中学生のころですが、最初に買った鉄道ファンが、松浦線のお召し機として、ハチロクとC11が走った
記事が載っていた号でした。蒸気機関車って、こんなにも美しいのかと感動し、それ
以来、8620型が一番好きな機関車となっています。
ボイラの太さも、化粧煙突も、ランボードの曲線も、みんな優美です。テンダすら、
絶妙のデザインです。
大正の世になり、日本もようやくこれだけの機関車を作れるようになったと
言うとき、その性能だけでなく、当時のセンスもいっしょにデザインしてくれ
たんだなと思います。機関車は先端を行く機械だったからこそ、美しくしたい
という意志が働いていたのではないでしょうか。
もう、そのころすでに、8620は幹線の花形機関車ではなく、地方線の隠居仕事に
回っていったのがほとんどでしたが、それがまた、なんとも日本的な、いい味の
景色を作っていましたね。