水泳の試合の入場 [無断転載禁止]©2ch.net
0001第1のコース!名無しくん
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2016/11/19(土) 08:52:53.25ID:GBOoiGRV
一人づつ紹介して入場するのをテレビで見かけるが
あれは本当に必要?試合前に無駄な演出しなくても格闘技の選手
入場じゃあるまいし。
0002第1のコース!名無しくん
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2016/11/19(土) 13:38:44.67ID:CDmrk7wZ
あれ大きな大会の決勝だけだから

地方の予選でやってたら、時間が足らなくなるよ。
0003 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 22:54:29.77ID:3XYtBtT6
問EX「で、あるからして天才は[x]の夢にうなされる」

 夜、皺の寄ったシーツの上でうるかちゃん(以下敬称略)がおへそも露に足を広げていた。褐色の立ち膝2つすっかり割
り開かれているのは再三にわたる唯我くん(以下敬称略)の最終確認を嚥下と共に受諾した結果である。
 暗夜の、秘事である。照明が落とされた黝(あおぐろ)い部屋に観月の淡い金光が幾筋も差込むさまは一種幻燈の趣が
ある。
 2人はいま、全裸だった。
 少女らしい丸みを水流によってシャープに攻(みが)き抜いた褐色の裸身の足の間に、細身だが、触れれば意外とがっし
りしている少年の姿が膝行している。
 両名ともひどく緊張した面持ちだった。
 うるかはチョコレート色の頬にひりひりした赤熱を乗せたまま、しかしどこか陶然と唇を結び瞳を潤ませ、唯我は眼鏡がうっ
すら曇るほど顔中に大粒の汗をかき、細い、細い、弾けそうな興奮を孕んだ乱調子の息をひゅるひゅると震わせている。さも
あらん、少年は生涯最大の昂揚の中にいる。原因は眼下に横たわる少女。姿は”人魚姫”の二つ名どおりしっとりだ。光が
透けるとどこか珊瑚の細工物のように赤み掛かる艶々としたショートボブはプール上がりのように前髪も襟足もじっとりと肌
に吸い付いている。原因は主に汗だが、うるかを湿らせているのはそればかりではない。例えばよく焦(や)けた肌のそこか
しこで煌めく水光の幾つかを観察すると、うっすらとだが何かに吸い付かれたような痕があるのが分かる。唯我の、所業だ。
頬、肩、脇、太もも……少年の衝動を散々に受け止めた肌はそのたび悲喜いずれかの嬌声をうるかに上げさせた。

 唇の端や乳房に点在する白濁が何か言うまでもない。流布する類の奉仕は概ね実行されてきた。健気さと従順さに基づ
く甘美なる炸裂がこれまで幾度となく発生した。

 りっちゃんこと理珠に比べれば流石に見劣りするが決して小さくはない乳房は日焼け跡によって相対的な白さを手に
入れており、それは枕頭の、初体験のドタバタによって期せずして開いたカーテンから差し込む月光によっていっそう幻想
的な色合いを与えている。

 しかしはてな、この両名、到底ふかい仲には成り得なかったのではないか。「うるかに好きな人がいるという唯我の誤解」
はどうクリアされたのか。
「成幸の受験が終わるまで負担になりたくないといううるかの思い」に関しては「どうせ受験が終わっても今度は新生活に慣
れるまではと理由をつけて延長するだろ的な、『犬』にも分かる理屈」が突破の原動力になったのかも知れないが、その辺り
はまあ、割愛する。

 唯我は、動いた。

「あっ」。うるかの鼻を甘い声が抜ける。膝と膝の間に居る少年の猛々しいシンボルがいよいよ濡れ光る秘裂に触れたのだ。
 ヘアは水泳選手だから当然よく刈り込まれている。丸坊主な三歳男児の毛髪のようにまばらで短く、柔らかい。
 諸々の葛藤とお伺いの雑多な積み重ねで結局2時間近くに及んだ前戯は、うるかの秘所をすっかりトロトロに潤ませてお
り受け入れる準備は万端だ。少年の粘膜と奏でたヌチャリという音に少女は猫のような大きな瞳をいっそう大きくし息を呑
む。
 ゆらい唯我に対しては良くいえば夢見がち、悪くいえば幻を見るほど異様な妄想癖を有する少女だ。挿入なる一大事の
場面だって何度も想像してきたし、そういう時の唯我を更に盛り上げる魅惑的なセリフだって何度も何度もベッドの中で
練習済みだ。だがいざとなると、いつものことだが、出てこない。停電した唯我家で、理珠みたくはすり寄れなかったチャンス
×の少女なのだ。しかも生殖器の粘膜を、長年焦がれた想い人のそれと触れ合わせている異常な状況、心臓バクバク、
顔面真赤の動揺極地だから、セリフなど、端的にいうと、トンだ。無数の思案の末に完成した美辞麗句が吹っ飛んだ。それ
でも何か言わなきゃと両目を一瞬、対立する不等号にしたうるかは愁いを帯びた顔つきで、か細く告げる。

「は、初めて…………だから、優しく……シて……」

 ひどいしおらしさは確かに唯我の鼓動をトクンとさせたが、させた方は内心大泣きである。

(バカー!! なにベタなこと言ってんのあたし!? てか今ので初めてってバレたー! ここまで一生懸命いろいろやって
きてそれなりに経験のあるオトナのオンナって演出してきたのに、く、口とかバナナで練習した成果を頑張って出したのに、
絶対初めてな成幸をスマホとかの知識でリードしてきたのに! 今のでぜーんぶ台無しになったーーー!! 結ばれてか
ら、実は初めてだって、驚かそうとしてたのにーー!)
0004 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 22:55:08.74ID:3XYtBtT6
 初めての子は重いと思われがち……そんなネットの情報を典拠としたうるかの対唯我の戦略はこの少女らしく恐ろしく
シンプルだった。(1)途中まで経験豊富と思わせておいて、(2)最後の最後で純潔でしたとバラす大逆転。優位は取りた
いが誰とでも関係するふしだらな女とは思われたくないといううるかの葛藤が良く出た他愛もない策謀だったが……

(自分で崩すとかどーなん!?)

 失態に少女は口をほぼほぼ水平にまで開ききったV字にしてふるふる、ふるふる。そんな彼女に、唯我。

「い、いやまあ、何となくお前が初めてなんだろうなって気づいてはいたが」
「気付いてた!? なんで! あっ」
 粘膜にかかる力が増した。「説明は……後な」。唯我の、切羽詰って底光りするあどけない眼に少女はちょっと竦んだが、
同時に(求められてる、ガマンできないぐらい求められてるよぅ)と嬉しくなる。美辞麗句はやっぱり思い出せないが、もはや
それはどうでもいい。

「う、うん。いいよ」

 少女はなけなしの勇気を振り絞って示す。
 長年の想いが報われることを、やっと結ばれることを、自分はとても嬉しく思っているのだと、表情に乗せて、

「来て」

 ずっと表現できなかった想いすべてを笑顔に変えて、両手を広げ歓待を示す。打算も何もない、仄かに含羞(はにか)みを
孕んだ透き通るような微笑に唯我は

(可愛い…………)

 理性も忘れ、前進する。

 ラビアを二度三度上下に擦った亀頭がとうとう裂け目に埋没した。「んくっ」。敏感な部分を侵食しつつある異物感に小さ
な肩が震えた。
 唯我は進む。
 痛いぐらいに剛直するペニスは標準よりやや長く、やや太め。受け入れる少女は少年より頭半分ほど小柄。必然秘所も
狭隘で、しかもこなれていない為なかなか肉竿、入らない。入念に準備した愛液の潤滑の援(たす)けがあってやっと砲身
が3分の1ほど入るという有様だ。
(太い……)
 やや早まる呼吸の中うるかは紅い顔を軽く横向ける。他方、少年は
(やべえ。先の方だけフロ入ってるみてえだ)
 手では味わえない未知の快美にただ奮(ふる)える。
 異物を押し戻そうとする「ナカ」の動きも、抵抗も、オスにとっては気持ちいい摩擦にすぎない。何よりうるかの表情。快活
で動的だとしか思っていなかった『女友達』が、恥じらいも可憐に身を任せ切っているという事実が弾けそうな気持ちを呼ぶ。
ここまで口と手と胸で合計5回出していなければ、挿入半ばでの射精なる男としてあるまじき醜態を演じていただろう。

 硬い手応えに、行き当たる。


 それが純潔の証であると同時に理解したふたりはどちらかともなく目を合わす。言葉は、出なかった。どちらも喋れば自分
が何らかの葛藤で止まりそうだから、無言の諒解だけを瞳に灯す。唯我はうるかのカッと血潮染まる代赭(たいしゃ。赤褐色)
の膝頭2つを立てたまま、少女の腰方向めがけなるたけググっと曲げる。そこは橋頭堡、手をあて支えとする。支点と結合
部の距離は、脇腹やM字開脚中の太ももを支えにした時より心持ち遠いから、ペニスを頂点に鈍角を描くような突き込みに
なる。初体験で選ぶにはやや奇妙な体勢だが、(武元の足、どんだけ柔らかいか……感じてぇ)、唯我はうるかがストレッ
チによって獲得した柔軟性をも行為の中で味わいたかった。じっさい膝は──厳密に言えば太もも付け根など足全体の柔
軟性に基づく両足の蛇腹的な畳まれ具合は──驚くほどグニャリとしていて、だから膝は、唯我が想定していたよりだいぶ
結合部に近い位置となった。
0005 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 22:55:49.94ID:3XYtBtT6
 そこを支えに、突き込む。破瓜は両名が想定していたよりずっと早く訪れずっと速く決着した。不意の衝撃に「ひぐっ!?」
とうるかが軽く歯噛みしながら仰け反ったのは、膝小僧を拠り所とする力の突き入れが、それまでの停滞がウソのようなスム
ーズさで関を破ったからである。「くっ、か……!?」。構造躯体を引き裂くような鮮烈な衝撃に少女はわななく。大きな瞳が
戛然と見開いた。黒目の”しぼり”はここまで拡がるのかとうるかが驚くほど大きくまろくなり、焦点を失った。尾を踏まれた
猫のような牟(な)き声が喉奥から迸った瞬間、無意識に頭が仰け反り頤(おとがい)が空を切った。よく陽に焦(や)けた
喉首にぶわっと噴出した脂汗は梅雨の外窓の水滴ほど多い。

「あ、ああああ……」

 頭だけでブリッジするような仕草で悶える人魚姫。脳髄ほぼ全てを占めるは熱くとろけそうな異物感。かすかにした血の匂
いは現実の物、秘部から溢れ出した幾つもの細い滝がシーツに点々とわだかまる。
 配慮と遅疑とで2時間近くに及んだ前戯の潤滑は、角度と力攻さえ確かなら容易く決壊を促すのだ。施した唯我ですら突如
局部を襲ったぬめりに殆ど崩落する思いで前進した。見下ろせば結合部、ほとんど根元まで体毛淡き谷間の中にある。うる
かが血の匂いをかぎつけた頃、彼は純潔の証が流れ出てくる様を目撃した。
(入った?! こんな呆気なく!?)
 大人しいゆえに自分はもっと初体験で苦労するのだと思っていた少年は驚いたが、それにかかずるヒマはない。体験した
こともない生暖かさが砲身全体に纏わりつき、妖しい気分が込み上げてくる。うるかはと見ればほぼ唯我と同じ気分らしく
これまた見たこともない艶かしい顔つきでもどかしげに喘いでいる。

 心持ち視線を左にやっている少女は熱にうかされるような表情だ。桜色の果肉を控えめに左官したように”ふっくら”盛り
上がる唇は軽く開き、微かに覗くエナメル質は枕頭の段差のやや先にある窓から差し込む月光の反射で、てらてら皓(しろ)
く濡れ光っている。熱く潤む大きな瞳はまだ快美より戸惑いが大きい。前(さき)の衝撃と、股間同士が密着している視覚情
報から何が起こったかキャッチしているが、認識の方がついていかない。

 臍下で渦巻き始める裂くような痛みの本質は結局強姦と変わらない。

 数年来の覚悟と念願に基づく合意は確かにあり、唯我もまた入念な、水準以上の潤滑をもたらしていたが、しかし他律さ
れる異物が生誕以来ずっと閉ざされていた渓谷を無残に引き裂いたという極めて客観的な事実は、女性視点の主観的な
観念に裁定を任せた場合どうも強姦めいており、で、あるが故にうるかもまた陵辱された時の一種絶望的な放心に見舞わ
れた。
 唯我を拒んでいる訳ではなくむしろ逆だが、しかし恋という極めて理性的な情緒の作業の落着が、破瓜と言う、生殖の、
あまりに生々しい原生的な痛みを孕んだ被害に帰結した。帰結せざるを得ない生物ゆえの落差は数年来の恋慕を以って
しても俄かには埋められない。

 宿業であろう、処女の。

 一方的に痛みを与えられる女性なればうるかの当惑は多かれ少なかれ味わう。或いは豊麗極まる媚態で跨り騎(の)れ
ば話は違うかも知れないが、羞恥がそれを阻むから処女性は難しい。

 不意に、泣いた。うるかが、である。痛みに対しては気丈を浮かべていた彼女であったが、現状を認識するにつれ真珠の
ような涙が数粒ぽろりと零れてきた。痛みは強姦と根を同じくするが、枝葉はまるで違うのだ。蕾は優しく披(ひら)かれた。
確かな愛の交流で契り……うるか自身が受け入れると決めて、受け入れた。やっと。ようやく。彼女は。
 想い人と、1つになれた。
 そういう思いによって促される流涕(りゅうてい)を一体だれが責められよう。
(ば、ばか、なに泣いてんのよあたし)
 こんなの重い女って思われるだけでしょと掌で目元を拭うが、涙はいっこう止まる気配がない。鼻先で熱い水気がツーンと
迸った瞬間、(あ、これヤバイ奴だ)と顔を横向けたが隠す方の余裕はもう無くて。
「だ、大丈夫か!? 辛かったら、引き抜く……けど」
 あ、動きたい衝動すっかり忘れてるなと分かるほど心配そうな唯我の声を聞いた瞬間、それだけ想われているのが実感
できた瞬間、涙はもうどっと堰を切った。苦衷と憂悶が報われたが故の涙は確かにあり、量は悲哀を凌駕する。片思いは
余りに長すぎた。報われるかどうかも分からないのに、うるかは、人気のない夜道をずっと避けてきた。
0006 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 22:57:19.13ID:3XYtBtT6
「あんた水泳ファンの間じゃアイドル並みの人気者なんだから、警戒しないとヤバいわよ」とは川瀬隊員の忠告らしい。ぽ
やーとしたうるかは何がヤバいか最初よく分からなかったと、いつだったか文乃に言ったが、「だから、キズモノになった
ら唯我の前に二度と出れなくなるよね性格上」なる海原隊員のフォローでやっと(いやいやあたしなんか襲っても得すんの?)
と思いつつも──…

 昼間でさえ人相の悪い男や不審な車には近づかぬようしてきた……という。

 捧げられるか定かでなかった純潔をうるかは彼女なりに懸命に守ろうとしてきたのだ。
 守ってきたものは今ぶじに捧げられた。安堵はしかしどこかで張り詰めていた糸を切った。豪雨の降り始めを思わせる大
きく熱い水滴はもう止められない。止められようがない。
(だから)
 気丈な少女らしく必死に口を結ぶ。湿った布を詰めた様な感触はもう扁桃腺の傍にある。いっそ弾ければどれほど楽か。
泣いて、しゃくりあげて、ここまで抱え続けてきた不安と貞淑の数々を唯我に曝け出すこと叶うなら、どれほど楽か。
(でもそんなんやったらヒかれるよ。だって成幸も初めて……なんだよ。動いて、気持ちよくなりたい時に、あたしが泣きなが
らあれこれ言ったら……萎えるよ絶対。この女、ナダメスカシがいるとか面倒くさとか思われたらあたし生きてけ──…)
 うるかの時間が凍結したのは唯我の顔を見たからだ。現実は想像よりずっと残酷だった。あれこれ怖がって、怖がりなが
らも覚悟する、そういう癖を持っているうるかですら、この時の想い人が投げかけてきた顔には、ひどく、傷つけられた。

 唯我は。

 泣いていた。

 鼻の頭を紅くして大輪の涙を、文乃でいう泣きぼくろの辺りに溜めていた。意図的に浮かべたものであればうるかはまだ
傷つかずに済んだだろう。だが唯我は「っっ!」と自分のそういう表情の変化が想定外だったらしく、慌てて眼鏡を持ち上げ
涙を拭った。拭うまで視線が自分に集中していたのをうるかは確かに視たから、だから彼女は傷ついた。好きな人が泣いた
原因が自分にあると分かってしまったから、申し訳なくて、傷ついた。その事実を表情筋に反映しながら、(嬉しい……)とい
う顔をもした。

「大会の、帰り道」

 かすかな痛苦と溢れそうな嗚咽にぶよぶよと輪郭を歪められながら紡がれたその言葉は閨とはかけ離れた物だった。
少女本人でさえ、言ってから「あ」という顔をした。不明瞭だが、唯我が先んじて泣いたうるかの悲事が何事かあったらしい。
 言葉はそこで途切れる。大会の帰り道で何があったかまでは語らず、

(……分かってくれたんだ。あたしの、本当に色んなことを)

 褐色の頬はただ微笑(わら)う。

 満足気に細まる瞑目の端に真珠のようなきらめきを宿したきり、不安定な潮が引くのを微かな震えと共に待ち始めた人
魚姫。
 彼女を瞻(み)る唯我の少し赤い瞳にはさまざまな申し訳なさが宿っていた。教育係としての鋭さはここまで男女の機微に
対しては一切発生してこなかったが、少女を抱くという極めて大きな変化のなか1つ上の階梯へ行ったらしく、それがため先
ほど、涙ぐむうるかから背景の様々を察したらしい。察した瞬間、
(こんな冴えない俺を……そんなに深く思ってくれてたのか…………。中学から、ずっと……)
 という感傷が少年の心を刺激した。男とは巨大な思慕を寄せられることを望みながらも、どこかで諦め決め付ける生物だ。
自己が評価する規模の自己であるなら、深く想われることなどないのだろう……と。安全、なのだ。そうやって欠点を、言わ
れる前に是認しておけば。であれば心ない女性からの指摘を受けても深くは傷つかずに済む……などといった世知辛い処
世を編み出すばかりだったと回顧する思春期だったのに──…
(武元は)
 密かに、ずっと、想い続けていた。風采が上がらず、家も貧しく、人生を、熱意を傾ける対象さえ見つけられずに居ると、
自分を卑下してきた少年(じぶん)に、
(武元だけは)
 価値を見出してくれた、今日び奇(めずら)しいまでの一途さで、必要な存在と思い続けてきてくれた……ということを涙ぐ
むうるかからつくづくと実感した瞬間、唯我は、気付けば涙を零していた。零した瞬間、(なのにそんな武元に、俺は)気付い
てやれなかったのだという申し訳なさが込み上げてきて、鼻が痛み、喉が詰まった。
0007 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 22:57:57.87ID:3XYtBtT6
 涙をぬぐっても、洟を啜る水音は止まらない。瞳の色から察するに、『苦学の中、うるかの水泳の頑張りから勇気を貰って
いた』気配が強い。救いをくれた少女が自分への思慕を匿(かく)し続けてくれていたのを知ったからこそ、唯我の歔欷(きょき)
は、止まない。

 交合はどうも男女の哀切をも昂ぶらせるらしい。唯我の涙を見たうるかは一瞬であるが本当に決壊したくなった。「泣かなく
てもいいじゃん成幸」と言いながらギャン泣きして一頻(ひとしき)り泣きあえば確実に両名ともすっきりできるだろう。唯我の
涙とはつまる所うるか積年の想いへの無言の感謝なのだ。ならば少女が、報われて嬉しいと泣きじゃくるのは自然だし、報
われなかったぶん今ぐらいは涙なる醜態も許されてはいいではないか。

(でもあたしまで泣いたら収拾つかないしなー)

 うるかのどこかが戯画的な顔でのほほんと思ったのは結局つまるところ”女”だからだ。普通に育った女性は、男に泣かれ
るとどこか冷静になる。薄情、という訳ではなく母性の問題だ。幼少期の本当に悲しい時の涙を母親に、ちゃんと受け止めら
れ共有された少女が男の涙を目撃した場合まず「助けなきゃ」という情誼を沸かす。(逆に涙を碌でもない怒りで抑圧された
場合、哀泣に対しひどくヒステリックになる)。
 うるかは標準的な母性愛を受けて育った。少女としては泣きたい気分は未だある、確かにある。伝えたいのに、遠慮のせ
いで伝えられない諸々が熱く湿った空気を瞳の前線に送り続けているのは確かである。

(けど)

 母性はそっと唯我の顔に手を伸ばす。眼鏡と皮膚の隙間に潜り込んだ指は自分でも驚くほど優しい手つきで涙を拭った。
 その思わぬ挙措に驚く唯我。。
 人魚姫は目元に涙を讃えたまま、静かに笑う。

「ありがとね、泣いてくれて。あれだけでホラ、あたし満足だから。ね?」

 自分にあるかどうか分からない女の子らしさを必死に瞳孔へかき集めて、甘くて優しい雰囲気でろ雰囲気でろと頑張って
訴える。泣いてでも欲しかった共感は唯我の涙によってきっと大半が補われたのだ。貞淑を守るための精一杯の努力や、
想いが報われるかどうか分からずただ怖かった日といった存在に、唯我は気付き、謝意と謝罪で涙した。

「泣いてくれたんだね。あたしなんかの、為に」

 まだ溢れてくる唯我の涙をうるかは拭う。夏の日差しの面影の濃い掌は、いかにもインドアでちょっと青白い頬を愛しげ
に撫でる。
 人魚姫は人魚姫でぽろぽろと涙が零れてくるのを止められないが、それでも微笑は懸命に保つ。笑ったまま「よしよし」と
唯我の涙を拭い続ける。「泣くな」とは言わない。心が楽になるまで泣いていいよ、付き合うよと構えるのが泣かせてしまった
原因である自分が当然果たすべき責務だと人魚姫は考える。

「気持ち、隠してたあたしの方がずっと悪いし」
「違う。俺だって、俺だって、プールの時のアレで気付けた筈で」
 ううん。うるかは首を振って静かに笑う。
「アレで気付けないほどこんがらがっちゃったのは、ラーメンの後、あたしが、はぐらかしちゃったせいじゃん」

 唯我は悪くないよという囁き。掌には熱が昇る。少年の頬はすっかり紅い。

(なんで俺の方を……気遣うんだよ)

 いっそう強く押し出される涙を丹念に拭う指が、唯我には辛い。思いやりを享(う)けることに罪悪感を覚えるのは支えあっ
て生きてきたからだ。家庭が、貧しい。身を切って配られる物がどれほど重いか知り尽くしている唯我だから、今のうるかの
献身が、やるせない。ようやく言葉を、発した。

「一番泣きたいのはお前だろうが。なのにどうして原因な俺を優先すんだよ」

 うるかはちょっと困った風に肩を竦めて笑ってから、「えへへ」と頬を緩めた。

「しょーがないじゃん。好き……なんだからさ」

 眼鏡が、ズレた。不覚にも見蕩れた唯我は(クッソ! 過去の俺殴りてえ! こんな可愛い子を「あの武元」とか呼んでた俺、
ブン殴りてえ! どんだけ節穴だったんだ俺の目、どんだけ!)という感情を全面的に押し出した。
0008 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 22:58:30.61ID:3XYtBtT6
 愁嘆場を覆す動きは更に起きる。
「成幸」
「なんd」少年の言葉は途中で遮られる。んむっという柔らかな音が塞いだのだ。持ち前のフィジカルで仰向けから跳ね上がっ
たうるかの唇によって封じられたのだ。接触は数秒にも満たないし、この時が初めてでもない。既に何度か経験した舌同士
を絡めあうディープなものでもない。そっと重ねてそっと放す挨拶程度のものである。だが挿入という最大の出来事にばかり
目を奪われていた唯我の不意を突くには充分だった。
「お、お前、いきなり何を……」
「にへへ。何となく」
 してやったりと白い歯も露に笑ううるか。一方の唯我は少女のようにドギマギとしている。
(きゅ、急に戻んなよ、いつもの……武元に)
 匂い立つように瑞々しい少年の照れに誘引されたのだろう、ニカリと笑っていた褐色少女の頬が切なさに彩られ、再びの
キスへと移行する。
 今度は舌を吸わせる為の艶かしい行為だが何を思ったのか唯我は顔を引き、あろうことか……排出、『拒まれた……?』
と不安に彩られるうるか。そこに少年はほぼ激突する勢いで猛烈なキスを見舞い、舌を絡める。
「んーっ、んーっ」
 突然のことにもがくうるか。反射的に逃げようとする肢体をしかし少年は逃がさない。
 背中に手を回し、強く、ぎゅうっと抱きしめる。「〜〜〜〜っ!?」 思わぬ奇襲攻撃に、うるかの、ねこねこした瞳が驚愕
に見開く。細身が砕けるほどの熱烈なハグに少女は混乱しながらも歓喜するが、しかしキスによって息ができないのも事実。
鼻梁すら押しつぶすほどの強い愛情表現だから窒息寸前なのである。

 とんとんと遠慮がちに叩かれる胸の響きを感じつつ、唯我、思う。

(武元。お前は常に突き放されやしないか不安がってるようだからな。敢えてキスを拒み、ショックを受けた所で想定以上の
をすれば絶対にマヒする。そして!)
 息をできなくしていたのも策略の1つ! もうそろそろ限界だろうなというタイミングで顔を離す。果たして呼吸を再開する
うるか。へあへあと舌を出し、酸素を取り込む。
(それを、待っていた!)
 きゅぴーんと──いい教師であるが、秀才どまりの器らしい、しょうもない策士気取りが我々に出会ったころ、あったのだ
──きゅぴーんと唯我は内心で恰好つけたポーズをしつつ、剥き出されたうるかの舌に己のそれを絡める。
「っ!? は、はぁ、はぁ……」
 びくりとしたうるかだが、誘うような絡み付き方に情欲の炎がついたと見えて舌使いをヒートアップさせる。少年のうるかの舌
への執拗さときたら、桃の”たね”からなおも果肉をそぎ落とさんとする時のネチっこさ。うるかはうるかで、舌使いを拒むど
ころか嘗(な)めに嘗めて熱烈迎賓。愛撫の錯雑。くちゅくちゅとした水音がしばらく響く。
 この間、両名は繋がったままであるが、動き始める気配はない。
(本当は突きたいさ、てか武元の中すんげえ気持ちいいから、今すぐめちゃくちゃに動きてえ!! けど!)
 ゆらい誠実な男である、結合直後の心の交差が軽挙を許さない。作法というか儀式というか、とにかく愛情を確かめ合える
何事かを挟んでから動かないと、なんというかただの欲望でうるかを抱いたようで、嫌なのだ。

 長めの、納得を得るには充分なほど長めの、たっぷりとしたキスが終わる。

 二度目の酸素確保のインターバルを与えられた少女──水泳選手だから辛うじて耐えられた長い無呼吸期間だった──
の両肩に唯我はすっと手を当てる。
「こ、今度は、なに……?」
 怯えながらも期待に潤む上目遣いはサドッ気を存分に刺激する。ちょっと見とれながらも唯我は、
「お前が悪ぃんだよ」
 理性的だが弱気な少年がいよいよ衝動を炸裂させるとき特有の、やや上ずり甲走った声音で、
「お前らしい、ガキ大将みたいな笑顔から、お前らしくない色っぽい顔になって舌吸えとばかり迫ってくるとかなんだよ」
 倒していく、うるかを。ベッドめがけ、沈めていく。
「くそ。可愛いから悪いんだよ。どっちも可愛くて、落差もすげぇから、俺はもう、俺は…………」
「…………っ」
 褐色の頬が艶かしく波打ち、大きな瞳が泳いだのは内部で存在感を増す唯我を感じたからであろう。根が気弱な少女らし
く、いよいよ次なる事態が迫っていることに一瞬恐怖を覚えたが、先ほど母性優先になっていたのがここで効いた。

「うん。あたしが泣いちゃったせいで随分待たせちゃったもんね。動いて。たくさん……動いて……」
0009 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 22:59:13.63ID:3XYtBtT6
 微笑は先のガキ大将のものではない。総てを抱擁する優しさの笑みだ。
 これによって唯我は免罪符を得たが、すぐさま直ちにガッつくのは何だか情けないという見栄もまたあり、

「う! 動きはするけどな! 痛くなってきたらちゃんと言えよな! 傷は傷だし、洗いはしたが、入れてるモノがその、モノ
だし! 俺の無茶のせいでお前が破傷風めいたもんなって受験に差し支えが出るとか、嫌だからな! ちゃんと言えよ、
ちゃんと!」

