【明城学院】シンジとアスカの学生生活5【LAS】 [無断転載禁止]©2ch.net
レス数が950を超えています。1000を超えると書き込みができなくなります。
★アスカとシンジの学生生活を想像してどんどん書き込んでください!★
貞本義行氏の漫画版「新世紀エヴァンゲリオン」の「LAST STAGE 旅立ち」を起点とします
「明城学院附属高校」の受験日に起きた二人の出会いから始まる学園モノを想像/創造しよう!
内容は「貞エヴァのラストから始まる学園LAS」という形に準じていれば特に制限はありません
TV版・旧劇場版・新劇場版の設定・登場人物・エピソードを織り交ぜたり等々
そういったミクスチャーもOK!職人さんの裁量にお任せ!
構想をお持ちの方はジャンジャン投稿してください!
短編・小ネタもドシドシ投稿お待ちしています!
よ〜し職人さんの作品に挿絵を付けちゃうぞ
という絵師の方もガンガン投下お願いします!
★前スレ★
【明城学院】シンジとアスカの学生生活4【LAS】
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/eva/1437394781/
【明城学院】シンジとアスカの学生生活3【LAS】 [転載禁止]c2ch.net
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/eva/1416674769/
【明城学院】シンジとアスカの学生生活2【LAS】
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/eva/1384532292/
【明城学院】シンジとアスカの学生生活【LAS】
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/eva/1370587184/ 暑かったです
アスカならこんな日は「もう暑ーい!」とか言いながら
シンジに後ろからベタベタ抱き着いて愚痴るんだろうね 連休だー!嬉しいなー!
LASがあればもっと嬉しい! ある映画を見たとき、あれっアスカが出てる……と思った個人妄想です
アスカの部屋で。大切に保管された古い1枚の写真。
シンジ「ずいぶん古そうな写真だけど……すごい綺麗な人だね。髪型を変えたら、アスカ
に似てるかも(というより、瓜二つだよ……)
アスカ「それ150年以上前の写真よ。その人私の先祖なの。私の先祖はね、アイルラン
ドからアメリカに渡った移民なのよ。アメリカの南部で農園を経営して成功を収
めた一族だったんだけど……あんた、南北戦争って知ってるでしょ?」
シンジ「うん。世界史の授業で習った」
アスカ「アメリカの南北戦争で南部が敗けて、先祖は一代で築いた財産を全て失った……
それだけでなく、一族には不幸が次々と襲ったそうよ。でもその写真の人は、本
当は大富豪のお嬢様として何不自由なく育ったんだけど、その日の食べ物にも困
るどん底に落ちても、その絶望的な境遇に立ち向かっていったそうよ
『神様、私は誓います。私は負けません。家族を二度と飢えさせたりしません』
……そう誓ったと、その人の自伝に書いてあったわ。
私が尊敬するご先祖様。その人に似てるって言われると誇りに思えるのよ」
シンジ「ふうん。裏に英文で何か書いてある。ス、スカーレット、1861……?」
アスカ「スカーレット・オハラ。それがその人の名前なの」 >>867
乙乙乙ー!
スカーレット・オハラかw
たしかに雰囲気はアスカっぽいかもな
なんかこの二人の会話の続きがきになるなぁ・・・・・・
続きはよ >>867
乙です
そこからLASにつなげてもらいたいです
ここんところLAS不足なもんで 俺昔工場で働いていたけどいつも勤務終了したら機械を止めるんだが
いろいろスイッチとかきっていったりバルブとか締めたりするんだ
そんで最後に熱いバルブみたいなんをしめなきゃいかんのだが
それを締めながら「綾波ぃぃぃ」っていいながら毎日しめてる
一度課長に見つかって俺がしどろもどろしてたら
「こんな時どんな顔すればいいかわからないの」とかぬかしやがった
_..___
( r‐.'::;; //´ \ ,/
_ ,. -|;;;;;|;;/ `ヽ、. /i
,. '´ __,|;...v' / /i ,.
/,.-‐ '' ´ ,ノ / / lll゙ ハ
,/ -=彡 '´ /// ! /iハiiii/ 'lii
〃_ _,,... -:〆_,y ∧ .! 'iii/il ii liii/
_,. '´ヽ、  ̄ / '´ / / ,/7 ,.、! | |
,. '´ / ! ,. - '´ :レ'´ /_´ ', -i ,'ヾ, ヽ!;; i i!
/ レ´i ヾミュ,ヾl ミ― ヽ!;; 、-、; i
/ `゙~フ´,イ _/` ii! !' ,、'' | ,'
/// { v'7 ヽ、 // ./ i、i
/ 人V '、_ | ./ !、 !ヾ!
