◎国鉄241系郵便電車
1984年
○1970年代後半以後、郵便物輸送における鉄道のシェアは年々縮小し、
郵政省は国鉄に対し鉄道郵便を継続させるならば、
トラックよりも速く、利便性あるダイヤで安価に大量輸送を可能しめるよう改善を要請し、
特に新幹線の利用を要望した。
1984年頃に、東海道山陽線等の汐留〜梅田〜東小倉間に最高120km/hの郵便物輸送用高速電車の
運行が計画され、
それが241系である。車籍は国鉄だが、郵政省の私有車。
車種は、クモユ240(M'pc)、モユ241(Mp)、サユ241/240(Tp/T'p)、(注:p=psot;ユ)の四種。
車体長20m級の鋼製車体。
登場以前の84年2月のダイヤ改正にて車内で郵便物を仕分ける取扱便は廃止されたので、
郵便区分室を有する車両はない。
M車は護送便用車両で、その設備及び間取り並びに意匠はマニ50形に酷似し、
同乗荷役作業員控室とトイレ洗面所付き。
先頭車M'pcの先頭の意匠は、183系0番台電車酷似の電気釜・貫通型、観音扉は省略。
T車は締切便用パレット輸送用貨車で、Tpはス二40形に酷似、T'pは回送運転室を備えマニ44型に。
M'pcMpTpTpT'p及びその逆配列の二種ユニット(2M3T)による両端にM車配置の10両編成、
若しくは一ユニット増結の15両。
走行システムは、201/203系のを改良した電機子チョッパ制御とし粘着性能を向上、
但し列車密度極小の深夜帯走行が専らなので回生ブレーキは非搭載、
発電ブレーキ用の抵抗器を搭載し、チョッパ制御は力行専用。
Mpにパンタグラフ二台。
台車は201系のを改良したヨーダンパ付きの空気バネ台車。
乗り入れる交流電化区間は下関〜東小倉間と短距離なので直流専用電車とし、
当交流区間は機関車に牽引するとし、M'pcに電源用のディーゼル発電機を搭載。
M'pcとT'pの運転台側連結器は機関車との連結の為並形で、ユニット内は密着。
車体塗装は、全体に赤系一色に白帯と、身延線色に酷似。
84年半ばに量産先行車が登場し試運転開始。
85年3月のダイヤ改正で郵便特急列車として就役開始。
就役当時、汐留〜梅田間の直行便は151系こだま号に匹敵する6時間半。
86年11月の国鉄最後の全国ダイヤ改正で、郵便小荷物輸送は原則全廃され、
例外の一つとして本系列使用の列車は残る。
汐留駅廃止で東京貨物ターミナル発着となる。
87年4月の国鉄分割民営化でJR貨物に承継。
その後、鉄道による全国的郵便輸送が復活したが、専らコンテナ輸送となり、
パレット輸送用の本系列の増備は無かった。
JRによる線路改良によって所要時間短縮。
登場時から10年程経った1990年代半ばの車両更新工事により、
フランスのTGVの郵便専用車を真似て、黄色に。
2006年にコンテナ輸送の新型車に置き換えられ、全車廃車。
引退直前に登場時の赤に戻る。