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【明城学院】シンジとアスカの学生生活5【LAS】 [無断転載禁止]©2ch.net
レス数が1000を超えています。これ以上書き込みはできません。
0001名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2015/12/21(月) 21:17:54.60ID:???
★アスカとシンジの学生生活を想像してどんどん書き込んでください!★

貞本義行氏の漫画版「新世紀エヴァンゲリオン」の「LAST STAGE 旅立ち」を起点とします
「明城学院附属高校」の受験日に起きた二人の出会いから始まる学園モノを想像/創造しよう!

内容は「貞エヴァのラストから始まる学園LAS」という形に準じていれば特に制限はありません
TV版・旧劇場版・新劇場版の設定・登場人物・エピソードを織り交ぜたり等々

そういったミクスチャーもOK!職人さんの裁量にお任せ!
構想をお持ちの方はジャンジャン投稿してください!
短編・小ネタもドシドシ投稿お待ちしています!

よ〜し職人さんの作品に挿絵を付けちゃうぞ
という絵師の方もガンガン投下お願いします!

★前スレ★
【明城学院】シンジとアスカの学生生活4【LAS】
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/eva/1437394781/

【明城学院】シンジとアスカの学生生活3【LAS】 [転載禁止]c2ch.net
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/eva/1416674769/

【明城学院】シンジとアスカの学生生活2【LAS】
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/eva/1384532292/

【明城学院】シンジとアスカの学生生活【LAS】
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/eva/1370587184/
0900名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 00:42:20.28ID:e8STI+vK
僕は恐る恐る尋ねた。
「何か用?じゃないわよ!アンタのおかげで危うく私が人を轢きかけたじゃない!」
「アンタが轢かれて怪我するのは勝手だけど、この私をひき逃げ犯にでもするつもり!?」
この子は一体何を言っているのだろうか?僕は一瞬理解できなかった。
轢きかけたって、僕はあのクラクションの音を聞いて結構余裕を持って隅によったつもりなんだけどな、
どうやら彼女はそれでも僕の振る舞いに不満があるらしい。
これがアメリカ人の気質なのだろうか?もしこの町で暮らすアメリカ人がみんな
こんな性格だとしたら僕にはとてもやっていける自信がない。
僕はアメリカでの生活において早くもアウェーの洗礼というものを感じつつあった。
0901名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 00:43:47.11ID:e8STI+vK
「ちょっとアンタ何ボケっとしてんのよ!?人の話聞いてんの!?」
「ご、ごめん……」
僕は悪くもないのに咄嗟の判断で謝ってしまう、気の弱い僕の昔からの悪い癖だ。
「ふん、反省の色が見えないわね」
「そ、そっちこそスピード出しすぎなんじゃないのか?もっとスピード落とせよな」
僕もさすがに納得が行かないので少しだけ反発の意を見せた。
「何よ!アンタ余所者の分際でこのアタシに楯突く気ぃ!?」
「余所者って酷いな!い、一応僕だってこの町の住民なんだぞ」
「住民?その割には見ない顔ね」
「そりゃあ越してきたばかりだからな……」
「ふうん、……ってあんたもしかして日本人?」
「うん、そうだけど……あれよく考えると君もアメリカ人なのに日本語だね」
なんで今まで気がつかなかったのだろう、それはここまでの一連のやり取りが
あまりにも自然な流れだったからであろうか?
あるいは僕の中に未だ日本にいるという感覚が残っていてここがアメリカだという
現実をしっかりと認識していないからだろうか?
