コラム:増税より成長、安倍首相の「賢い賭け」
http://jp.reuters.com/article/japan-economy-breakingviews-idJPKCN0YO0KX

[香港 1日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 安倍晋三首相は、2019年10月まで消費税の引き上げ
延期を決定することで、分別ある賭けに出た。

来年4月に予定していた消費税率8%から10%への引き上げにより、国内総生産(GDP)の約1%に
相当する税収増が見込まれていた。増税を2年半延期する首相の決断により、財政赤字は当初の
見込みよりも、ゆっくりと削減されることになる。

しかし、増税が成長に与えたであろうダメージは、より大きな財政リスクをはらんでいた。

日本経済は既に足元が揺らいでいる。首相が増税延期を発表するちょうど数時間前、ある民間調査に
よる5月PMI(製造業購買担当者景気指数)は3年超ぶりの低水準となっていた。また、経済産業省が
30日発表した4月小売業販売額は前年比0.8%減少。消費増税は日本経済を崖っぷちから突き
落としてしまうリスクがあった。

国際通貨基金(IMF)は4月、主に消費増税の影響だとして、2017年の日本のGDP成長率をマイナス
0.1%に下方修正した。そして、16年の予測成長率である0.5%からどれだけ鈍化するかは今後の
財政出動次第だと説明した。

この悲観的な見通しには根拠があった。消費税が8%に引き上げられた14年4月以降の7四半期のうち、
4四半期で実質GDPがマイナス成長を記録している。増税を繰り返すことで、財政赤字の対GDP比率を、
すでに目から涙が出るような水準となっている約240%からさらに高める可能性があった。

確かに政府は借金の山を大幅に削るために何かをしなければならない。しかし、安倍首相は、経済
成長率が例えば2%程度に改善するまで、時間を稼いだほうがいいだろう。モルガン・スタンレーの
エコノミストらは、消費税の引き上げ幅を1%にすればリスクが少ないと指摘している。

その間、日本政府は格付け会社からのいかなる批判も乗り切ることができる。なぜなら、国内投資家が
日本国債の大半を保有しており、日本銀行が猛烈な買い手となっている。安倍首相は賢い賭けに出た。 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)