http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2014041702000174.html

 多額の損失をこうむる危険性が高い商品先物取引の勧誘の規制緩和策を、経済産業省と
農林水産省がまとめた。六月にもスタートさせる。取引を要請していない人への訪問や
電話による勧誘を禁じた「不招請勧誘の禁止」の緩和策が盛り込まれ、法律家団体などは
トラブルが急増しかねないと、相次いで反対意見を表明している。

 両省は今月五日、商品先物取引法の施行規則や業者への監督指針の見直し案を公示し、
意見募集を始めた。案の中に規制緩和策が盛り込まれており、不招請勧誘の禁止の規制に
適用除外のケースを設けた。

(中略)

 先物取引で大損した個人の救済に当たってきた弁護士らは「不招請勧誘禁止は骨抜きに
なる」と憂える。愛知県弁護士会の大田清則弁護士は「FXをやったことがある人には
業者は不招請勧誘を堂々とできる。顧客が七十歳未満だと確認できれば、消費者に電話を
かけたり訪問したりしてもよくなる。これまでの被害の実情から見れば、業者が消費者から
確認の書類を取るのが簡単なことも明らかだ」と話す。

 内閣府消費者委員会も熟慮期間を設定することについて「ハイリスクハイリターンな取引に
不慣れな一般消費者の保護にはほとんど機能しない」と予測する。

 経済産業省は「緩和してもかつてのようなトラブル多発は避けられる」といった論理だ。
「業界が縮小した中で役所の検査要員を大幅に増やしてきたので、問題ある営業に目が届き
やすくなった。また、被害に遭いやすい高齢者についての勧誘規制は厳しくしてある。
熟慮期間については、顧客が危険性を理解しやすいように情報提供の仕方などを工夫したい」

 両省による意見公募の締め切りは五月七日。規制緩和をめぐる議論はさらに熱くなりそうだ。