「お客様は神様です」について - 三波春夫
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 「三波春夫」といえば、『お客様は神様です』というフレーズがすぐに思い浮かぶ方が少なくないようです。印象強くご記憶いただいていることを有難く存じます。
 ですが、このフレーズが真意とは違う意味に捉えられたり使われたりしていることが多くございますので、ここにちょっとお伝えさせて頂きます。
(略)
“お客様を神様とみる”という心構えであることを舞台の上で話したことが始まりで、それは芸能生活としては22年目、歌手デビューから数えると4年目の1961(昭和36)年のことでした。
(略)
 三波にとっての「お客様」とは、聴衆・オーディエンスのことです。
また、「お客様は神だから徹底的に大事にして媚びなさい。何をされようが我慢して尽くしなさい」などと発想、発言したことはまったくありません。

 しかし、このフレーズが真意と離れて使われる時には、「お客様」は商店、飲食店、乗り物のお客さん、営業先のクライアントなどになり、「お客様イコール神」となります。
 例えば買い物客が「お金を払う客なんだからもっと丁寧にしなさいよ。お客様は神様でしょ?」という風になり、クレームをつけるときなどには恰好の言い分となってしまっているようです。(略)
 また、クレーマーやカスタマーハラスメント問題を取り上げている番組などでは「“お客様は神様です”というのがありますからね」と、真意を紹介することなく引き合いに出されることもあります。

 このようなフレーズへの誤解は三波春夫の生前から有りましたが、言葉や文章などでの短い説明ではこと足りないと思うのは、生前の三波春夫も、現在の私もです。
説明となるものを挙げるとしましたら、三波春夫のライブをご覧いただいて心意気を感じ取っていただくことだったのかもしれません。(略)