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低迷ホンダが大改革”本田宗一郎の原点”に立ち返る改革はうまくいくか(井上久雄 2020/03/06 06:00)

 ホンダが60年ぶりの大改革に乗り出す。2月18日、事業運営体制の変更を発表。
4月1日付で研究開発を担う子会社「本田技術研究所」の売上高の7割を占める部署を本社に吸収統合し、
社員1万4000人の大半が異動することに。

 現在、研究所は開発から試作までを担当、本社が量産と販売を担う形になっている。ホンダOBが明かす。

「大企業病が進み、挑戦的な開発に取り組む社風が消えた結果、ヒット車や世間を驚かせるような技術開発ができなくなった。さらにアリバイ作り的に仕事をする技術者が増えたため、無駄な設計図と、その管理にコストがかかる始末だった」

 こうした無駄が四輪事業を蝕む。2019年4〜12月期決算では四輪の売上高が前年同期比6.2%減の7兆8559億円、
営業利益が12.8%減の2290億円。営業利益率は2.9%で、トヨタ(9%)の半分以下。

 株価も低迷している。25日時点で株式の時価総額は5兆3165億円。
電気自動車向けモーターで気を吐く日本電産は、売上高がホンダの約10分の1だが、時価総額は4兆324億円。
ホンダへの投資家の評価がいかに低いかを物語る数値だ。
経済産業省内でも「株価が低いホンダが外資に買収されないか心配だといった議論が出ている」(同省OB)という。

“本田宗一郎の原点”に立ち返る改革の行方は?

 この現状に業を煮やしたのが15年に就任した八郷(はちごう)隆弘社長。以来、営業、生産、開発の縦割りではなく、
一体運営を目指してきた。

 ホンダの社長任期は通例6年。来年に社長交代が確実視されており、八郷氏は自らに「卒業試験」を課すかのように
トップダウンで改革を指揮した模様だ。

「研究所解体で、商品化に近い開発を担う部署は本社の四輪事業本部内に新設される『ものづくりセンター』に取り込まれる。研究所は消滅するのではなく、ロボットや次世代モビリティなど、ホンダらしい先進的な研究に特化させる。
つまり宗一郎の原点に立ち返る改革なのです」(ホンダ関係者)

 そして、ものづくり全般と研究開発を担当するのが、4月から専務に昇格する三部敏宏常務(58)。
次期社長「当確」のランプが灯ったと見られている。
「三部氏は若い頃から酒が大好きで飲むと特殊芸も披露する宴会部長的存在」と元役員は言う。
雰囲気が暗くなったとも言われる社内を明るくできるかも問われている。

(井上 久男/週刊文春 2020年3月5日号)