/ ./ ヽ ヾ! ノ , |
// / / ゙ヽ、 ,'、 / |
/ ,. '/ `ヽ ,! ! ,._ '´'´
/ // \ ./゙ 7‐-- '´| >>867
アスカがドイツ系でなくアイルランド系アメリカ人というのはしっくり来るな
どことなく古いアメリカ娘って感じがするんだよ
アイルランド系アメリカ人の父と日系アメリカ人の母キョウコの間にできた娘なんて設定もいいかもしれん
んでシンジは仕事の都合で一家揃ってアメリカに越してきた日本人
アメリカ社会に溶けこむことが出来ず孤立していたシンジにアスカが声をかけたところから始まるLAS……
って明城学院じゃねえなこれ >>882
逆に考えるんだ逆に
その設定でアスカ側が両親の仕事の都合で日本に来る
そしてあのシンジと満員電車での運命の出会いへとつながる
これでしっくりくるだろ
投稿はよ >>882
なんかいい感じなので>>883の設定も織り交ぜて
LASおねがいします 正直難しいネタだな
>>882の設定使ったって日本が舞台だと普通のネタと変わりなくなっちゃいそうだし >>887
じゃあ最終回のその後でシンジが一家揃ってアメリカへ移住
そこで帰国していたアスカと再び再会とか
投稿はよ 「シンジ、転校だ……仕事の都合でアメリカに行くことになった」
僕はこの言葉を初めて聞いたとき己の耳を疑った。
父さんはなにを言ってるんだ?転校?学校に入ってまだ一ヶ月ちょっとなのに?
しかも行くのはアメリカ?
余りに唐突なそして急すぎる出来事に僕の頭はついていくことができなかった。
「勝手だということは分かっている、しかしこれは既に決定事項だ」
混乱する僕を余所に父さんは高圧的な態度でそう呟く。
仕事とは言え、なぜこのタイミングでいきなりアメリカなのか? いや、研究職の両親には以前から急な異動はよくあることであり今回もその一環だという
事はわかる。僕も今までは両親が転勤となるたびに住処を変えてきた、いわゆる転勤族というものである。
しかし僕も今や高校生になってしかも学校では充実した生活が始まろうとしているのだ
。そんな中での急な転勤には納得が行かない、だいたい転勤なら父さん一人で単身赴任をすればいいだけの話である。
それをなぜ僕や母さんまで付き添わなければならないのかということを尋ねると父さんはこう答えた。
「今回の異動は私だけではなくユイも一緒だ、子供一人残して両親のみが海外赴任など
漫画でもあるまい、そんな事ができると思うか?」
父さんの言うことはごもっとも、理屈の上じゃ反論の余地など無い。 しかし僕だって青春を謳歌したい一人の若者だ、理屈の上で納得できたところで
感情もそうはいくかというとそうではない。僕はみっともなく駄々をこねて
なんとか日本に留まれるよう食い下がったが結果は残念に終わった。
既に理屈の上で負けている以上、僕に勝利の栄光は無いにも等しかったのである。
こうして僕の明城学院での生活は約一ヶ月で終わり、友達との別れを惜しみつつ
僕は両親と共にアメリカへと旅立っていったのだ。 アメリカ合衆国アイオワ州はちょうどアメリカの真ん中辺りにある州である。
日本を離れて半月、僕はそんなアイオワ州のウィンターセットという街で生活を始めていた。
さて、両親の仕事の都合でアメリカに移住となると皆さんはどんな街を連想するだろう?
僕は最初にアメリカでの暮らしを想像したときニューヨークやロサンゼルスなんていうテレビでも
おなじみの大都会で煌びやかに生活する自分を思い描いていた。
日本を離れるのは辛いけれど世界に名だたる都市で生活できるというのならそれも悪くあるまい、
僕はそんな風に楽観的に考えていたわけだけれどそんな期待は空港を降りて
車で町へと向かうなかで段々幻であるということを思い知らされた。 僕は最初にウィンターセットという名を出したとき「街」と言ったが
正確にはこれは誤りで実際には「街」ではなくむしろ
「町」と称するべきような場所だ。
それもそのはず僕たち一家が越してきたウィンターセットは人口約5000人のとても小さな
田舎町だったのである。
ああ、何ということだろう……この思い言葉にしようにも言葉にはならない。 なにが嬉しくて僕は言語も通じない国のこんなド田舎で貴重な青春の時間を
浪費しなければならないのか?今一度改めて父さんには文句を言いたいところで
あったが今さら愚痴を言ったところで何も変わらない、どう足掻いたところで
僕はこのウィンターセットで暮らすしかないのだから。
しかしそれにしても父さんたちはこんな田舎町で一体どんな研究の仕事をしているのだろう?
僕の見た限りじゃこの町にはとても何かの研究を行っているような施設は見当たらないのだが、
それとも映画の本場アメリカらしく地下にSF映画顔負けの巨大な研究所のようなものでもあるのだろうか?
まあいい、いずれにせよ僕にとってはなんの関係もないことなのだから。 そんな事を思いつつ僕は改めて目の前にある小さな赤い屋根付きの橋を見上げる。
いや見上げるという表現はこの橋を例える上では少々大げさな言い回しかもしれない。
周囲を木々と草花に覆われた小川の上にかかるその橋はどこか古ぼけた雰囲気であり
屋根付きとは言うもののその屋根もむき出しの木の柱で支えられているだけの非常に
簡素な作りのものであった。なんでも母さんが言うにはこの橋はかつて有名な映画監督の
撮った作品の舞台にもなったことのある由緒正しき橋なのだそうだが僕にはとてもそんな大層な橋には見えなかった。 「こんな橋を舞台に一体どんな映画を撮ったんだろう?西部劇かな?」
僕がそんなことを呑気に考えていると橋の向こう側から車のエンジン音のようなものが
聞こえてきた。その車はものすごいスピードで橋へと近づいてくると僕めがけて勢い良く
クラクションを鳴り響かせてきた。 プップー!ププププ!
