くらしナビ・学ぶ:NPOが全国小学校教員アンケート 深刻さ増す現場の疲弊
毎日新聞 2013年10月28日 東京朝刊

 ●11時間半労働
 調査はNPO「日本標準教育研究所」が実施。昨年3月〜今年1月まで、テーマ別に計3回にわたって延べ約1000人から回答を得た。
 教師の仕事で悩んでいることを尋ねたところ、上位三つは「自分の時間が持てない」「保護者との関係」「特別支援が必要な子供への対応」だった。
 調査の結果、学校にいる時間は平均「11時間半」。東京大社会科学研究所が調べた全産業の平均(10時間半)に比べ約1時間長い。
その上、9割が帰宅後に自宅で仕事をすることがあると回答し、休日出勤も月平均2・2回だった。

 自由記述では「外国語活動、他校との連携、総合学習など、やらなければいけないことが多く、じっくり授業を組み立てられない」(教員歴29年、千葉県、女性)、
「家族との時間が持てない」(同20年、東京都、女性)という悲痛な訴えも目立った。
教員の多忙化は、国が定数増など対策を打ってはいるが、解消されていない実態が浮き彫りになった。

 ●支援体制の不備
 保護者との関係では、勤務25年の東京都のベテラン男性教員は「15年前の保護者は協力的だったが、現在は批判から始まることが多い」と対応の難しさを強調。
さらに貧困、虐待、家庭内暴力など家庭が抱える問題が子供の問題行動や学力低下の一因になっていることもある。
学校には福祉の面からの支援も求められているが、そうしたノウハウが乏しい上に、多忙化で対処しきれていないのが実態だ。
 特別支援教育については、文部科学省の12年の調査で、学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)で、
学習面や行動面で特別な教育的支援を必要とする児童生徒はクラスの6%程度(40人学級ならおよそ2人)と推定される。
「その子によって対応の仕方が異なるので、これまでの経験があまり役立たない」(教員歴20年、北海道、女性)など自身の指導力への悩みのほか、
「担任するクラスが通常学級から特別支援学級に変わったが、指導のための資料が不十分で、教科書さえなかった」
「自分一人では対応しきれない時がある」と支援体制の不備を指摘する声もみられた。

http://mainichi.jp/feature/news/20131028ddm013100019000c.html