0902名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 00:44:44.80ID:e8STI+vK
いずれにせよ僕はここに来てようやく彼女と日本語で意思疎通ができるということに気がつくのであった。
それにしてもこの女の子以前にもどこかで見かけたような……
僕がそんな事を思っているとどうやら彼女の方も同じようなことを考えていたようで。
「そういや、アンタのことどっかで見たような気がするのよね」
「ねえ、君はどうして日本語が話せるの?」
「そりゃあ、アタシのママが日本人だからよちょっと前に私も日本に行ったことが……」
そこまで言ったところで彼女の言葉が一旦止まる、そしてしばしの間の後……

「あっ!?アンタ(君)あの時の!?」
僕たちの言葉はものの見事にシンクロしたのである。
0903名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 00:45:49.60ID:e8STI+vK
「にしてもなんであの時のナンパ男がここにいるわけ?」
「ナンパ男って……そういう誤解を招きそうな表現はやめてよ」
「怪しいわね、こんなところまで私を追いかけてきてストーカーなんじゃないの?」
「ち、違うよ!そもそも僕は君がこんなところにいるなんて知らないわけだし……」
今から数ヶ月ほど前、あの明城学院に入るための入学試験を受けるため僕は慣れない電車に揺られ試験会場のある街へと向かった。
僕が彼女と出会ったのはその列車を降りたときのことである、たまたま降りる駅が僕と一緒だった彼女は降りようとしたんだけれど
その時ちょうど列車は満員で彼女は人混みに押されてとてもじゃないが自力ではホームに出られそうにない状況だった。
偶然にも僕はそんな彼女に気づくことができ彼女を引っ張り出してあげようと手を差し出したのだ。
0904名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 00:47:20.80ID:e8STI+vK
まあ思い返してみればこれ自体は別に大した出来事ではない。日々日常を送っていれば
誰しもが遭遇しうるであろうありふれた些細な出来事の一つである。
事実僕自身、つい先程異国の地でまさかの再会を果たすまでこの出来事のことを半ば忘れていたくらいだ。
しかし今にして振り返ってみるとこの女の子確かに日本人離れした容姿をしている。
さらっとした流れるような栗色の髪の毛、青々と輝くターコイズブルーの瞳、
目鼻立ちはくっきりとしており肌は透き通るようなミルク色、ほんのり朱色に染まった唇もなんとも麗しい。
なるほど、見れば見るほどアメリカ人と言われて納得の風貌だ。
0905名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 00:48:00.49ID:e8STI+vK
駅で出会ったときも思ったことだけど本当僕なんかとは不釣合なくらい素敵な女の子だ。
歳は幾つくらいなんだろう?見たところ僕とそう変わらないはずなんだけど
彼女は器用にも旧式のフォルクスワーゲンを運転している。
日本では僕と同世代の人間が車を運転するなんてそうそう見かける光景ではないんだけど
アメリカなら普通のことなのだろうか?
「私くらいの女の子が車を運転するのってそんなに珍しい?」
運転席に座る彼女が真っ直ぐ正面を向いたまま僕の心の中を見透かしたような事を言う。
「日本じゃ君みたいな子、滅多にいないからね」
僕は思った通りのことを告げる。
0906名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 00:49:02.10ID:e8STI+vK
「こっちじゃ割とよくあることよ、免許制度が日本ほど厳格じゃないのよね」
彼女が取り留めもなく僕の疑問に答える。車はなおも牧歌的な雰囲気の田舎道を
突き進む、辺りは緑豊か農村となっており目に付く建物といえばこのへんで農業を営む民家や牧場の厩舎くらいなもので
それも住宅街のように密集しているわけではなく一つ一つがとてもまばらだ。そんな日本の田園地帯とはまた違う
アメリカ特有の田舎の風景を眺めつつ僕は運転席に座る彼女との不思議な縁について思いを馳せた。
日本の駅で出会いそのまま別れた女の子、それも名前さえも知らぬ少女と異国の地で再会し今こうして同じ車に乗り込んでいる……
冷静に考えればかなり凄いことだ。
0907名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 00:50:38.44ID:e8STI+vK
普通に生きていてこんな偶然はそうそう起きることではない。そういえばあの時駅のプラットホームで彼女の顔を見たときも
何故か初めて見た顔じゃないような気がした、それどころかまるで古くからの知り合いと久しぶりに会ったような
そんな奇妙な感覚に囚われたのを覚えている。まさか彼女とは前世からの知り合い?
僕はこの不思議な再会を前に思わず発想を飛躍させようとしたがすんでのところで踏みとどまる。
止めようこんなことを考えているようじゃまるで本当にストーカーみたいじゃないか、前世から続く運命的な出会い?
