制約条件作る「忖度」を排除する
LIXILグループ取締役 前CEO 瀬戸 欣哉氏
 なぜ私が今回、個人としてここまで会社と戦っているのか。それはこれまで、LIXILグループで働く皆さんに、「Do The Right Thing(正しいことをしよう)」と言ってきたのに、今回の問題を見過ごしたら、言ってきたことがウソになるからだ。
 経営は、全ての選択肢の中から一番いいものを選んで初めて、それなりの結果が出る。日本的な忖度の問題は、選択肢を限定する制約条件を作ってしまうことだ。特に、経営の一線から離れた昔の実力者が権力を握っている場合は、今の現場を知らないから良い結果を出せる蓋然性が少ない。
 失敗しても自分で立て直せるのならいいが、取り巻きの人間が忖度して「うまくいっています」と報告する状況では、軌道修正が遅れる。実際、ペルマスティリーザの場合もそうだった。
 会社側の取締役候補は全員新任で、その中の社外取締役から暫定CEOを選ぶという。兼職が多い方もいて、本気でLIXILの経営に時間を割けるのだろうか。大事な会社を実験台にされてはたまらない。