>>684
そちらのコメントで「癌種によって経過は全く異なる」
のと同様に2型糖尿病も個人によって、眼症状や神経障害
が急速に進行する人がいます。そういう方は30歳代でも
入院治療で難渋する人もいますから、やはり予後はかな
りばらつきます。となると母集団としての罹患者数が多
いため、重篤な経過を示す人がそれなりにいます。
またがん種も予後や治療法がかなり違うことから細分化
して考えると(患者さん個人としてはどのがん種かに当然
こだわりたいでしょう)、10万人当たりの罹患数は、それ
ぞれのがん種ごとに3〜140人とかなりばらつきます。
1型糖尿病の発症率が10万人当たり1.7人ぐらいですから、
少ないとは言え、がん種によっては結構近いものもあり
ます。すくなくともかけ離れてはいないでしょう。

もちろんそちらが納得できないのはしょうがないことだ
と思います。人の印象はコントロールできるものではな
いからです。

当方がこういった説明をしているのは、受け持ち患者さ
んへの説明や患者会での説明で最も受け入れられやすい
ためです。
ある胆管がん術後の高齢者がしきりに再発の不安を執刀
医の大学教授に訴えるも、心配しすぎとたしなめられて
いました。その後どうなったかというと、大学教授のほ
うが肺がんで死亡し、本人は元気なままです。
肺がん患者会のワンステップ代表はステージIVですでに
8年目に入っていますし、当方の受け持ちあるいは患者会
の膵がん再発患者さん2人は抗がん剤治療で治りました。
がん患者さんは将来心配する気持ちはわかるのですが、
将来心配する人ほど、現在症状に困っていない傾向があ
り、今という時間に真剣に向き合っていない傾向があり
ます。
そういうことで、もともと医学的に同列に話せるわけで
はないのですが、がん患者さんの特殊な精神状況に合わ
せて、糖尿病を引き合いに出して説明しているわけです。
ところで、患者会では、もしもう一度がんになるとした
らどのがん種がいいですかというアンケートを採ったこ
とがあるのですが、一番予後が良い乳がんより、胃がん
大腸がんのほうが良いと言う意見が大半でした。
なぜなら、10年後まで再発の不安が続く乳がんよりも、
手術して5年で再発しなければ治る胃がん大腸がんのほう
が早く決着がついて安心できるからだそうです。
これは医学的な価値判断だけでは患者さんの不安を解消
できないことを意味しています。

ステージIVのがん患者さんが安心できる説明方法がある
とすれば、どういったものになるのかむしろ当方に教え
ていただけるとありがたいです。