「アンタ車の通るところで何やってるの!?邪魔よ、どきなさい!」
橋の中全体に広がるような女の子の大きな声、僕はその声に驚き反射的に橋の隅に寄った。
するとその車は橋の出口手前で停まった、そして扉が開くとさっき大声を出していた女の子が降りてきた。
僕は思わず身構える、その女の子がとても怖い顔をして息を切らしながら近づいてきたからだ。
「あ、あの……僕に何か用ですか?」 僕は恐る恐る尋ねた。
「何か用?じゃないわよ!アンタのおかげで危うく私が人を轢きかけたじゃない!」
「アンタが轢かれて怪我するのは勝手だけど、この私をひき逃げ犯にでもするつもり!?」
この子は一体何を言っているのだろうか?僕は一瞬理解できなかった。
轢きかけたって、僕はあのクラクションの音を聞いて結構余裕を持って隅によったつもりなんだけどな、
どうやら彼女はそれでも僕の振る舞いに不満があるらしい。
これがアメリカ人の気質なのだろうか?もしこの町で暮らすアメリカ人がみんな
こんな性格だとしたら僕にはとてもやっていける自信がない。
僕はアメリカでの生活において早くもアウェーの洗礼というものを感じつつあった。 「ちょっとアンタ何ボケっとしてんのよ!?人の話聞いてんの!?」
「ご、ごめん……」
僕は悪くもないのに咄嗟の判断で謝ってしまう、気の弱い僕の昔からの悪い癖だ。
「ふん、反省の色が見えないわね」
「そ、そっちこそスピード出しすぎなんじゃないのか?もっとスピード落とせよな」
僕もさすがに納得が行かないので少しだけ反発の意を見せた。
「何よ!アンタ余所者の分際でこのアタシに楯突く気ぃ!?」
「余所者って酷いな!い、一応僕だってこの町の住民なんだぞ」
「住民?その割には見ない顔ね」
「そりゃあ越してきたばかりだからな……」
「ふうん、……ってあんたもしかして日本人?」
「うん、そうだけど……あれよく考えると君もアメリカ人なのに日本語だね」
なんで今まで気がつかなかったのだろう、それはここまでの一連のやり取りが
あまりにも自然な流れだったからであろうか?
あるいは僕の中に未だ日本にいるという感覚が残っていてここがアメリカだという
現実をしっかりと認識していないからだろうか? いずれにせよ僕はここに来てようやく彼女と日本語で意思疎通ができるということに気がつくのであった。
それにしてもこの女の子以前にもどこかで見かけたような……
僕がそんな事を思っているとどうやら彼女の方も同じようなことを考えていたようで。
「そういや、アンタのことどっかで見たような気がするのよね」
「ねえ、君はどうして日本語が話せるの?」
「そりゃあ、アタシのママが日本人だからよちょっと前に私も日本に行ったことが……」
そこまで言ったところで彼女の言葉が一旦止まる、そしてしばしの間の後……
「あっ!?アンタ(君)あの時の!?」
僕たちの言葉はものの見事にシンクロしたのである。 「にしてもなんであの時のナンパ男がここにいるわけ?」
「ナンパ男って……そういう誤解を招きそうな表現はやめてよ」
「怪しいわね、こんなところまで私を追いかけてきてストーカーなんじゃないの?」
「ち、違うよ!そもそも僕は君がこんなところにいるなんて知らないわけだし……」
今から数ヶ月ほど前、あの明城学院に入るための入学試験を受けるため僕は慣れない電車に揺られ試験会場のある街へと向かった。
僕が彼女と出会ったのはその列車を降りたときのことである、たまたま降りる駅が僕と一緒だった彼女は降りようとしたんだけれど
その時ちょうど列車は満員で彼女は人混みに押されてとてもじゃないが自力ではホームに出られそうにない状況だった。
偶然にも僕はそんな彼女に気づくことができ彼女を引っ張り出してあげようと手を差し出したのだ。 まあ思い返してみればこれ自体は別に大した出来事ではない。日々日常を送っていれば
誰しもが遭遇しうるであろうありふれた些細な出来事の一つである。
事実僕自身、つい先程異国の地でまさかの再会を果たすまでこの出来事のことを半ば忘れていたくらいだ。
しかし今にして振り返ってみるとこの女の子確かに日本人離れした容姿をしている。
さらっとした流れるような栗色の髪の毛、青々と輝くターコイズブルーの瞳、
目鼻立ちはくっきりとしており肌は透き通るようなミルク色、ほんのり朱色に染まった唇もなんとも麗しい。
なるほど、見れば見るほどアメリカ人と言われて納得の風貌だ。 駅で出会ったときも思ったことだけど本当僕なんかとは不釣合なくらい素敵な女の子だ。
歳は幾つくらいなんだろう?見たところ僕とそう変わらないはずなんだけど
彼女は器用にも旧式のフォルクスワーゲンを運転している。
日本では僕と同世代の人間が車を運転するなんてそうそう見かける光景ではないんだけど
アメリカなら普通のことなのだろうか?
