>>934
確認どころか、抗がん剤治療と緩和ケアをやっていると、効果のな
い高額免疫療法の犠牲になっている患者さんにあうことは日常茶飯
事ですよ。

ある例を紹介すると….
膵がん肝転移の女性にFOLFIRINOX治療開始
本人が免疫細胞療法をどうしてもしたいからと紹介を希望
引き留めたが、強く希望するのでしょうがなく抗がん剤は継続する
約束で紹介。
その施設で免疫細胞療法開始する前にCT検査すると、すでに腫瘍は
縮小し始めていた。
FOLFIRINOXは副作用が出ないように、かなり微調整を繰り返し継続。
そのうち原発巣も肝転移も画像上CR(完全寛解)達成。
免疫療法6サイクルは1年間かけてやったが、時期間隔はバラバラ。
本人は貯金がなくなったからもうしないと発言。
ある時紹介先の施設がCT画像と腫瘍マーカーデータを希望したので
しょうがなく提供。
ところが、地元のローカルTV局が免疫細胞療法の成果としてその患
者さんとその病院医師へのインタビュー番組を放送。CRになったCT
画像も腫瘍マーカーデータも掲示していて、たまたまテレビを見て
いたこちらはびっくり仰天。
その医師は「リンパ球療法は抗がん剤の副作用を減らす」と、何の
根拠もない発言あり。
話はさらに展開し、当方が受け持っていて、標準治療が効かなくなっ
てきた別の膵がん患者さんが、その番組を見て、自分も紹介してほ
しいと要望。

「あれは自分の患者さんで、抗がん剤治療の成果を免疫細胞療法の
おかげだとねつ造した番組なんですよ」と説明したら、あっけにと
られていました。
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まさか自分の受け持ち患者さんのデータで、自分の別の患者さんが
だまされてインチキ免疫細胞療法希望してくるなんて。
テレビの影響力の強さと、県内全域でどれほど多くのがん患者さん
を、インチキ免疫細胞療法に誘導する片棒をかつでしまったかと思
うと非常に心苦しいものがあります。
免疫細胞療法に走った患者さんはたくさん経験しているし、他のが
ん治療医からも聞いていますが、助かった人を1人たりとも見たこと
も聞いたこともないわけです。

それでいて病状が進行したらインチキ免疫療法業者からは放り出さ
れて、悲惨な最期を迎える例もよく知っています。
がん治療と終末期医療を担当するものとしては座視してはいけない
と思って、情報発信しているわけです。