 捲くし立て、ツンと赤面を背けた。
(はうう、ツンツンデレデレな成幸カッコ可愛いよぅ)などとうるかは両頬に手を当て瞳孔2つをでっかい一等星に置き換えたが、
気遣うあまり想い人が動けなくなってはたまらぬと、叫ぶ。

「ちがっ、違うよ! 痛いから泣いてたんじゃなくて、嬉しいからで、でもなんてゆーか、中学からずっと好きだった成幸と1つ
になれて嬉しいとかそんなの言ったら、『この女さっきからベタなことしか言えてないな、つまらない』とか呆れられそうで、だ
からそんなん言えるわけないでしょ成幸のばかーーーっ!」
「……言ってるじゃねえか。てかその辺の話引っ張るなって言葉の外で訴えておいて自分の方ではまだ言うか」
 少年のもっともな指摘に「はっ」と褐色少女、顔をコタツの照明より紅くした。黒焦げた煙さえ頬から立ち上るようだった。
「てかやっと結ばれたときのセリフがこんなんでいいのーーーー!? 色気もへったくれもないじゃんバカはあたしだーー!
ああもうやっぱ泣きじゃくってた方が色っぽかったかなあ!! って! 今さら気付いても手遅れじゃん! もう別のイミで
しか泣けないーーーー! もうイヤー!!」
 頭を抱えてぎゃーぎゃー騒ぐ少女に(確かにもうちょっとお淑やかにはして欲しい。あと武元さん? あまり動かれると刺
激で下の方がですね)と眼鏡少年は引き攣る。繋がった状態でこれである、どうも両名、艶聞一色には染まりきれぬ間柄
らしい。
0010 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:01:35.61ID:3XYtBtT6
(……でも)

 少年は「すげえよ武本は」と少女を見た。様々な感泣を結局のところ耐えた少女を。彼女は耐えて、いつもの明るい調子
を当たり前のように取り戻している。

 くすん。うるかは鼻を鳴らした。むっくりとした柴犬の子供が途方にくれているような大仰な眉の下げっぷりだった。(こんな
あたしじゃ幻滅されちゃうよね……)という不安が大いに滲んでいる。

「大丈夫だって。心配すんな」
 少年は柔らかな苦笑と共に少女の側頭部を右手で撫でる。子供をあやすような仕草であり閨にはとんと不向きだが、しか
し唯我は女性を安心させる術などほとんど知らぬ。やれることといえば妹2人で培った「あやし」ぐらいだ。撫でながら優しく
呼びかけることしかできないから、幻滅を恐れる少女へは
「俺はお前のそういうとこが……好き、だし。ぶっちゃけ、そのままの可愛い所が見たい」
 と、照れくささに詰まりながらも自分なりの懸命さで好意を込めるほか、唯我は応える術を持たぬ。
0011 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:02:31.32ID:3XYtBtT6
 少女には曲解の癖(へき)がある。唯我の言葉を何かと拡大解釈してしまうのだ。
 それがこの、聞きたてのセリフにも作用した。
 うるかはデフォルメの効いた、悪意で修辞するなれば愚鈍の体現者のような顔つきでほわほわと変換した。
(お前がこの先どんな痴態を演じても、俺は愛し抜いて見せるぜ?)
 なる地上のどこにも存在しない唯我の言葉を捏造し、あろうことか、
「もー! どんな痴態でも愛するとかドンヨクだなあ成幸は!!」
 とペンギンの前肢のように簡略化された両手をブンブン振って照れ混じりに叫ぶ。この少女、性分明朗なれど臆病という
特質に生まれついてなければ、ストーカーになっていたであろう。

「痴態? ドンヨク……?」
                    おか
 唯我は唖然としたが、うるかが風狂しなことを口走るのは毎度なので受け流す。
「てかお前、結局のところ大丈夫なのか?」
「んー? どしたん?」

「どしたんじゃねえよ。だから、その、俺のを、お前、今……」
 唯我の視線を追って自分の下腹部へと視界を移したうるかはハっとする。肉壺はいまだ剛直を納めている。実感すると
面頬からは快活さが消え、代わりに切なげな震えが走る。
「ど、どうしよう。改めて認識したらちょっと……変な気分に……」
「痛みは」
「ふぇ? あ、ええと、あるっちゃああるカンジ? ジンジンするっていうか、おっきな座薬が入ってるっていうか、あ、今の
ナシ、忘れて! 座薬挿したことあるのとか考えたでしょ成幸のばか、あわよくば挿したいとか……えっち!」
0012 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:02:56.35ID:3XYtBtT6
 振りかざされた枕を頭にてポフリと受け止めるのは贖罪だ。少年らしい勘繰りは確かにあったのだ。
「すまん武元。前半だけは事実だ」
「えええ!? あれ? 呼びかt……あ! というか成幸のが座薬みたいに細いとかじゃないよ! ホントだから!」
 枕をてやりと元の位置に戻すうるかに、少年はちょっと吐血もののショックを受けた。少女たちから低い扱いを受けるの
は慣れているつもりだが、それでも”そこ”のサイズについて貶められると男としてかなり悲しい。
「てゆーか、成幸の………………太い…………」
 そっとシーツで口を隠したうるかが上目遣いで恥ずかしそうに告げた瞬間、男としての自信、復活。
「ふわっ、な、なんかまたちょっとカタくなってない……?」
「男ってのはシチュで変わるもんなんだよ。悪いか」
「悪くないよ。というか…………カタくて太い成幸も………………イイ、し………………」
 後半はほとんど消え入りそうな声のうるか、耐え切れなかったのかシーツで顔一面を覆う。静寂の深夜のしかも間近で
漏らされた声を聞き逃すほど難聴ではない少年は、燃えて、萌える。
(可愛すぎんだろ武元!)
 少年、やや暴走。うるかの顔からシーツを強引に剥ぎ取る。「ひゃああ!?」 思わぬ侵攻に少女は面食らったが、「えへ
へ、なんか楽しい」と能天気な不等号目つきで笑ったりもする。もっとも、
「さてそろそろ」
 と唯我が何事か告げた瞬間、さすがの能天気もサっと緊張に強張った。
「大丈夫だったらもういいだろ、動くぞ」
「う、うん。好きにして……いいよ。って、またベタだあたしもうイヤー!」
 涙ぐむうるかの絶叫。だがそれは半ばで止まる。触れたのだ。髪に、手が。
「いいんだよベタで」
「え」
 手。それは唯我の物。撫でていた。彼はうるかを撫でていた。
(お。おおお)
 状況を把握するや少女は歓喜した。
(頭なでなでだーー! ときどき理珠りんに影でこそっとやってる頭なでなでだーー! やって欲しいって思ってたけど、言うと
ちっちゃくもない筋肉付きまくりの女がナニ言ってんだってヒかれそうで求められなかった、頭なでなでだーー! しあわせー)
 とろっとした垂れ目の三本線でほわほわする少女はちょろいが、忠実だ。次の唯我の言葉も確かに聞いた。
0013 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:03:16.38ID:3XYtBtT6
「何だって基本を疎かにする奴は伸びねえよ。水泳だって英語だって、お前は一番地味で面倒臭い基本こそ大切にしてる
だろ。馬鹿になんてしてねえだろ。一見軽そうなのに着実なことできるお前のそーいうトコ、立派だって思ってる。あ、あと、
料理もだな。あれも基本を踏まえてる。立派だよ」

(え、料理まで!? 何コレ幸せすぎるんですけど! まさかユメ!? ユメなの!? あ、でも、あそこは……まだ痛いし……
じゃあユメじゃない! ヤッター!)
 褒められながら頭を撫でられる喜び。うるかは気付いていないが、脳内麻薬うんぬんで秘部の痛みは集中してようやく知
覚できるほど小さくなっている。唯我がこれを打算でやっているなら寧ろ可愛気があるが、この男の始末の悪いところは、
斯様な”たらし”をまったくの自然体でやれるところだ。文乃のポニテくるくるの真意はカケラも気付きもしなかった癖に、う
るかの喜びそうな言動は当たり前のようにするから、まったく憎々しい。

 ふつう初陣の男子は征服した領地の甘美さに心奪われ遮二無二に動くものであり、うるか自身そうされるのを(期待と共に)
覚悟していたのだが、唯我はすぐには蹂躙的な動きは見せず、ただただ少女の平生のみを褒めた。事ここに到る前にそ
れをやれば「繋がりたいがため、拝み倒している」とうるかですら──女性としての疑い深さではなく、己に自身のない少女
としての不安から──疑念を抱いていただろうが、破瓜直後という一番貪りたくなるタイミングで平素への感服や、「なでなで」
の方を優先されると、
(しあわせ)
 心まで1つになれた気がして、うるかは心底からの充足に頬を緩ます。

 唯我は、言う。

「だからいいんだよ。こういう場面でベタでも」
「そりゃそうだけど、で、でも、恋愛だよ!?」
 もっと聞いたことない言葉とかのが嬉しいんじゃ……そう言い掛けるうるかの内部で槍が引かれて、押し出された。ズンと
いう衝撃に彼女は一瞬息すら忘れた。むず痒いような、痛気持ちいいような感覚の炸裂に、「あ……が……?」と両目を白
黒させるうるかは、眼前小岩の如くそびえる唯我が二度目の律動に移っているのに気付き、青くなる。
「動い……ちょ、え、褒めてるさいちうに、いきなっ、……あっ!」
 再度の突き入れに、仰向けるうるかのココア色の顎が跳ね上がる。
「ベタってのは、基本ってのは、人の心を捉えるもんなんだよ」
 三度、四度。引いては突く繰り返しは徐々に加速を帯びてくる。最低限の脂肪しかない、それでいてストレッチで存分な柔
軟性を得たチョコレート餅のような質感の脇腹に指をめり込ませた唯我は何度も何度も腰を叩きつける。最初こそ破瓜の傷
を擦(す)られる微妙な苦悶を浮かべていたうるかも、徐々に徐々に女芯を燃やし始める。
「よく分からないけど、熱い、お腹の中が段々、熱く……」
「ベタだな」
 けどそこがイイんだよ。とろけ始めた顔つきの少女にひどく興奮した様子の唯我は突き入れる角度を僅かに変える。
「っは! はううん。そこ、そこもなんか、イイ、良く分からないけど、いいよぉ……」
 軽く甘え泣きして更に物欲しそうに唯我を見るうるか。
「言動には心ってのがあんだよ、軸の通った基本こそ一番の武器なんだよ」
 と平素教師をやっている唯我はやや説教じみたことをいいながら更に突く。
 時に浅く、時に深く。
 力いっぱいの全速で、現状考えられうる限りの最奥を打撃したかと見れば、うるかの膣の圧迫を楽しむように緩やかに。
 少女が少しでも未知の反応を示せばその地点を重点的にイジめ抜く。

「ベタでも心がかよってりゃ」
 水音の中、前後しながら、言いつけるように、
「燃えちまうんだよ、男は……」
 と灼熱の突き入れで教導する。
 説教強盗じみた愚にもつかぬ『教育』だが、受験勉強を通して形成された一個の、「教える立場なのだ」という優位性を
動員し、動員することによって名誉にかけての保全を企図せぬ限り唯我は、ともすればすぐにでも漏れ出でそうになる衝
撃に到底耐えられそうになかった。そういった戒厳を施して初めて粛然となれる様態は桐須先生にも似ているが、意図し
たか、どうか。
0014 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:03:42.90ID:3XYtBtT6
 とまれこの教育の本質は結局、”躾”なる行為であるから結局唯我自身「ベタ」の轍は踏んでいる。もっともやられる方はい
い意味でも悪い意味でも反駁の素養を有さない。うるかはただ、唯我から発される肉体的な揺さぶりに、獰猛な愛情が存
分に篭っているというただ一点に対し、(はうう、ドSちっくな成幸もカッコいいよぅ)と惚れ惚れするのみである。
「むしろ下手に恰好つけた内実の伴わん方法とか言動とか、いつか絶対メッキが剥がれるもんなんだよ」
 という唯我本人こそちょっとそっち方面な”攻め”をやりつつあるが、濡れ場の男など客観視すれば概ね滑稽な物なのだ。
むしろ「勉強」という学生最大の本分に通じる言動である分だけ、常人の痴態よりはマシであろう。
「お前は今のままでいいんだよ。軽薄なこと一切すんな。いいな」
 と上ずった声で言い渡す。半ばは教師として出来上がった態度だが、半ばは可愛い少女を自分色に染めようとする他愛
もない独占欲だ。
「う、うん。しな、しないから……約束するから、もっと……してぇ」
 少女は綿になることを欲す。大好きな少年の独占欲を吸う一個の真綿になりたいと願う。
 ベッドのスプリングはいつからかか軋み始めている。最初こそ遠慮がちだった唯我はもう欲望の赴くままだ。若い獣の貪り
で揺らされる日焼け痕の裸身は、当然ながら双丘をも、ぷるん、ぷるん、と瑞々しく上下に左右に揺らしたくる。巨乳、とい
うには些か厳しいサイズだが、しかし大きさのみが重要なのではない。「デカけりゃイイってもんじゃねーんだよコラ! だよ!」
と言ってこその『師匠』であるだろう。大事なのは持ち主が可愛いか否かだしだいたい頑張れば点数と同じように伸びr(以下
592行削除)、掌にほぼほぼ収まるサイズの膨らみは、能動的ながらに慎ましいうるかを体現するに相応しい可憐さだ。
正常位の突き入れによって先ほどから可愛らしく動盪していたふくらみに少年の我慢は、弾けた。
「きゃう!?」
 脇腹を握り締めていた両手が艶かしい乳房たちを揉み始めた。7
(ちょっ?!! 確かにもっととは言ったけど、胸まで!? こ、ここ、だけなら)
 何度か触られてはいる。前戯のさなかちょっとした騒ぎのすえに。
 左の、やや小さめな乳輪の周りにいまだ付着している白濁を見れば何が行われたか想像に固くない。挟みもしたし、乳首
で先端をも刺激した。だから決して未知の刺激ではないが、秘部に突きこまれながらとなると快美の色合いは変貌する。色
つき透明セロハンを重ね合わせたような加法混色によって……激変する。或いは爆薬調合。腰と胸、まったく違う箇所から
上ってくる快感が脳内で遭遇するや交じり合い、此処の爆発力以上の爆発を惹起。
「ふああああああああああん!?」
 これまでどこかで堪えていたうるかの声が甲高い叫びとなった。武元家にうるか1人という好機を見計らって唯我を招き
入れていなければ、この声1つで秘事は露見していただろう。それほどの大声だった。中学以来の知り合いの聞いたことも
ない声音に、淫らながらに愛らしい叫びに、少年の背筋はゾクゾクした。

 困ったのはうるかである。勝気な表情を赧(あから)めながら透き通った瞳を泳がせる。
(バカなに大きな声あげてんのあたし!? 近所の人に聞かれたら成幸の推薦パーになるのよ!? 確かに気持ちよかっ
たけどでも何度もは駄目、バレちゃう! でもあまり強く拒んで成幸にヒかれるのもイヤ! この女たいしたサイズでもない
のにケチりやがってとか思われたらあたし生きていけない。じ、実際、リズりんに比べたら……だし。これっぽちだし……)
 おぅこらテメー贅沢って言葉知ってっか、塾じゃDつってたよな、ア゛ァ!? だよ! ととある少女が知れば間違いなくガン
を飛ばすであろう事柄をありありと表情に浮かべるうるかの思案、続く。
(ととととにかくやんわりとした断りのセリフ入れなきゃ保(も)たないよ! 凄く気持ちいいけど、今はだめ、下からの刺激に
慣れる前に胸刺激されたらえっちな声がいっぱい出ちゃう、バレちゃう! ご近所さんからママにバレて推薦パーで、あああ
どうしたら、どうしたら成幸おこらさずに断れるかなあ! 柔らかい言葉、柔らかい言葉、なんでもイイから出てきてよーー!!)
0015 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:04:11.64ID:3XYtBtT6
 両目をグルグルさせながら必死に考える人魚姫であったが薄桜色の唇はやがて動く。「の」。の? 何を言わんとしているの
かとばかり唯我の視線が武元うるかに集中した。果たして言葉は緩やかに紡がれた。

「の、のーさんきう…………」

 言葉と共に少女は右腕一文字で2つの丘を隠した。顔は羞恥でいまだ紅いが手応えも感じている。
(英語なら柔らかいよね! しかもこれなら『咄嗟に英語で断れるぐらい勉強してるのか偉いぞうるか』とか褒められつつ中止に)
 右腕が剥がされ鷲づかみの一撃が炸裂する。「きゃん!」 びっくりするうるかの乳房は以前より猛々しい力でぐにゃぐにゃ
揉まれ込んでいく。
(うわーんダメだったー!! てかあたしのーさんきうって言ったじゃん、なんで逆にコーフンしてんの成幸のバカー!!!)
 自分の言動の何が少年を燃え立たせたのかちっとも分からぬうるかである。こうなったら事情を洗いざらい話すしかないと、
テンパった涙目で叫ぶ。
「駄目だからおっぱい駄目だから! なぜならノーブラだった球技大会のとき成幸に擦られたのが気持ちよくて、それから時どき
成幸のこと考えながら触ったり抓ったりするようになってますます敏感になっちゃってるからーー!! だからダメー!!」
 背筋をゾクゾクさせた少年、触ったり抓ったりをやりだした。事態はもう、めちゃくちゃだ。
「うぎゃーしまった! これ言わなきゃ絶対バレなかったやつじゃん! どーして自分でバラすかなあたしーー!! あっ、だめ、
そこ特に触ってたとこで敏感だから、やめっ、あ、だめ、だめ、うわあん……また自分でバラし、あン!」
(ああもう)

 唯我は眉尻さげ、ほっこりした。叫ぶうるかに、である。
(す……っげぇ可愛い)
 声を出さないための対策を悉くしくじり大声を上げている滑稽さが少年は楽しい。性行為という、甘美ながらもふと冷静に
なれば不安な未来しか浮かばぬ『作業』の中で、そういった暗さを一切見せず普段の明るさを保っているうるかを「凄いな」
とさえ思った。破瓜を成した行為いまだ終わらぬ中で、「これ」なのだ。彼女にしてみれば痛みなど、唯我にどう思われるか
に比すれば鴻毛程の重さもないらしい。
「武元」
 じたばたする少女の顎を唯我は持った。
「あ……」
 くいっと少年に”向かされた”うるかは驚きながらもどこか観念したように瞳を細め視線を逸らす。感じたのだ。かれの声音
に籠もる獰猛さを。普段なら「つーん」と顔を背けていたろうが、せめてもの可憐な抗弁が精一杯。
「その武元ってのやめて……。名前で呼ぶって、言ったじゃん。プールで約束したこと守ってくれなきゃ……いや……」
「6年近くこっちだったしすぐにゃ無理」
 答える少年の声は切羽詰っている。ベルトをがちゃがちゃとほどく時のような、刺激に飛びかかりたくても飛びかかれない
もどかしさが滲んでいる。だからこそ手つきは速い。空いている方の左手はもう鮮やかな乳輪をなぞっており、その刺激に、
甘美なる泡粒の洶(さわ)ぎに、「んくっ」と少女は目を瞑りかけたが、
「い、今はだめ……だからっ」
 鋭い叫びと手つきでぴしゃりと撥ねる。うるかの手刀は、鋭い。水中において早回しの櫂のごとく運動できるよう様々な訓
練を重ねているからだろうか。とにかく少年の手を胸から追放するや少女は抗禦の構え。隠したのだ、乳房を。今度は両腕
を胸骨の前で交差させ「今だけは……」と赤らんだ瞳で懇望する。
「慣れてきたら、腰の方のちゅくちゅくに慣れてきてからなら幾らでもイイから、だめなの、今だけは、胸……やめっ、あ!!」
 新たな刺激に声が跳ねる。
 唯我の手がうるかの手と胸の間に潜り込んだ。聞く耳もたず、という訳である。腕と胸の間で圧殺されたヘビの如く這い回
る唯我の腕をどうしていいか分からずうるかは「…………っ」と両目を潤ませた。

 根本は恐ろしく従順な少女だった。「…………」。もう逃れられないと覚悟を決めつつも、気恥ずかしさと不安が多いに乗った
切なげな顔をシーツの上できゅっと逸らした。唯我の手がまた乳房へ。今度は、抵抗しない。「んんっ」。甘やかな果肉の弾
力が恋人の掌の中を跳ね回る。ゴムボールの圧搾だった。柔軟不壊の弾力と戦わされる握力だった。強く握ればするりと
逃げる柔らかさは唯我の握りこぶしの中をくにゃくにゃと逃げ回った挙句、人差し指の輪とも隙間とも取れる隙間から、ぷ
くりと盛り上がり棠(こりんご)を作る。(恥ずかしい……)。全てを見ていた少女の頬に血潮が上る。
0016 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:04:46.60ID:3XYtBtT6
 筋力で「もやし」の猥褻を拒みきるのは容易い。だが口で「だめ」と言いながらも瞳にはどこか期待の光が灯っている。
 従順な乙女は本心の深いところで蹂躙を望んでいるのだ。だがそれを述べるのは貞淑さ故にどうしてもできず、また、初
めての行為で極度に乱れ狂った場合、「インラン」とドン引きされるんじゃないかという不安もある。
 唯我は一切合切を見透かした。才、である。教え子の得意分野と苦手分野を分析できる観察力がそのまま女衒の手練
に転嫁しつつある。

 不幸なのは俎上の人魚姫だ。また乳房を揉まれ身悶えた。胸部において四本の腕が入り乱れる攻防戦を繰り返してい
る間も少年の突きこみは継続されている。砲身に纏わりつく薄桃色の液体は破瓜の印と愛液との混合物。茂みが薄めの
秘裂から滴る蜜は唯我に内応しつつあるらしく、透明から、泡めだつ白の度合いがそろそろ強い。潤滑が往還を助ける。
胸をいじられながら突かれるうるかは額に左前腕部を乗せ艶かしく喘ぐ。

「あっあっあっあン」

 穿たれたりといえど脳医学的にはまだ童女である、うるかは。膣からの刺激はまだ受容器官の中では、「快美」とさえ認識
されていない。ただ漠然とした、宇宙全体を思うような巨大な概念だけが唯我の蠕動によって伝わってくる。痛みがあり、異
物感があり、それらに対しうるかの童女的な思考体系は限りない恐怖と恐慌を抱いているのに、他方、少女としての観念は、
「成幸と、1つになれた」という事実を的確に認識し、認識することによって限りない多幸感を覚えている。
 今の彼女の性感帯はどうも、条件付けによってのみ成立しているらしい。
 少なくても現時点の生殖器に於いては、気持ちいい場所というのは具体的には存在せず、唯我の動きに付帯する加圧や
摩擦といった極めて現実的な刺激の種々を、「成幸にそうされちゃってる」から、気持ちいいとのだと解釈しているように見て
とれた。
 男にとってこれほど都合のいい体もないだろう。侵襲すべて、是である。なのに是であることはまったくの悪事であるように
うるかは恥じらい、ブレーキをかけんとする。
(その慎ましいところが)
 唯我の攻め手に愛情ゆえの緩急を与え、

(ほ、本当に成幸初めてなん……? 上手で優しくて、気持ちいい、気持ちいいよぉ)

 とうるかの顔をますます水気でくしゃくしゃにする。唯我。初めてゆえ技巧1つ1つは拙いが、全体的な波に整合的な諧調
がある。優しく、理詰めで、何より女性に対して誠実だから、いきおい房事の手並みも相手の反応に合わせたものとなって
いる。それが、
(いい、とても、いい……)
 胸に生(な)る林檎が弾け飛びそうな力に悶えた瞬間さっと力を緩め休憩を与えてくる手管。
 源泉濃密なる快美の醴(れい)から解き放たれ息つく間にもちゃっかりと乳輪を撫で微細な刺激を送り続けてくる周到さ。
 うるかが強きに耐えられなくなれば弱め、弱きに陥らば強さが物欲しくなるよう誘導する手つきは、
(優しく、されてる)
 と実感させるに充分だ。
 安心し、充足する。安心と充足を得た瞬間まるで真逆の獰猛な刺激を欲し始めるから女性の機微は難しい。が、唯我は
察す。察するからこそうるかの恋慕が出発し今という波止場に行き着いた。
「ひゃううン!!」
 乳首が、抓られた。潜り込んだ唯我の手は数式で難問を解くようなあざやかさで最も効率的な戦術を披露した。
 うるかの木苺は、敏感だ。神速の神経伝令がうるかの運動野をマヒさせた。軽く涙を浮かべるほどに瞠目したうるかは痺
れる余韻にしばらく声もなく震える。もはや、総崩れ。両腕をシーツの上に投げ出したうるかは無防備になった乳房をこねら
れる。時には乱暴に、時には付け根をくすぐるように。甘美な刺激は下腹部からの、乱数的な、深さも角度もまちまちが刺
激の連打と重なって、万華鏡的な快美をうるかにもたらす。
「やめ、やめてえ、だから、いまは、いまだけはおっぱい……触らないで…………ひゃううう」
 健気にも再び手を伸ばし胸を覆ううるかだが、
「あっ」
 再び潜り込まれ、抓られ「〜〜〜ッ!?」と瞳孔見開き、腕緩む。日焼け痕も艶かしい乳房はプルンとまろび出た瞬間、羊
肉に群がる餓虎もかくやと勢いづく唯我に掴まれ揉みくちゃだ。
0017 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:05:20.42ID:3XYtBtT6
「ば、ばかぁ!」
 涙ぐむ少女は耳たぶまでも真赤にしつつ、それでも残り少ない勝気さと羞恥心で懸命に胸を隠しなおそうとするが、後は
もうイタチごっこ、唯我の手管に反応しては曝け出す悪循環だ。
「お願いなのぉ、だから、あっ、おっぱい、後でなら好きにしていいからあ、今は、今は、だめ、だめなのぉ……」
 童女のように泣きじゃくり首を振るうるかであるが、閨閤における哀訴など焚き火の前の薪でしかない。相手に快美ありと
知った唯我、薄紅色の乳首をジョイスティックでも微調整するが如くゆるゆると根元から時計回りに回転させる。すっかり
尖りきった”しこり”はコリコリと廻る。
(やだっ、強いのがくるのとばかり思ってたのに、ソフトなんが来て……)
 目を閉じたうるかはぴくぴく震えながら刺激を甘受する。
(ヤバい武元……。すごくエロい)
 Sっ気こそあるが、根は純情な唯我である。乳首を摘まれるだけで面白いように抵抗をやめ涙目になる少女にひたすら
ドキドキする。うるかへの英語指導が決まった時のプールのようなフハハ感で「逆らえば今よりもっと強い刺激が来んだよ、
諦めて今のままを受け入れろ」と厳しく宣告したくもあるが、あまり強くいじめすぎると性行為に対する恐怖が芽生えるかも
知れないと理性で辛うじて抑える。
 しかしやることは変わらない。変えようがない。うるかが儚い抵抗を試みるたび乳首を刺激し無力化するのはどうしても
やめられない。可憐に悶えて、よだれすら垂らし、艶っぽい薄目で涙ぐみながら中止を希(こいねが)う少女が可愛くて、だか
らどうしてもやってしまう。
「ばかぁ、成幸の……ばかぁ」
 興奮と運動でうるかはすっかり汗まみれだ。水分が体表に移ったぶん、口中の湿気はずいぶん下がったらしい。開いた
口の中で涎が何本もの粘っこい柱になっている。薄い紫の瞳は充血し、鼻梁周りはぐしゃぐしゃだ。涙どころか鼻水すら
混じっているかも知れない。そんな形相で唯我の乳房愛撫を咎めながらも、反応自体はますます可愛く、淫らになり、しか
も腰すら心持ちうねらせ始めているのが……少年にはたまらない。
「やっ、やあああんん」
 うるかはいやいやと首を振る。
 繋がったまま上体を前へと畳んだ唯我が、勃(お)こりっ放しの可愛い突起を口に含んだのだ。ぴちゃぴちゃという音は
勿論うるかに聞かせるためで、聴覚からのいやらしい情報は目論見どおり官能の炎をひときわ熱い蒼とする。
(吸われてる……吸われちゃってる……)
 ヒルのように真空を作る唇の感触は指とはまた違うものだ。そのくせ唯我はもう片方の手で乳首をいじる。一辺倒な力任せ
ならまだ怒りを以って拒めたが、うるかが程よく感じられる力加減でまさぐってくるから逆に彼女は困るのだ。
「いや、いやあ、ちくび、気持ちいい、気持ちいい、よぉ……」
「触っちゃ駄目なんじゃなかったのか?」
 嘲るようなセリフは唯我自身、言ってから(しまったもうちょっと後にすべきだったか)と後悔したが、しかし効いた。
「だってぇ、成幸がぁ、成幸がぁ、急にあたしのツボ掴んできてるから……気持ちよくて……怖いのに……気持ち、よくてぇ」
 ぐずりながら、しかも顎に拳を当てながらする白状の破壊力は、高い。少年の獣性、いよいよ制動の効かぬ領域へ。
「んんっ!?」
 唯我にキスされたうるかはギョっとしたがすぐさまうっとりと目を蕩かせる。舌が絡み合った。ねっとりと、絡み合った。正常
位で組み伏せられている少女はいつしか少年の首の後ろへと褐色の細腕を回した。
「んっ、んっ、ん……ぷは、あっ、ああン」
 唇をついばまれながら乳房をいじられ、うるかの頭はもう日焼け跡より真っ白だ。覆いかぶさった唯我はもう獣である。
はあはあと息を荒げながら前後に動く。いよいよ露骨に大きくなる「くちゅくちゅ」という水音が、うるかの芯をいっそう炬(も)
やす。
「だめ、えっちな気分が、えっちな気分が、すごくて……あっあっあっ、速い、だめっ、乳首、2つともぎゅうってするの駄目、
あっ、駄目ッ! だめええええええええええええええ!!」
 尖りきった木苺からの感悦に大きく高啼きした少女は霞んだ目で背中を弓逸らし、そのままどたりとシーツに沈む。手は
とっくに唯我の首筋から離れている。イッた訳ではないが、未成熟な感応はひとまず現状の限界を超えた。
「っっー! はーっ! はーーっ!」
 全力疾走した直後のような紅潮に顔色の支配権を明け渡しぐったりとする少女だが
「悪い、武元」
「え……」
 細い脇腹が掴まれた。
0018 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:06:03.77ID:3XYtBtT6
 身を起こす少年。伏せ目で軽く身を持ち上げたうるかはどこかで始まりの終わりを直感し、直感は確かに的中した。
 腰が浮いた。浮かされた。腹部の側面ごと持ち上げられた。