「私くらいの女の子が車を運転するのってそんなに珍しい?」
運転席に座る彼女が真っ直ぐ正面を向いたまま僕の心の中を見透かしたような事を言う。
「日本じゃ君みたいな子、滅多にいないからね」
僕は思った通りのことを告げる。 「こっちじゃ割とよくあることよ、免許制度が日本ほど厳格じゃないのよね」
彼女が取り留めもなく僕の疑問に答える。車はなおも牧歌的な雰囲気の田舎道を
突き進む、辺りは緑豊か農村となっており目に付く建物といえばこのへんで農業を営む民家や牧場の厩舎くらいなもので
それも住宅街のように密集しているわけではなく一つ一つがとてもまばらだ。そんな日本の田園地帯とはまた違う
アメリカ特有の田舎の風景を眺めつつ僕は運転席に座る彼女との不思議な縁について思いを馳せた。
日本の駅で出会いそのまま別れた女の子、それも名前さえも知らぬ少女と異国の地で再会し今こうして同じ車に乗り込んでいる……
冷静に考えればかなり凄いことだ。 普通に生きていてこんな偶然はそうそう起きることではない。そういえばあの時駅のプラットホームで彼女の顔を見たときも
何故か初めて見た顔じゃないような気がした、それどころかまるで古くからの知り合いと久しぶりに会ったような
そんな奇妙な感覚に囚われたのを覚えている。まさか彼女とは前世からの知り合い?
僕はこの不思議な再会を前に思わず発想を飛躍させようとしたがすんでのところで踏みとどまる。
止めようこんなことを考えているようじゃまるで本当にストーカーみたいじゃないか、前世から続く運命的な出会い?
馬鹿馬鹿しいそんなことあるはずがないじゃないか、そうこれはただの偶然。
僕がそう必死に自分に言い聞かせていると運転席の彼女がこんなことを尋ねてきた。 「そういえばアンタ、名前はなんて言うの?」
名前か……奇妙な縁で結ばれていた僕たちであったが言われてみると未だ自己紹介の一つもしていない、僕はここにきて初めて彼女に自分の名前を告げることにした。
「僕はシンジ……碇シンジだよ」
「シンジかあ……へえ」
特に感心があるわけでもなさそうにそう呟く彼女、しばしの間車中を静寂が覆った後今度は僕が彼女の名前を尋ねてみることにした。
「えっと、君は……君はなんて名前なの?」
「アタシはアスカ……惣流アスカラングレーよ」 「そうりゅうアスカラングレー?」
この名前を聞いたとき、僕は再び既視感のようなものを覚えた。この名前初めて知る名前じゃないような気がする……
僕は内心自分でも馬鹿馬鹿しいと思いつつまたしてもそんな考えを思い浮かべてしまった。
彼女と会って以降今日の僕はどこかがおかしい、慣れない異国の地にいるからだろうか?普段であればこんな妄想みたいなことはしないんだけどな。
僕がそんな風に一人頭の中で葛藤を繰り広げていると彼女……アスカラングレーが再び話しかけてくる。 「アタシの名前、変だと思ったでしょ?」
「変だなんて……別にそんな事はないよ」
これは嘘偽りない本音である。確かにちょっとばかり長い名前だなと思ったのは事実だけれども
かといって変な名前だとは思わない、惣流アスカラングレー……
うん、割といい響きの名前じゃないだろうか。
「アタシね父方の先祖がアイルランド人なの、南北戦争の少し前にアメリカに渡ってきたんだってさ、一方のママは日系アメリカ人
でしかもその血の半分はドイツ系、だからその娘のアタシはこんな名前なわけ、どうなかなかミックスされてるでしょ?」
なるほど、流石はアメリカだけのことはある。両親ともに極普通の日本人という家系に生まれた僕には
想像することさえ難しい複雑な生い立ちだ。
「えっと……結局それで惣流さんは何人なの?」
僕はアスカの語る難解な家系図に頭を混んがらせながら質問する。
「さあ……アタシもよくわかんない」
「よくわかんないって……」
「まあ、アメリカ人ってことでいいんじゃないの?」
なんとも大雑把な回答だ、これでいいのだろうか?僕は甚だ疑問に感じつつも
これ以上質問したところで彼女の複雑怪奇な血筋を理解することは困難だと考え
それ以上深く問いかけるようなことはしなかった。 さて僕は今までこんなたわいもない話をしながら彼女の運転する車の助手席に座っていたわけだ
けれどよくよく考えてみれば彼女がどこへ向かって走っているのかさえ知らずに
ここまでついてきてしまったことを思い出す。
あの後僕は橋で彼女と話をしつつ流れのままになんとなく彼女の車に乗ってしまいそのまま今に至っているのだ。
しかしこれって結構まずいことなんじゃないだろうか?いくら相手が女の子とはいえ
異国の地で見知らぬ人と二人きり、周囲は田舎で人の気配はあまり無い。 まさかこの子に限ってとは思うけれどここは日本ではなくアメリカなのだ。万が一にでも銃を持っていれば
華奢な女の子にだって人を脅すことは十分に可能だ。まして僕はこのあたりに土地勘など持っていない外国人、もしこのまま彼女の運転する車が人気のない
森の奥にでも進んでいきその先で銃口など向けられようものなら……恐らく僕に助かる術はない。ああどうしよう、もしもこの予感が的中していれば
僕の人生の残り時間はとてつもなく短いということになる。 こんなことならば軽い気持ちでよく知らない人の車になんて乗るんじゃなかった、父さん母さん僕の先逝く不幸どうかお許しください。
