イタリアのロベルト・キンケロも、角田を評価するためにもう少し慎重になるべきだと語る。

「角田はスピードと、レースでの強さを持っていることを示した。オーバーテイクも、易々とやっているようにすら見えた。これはアルファタウリやレッドブル、そして彼自身にとっては朗報だったと言えるだろう。でも、飛躍しすぎてはいけない」

 キンケロはそう語る。

「彼がうまくいくことを願っている。しかし、ミスをする場面もあるだろう。それは至って普通のことだ」

「ケビン・マグヌッセンが、マクラーレンからF1デビューを果たした初戦で、表彰台を獲得したのを鮮明に覚えている(2014年のオーストラリアGP)。彼はしばらくの間、”未来のチャンピオン”とか、”ふたり目のルイス・ハミルトン”などと呼ばれていた。しかし結局成功することはなかった」

「F1では多くの場合、ひとつのレースだけで判断が下される。そういう意味では、ルーキーが脚光を浴びすぎるのは、大きなリスクだとも言える。今、角田に対して『スター誕生だ!』と評価している人たちが、彼が最初にミスをした後に手のひらを返すようなことがないよう願っている。F1は長い道のりだ。ドライバーは、上に上り詰めるためにはステップをしっかりと踏むことが必要なんだ」

 しかしそのステップをしっかり踏むことができれば、角田は素晴らしい結果を掴むかもしれないとキンケロは語る。

「角田の登場は、F1にとっても日本にとっても重要なことだ。長く日本人ドライバーが不在だった。そこに、世界的な興味を惹きつける存在が現れたのだ。しかし彼にはまだ、学ばせる必要がある。あまりにも早い段階で、彼にプレッシャーをかけすぎるべきではない」

「彼は将来、F1で重要な役割を果たすことができる人物だと確信している。しかし、今は特別なプレッシャーをかけるべきではない。確かにその初戦は素晴らしいモノだった。それについて疑いはない。次に何ができるのか、見てみることにしようじゃないか」