「あっ」、成幸に向かってずるっと引かれた褐色の体が勁(つよ)い突き込みで押し返される。突き込みは一度で終わらない。
脇腹を持ち上げたことで結合部を自分本位な高度に変更した唯我は「やりやすい」とばかりうるかを揺さぶる。乳首からの刺激
で軽いオーガズムを感じたばかりの少女はこの乱行に文句を言っていい立場だが、
「お、男の子だもね、いい、動いて、いっぱい動いて……! 最後まで……行って……」
 虚脱した笑みでうわ言のように寧ろ促す。突き込みはますます激しくなった。いつしかうるかの体は、シーツに皺を寄せつつ
唯我とは反対方向の向きへ確実に確実に、押しやられつつある。
「武元……っ! だ、出すぞ、いいな、中だけど……いいな」
「う、うん、あたし女の子の日いっぺんも来たことないから、大丈夫、だから……」
0019 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:06:23.89ID:3XYtBtT6
 ざらっとした息を盛大に吐きながら唯我はなるたけ深く突き入れ突き入れる。掴まれた脇場を支点に軽く仰け反るうるか。
仰向けだったころと違い、今は両肩と臀部のみが支え、いわば軽いブリッジの体勢だ。上体やや浮き気味のため首もまた
ベッドに向かってかくりと曲がる。突きこみを受けるたび仰け反った頭が揺れ艶やかな髪が乱舞した。
 それは時間にすれば5〜6秒だった。後は理性を放出の受容によって消し飛ばされるのみだったうるかが、何を思ったか、
首をベッドと逆方向、つまりは上へ曲げ、両肘も支えに軽く上体を起こすや、少年を、見た。
「最後は、[ずがっ] 成幸の、成幸の、[ずがずがっ] 顔見ながらが…… [ずがが] いい、成幸が……出すとこ……[ががん!] 
出すときの……カオが……みたいの……」
 恐ろしく艶っぽいセリフに唯我は(俺だってお前の、初めて出される時のカオを……)と獣性丸出しの心境になりかけたが、
しかし待て、何かがおかしいと気付く。
(ずがずが鳴ってんの、ありゃなんだ?)
 射精衝動すら緩める、謎で、もっともな疑問はうるかを、厳密にはうるかが居る彼女の部屋の構造を把握した瞬間解けた。
 彼女は、突かれる度、後頭部を、ぶつけていた。
 ぶつける? 何に?
 ……。
0020 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:07:44.62ID:3XYtBtT6
 彼女のベッドは窓際にある。枕のある方を窓側につけている。
 ベッドからすぐ窓という訳ではなく、窓までは目覚まし時計がおける程度の「幅」がある。
 ずがずがの元凶はその幅とベッドの柵が作る「段差」らしい。
 突き入れでいつしか少女の体はそちらに寄っており、唯我の顔を見るべく上体を起こしたがため前後運動の”あおり”を
受ける頭が後ろの段差に「ずがずが」ぶつかって、いたのだ。柵に衝突するという生易しいものではない、段差の角張った
部分に少年の律動の激しさそのままに後頭部をぶつけている。当該事象、長引けば命さえ危ぶまれるであろう。
 少年、取り敢えず止まり、言う。
「……武元、今のセリフはすっげぇグっときたけど、でもお前、頭、頑張って持ち上げたせいで打ちまくってるぞ」
「え!? あ゛ーーーーーー!!!」
 やっと気付いたらしい。後ろを見たうるかは凄まじい声を上げた。そしてさっきの艶っぽい、少女渾身のおねだりがどれ
ほどの滑稽に彩られていたか気付くやトマトジュースを吸ったスポイトの如く下から上へ朱を上らせる。
(もーやだー!! なんで最後の最後で変な失敗すんのあたしーー!)
 頭を抱える。双眸が深刻な蒼白ぶりに塗りつぶされて見えなくなるほどだった。舟形の小さな汗が冗談のような早回しでひっ
きりなしに沸いてきくるほどの焦燥と、自責があった。
0021 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:08:31.27ID:3XYtBtT6
(文乃っちとかリズりんならああいうおねだり、スゴい破壊力で言えたのに何やってんのあたし! 頭ずがずがって何!? 
なんなの!? 最後の最後でグダグダ、グダグダだよぉ!!)
 一般人がよくやらかすかといえば、ちょっと妖しい。「外れた」行為だから、うるかはほろっと涙を讃える。
(うう。やっぱあたし、こーいうの向いてないんかなあ!! 成幸ぜったい萎えたよね!? 初めてでもう少しって時に女の
方が頭打ちつけまくってるとかそんなん誰だって萎えるよね!??! ほほほ、ほら実際成幸の、おち、だ、大事なとこ、
しおれ始m──…」
 怒張は、硬度を増した。(えっ!!!) 予想外の感触に漆黒の人魚姫は思わず瞳を戯画的な三本線にした。
0022 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:09:26.22ID:3XYtBtT6
「ちょっ、え! なんで、なんでむしろコーフンしてんの!? う、嬉しいけど、さっきのあたしのどこにそんな要素が!?」
 少年は答えない。ひどく切羽詰ったギラギラした光を細い瞳に宿している。明らかに欲情に染まっているが、うるかは何故
かれがそうなるに到ったか分からない。(ずがずがの変っぷりにとうとう怒った!?)と結果からいえば見当違いなことを思っ
ている間にも事態は急速な進行を見せる。少年は少女の細い肢体を山賊のような手つきで自分めがけ引き寄せた。
「きゃっ!?」 成幸らしからぬ荒っぽい所業にびっくりするうるかは更に見る。彼の手が轟然と迫ってくるのを。また乳房で
もいじめられるのかと首を竦めたが、どういう訳か手はうるかの頭の後ろに着弾。何をしているのか、衣擦れに似た、しかし
衣服の着脱にしてはいささか冷たい音が人魚姫の視界及ばぬ後頭部やや斜め下で運行されやがて止んだ。
(え? え? なに、なにをして)るのと振り返る余裕はなかった。「武元」、腕を少女の脇腹に戻した唯我が腰を引き、そして
ここまでで最大の力を持って突き込んだ。
(いぐっ!!?)
 破瓜並みの衝撃に歯を食い縛って目を見開くうるか。少年の灼熱の鉄塊は交合中最大の深度に達している。
「あ、あああ…………? ぉ、おく? いちばん、おく、おく、にぃ…………?」
 脇腹を持ち上げたせいで角度をつけやすくなったのは確かにある。だがもっと決定的なのは少年の攻勢の変化だった。
さきほど少女の機微に合わせ緩急をつけていた教育係の手管は最早ない。思うさま引き、ただただ力尽くで突き入れる獰
猛な少年だけがそこに居た。面頬やや暗く狷介(けんかい)の気配さえある。和合を棄てているのに宿業的な何事かを耐え
んと覚悟している顔つきは暗殺者によくある。要するに、危険な一刺しを狙っているのがバレバレだったが、(ダークな成幸
も素敵だよぉ)と頬染めるうるかは逃げるなど全く考えない。或いは、剣呑の裏に潜む一種の限界を、フィジカルの権威らし
く直感したのか。
 とかくこの当時の唯我はフクザツであった。「頭ずがずが」によっていかなる心気的変転をきたしたのか、唯我はただただ
鞴(ふいご)のような息を漏らし褐色の肉体をいじめ抜く。
「あっ、だめ、おく、おくばっか、集中するの、だめっ、ヘンなの、気持ちが、えっちになってくるから、だめ、だめええ」
 懇願はやはり無視される。少年の淫棒は最奥の同じ箇所だけひたすら打つ。
 びくびくと震えるうるかの体もまた新たな感覚に開眼しつつあるがしかしまだ精神的で形而上な興奮が勝る。長らく懸想
してきた相手の亀頭が、硬く張り詰めた尿道海綿体が、少女当人ですら触れたことのない深奥を舐(ねぶ)るように叩く
のだ。「犯され抜いている」。ぞっとすべき実感なのに、それほどの大事を許しきる、純潔供出の本尊ともいえる現象を確か
に行えているという想いが狂おしいまでの喜びと多幸を呼び起こす。
「気持ちいい、おく、おくに、成幸が当たってる、すごくすごく恥ずかしいのに、気持ちいい、気持ちいいよぉ」
 耐えられない。耐えられる訳がない。甘え泣くうるかのどこかで慎ましさのヒューズが飛んだ。
「おっぱい、おっぱいもいじめてぇ……。あっ、あっ!!」
 速攻の承諾に少女は嬉しげな嬌声を上げる。唯我の右手がふっくらした膨らみを鷲づかみした。強烈な刺激に涙の喜悦
を浮かべるうるかは気付かない。少年の左手が脇腹から背に回り、いまの姿勢を単騎孤軍ささえているのを。
 ヒートアップする腰使い。「ゆるして、これ以上、これ以上、感じちゃったら、ひかれるから、同じとこもう、あっ、すご、あ!」
がくがくと揺さぶられる少女に唯一残っている理性は唯我のカオを見るただ一点である。どれほど善(よ)がっても大好きな
少年の顔からは目を離さない。或いは自分の表情(カオ)を見せるのが義務だとでも思っているのか。確かなのは先ほど
なら打ち付けていた筈の頭が先ほど以上の激しい活動の中で一度たりとも「ずがずが」を奏でていないという……事実。
なぜ起こらなくなったかうるかにはわからない。彼女はただ己の現実を……叫ぶ。
「もうだめ、もうホント、限界、限界、だからっ……! ちょっとだけ……休ませてぇ……!」
 泣きじゃくってシーツすら握るほど身悶える美少女の痴態に、応える代わり少年は、正に渾身の力で突き込んだ。
「ーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?!」
0023 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:10:07.85ID:3XYtBtT6
 滑走路に墜落してきた飛行機をうるかは脳裏のどこかで見た。舗装を削り飛ばすような恐るべき驀進が初々しい粘膜の
洞(ほら)を「ぬるんっ」と、猛然と、擦過した。子宮口で爆ぜた衝撃はうるかの意識を一瞬だが桃源郷の彼方へ追放し、
「あ!! あああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
 無意識に凄まじい大声を上げさせた。同時に少年の槍は全てが埋没した。したが
「武元っ」
「あ、がッ……!?」                                 
 ぎちぎちとした圧迫感が既に最奥と密着していた尖端から迸り、うるかはたまぎるように叫ぶ。大きな瞳の中で混沌が渦
を巻いた。構造上、極めて入れづらいのが子壺である。初体験でしかも勢い任せの唯我もまた挿入までは果たせない。だが
独特の刺激だけはもたらした。腰から前進し続ける力は決して捻じ込めない肉の壁を前にとうとう逸れた。先走りをたっぷり
浸した肉の筆が凄まじい筆圧で子壺を撫でて行き過ぎた。「っ、ーーっ!」 形容できぬ感覚に口をぱくぱくとする少女の甘美
なる地獄はまだ続く。
「武元!!」
 更に数度。凄まじいグラインドを唯我はかけた。成す術なく揺すられる細身のうるかの、揺れるふくらみの雀舌が如き柔ら
かき左の芽をきゅうきゅうと抓っていたのも束の間、激しく唇を重ねる。
(キス、この状況で、キス……!)
 気持ちよさに目が蕩けるうるかは侵入(はい)りこんでくる舌を迎え入れ、自分のそれを絡める。顔の角度を微妙に変えな
がら啄ばみあう情熱的なキスを続けていると。

 とろっ

 と口の中に見知らぬ生暖かいものが流れ込んできた。

(唾液!? 成幸の!?)

 つばという、キスの残り香程度にしか思っていなかった体液なのに、

(なんつーことしてんの成幸! つばって、つばって……!)

 「ぼふっ」。つむじから両耳から蒸気が漏れた。瞳が見開く。「んー! んー!!」。驚きを訴えもがく可愛らしさが……
最後の放出を、呼ぶ。
「そ、そろそろ……!」
 と切りつけるよう叫びつつ褐色の肢体を衝動的に抱き起こしそして抱きしめる。人魚姫、瞠目。
(ぎゅううって、ぎゅううって!!)
 或いは、最も効いた。夢見がちで恥ずかしがりなうるかは数々の性戯の果てに訪れた極めてロマンチックなハグに、
「ふ、ふあああああああああ!!」
 と甘ったるく啼きじゃくる。神経系において如何なる伝達経路が開拓されたのか。膣がきゅうっと収縮し肉棒を締め上げる。
「でッ、出る、出ちまう……!」
 迸る灼熱。尿道から砲弾の如く飛び出た「どろっ」が膣壁に掛かった瞬間、うるかは第ニ階梯的な巨大な快美を味わった。
「あぁッ! ああああああああああん!!」
 唯我を好きになってから今までに至る一連の出来事が走馬灯の如く脳髄を駆け巡り、それは第二波第三波と吹きつけられ
る精液によって万感の法悦へ締め括られる。
「なりゆき、凄い、まだ、出てる。まだいっぱい、出てるのぉ……。あっ、また、また……」
 陽快な顔を今だけはうっとりと蕩けさせ、ぴくぴく悶える少女の胸に少年は顔を埋め、そのまま一緒に前方へと倒れこむ。
運動は苦手なのだ。息が切れる。
「お前の中、すげえ気持ちいい……やべえ。出る、まだ出る」
 ぶるっと身震いする少年。割れ目から白い粘液がとぷりと溢れ出た。

 放出が収まったあと、2人は繋がったままどちらからともなく唇を重ねあった。穏やかだが幸福な時間だった。

 ややあって。

「で、なんでその……頭ずがずがの後…………急に、コーフン、したの……?」
 うるかは気まずげに聞いた。失敗の発掘というのもあるが、初体験直後だから唯我と目が合わせられない。少年も同じで
ある。なのに繋がったままであるのは奇妙だった。先ほど倒れこんだ姿勢のまま、肌を密着させ、睦言を交わしている。
 とまれ一体どうして先ほど唯我は突如として獣のような攻め口を見せたのか。本人はややまごつきながら、語る。
「か、可愛すぎたからだよ!」
「え、可愛、ええ!? 初体験のいよいよって時にベッドの柵とかで頭打ちまくってたんだよあたし、その、それのどこが……」
「だからだよ」。成幸の頬に血潮が上ると彼は急に乙女じみる。
0024 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:10:35.55ID:3XYtBtT6
「大事なこと告げてる時に、頭打ちまくってることに気付きもしないとか……可愛すぎだろ!」
(そーなん!? 男の子ってみんな同じこと考えるの!? それとも成幸だけが異じょ……特別!?)
「しおらしい癖にドジ踏んでるのが、お前らしすぎだろって、頭の件教えたあと急に思えてきて……お前にゃ悪いと思ってる
けど、たまらなくなってきて、だからあんな激しく動いちまったんだよ」

 それに。「それに?」。うるかは効き返す。

「頭打ちまくっても気付かなかったってことは、それだけ俺の顔に集中してたってことだろ。勉強始めたころは何かとすぐ
遊びに行きたがってたお前が、ムラっ気のあるお前が、大好きな水泳と同じぐらい俺に……集中してくれてたってことだろ。
そこが俺は嬉しくて…………だからお前のこと、ますます可愛いって………………」
 ぶっきらぼうな言葉とは裏腹に、細面へたっぷり羞恥を乗せて瞳を泳がせる唯我に偽りないことをうるかは察したが、
だからといって「そうでしょ、可愛いでしょ」と言える厚かましさは良い意味で、ない。褒められようが恥部は恥部だ、主眼が
そこにある限り、簡単には喜べぬのが……乙女、なのだ。
「成幸に集中するって、そそ、そんなの、当たり前でしょ……」
 おずおずと先鞭をつけた反論に唯我が微かに首を傾げたのも当然であろう。「当たり前」? 何がどう、当たり前なのか。
「す! 好きな人のカオ見たいって思うのは当然じゃん……。好きな人があたしの中に初めて、その、出して……くれる時に、
表情(カオ)が見れなかったら……後で絶対…………後悔、する、から、ずっと足踏みしてた時みたく、「また」、だから、だか
ら……」
 放出間近だった頃の唯我を、凝視した。
 水泳選手にとって「時間」は大事だ。1秒の油断が取り返しのつかないことを招く。唯我の「初出」も同じだ。うるかは目を
離せなかった。決定的瞬間は、短い。とある星好きの少女であれば千年に一度、三秒しか夜空すべれぬ流星を以ってうる
かの心を語るだろう。しかも先ほど『集中していた』人魚姫は突き入れによって惑乱状態にあった。トバされそうな理性を保
ち唯我を見る手段は結局すべての神経を想い人の顔に注ぎこむ他しかなかった。
 と、いう機微を口に上らせたうるかは一瞬、(これはこれで相当えっちだよう。出してる時のカオが見たかったとか、今度
こそヒかれても仕方ないよう)といつもの調子で強張りそうになったが、もはや状況は土壇場、ヤケクソになって叫ぶ。
「あたしはっ! あたしは! 中学時代からずっと成幸のこと好きだったの!! 何年もじもじしてたと思うの!!! いったい
何年気付いてもらえなかったと思ってるの! ずっとずっと好きで、でも勇気がなくて告れなくて! キスとかの小さなウワサ
聞くだけで終わった失恋したってぐすぐす泣いて、褒められること妄想する度そうじゃない現実に泣かされて、ちょっと報われ
るだけでも泣きを見て、成幸への気持ちがぐっしゃぐっしゃになった夜は自分でもヒくほど泣きまくって、ああもう泣いてばっか
じゃんあたし!! でもそんなあたしでもどうにか勇気出せた結果、付き合えるようになって、やっと! やっと結ばれたんだ
よ!! だだ、だったら、そーいうとき最後の成幸のカオが見たいって思うのは当然で……! 他のことなんて考えられなく
て……! えっちなことが好きなんじゃなくて、成幸が好きなだけで…………!」
 唯我の表情はさまざまだ。突然の叫びにまず驚き、次に長らく気持ちに気付けなかった鈍感さを詫びるような顔つきにな
り、いつも明るく元気に振舞っていた少女が影でどれほど泣いていたかにまた驚き、愛の深さに、嬉しさと、申し訳なさを
浮かべ、”であるからこそ”、一見滑稽でしかなかった『頭ずがずが』が一体どれほどの意味を有していたか……知る。

 うるかは。
「うー」
 言い尽くしてなお均衡を取り戻せぬらしい。やや恨めしさに瞳尖らせつつも淳良な赤面で唸る。そんな少女に、少年は。

「だったらやっぱり頭打ちつけまくってたのは変なことじゃねえよ。お前の、一番いい部分が集まった、凄えことだよ」

 笑って声をかける。心から感服して心から褒めるための笑顔で、少女の頭をぽふぽふ撫でる。

「卑怯だよ、成幸は」

 うるかはちょっと拗ねたような表情をした。

(とてもたくさん気持ちよくした後に、優しく笑ってくるなんて…………ズルいよ。いっそ頭ずがずがを馬鹿にしてくれたら……
こんな、こんな…………切ない気持ちになんか、ならなかったのに…………)
0025 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:10:59.48ID:3XYtBtT6
 やっとうるかはベッドの柵を見れた。先ほど唯我が何かをしていたその場所に立て掛けられていたのは「枕」である。

(クッション代わりにしてくれたんだ……。あたしが頭ずがずがしないよう、敷いて、くれたんだ)

 そうしてくれたときの唯我はうるかの中で果てる寸前だった。そんな初体験の限界ほぼギリギリ、催迫の状況で楽で甘美な
放出よりうるかの頭の保護を……選んだ。

(あたしは成幸のこと見るだけで精一杯だったのに……気遣うことまで出来なかったのに……成幸はあたしのこと、守ろうと
してくれてた……)

 夢見がちな少女はやや大袈裟な修辞を枕に贈ったが、そうせざるを得ないほど嬉しくて、幸せだった。少年は少女を貪って
いるようで気遣ってもいたのだ。相手をただ性欲解消用の粘膜装置としか見ていないのであれば到底できぬ芸当だ。

「ラ、ラストスパートの時あたしの体を成幸の体めがけて引っ張ったのも……ブツけないように……だよね……?」

 熱く潤んだ上目遣いでうるかは問う。彼女はいま、捧げたもの以上の物を得ていた。

「まあそりゃ、な。ケガしないようにってのもあるけど」

 少年は照れくさいらしく、鼻をかいた。

「頭1回ブツけるたび脳細胞が数百は死ぬっていうからな。せっかく覚えた英単語がああいう形で消えんの、お前だって嫌だろ?」
「そっち!? あんな時まで勉強のこと考えてたの!?」
 あんな時だからこそだよ、照れ隠しか、唯我はやや人相悪めで目を細めそして逸らした。
「だってスッゲェ気持ちよかったし……。複雑な公式とか難しい英訳とか頭に浮かべでもしなきゃ出すの耐えられんぐらい、そ
の……お前の、なk」
「いい! 死ぬほど恥ずかしいから言わないで頼むから!!」
 うるかは両目不等号でうわーんと泣いて叩くマネ。(無粋だったかなあ)とちょっと困り顔しながらも唯我は教育係らしい
厳しめの顔をした。」
「頭ずがずが打ってるのはすごい可愛かったけど、いくら可愛くたって受験に影響が及びそうなこと、癖にすんのはダメだ、
お互い自重な。ただでさえこーいうこと、してんだし……」
(まあそうだけど) うるかは嘆息した。これ、なのだ。これが初めて結ばれた後の会話なのだ。いったいどこの世界に「英単
語忘れるといけないからあのプレイ禁止な」と告げる男が居よう。うるかが空想してきた無数の唯我は誰も彼もが本人とは
乖離した王子のような顔つきで歯の浮くような事後のセリフを告げていた。「とっても良かったぜ、うるか」とか何とかキザった
らしく囁いていたのに……
(英単語かー)
 風船に書かれたうるかの簡略図のような腑抜けた表情でうるかはぼへーっとした。ぼへーっとするほどに想定外のセリフ
だった。艶っぽさがまるでない。そんな現実が馬鹿馬鹿しくて、うるかはくしゃっと微苦笑した。
「なーんか、いつもとあまり変わんないね」
 言い方しだいでは「退屈な情事だった」となりかねぬセリフだが、日によく焦(や)け、陽の匂いが漂う少女の底抜けにカラっ
とした物言いにかかっては最大の賛辞となる。
「まあ、な」
 唯我もまた同じ気持ちであることを確認したうるかは、(ホント……いつもと、同じだった)と安堵する。唯我は優しくて、英
単語を気にするほど教育係で、うるかは可愛く務めようとするたびどこかでドジ踏んで落ち込んで、まったくいつもと同じな
関係だけがそこにあった。

(いつだったかなー。『告白してダメだったら今の関係には戻れない』って思ったの)

 同質の不安は結局、付き合うようになってからも消えなかった。「フラれたら」「飽きられたら」とどこかで怖がっていて、だか
ら『結ばれる』ことにだって恐怖はあった。男友達と女友達だからこそ保たれていた居心地のいい関係が、彼氏と彼女になって
からもお互いのウブさで保護されていた親愛が、行為によって、男と女の、生々しくてささくれやすい間柄に変質するのでは
ないか……とうるかは心のどこかで怯えていた。互いのどちらかの醜い部分が性の獰猛さの中で露になり、それをして愛が
『泡』にされるのではないかと人魚姫はずっとずっと怖がっていた。
0026 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:12:20.68ID:3XYtBtT6
(なのに実際は……頭ずがずがで…………英単語で…………)

 2人は、いい意味で変わっていない。うるかはそれが嬉しかった。

(あー、力抜けたわー。いい意味で力抜けたわー)
 心の中のうるかはユルっとした瞑目で湯気を吐く。見栄を張らなくて良くなったという思いが生来の明るさを取り戻す。


(ホントは最後のとき名字じゃなくて名前呼んでほしかったけど、でもそこまで細かい要求したらこの女重いって思われ
そうで出来ないよぅ)

”うるか”呼びをして欲しいのに踏み込めない奥ゆかしさに揺れながらも(でも幸せ……)と半ば虚脱しながらもネコ口で
目を細める少女。少年の方は、
0027 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:12:32.86ID:3XYtBtT6
(ああくそ、いつもの調子で名字呼んじまったのはマイナスじゃねえのかコレ。でも仕方ねえだろ中1から高3までずっと
武元呼びだったんだぞ、プールの後でも気ぃ抜いたらこっちだったし、脳内でも武元は『武元』だったし)

 まさに風聞だが、とある風の都で高名な赤い刑事も妻を婚前の役職名で呼んでいるらしい。結ばれる前の二人称には
そういう容易には変更を許さぬ呪いめいた強制力があるらしい。


 長々とこの話を述べた。進行度はむろん、文章量相応である。走れメロスで言うならメロスが激怒したあたりである。
0028 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/25(日) 23:13:19.14ID:3XYtBtT6
 ……。

