一方、岐阜市の公共交通政策を充実させるため、04年4月に国土交通省
から出向していた可児紀夫さん(68)は「環境に優しく、世界的にも再評価
されていた路面電車を何とか残そうと奮闘したが、力及ばず、これまでの
人生で一番悔いが残る」と、当時を振り返る。そして、言葉を絞り出した。
「なぜ、細江さんはたった半月で態度が急変してしまったのだろう」
路面電車の廃止後、JR岐阜駅前と名鉄岐阜駅前の間に陸橋がかけられた。
設計段階では、その下に路面電車を通す予定だったため、完成した橋は
中央部分を高くしたアーチ状になっている。かつて、路面電車とバスの
共存を目指した象徴的な建造物として残っている。