馬鹿馬鹿しいそんなことあるはずがないじゃないか、そうこれはただの偶然。
僕がそう必死に自分に言い聞かせていると運転席の彼女がこんなことを尋ねてきた。
0908名無しが氏んでも代わりはいるもの
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2017/05/23(火) 00:51:25.29ID:e8STI+vK
「そういえばアンタ、名前はなんて言うの?」
名前か……奇妙な縁で結ばれていた僕たちであったが言われてみると未だ自己紹介の一つもしていない、僕はここにきて初めて彼女に自分の名前を告げることにした。
「僕はシンジ……碇シンジだよ」
「シンジかあ……へえ」
特に感心があるわけでもなさそうにそう呟く彼女、しばしの間車中を静寂が覆った後今度は僕が彼女の名前を尋ねてみることにした。
「えっと、君は……君はなんて名前なの?」
「アタシはアスカ……惣流アスカラングレーよ」
0909名無しが氏んでも代わりはいるもの
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2017/05/23(火) 00:52:21.46ID:e8STI+vK
「そうりゅうアスカラングレー?」
この名前を聞いたとき、僕は再び既視感のようなものを覚えた。この名前初めて知る名前じゃないような気がする……
僕は内心自分でも馬鹿馬鹿しいと思いつつまたしてもそんな考えを思い浮かべてしまった。
彼女と会って以降今日の僕はどこかがおかしい、慣れない異国の地にいるからだろうか?普段であればこんな妄想みたいなことはしないんだけどな。
僕がそんな風に一人頭の中で葛藤を繰り広げていると彼女……アスカラングレーが再び話しかけてくる。
0910名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 00:54:51.67ID:e8STI+vK
「アタシの名前、変だと思ったでしょ?」
「変だなんて……別にそんな事はないよ」
これは嘘偽りない本音である。確かにちょっとばかり長い名前だなと思ったのは事実だけれども
かといって変な名前だとは思わない、惣流アスカラングレー……
うん、割といい響きの名前じゃないだろうか。
「アタシね父方の先祖がアイルランド人なの、南北戦争の少し前にアメリカに渡ってきたんだってさ、一方のママは日系アメリカ人
 でしかもその血の半分はドイツ系、だからその娘のアタシはこんな名前なわけ、どうなかなかミックスされてるでしょ?」
なるほど、流石はアメリカだけのことはある。両親ともに極普通の日本人という家系に生まれた僕には
想像することさえ難しい複雑な生い立ちだ。
「えっと……結局それで惣流さんは何人なの?」
僕はアスカの語る難解な家系図に頭を混んがらせながら質問する。
「さあ……アタシもよくわかんない」
「よくわかんないって……」
「まあ、アメリカ人ってことでいいんじゃないの?」
なんとも大雑把な回答だ、これでいいのだろうか?僕は甚だ疑問に感じつつも
これ以上質問したところで彼女の複雑怪奇な血筋を理解することは困難だと考え
それ以上深く問いかけるようなことはしなかった。
0911名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 00:56:32.45ID:e8STI+vK
さて僕は今までこんなたわいもない話をしながら彼女の運転する車の助手席に座っていたわけだ
けれどよくよく考えてみれば彼女がどこへ向かって走っているのかさえ知らずに
ここまでついてきてしまったことを思い出す。
あの後僕は橋で彼女と話をしつつ流れのままになんとなく彼女の車に乗ってしまいそのまま今に至っているのだ。
しかしこれって結構まずいことなんじゃないだろうか?いくら相手が女の子とはいえ
異国の地で見知らぬ人と二人きり、周囲は田舎で人の気配はあまり無い。
0912名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 00:58:29.31ID:e8STI+vK
まさかこの子に限ってとは思うけれどここは日本ではなくアメリカなのだ。万が一にでも銃を持っていれば
華奢な女の子にだって人を脅すことは十分に可能だ。まして僕はこのあたりに土地勘など持っていない外国人、もしこのまま彼女の運転する車が人気のない
森の奥にでも進んでいきその先で銃口など向けられようものなら……恐らく僕に助かる術はない。ああどうしよう、もしもこの予感が的中していれば
僕の人生の残り時間はとてつもなく短いということになる。
0913名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 01:00:51.92ID:e8STI+vK
こんなことならば軽い気持ちでよく知らない人の車になんて乗るんじゃなかった、父さん母さん僕の先逝く不幸どうかお許しください。
……と急に自分の置かれている立場と状況に恐ろしさを感じていた僕がそんな陳腐なホラー映画のシナリオのような妄想を繰り広げていると
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか彼女が再び口を開いた。
「そういえば、アンタに行き先を告げてなかったわね」
行き先?アスカの言葉に僕は少々身構える、次に彼女の口から発せられる言葉の内容次第では僕の人命に携わる問題だからだ。
もしも彼女が『アンタの逝く先は地獄よ』などと言った暁には……僕は日本からおさらばした次には
自分の肉体からもおさらばしなければならないことになる。
0914名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 01:02:30.47ID:e8STI+vK
ああ神様、どうか僕をこの哀れな子羊めをお救いください……日頃ろくすっぽ信じてもいない神にこんな時だけ
すがろうだなんてなんとおこがましい人間だろう、しかし僕はこの先に待ち受ける己の運命を想像するとこんな時だけでも神に頼らざるを得なかった。
さて結果的にみれば僕の祈りが神に通じたのか、あるいはそもそも単なる考えすぎだったのか、怯える僕を余所に彼女の口から発せられた
目的地は彼女の母親が働いているという仕事場、そこへ行って母に冷えたレモネードを届けるという至って平和的なものであった。
0915名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 01:03:03.52ID:e8STI+vK
とりあえず今回ここまで
続きはまた後ほど
0916名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/23(火) 01:06:56.75ID:e8STI+vK
すまん>>891修正


「やっと友達もできたのにな……」
僕は目の前にある小さな赤い屋根付きの橋を見ながらそうため息を吐いた。
15歳、やっとの思いで入学した高校では友達もできて順調な学生生活が始まろうと
していた矢先のこと、父さんは僕に無慈悲な宣告をした。

「シンジ、転校だ……仕事の都合でアメリカに行くことになった」

僕はこの言葉を初めて聞いたとき己の耳を疑った。
父さんはなにを言ってるんだ?転校?学校に入ってまだ一ヶ月ちょっとなのに?
