直腸癌肺転移との鑑別が困難であったヒト肺犬糸状虫症の1例

ヒト肺犬糸状虫症は,犬糸状虫の感染幼虫が人体内
に移行し,肺動脈末梢に栓塞して形成される肉芽腫で
稀な肺疾患である.今回われわれは直腸癌肺転移と思
われたが,切除後にヒト肺犬糸状虫症と診断した1例
を経験したので報告する.

白色調の結節を認め,この結節は線維性組織で覆われ
た壊死組織からなり,その内部に寄生虫を示唆する構
造が認められた.皮角は厚く,犬糸状虫が示唆された.
肺動脈内に存在していた可能性があり,EvG 特殊染色
で確認したところ,肺動脈内に虫体が確認された

現実的には,術前にこれらの検査法が行われて診断が
つくことは稀であるとされ,
切除標本で初めて診断される症例が多い

この場合、手術をしなくてもフィラリア症治療薬
ジエチルカルバマジンで治ったとされる