 …………。

 ………………。

「そーいやさ、挿れ……る前に成幸あたしが初めてだって分かったのはどーしt…………って!」

 褐色の、ツネられても柔らかく伸びるもちっとした頬が戸惑いに波打つ。

「なんでまたおっきくするんのよ! ばか! 成幸のえっち! えっちなとこまでいつも通りって信じられない!!」

 少女が突然叫んだのは、いまだ少年を受け入れている秘所の中で膨張の気配がしたからだ。射精によって幾分やわら
かくなっていた唯我の分身が突如として勢力を取り戻した。

「すまん。嬉しそうなお前が可愛くて、つい」
「うーー。可愛いっていいさえすれば余韻ブチ壊していいって訳じゃないんだかんね! いや別に成幸がゼンブ悪いって訳
じゃなくて、なんだか名残惜しくて入れっぱなしにしてたあたしも悪くてそこはゴメンなんだけれども……あああ何いってんだ
あたし、入れっぱなしとか言ったの忘れて!!」
 でも余韻……女の子らしい機微で涙ぐむうるかに、唯我は「……悪ぃ。一回離れてみるか? お前だって色々、一息つき
たいだろうし……」と申し出る。
「そ、それもヤダ」
「どうしろと?」
 2人の背後をアカトンボが通り過ぎた。ような気がした。古いアニメーション演出のような奇妙な「間(ま)」があった。
0029 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/25(日) 23:13:46.72ID:3XYtBtT6
 仰向けのまま想い人を受け入れているうるかは結合部の方へとしばし視線を落としていたが、顔を上げ、問うた。
「その……成幸はまだ……シたいの……? さっきので、くち……とかで出した時と合わせて6回、もう6回も出してんじゃん。
な、なのに、まさかまだ……足りない、とか……言うの? 体力とか、大丈夫……なん?」
「ええと」。質問攻めを捌けぬようでは教育係は務まらない。唯我はうるかの疑問を1つ1つ、ほどき始めた。
「まず最初の質問だが、悪い、お前さえいいなら……したい」
 男ってのはそういうモンだし、何よりお前が可愛いから、欲望が、欲望が…………と唯我、「くっ」と双眸から涙流しコブシ
さえ固める。自分の情けない浅ましさを悔いているが、かといって諦めきれないという葛藤は、巨大だった。女性たるうるか
にも充分伝わるほどに巨(おお)きかった。
「ま、まー、あたしの許可を待ってる分、マシだから? 別にイイけど」
『勝気な女友達』の顔つきで若干ツンツンと片目瞑って指立てるうるか。恩着せがましく言うのは照れ隠しであろう。本当は
唯我との営みを沢山したい。どれほど彼が無許可で動いたとしても受け入れて悦(よろこ)べる。だがただただ「させている」
だけではフシダラな女と思われそうで恥ずかしいから、「許可を待ってる分、マシだから」などと勿体つけた言い方で、いかに
も特別に許可していると、そう思わせたいのだ、うるかは。
「でも7回以上いけそうってどうなん……」
 少女は頼もしさ半分呆れ半分で少年を見た。「スマン」。縮こまった唯我は返事すら震えている。先ほどの獰猛な虎はもう
いない。
「俺あんま発散できないんだよ……!」 泣きそうな声で教育係は両拳を固め力説する。「ウチいつも葉月いるし和樹いるし!
いや見られても今は何やってるか理解できないだろうけどさあ! それでも恥ずかしいし、何より教育に悪いだろ絶対! い
ない時もあるけど下手にゴミ箱使うと水希に感づかれそうだし! かといってトイレに捨てんならティッシュはダメだし! なのに
トイレットペーパーはボロボロ崩れるし!」
「……妹ちゃん、年ごろだもんね。てか何その最後の生活感………………」
「だいたい俺はエロいハプニングに見舞われても見ないよう見ないよう気を使ってんだぞ! 生殺し! そりゃ本当は見たい
さ! 男子高校生なんだから、見たいさ! でも見たらみんなに悪いし、いろいろ、我慢を、我慢を……」
 最後の方はヒヨコのような表情で訴える唯我である。
(リズりんのおっぱいとかチラ見してるもんね……。本当これだから男ってヤツは)
 それでも見ないようにしている以上、「使う」ことはもっとないだろうとうるかは思う。信じてる。
(あ、あたしでだったら、その、別に、いい、けど……)
 とにかく唯我は色々「溜まって」いるらしい。絶倫かどうかについてはこの時点ではまだ不明だが、貯蔵量じたいは相当
らしい。
(相当……)。うるかはちょっとドキドキした。疼くような期待は否めない。だいたい子沢山の家庭に生まれた唯我なのだ、
遺伝的に繁殖の素養がある。好色、といっていい。
「最後の体力だが」。眼鏡少年はトレードマークをスチャリと触り、得意気に。「多分俺のは……お前より先に、尽きる!」
「……うんまあ、そう言うだろうと思ってた。成幸、神社の階段昇るだけでバテてたもんねえ。あたし肩貸したし」
 そんなガリ勉少年と、そんな水泳部のエースではどちらに軍配が上がるやらだ。
(え、ちょっと待って! じゃあ、あたしがずっと成幸を攻め続けるってことも可能だったりするん……!?)
 騎乗位ぐらいうるかだって知っている。『予習』したからだ。スマホがあって知りえぬ方がおかしい。
 想像力豊かな人魚姫の脳裏に、上位の自分が淫らな海棲種の如く唯我を搾取する甘美な曼荼羅が浮かぶ。彼女は悶え
る想い人の顔に(はうう手も足も出ない成幸も可愛いよぅ)とか何とかときめいたが、
(いやいやいやムリムリ無理だから! あんなえっちなカッコ成幸にするとか恥ずかしすぎて死んじゃうから!)
 根が貞淑なので両目不等号でふるふるする。活発な癖にゆらい攻勢にはとんと不向きな奇妙な”たち”である。
(特に、成幸のカオに跨って……舐めて、もらうとか……)
 ぼっ。泣きそうなほど目を見開いた少女は急いで話を変える。
「ととっ、ともかく、成幸の体力が尽きたら終わりってことでイイのかなあ!?」
「お、おう……。でもお前が止まらないっていうならその時は、その、時で……」
0030 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:14:16.11ID:3XYtBtT6
 奇妙といえばこの2人の関係で、繋がったままシーツの上で顔面突き合わせている癖に「手さえ繋げぬカップル」のような
初々しさを漂わせている。お互いあどけない赤面をぷいと背けつつも(限界超えてなお向こうが求めてきたら……)などと、
不安なのか期待なのかよく分からぬ混沌とした思惑をも秘めている。
 だが混沌程度が薄めるにはうるかの懸想は長すぎた。再動へ続く火縄を燃やしたのは慕情である。彼女は自分の余韻ガ
ン無視で「おっきくなった」ほど溜め込んでいる少年の不遇ぶりを改めて思いホロリときた。苦労続きの人生なのだ、彼は。
(ならこーゆうことで位いいことあったって……いいじゃん。あたしで……初めての女の子で、気持ちよくなれるようしてあげ
なきゃ……)
 この男のため身を削ってやろうと強く決めたうるかだから、促す。
「じゃ、じゃあ、また……動きなよ」
「お、おう」
 身を起こし、次なる攻勢に移りかけた唯我。
 悲劇は、そのとき起きた。
 すっぽ抜けたのである。唯我の分身が。ねっとりとした愛液を引きながらうるかの体外へと脱落した。
(なっ!)
(あー)
 抜ける、というのは熟練者でもちょっと加減を誤るだけでやらかしてしまうイージーミスだ。いわんや初めての唯我である。
滑落はむしろ当然といえた。
(待て、だが俺はだからこそ気をつけていた! どうすれば抜けずに続けられるか色々調べて実践してきた! 現にさっき
までは大丈夫だったのにどうして今に限って……待て!)
 唯我は、気付いた。抜け落ちる直前の”そこ”の感触を反復して気付いた。恐ろしく、ぬめっていたのだ。
(精液! そうか出したせいで滑りやすく……! だからさっきまで抜け落ちなかった動きでも……抜けた! くそ、摩擦係数
を忘れるとかイージーミスにも程があるぞ!)
 唯我はえも言われぬ戯画的な表情でひたすらに、固まった。
 いざ再動というときすっぽ抜けたのは男として恥ずべきことだ。
(ととと、とにかく立て直すぞ、落ち着け、一度は入ってるんだ、こーいうとき焦るとドツボだからな、落ち着け俺)
 初体験で「滑落」という失態を演じた場合かえってくる反応は概ね2つである。
 叱責の嘲笑か、或いは……慰め。
 後者は優しく思えるが、「初めてだから仕方ないよ」的な言い草は、謝りながら斬りつけるような物なのだ。唯我と知り合っ
て間もない頃の文乃がやっていたような言動といえば概ね分かるだろう。自尊心の高い者には”こたえる”。男性としての晴
れ舞台をしくった挙句、組み伏せるべき女性にすら同情され──潜在的に──低く見られるのがどれほど辛いか。
 悪いことに唯我は「秀才」、耐えられない。
(武元はどっちだ、どっちで攻撃を……!? いや、気付かれる前にさっきの手順でもう一度やった方が安全……)
「あはは、抜けちゃったねー」
 焦っていた唯我は見た。暖かな笑みを。うるかは笑っていたのだ。正に総てを海容する南国の大海原のようなゆったりとし
た海闊さを浮かべてニッコリと笑っていた。母性が、溢れている。
「…………っ」
 それは有り得ない対応だった。軽く汗をまぶしながら、うるかはただ楽しそうに笑っている。男性の失態がすぐそこにあるのに、
何をするわけでもなくヒマワリのような満面の笑みだけを保持している。
 理屈では、ない。唯我は焦りやパニックがうるかの笑顔によって消えていくのを実感した。

「? ??」
 驚いたように自分を見てくる唯我がどれほど感動しているのか少女はよく分かってないらしい。口元を綻ばせたまま可愛らし
く小首をかしげていたが、やがて
(……そっか)と何事か察すると、わざとらしく声をあげた。
「もー。成幸ってば意外にニクショクだなあ! ほとんど初めてのあたしにあんなん要求するなんて!」
(あんなん……?)
 唯我は当惑した。うるかが突然わけのわからぬことを言うのはいつものことだが──唯我視点ではそうだ。文乃看病の
時の「デザート」など──いつものことだが、今回はちょっとだけ様子が違う。うるかは口元こそ笑っているが、両目が見え
ない。前髪の影に覆われている。さほど長くない珊瑚色のそれが双眸を隠すのは汗で心持ちバラけているせいでもあった
が、或いはもっと大きな『陰(かげ)』が脳髄のどこかから沸いてきて感情を蔵匿しているよう唯我には思われた。
0031 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:15:03.61ID:3XYtBtT6
 とにかく笑った口元しか見えないうるかは唯我の両肩に手を当てた。「あっ」、脱落や不可解のせいで無防備だった少年
は正に「あっ」と言う間に座った姿勢へさせられた。それだけならまだ彼は再挿入リトライなる失地回復の戦略を冷然と描け
ていただろうが、現実はそれを許さない。
「あむっ。あむっ……」
 うるかの頭は唯我の股座にあった。小さな頭が熱心に上下している。くぐもった吐息に混じって湿った音が響く。少年の肉
棒は少女の口中にあった。優れた、フィジカル。うるかは唯我を座らせるや否や、電撃の速度で口唇愛撫を始めていた。
(おおおお掃除ぃーーーー!?! 初めてのあと速攻でこれってどんだけサービスいいんすか武元さん!?)
 と評されるうるかであったが、流石に恥ずかしいのだろう、褐色の目元が明らかに赤らんでいる。しかし恥ずかしがりながら
も少女は、自らの破瓜の血と愛液と、それから唯我の先走り液や精液でベトベトの肉棒を口の中で健気にも清める。やや
あって喉が鳴る。(は、初めての血を……) 飲んだ、と知ったとき唯我はひどい背徳感を覚えたが、たまらなく愛おしくもなっ
た。
0032 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:15:21.52ID:3XYtBtT6
 少女は。
(うーーーっ! うーーーっ! 恥ずかしい、恥ずかしすぎるよぉ! 初夜でこれだよ!? これ、だよ!?? フツーもっと
慣れてからすることを初夜でするとか、するとか……ヒ、ヒかれないよね!? 男の人はこーいうの好きっていうけど、ああ
けど成幸堅物だからあまりフシダラだと喜ば……で、でも、成幸がすっぽ抜けちゃったことを隠すにはこれしか、これしか…
…!)
 少女は、『すっぽ抜け』が唯我の失敗であることを──…

 知っていた。

 だからこそ、である。「ニクショクだなあ!」といかにも勘違いしている風を装い、お掃除を始めたのだ。そう。自分が

『すっぽ抜けを失敗だとは知らず、あくまで、”成幸”が、お掃除をさせたいがため”わざと抜いた”……と、勘違いしている』

状態であると、偽ったのだ。
0033 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:15:36.90ID:3XYtBtT6
(ややこしいけど、こーでもしないとフォローできないのあたしは!! 成幸がミスったことそのまま指摘したら、笑うか、
慰めるかしかできなくて、どっちにしろ傷つけるよ絶対! 文乃っちならきっとステキな言葉で勇気づけられるし、リズりん
は……何かのムズカシー実験がちょっと失敗した程度の顔で再チャレンジしそうだけど、ほらあたしバカだから! そのま
んま指摘したら絶対さ、ロクな言葉かけてあげれそうにないから!)
 ふだん唯我が目にしている「突然暴走し、勘違いでおかしなことをいう」自分を利用したのだ。失敗にすら気付けず、妙な
受け取り方をしている「バカ」であると、振舞ったのだ。
(だって……)
 不慣れながら自分なりに一生懸命、首を上下して愛撫するうるかは思う。
(成幸はあたしの失敗を……頭ずがずがを笑わなかった。それどころか……あたしらしいって、……可愛い…………って、
言ってくれたんだよ…………?)
 そんな風に、いつだって、中学の頃から、ちゃんと自分を見続けてくれている少年の「すっぽ抜け」を、失敗を、うるかは。
(…………からかえる訳……ないじゃん)
0034 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:15:47.08ID:3XYtBtT6
 眦(まなじり)の涙、息苦しさばかりではない。愛おしさの赴くまま、口中脈打つ剛腹な質量に粘膜をねっとり擦りつける。
髪をかきあげる姿に少年は見とれた。うるかはそれにさえ気付かない。(成幸……) 子犬が大好きな飼い主に濡れた鼻を
押し付けるような衝動がある。(成幸) ひたむきに口から出し入れする。掃除すれどいまだ破瓜の血と精液と愛液と先走
りでドロドロの肉棒だ。一般的な少女であれば忌避して当然のそれをうるかは躊躇いなく含み、愛する。半ばまで口に入れ
た状態で啜り、或いは裏筋を力いっぱいの舌で舐めとり、考えつくまま奉仕する。
(これが……成幸の……)
 息をつくため口からすべて引き抜いた肉棒を見る。少年らしくまだ全体的に赤らんでいるそれは、年相応の緊張を湛えて
いる。仮性、なのであろう。今は剥け返って引き伸ばされている部分に透ける赤紫の血管はなかなかにおぞましいが……
(これが……さっきまであたしの中にあった…………、成幸の……)
 少女は頬を赤らめ、亀頭にちゅっちゅとキスをする。鼻をつく淫らな匂いもまた興奮を促す。たまらなくなったうるかは、一瞬
だけ戸惑いの吐息を漏らしたが、「もう耐えられない」とばかり双眸を潤ませ、
「はむん。んっ、んっ」
0035 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:16:18.67ID:3XYtBtT6
 白濁のぬめり残す亀頭を優しく咥え込む。ぷりっとした艶やかな唇で、未だ僅かに山頂へ唇越しにかぷかぷと噛み付いて
刺激をもたらす。口唇愛撫はきょう初めて実践したうるかであるが、唯我への愛情ゆえか、歯を(直接)立てぬという基本を
マスターしつつある。潮風が鼻腔を抜ける中、
「────」
 濡れた瞳が少年を瞻(み)あげる。可憐な口にグロテスクな肉棒を咥えたまま、しかし拾われたての子犬のような無垢無
心の眼差しを向けてくる少女はそれだけで出てしまいそうな光景だと唯我は呻く。そんな顔がますますうるかを掻き立てる。
(好き。好きなのぉ)
 とうとう鈴口を舐め始める濃(こま)やかなご奉仕。いつだったかの縁日でドキリとさせた「まっひンク」がいま自分の不浄
な肉茎を這い回っている光景に少年は生娘のように「かああっ」となる。鱈の卵巣よりも強く明るい桃色した淫靡な棘皮生
物がペニスの先端でチロチロと蠕(うご)いている様はそれだけでも衝撃的なのに、感触よ、生暖かい味蕾(みらい)のザラ
つきが敏感な亀頭を否が応にも刺激する。
(き、気持ちいいけど、すっげえ悪いことしてる気分……)
 数時間までキスさえまだだった清らかな少女の口を排尿気管の愛撫に使っている背徳感に、目を逸らしたくなる奥手な
唯我であったが、局部をねっとりと這い回る感触の前では叶わない。舌。金なる鱗さえ獲得していた。窓から差し込む月光
は唾液へ洸(ほの)に照り映えて幻妖なる魚燐と変じている。黝(あおぐろ)き暗室に神話のような器官が現出したことに
唯我はただただ息詰まり見蕩れる他ないのに、よりにもよって、美しきそれは醜怪なる亀頭を”れろん”と慰撫するのだ。
少年はもう怺(こら)えられない。
「いい、武元、それ、気持ちいい、す……っげえ、気持ち、いい……!」
 光の加減でケラチンが珊瑚色を透かす艶やかな黒髪をくしゃりと撫でる。
 少女の無心だった筈の瞳が俄かに媚態を帯びる。ツリ目はトロトロの上目遣いだが下品さはない。生殖器を咥えるとい
う婬(みだ)ら極まりない状況下で、うっとりと恋慕の情に浸りながらも決定的なところでは純朴さを保っている。
 男は、顔に惹かれ、抱く。抱く以上、惹かれた顔がどのように甘く歪むか見届けたくなるのは当然だ。
 だから、である。少年が少女の表情の劇的な変化に「やられた」のは。
「うっ」
 射精と心臓の痛みは同時にきた。後者がズキっとしのは初の伽で淫靡極まる奉仕をさせている心痛ゆえではない。少し
前まで中学以来の女友達に過ぎなかったうるかが、自分の股座の中で「女」の顔をしている異常さに興奮したせいである。
興奮した瞬間、心臓の血液拍出量が冠動脈のキャパを一瞬だが大きく上回り胸部を軋ませた。異様な軋みに動揺した
分だけ唯我の自制はほどけ、ほどけたが故に彼は放出した。
「んんっ!?」とうるかは軽く瞠目したが、状況を悟るや静かに目を閉じ、熱い奔流のすべてを口の中へ受け止める。
「あ、ああああ」
 期せぬタイミングでの噴出に唯我は赤面し、悶える。だが射精は止まらない。一晩に7度も発射するなどむろん初めての
経験だ。生命基幹の何事かが削られている絶望的な虚脱を感じながらも、それと、「少女の顔だけで達した」背徳感に唯我
は軽く弓反り身震いする。かつてない快感だった。
「んっ……。んっ……」
 鼻にかかった艶かしい声を漏らしたのはうるか。髪を抑える色っぽい顔つきで”うなじ”も露に、びゅるりびゅるりと際限な
く放たれる子種を嚥(の)んでいく。
(凄い。全然、……薄くなって、ない)
 若い味は挿入前実行された初めてのフェラチオの時と遜色ない。むしろ新鮮さを増しているような趣さえあった。もちろん
それはうるかの主観であり実際はどうか分からない。ただ彼女は皮膚を想像した。新陳代謝とは古いものほど表層に近づけ
新しいものほど深遠に残す活動だ。家族構成ゆえに発散に恵まれなかった濃縮もまたそうではないかと、うるかのみは、
考えた。
 舌痺れる苦味有する「おかゆ」のような味の最後の一滴が少女の喉を滑り落ちた。だが搾り出されてなお、若い壁立は
いっこう萎む気配がない。
(コーフン、してる。あたしなんかに、一生懸命になって、くれてる……)
0036 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:16:53.68ID:3XYtBtT6
 深く咥えなおした少女はエヘヘと目を細める。むしろ唯我の方が首まで紅くなった。手を握ることさえ未だ照れがある少
年の、やわっこくて敏感な心の粘膜はもう、こそばゆくて仕方ない。こういう時の定法に「咥えさせたままグラインド」がある
のは少年も知っているが、うるかの笑顔を前にするとどうしても無理だ。欲情はある。あるが、『壊したくない』といった少年
特有の、青臭い感傷が衝動を留めた。係留された瞬間から彼のやわっこい部分は、こそばゆい快楽の隷下となった。
(ヤバい……。気持ちいい……。フェラはさっきもして貰ったけど、出した直後で敏感だから凄く……いい)
 うるかの技巧じたいはまだ拙い。だが唯我を少しでも気持ちよくしたいという健気さが1つ、また1つと的確な快美を生んで
いる。下から上へ唇を這わすという何気ない挙措にしても、たっぷりとした愛情が乗っており、なのにその満点回答にさえ
どこか不安げで、気恥ずかしげな表情を浮かべ唯我を伺う。

(めっちゃエロいことしてんのに反応は清楚とか、すげえ、武元、すげえ……)

 もはや疑念などとっくに吹っ飛んでいる。「これ、俺のすっぽ抜けをごまかすためなんじゃ」と当初こそ疑っていた唯我で
あったが、もはやそんな思考は、立ち上る快楽と、うるかの清純なる反応で、甘く甘く溶かされ……失せている。
 うるかはそこまで計算していた訳ではない。彼女は自分があの失敗に気付いていると気付かれなければそれでよかった。
よもや唯我の観察力という、彼女がもっとも惹かれた魅力の1つが恐ろしいほどのあっけなさで失陥しているとは思いもよ
らなかった。それほど彼がうるかの奉仕へ『夢中になっている』とは……気付かない。
「武元……ッ」
 珊瑚色の髪が再びくしゃりと撫でられた。たったそれだけで少女は「ふへへ」と照れくさく笑う。途轍もなく淫靡な行為に見
合わぬ純良な笑みだ。
(お、俺のを咥えたまま、そのカオって……)
 唯我は照れに照れた。夢のようなご奉仕だからこそ、甘美すぎて直視できない。
 反応に気をよくしたようだ。うるかは深く咥え込んだ。相変わらず髪をかき上げている。褐色の顔に汗を滲ませながら「ずず」
と口を鳴らすと少年は何か想起したらしく──のちの話によれば2人で訪れたラーメン屋におけるうるかの食事風景らしい──
硬度はもはや、ガチガチだ。
「あむ、ふむっ、あむ、あむっ」
 ぶじゅるとい唾液の音を時おり混ぜながらうるかは忙しく首を上下する。模様も、表情(カオ)も、すべて唯我は一望できる。
一望できるよううるかが顔面の角度を調整しているのだ。男が表情を見たがるものだと直感し、恥ずかしさに耐えつつ見せ
ている。見せるたび秘所はきゅうっと奇妙な蠕動を見せ……愛液を滴らせる。
 唯我の顔にやや苦悶混じりの快美が広がったのは精巣がころころと玩弄され始めたからである。
「痛かったら……言ってね…………。あ、あたしさ、筋肉あるけど……加減、頑張って、加減、するから…………」
 少年はぎょっとし、
(こ、ここも刺激の対象!? そんな! 図書館の官能小説とかハウツーサイトとかにゃちっとも!)
 精巣に意識を飛ばす。
 男の自慰は「竿」の上下動こそ基本である。「袋」については強打した時の激痛を知っているものほど手が伸ばせない。
小学校時代、人並み程度には悶絶を味わってきた唯我ゆえ、精巣への愛撫はまったくの想定外だった。
 だからこそ少年は、拒めない。フェラであれほど清純さと淫靡さ、相反する2つの要素を見事に兼備していたうるかが、
唯我の乏しい性知識では決して知りえなかった領域を愛撫するという予想外の事態にひどい誘惑を感じた。旺盛な男子が
いったいどうして逆らえよう。
「じゃ、じゃあ頼むわ武元。お前ほら、料理とかじゃ、すごく繊細なトコあるからな、信じる、からな」
 優しくしてとまでは流石に男の矜持が邪魔していえないが、恐怖は確かにあった。急所、なのだ。だがそれだけにフグを
食べたがるような異様な期待もまたあった。
 果たしてうるかは「そこ」への愛撫を開始した。最初はクルミ2つを弄ぶように掌で包んでころころとしていたが、自分の握
力が怖くなったらしく、片方だけに狙いを定める。親指と、それ以外の指とのチーム分けが右の睾丸をコリコリとほぐし始めた。
「…………ッ」
 少年はすっかり受身である。後に彼が少女に語ったところによると、どこか鈍痛の籠もった独特な刺激があったという。う
るかは皮の中の紡錘形──少女がまずこの形に驚いたというのも後の話である。「玉」ないしは「丸」と呼称されているのに、
唯我のそれはややラグビーボール型をしていた──を恐々と触る。
0037 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:17:08.55ID:3XYtBtT6
(ぶどうみたいに、ぶよぶよ、してる……)
 筋肉がコンプレックスの少女は極力ちからが籠もらぬよう気をつけつつ精巣を揉む。

 加減に加減を重ねた愛撫ゆえ、触り初めてすぐ唯我に射精ものの快楽が加わるということはなかった。だが5回も揉む
と彼の様子は少しずつ変わり始めた。(これは、筋肉痛の部分を揉まれてるような)、独特な痛気持ちよさが俄かに巡って
きたのだ。8度目の射精を期待し、低く研ぎ澄まされた息を漏らす唯我。しかし、事態は、やがて。
 ……。
 嚢(ふくろ)に包まれているという意味では睾丸もまた臓腑である。”そこ”への刺激は解剖学上、前提ではない。体内を
愛撫されるという点では女性器にも似ているがしかし先の理由でまた異なる。
 睾丸を愛撫され始めて3分後。うるかは相変わらず唯我の股座の近くに顔を置き、褐色の指先でくりくりと睾丸を揉んで
いる。仰向けになった唯我が息も絶え絶えといった様子でもがいていた。
(これ、やばい……ッ!)
 刺激が決して強い訳ではない。竿でいえば亀頭どころか根元への摩擦より弱々しい。だが臓腑であり……急所。痛気持
ちよさは或いは竿より直通で脳髄を苛む。興奮は募る、確かに募る。されど独断で撃つ貯蔵施設はない。切羽詰った竿か
らの急信があって初めて放てる原則が、慣例が、睾丸愛撫に対する射精を一切許諾しないのだ。むろん数さえこなせば脳
髄との連絡回線が開通し、女性がイき方を覚えるよう射精できるだろうが、その”数”が唯我にはまだない。考えてもみよ、
普通の自慰ですら初めてのそれは達するまでかなりの時間を要すると言うではないか。睾丸も然り。故に唯我は。
「っっーーっ。っっーっ」
 激しい怒りを抑えている時にも似た独特の、細い息をついて刺激に悶える。射精という明確な行き場のない快美はやが
て屹立それ自体へ集中した。増したのだ、仰角が。それまでですら仰角約10度という若々しい”そそり立ち”をしていた肉
棒が、驚くべきことに鋭角マイナス5度を切るまでに勃(お)こった。マイナス、である。恐るべき話だが、肉竿は腹についても
まだ止まらず、ミチミチと肌に埋没するような勢いで勃起運動を続けている。何という怪異、端倪すべからざる魔人のわざ。
斯様な現象はもちろん唯我自身まったく経験したことがない。うるかの睾丸愛撫はそれほどの刺激だった。
(マジか)
 と瞠目したのは少年のみではない。なかなか訪れぬ射精に(あたしココへの刺激ヘタなんかなあ)としょげかけていたうる
かですら瞠目し、「……なりゆきの、えっち」と、含羞(はにか)んだ。
 少女は愛撫に自信を持ったらしく、指から完全に力を抜いた。揉む、というより、精巣に皮越しで触れたまま、五指に極め
て緩く捕らえたまま、手首をゆらりゆらりと動かす程度……である。

 たったそれだけなのに唯我の脳髄にえも言われぬ快美が広がった。

 波が、あった。鈍い緊張感を孕んだ痛気持ちよさが何十秒か続いた後ふと刺激はただの触感に代わる。快感が去り、睾
丸をまさぐられているという客観的な認識にすり替わる。これなら耐えれそうと油断しかけた所で再び気持ちよさが再来し、
少年は息を荒げる。
 竿では決して味わえぬ独特の法悦だった。玄妙きわまる不可思議に少年はただもがく。
 放出したくもできないのが甘い地獄だった。苦しい訳ではない。鈍痛はむしろ1時間でも2時間でも続けていられそうな心地
よさに変じつつある。経験ほぼ皆無の少年が本気でこれを、射精のための刺激ではなく、貯蔵施設そのものへの慰労では
ないかと考えるほどに痛気持ちいい按摩だった。
 錯覚かも知れないが、心なしか睾丸周りが軽く爽やかになりつつある。下腹にめり込むほどの勃起は、知らず知らず停滞
していた陰嚢周りの血液がうるかのマッサージによって急速に流れるようになったせいではないか、解き放たれた鬱血が
生殖器へ集中しているせいではないか……などと秀才なる少年は勘繰ったが実情は分からない。とにかく恐るべき刺激が
あるのに先遣の液が溢れていないのは奇妙だった。
「りょうほう、いい……?」
 少女の濡れ光る瞳が甘えるように問うてきた。少年は一瞬恐怖に囚われたが結局は快美への好奇に……負けた。

 そこから刺激が、12分続いた。

 両(ふた)つの睾丸を摘んだうるかは極めて柔らかい指使いでころころと愛撫している。倍加してなお射精にまでは至らな
い寸止めの快美に唯我はただ悶えた。波の高い時は寒空の下にあるように細く鋭い息をすすり泣くが如く漏らし、低い時は
刺激からの開放感と、行為の疲労ゆえウトウトまどろみ、又(ふたた)びやって来た法悦に叩き起こされる繰り返しを演じた。
0038 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/25(日) 23:17:34.49ID:3XYtBtT6
 偶然だが、それが少年の回復を促した。体力のなさゆえ初体験で疲労困憊だった唯我は、端々で訪れる瞬間睡眠によっ
て少しずつ血色を取り戻しつつある。

(なんか……こーいうのもいいなあ)

 うるかはしみじみと思う。性行為といえばどちらかがどちらかを絶頂させるものだとばかり思っていたが、「癒す」行為もあ
るのだと知ると、根が気弱で温和なせいか、つい安心してしまう。

(でも……)

 疼くような衝動もまた体の芯にある。飛び込める場所でいつまでも飛び込めない辛さを耐え切れる少女であればココには
いない。

 いつしか少年の睡眠と興奮の境界はドロドロに溶け去った。夢と現が曖昧になった幻想的な世界の中で細面の、どこか
女性的な顔立ちの少年は、悶え泣いてのた打ち回りたい衝動を必死に耐えていた。女性であれば快美に啼くことは許さ
れる。だが少年は少年ゆえの矜持ゆえにどうしてもできない。ただひたすら

(すげえ気持ちいいのに……何で出ねえの……。やべえ、擦り……たい。いっそガーっとやって、1回、1回でイイから……
出して……区切りを…………)