しかも行くのはアメリカ?
余りに唐突なそして急すぎる出来事に僕の頭はついていくことができなかった。

「勝手だということは分かっている、しかしこれは既に決定事項だ」
混乱する僕を余所に父さんは高圧的な態度でそう呟く。
仕事とは言え、なぜこのタイミングでいきなりアメリカなのか?
0921名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/05/27(土) 01:29:20.56ID:6bZQ52F3
現在執筆中
明日辺り途中まで投下するかも知れません
0929待たせたね
垢版 |
2017/06/01(木) 23:47:01.14ID:eqjcw+AH
ほぅ……僕は心のなかで安堵の溜息を吐いた。
どうやら僕にはまだ残された時間がかなりあるらしい。
ふと横目に運転席のアスカを見る、そこには鼻筋の通った綺麗な横顔があった。
ついさっきまでの僕はなんて馬鹿な事を考えていたのだろう、こんなかわいい女の子が殺人鬼なわけあるものか。
いくらここがかの悪名高いアメリカ合衆国とはいえさすがにそこまでぶっ飛んだ話は早々あるわけがない。
0930待たせたね
垢版 |
2017/06/01(木) 23:48:34.43ID:eqjcw+AH
僕は飛躍した自分の思考に対して自分でツッコミを入れつつ再度彼女の顔を見て
まあ仮にこの子が殺人鬼だったとしてもこんなに見目麗しい女の子になら
殺されるのも悪くはないかもしれないなどと先ほどまでとはうって変わって
そんな脳天気なことを思うのであった。
0931待たせたね
垢版 |
2017/06/01(木) 23:49:00.30ID:eqjcw+AH
そうこうしているうちに車の窓に映る風景は農村から商店などが集う
ウィンターセットの中心部へと切り替わっていた。
どうやら僕が人知れぬ森林奥深くへ連れ去られるという事態は回避されたらしい。
尤も町の中心部と言っても所詮は人口5000人の田舎である、先程の農村地帯と
比べればそれなりの建物や人で賑わっているがそれでももっと大きな都市と
比べてしまえばこじんまりとした小さな集落という印象以上の感想は出てこない。
そんなウィンターセットの市街地に入り車が一つ目の信号で止まったところで
アスカは後部座席に手を伸ばす。
0932名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/01(木) 23:49:42.60ID:eqjcw+AH
古いフォルクスワーゲンの後部座席には彼女が母親に届けるというレモネードが
入れられたクーラーボックスが載せられており、アスカはそれを慣れた手つきで
開けると中から一本のレモネード瓶を掴み取ってそれ口元へと運んだ。
相当渇いていたのだろうか?アスカの飲みっぷりはなかなかのもので、ゴクッゴクッと
いう勢いのいい音と共にレモネードの液体が瞬く間に彼女の体内へと
取り込まれていく。アスカがレモネードを飲み込もうとする度に
彼女の喉仏はまるで脈を打つかのようにうねり、そのうねりを見ていると
喉の動きに合わせて飲み込まれたレモネードが彼女の身体の奥底へと
流しこまれていくのがはっきりと分かった。
0933名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/01(木) 23:50:33.82ID:eqjcw+AH
ただジュースを飲む、たったそれだけのことなのにその仕草がどことなく淫靡に
感じられるのは何故だろうか?不覚にも僕の心音が高鳴る。
いけない、こんな事で猥雑な妄想をしていては変態になってしまう。
僕は思考を変えるべく彼女から目線を逸らして頭の中を切り替えた。
一方、そんな僕の内なる衝動との葛藤などつゆ知らずであろうアスカは瓶入りの
レモネードを半分以上一気飲みした後、ようやく瓶のふちから唇を離して一息つく。
「くぅ〜」と唸る彼女のその声が年頃の娘にしてはどことなくおじさんくさかったので
僕がそれに対して失笑すると彼女はこちらの方を向いて僕の笑いに不満げそうに
睨みつけてきた。
