犬猫等の個体識別手段にマイクロチップがある。環境省もマイクロチップ埋め込みを推奨している。

マイクロチップをいれていますか?
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip.html

 このマイクロチップにはチップ固有の番号が入っており、この番号を読み取る事で個体識別が可能になっている。
そしてこの番号と紐付けされた飼い主のデータベースを参照することにより、飼い主へペットを帰還させる事を
可能にしている。

 しかし捕獲された動物を保健所に持ち込む事や、保健所が持ち込まれた動物を引き取る事に反対する人達がいる。
飼い主が名乗り出なかったり新たな飼い主が見つからなかった時には殺処分されてしまうからだ。
 だがこの働きは、このマイクロチップを使った迷いペットを飼い主に帰還させるシステムに、深刻な障害を発生させる。

 マイクロチップにはチップ固有の番号しか入っておらず、飼い主の連絡先や住所・電話番号等のデータは入っていない。
仮に個人がマイクロチップ読取機を入手したとしても、判るのはチップ固有の番号だけで飼い主の連絡先は判らない。
 飼い主の連絡先を知るには、マイクロチップ番号と紐付けされた飼い主データーベースにアクセスしなければならない。
 保健所ではマイクロチップリーダーと共に、このデータベースへのアクセス権を持っている。保健所にマイクロチップが埋め込まれた
動物が持ち込まれた時、マイクロチップ番号を読み込み、データーベースを参照する事により飼い主を特定して帰還させる。
つまりこの迷いペット帰還システムは、保健所に動物が持ち込まれる事が前提のシステムなのである。

 捕獲された動物が保健所に持ち込まれなくなれば、例えマイクロチップが埋め込まれていても、マイクロチップ番号を読み取られる事は無く、
データーベース参照もされない為、迷いペットはこのシステムでの帰還が不可能になる。
 また個人がデーターベースを参照可能にする事もできない。飼い主のデータベースは住所・氏名・電話番号が記録された、
個人情報データーベースである。そのようなものに個人レベルで自由にアクセスできる事は、個人情報保護という観点から
大きな問題であり、とても許容される事ではない。行政等の特定の機関のみがアクセスできるようにすべきものである。

 このように動物の保健所持込を否定する事は、マイクロチップによる迷いペット帰還システムを崩壊させる重大な問題である。
ペットにマイクロチップを入れているペット愛好家の方達は、捕獲した動物を保健所に持ち込む事を糾弾したり、
保健所に引取りを拒否するよう働きかける運動に反対すべきではないだろうか。