 といった攻撃的な願望に摩り替えることで辛うじて耐えていた。
 少年の顔をずっと見ていた少女は、臆病さゆえの躊躇をわずかに浮かべた。だが悶える唯我の顔を見ていると、切なさ
が心を締め付ける。愛撫で高まるのは男だけではない。少し前までの『男友達』の切羽詰った吐息を聞くたび秘所がきゅうっ
と蠕動していた。『体』に対しては活発で能動的な少女が、である。稚(いとけな)い割れ目から搾り出された白濁が太もも
を濡らすのを感じてどうして大人しくできよう。むしろうるかは、よく耐えた。
「成幸……」
 褐色の裸身に覆い被さられた少年はぎょっとした。本能的に跳ね除ける選択肢もあるにはあったが、哀憐を滲ませ見つ
める少女の顔にそれも麻痺した。
「辛いなら、擦るから」
 もう耐えられないばかり奮(ふる)える声だが母性的な優しさも多分に混じっている。肉棒は太ももに挟まれた。
「たけ、もとっ……」
 と唯我が油粘土を杵で搗(つ)くような声を漏らしたのもむべなるかな。ずっと直接的な刺激を欲していたペニスがよく引き締
まった足と足とでぎゅうっと圧迫されたのだ。だけではない。唯我の両腕の更に外側に手をつき身を起こしたうるかは、紅さす
艶かしい顔を軽く後ろに曲げ唯我の”それ”が太もものどの辺りにあるか確認すると、つま先を支点とする足全体の上下運動
を開始した。
(す、素股だっけ、いや足だから違、やば、気持ちいい)
 無駄な脂肪はないがゴチゴチの筋肉一色でもないのがうるかの足だ。水泳という速度の競技に従事するが故、肥大化は
NGなのだろう。むしろ日ごろのストレッチにより柔らかい弾力に富んでいる。それがピッタリと屹立を挟んだまま上へ下へと
動く。
 刺激たるや掌の比ではない。掌であれば握力は指同士の隙間から逃げていくし、そもそも手淫とは掌の”圧”ではなく、
指を動かすための筋肉の醸し出す微妙な蠕動を楽しむ行為だ。
 うるかの太ももは、違う。両側からビッタリとペニスを圧迫する。肉棒が肉剣の形になるほど海綿体が歪むといえばどれほ
どの力が掛かっているか分かるだろう。掌の肉のうねりとはまったく違う、原始的なパワーのプレスがある。パイズリならまだ
柔らかさで緩衝されるが、
(すげえ、締め付けが……すげえ)
 がっちりと、むっちりと両側から圧迫される感じに唯我は悶える。特に感じるのはやはり亀頭だ。褐色の太ももの隙間で
顔を出し入れする瞬間、手淫では味わえぬ雄渾な”圧”がもっとも敏感な先端を刺激する。後日唯我は太ももの再現性を
求め己が両掌でペニスを挟み込み圧迫し上下してみたが全く及ばなかった。

 なにしろ人魚姫の足ときたら、凄まじい泳力を産む一種の原動機である。
 そんなものから緩慢なるエンジンピストンのようなストロークを受けた唯我のペニスだからたまらない、あっという間に海老
くさい先走りをびちゃびちゃと泌(にじ)ませ始めた。
0039 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/25(日) 23:17:57.25ID:3XYtBtT6
 ただの力任せなら痛いだけだが、すべすべした褐色の肌の質感の奥にプリプリした太ももの肉の弾力があるため刺激は
極上の部類である。しかも太ももは先ほどの交合や、睾丸愛撫への興奮で伝い落ちた愛液でぬめっている。
(しかも……武元、汗、かいてる)
 少年が一番背徳感を覚えたのはそこだ。一連の流れと、今の上下動でしっとり潤ってきている「汗」に自分のシンボルが
触れるのが何よりいやらしく思えてドキドキした。愛液とか、先走りが太ももを濡らしているのは秘事限定の現象と割り切れ
るが、「汗」という、スポーツ少女ならごくごく日常的にかいている物が、己の陰部をひた濡らし潤滑の快楽をもたらしている
という事実が……心(しん)を穿つ。
同じ感想に到ったのか。うるかの表情がとろけ始める。胸の上で、裸の「元・女友達」が切なげに息を荒げているさまは
唯我ならずとも興奮するであろう。日焼け跡の、生白い鎖骨を何となく撫でる。「んっ」、軽く目を瞑ったうるかはペニスを
咥え込んだ太ももにいっそう力を込める。ただでさえ代謝の高い少女の全身が熱くなっているのを唯我は感じた。肉剣を
を圧迫する足はもう夏場の車体外装ほどの熱がある。火照っているのはうるかだけではない。
「熱いの、成幸のが熱いの。あたしの足の間でコチコチで、ヒリヒリで、……ぴくぴくしてる……」
「お前の足も……気持ちいい。すべすべしてて弾力があって、締め付けも、いい」
 ほんと? 嬉しい……。褒められた少女は咲(わら)い、献身の度合いを深めていく。健康的な足の上下動が速くなった。
腕立て伏せと似た姿勢で太ももに埋没したペニスを速く的確に摩擦できるのは体を鍛えているうるかならではの愛撫であ
ろう。汗と愛液と先走りですっかり滑った太ももがヌルヌルと肉棒を擦りあげる。睾丸愛撫でずっと刺激を求めていた少年
のシンボルは30秒と持たなかった。
「で、出るッ、出る…………!」
「うん。出して、楽に、なって……!」
 耐えただけあり量は初夜最大だった。翌朝事後処理に当たっていたうるかはベッドから2mは離れた場所に白濁が落
ちているのを見つけ真っ赤になる。それほどの噴出だった。びゅるびゅるっと勢いよく吹き出した精液が褐色の太ももに
どろどろと蟠った。「あ、あああ」。8度目の射精なのがウソのような軽やかな感触に唯我は呻く。愛撫によってすっきりと
した睾丸は放出にかけてむしろ最盛期に到りつつある。
(足に……あたしの足に、びゅーって、びゅーって……)
 うるかが昂ぶった理由はそこだけではない。少年の屹立はいまだ衰える気配がない。太ももを離せばバネ仕掛けのように
腹へ戻りそして再びめり込むだろう。
(すごい、成幸、すごい……)
 少女の雌の本能が疼き始めたのはこの頃だ。褐色の細い肢体は何の許諾を得ないまま動いた。唯我に覆いかぶさった
まま、彼の踵方面へ全身を少しだけ後退させ──…

 足と足の付け根の間に、ペニスを、挟んだ。

「ちょ、武元! 俺いま出したばっかで敏感……」

 うろたえる少年の顔もトロけ始めた人魚姫にとっては(可愛い……)と思わせるスパイスでしかない。彼へ「騎(の)っている」
という実感も、フィジカルに於いては攻勢的な少女の側面を膨らませる。

「うるかって……呼んで?」

 少年の顎に手をかけるのは先ほどの乳首いじりへの他愛ない仕返しだ。甘ったるい水気でライトパープルにまで希釈さ
れた瞳を、窓からの月光できらきらと瞬かせながら、嫣然たる笑みの形に軽く細め、『下の名前』という唯我の困りそうな話
題を押し付ける。奥ゆかしい少女だから寧ろコレが改元にも匹敵する二人称変更の決め手となることを恐れているが、
しかし同時に、結ばれてなお反射的に名字を呼ぶ朴念仁を困らせたくもあった。男は刺激で女を支配するが、女は機微で、
だ。果たして少年は蠱惑の少女に射すくめられ、停止した。ちょっと右にローリングするだけで容易く組み伏せられるはずの
腹上のうるかに愛撫1つできぬまま固まった。
 好機とばかり人魚姫、更に追撃。

「8回で……満足…………?」

 太ももの間のペニスの感触にぴくぴくと反応しながらも、うっとりと笑いかける少女は面頬の客観的な破壊力に気付かない。
唯我の瞳に映る彼女は艶やかな黒髪を汗でべっとりと張りつけ、息を荒げ、『誘惑的な女友達』の眼光を妖しく灯らせている。
少年の心の臓はまたズキっときた。
0040 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:18:29.40ID:3XYtBtT6
「お、お願い、します……」

 眼鏡の下をぽっと染めて俯く唯我。
「うん。いっぱい気持ちよく……するかんね」
 人魚姫は優しく微笑み艶やかに跳ねた。少年の言葉が終わらぬうちに生殖器付近へ咥え込んだペニスをくねくねと愛撫
した。今度は腕立て伏せの要領ではない。上半身を少年の体と密着させた状態で、腰だけをくねらせる。上下だけではない。
左右にもだ。明らかに雰囲気の変わったグラインドに「もっと、ゆっくり……」と唯我は歯を食い縛るが「だーめ」と甘く囁くう
るかはむしろ動きを速めていく。日焼け跡が生々しいヒップがくねる。
「んっ」
0041 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:18:53.08ID:3XYtBtT6
 クレバスにペニスが触れると少女は眉をひそめたが、スジに沿って肉棒が摩擦されるよう腰の角度を変えるや水音も
露骨にくちゃくちゃと愛撫する。(エロい……)。息を荒げ、半笑いで生殖器同士を摩擦させる少女に唯我も止まれなくなっ
た。
「すまん。武元」
「えっ? きゃ!」
 突然ペニスを持ち角度を変えんとした少年にうるかは正気を取り戻す。(入れる!? このカッコで!?) 騎乗位への
変更を察した少女の中で今度は貞淑さが大きくなった。少年の、手を、持つ。「凶器」を急勾配から直上の淫裂めがけ直角
に無理やり変えている手を。
(熱い……。入り口に成幸の熱いのが……)
 実感すると淫蕩な硝子体が眼球の中に満ちてくるようだった。眉を顰め、目を半開きにしてか細く震える。誘惑の波が
あった。体はとっくの昔から、唯我であれば何でも受け入れる準備ができている。だが心は違う。割れ目に触れる亀頭の
熱く湿った感触に昂ぶりながらも、口ではそれ以上の進入を、拒むのだ。
0042 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:19:09.68ID:3XYtBtT6
「だ、だめ……! 挿れるの、まだ2回目で……2回目からもう上とか、上とか……恥ずかしい、から、恥ずかしすぎるから」
(2回目で……上……)
 自分のセリフで唯我が認識し生唾を飲み込んだとも知らず、うるかは必死な拒否を続ける。
「今度なら、慣れてきたあとなら、シて……シて欲しいけど……、だめ、今夜は初夜で、挿れるのは2回目だから、上、2回
目から上なんて、だめぇえ」
 既視感。言い募るうるかは先ほどこんな出来事があったとハっとする。この流れはまさか。まさかである。
「駄目だ」
 唯我の先端がうるかの入り口に軽くだが埋まりこむ。「や、やあああ」。恥ずかしさで顔を背け逃げようとする少女だが、
動きは声音同様いきおいを失くした。分け入りつつある質量への淫らな期待が理性に愚劣な鈍麻を与えているのをうるか
は是認したが、やはり清純な少女、羞恥心という最後の砦に縋って抵抗する。
0043 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:19:17.07ID:3XYtBtT6
「逆、なら、あたしが、下、あたしが下なら、いいから、このまま、このままひっくり返って、シて、シて欲しくて……、上はだめ、
恥ずかしい……あたし動き始めると止まれない、から……成幸にやらしい女ってヒかれたくないから……だめ、だめなの。
慣れて、自制できるようになってからじゃないと、恥ずかしい、恥ずかしいよぉ」
 どんどん存在感を増してくる異物感の中、赤面かつ潰れがちな不等号の目で懇願するうるかだが、唯我はその顎をくいっ
と掴み、
「慣れてなくて、戸惑って、驚いたり叫んだりするお前が、見たい。きっとスッゲェ可愛いから……見たい」
 初々しさこそ目当てだと言ってのける。息を荒げながらも鋭い眼光は衰えない彼の言葉に、うるかは(……っ)と混乱し、
例の癖で妙な翻案を施した。
「だ、だめえ、俺は熟れきらぬ青い果実をもぐのが好きなのさとか怖いこといっちゃだめえ!」
 と歌舞伎の見得のような珍妙な制止で涙ながらに訴えるが、果たせるかな、そういうズレた愛らしさが膣口に宛がわれた
亀頭を上向きに貫くための原動力となった。
 ペニスは、埋没した。唯我に跨った姿勢のうるかの中へ杭(わた)った。
「かっ!?」
 奇妙な声をあげ目を白黒させるうるか。メリメリと産道を押し拡げてやってくる灼熱に甲走った声を止められない。
「あ!! あーーー! だめ、入ってきちゃう、あたしが上の状態で、太いの、入れちゃ、だめなのに、だめなのに…………!」
0044 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/25(日) 23:20:14.48ID:3XYtBtT6
 攻勢はここに明確な逆転を遂げた。少女の引き締まった臀部に痕がつくほど強引に指を立てた唯我は素股の仕返しとば
かり腰を突き上げる。四つん這いだった人魚姫の細い肢体がガクンと跳ね上がり、一瞬だが膝立ちになった。ベーシックな
騎乗位の姿勢になったのに気付いた彼女は「や、いや、恥ずかしい、恥ずかしいい」と戦慄き腰を浮かして逃げようとするが、
しかし掴まれる肩。がしりと伸びてきた唯我の腕はモンスター映画における画面外からの襲撃のような勢いでうるかを元の
四つん這いの姿勢へ引き戻す。結合は依然として、継続中。状況を知ったうるかは巨大な恥じらいにただ悶える。
「やっ、やあああン。やめてこのカッコ、恥ずかしい、恥ずかしい、からぁ……」
 意外にがっしりしている少年の胸板に頬を擦り付けるようしつつ懇願するが、すっかり騰(あ)がった少年はややサディス
ティックに切り返す。
0045 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/25(日) 23:20:36.43ID:3XYtBtT6
「さっきとそう変わらないだろ?」
「ちち、違うの、擦ってるだけのと、入れられてるのとじゃ、全然、全然、違う、違うからあ」
 うるかは泣いて首を振り許しを乞うが、痛みや苦しさを訴えていないのなら大丈夫だろうと唯我は速度を速める。腰の
上の少女をひたすらに揺さぶる。うるかは逃げようと腰を浮かすが、そのたび尻ごとぐいっと引き寄せられ喘ぐ。それでも
よほど恥ずかしいのだろう。唯我が腰を引くたび健気にも逃げようとする。その仕草じたい男の欲情を駆り立てるものだが、
うるかの災難は、更に劣情を誘う体の持ち主であったことだ。
 鎖骨から胸に到る日焼け跡がますます紅潮の度合いを強めているのが唯我のより深い獣性をそそって仕方ない。
「あっ」
 離脱の余波で唯我の上体との密着を解いた乳房が揉まれる。「やだ、ただでさえ恥ずかしいのに、おっぱい、おっぱいまで
いじめないでえ」。先ほどの好色そうな女友達はどこへやら。無力な子猫のように甘え泣くうるかがますます愛しくなった唯我は
両手で乳首を愛撫する。強く抓るのではなく、触れるか触れないかの繊細なタッチでピンピンと撥ねる。
0046 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:20:51.52ID:3XYtBtT6
「んっv んっv
 ぎゅっと目を瞑るうるかの声はくぐもっているが、末尾にハートマークをつけてもいいほどに甘く甘くとろけている。
 結合部が重力で補強されているぶん両腕の自由が効くのが騎乗位だ。浮き気味の四つん這いで覆いかぶさっている少
女の胸にいたずらしながら、腰の力だけで彼女を突く唯我。
「だめ、恥ずかしいのに、このカッコ恥ずかしいのに、気持ちいい、気持ちいいよぉ」
 うるかの腰はいつしか動いている。ぎこちないが唯我をより深く迎え入れられるよう動いている。切なげな形相で瞳を歪め、
戸惑いながら、しかし大きな快楽に対する貪婪さもうっすら滲ませながら、腰を動かしている。
 唯我は(こ、こーいうときの鉄板って確か)と何事か脳裏で検索する。大人しいが、少女を胸の上で揺さぶっている状況と
あってはやや言動も攻撃的にならざるを得ない。
「こ、腰を動かすとか、は、は、恥ずかしがってる割には積極的、ダナ!」
 後半ややぎこちないのは、(やっぱあまり責めすぎるとダメか、武元泣かせたくは……)と思い直したからである。
「だめ、だめえ、そんな優しいこと言うのだめえ」
(優しいか!? あ、いや、語調全体で真情バレバレ!?)
0047 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:21:06.98ID:3XYtBtT6
 などという突っ込みは、双眸から涙を流し大口開けて喘ぐ淫らな少女の顔つきに流される。
(それ、に……!)
 中途半端な言葉攻めをした瞬間、うるかの中の肉ヒレが露骨にきゅうきゅうと反応したのが初夜真っ最中の少年には
大変刺激的だった。恐ろしく気持ちのいい締め付けだった。一瞬だけの反応だったが、明らかに少女は目覚め始めている。
 肉体を変質させるのはいつだってひどい情欲だ。それが、熾(おこ)った。
「だめっ、だめなのぉ、あたし成幸、好き、好き、だからあ、上になると、好きにしてよくなると、腰、腰が、動いて、動かしたく
ないのに、恥ずかしいのに、勝手に、勝手に、動いてぇ……」
(……エロすぎです、武元さん)
 くっちゃくっちゃと露骨な水音を立てながら腰を上下させ、日焼け跡も艶かしい乳房を隠すところなく揺らしているうるかに
唯我は呆れながらも……生唾を呑む。
「そ、そんなに俺のこと、好き……か?」
 本当はもっと強い調子で言って躾けたかったのに、予想外の相手の淫猥さに遠慮がちな問いになる。
「好きなの、好きぃ、成幸の、成幸の、おちんちん、自分で、色んな角度から、味わい、味わいたいのぉ」
(だ か ら)
0048 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:21:26.38ID:3XYtBtT6
 もはやうるかに羞恥はない。いや、羞恥がなくなると本能的に察知していたからこそあれほど騎乗位を拒んでいたのだろう。
芯こそ楚々としているが、もともと活発な少女なのだ、リミッターが外れると性欲一色になるらしい。
 唯我の枷も、外れた。このまま行けば体力で勝るうるかの攻勢一方になるという打算もまた働いた。
「もうそろそろ行くぞ、行くぞ……」
「あっあっあっ!! いい、凄い、逞しい、逞しっいい」
 激しく突き始めた唯我にうるかの姿勢が崩れる。胸から離脱した手は再び尻をむんずと掴む。荒ぶる律動に成す術なく
黒髪を揺らすうるかは唯我の胸に顔を突っ伏したが、すぐさま従順な使命感で彼を見上げる。表情(カオ)は見せたいし、
見たいのだ。
「出して、9回目、出してぇえ、好きなの、成幸のねちゃちゃしたの、好kんぶっ!?」
 嬌声はキスで遮られた。もはやどっちから舌を絡めたか分からない。よく噛み切らなかったなというぐらいの激しい上下動が
10秒ほど続いたあと、「んん゛ーーーー!!」熱い脈動が体内で炸裂したのを感じたうるかは瞳孔を見開いた。唇を塞がれて
いるため声が潰されるのが却って淫猥だった。零距離におけるその息遣いはまだ挿入2回目の半童貞には些か刺激が強
すぎる。「出るッ、まだ出る……ッ」ぶるっと震えギュっと目を閉じた少年の眼前でうるかのくぐもった絶叫がまた上がる。
 ややあって。
 唯我の唇から剥がれた人魚姫はそのままぐったりうな垂れ、
「熱い、熱いよ成幸。すごい、まだ全然、全然、衰えてない……」
 どこか正気うすい法悦の笑顔で息せきながらそう告げた。

 ここでやっと初夜が終わった。

 のであれば良かったが、そうでないから高校生の性欲は恐ろしい。
0049 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:21:46.67ID:3XYtBtT6
 褐色の膝小僧が胸の傍までいくほどに足を曲げられている。少女は更に、膝の後ろに両手を回した。
「えと、こっちのが、入れやすい……かな……?」
 褐色の頬を紅くして視線を逸らしながら、おずおずと聞くうるかの格好は──…

 M字開脚、である。秘部がいっそうむき出しになる体勢を、少女は自分で選択した。正常位ラウンド2がスッポ抜けで中座
したので、再発防止という訳である。

(こ れ は)

 唯我の精神の眼鏡にヒビが入る。少し前までは御しがたいお転婆だと思っていた少女があまりに従順な痴態を曝け出した
のが、彼ならずとも驚くだろう。

「も、もー! 早くしてよね成幸! こ、このカッコ、実は結構恥ずかしいんだかんね!」

 瞳をツンツンと尖らせながら赤面で、あわあわと抗議してくる様も少年にとっては高ポイントである。

 唯我はしばし少女のむくれ面に見惚れていたが、
0050 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:22:02.67ID:3XYtBtT6
「武元ぉ!」
 殆ど強姦魔のような勢いで貫くや、「あっ」と舌ッ足らずな声漏らすうるかの両足首をむんずと掴み……正常位で狂ったよう
に腰を動かす。ペニスが抜けたことそれ自体は失敗だったが、結果からいえば睾丸愛撫や騎乗位といった、より興奮をかき
たてるシチューエーションの増える役には立った。射精9回という未曾有を得てなお少年の剛直は猛々しい。
「はっ、はうう、やん、凄っ、速い、成幸の逞しいのが、逞しいのが、速っ、あぅぅぅン」
 足をまっすぐ伸ばしていた先ほどの正常位と違い、唯我はうるかの足の角度をも変更する権利を得た。視覚的にもM字開
脚は淫靡である。足首を強引に外側へ引く。いっそう恥辱的な恰好になったうるかがひどい恥じらいを浮かべるが古今相手
の羞恥で鎮静した男などいない。むしろ彼女の足首は持ち上げられた。同時に膝立ちになった少年は、無理やり浮かしたうる
かの腰へ「上から」激しく突きこみ始める。
「やあああん。成幸の体重があ、体重があ」
 ばじゅばじゅという凄まじい水音を奏でながら抜き差しされ少女の胎内を掻き乱す。
 かと思えば今度は彼女を降ろし、両太ももを無造作に持つと、内側に内側にググっと密着させる。のみならずつま先が
天井を指すほど両足を高く掲げる。
「ぁっ、だめ、だめなのそれ、足ッ、揃えられると成幸の太いのが、気持ち、いいっ」
 骨盤の動きのせいでいっそう強く感じられる、そう哀訴する少女はいっそうの嗜虐心を駆り立てるものだ。太ももが、交差
した。させられた。「あああっ、やめっ、それ強い、太い、太いよぉ」。体が柔らかいが故の災難めいた快美──少年がそうい
う要素に欲情した以上、災難というより人災だが──に涙ぐみながら頭(かぶり)を振るうるかはいよいよもって艶かしい。
 人魚姫の体はとうとうくの字に折りたたまれた。
「すげ。さすが武元。膝小僧がシーツに付くとか」
 肩付近の、である。仰向けの体勢でそれはなかなか凄かろう。
0051 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:22:21.33ID:3XYtBtT6
「んーっ、んーっ」
 足を目いっぱい畳まれたうるか。唯我の追撃は止まらない。彼は上体を少女めがけ曲げた。乳房が潰されるほどに2人は
密着した。手が、どちらからともなく相手のそれに絡まった。唯我の右手がうるかの左手と繋がれば次はもう片方と瞬く間に
恋人繋ぎが完成し(はぅわ。憧れてたけど今の状況じゃ何だかえっちだよう)とうるかは驚く。
 実際、両手は攻城の支点となった。ぎゅっと握る少女の両手を支えに少年は突く、衝く、撞く。
「おくっ、おくにまた、あ! あーーっ!! あーーーっ!」
 力強いストロークに喘ぐ唇が塞がれる。「ん゛んー!」。驚いて大きな瞳をまろくするうるかだが騎乗位の時の復習とばかり
すぐ順応。自分から舌を熱烈に差し込んで唯我の口中を愛撫する。下にありながら唾液を送り込んでくる媚態に燃えた少
年に、
「やっ……」
 更に前髪を強引にかきあげられ、額の髪の生え際に何度も何度もキスされる。結合部からの激しい揺さぶりはやまぬ。
「ふぁうンン、ふっ、ふっ、あうううう」
 額を、熱い息で蹂躙され、唯我の唾液でべちゃべちゃにされる刺激は想定外だが、それ単体ならうるかは何とか耐えら
れた。だがいつの間にやら恋人繋ぎを解除した手によって頭をひっきりなしに撫でられているのだけは耐えられない。足を
くの字にされる淫靡な蹂躙の中で、慈しむように愛おしむように、優しい手つきで撫でられているのが
(こんなの、こんなの、嬉しすぎて死んじゃうよぉ)
 いつしかうるかの双眸からは涙の筋がいくつも溢れ、多幸感はあらゆる刺激を快美として受け止める。
 足が、放された。ほっと一息ついた少女は新たな刺激に背筋を粟立たせる。
「だから、おっぱい、だめなの、だめええええ」
0052 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/25(日) 23:22:36.26ID:3XYtBtT6
 忘れた頃に揉みしだかれる双丘の懐かしい快楽に子猫のような声が上がる。
 唯我は半分しか受諾しない。右手だけでヒョイヒョイと肉付きのいい太ももをM字開脚へ直すと、向かって右のそれ
に指をめりこませ支点とした。左手の方は相変わらず乳房を揉んでいる。激しさは、ない、むしろもどかしさで身もだえさ
せるため、じれったいほどゆっくり、ゆっくりと揉みこむ。
「あっ。また、乳首が」
「触られるたび下の方がきゅうっとなるよなお前」
 え!? という形相をうるかはし、
「そ、そんなことまで観察しちゃ……イヤ…………。恥ずかしい……」
 とだけ困りきった様子で告げた。不随意の領域まであげつらわれると、色々どうしようもないと言いたいらしい。
(組み伏せられると大和撫子だよなお前)
 唯我は呆れたが、些細な言葉攻めにすら心から恥らう少女が、うるかが、いっそう愛おしくなった。
 もう打算は「最後の1つ」以外何も無い。唯我は可愛い少女をいじめたい一心の全速全力で腰を使う。肉と肉のぶつかり
合う凄まじい音がする。揺れ動く乳房は頂点が桜色の残影を描くほど揺れに揺れた。
「いい、いい、凄い、あっ、だめ、なんかヘン、ヘンっ、あ!? あああああああああああ!!」
 包皮がまくられた。真珠からの強い刺激はさすがに初夜ゆえ絶頂までは導かなかったが、うるかの感受性をそちらめが
け一段押し上げるには充分だ。
「あ、あああ、あああああ」
0053 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:22:58.23ID:3XYtBtT6
 反射的に背中をバウンドさせた少女。双眸の焦点は合っていない。舌を突き出し、おとがいを仰け反らせた人魚姫は、
半ば喪神状態でぐったりと横たわり息をつく。それほどの刺激だ、しばしば目覚めの兆しを見せていた少女の秘所はここに
本格的な活性を帯びる。蠢動に過ぎなかった淫らなヒレの締め上げが唯我の分身を恣意的ないやらしさでニュルニュルと
歓待する。刺激。うるかの痴態。多方面から調剤された爆薬は男性さえも快美の彼方へ吹き飛ばす。
「た、たけもと、そろそろ、外に……!」
「え!? なんで、あたしまだ、あっ、女の子の日、まだ、一度も、なのにぃ……」
(だからってずっと来ないって訳が……! 今日の刺激が「できる」きっかけにだって……!)
 騎乗位における放出ですっきりしたせいか、やや慎重な構えに移った唯我であったが、もくろみは。
 褐色のすらりとした両足の絡みつきによって阻まれる。動きこそ艶かしいが、いかにも肉食で攻囲的な蟹挟みではない。
綿あめの糸が一重二重と丁寧に掛かっていくようないじらしさがあった。
(あああ、当たるんだ、こういう時、当たるんだ)
 くるぶし。少女のくるぶしが自分の腰骨にコツリと当たったという些細な事実に、少年は驚き、興奮する。
 てか足ちっちゃ! 少年は両目を戯画的なナルト渦にしてうろたえる。
 粘膜ばかりに集中していた所へのくるぶしは、ヤバい。『教本』にない出来事にゃ秀才は、弱い。
(だが乳首! さっきみたいにいじれば足だって緩むはz──…)
 唯我は直後実感する! 結局最後に勝つのは『天才』であると! 秀才は負けるのだと!
「なりゆき」
 淫核への衝撃でぽーっとしたうるかに戦略はない。あるのは少年への愛だけだ。
0054 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/25(日) 23:23:17.33ID:3XYtBtT6
「ほしいの……。なりゆきの……せーえき…………初夜だからこそ……ほしいの……。全部ほしいの、ちょうだぁい……」
(破 壊 力 !)
 うっとりとした、白痴めいたうわ言だが、心から欲しいとせがむ美少女の姿は、唯我の愛への天才は、まったく以ってトドメ
だった。
「あああもうどうとでもなれー!! 後は後、今は今だーー!!」
 後先考えなくなった若い雄は寝そべるうるかの両肩の傍に手を置くと、正に獣が犯すような勢いで腰を振りたくる。放出
の為だけにいたいけな少女の肉襞を使うのは途轍もなく快楽で、だから限界も訪れる。火照りに火照った運動不足の体
から汗の飛沫を舞い散らしながら少年は告げる。顎から一滴しずくが落ち、日焼け跡の乳房で砕け散った。
「出る、武元、出るッ…………」
「凄い、またおっきく……あっあっあっ、凄いの、このまま、びゅーっとして、沢山、出してぇ」
「出る、出る出る出る、あッ、あああああ」
 10度目でも依然おとろえを見せぬ量と勢いが少女の体内を吹き荒れた。虚脱の呻きを漏らしたきり何度か震えた少年は
またも崩れ、うるかの胸へ。

