猫のコロナ大流行 乱立する「高額治療費クラファン」に杉本彩さんが感じる“懸念”

猫の間でも「猫のコロナ」と呼ばれる猫伝染性病腹膜炎(FIP=Feline Infectious Peritonitis)が流行し、愛猫家を悩ませている。
FIPの治療は100万円近くかかる高額医療となるため、クラウドファンディングも増加。
この現象を見て、動物愛護活動家で知られる「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva」代表の杉本彩さんは「違和感」を覚えるという。

なぜFIPの治療は高額なのか。現在入手可能な治療薬が中国製の「ムティアン」しか存在せず、しかも法外な値段で流通しているからだ。
ムティアンの投与期間は84日間。薬代以外にも、検査費用、点滴代など諸々含めると100万円近い出費となる。
FIPは子猫に発症するケースが多く、致死率はほぼ100パーセント。
高額だとわかっていても、どうしても愛猫を救いたいと考える飼い主はムティアンに頼らざるを得ないのだ。

そのため、経済力がない飼い主たちが治療費の捻出に困り、クラウドファンディングを募るケースが続出しているのである。
大手クラファンのホームページを見ると、子猫の写真とともに「この子の命を助けてください」と呼びかける募集が数え切れないほど掲載されている。
個人だけではなく、猫カフェや愛護団体がFIP治療費を募っているケースも多い。

だが、杉本さんはクラファンの内容を調べていくうちに、「100万円」という金額に対して疑問を抱いたという。
「もちろん決して安い金額ではありません。人それぞれの経済事情があるとは思うのですが、100万円という金額は、
ペットを飼う上で万一の場合に備えて考えておくべき出費ではないかと思ったのです」

杉本さんが昨年見送ったフレンチブルドッグの「きなこ」にかかった治療費は、そんな額ではすまなかったという。
「自然分娩でも生まれてこない人間の改良で生まれた犬種だったので、もともと虚弱な体質でした。
高齢になってからは本当に大変で、呼吸を楽にする手術、がん治療、投薬、あらゆる検査費用などを合わせると、すさまじい出費でした」

ただ、杉本さんはかれこれ20年近く、「ペット貯金」を積み立ててきたので、想定外の出費にも対応できたという。
だからこそ「100万円」の捻出に行き詰まり、助けを求めなければならなくなる飼い主の姿勢に違和感を覚えると語る。
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/02211038/?all=1
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