……と急に自分の置かれている立場と状況に恐ろしさを感じていた僕がそんな陳腐なホラー映画のシナリオのような妄想を繰り広げていると
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか彼女が再び口を開いた。
「そういえば、アンタに行き先を告げてなかったわね」
行き先?アスカの言葉に僕は少々身構える、次に彼女の口から発せられる言葉の内容次第では僕の人命に携わる問題だからだ。
もしも彼女が『アンタの逝く先は地獄よ』などと言った暁には……僕は日本からおさらばした次には
自分の肉体からもおさらばしなければならないことになる。 ああ神様、どうか僕をこの哀れな子羊めをお救いください……日頃ろくすっぽ信じてもいない神にこんな時だけ
すがろうだなんてなんとおこがましい人間だろう、しかし僕はこの先に待ち受ける己の運命を想像するとこんな時だけでも神に頼らざるを得なかった。
さて結果的にみれば僕の祈りが神に通じたのか、あるいはそもそも単なる考えすぎだったのか、怯える僕を余所に彼女の口から発せられた
目的地は彼女の母親が働いているという仕事場、そこへ行って母に冷えたレモネードを届けるという至って平和的なものであった。 すまん>>891修正
「やっと友達もできたのにな……」
僕は目の前にある小さな赤い屋根付きの橋を見ながらそうため息を吐いた。
15歳、やっとの思いで入学した高校では友達もできて順調な学生生活が始まろうと
していた矢先のこと、父さんは僕に無慈悲な宣告をした。
「シンジ、転校だ……仕事の都合でアメリカに行くことになった」
僕はこの言葉を初めて聞いたとき己の耳を疑った。
父さんはなにを言ってるんだ?転校?学校に入ってまだ一ヶ月ちょっとなのに?
しかも行くのはアメリカ?
余りに唐突なそして急すぎる出来事に僕の頭はついていくことができなかった。
「勝手だということは分かっている、しかしこれは既に決定事項だ」
混乱する僕を余所に父さんは高圧的な態度でそう呟く。
仕事とは言え、なぜこのタイミングでいきなりアメリカなのか? >>915
わくわくしました!
これからの展開が楽しみです! >>915
乙乙乙ー!
やっと本格的LASが読める!
オラもうゾクゾクしてきたぞ!
続きはよ >>915
乙です
これは長編小説になりそうな予感ですね
これからどうなるのか気になります 現在執筆中
明日辺り途中まで投下するかも知れません >>921
焦らずじっくり腰を据えて書いてください
そのほうがいい作品に仕上がると思いますよ
楽しみにしてます 夜なのにまだ暑い・・・・
こんな日でもアスカとシンジは熱い夜をry 6月は梅雨の季節
やはりこんな時でも家の中でアスカとシンジはイチャイチャするんですねー ほぅ……僕は心のなかで安堵の溜息を吐いた。
どうやら僕にはまだ残された時間がかなりあるらしい。
ふと横目に運転席のアスカを見る、そこには鼻筋の通った綺麗な横顔があった。
ついさっきまでの僕はなんて馬鹿な事を考えていたのだろう、こんなかわいい女の子が殺人鬼なわけあるものか。
いくらここがかの悪名高いアメリカ合衆国とはいえさすがにそこまでぶっ飛んだ話は早々あるわけがない。 僕は飛躍した自分の思考に対して自分でツッコミを入れつつ再度彼女の顔を見て
まあ仮にこの子が殺人鬼だったとしてもこんなに見目麗しい女の子になら
殺されるのも悪くはないかもしれないなどと先ほどまでとはうって変わって
そんな脳天気なことを思うのであった。 そうこうしているうちに車の窓に映る風景は農村から商店などが集う
ウィンターセットの中心部へと切り替わっていた。
どうやら僕が人知れぬ森林奥深くへ連れ去られるという事態は回避されたらしい。
尤も町の中心部と言っても所詮は人口5000人の田舎である、先程の農村地帯と
比べればそれなりの建物や人で賑わっているがそれでももっと大きな都市と
比べてしまえばこじんまりとした小さな集落という印象以上の感想は出てこない。
そんなウィンターセットの市街地に入り車が一つ目の信号で止まったところで
アスカは後部座席に手を伸ばす。 古いフォルクスワーゲンの後部座席には彼女が母親に届けるというレモネードが
入れられたクーラーボックスが載せられており、アスカはそれを慣れた手つきで
開けると中から一本のレモネード瓶を掴み取ってそれ口元へと運んだ。
相当渇いていたのだろうか?アスカの飲みっぷりはなかなかのもので、ゴクッゴクッと
いう勢いのいい音と共にレモネードの液体が瞬く間に彼女の体内へと
取り込まれていく。アスカがレモネードを飲み込もうとする度に
彼女の喉仏はまるで脈を打つかのようにうねり、そのうねりを見ていると
喉の動きに合わせて飲み込まれたレモネードが彼女の身体の奥底へと
流しこまれていくのがはっきりと分かった。 ただジュースを飲む、たったそれだけのことなのにその仕草がどことなく淫靡に
感じられるのは何故だろうか?不覚にも僕の心音が高鳴る。
いけない、こんな事で猥雑な妄想をしていては変態になってしまう。
僕は思考を変えるべく彼女から目線を逸らして頭の中を切り替えた。
一方、そんな僕の内なる衝動との葛藤などつゆ知らずであろうアスカは瓶入りの