「あー。俺、なんかお前に受け止められてばっかだな……」
「いいのぉ。おっこちてくる成幸の重さも、好きぃ」

 うるかはまだ別乾坤の桃源郷にあるらしい。焦点の合わぬ目で舌ッ足らずの声を上げている。(エロいけど……可愛い)。
少年は見とれたが放出後のどこまでも冷然とした部分は(もし朝になっても戻らなかったら……)と青くもなる。
0055 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/25(日) 23:23:36.50ID:3XYtBtT6
 ここからしばらく実用性のない著述が続く。

『次』をすぐ求められる場合、「脈絡はないが」でページ内検索するとすぐ飛べる。
0056 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/25(日) 23:24:01.11ID:3XYtBtT6
 2人が付き合う事になった詳細はもちろんあるが、この手の物語においてバックボーンは概ね読み飛ばされる傾向にある
ため多くは述べない。
 とにかく付き合う以上、性的な一線に目は向いた、向かざるを得ない。唯我とうるかが他の生徒達と違ったのは「行為」を
受験と同じ次元に設定した所である。期日を、定めた。普通ならそれは「安全日」となるが、どういう訳かうるか、高三にも
なって未だ生理が来ていないという。”できない”子が多い界隈において、新たな”できない”が発生した。
(なんでまた? 水泳でよく体冷やすから……か?)
 とは、気恥ずかしげなうるかに秘密を打ち明けられたさい唯我が抱いた感想であるが医学的には、どうか。
 とにかく不可解だった。そうであろう、うるかのスタイルで初潮すらまだと言われて誰が納得できよう。

 もちろん唯我も男だから、そういう件を打ち明けられた瞬間、妊娠の可能性のなさにホッとした部分はある。が、根は誠実
だから、首をもたげかけた男の勝手を恥ずべき思いで蹴散らした。

「その、病院とかで……診てもらったりは」

 彼ほど検診の重要性を痛感している男はいない。5年前に父を病気で亡くした少年だ、検診と早期発見は信奉している。

 といった感傷は迂愚なむきのあるうるかとて、会話さえ重ねれば付き合いの長さで分かってくる。
「あー、体質? イデンがどうとかって。血とか色々調べたけど、ビョーキとかじゃないから」
 と、いつものサバサバした様子で後頭部かきつつ答えた。「ビョーキ」にやや力を込めたのは、いまひとつのニュアンスが
あるからだ。当時の2人は行為を控えていた。交接による感染を警戒するのは受験生としても当然だ。何よりクリーンな体
であることをうるかの乙女心は叫びたいほど訴えたかった。
0057 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:24:42.32ID:3XYtBtT6
((早い方が、いい))

 初体験の期日である。なるほど男にしてみれば生理の件は都合がいいが、まごついていれば「来かねない」。うるかは
それで唯我が幻滅するのではないかとひたすら肝を冷やした。唯我は唯我で少年だ。
 初陣最後はやはり陣中、深くでという思いは確かにある。
 だが惜しむらくは城は平城、背後にいつ氾濫するとも知れぬ河川すら負っている。討ち入りは急務だろう。

 ともかく付き合うことにした2人は、10日後を期限と定めた。期限に必ず『成せる』よう、受験生らしい計画性で準備を進め
た。初夜、武元家にうるか1人だけだったのも数々の根回しあらばこそだ。

 ……。この辺りもやはり読み飛ばされる傾向であり、述べる意義はないのかも知れない。
0058 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:25:06.47ID:3XYtBtT6
 だがここを省くと『あの2人の、そういうこと』には成り得ないのだ。彼らの行為を、俯瞰的で映像的な淡々たる描写の連な
りで述べることはもちろん可能ではあるが、しかし情緒はない。著述を行うものは、フィクションであろうとノンフィクションであ
ろうと、その脳を強く占めた情景を気に召す文型へ整えるまで決して止まれぬ、一種執拗的な性格を有している。盗聴器も
高かったし、少なくてもこの著述における主眼は「情緒」なのだ。著述する者が愛してやまぬ唯我と武元うるかという少
年少女の情緒を紡ぐため、この著述は開始されたのだ。それがフィクションであるかノンフィクションであるかは、もうお気づ
きであろうから言及しない。

 ともかく。2人。

「受験生なら行為は後にしろ、合格してからにしろ」。正論だ。だが繰り返しになるが「生理」という期日の定めなき期限を
控えていた以上、たたでさえ甘い衝動へ傾きがちな少年少女は性急に動かざるを得なかった。
0059 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:25:38.83ID:3XYtBtT6
 彼らが特殊だったのは、行為を、疑いもなく受験と行為を同列に考えていた点である。

 彼らは、課した。自らに課した。『期日』までに設定した成績を出せないのであればこの話はお流れ、と。

 色事が受験に影響を及ばさぬよう死力を尽くして勉強した結果。

 唯我は師匠と理珠の『得意分野』において、あと4〜5点で勝てる点数を一度叩きだした。
 うるかは唯我謹製の模試で60点台後半から70点台前半を安定してキープできるようになった。最初一桁台だったこと
を思えば躍進といえよう。

 しかし初心な2人であるから、条件を達成しても、期日までは色々と悶々していた。堅実な者は、好きな相手とのまぐわい
にすら悩むものだ。「このタイミングでいいのか」「妊娠は……」「社会に出てからのがいいのではないか」などなど悩みに
悩む。もちろん生物としては「したい」。したいが、したくないというジレンマをずっと彼らは持ち続けた。
 余談だがその当時、2人の間に流れる微妙な空気を察し、「ああまた唯我君とうるかちゃん何か問題抱えているなあ」と
三本線目V字口で胃をキリキリさせていた少女がいた。
 黝(あおぐろ)い髪の古橋文乃である。彼女に対し唯我とうるか、意外きわまる償いをする羽目になるが……詳細は後段に
譲られるであろう。
0060 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:26:48.25ID:3XYtBtT6
「したいが、したくない」。インド哲学のようなややこしい男女の機微はマリッジブルーどころか殺人計画のような様相を帯びて
いた。
 激しさを叩きつけねば昇華できぬ強い感情を抱きながら、叩きつければ現状の一切合財が破壊されると直感し、踏み出
せずにいる複雑な状態。

 たかが交合というなかれ、高校生にとっての初体験とは巨大なのだ。
 真剣に愛し合えば愛し合うほど、一線の超距が関係を根底から崩すのではないかと……常に悩む、
 両名の付き合いが些か長すぎたのもマズい。中学以来の知己という立場が本格的な男女の関係への発展を迷わせた
のだ。

 唯我にとってうるかは、つい最近までただの女友達だった。
 恋愛対象ではなかった者を、高三から発生したうるか怒涛のアプローチで恋愛対象にした速成振りが、なんとなく無理して
「身内」をそういう目で見ているような感じがして、だから戸惑う。

 うるかにとって唯我は中学時代からずっと恋焦がれた存在だ。
 付き合えるようになったのは幸福だが、されど交合とは1つのピークである。ピークを迎えたものは衰えていくのが世の
常だ。そういう瓦解を、うるかは、怖れた。付き合いが長い分、自分の欠点など知られ尽くしているのだと心から思った。
そういう存在が、「ピーク」ですら成果を出せなかった場合、フラれるよねと自虐的なうるかは勝手に思った。
0061 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:27:33.68ID:3XYtBtT6
 しかも唯我の周りには魅力的な女性が沢山いる。自分が飽きられた時、悪夢のようなタイミングで理珠たちの誰かが致
命的なアプローチを働くのではないかと、端的にいえば、ビビり倒した。

 なのにそうやって葛藤すれば葛藤するほど、相手がそれに足る、大事な、とても魅力的な人物に思えてくるから若さは
困る。

 結局、期日は「頑張ったんだし、キスぐらいなら」という及び腰な両名のファーストキス(様子からするとどうやら唯我の方
は『偶発事象や緊急避難ではない、真に自ら進んで』するという意味での、ファーストキスらしかった)からあれよあれよと
火がついて、前章がごとき顛末となった。
「あはは、おいしいお菓子を前につまみ食いだけで止まる訳ありませんー」とは体重計を怖がる文系少女であるなら当然求
められるせせら笑い。

 初夜に視点を戻す。
 最初の交合を終えた後。ひとしきりのキスの、後。
 引き抜いた後でもある。2人は同じシーツの上に並んで寝転がっていた。
 間には30cmほどの距離。密着してイチャイチャしたくもあるが、放出10度の後である、休憩したいし、照れもある。
0062 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:27:50.97ID:3XYtBtT6
(えらいこと、言っちゃった)

 うるか。正気を取り戻した彼女はズーンと固まっていた。やらかした、としか言えぬ笑いを凍りつかせていた。法悦の極み
のなか叫ぶように子種をせがんだ記憶は確かにある。忘我ゆえ完全には覚えていないが、少年への愛を残余なく呻き散ら
してしまったという感覚だけは残っている。恥ずかしさのあまり少女はぎゅっと目を瞑る。慣例で、仕草は自然と乙女じみる。
この時はいまだ火照る頬に両手を当てた。

(見れない。成幸のカオが見れない。あんなことばっか口走りすぎちゃうとか、えっちな娘(こ)通り越してインランだよう。ヒ、
ヒいてないよね成幸!? だいたい初めてであんな乱れちゃうとかどーなん? いや違う、きっと成幸が……上手、だったか
らだ。あ、あたしはそんな、インランとかないんだかんね。そ、そーだそーだ。ちゅ、中学高校とあんなウダウダやって告白で
きなかったあたしがインランなわけ……)
「武元」
「だからあたしはインランじゃないってばーー! 凄く気持ちよかったけど、成幸がうまいってだけなんだからーーー!!」
 怒ったのか、褒めているのか。とにかく呼びかけに過剰反応した少女は><でポカポカと少年を叩く。
「落ち着けって武元! あ、ああいう場面じゃ誰だってああなるんだから、気にすんな!」
「で、でもでも! 成幸のこと考えてシてた時はああならなかったもん!」
 あー。とんでもない言葉に唯我は固まった。聞かなかったことにするが、少女の方は、

「むむむっ、胸の方だかんね! し、下の方は、なんか怖くて……あまりさわれなかったし……」

 といわなくてもいいことをいった。後はいつものパターンだ。数分後うるかは後悔して頭抱えてぶるぶる悶えていた。

「……自爆すんのは勝手だが、人が気ぃ使って流してる時ぐらい流せよ」
 少年はやや不機嫌そうに瞳を細めた。ゆらい初めての相手にすべきではない言葉の荒さだが、うるかには中学以来ずっと
こういう口ぶりなのだ、今さら治しようもない。
「な、成幸は、どーなん」
 いつの間にか頭巾の如くシーツを被っていたうるかは、片目だけをちらりと覗かせ「あたしで……シたの?」と問うた。
「お前なあ」。唯我はちょっと頬を赤らめながら気まずそうに答える。「それ、俺が同じことしてたって白状しない限り、絶対
納得しねぇパターンだろ。つうかここで強めに「ねえよ」って言っちまったらお前ぜったい傷つくけどいいのか?」
(そーでしたぁ)
 少女は頭巾(シーツ)を投げ出しズズンと落ち込む。青紫の縦線が10本ばかり褐色の顔の右半分を覆った。
 オカズにされてなかったという事実があれば「あたし魅力ないんかなあ」と落ち込むのが自分だと気付いた少女は、
「あ、あはは、今のナシ! さっきのでちょっとヘンになってるんかなあ、忘れて!」
 空笑いを打って誤魔化す。直視したくないことをこうやって回避してきたのは自分の悪い癖だなあと人魚姫は思うが、染み
付いた習慣は、そうやすやすと直せない。
「……したよ」
「え?」
 ぽつりと呟く唯我に大きな瞳をぱしぱしさせるうるか。
「だから、お前で、したことあんだよ。悪いか。あ! つ、付き合うようになってからだぞ、本当だぞ!」
「な、なんでまたそーいうことを……?」
「なんで!? お前がそれ言う!? ボタン開けて胸元見せたりとか、目の前で足丸出しで寝たりとか、スマホの操作ミスって裸
見せるとか、そーいうことばっかお前してきただろ!」
(あー。最後のだけだなあ、事故なの。他は完全に故意だ、ごめん成幸……)
「あとラーメン!」
「ラララ、ラーメン!? 倒れた後の奢りの!? 何でアレで!? あたし普通に食べてただけじゃん!? 」
「……色々艶かしかったんだよ! そりゃすまないとは思ったけど、ウチ貧乏なんだよ! 本とか買えない環境であんなスッゲェ
刺激きたら、そのっ、仕方ないだろ!」
0063 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:28:08.88ID:3XYtBtT6
 ぱああ。うるかは輝く笑みを浮かべた。

「いや、ズリネタにされてその顔はねえだろ」
「えへへ。そうだねー。えへへ」
 少女はまた咲(わら)った。余談だが「咲」、中国ではもっぱら「わらう」の意で使われている。故に『武井咲(えみ)』)。開花
の意で使われるのは「茹でる」同様、日本独自の用法だが神代記のような古い書物では「咲(わら)う」で使われている。文学
作品における有名な使用者は、司馬遼太郎先生の『城塞』は冬ノ陣の項冒頭の淀君であろうか。
 余談が過ぎた。

 うるかはちょっと甘えモードになった。30cmの距離をずずいっと詰めて唯我にすり寄る。
(あたしで……するとか、変な形だし、恥ずかしいけど……でもその時だけは、あたしに、一番一生懸命になってくれてたって
こと、だよね)
 あまり細かいことは考えられないうるかだから、そう思う。
「てかー、なんでスマホ活用せんだんー? 時代はいまデジタルだよー?」
 嬉しくなるといかにもギャルっぽい演技で唯我をからかいたくなる。
「俺が電子機器ダメって知った上で聞いてるだろお前。だいたいアレ、家族共用だし……「使える」のもフロん時ぐらいだし。
でもあれ電話がかかってくんだぜ、家族共用だから。ヒヤっとしたなあ。おっぱじめようかって時、母さんの勤務先にコール
鳴らされたときは……」
 家には唯我のアドレス帳を勝手に覗き見る悪魔もいる。いかなデジタル音痴の唯我でも履歴バレぐらいは警戒する。
「だからその、あたし、で……?」
 どきどきと期待を込めて唯我を見つめるうるかに「あんだけアプローチされりゃあな」と少年はバツ悪げにそっぽ向いた。

「あ、ところであたしが初めてって分かったのなんで?」
 それは挿入直前、唯我が放った言葉である。仔細が明かされるまえに怒涛の動乱へ突入したためうるかはずっと理由を
聞きそびれていた。
「あたし隠してたつもりだよ? だから、く、口とか、胸とかで、オトナらしさのエンシュツっていうの? 慣れてる感じを出した
つもりなのに、けっこう……練習したのに、もしかしてその……気持ちよく、なかった?」
「……スッゲエ良かったけど」。両名の視線は期せずして少女の体のあちこちに付着する白濁に行く。栗の花の匂いが鼻腔
をくすぐり、2人は決まり悪げに頬を染め、黙る。
「お前いろいろぎこちなかっただろ]
「ぎこちなさめー」
 少女は無心で呟いた。怒りを表明したらしいがどうも脈絡がない。
 とにかく、唯我がなぜうるかの経験の無さに気付いたのか。
「お前……告白、の時、俺のこと中学時代から好きだったって言って……くれたろ」
「うん、言った。言ったね。えへへ」
「だったらぎこちなかったのは久々なせいじゃない。まさか小学校のころ既にってのはお前の性格上ないだろ絶対」
「確かにそうだけど……たったそれだけで見抜くなんて……」
 探偵みたいな唯我カッコいいようとポワポワする少女であった。

(うー、でも)

 シーツに目を落としたうるかは困ったという顔をした。汚れが、ひどい。破瓜の血や愛液、白濁や汗、涎に涙といったシミ
が到るところ点々とこびりついている。

(どーしよコレ。流石にママに任せるわけには……)




 そっから更に2回したのが金曜日の夜。
0064 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:28:26.42ID:3XYtBtT6
 翌日。土曜。昼。武元家、洗濯機前。

「珍しいわねあんたがシーツ洗濯するなんて」
「そ! そりゃもう高三だし!? 一人ぐらしに向かってぼちぼちヨコウエンシューしてく時期だし!?」

 ゆうべ家に居なかった母の問いにギクリとしたうるかは上ずった声を漏らす。追求は覚悟していたがどういう訳か何もこ
ない。(やりすごせた……)と安堵したうるかは洗濯槽の中のシーツに手を伸ばす。脱水さえも完了したそれは濯(すす)が
れきった洗剤特有の爽やかな匂いを漂わせている。淫らな匂いはない、バレない。安心と共に、湿り気でやや青白く透き通
った布団の布を持ったうるかは、せっせかせっせか。手を動かす。

 彼女の母はぼんやりと様子を見る。ゆうべ家に居た唯一の──そしてここ1週間、ママは金曜夜に外泊するよね絶対す
るよねと何かと聞いてきた──家族の、普段ならば、絶対ありえない挙措を母はしばらく眺めるともなく眺め続け

「うるか。生理きたらちゃんと言うのよ。色々買うから」

 ちょっとからかうように、告げた。少女はつんのめり、露骨に四肢を踊らせた。
「色々」に避妊具が含まれているのを直感するに到った訳だが、この辺のなまぐさい機微は母娘でないとちょっと分からない。

「なななっ、なんでそっちに話がトぶかなー!?」
「変? 自立が近いならそろそろかなーって思うのは普通でしょ?」
「そ! そりゃ、来たらちゃんと言うし、報告するけど! じゅ、準備ぐらいしてるから! い、いざって時すぐ対応できるよう
準備してるから、あまりこの話題ひっぱらないで頼むから!」

 はいはい。うるかの母は立ち去った。


 火曜日。更衣室。

「水泳バカが3日も練習休むとか」
「土日はともかく月曜放課後に法事って……。ねー?」
 久しぶりの部活で、川瀬隊員と海原隊員にニヤつかれた。余りに女性的な傷ゆえに休んだのを知ってるぞと言わんばかり
のニヤつきだった。

 水曜日。図書室。

(ううう。どうしてあちこちにバレるかなー。そんでタンコブまだ痛いし。どんだけあたし全力で頭ずがずがしてたんだ)
 三人娘合同の勉強会でうるかは頭を抱え俯いていた。どんより紫した顔で「うぅ、ズキズキする」と呻いた。
「大丈夫? 保健室で氷貰って冷やす?」
 親友の優しげな申し出だけが救いだなあと人魚姫は思いつつ「うん頼むよ文乃っち」と快諾。眠り姫は任せてと席を立ち
廊下へと出ていく。「……?」、彼女に反応したのは親指姫。
(…………)
 理珠はシャーペンを顎に当てたままじっと考える。「なぜこの登場人物はこういう言動をしたのだろう」が分からない時の
もどかしい感情があった。が、感情について未分化な理珠だからクッキリとした明文化が出来ない。

(えっと、えっと)
0065 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:28:47.93ID:3XYtBtT6
 牧歌的なまでに瞳と輪郭を円くして、理珠はいっしょうけんめい、考える。


 数分後。

「どうしたの武元うるか頭なんて抱えて。もしかして頭痛? 良かったら頭痛薬貰ってきてあげるけど。え、違う? タンコブ?
それプールで打ったせいなら精密検査した方がいいんじゃないの? した? ちなみに原因はプールじゃなくベッド……? 
……。珍しいわね、あなた寝相いいのに」

 ぶらっとやって来た関城紗和子その人以下敬称略がふと疑念に染まった瞬間、うるかは顔いちめん真赤にした。

(さわちんはさわちんで無自覚にガンガン来るのが怖いよう)

 関城さんならぬ責譲さん……などという諧謔は文乃でもなければギャグにさえならぬであろう。「譲」の一般的な字義は
「列に切れ目を入れ、自分より前の位置に相手を招く」であるが、同時に「敢えて割り込ませ、挟撃する」という意もあり、
それがゆえ常用表外では「譲(せ)める」と読む。
 うるかは、挟撃の渦中に陥る。理珠が不意に発言したのだ。

「あの。武も……うるかさん。関城さんの方が正しいのでは」
「(ギャー! リズりんまで追撃してきたよー! やめてあたしのタンコブの原因これ以上さぐるのやめてーー!)
 胸中、画鋲2つ踏んだドーモ君のような形相で慄くうるかであったが、次の言葉にはちょっと目を丸くした。
「どうして文乃は気付けたのですか? なぜ何も聞かず氷という正解を導けたのですか?」
 理珠はただ、無表情を純粋な疑問に染めて問う。タンコブについて言っているらしい。
「なぜってそりゃ……文乃っちのカンサツリョクは鋭いし? あたしの微妙な動きとかから気付いたんでしょ多分」
 唯我以外にはまったく無頓着な人魚姫はあまり気にしないが、「いやいや待ちなさいよ」と紗和子が待ったをかける。
「え? なに? まさか古橋文乃は何も聞かず一発であなたのタンコブに気付いたってこと? 後頭部の、しかも髪に隠れ
ているコブに? 普段なら必ずやってる問いかけなしで……? パっと見、普通の頭痛にしか見えなかったのに、最初から
氷を? 血行不良に基づく頭痛ならむしろ悪化しかねないのに、頭痛薬じゃなく、氷……?」

 そーだけど。それがどうしたのと非常に戯画的な表情でのほほんとするうるかに紗和子は少し考える。

 最近のうるかと唯我が相手を見る度ひどく緊張していたのは知っている。「ぎくしゃく」ではない。緊張だ。そして今のうるか
は何だか肌がツヤツヤしている。紗和子はそれに気付いた瞬間、有名な騙し絵が壺から横顔になった時のような切り替わり
をもうるかに感じた。

(なんかやたら綺麗になってないこのコ)

 理珠一本の紗和子ですら「どきっ」とする色香があった。唯我との緊張のあと色っぽくなった少女……1つではないか、
答えなど。その解は寝相しとやかなる少女がベッドでタンコブを作るかという疑問すら紐とく。

(つつっ、つまり行為の最中で……!?)

 冷めているようで男女の機微に年相応の関心アリなのが紗和子だ。衝撃の推測にやや下卑た赤面──断っておくが
中傷ではない。げへげへと臆面も崩れること出来るのが彼女最大の魅力なのだ──でニヤケながらも困惑する白衣の
少女。もっとも根は怜悧だから(いやいや事故よね事故のはず、唯我成幸の性格的に暴力はないし)と考えるが──…

 問題は。
                                           いま
(古橋文乃。彼女が武元うるかのタンコブに気づいたのって……本当に今日なの?)

 ガチの観察力で気付いただけと紗和子は思いたいが
0066 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:29:00.74ID:3XYtBtT6
(まさか何かの拍子で現場目撃してたりしないでしょうね……? たたっ例えば初めての夜、どっちかの家に向かう途中の
どっちかを雑踏で目撃して、ただならぬ様子が気になって尾行したら……的な)

 紗和子は知らないが、幕末、そういう事例があった。片貝某という長州藩士が、仲間の幕府方への内通を顛末上記が如く
で知ってしまい、消されたという。

 果たして、文乃は、どうか。
0067 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:29:29.11ID:3XYtBtT6
 さて唯我。初夜かれは武元家に宿泊した恰好になるが、家族に対してはどう繕ったか?

「今週も金曜は小林の家に泊まるから。勉強で合宿すっから」

 男友達を使ったアリバイという、秀才が聞いて呆れるほど陳腐な事前策をこの男は敢行していた。

(1ヶ月前から毎週金曜は本当に小林ん家泊まるようにしてたから怪しまれない筈!)

 初夜当日に関しては小林少年に「頼む! 何も言わず今日もお前の家泊まってるってことにしてくれ!」と手を合わせ頭
をさげた。察しのいい親友はそれだけで「電話きたら今は寝てるって言っとけばいいんだね」と快諾してくれた。

 ところが水曜日──うるかのタンコブについて紗和子が不安を覚え始めた日の夜──、花枝は息子たる唯我にちょっと
ニヤついた表情で

「今週土曜ちょっとみんなで親戚の家泊まらなきゃならなくなったけど、あんた受験生だもんね、『留守番』……するわよね!
頑張るわよね! 頑張りたいわよね!」

 と聞いた。少年の顔からちょっと血の気が引いた。このあたりの生ぐさい機微も母子でなければちょっと分からない。
0068 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:30:00.62ID:3XYtBtT6
「そ、そりゃ、1人の方が捗るし」

 声音が堅くなった。まさかバレているのかでも母さん大らかだから無言の許可なのか、いやいや待てアリバイ工作は完璧
だった筈1ヶ月前から仕込んでいたんだぞ大森ならともかく小林がトチる筈がでも完璧なつもりな計画ほどつまらないミスで
露見するのが世の常な訳でエトセトラエトセトラとうろたえる少年は気付かない。

(なんか、怪しい)

 妹が、自分と母とのやり取りを襖の隙間から覗いているのを。水希ちゃん(以下敬称略)。唯我を愛すること甚だしい黒髪
ぱっつんの少女も何となくだがキナ臭い雰囲気を感じている。

 朝帰りの記憶じたいは消されている。先週土曜、初夜を終えて帰ってきた唯我にもちろん食って掛かりかけた水希であった
が葉月ちゃん和樹くん(以下両名とも敬称略)がパっと出てくるや。

「お兄ちゃんは朝帰りなんてしてない」

 尋問の険に彩られていた水希、みるみると凡矢理もとい惆(ぼんやり)した顔つきへ蕩け果てた。
 その後ろには、紐付きの五円玉をポケットに手際よく仕舞う和樹がいて、葉月と花江は無言でサムズアップしていた。

 どうも、朝帰りの記憶は消される慣例らしい。文乃との外泊の時も恐らく同じ処理が行われたのだろう。

 が、水希。

「今度の土曜、兄以外全員が外泊」「兄だけを、残す」といった母の提言に、脳の、記憶の欠落した黒いクレバスを刺激された
らしかった。「っ」。右側頭部を微かな苦悶の顔つきで抑える水希。尖った槍の砕片が貫通したような衝撃と頭痛に当惑する。

(私は……何か、大事なことを忘れている……!)

 謎めいた苦衷はずっとあった。

(先週の金曜、お兄ちゃんはいつ帰ってきたの……? 祭りの日は? 夜、突然飛び出していった日は…………?)

 不安は、記憶を消されてもずっとあった。何が不安かを考え、眠れない日々が続いていた。

(そのせいで最近……不眠症気味だよ…………)

 目の下のクマ。兄を取り巻く見目うるわしい少女たちにはないそれを兄に気味悪がられているのではないかと怯える。

「やっとく?」
「やっとこうか」

 背後で幼い弟妹が紐と五円玉の化合物を持ち出した。にじり寄る二豎(にじゅ)と忘却病。熟慮の水希は気付かない。

(しかもお兄ちゃん、先週金曜以来、ヘンだし。思いつめた表情すると、ランニングとか筋トレを、いきなり……)

 それは、うるかの女体を想像して悶々とした時の適応機制である。弟妹のせいで容易に自己処理できぬ彼にとって、あ
けっぴろげに出来るただ唯一の発散であった。
 この奇行は、唯我の母堂の確証を強める材料であったのは想像に難くない。初体験を疑わせたのは何か別な案件であ
ったかも知れないが、ランニングや筋トレは補綴足りえたろう。

 人生経験の浅い水希はそういった生臭い男の摂理までは理解できない。が、「おかしい」ことは仮令(たとえ)予備知識の
ない子供だったとしても分かるものだ。

(とにかく! お兄ちゃんを一人きりにさせちゃいけない!! 理由は分からないけどさせちゃいけない!)

 外泊の記憶こそ失っているが外泊の結果行われたであう行為への根源的な恐怖が決意を生む。

(決めた! 土曜日、私はゼッタイ家開けない! 親戚ゆき賛成のフリしてお迎えの車きたときバックれて! 家戻る!!)
0069 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:30:21.24ID:3XYtBtT6
                                        かた
 可愛らしい怒りの表情で眦(まなじり)に涙溜める水希の決意は、鞏固い。

「これはムリだよ」
「50円玉がないとムリだねー」



 そして決戦の土曜昼! 水希は!

