仮題「さようなら、たっくん」

「ピンポーン!」
「ひさしぶりだね。」
とつぜん、たっくんがうちに遊びにきた。
ぼくはちょっとびっくりしたけど、たっくんといっしょに遊ぶことにした。

せっかくだから、おおぜいで遊ぼうっておもって、友だちにでんわして、みんなをうちによんだんだ。

さいしょは外でサッカーをした。

それから部屋でトランプをしたし。

ブロックのロケットで、うちゅうせんそうごっこもした。

たくさんレールをつなげて、どこまでもつづくせんろに電車をはしらせた。

とちゅうでおかあさんが、
「あら大ぜいで遊んで楽しそうね。おやつをどうぞ」
といって、ケーキとジュースをもってきてくれた。ぼくたちはぜんぶで11人いたのに、なぜか10こしかもってきてくれなかった。でも、みんなで少しずつわけあったから、だいじょうぶ。

みんなで大きな絵もかいた。

どしん、どしん、きょうりゅうごっこもした。

たっくんがきゅうにいった。
「ぼく、もういかなきゃ・・・。たのしかった。それじゃあね。」

ぼくらはじゅんばんにお別れをのあいさつをした。
「さよなら、たのしかったよ」
「たっくん、バイバイ」
「さらばじゃ」
「バイバイ」
「グッバイ、たっくん」
「サイナラ」
「ばいちゃ」
「ばはは〜い」
「じゃあね」
「さようなら」

たっくんはみんなとあくしゅをすると、すうっといなくなった。

しばらくしておかあさんが、はしってきてこういった。
「みんな、よくきいて。さっきたっくんのおかあさんから電話が来て、ずーっとにゅういんしてた たっくんがさっき・・・・」
おかあさんはそれいじょういえなかった。でもなにがおこったのか、ぼくたちはしっていた。

ぼくたちは泣かなかった。
だって、さっきみんなできめたから。きょういちにちはわらってすごそうって。

そして、ねるまえにふとんのなかで、すこしだけ泣こうって。
「さようなら、たっくん。」