私が競馬好きということもあるが、「週刊ダイヤモンド」に読みたい記事があった。「競馬ブーム終焉 JRA危機の構造」がそれである。
JRA(日本中央競馬会)はファン離れに歯止めがかからず、売り上げは14年連続で減少している。

その理由の一つに高齢化がある。90年には競馬ファンの平均年齢は43・2歳だったのが、昨年は54・5歳になっている。

3連単やWIN5など射幸心を煽る増収策は裏目に出て、当たらなくてつまらないとファンが競馬場から去っていった。
また、日銀を上回る高給や割高な随意契約など、高コスト体質が染みついていると批判する。
総売り上げの3%しかなく、開催日数も少ない札幌と函館競馬場を改修するのに220億円以上を投じている。

世界一高額で手厚い賞金・手当があり、既得権益化して合理化を阻んでいる。たしかにビリでも35万円もらえるのは日本だけだろう。
馬主が厩舎に馬を預けると1頭あたり毎月50〜100万円の預託料がかかるが、「預託料は5万円程度の餌代を引いて、
残りは厩務員の人件費」(調教師Bさん)だ。そのために馬主の数はピーク時より3割も減ってしまった。

世界で見ると、競馬は落ち目でカジノ人気が高まっているという。アメリカではカジノの売り上げが
約4兆9000億円で競馬は約2000億円しかない。日本でもカジノ実施法の議論が活発で、
ある民主党の幹部は、2年以内に成立させる段取りだと話す。

JRAの所管は農林水産省で、長年、理事長は事務次官らが天下りしてきた。
07年にようやく生え抜きの理事長が誕生したが、再び農水省が理事長ポストを奪い返す算段をしているそうだ。

売り上げが減り続けるが、何ら有効な対策も考えず、これまで同様の構造を変えようともしないのは、
出版界と似ていると思わざるをえない。競馬同様、本に多くの読者が戻ってくるとはもはや考えられない。


まさに歯科業界も同様の構造で一部の支配階級のみ安泰。