「すぴー」

 縁側の板に寝そべり! 涎を垂らし! 眠っていた!

 ああ! 決意を固めていた筈の彼女が、いったい誰のせいでこんな目に!!

「え、母さん、この状態で水希連れてくのかよ、せめて起こした方が……」
「いいのよ。ここしばらく何か不安らしく寝れてなかったし、起こす方が可哀想よ」
 唯我の傍で花枝はあらあらまあまあと笑っていた。
「んもーてっきりゴネると思ってたのに寝ちゃうなんてドジなんだから! でも大人しく親戚の家いく方が成幸に好かれるの!
無理やり残ってお邪魔したら嫌われるわよ〜。お兄ちゃんは大事な用事があるんだから」
 娘に肩を貸す母のポケットから何か落ちた。青と白が半々のカプセルがたくさん規則正しくパッケージされたシートであり、
その一隅では拉げたブリスターから遥か下の地面が見えている。つまり一錠が……使われている! 
(あコレ睡眠薬だ、睡眠薬だよ絶対、母さん水希に一服盛りやがったな睡眠薬を!)
 視線に気付いた母は「バッ」と無言で座り込んだ。水希に肩を貸しているにも関わらず恐ろしく機敏で、獰猛ですらあるその
速度が唯我には怖かった。
 小声だったが、唯我は聞いた。確かに聞いた。「まずい疑われちゃう疑われちゃう」と早口で紡がれた母の言葉を。
(オイ)
 唖然とする息子の前でうずくまっていた母はしばらくゼーハーゼーハー息せききっていたが、立ち上がると、
「た・だ・の、お母さん用ビタミン剤よぉ」
 と、てへぺろ顔でサムズアップし楽しげに笑った。
(ウソだよなそれ絶対ウソだよな!? あんた俺の妹に何してくれてんだ! ああいやでも不眠症気味だったから処方とし
ちゃ正しいのかいや正しくねえよ!! 医者のちゃんとした処方なしの投薬とかダメだろ絶対!)
「う、うう。全身まっくろなラバースーツが私のみぞおちに鋭い貫手を…………」
(ほら水希ヘンなユメ見てるし! 母さんあんた何してくれてんの!?)
 依然として白目を剥きぐったり呻いている妹にまったく唯我は同情を禁じえないが、

(けどすまん水希)

 水希を押し込まれた親戚の車のドアがバタムと閉じた。それがブロロロと去っていくのを唯我は涙ながらに見送った。

(今日ばかりは、今日ばかりはお前が居ない方が……。すまない……)

 口に横手を当てた少年。不等号に細まった双眸からボロボロっと溢れるは水球。


 連行っ……! 唯我水希、連行っ……!


 ここに最大の障害が、消えた。
0070 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:30:51.23ID:3XYtBtT6
※ 『次』をすぐ求められる場合、「脈絡はないが」でページ内検索するとすぐ飛べる。


 うるかが唯我以外だれもいない唯我家に到着したのはこの日の午後5時。
 服装は文乃を見舞いに来た時のアレといえば早い。唯一ちがうのは髪型で、ポニーテールだった。

 着くなり玄関先で「んっはあ!」とか何とかベロチューの1つでもかまし、そのまま朝まで貪りあってくれれば述べる方とし
ても楽だったが、

「よいしょ」

 うるかは、靴のつま先を玄関めがけ揃えそして置いた。
0071 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:31:04.87ID:3XYtBtT6
「しばらく俺の部屋で勉強な」

 唯我は玄関の扉をかちゃりと施錠した程度に収まった

 事もあろうにそれから2名は午後10時を過ぎてなお普通に受験勉強をしていたから始末が悪い。
 節度というか縛りというか、ともかくこの数日前から「やることはやるが、英語の強化合宿を5時間ぐらいしてからでもないと」
といった約定(うごき)がどちらからともなく芽生え、かかる協契と相成った。

 設定された刻限は午後10時。

 むろん若い2人だ、机に参考書やらノートやら広げた当初はすぐ隣で自分にとって心地いい匂いを漂わせている相手に、
(これホントにガマンできるんだろうか)とドキドキ悶々としていたが、30分も経つとすっかりふだんの授業風景になった。

「ええーっ、アルファベット1文字だけじゃん抜けてるの。オマケしてよー」
「お前なあ、受験でそーいう物言い絶対通じんぞ。いま間違えた単語10回練習な。あとでテストして暗記できてるか確かめる」

 1時間14分目で小休止。20分の休憩と雑談を挟んで模擬テスト。
 2時間49分の時点で先の模試の採点完了。プラス4点は微増の範疇とはいえ、うるか、最高記録更新。唯我、褒める。
0072 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:31:21.57ID:3XYtBtT6
 二度目の休憩が終わったのが午後8時15分。順番は前後したが唯我もうるかもこの辺りで「もう少しで……」と行為を
ちょっと意識したが、あと僅かだからこそ妙な色気を勉強に持ち込むのが憚られ、むしろ一層集中した。時おり訪れる
一茶頃(いっさけい)のズズリという音はあたかも”ししおどし”の如く。

「つーん」
「悪かったって。中学からずっと名字で呼んでるせいで、つい」
「……やだ。2人きりの時ぐらい「うるか」って呼んでくんないと、やだ」
「すまん武もt……あ!!」
「だから! ああもう成幸も練習しようよ、あたしみたいに……」

 刻限たる10時までの活動は静謐なるがゆえに起伏はなかった。
 質問と返答、指示と練習が交差するいつもの勉強風景であり、傍目からはとても性行為を控えた若い男女には見えなかっ
た。
 いや、当人達ですら滑稽な話ではあるが失念しているようだった。
 失念する瞬間の方が多くなり始めていた。甘美への興奮を誤魔化すため眼前の勉強を徹底した結果、セックスという、
質量のない砂糖菓子よりも魅惑的なイベントが、最近ちょっと巷を沸かせている程度のゴシップネタ程度の頻度でしか脳
髄を過ぎらなくなった。
0073 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:31:35.22ID:3XYtBtT6
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 5時間。大作と呼称される映画ですらほぼ2本見れるほど長い時間。寝れば一瞬だが、爆ぜそうな生理現象を耐えるには
余りに長い。若く、旺盛な性欲もまた爆ぜそうな生理現象であろう。2人は、よく耐えた。勉強風景からすれば忍耐という言葉
はやや遠いが、質実を以って軽燥を押し込め抜ける高校生などそうはおらぬであろう。

 うるかの茶量はいつもより多い。間を持たせるためとか鎮静のためとか、色んな理由でコクコク飲んだ。
 
 これがのちに、どうしようもなく彼女を恥ずかしがらせる原因になるとも知らず……。

「あ、その菓子もらっていいか。葉月と和樹の好きな奴なんだ」
「いいよー。袋ごといっとく?」

 暗記カードの束から目を離さない少女に「すまん、感謝する」と手を立て頭を垂れる少年といった退屈な情景が続き──…

 ようやく刻限たる午後10時が、来た。
 その瞬間、2人は!
0074 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:31:48.71ID:3XYtBtT6
「えー。じゃあここの文法こうなるんじゃないのー?」
「だから違うって! お前のここへの騙されっぷりはなんなの!? そりゃ日本語じゃこーいう順番だけど、英語は違うの!!」

 まったく気付いていなかった。せっかく机の上の目覚まし時計さんが、待望していたはずの午後10時を差してくれていた
のに、ほんとう、全然、完膚なきまでに! 気付かなかった。

 目を縦棒いっぽんの無心にした表情で、かりかりとノートに書き留めるうるか。
 ぼやきながらも、彼女用に分かりやすい例題を考える仕草の唯我。
 時計の針がカチリと動き午後10時01分になったが、勉強に没頭する2人は気付かない。

 ぽたぽた。急須の口から鮮やかな翠の雫が垂れる。「湯淹れんの3度目だぞ。やかんのが良かったかなあ」、唯我がぼやきなが
ら台所に行った間もうるかは休まず練習を続ける。

 10時32分。「あ! なるほど!! これなら分かりやすい!」「ホントか? じゃあ応用問題出すからやってみろ」

 10時45分。「……。2問目より捻ったのに正解とか」「えへへ、分かってきてるっしょ?」

 10時57分。「じゃあさ成幸、あれもこれと根っこは同じだったりするん?」「よく気付いたなお前! そうなんだ実は……」
0075 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:32:12.29ID:3XYtBtT6
 …………。


 こいつら、いつヤるんだ。

 と、述べる方すらヤキモキするほど両名は勉強漬けであった。


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 まったく唯我という男はよほど教育者気質らしい。確実に成果を出しつつあるうるかが嬉しく、つい指導に熱がこもる。
 少女は少女で一生懸命かんがえた結果が上達に結びつく水泳のような構図が楽しくて、何より大好きな少年に褒められ
るのが嬉しくて、頑張ってしまう。
 その頑張りが指導の熱になる無限の循環はもちろん平素であれば好ましいものである。
 性の機運を、輝度の高いソーダ・アイス色のエネルギーを、対受験の高純度燃料に転化しうる節制じたいは見事である。

 が、エロを述べる方や述べられる方にしてみればこれほど馬鹿馬鹿しい構図もないだろう。

 しかしまだ抜粋であるだけマシと容赦していただきたい。唯我と武元うるかの情事であることを示すという名分のもと、
そのじつ同じ苦痛を味わえとばかり、金甌無欠でノーカットな5時間以上の『勉強風景』総てを述べるのも当然可能である
が、1秒でも1字でも早く「本番」へ行けるものが是とされる情報化社会の成人指定に則り、最低限の抜粋に留めた。(その
ため勉強の用語的なものは意図的に省いた)。
0076 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:32:30.55ID:3XYtBtT6
 11時22分。運命の転機が。訪れた。

「ほんとだ予備校のテキストに解説あった」

 先に気付いたのはうるかである。何気なく時計を見た瞬間、勉強のキャッチボールは終わり──…

(もうほぼほぼ11時半なんですけど!? 予定から1時間半、過ぎちゃってるんですけど!!?)

 温和で優しい少女だから、勉強に夢中で、唯我に「そういうこと」をさせてあげれていなかった事実にまず申し訳なくなった。

(ううう。家族の人だれもいない夜に1人でお泊りしにくるって「そういうこと」なのに……! と、途中まではちゃんと覚えてたっ
ていうか、覚えてるからこそ勉強に集中したのに気付いたら90分ぐらい過ぎてるとか本末転倒もいいとこだよーー!!)

 艶っぽいお姉さんキャラなら、「あらもうこんな時間。ここからは夜のお勉強ね」とでも上手く誤魔化して突入できるが、うる
かの経験値は乏しい。わずか1週間ほどまえ初夜を迎えたばかりなのだ。とてもフェロモンむんむんで誘惑などできない。

 が、じーっとしててもどうにもならないとは中学以来さんざ味わいつくした実感でもある。

(落ち着かなきゃ。とと、とりあえずお茶飲んで、落ち着いて、そっからゆっくり考えないと)

 すっかりぬるめの緑茶をズングリした白い湯のみからコクコク飲むうるか。好材料はある。初夜。かすかだが度胸付けに
なっている。

(そうよ武元うるかあたしだっていつまでも昔のあたしじゃないの! こーいうときはウジウジしてないでバっと伝えるのが一番!
ふ、ふしだらな女の子って思われるのかもで恥ずかしいけど、な、成幸だってえっちなこと好きだし? 予定だって過ぎてるん
だし? あたしから誘っても問題ない! 筈!)

 意を決したうるか、ついに喋る。

「なりy「でだな、ここはこういう覚え方をするとだな」

 熱の入った唯我の解説に流された。流されながらも教え子の悲しい性で、ついつい反射的にノートをとってしまう。ノートを
とる作業が、告解という莫大なエネルギーに割くべきリソースを喰ってしまう。眼鏡少年のレクチャー、続く。

(ううう。言い出し辛いよぅ。成幸の解説、ギア入っててめっちゃ分かりやすいから、遮るの勿体なくて、言えないよぅ)

 双眸を不等号にして、ミニマムな雪だるま型の涙を溜める褐色少女。明らかな変調だが、解説に没頭する唯我は気付かない。
この男のよくない点である。文乃のポニテくるくるから何1つ察せなかった時の、唾棄すべき、とても腹立たしいアレが出た。

 11時47分。

「すまん武元。茶葉がなかったんでほとんど湯だが良いか」

 と急須抱えつつ台所から戻ってきた唯我、時計に気付く!

(……!! ……!!)

 彼の滑稽さたるやなかった。危うく落としかけた急須を辛うじてキャッチすると、眼鏡の奥の瞳をくわっと見開き、口を数度
パクパクさせた。動揺は着座しても続いた。

(やべえ。すっげえやらかしちまってるぞ俺! 2時間近く、その、武元と、する……ことを忘れちまってたとかどうなんだ!? 
いや受験生としちゃ寧ろこっちこそ正しいんだけどね、しかし男としてはどうなんだ!?)
0077 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:32:51.49ID:3XYtBtT6
 客観的に言えば、唯我はさっさと刻限が過ぎている旨だけ告げればいい。もしこれが

”唯我が下心を隠し、勉強すると偽って、うるかを招いた”

 であるなら、勉強からの急転直下で襲うのは到底歓迎できない行為だが

(武元からの了解は、既に……)


──「べ、勉強も頑張るから、終わったら、ご褒美を……」


 といった約定は先日確かに引き出している。(あん時の武元、可愛かったなあ)と唯我がホワホワするほどのうるかだった。
その時の彼女は俯き、前髪に両目を隠したまま、唯我の袖を「ちょいっ」と摘んで、気恥ずかしそうにおねだりしていたのだ。

(だ、だから時間過ぎてるってちゃんと告げさえすればガーっと行ったっていいわけで)

 ガマンしていたぶん、思い出すと、ひどい。おねだりうるかを思い出したのも惹起となった。
 いまや唯我最重要の橋頭堡には戦力が結集しつつある。7時間、である。下世話な言い方をすれば、精力が全盛で、発
散すべき機会に驚くほど恵まれぬ男子高校生が、つい先日モノにした魅力的な少女と、7時間2人きりで、『何も』なのだ。
 彼らは。
 受験生として、やるべき勉強を、やった。予定より2時間も長く……。
 そしてもう深夜であり、疲労はピークだ。人間の頭脳的な構造からいってここからの継戦ほど能率の見込めぬ作業もない。
 で、あるなら。

((べ、別に、いいよねっ!?))

 と唯我とうるかはほぼ同時に両名から視線逸らしつつ、蒸気漂う情けなき泣き笑いをした。

 が、唯我の口をつくのは英語の解説ばかりである。うるかもまた、質問しかできない。

(だって……)
(切り換えのタイミングがわからん……! ど、どーやってるんだ他のヤツは! いつも通りな雰囲気から、ああいうことへの
切り換えってどうすりゃいいんだ!?)

 間が持たないのか、そわそわした様子でお茶を喉へ流し込むうるか。両目をグルグルさせテンパる唯我。

(いやほんと、切り換えってどうやりゃいいの!? エロいこと書いてるサイトにゃなかったぞそんな知識!!)

 刻限を設定していた理由の1つは正にそこだった。女性の経験に乏しい唯我だから『刻限』に頼ろうとしていたのだが、
……忘れていた。

(あああ、ヤバい、武元が、俺との、ああいうことずっと待っててくれてるんだったら、いつまでも勉強してんのは何つーか、
失礼だろ! 約束すっぽかしてる形なんだから、怒ってるかもで、だから謝って、武元がどうしたいか聞かないと……!)

 とここまでは理性的な判断だったが、”そうではない”部分に気付いた成幸、首から油の切れたブリキ人形のような音立て
つつ下を見た。

 どことは言わないが視線をやった部分はもうギンッギンである。

(聞き辛いよぅ。こんな状態で武元お前はどうしたいって聞くの、俺がシたいだけって思われそうで怖いよぅ)

 情けない戯画的な表情で涙ぐむ。シたいのは事実だが、そんな状態全開で相手の意思を問うのは軽蔑されそうで、怖い
のだ。
0078 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:33:34.51ID:3XYtBtT6
(てかギンギンな状態で英語の方は解説してるこの状況なんなの! 武元に見られたらヒカれますよね絶対!)

「先生」と呼ばれる存在は性的で陰湿な部分をひた隠すべきなのだ。露悪すれば以降けっして上流に置かれることはない……
といった教育の基本的な部分は何となく分かっている唯我だから、生理反応と教育勅語の乖離に苦しみ出す。

 幸いうるかは気付かない。気付かぬまま、出涸らしもいい所の一杯を服(の)み干し、何度目かの質問をした。

「で! あの、ここっ、ここの単語はどういうイミかなーなんて」
「はいっ!? あ、そ、それ!? それはだな」

 辞書の、小さな項目だったのがマズかった。覗き込もうとした唯我の二の腕に、うるかの肘がこつんと当たった。

「「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」」

 真赤になった2人はめいめいとは逆の方へ飛びのいた。色々緊張しているところでの肉体的接触は、気まずい。あと中途
半端でもあった。普通こういう場合は「ギンギン」の方こそ当たるべきではないか。衝突から少女の奉仕へとなし崩しに行く
べきであるのに、やんぬるかな、唯我はうるかの肘に二の腕を当てるという気の利かなさだ。

「ちちっ、違うからな武元!! 催促とかじゃなくて! 本当に偶然、当たっただけで!!」
「わわわ分かってるから成幸! 分かってるからーーー!」

 額から蒸気吹く2人はもうパペット人形状態だ。差し向かって手をアワアワあわあわ振り合って初々しく大慌て。メトロン星
人じみた両手を意味もなく上下する様はモンキーダンスにも似ていた。求愛でも威嚇でも滑稽すぎる踊りだった。

「あ……」
 少女の視線は少年の、テント状態な股間に吸い付いた。
「! み、見ちゃだめーー!」
 などという唯我は真赤だ。スカートでも抑えるような手つきでズボンを抑え(あああ、俺、俺、見られてるーー!)両目を不
等号にして涙ぐんだ。

(乙女か。……でも可愛い)

 うるかが呆れるほどのグダグダぶりであるが──…

 膠着とはそれが長引けば長引くほどつまらぬきっかけで崩れるものだ。というより、膠着を倦む者ほど『つまらぬきっかけ』
を力尽くで状況打開に結びつける。僅かな潮目の変化に、降り積もった鬱憤をここぞとばかり叩きつけ……事態を動かす。

(駄目ようるか、ここはいい子で流しちゃ駄目ーー!!)

 変転に手をかけたのは以外にも武元うるか。

(ここで普通に流したらまたヘンな雰囲気に逆戻りじゃん!! ここ、ここはあたしから仕掛けるべき! でもどうやって!?
あたしオトナなユーワクの仕方知らないよ!!?)

 が、天啓ッ! 脳裏を過ぎったのは意外にも『小美浪先輩』ッ!

(そうだ! 時々あすみ先輩、成幸からかってるじゃん! あれが多分ユーワク! えっと、先輩ならこーいうとき、多分!)


『催促って、いったい何の催促なんだ後輩』


 とでもニヤニヤからかうであろう。

(それよーーーーーーー!!! それだったら成幸の本心が引き出せるし、あたしもオーケーだよって伝えられる!!!)

 心の中の人魚姫はグっと拳を固める。両目は当然、不等号。

(しかもあたしはああいう感じのこと実はやってるじゃん!)
0079 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:33:59.07ID:3XYtBtT6
 例のスマホの一件のお風呂中、電話を取ったであろううるかが如何なる反応をしたか想像に難くない。

 遊んでそうな女友達の顔で、『あしゅみぃ先輩』の蠱惑的な言動はできる、できるのだ!

(とりあえず練習。『あれー? 催促ってなんの催促なん?』、『あれー? 催促ってなんの催促なん?』。よーし! 言うぞ!!!)

 腕まくりして意気込んだうるか、言う。

「さ、催促って……どーゆーことの…………催促……なん……?」

 くっと俯いたまま、たどたどしく、呟く、自分を、認識した心の中のうるかは、ふっと笑った。すべてを海容する優しい笑いを
浮かべて、

(バカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!)

 盛大に突っ込んだ、自分に。

(ああああ駄目ださっきの成幸のテントが、テントが、目に焼き付いて、目に焼き付いて……!

 ちょっと冷静でいられない。褐色の頬から蒸気がもうもうと立ち込めた。

(って! なに今さら恥ずかしがってんの!! えっちなら既にしたでしょ先週したでしょ! なのになんでいかにも遊んでる
女友達のカオができないの! いっ、いつもならすっと出てくるでしょ何でサボってんのあたしの顔!! うわーーーん!!
失敗だーー!!!)

 涙が出てくる。自分が情けなかった。刻限を忘れ、誘惑1つ満足にできない自分が悲しく、ちょっとむくれた。

(もー! こんなの全然進歩してないじゃん。ようやく成幸と結ばれたってのにちっとも成長してないじゃん)

 が、人の心を動かす最低条件は「うまくやること」ではない。「ひたむきであるか、否か」である。
 ひたむきな様子で涙を溜める褐色少女の横顔が唯我をついに、動かした。

(武元が泣いている……。すまん。俺が煮え切らないから。いつまで経っても俺がどうするか伝えないから……)

 旗幟(きし)不鮮明な自分が責められているというのは唯我の誤解だが、事態を正答に導く思わぬきっかけにもなった。

(武元は言った。確かに言った。『どういうことの催促』と。俺の意思を知りたいんだ。だったらまずはそれを伝えるべきだろ。
そっからは武元の判断に任しゃいい。勉強が長引いたせいで心身ともにその気じゃなくなってたとしても……任せる)

 問題は何を催促しているかの、伝え方。

(予定のこと……だと、無理強いしてるみたいでアレだ。「ヤる」とか「シたい」とかはねえし。セック……は論外な論外すぎる)

 唯我にだってムードを求める心はあるのだ。初夜は、綺麗だった。紫冥の空に、きらめく星々が斡(めぐ)る時刻に
黄金の月光だけを頼りに愛する少女の肢体を見た記憶は今だって背中に慄えがくる。大いなる星空は素晴らしいのだ。
 今日はいかにも貧乏な己の家だが、だからこそ、初夜の如きロマンを何か1つ、うるかへ与えねばならんのだ。名前呼び
はそこから。少女が心から歓(よろこ)べるシチュでやってこそ、唯我の美質たる誠実さは納得できる。

(そのためにも武元が出題した『何の催促』って問題、間違う訳にゃいかねえよ。どうすりゃいい? どうすりゃ初夜なみの
ロマンをあいつに……あ)

 初夜、という言葉に閃いた。唯我は腐っても秀才である。難問から正解をもぎ取る粘り強さはあるし、文乃と理珠の不得意
分野を彼女らが分かりやすく咀嚼できる思考力だってある。それが、うるかとの、男女的な機微に、向いた。

「どーいうことって、そりゃ、な」

 怖がらせないよう、なるべくゆっくり寄る。膝立ち歩きで。この状態でギンギンなら最悪だが、先の思考で頭に血が行った
せいか収まっている。だからうるかは微かにびくっとするだけで済んだ。近づいてくる唯我を不安半分期待半分の濡れた
眼差しで見ながら再び同じ問いを投げかける。
0080 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:34:20.56ID:3XYtBtT6
「……成幸。さっき、どーゆうことを誘ったの…………?」
「こーいうこと」

 唯我の手が、動いた。きっと胸とか大事なトコとか触られるんだとドキドキしていたうるかだったが、思わぬ部位への感触
に目を見張る。
 彼の手があったのは……

 うるかの、頬。

 しかも涙を、拭っている。

(あ…………)

 ニュアンスを理解したうるかは「かああぁっ」と紅くなり、それから静かに含羞(はに)かんだ。

(あたしが、したことだ……。初めての、一番最初のえっちの時……やっと1つになれた時……あたしが、したことだ……)

 繋がるまでの様々が募って泣いたうるかにもらい泣きした唯我を、彼女は今のような仕草で慰めた。「あたしのせいだし、
泣いていいよ」とか「大好き」とか、さまざまな気持ちを込めて、少年の涙を、拭った。

 秘め事に乗り気なうるかは、だから察した。

 唯我の言う、『こーいうこと』が、『1つになること』だと。
 うるかの肘に二の腕が当たったハプニングは、こーいうことの催促ではなかった……と。
 誘うなら、これ位のちゃんとした「想い」を込めて触れるのだと。

 ある意味では、暗喩であろう。結ばれた時の仕草を再現するなど、暗喩でしかないし、事実唯我自身”そういった行為”を
言外に匂わせている。だからこれは極論すればフェラチオにおける唇のすぼまりを擬するに等しい。

 が、洒落てもいる。胸を触る訳でもなく秘部を弄(まさぐ)る訳でもなく、そっと涙を拭うだけといった挙措は、乙女なうるか
に……効いた。優しいし、何より。

(あたしが……初めてだったときを…………覚えてて……くれたんだ)

 とさえ思い、頬を染めた。良くも悪くも暗喩を考えられない少女なのだ。何より自分の何気ない挙措を『覚えて』くれる唯我の
部分が大好きだから──女性は記念日などを覚えてもらいたがる──、初夜の再現による誘い方にはロマンしか感じられ
ない。

(……なりゆき)


 赤い実が、はじけた。

 

 頬に手を当てる。

 キスや愛撫といった男性本意なアプローチに比べれば遥かにマシというかちゃんとしたムードがある。むしろ万が一うる
かが”今日はもうそんな気分じゃなくなって”いた場合ですら修正が効く妙手である。涙を拭き、謝りながら慰めるというフォ
ローに繋げられる以上、童貞を捨ててまだ1週間な朴念仁ぎみな少年の打つ手としてはまずまずの合格点であろう。
0081 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:34:53.23ID:3XYtBtT6
 だが。うるかの頬に絶賛接触中の唯我は。


(クッソ恥ずかしいなコレ!!?)

 心の中で両目をグルグルさせていた。

(涙を拭うとかもっと顔が良くてスポーツ得意で家が貧乏じゃない奴がすべきことなんじゃないのか!? 何やってんの俺
何キザったらしいマネしてんの!? 恥ずかしいいいい!! す……っげえ恥ずかしいいいいい!! ああああ、これ武
元が誰かにバラしたら俺そいつと一生話せない!!そんぐらい恥ずかしい、恥ずかしいよぉおおお!!)
0082 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:34:59.53ID:3XYtBtT6
 今すぐ布団にくるまってのたうちまわりたい、そんな顔だった。

(だって頬に手ぇ当てるとか、ハリウッド俳優とかがやって初めて成立するあれで……! あああ、やっぱ普通にキスとか
にしときゃ良かった!!! キキっ、キスもそりゃ俺なんかにゃ似合わないけど!? キザったらしさだけはない訳で……!)

「なりゆき……」

 うるかが口を開いた。両目はもう堰を切ったようなありさまだ。カツカツとした水分が親指の腹を湿らせた瞬間、唯我
少年の心は心筋の攻撃的な収縮にズキっと痛んだ。
0083 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:35:08.57ID:3XYtBtT6
「なりゆき。なりゆきぃ」

 唯我の手を取る人魚姫は童女のようなしゃくり上げですっかり上気している。顔が涙でぐしゃぐしゃで、開いた口も中で唾
液がどろどろと糸を引いているのが見えた。両手で頬から口の前へと導いた少年の繊手へと今にもむしゃぶりつきそうな
濃厚な恋情がたっぷりと漂っており、

(キスするより……エロい…………)

 やっと唯我の、火がついた。

 唇を塞ぎ、横たえて──…
0084 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:39:45.20ID:3XYtBtT6
 脈絡はないが二度目の交合は唯我家において行われた。

 場所は少年の起居する部屋。時は夜。斯様な仕儀に及ぶ以上むろん母と妹たちは外泊中で、不在。
 初夜と違い、蛍光灯がつけっ放しなのは庶民的な性の生臭さに満ちている。机の上にはノートや参考書、筆記用具が残さ
れたまま。
                                                                      ・ ・
 半ズボン。SWIMと染め抜かれた黒いシャツ、チェック柄のパーカー、ブラジャー。それらが乱雑に放り捨てられた『掛け布団』
さえも押入れから興奮の赴くまま叩きつけられたという歪みっぷりだ。
 その掛け布団上でM字開脚のうるかが激しく突かれている。足首には純白のショーツが巻きついたままだった。脱衣すらそこそこに2人
が突入した行為は、褐色の細い両腕を掴んだ正常位によって最初のラウンドを終える。

「あっあっあっ、あーーーーっ」

 注ぎ込まれる灼熱に法悦を浮かべぐったりするうるか。深夜0時半を回っているが、夜はまだ始まったばかりである。
0085 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:40:13.80ID:3XYtBtT6
 数分後。

「きょ、今日は、このカッコ、で……」

 四つん這いになった少女が秘部も露にお尻を突き出した瞬間、唯我は眼鏡に亀裂が入るほど仰天した。

(や、やべっ、いまお尻の穴見えたチラっとだが見えた。綺麗なピンクってすまん武元そこまで見るつもりは……!!)

