学校の授業などで新聞を活用する「NIE」(教育に新聞を)の実践を共有する全国高校NIE研究会の第17回全国大会が23日、横浜市中区の日本新聞博物館で始まった。

「高校におけるNIEとは」をテーマに、高校教員ら約70人が参加。24日までの日程で、若手実践者らの拡充を探るシンポジウムや研究発表、各地の取り組みを報告する。

 研究会の昼間一雄会長(東京都立葛飾商業高校長)はあいさつで、「高校の新学習指導要領に、新聞の適切な活用を図るとの記述が数多くある。NIEの力をさらに発揮する追い風になる」と述べた。

 シンポジウムでは、教科の専門性が高い高校でNIE拡充に向け「若手教員らをどのように誘うか」について意見を交換した。県立三浦初声高統括教諭の金子幹夫さんが「いろいろな研究会で必ず顔を会わせる教師がいる」と指摘。

より良い授業づくりを探し求めている「キーパーソン」をNIEの新たな実践者として迎えるためには、「その気にさせる仕掛け」として魅力あるメッセージが必要と提起した。

 都立赤羽商業高の林敏昭さん、静岡県立駿河総合高の深澤邦洋さん、秋田県立大曲農業高の佐藤香さんがそれぞれ抱えている課題や工夫を紹介し、大会参加者の体験や取り組みも共有した。

進行役の十文字学園女子大学元教授の津吹卓さんは「子どもの変化を目の当たりにすれば目が開かれる」と述べた。

 シンポジウムに先立ち、毎日新聞社論説委員の野沢和弘さんが、障害者虐待や児童虐待でいち早く手掛けた調査報道を事例に、「障害者のリアルとNIE」と題して講演した。

 24日は研究発表や各地の報告が行われる。