0934名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/01(木) 23:51:17.85ID:eqjcw+AH
「なによ?私がレモネード飲んでる姿がそんなにおかしい?」
「いや別に……そんなおかしくなんてないよ」
「じゃあなんで笑ったのよ?」
「それはその……飲んだあとくぅ〜って声がおじさん臭かったからからかな」
「はぁ!?何よそれ!おじさん臭いって……それが女の子に言う言葉!?」
彼女の言うことはごもっともだ、女の子ならば誰だって自分がおじさん臭いなどと
言われれば不愉快に感じるだろう。心で思ったこととはいえそれを口に出すのは
軽率すぎたと僕は反省した。
「アンタ最低……」
「ごめん……」
ああ、どうやら今の発言で僕はかなりの心証を落してしまったらしい。
僕は己の迂闊さを激しく後悔する、彼女が割とざっくばらんな性格のおかげで
僕としたことが少々踏み込みすぎてしまったようだ。
0935名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/01(木) 23:52:14.67ID:eqjcw+AH
あるいは僕と彼女の関係が親類であるとかもしくは幼少より数多くの思い出を
共有しているような幼馴染といった関係であれば先程のような発言をしても
よかったのかもしれない。しかし実際の僕と彼女の関係は所詮出会ったばかりの
他人同士だ、発する言葉にはもっと気を遣うべきだったのである。
とはいえ言ってしまったことは仕方がない、僕は自分の行いに気落ちしつつもなんとか
彼女に許してもらおうと再度丁寧に侘びを入れることにした。
「いや……今のは本当に余計な発言でした、ごめんなさい惣流さん」
「ふん……」
まずいな、どうやら彼女のはらわたは相当煮えくり返っているようだ。
0936名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/01(木) 23:53:17.13ID:eqjcw+AH
ほんの少し前まで楽しくおしゃべりをしていたのにたった一つの失言でこうまでも
空気が悪くなってしまうとは……僕は心が折れそうな心境になったがだからと言って
引く訳にはいかない。とにかく謝り続けて彼女の機嫌を直さなければいけないのだ。
「あ、あの……本当に悪かったと思ってるから」
「…………」
「その、なんというかさ……今みたいなこと言われたら傷つくよね」
「あったりまえでしょ、自分の言ったことを考えてみなさいよ」
「うん……本当ひどいこと言ってしまいました」
「…………」
やはり駄目なのだろうか、アスカは不機嫌そうに顔をしかめて真正面を向いたままだ。
嫌な沈黙が車の中全体に広がり空気の流れを重くする。
「あの……」
「…………」
「許してはもらえませんか?」
僕はお伺いを立てるように恐る恐る彼女に質問する。もしこれでアスカからの返答が
ノーであるようならばもう僕に出来ることはない。
0937名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/01(木) 23:54:07.69ID:eqjcw+AH
そうなったら僕は黙ってこの車から降りるしかないだろう。けれどもできればそんな
後味の悪い別れだけは絶対に避けたい。何しろこっちに来て半月、僕にとってアメリカ
で初めて友達になれるかも知れない相手なのだ。
せっかくの貴重な縁をこんな形で途絶えさせるようなことだけは絶対に嫌だった。
「ねえ……」
アスカが口を開く、ここから続く彼女の言葉の内容とそれに対する僕の返答が
これからの命運を分けることになるだろう。
僕は息を呑んで彼女からの言葉に耳を傾ける。
「アンタ、私のことどう思う?」
「えっ?」
0938名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/01(木) 23:55:12.83ID:eqjcw+AH
僕は彼女の言葉が理解できなかった、どう思うとはどういう意味なのだろう?
