同じく元東急車輛のお偉いさんがRF誌に連載で記述していた中から京急800形
関連の車両デザイン案を2点。

当時、東急車輛では京急800形の設計を担当していたが、数点提案した中には
前照灯を2灯とする案も出されたが、当時の京急の副社長が「前照灯は1灯で
十分である。」と断固拒否したため、このデザイン案は800形では採用され
なかった。しかし、当時の京急の車両部長がこのデザイン案を気に入った
ようで、800形では不採用となったこのデザイン案は数年後の2000形の製造の
際に、副社長が経営から退いた直後ということもあって、「今度の2000形は
このデザインにする。」という車両部長の鶴の一声で、2000形ではすんなり
と採用されることになった。

また、東急車輛では800形の前面窓のビラーを中央部ではなく向かって左側に
寄せた左右非対称のデザイン案を京急に提案して、その車両部長もその案を
気に入って採用される予定だった。しかし、東急車輛では他社(国鉄201系?)
にもこの左右非対称のデザイン案と出していた、そちらからは「この左右
非対称のデザイン案は大変気に入った。しかし、他社でも採用していたら
新鮮味に欠ける。他社に提案していないのであれば、このデザインを採用
してやる。」と言われたため、東急車輛は京急に謝罪して左右非対称の前面
窓のデザイン案を取り下げて左右対称の現行のデザインの案に変更した。

しかし、当時京急本社によく出入りしていたロングおじさんこと吉村光夫氏
が勝手にこの800形の左右非対称のデザイン案をどこかの鉄道雑誌に投稿して
しまい、その京急の車両部長から「君は今後京急本社に出入り禁止になる
かもしれないぞ!!」と怒られた。と、後日自身の著書にて書いていた。