レモネードを半分以上一気飲みした後、ようやく瓶のふちから唇を離して一息つく。
「くぅ〜」と唸る彼女のその声が年頃の娘にしてはどことなくおじさんくさかったので
僕がそれに対して失笑すると彼女はこちらの方を向いて僕の笑いに不満げそうに
睨みつけてきた。 「なによ?私がレモネード飲んでる姿がそんなにおかしい?」
「いや別に……そんなおかしくなんてないよ」
「じゃあなんで笑ったのよ?」
「それはその……飲んだあとくぅ〜って声がおじさん臭かったからからかな」
「はぁ!?何よそれ!おじさん臭いって……それが女の子に言う言葉!?」
彼女の言うことはごもっともだ、女の子ならば誰だって自分がおじさん臭いなどと
言われれば不愉快に感じるだろう。心で思ったこととはいえそれを口に出すのは
軽率すぎたと僕は反省した。
「アンタ最低……」
「ごめん……」
ああ、どうやら今の発言で僕はかなりの心証を落してしまったらしい。
僕は己の迂闊さを激しく後悔する、彼女が割とざっくばらんな性格のおかげで
僕としたことが少々踏み込みすぎてしまったようだ。 あるいは僕と彼女の関係が親類であるとかもしくは幼少より数多くの思い出を
共有しているような幼馴染といった関係であれば先程のような発言をしても
よかったのかもしれない。しかし実際の僕と彼女の関係は所詮出会ったばかりの
他人同士だ、発する言葉にはもっと気を遣うべきだったのである。
とはいえ言ってしまったことは仕方がない、僕は自分の行いに気落ちしつつもなんとか
彼女に許してもらおうと再度丁寧に侘びを入れることにした。
「いや……今のは本当に余計な発言でした、ごめんなさい惣流さん」
「ふん……」
まずいな、どうやら彼女のはらわたは相当煮えくり返っているようだ。 ほんの少し前まで楽しくおしゃべりをしていたのにたった一つの失言でこうまでも
空気が悪くなってしまうとは……僕は心が折れそうな心境になったがだからと言って
引く訳にはいかない。とにかく謝り続けて彼女の機嫌を直さなければいけないのだ。
「あ、あの……本当に悪かったと思ってるから」
「…………」
「その、なんというかさ……今みたいなこと言われたら傷つくよね」
「あったりまえでしょ、自分の言ったことを考えてみなさいよ」
「うん……本当ひどいこと言ってしまいました」
「…………」
やはり駄目なのだろうか、アスカは不機嫌そうに顔をしかめて真正面を向いたままだ。
嫌な沈黙が車の中全体に広がり空気の流れを重くする。
「あの……」
「…………」
「許してはもらえませんか?」
僕はお伺いを立てるように恐る恐る彼女に質問する。もしこれでアスカからの返答が
ノーであるようならばもう僕に出来ることはない。 そうなったら僕は黙ってこの車から降りるしかないだろう。けれどもできればそんな
後味の悪い別れだけは絶対に避けたい。何しろこっちに来て半月、僕にとってアメリカ
で初めて友達になれるかも知れない相手なのだ。
せっかくの貴重な縁をこんな形で途絶えさせるようなことだけは絶対に嫌だった。
「ねえ……」
アスカが口を開く、ここから続く彼女の言葉の内容とそれに対する僕の返答が
これからの命運を分けることになるだろう。
僕は息を呑んで彼女からの言葉に耳を傾ける。
「アンタ、私のことどう思う?」
「えっ?」 僕は彼女の言葉が理解できなかった、どう思うとはどういう意味なのだろう?
「私ってやっぱりおじさん臭い?」
まさか……彼女を見てどこをどう見ればおじさん臭いと言えるのか。
僕がおじさん臭いと称したのは彼女自身のことではなく彼女がレモネードを飲んだときの
仕草についてだけである。彼女自身がおじさん臭いなどあるはずがない。
とはいえここからの返しは言葉を選ばなければ取り返しの付かないことになる。
僕は慎重を期して返事をした。
「そんな……そんなわけないよ」
「でもさっきはそういったじゃない」
「それはさっきのはその、言葉の綾みたいなもので……飲んだあとの仕草が
そう見えたってだけの話なんだ」
「だから僕は別に君自身がおじさん臭いだなんて言ったつもりは全く……」
「ふうん……なんだか取って付けたような言い訳ね」
アスカはまだ僕を疑っている、ここが正念場だ。 今引いたらその瞬間全てが終わる、僕はここにきて大胆にいくことにした。
「そ、そんなことない!」
「……っ!?」
僕が突然大きな声をあげたのでアスカはこっちを見ながら驚いてその目を見開く。
その隙に僕は畳み掛けるように一気に勝負を仕掛けた。
「惣流さんは可愛いよ!おじさん臭いなんてとんでもない!」
「へ……?」
「か、かわいいって……」
アスカはしばし呆然としている。
「ほらその惣流さんの青い目とか綺麗だと思うし髪の毛なんかもとってもふわっと
していて女の子っぽくて素敵だと思う、そそれから……」
自分でも何が言いたいのかよく分からない、ひとつ言えるのは僕はいつだって正直で
あるということ。そんな僕の言うことを聞いてアスカは無言で硬直しており
その間僕は彼女を褒め称えるような美麗字句を言い並べ続けた。
「ああその今日はまだ夏でもないのに暑いよね、でも惣流さんの首筋から
流れる一筋の汗なんかもなかなか色っぽくていいかな……なんてね」
僕はまたしても口を滑らせているような気がする、これでいいのだろうか?
