横浜地検は27日、社員に違法な長時間労働をさせたとして、労働基準法違反容疑で書類送検された三菱電機と当時の上司1人について、嫌疑不十分で不起訴にした。
 地検の片岡敏晃次席検事は記者会見し、「捜査を尽くしたが、起訴に足る証拠の収集に至らなかった」と説明した。違法残業を強いられたとされた元社員の男性(31)は労災認定されているが、片岡次席検事は「刑事処分の方がハードルが高く、今回は届かなかった」と述べた。
 三菱電機などは2014年1〜2月、同社情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)に勤務していた男性に、労基法36条に基づく労使協定の上限時間を超える残業をさせた疑いが持たれていた。
 男性は13年4月に研究職で入社したが、14年4月にうつ病と診断された。同6月から休職し、16年6月に退職した。藤沢労働基準監督署は同11月、長時間労働で適応障害を発症したとして労災を認定。今月11日、労基法違反容疑で同社などを書類送検した。
 三菱電機の話 不起訴処分の連絡を受けたが、書類送検に至った事実は真摯(しんし)に受け止めている。総労働時間削減と適切な労働時間管理に取り組む。