>>890の続き
練習内容としては概ね次のようなことが考えられる。
攻撃技の基本は複雑ではなく単純なものにして、身に付けるために1人練習を徹底する。剣道で言えば素振りだ。
次は、その性質にもよるが、まず同種の武器での型練習から始め段階を踏んで自由練習に至る。
可能な場合は異種の武器でも同様に行うが、完全な自由練習は難しいだろう。

自由練習をする上で特に注意しなければならないのは、戦い方が用具やルールによって作られてはならないということだ。用具やルールは安全のためのものだからだ。
戦い方は実戦に使えるものであるべきで、自由練習する上で攻撃が制限されていても、それは便宜上のことであると理解しておかなければならない。
常に実戦ならどうなるかを意識して行う必要がある。これは指導者も生徒も同じだ。
これを怠った例を分かりやすく打撃格闘技で言うと、上段への蹴りが極めて多いとか、足を止めての中段突き連打などだ。
スポーツなら問題ないが、実戦でこのような戦い方が出来るのだろうか。

身の回りの物そのものを実際に使わなければならない場合は、訓練した技を基本としてその物に応用するということだ。
なお、剣道やスポーツチャンバラの経験者であれば、この練習の一部をする必要がない。実体としてほぼ同じような練習になるからだ。

現実問題として、ここに書いたことをすべて実践して習得するのはかなり困難だろう。
しかし、部分的にでも練習しておかなければ身の回りの物を有効に使うことはできないと思う。
これらの武器術に加え素手の体術も含めて練習すれば、かなりの護身術上級者になれるだろうが、長期間を要するし、まとめて学べる道場もないと思う。
そこで、そんな大変な練習をしてまで役に立つかどうかもはっきりしない護身術の上級者になる必要があるのか疑問を持つ人もいるだろう。
しかし、それについては、護身の必要性より個人の向上心とか趣味としての要素が大きいのではないかと思う。
(あとがきに続く)