そうこうしているうちに硬直していたアスカの顔はゆでダコのように赤くなっていき
やがて返ってきたのは罵声であった。 「バカっ!もういいわよっ!」
マズい、許してもらうはずがますます怒りを買ってしまったのだろうか?
僕の脳裏に最悪の展開がよぎる。
しかし実際の彼女の反応は僕の予想とは少々異なったものだった。
「誰もそこまで褒め称えろとまでは言ってないでしょ……!」
「えっ?」
「もうアンタの気持ちは十分に伝わったからさ」
「そ、それじゃあ……?」
最悪は回避されたらしい、僕はどうにかアメリカで初めての友人を初日で失うという
考えたくもない悲劇から逃れることに成功したようだ。
「まっ、許してあげるわよ」
アスカのこの言葉によって僕の心が重圧から解放されていく。なんとも過酷な戦いで
あったがこの戦いのおかげで僕は口は災いの元ということを身に染みて理解すること
ができた、これからは己の発する言葉には細心の注意を払っていこう。 と、僕がこの出来事から一つ教訓を学び得たところでアスカは僕に対して
とんでもないことを言い放つ。
「というか今の芝居だし」
「えっ?」
「はなっから本気で怒っちゃいないわよ」
なんということだ、それでは一体今までの僕の苦悩は何だったのであろうか?
「ホント、簡単に引っかかってくれたわね、それともアタシのお芝居が
レッドカーペット級だったのかしら?」
どうやら僕はアスカに一杯食わされたらしい、僕が一所懸命彼女に対する
謝辞の言葉を考えたり美麗字句を並べている頃当の本人は傷ついた少女のフリを
しながらうろたえる僕を内心嘲笑っていたのだ。
今彼女はそんな本性をむき出しにしたかのようなおちょくった笑みを浮かべて
僕のことを見つめている。
「ぼ、僕を騙したな!」
「フフッ、おかげで面白いもの見させて貰っちゃった」
彼女は得意げな表情をしてそう言う。
「ひどいよっ……!僕は本気で謝ってたのに」
「引っかかるほうが悪いのよ」
果たしてそうだろうか?今のを初見で見抜けるのはエスパーくらいだと思うけど。
「にしてもまあアンタって顔に似合わず平気で小っ恥ずかしいこと言えるのね
おかげでこっちまでなんだか恥ずかしくなってきちゃったじゃないの!」
彼女の言葉を聞いて僕はついさっき自分が言ったことを思い返してみる。 『その惣流さんの青い目とか綺麗だと思うし髪の毛なんかもとってもふわっと
していて女の子っぽくて素敵だと思う』
確かに……振り返ってみると我ながらこの台詞はクサすぎる、今にして思えばこの僕が
よくもこんなことを言ってのけたものだ。
そう思うとなんだか急に自分が恥ずかしく思えてきて今度は僕が顔を赤らめる番となった。
「それから何よ?アタシの首筋から流れる汗が色っぽいってのは……」
「そ、それは……」
アスカの追求に僕の頬はますます赤みを帯びてくる。
「これ完全に変態の言う台詞じゃない、もしかしてアンタそういうフェチなの?」
「ち、違うよ!それもやっぱり言葉の綾というやつで……」
「ふ〜ん、それじゃあホントは全然色っぽくなかった?」
「え、えと、それはその……あの」
「アハハハハハハ!」
しどろもどろになって返す言葉も出てこない僕のことを指さしてアスカは心底
楽しそうに大きな笑い声をあげる。、ペースは完全に相手の方に握られてしまっている。
僕は完全に彼女に振り回される哀れなおもちゃとなってしまった。 「ほら、アンタいつまでふてくされてんのよ?」
「だ、だって……」
別に不貞腐れているつもりはなかったんだけど、恥ずかしがって俯く僕の態度が
アスカにとっては気に入らないらしい。
「私に騙されたこと怒ってる?」
「そんなことは……ないよ」
「じゃあ顔上げなさいってば」
それでも僕が顔を下に向けたままでいるとアスカは右手にレモネードの瓶を持って
それを僕のほうへと差し向けてきた、もちろんそれは彼女の飲みかけである。
「アンタも喉乾いたでしょ?これあげるからさ、機嫌直しなさいって」
それを飲んだら間接キスになるのでは?と思いつつも車中の空気はとてもじゃないが
それを言い出せるようなムードではない、僕は黙って手を伸ばし瓶を受け取った。
「美味しいわよそれ、なんたってそれアタシのお手製ですからね」
「これ、君が作ったの?」
「アメリカ人なら誰しもが作ったことあるんじゃない?まあレシピはママのだけどね」
そう語るアスカの口ぶりはどこか自慢気で表情や声のトーンからして
彼女がよほど自分の母親のことを好いているというのがうかがい知れた。 僕はそんな彼女ご自慢のレモネードが入った瓶の縁をじっと見つめる。
つい先程隣にいる娘が口をつけたところだ、そして今そこに今度は僕が口をつけようと
