弾7発)@トライガン・マキシマム
     三代目鬼徹@ワンピース、コルト・ローマン(6/6)@トライガン・マキシマム
     投擲剣・黒鍵×4@Fate/zero、レッドのMTB@ポケットモンスターSPECIAL、コルト・ローマンの予備弾35、グロック26(弾、0/10発)@現実世界、
     謎の錠剤入りの瓶@BLACK LAGOON(残量 50%)、パ二ッシャーの予備弾丸 1回分、キュプリオトの剣@Fate/Zero
     詩音の首輪、包帯、デザートイーグル50AE(0/8)
【思考・状況】
0:このまま南下する
1:覚悟は決まった。参加者の排除。特にヴァッシュ・ザ・スタンビート。
【備考】
※原作10巻第3話「急転」終了後からの参戦です。
※ウルフウッドの死体はそのままです
0674創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/08/13(水) 15:22:17.16ID:WqdSrdTk
投下おつです。
そーだよなー、ヴァッシュは守れてないし、ウルフウッドは救えていないんだよなあ。
最悪のIFからやってきたリヴィオに出会ったらヴァッシュはどうなるんだろうか。
0676創る名無しに見る名無し
垢版 |
2014/08/23(土) 22:43:12.97ID:gS/RTRt1
投下乙!
リヴィオの覚悟の描写が素晴らしい…素晴らしい
参戦時期のちょっとしたズレがここまで正反対なキャラになるとは
一つ一つのセリフがとてもリヴィオらしくて好きだな
0677創る名無しに見る名無し
垢版 |
2016/08/31(水) 04:52:47.24ID:cOHXDcjI
a
0678創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/07/10(月) 04:20:08.01ID:ugHrL6M5
☆ 日本人の婚姻数と出生数を増やしましょう。そのためには、☆
@ 公的年金と生活保護を段階的に廃止して、満18歳以上の日本人に、
ベーシックインカムの導入は必須です。月額約60000円位ならば、廃止すれば
財源的には可能です。ベーシックインカム、でぜひググってみてください。
A 人工子宮は、既に完成しています。独身でも自分の赤ちゃんが欲しい方々へ。
人工子宮、でぜひググってみてください。日本のために、お願い致します。☆☆
0679創る名無しに見る名無し
垢版 |
2017/12/27(水) 10:30:29.40ID:C1Z7QFDy
家で不労所得的に稼げる方法など
参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。

グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"

EP8BNMAEZP
0680創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/05/21(月) 08:38:32.31ID:tRZnwP6O
知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』

I7BAO
0681創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/07/03(火) 19:17:31.68ID:f1dClnnX
4MX
0682創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/10/17(水) 18:57:14.36ID:ZU7x6aHX
中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

T8W
レスを投稿する


ニューススポーツなんでも実況