「私ってやっぱりおじさん臭い?」
まさか……彼女を見てどこをどう見ればおじさん臭いと言えるのか。
僕がおじさん臭いと称したのは彼女自身のことではなく彼女がレモネードを飲んだときの
仕草についてだけである。彼女自身がおじさん臭いなどあるはずがない。
とはいえここからの返しは言葉を選ばなければ取り返しの付かないことになる。
僕は慎重を期して返事をした。
「そんな……そんなわけないよ」
「でもさっきはそういったじゃない」
「それはさっきのはその、言葉の綾みたいなもので……飲んだあとの仕草が
 そう見えたってだけの話なんだ」
「だから僕は別に君自身がおじさん臭いだなんて言ったつもりは全く……」
「ふうん……なんだか取って付けたような言い訳ね」
アスカはまだ僕を疑っている、ここが正念場だ。
0939名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/01(木) 23:56:13.46ID:eqjcw+AH
今引いたらその瞬間全てが終わる、僕はここにきて大胆にいくことにした。
「そ、そんなことない!」
「……っ!?」
僕が突然大きな声をあげたのでアスカはこっちを見ながら驚いてその目を見開く。
その隙に僕は畳み掛けるように一気に勝負を仕掛けた。
「惣流さんは可愛いよ!おじさん臭いなんてとんでもない!」
「へ……?」
「か、かわいいって……」
アスカはしばし呆然としている。
「ほらその惣流さんの青い目とか綺麗だと思うし髪の毛なんかもとってもふわっと
 していて女の子っぽくて素敵だと思う、そそれから……」
自分でも何が言いたいのかよく分からない、ひとつ言えるのは僕はいつだって正直で
あるということ。そんな僕の言うことを聞いてアスカは無言で硬直しており
その間僕は彼女を褒め称えるような美麗字句を言い並べ続けた。
「ああその今日はまだ夏でもないのに暑いよね、でも惣流さんの首筋から
 流れる一筋の汗なんかもなかなか色っぽくていいかな……なんてね」
僕はまたしても口を滑らせているような気がする、これでいいのだろうか?
そうこうしているうちに硬直していたアスカの顔はゆでダコのように赤くなっていき
やがて返ってきたのは罵声であった。
0940名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/01(木) 23:57:06.51ID:eqjcw+AH
「バカっ!もういいわよっ!」
マズい、許してもらうはずがますます怒りを買ってしまったのだろうか?
僕の脳裏に最悪の展開がよぎる。
しかし実際の彼女の反応は僕の予想とは少々異なったものだった。
「誰もそこまで褒め称えろとまでは言ってないでしょ……!」
「えっ?」
「もうアンタの気持ちは十分に伝わったからさ」
「そ、それじゃあ……?」
最悪は回避されたらしい、僕はどうにかアメリカで初めての友人を初日で失うという
考えたくもない悲劇から逃れることに成功したようだ。
「まっ、許してあげるわよ」
アスカのこの言葉によって僕の心が重圧から解放されていく。なんとも過酷な戦いで
あったがこの戦いのおかげで僕は口は災いの元ということを身に染みて理解すること
ができた、これからは己の発する言葉には細心の注意を払っていこう。
0941名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/01(木) 23:58:15.69ID:eqjcw+AH
と、僕がこの出来事から一つ教訓を学び得たところでアスカは僕に対して
とんでもないことを言い放つ。
「というか今の芝居だし」
「えっ?」
「はなっから本気で怒っちゃいないわよ」
なんということだ、それでは一体今までの僕の苦悩は何だったのであろうか?