している。年頃の女の子の唇が触れた部分に自分の唇も触れようというのだ、未だキスさえ経験のない子供の僕にとってこれほど甘美で胸をドキドキさせるような経験が
かつてあっただろうか?いや無い、女子と一つのジュースを回し飲みするなんて
初めてのことである。ふと隣に座るアスカを見た、彼女にはこういう経験が
過去にもあるのだろうか?まあこれほど可愛らしい少女であれば恋人がいても不自然では
ないしそのボーイフレンドと同じようなことをしているのかもしれない。
いやそれどころかもっと凄いことも……とそんな思案を巡らせていると僕の脳裏に
ふとアスカのあられもない姿が浮かび上がる。いけない、出会ったばかりなのに
こんなことを考えていたんじゃ彼女に失礼だ。
僕は自分にそう言い聞かせて頭の中からあらぬ妄想を払い除ける。
とはいえ仮に彼女にボーイフレンドの一人でもいるのならこうしたことにためらいが
ないというのも当然のことなのかもしれない。
一見ド田舎に見えるこの場所といえどもここはアメリカなのだ。そうした文化が
日本よりはるかに進んでいてもおかしくはないだろう。 「アンタなに固まってんの?もしかしてレモネードは飲みたくないわけ?」
「そ、そんな事ないよ!ただ今少し考え事してただけで……」
「へえ、トロそうなアンタにも考えることとかあるんだ?」
「ひ、ひどいな!僕にだって考え事や悩みの一つや二つくらいあるよ!」
「そうは見えないけれどね〜」
好き勝手に言われ放題である。僕ってそんなにだらしなく見えるのかな?
とはいえこのままじっとしていれば彼女は不信感を募らせる。
僕は意を決してレモネードを飲む覚悟を決めた。
瓶を握った左手を持ち上げゆっくりと口元へ近づけていく、ふと瓶の入り口に
目をやるとそこにはかすかに口をつけた彼女の唾液で湿った跡が残っていた。
それを見て僕の鼓動がまた激しくなる。今や僕の唇と彼女の唾液のついた瓶との
距離はほんの数センチだ、あと少し左手を上にあげれば僕の唇と彼女の唇が触れた部分が
接触する。そのことを意識すると僕の顔がとても熱くなってきた。
このように未だ羞恥心を捨てきれずに一人悶えている僕であったが、見ず知らずの人が
口をつけた飲み口に自分も口をつけるということそのものには不思議と不快感を
感じるようなことはなかった。 普段の僕であれば割と潔癖症な部分もあってこうしたことには躊躇いを覚えることも
あるのだが本日にいたってはそのような躊躇が一切ない。
相手がこの娘だから?だとしたら今までの僕は潔癖症ではなくただ単に面食いだった
ということになるが果たしてどうだろう、これは勝手な憶測に過ぎないがもしも
このレモネード瓶を渡してきたのがアスカラングレーという少女でなければたとえ
それが容姿端麗なる女性だったとしても僕は遠慮したように思える。
本来潔癖の要素を持つ人間というのは相手が誰であれ、仮にそれが血を分けた
親兄弟だったとしても一つの飲み物を回し飲みするような行いには嫌悪感を示すものだ。
そして僕も普段であればそうした人間の一人なのであるが、どうやら今日の僕は普段とは
違うようで手に握ったレモネード瓶を不潔だと思ったり汚らわしく感じるような
気持ちは全く芽生えてこなかった。
再び彼女が僕のほうに視線を送ってくる、早く飲めと催促しているのだ。
これ以上飲まないでいようとするのは彼女に対して失礼となる。
それこそ今度は冗談抜きで彼女の気持ちを不愉快なものにしてしまうだろう。
僕はついにレモネード瓶に口をつけた。 その刹那、かすかに彼女の甘い香りが伝わってきたような気がした。
レモネード瓶を通して僕の唇と彼女の唇とが間接的に交差していく、たった二度の
出会い……それも一度目はすれ違うような出会いに過ぎなかった僕と彼女が再び
異国の地で遭遇しそこから僅かな時間で今こうして互いの粘膜と粘膜とを重ね合わせて
いる。それはアメリカ人のアスカにとっては取るに足らない事なのかも知れないが
15年生きてきて恋人一つ居ない僕からしてみれば生まれて初めて味わうまるでレモネード
のように甘酸っぱい刺激的な出来事であった。 >>947
乙です
アメリカの田舎町を車で走るって光景が目に浮かぶなぁー
そしてレモネードを介したアスカとの唾液の交換・・・・じゃなくて間接キス
こんな体験できるシンジが羨ましい
続き楽しみにしてます >>947
乙乙乙ー!
すげー!これマジで名作の予感!
カラー(ガイナックスは関係ないのか?)非公式のラノベでも通用しそう
かなり本格的だな
早く続きが読みたい!
投稿はよ レス数が950を超えています。1000を超えると書き込みができなくなります。