読売新聞調査研究本部主任研究員 福永聖二
2017年01月30日 12時30分
 「去年は映画、随分と見たなあ〜」。そんな思いを抱く人たちが全国各地にいることだろう。2016年の映画の興行収入(興収)が過去最高を記録した。
「君の名は。」「シン・ゴジラ」という、才能あるクリエイターによる大ヒット作が映画界全体を押し上げた格好で、その人気は海外にも広がっている。
映画記者歴23年、読売新聞調査研究本部主任研究員の福永聖二が、日本映画のリアルな勢いを分析する。

興収2355億円、入場者数は2億人に迫る

 日本映画製作者連盟(映連)の集計で、昨年1年間の映画興行収入は2355億800万円と前年比8.5%の大幅増となり、
2000年以降で最大を記録したことが分かった。同年に統計の取り方を現在の方式に改めていることから、押しも押されもせぬ「過去最高」の数字だ。

 東宝、東映、松竹、KADOKAWAの大手映画製作会社4社で構成される映連によると、
映画館への入場者数も前年比8.1%増の1億8018万9000人に達し、1974年以来、42年ぶりに1億8000万人を突破した。

 映連の岡田裕介会長は、「目標としている2億人に迫ってくる明るい話。VHSビデオの発売が76年なので、ビデオ登場前の水準に戻った」と喜びを隠さずに語った。

 昨年の興収で注目されるのは、アニメーション映画の人気だ。岡田会長が「『君の名は。』『ズートピア』などアニメが好調だった」と指摘するように、
邦画では興収上位10作中、アニメが6本と半数以上を占め、洋画でもベスト5に3作が入った。その中でも、新海誠監督の「君の名は。」
(興収235億6000万円=1月22日現在)が、強力なエンジンの役割を果たしたことは言うまでもない。

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