「ホント、簡単に引っかかってくれたわね、それともアタシのお芝居が
 レッドカーペット級だったのかしら?」
どうやら僕はアスカに一杯食わされたらしい、僕が一所懸命彼女に対する
謝辞の言葉を考えたり美麗字句を並べている頃当の本人は傷ついた少女のフリを
しながらうろたえる僕を内心嘲笑っていたのだ。
今彼女はそんな本性をむき出しにしたかのようなおちょくった笑みを浮かべて
僕のことを見つめている。
「ぼ、僕を騙したな!」
「フフッ、おかげで面白いもの見させて貰っちゃった」
彼女は得意げな表情をしてそう言う。
「ひどいよっ……!僕は本気で謝ってたのに」
「引っかかるほうが悪いのよ」
果たしてそうだろうか?今のを初見で見抜けるのはエスパーくらいだと思うけど。
「にしてもまあアンタって顔に似合わず平気で小っ恥ずかしいこと言えるのね
 おかげでこっちまでなんだか恥ずかしくなってきちゃったじゃないの!」
彼女の言葉を聞いて僕はついさっき自分が言ったことを思い返してみる。
0942名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/01(木) 23:59:33.99ID:eqjcw+AH
『その惣流さんの青い目とか綺麗だと思うし髪の毛なんかもとってもふわっと
 していて女の子っぽくて素敵だと思う』
確かに……振り返ってみると我ながらこの台詞はクサすぎる、今にして思えばこの僕が
よくもこんなことを言ってのけたものだ。
そう思うとなんだか急に自分が恥ずかしく思えてきて今度は僕が顔を赤らめる番となった。
「それから何よ?アタシの首筋から流れる汗が色っぽいってのは……」
「そ、それは……」
アスカの追求に僕の頬はますます赤みを帯びてくる。
「これ完全に変態の言う台詞じゃない、もしかしてアンタそういうフェチなの?」
「ち、違うよ!それもやっぱり言葉の綾というやつで……」
「ふ〜ん、それじゃあホントは全然色っぽくなかった?」
「え、えと、それはその……あの」
「アハハハハハハ!」
しどろもどろになって返す言葉も出てこない僕のことを指さしてアスカは心底
楽しそうに大きな笑い声をあげる。、ペースは完全に相手の方に握られてしまっている。
僕は完全に彼女に振り回される哀れなおもちゃとなってしまった。
0943名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/02(金) 00:00:13.54ID:rH3HA1c2
「ほら、アンタいつまでふてくされてんのよ?」
「だ、だって……」
別に不貞腐れているつもりはなかったんだけど、恥ずかしがって俯く僕の態度が
アスカにとっては気に入らないらしい。
「私に騙されたこと怒ってる?」
「そんなことは……ないよ」
「じゃあ顔上げなさいってば」
それでも僕が顔を下に向けたままでいるとアスカは右手にレモネードの瓶を持って
それを僕のほうへと差し向けてきた、もちろんそれは彼女の飲みかけである。
「アンタも喉乾いたでしょ?これあげるからさ、機嫌直しなさいって」
それを飲んだら間接キスになるのでは?と思いつつも車中の空気はとてもじゃないが
それを言い出せるようなムードではない、僕は黙って手を伸ばし瓶を受け取った。
「美味しいわよそれ、なんたってそれアタシのお手製ですからね」
「これ、君が作ったの?」
「アメリカ人なら誰しもが作ったことあるんじゃない?まあレシピはママのだけどね」
そう語るアスカの口ぶりはどこか自慢気で表情や声のトーンからして
彼女がよほど自分の母親のことを好いているというのがうかがい知れた。
0944名無しが氏んでも代わりはいるもの
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2017/06/02(金) 00:01:13.13ID:rH3HA1c2
僕はそんな彼女ご自慢のレモネードが入った瓶の縁をじっと見つめる。
つい先程隣にいる娘が口をつけたところだ、そして今そこに今度は僕が口をつけようと
している。年頃の女の子の唇が触れた部分に自分の唇も触れようというのだ、未だキスさえ経験のない子供の僕にとってこれほど甘美で胸をドキドキさせるような経験が
かつてあっただろうか?いや無い、女子と一つのジュースを回し飲みするなんて
初めてのことである。ふと隣に座るアスカを見た、彼女にはこういう経験が
過去にもあるのだろうか?まあこれほど可愛らしい少女であれば恋人がいても不自然では
ないしそのボーイフレンドと同じようなことをしているのかもしれない。
いやそれどころかもっと凄いことも……とそんな思案を巡らせていると僕の脳裏に
ふとアスカのあられもない姿が浮かび上がる。いけない、出会ったばかりなのに
こんなことを考えていたんじゃ彼女に失礼だ。
僕は自分にそう言い聞かせて頭の中からあらぬ妄想を払い除ける。
とはいえ仮に彼女にボーイフレンドの一人でもいるのならこうしたことにためらいが
ないというのも当然のことなのかもしれない。
一見ド田舎に見えるこの場所といえどもここはアメリカなのだ。そうした文化が
日本よりはるかに進んでいてもおかしくはないだろう。
0945名無しが氏んでも代わりはいるもの
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2017/06/02(金) 00:02:07.41ID:rH3HA1c2
「アンタなに固まってんの?もしかしてレモネードは飲みたくないわけ?」
「そ、そんな事ないよ!ただ今少し考え事してただけで……」
「へえ、トロそうなアンタにも考えることとかあるんだ?」
「ひ、ひどいな!僕にだって考え事や悩みの一つや二つくらいあるよ!」
「そうは見えないけれどね〜」
好き勝手に言われ放題である。僕ってそんなにだらしなく見えるのかな?
とはいえこのままじっとしていれば彼女は不信感を募らせる。
僕は意を決してレモネードを飲む覚悟を決めた。
瓶を握った左手を持ち上げゆっくりと口元へ近づけていく、ふと瓶の入り口に
目をやるとそこにはかすかに口をつけた彼女の唾液で湿った跡が残っていた。
それを見て僕の鼓動がまた激しくなる。今や僕の唇と彼女の唾液のついた瓶との
距離はほんの数センチだ、あと少し左手を上にあげれば僕の唇と彼女の唇が触れた部分が
接触する。そのことを意識すると僕の顔がとても熱くなってきた。
このように未だ羞恥心を捨てきれずに一人悶えている僕であったが、見ず知らずの人が
口をつけた飲み口に自分も口をつけるということそのものには不思議と不快感を
感じるようなことはなかった。
0946名無しが氏んでも代わりはいるもの
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2017/06/02(金) 00:02:46.95ID:rH3HA1c2
普段の僕であれば割と潔癖症な部分もあってこうしたことには躊躇いを覚えることも
あるのだが本日にいたってはそのような躊躇が一切ない。
相手がこの娘だから?だとしたら今までの僕は潔癖症ではなくただ単に面食いだった
ということになるが果たしてどうだろう、これは勝手な憶測に過ぎないがもしも
このレモネード瓶を渡してきたのがアスカラングレーという少女でなければたとえ
それが容姿端麗なる女性だったとしても僕は遠慮したように思える。
本来潔癖の要素を持つ人間というのは相手が誰であれ、仮にそれが血を分けた
親兄弟だったとしても一つの飲み物を回し飲みするような行いには嫌悪感を示すものだ。
そして僕も普段であればそうした人間の一人なのであるが、どうやら今日の僕は普段とは
違うようで手に握ったレモネード瓶を不潔だと思ったり汚らわしく感じるような
気持ちは全く芽生えてこなかった。
再び彼女が僕のほうに視線を送ってくる、早く飲めと催促しているのだ。
これ以上飲まないでいようとするのは彼女に対して失礼となる。
それこそ今度は冗談抜きで彼女の気持ちを不愉快なものにしてしまうだろう。
僕はついにレモネード瓶に口をつけた。
0947本日はここまで
垢版 |
2017/06/02(金) 00:04:18.14ID:rH3HA1c2
その刹那、かすかに彼女の甘い香りが伝わってきたような気がした。
レモネード瓶を通して僕の唇と彼女の唇とが間接的に交差していく、たった二度の
出会い……それも一度目はすれ違うような出会いに過ぎなかった僕と彼女が再び
異国の地で遭遇しそこから僅かな時間で今こうして互いの粘膜と粘膜とを重ね合わせて
いる。それはアメリカ人のアスカにとっては取るに足らない事なのかも知れないが
15年生きてきて恋人一つ居ない僕からしてみれば生まれて初めて味わうまるでレモネード
のように甘酸っぱい刺激的な出来事であった。
0948名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/03(土) 02:20:19.20ID:???
>>947
乙です
アメリカの田舎町を車で走るって光景が目に浮かぶなぁー
そしてレモネードを介したアスカとの唾液の交換・・・・じゃなくて間接キス
こんな体験できるシンジが羨ましい
続き楽しみにしてます
0949名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/04(日) 01:49:14.70ID:???
>>947
乙乙乙ー!
すげー!これマジで名作の予感!
カラー(ガイナックスは関係ないのか?)非公式のラノベでも通用しそう
かなり本格的だな
早く続きが読みたい!






投稿はよ
0962第0使徒 サリエル
垢版 |
2017/06/16(金) 20:28:17.23ID:qRwMCP2d
楽しみやで。思い出しエンドも良さそうやな。
0969名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/06/21(水) 01:16:32.28ID:3qEUBt8M
アメリカエヴァ今書いてます
続きはもう少しお待ちくだされ
0993名無しが氏んでも代わりはいるもの
垢版 |
2017/07/12(水) 20:34:25.40ID:QQ8Ce218
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