 初夜は上にしろ下にしろうるかを背後から見る余裕はなかった。故に初めて目撃する少女のアナルに唯我は硬直した。

(それ抜きにしてこのカッコ、すっげえエロい)

 小柄の体型の割には大きめなプリっとした尻たぶはそれだけでも魅惑的なのに、あろうことか日焼け痕に彩られている
のだ。渓谷の終焉にある土手は先ほどの交合の余波でひくついており、白い密すらとろとろと垂らしている。それだけなら
ポルノだが、お尻の向こうで口を波線にしたうるかが気恥ずかしそうに瞳を潤ませているのが何とも純愛の構図めいていて
少年の心を刺激する。

(両手を、包丁とか使うときの『猫の手』にしてんのがポイント高いなあ)

 何気ない仕草だが、そういう部分にこそ男は愛らしさを感じるのだ。唯我は背景に花が飛ぶほどホワホワした。

「可愛いよ、武元」
「また名字……?」
 甘えを込めて軽くムスっとしてみせるうるかに、
「な、なんつーかその、咄嗟に名字しか出てこないぐらい、だな」
 唯我はしどろもどろである。女体に狎(な)れた男ならスっと出せるおべんちゃらが、ウブな心には恥ずかしすぎるらしく、
それでも本当に心から、反射的に、呼びなれた方を使ってしまうほどだったと伝えたくて、彼は、紅くなりながらそっと囁き、

「可愛いよ。スゲェ可愛い」

 頭を撫でる。少女の小さな鼓動はそれだけで25mプールを無呼吸で三往復半したぐらいドキドキする。訥々としたいかに
も草食な賛辞だからこそ本当だと分かってしまう。
「い、いや、今えっちなポーズしてるし? 可愛くなんか……」と抗弁しかけた少女だが、髪を均すひんやりとした掌の往復が
重なるにつれ「あ……」と戸惑いがちに目を細める。ふだん陽快な大きな瞳は切なげな嬉しさと、募ってくる激しい情動です
っかり大人びた陶然の色。

(……やだ)

 後ろを向いたまま顔色を変えて首を前後するのは、秘部から甘やかな汁(つゆ)が溢れてきたからだ。

「み、見ないで挿れて……。恥ずかしい、から……」

 頭を撫でられただけで濡れてしまう自分の機能を死ぬほど恥ずかしがるうるかがいじらしくて、唯我はちょっといじめたくなっ
たが、(序盤ぐらいは優しく……)と律儀にも視線を”そこ”から外す。様子を見たうるかの瞳の中で恋慕の色が深まった。

「手探りになっちまうぶん、ちょっと時間かかるかもだけど……いいか?」
「うん。いい。成幸の先っぽで入り口くちゃくちゃされるの好k……じゃなくて! えと、そんな、そんな嫌じゃないし? 大丈夫、
だから……」
 素直になれない勝気ぶりがまた男心をくすぐる。わざと焦らして昂ぶらせる基本の手管ぐらい唯我も知っているが、若さは
迂遠を嫌うのだ。可愛いうるかと初めてのバックを早くしたいという興奮の赴くまま少年は淫裂に吸い付いた亀頭に体重を
預けるようにして膝立ちで進む。ヌルっ、というぬめりは愛液と精液の潤滑ゆえだろう。(あ、来る、後ろから、来ちゃう……)
既に一度の挿入で熱くほぐれた秘所はあっさりとペニスを受け入れた。

「はっ、はぅうううん」

 背筋をピンと張りピクピクと悶えるうるか。

(征服してる感が……凄い…………。そんで武元の背中の日焼け跡、×印なのがエロい……)
0086 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:40:34.23ID:3XYtBtT6
 相対的な雪肌(せっき)である、そこは。うるかの焦(や)けてない肌は小麦色であり、絶対的なマシュマロ地とは言いがた
いが、焼きチョコのような外郭とのコントラストで相対的に、白く見える。
 そこに興奮した唯我だから指でなぞる。「んっ」。今もって首を後ろに向けている人魚姫が艶かしい声を上げる。清純に目
を閉じる感応。桜色の唇のプルっとしたテカリに少年は「硬くなる」。中で察知した少女は「……えっち」と悪戯っぽく笑う。
「動くぞ」
「…………うん」
 律動が、始まった。最初のうち少年は不慣れな体位ゆえ、少し慎重に動いた。腰をどれだけ引くと肉棒が抜けるのかと
いう見極めに神経を集中する。(この前みたく抜けるのは嫌なんだよ)と確認しつつ行っていた腰のグラインドが、少しずつ
早まる。可愛らしい舌ッ足らずな声があがった。初夜さんざん荒らしまわった秘所はすっかりこなれており、狭いながらも
唯我の猛りを滑らかに受け入れる。
 20回は突いただろうか。そろそろ少女に違う刺激を与えたくなった唯我は突き入れの角度を変える。初夜、正常位でも
見せた創意工夫はバックになっても健在という訳である。
(ここまでの、で、当たっていなそうな場所は……)
 少ない人体構造の知識から自分なりに考えて角度を変える。
 最初の三度はうるかの反応はさほど変わらなかった。
 が、四度目。
「…………っ?」
 ピクっと少女の顔が波打った。何か違う刺激を感じたが、まだよく分かっていないという様子である。
(一応……試してみるか)
 バックだからこそ届く、青く未成熟な処女地を肉ゴテでゴツゴツ叩く。「??」と不思議そうにしていたうるかはしかし見る間
に反応を変えていく。「っっ?!」と戸惑った瞬間、パルスは淫靡な方へ舵を切り、「そこ……なんか、ヘン……」と切羽詰った
声を迷いつつも遂に上げた。
 膣内も熱く潤み始めた。涎を垂らした襞ヒレがグネグネと肉棒に纏わりつくいやらしい感触に興奮した少年はちょっと激
しめに突き入れる。ぴしゃりという乾いた音は彼の大腿部が斑(ぶち)の尻たぶにぶつかったせいである。
「あんっ」
 清(す)んだ声が跳ね上がる。やや媚びた諧調は(あたしっぽくなくて……恥ずかしいけど)唯我の愛撫が確かなものであ
ると示す一番の手段である。羞恥で戸惑う声を、優しい唯我は苦鳴と捉えがちで、逐一大丈夫なのかと問うてくる。
(それは大切にされてるって感じがして……嬉しいけど…………でも成幸にはもっと……)
 遠慮なく、テンポよく動いて欲しいのだ。
(あたしの体を……味わって…………欲しい……)
 バックでそう思うのは犯される尽くすことへの覚悟である。「……」。汗で上気し前髪が張り付き気味な顔でじっと唯我を
見る。子犬のような無垢な瞳に、被虐的な欲情と、快美への喘ぎを織り交ぜて無言で見る。

(んなカオされたら、俺……)                       のぼ
 面頬に数学界の緋色のスラッシュを何本も刻み込まれた少年は上気せの仰せのままに「はあぁ」っと息を吐き、うるかの
脇腹を掴んだ。引き締まっているが少女らしくプニプニとした感触を唯我の両手が味わうとき、それはスパート。少年の腰使
いがやや乱暴になる。パンパンガクガクと発情期の雄犬のような速度で腰を叩きつける。唯我の全身に汗が滲み始めた。
 体位が変われば抉られる場所も変わる。さんざほぐされた初夜においてさえ未開の肉襞、青く、こなれていない粘膜に荒々
しい肉ゴテが衝突した。
「あっv」
 思わず出てしまった舌ッ足らずな可愛い声をうるかは恥じた。ちょっと媚びた声なら良いが、語尾にハートマークのついて
るような「いかにも」な嬌声は流石に恥ずかしい。
 だのに。
「ここ、感じるのか?」
「えっ? あっ!? あんv いやっ、ああん、あんっv」
 先ほど反応した部分を唯我が責め始めた。背後からの揺さぶりに戸惑って目が白黒なうるかは悶え鳴いて制止を乞うが、
本能に火がついた唯我は止まれない。
「ダメだ。俺だってガマンしたんだ。7時間も……!」
「はぅんっ、あっv、声、だm……あ!」
 うるかは未開の媚肉を肉槍で打突されるたび「びくっ」と露骨に背中を逸らし顔を上げる。
 そんな少女の初々しさが唯我は可愛くて仕方ない。
0087 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:40:58.93ID:3XYtBtT6
 ただの甘ったるい嬌声なら過剰な演技かと萎えもするが、跳ね上がる高い声をつくづくと羞じ、ギュっと目を閉じ抑えよう
とする人魚姫には真実がある。慎みの有る無しどちらかを好むかは男によるが、少なくても秀才で鳴らしている唯我は理
性ある真実を好むのだ。律動で揺れるポニーテールなどいかにも素朴で彼ごのみだ。しかも従順の証でもある、唯我に
可愛いと言われてから勝負どころでは必ず、長くもない髪を纏めてくるのだ。
(ふだんのテンションとの差が、ヤバい…………)
 勝気で明るいうるかが性行為においては人変わりにしたような清楚を見せるのは初夜すでに知っていた唯我だが、喘ぎ声
ひとつにさえ恥らう少女が「後ろから」攻め立てている結果だと再認識すると、初めての時とはまた別種の興奮が漲ってくる。
 何しろ彼女は生理すらまだなのだ。生物学的見地から言うと、童女を攻めているに等しい。背徳は少年を燃やす。
「いやああ、速っ、声、どんどん変にっv、あっ、だめえ」
 自分の速度でますます激しく前後し始めた背中を唯我は見下ろす。引き締まっているが華奢な体つきだ。小さな肩が艶か
しくくねりながら律動に耐えているのを見た瞬間、そこから飛ぶ澄んだ飛沫が唇に付いた瞬間、唯我の射精の気分が高まった。
「すまん、さっき出しといて情けないが、もう……ッ」
「いい、いいの、ふぁぅん、げんかい、だもんね、ずっとべんきょで、がまんしてたから、いい、なりゆき、きて……!」
 色々あって予定より2時間多く「お預け」された事情と初めてのバックの興奮に唯我は自分でも驚く早く達す。短い呻き
と共に突っ張った中腰の奥底で熱い衝動が弾け飛んだ。
「あっ! あああああああああん!」
 どくどくと注ぎ込まれる愛情に仰け反った少女であったがすぐさま唯我めがけ首を捻じ曲げ、「すごい、このカッコだと、せ
なか……せなかの内側に、熱いのが、唯我の熱いのが……かかって……」と嵐(もや)かかった瞳で息せき切なげに笑う。
(背中の内側ってのは大袈裟……)
 唯我の放出で蘇る冷静さはそんなことを一瞬考えさせたが、快美にとろけきった少女の顔が全てを打ち消す。ドキっとしな
がらも獣欲を微かに滲ませた緊張の面持ちで生唾を飲んだ唯我は──…

 2つの華奢な肩甲骨が描くハの字。脊椎の窪みはハの字を両断するよう走っている。しなやかな肉の畝だった。再動した
バックの刺激に首を上げていたうるかが唯我に表情を見せるべく振り返ると、上記の背すじ周りに褐色の皺が寄る。
(筋肉の連動がエロいです武元さん)
『肉』を感じさせる質朴な現象に少年はドキドキする。しかもうるかは初めてのバックにも関わらず表情を見せてきている。
責め苦のなか後ろを向き続けるという不自然な体制を、水泳で鍛えた筋肉を突っ支(か)えにして──…

 長い睫をしっとりと濡らしたまま唯我を見つめている。

 いつも真直ぐな光を湛えている紫水晶も今ばかりは病中のように妖(なまめ)かしい。半開きの愛らしい口から喘ぎを
漏らしながらもただじっと「何をされても……大好き、だから」と言わんばかりに少年を見ているうるかに、
(可愛い……)
 刺激の強さでやや虚脱しつつある少女に、ときめいた唯我。指を、桃色の沼にも似たうるかの口に滑り込ませる。声を抑
えさせるための救済措置でもあったらしい。「噛め」といった顔を少年は一瞬した。
「んぷっ!?」
 人魚姫は不意に進入してきた指に一瞬戸惑ったが思惑を理解するや優しさへの嬉しさで陶然と目を細め、
「んっ、んっ」
 お礼とばかり健気に、ご奉仕し、
「ん……」
 指が口の中をかき回せば切なげな上目遣いで身を委ねる。
「んむぅぅっ! んーっ!! あんっv」
 脱力の隙をついて深く突き込まれたうるかは指を甘噛みして声を忍ぼうとするが、甘噛みゆえにすぐ指は口を外れ、律動
の中しゅぽんと出ていく。声も溢れる。唯我は再び指を、口に。「んむぅ」、やや強引な手つきだったがそこにワイルドさを
感じたらしく人魚姫は喜悦を浮かべる。
 また突かれた。いやらしい声が白い歯の隙間を抜けた。
 指さえ強く噛めばもっと小さくもできようが、(だめ、力入れて噛んだら、成幸がシャーペン、シャーペン持てなくなって、勉
強できなくなるかも知れないから、強く噛むの、だめ……)と必死に力を抑えている。なのに声を出すのも恥ずかしくて、瞳
に葛藤のクリオネが泳ぐ。
 金時計を売ったのに断髪で鎖を買ってくるような健気さだ。それが唯我の猛りを強くする。片手はうるかの口だから、グラ
インドは腰のバネに依存する。
0088 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:41:18.93ID:3XYtBtT6
 露骨に局部を突き出すやり方には秀才らしい羞恥と葛藤も一瞬うかんだが、結局は誘惑が勝った。乾いた音を立て少女
を揺する。控えめな乳房をぷるんぷるんと前後に揺らす。そろそろ全身を霑(うるお)し始めている雫がきらきらと散った。
「んんーっv んっ、んっ、んううう!」
 ちゅぱちゅぱと指に吸い付き喘ぎを耐えるうるか。だがくぐもった声はむしろ感悦の韻を際立たせている。興奮する唯我。
肉筒が熱く滑る媚肉を”ぐにん”と滑る。「……んっ!」 叩き込まれた衝撃を噛み締めるよう目を閉じて味わううるか。
「あっ! ふああぅ!?」
 ペニスが抜け落ちないようマージンを取って動いていた唯我がいよいよ本能的なガムシャラに突入。はあはあと息せく
少年は最高速のグラインドで少女を突き、衝き、撞く。成す術なく揺すられる四つん這いの少女は吊るした水風船のように
重力に引かれやや楕円形になっている乳房をぷるぷると揺らす。小ぶりだが形のいいそれが揉みこまれた。「きゃううっ」、
悲鳴とも喜悦ともつかぬ声が上がったのは木苺が抓られたからだ。いつしか覆いかぶさっている唯我は、淡い突起を二つ
とも同時に摘みあげている。
「いいっ、おっぱい、気持ちいい、さわりかた、優しくて、いいっ……v」
 切羽詰っているが余りある幸福にも彩られている薄目でうるかは鳴く。乳首はあっという間に尖った。それまでも秘部から
の刺激でぷっくりと充血していたが、比ではない。唯我の手が触れただけで速乾性の瞬間強力接着剤をザバリと振りかけら
れたように硬くしこった。(反応えっろ)。たかが接触ひとつで可愛らしく張り詰めた淡い授乳器官に唯我がドキドキするその
下で、うるかは耳まで真赤にした。自分でも予想外な唯我への敏感さを愧(は)じているらしい。
「だって、成幸の、成幸のひんやりした手が、火照ってる……ちく……ちく……びに、気持ちよくて、あそこからの刺激で、
もやもやした熱の溜まってる……ち、くびに…………成幸の手が、ちょうど良くて、だから……だから……」
 自分は触られただけで乳首が勃起する淫乱ではないのだと訥々たる調子で訴える少女だが、しかしはて、「誰でもいい」
ではなく「あなたじゃないと感じれない」と言われ興奮しない男が居るだろうか。
「武元」
「あっv、んっ、ふぁへ、こへ、だふぇ」
 だめ、声、ダメと唯我の指にうるかが慌てて吸い付いたのは、乳首をちょっと強めの力で押しつぶされたからだ。球技
大会ノーブラ事件に端を発する自社開発で敏感になっている胸だから、少女の感応、とみに鋭い。脳を灼く過大なパルス
に悶えて大変なのに、「い、今のできゅっと締まったぞ」とか唯我が耳打ちしてくるからたまらない。
「///」
 うるかはぽっと赤面した。紅くなりながらも満更でもなさそうに浮かべる含羞(はにか)み笑いは心から体を許している男
にだけ見せるいわば究極の媚態である。見蕩れた瞬間、前回の射精直後から7分56秒ずっと耐えて突いていた少年はた
まらなくなり、催迫の調子で、告げる。
「武元っ、そろそろ……!」
「うん、いい、出して、たっぷり……出して……」
 数度ネチャネチャと出し入れを繰り返した少年は荒々しく息を吐きながら深く突き入れ虚脱の呻きを上げた。打ち震える
彼の胸板を背で受け止めたうるかの膣内へ、びゅっ、びゅるっと白濁が噴きかかる。ゼラチンをスポイトで排出するような
独特の気配に、「ああ、出てる、なりゆきの、いっぱい、いっぱい、出てる……」と嬉しげに頬をゆがめる。



 饗宴、続く。


 ステークが排莢されるたびサーモンピンクのラビアが捲れ上がるのが淫猥だ。

「あっ、だめこの恰好、直すまで、直すまで、待っ、あっv」

 お尻だけを高く突き上げる恰好でうるかが突かれていたのはバックにおける最初の射精から7分後。獣の体位にすっかり
興奮した唯我はあれからしつこく突き続けている。更に一度、精を放ったのに

「凄いの分かったから、硬くて、逞しいからぁ、四つん這い、普通の四つん這いに戻すまで休ませ、やっ、そこダメぇ、変なビリ
ビリきちゃうから、だめぇ、あんっ、あんっ!」

 シーツにびったりと上半身をつけたまま顔だけは唯我に向け懇願するうるか。左手は少年に押さえつけられており、右手は
ほぼ土下座のような直角を描いたまま頼りなげに揺れている。
0089 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:41:37.49ID:3XYtBtT6
 責めの激しさに堪りかね上半身を崩したのが悪かった。最初はただのアクシデントだったのに、安産型のお尻のみを掲げ
ている少女の恰好に生唾を呑んだ唯我は体勢の持続を求めた。「あ、あはっ。崩れちゃったね、今から戻すから……」と
言いかけていたうるかに、爆ぜそうな獰猛を孕んだ無表情を向けると、「えっ、きゃっ」と戸惑う声を無視して激しく突き入れ
始め……今に至る。

「ひどい、このカッコ、恥ずかしい、恥ずかしいって言ってるのに、バックに慣れてからならじゃないとダメって言ってるのにぃ」
「さ、最初からレベル高い問題に挑んだ方が、その、伸びるし……!」
「うーーー」

 うるかは憾(うら)みがましい目をした。勉強ならさもありなんだが、性行為なのだ、恥ずかしいのだ。
0090 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:41:52.60ID:3XYtBtT6
(なのに……)

 褐色の面頬は「ぶるっ」と震える。閉じた瞳の両端に透明な雫が浮かぶほど恥ずかしいのに、恥辱の体位が唯我によって
もたられされているのを実感すると気持ちよくなってしまううるかがいる。

(変、気分が、ヘン、だよぉ。初夜よりもっとビンカンで、頭の中、ぴりぴり、してくるよぉ)

 性感は少しずつだが開発されつつある。肉体的な感受の無さを唯我への思慕でカバーし一定の悦楽を得ていた初夜と違い、
そこから目覚め、更に何回か記憶を頼りに弄られた秘部は、この1週間、感触を快楽に変換しうる発達を少しずつではあるが
遂げている。平たく言うと唯我の肉棒が肉体的にも「善く」なっている。

 が、感覚の方は一週間前を基本としているから、うるかは自分の感応の違いに驚き、戸惑っている。

 といった様子を見て興奮しない男はいない。
0091 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:42:57.16ID:3XYtBtT6
 ただでさえヒップだけを揚げさせる背徳的な姿勢に昂ぶっているのに、可愛らしい人魚姫ときたら川端康成先生の「禽獣」
に出てくる分娩途中の未成熟な犬のように「自分の体には今いったい、なにごとが起っているのだろう。なんだか知らない
が、困ったことのようだ。どうしたらいいのだろう」と言った表情で困惑しているのだ。
「武元っ」
 唯我は、手をついた。初めて立った赤ちゃん鹿のような広げ方は形容とは裏腹に荒々しい。いたいけな少女に臀部だけ
突き上げさせたまま、本格的に犯しぬく四足の獣だった。「あっあっあっ」、シーツの上で目を閉じ喘ぐうるかはもう相手の
表情を見れない、見る余裕がない。腰は深く突き入れられるたび前へ撓(たわ)む。腰椎から胸椎へと到る骨の蛇腹に緩衝
されグニャンと背筋に向かって前進する。少年は、骨と肉に、弱い。女体が見せる予想外の可動を、武元うるかの柔軟性
を、もっと沢山しゃぶりつくしたいと燃え立った少年は歪なグラインドをただ見舞う。
0092 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:43:14.75ID:3XYtBtT6
 組み伏せられているうるかは啼くしかできない。

「だめ、激しい、そこいい、気持ちいい、あっあっあっ、だめっ、頭の中しろくなるっ、あっ、ヘン、今日、ヘン!」
「お前の、気持ちいい。締め付けが強くなってきてて、凄く、いい……!」
 初夜より明らかに活発な愛撫と摩擦に眼鏡少年は「っ」と切羽詰った赤面をし、寒気を吐く。
震えるそれは矛盾の吐息、放出を望みながらも勝(た)えている。手淫では決して味わえぬ甘い魔窟の吸い付きに耐えて
いる。裂け目より蜜が再び漏れ出でた。

(初夜より、ねっとりしてる……)

 いよいよ粘っこくなってきた愛液に唯我の昂揚も高まる。見るなといわれた秘部さえ盗み見てしまう。よくお菓子を食べる
うるかだからか、結合部から漂ってくる匂いは心なしか甘い。膣内にグリコーゲンが行き渡り、かつ、デーデルライン菌の質
または量が不活発な場合、同様の現象が起こるというが、うるかがそうであるか、どうか。

 鼻を、ねっっっとりと突く香りはしかし牝の匂いというにはまだまだ余りにあどけない。あどけないからこそ唯我の情動は
却って強まる。マカロンよりコアラのマーチが似合いそうないたいけな少女を、動物の恰好で犯しているのだという実感、
今にも傾きそうなボロい自宅の、染みのういた布団の上で脱ぎ散らかした衣服に囲まれながら、バックで、うるかを攻めて
いるのは、月明かりが幻想的だった初夜に比べるとあまりに生々しい。が、生々しさは倒錯である。
(すげえ悪いことしてるのに……気持ちいい)
(襲われてる。あたし今、成幸に襲われてるんだ……)
 行為の前に7時間も勉強をする羽目になったのが”タメ”となり、倒錯を強く熱く燃え上がらせる。
 強まるグラインド。ゴム製の水枕を揺らした時の水音にも似た調べが膣内(なか)で幾度となく響き渡る。入り混じる吐息。
腰の撓みの間隔は瞬く間に短くなり切れ切れの悲鳴が上がる。浮かしきった小ぶりのヒップの尻たぶの隙間に生々しい
桜色の淫棒をぬちゃぬちゃと叩き込む唯我。法悦に結ぶうるかからはもう姿勢の回復は吹き飛んでいる。蹂躙にヨがり
甘え泣くばかりだ。尻たぶの揺れが徐々に激しくなる。巨大生物の足音が近づく水溜りのごとく振幅の波が大きくなる。

「出して、そろそろ、またっ、あんっv、出して、出してぇ、成幸の熱いの、欲しいよぅ」
「俺まだガマンできるぞ。もっと気持ちよくしてやれるから……」
「いや。今欲しいの、せーえき、今、ちょうだい。出してから、ねちゃねちゃの状態で動いていいから、今、欲しいのぉ……」

 恐ろしく淫らな要望を聞いた瞬間、少年はもう達していた。
0093 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:43:30.36ID:3XYtBtT6
 バックは終わらぬ。

「あっあっあン、いいっ、いい」

 両名とも膝立ちのまま繋がり、貪りあう。唯我の手はうるかの胸を弄んでいた。
 あるときは乳肉を上へ上へと追いやるよう揉みこみ、またある時は双丘をまったく別の方向へこねくり回す。乳輪をなぞ
り乳首を弾き、そちらの刺激にうるかがトロンとした所で耳たぶをそっと噛む。
「んっ……」
 激しさの連続の中で訪れた変則的な刺激にうっとりとする少女の、生白く見えるふくらみを唯我は強調するように鷲づかみ。
力任せに握られた水風船は表面張力を別方向へ逃がす。小ぶりだが弾力に溢れた瑞々しい乳房もまた少年の掌から零れる
ような動きを見せる。

(やらけ……。スッゲ、やらけ……)

 魅惑の感触を眼鏡少年はただ揉み込むほかない。ふにふに、ぷよぷよと。
 執拗な突き込みも続いており、だから少女は放心の笑みで涙を流し、叫ぶ。

「好き、成幸におっぱい触られるの、好きぃ!」

 そこまでのうるかは胸を離された後背位の状態で可愛らしいバストをぷるぷるぷるんと揺らし続けていた。このぷるん
ぷるんはセブンイレブンで発売中の「ふわっとろ」な京風きなこわらびもちに匹敵する。
 後ろから唯我の顔が近づいてきた。すぐさま察し、彼と唇を合わせる。

「んはぁ、んぶ、んんうう」

 舌を絡める間にも律動はやまず、釣鐘型の乳房は跳ね上がっては落ちる。落ちた瞬間、衝撃でまた軽くバウンドするの
が淫らだった。
0094 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:43:50.87ID:3XYtBtT6
 四つん這いに戻った。

 続く激しい律動すら従順な少女は受け止める。光に透けると珊瑚色帯びるメラニン薄い黒髪がふるふる揺れた。
 女性の動く余地がほとんどない獣の体位は温和で草食な少女の好みに合う。「猫の手」をシーツに置いたままゆっさゆっ
さとゆさぶられる。
 唯我は、うるかの肩の、褐色と日焼け痕の境目に唇を当てた。
「ーーっ♪」
 思わぬ愛撫だが愛情表現なら喜んで受容できるのがうるかだ。目を細め嬉しげにのどを鳴らす気配が伝わったのだろう。
ちゅっ、ちゅっと音を立てて唯我は吸いつつ、乳房をもコネコネする。そしてまた肩越しにキスをして、感じあう。

 香竄(こうざん)とは匂い篭もる孔を指す。蜜があふれ、ヒレうごめく香竄は車軸のように硬く太くなった唯我をヌメヌメぐ
ねぐねと包み込んで蠕動する。

 午前2時。行為開始から2時間近く。かなりの長時間だが、若く、ここに到るまでお預けを食っていた2人にとってはまだ
折り返し地点に過ぎなかった。

 四つん這いのとき、何かの睦言がきっかけだった。唯我がちょっと言葉攻めめいたことを言った後だ。

 表情を逓(たが)いに見せっこするため上げていた顔をうるかは伏せた。が、羞恥一色でもないらしい。明るい少女らしい
能動的な照れ隠しという奴だ。それが証拠に伏せ方もどこかお茶目だった。というのも唯我の何か言葉攻め的な発言が、
野卑な男の揶揄ではなく、不慣れな言葉攻めをぎこちなく演じている感満載だったからだ。それを聴かされた瞬間うるかは
(相ッ変わらず言葉で攻めるのヘタだなあ)
 と呆れたが、同時にそういう部分がとても可愛く思えて、だから「///」とふざけた様子で顔を伏せてみたのだ。分かり辛い
機微だが、一種の睦言であろう。平易な言い方をすれば、「こらあ」と殴るマネをしてきた恋人に「きゃー」と怯えてみせるよ
うな、他愛ないイチャつきである。
 快美とは程遠いやり取りだが、しかし営みとはむしろこのテの潤滑油があった方が数も増え、質も上がる。
(馬鹿にしやがって)
 唯我は軽く苦笑する。うるかときたら伏せた顔をちょっと横向け、前髪の間から少年の反応を伺っている。そういう露骨な
盗み見が楽しくて仕方ないらしく、口元はすっかり綻んでいる。初夜今夜とかなりの回数苛んでいる筈の唯我をちょっとおちょ
くっているような態度だから、(馬鹿にしやがって)と少年も笑えてくる。深夜のテンションも手伝っていたのだろう。
(ちょっとイタズラしてやる)
 まっさきに浮かんだのはアナルである。体位の都合上もっとも近くにある。が、却下する。場所が場所だけに無許可は
気まずいし、何よりどこか陽気さを帯びてきたイチャつきに相応しくない。
(ならココだ!)
「きゃうっ」
 うるかが甘く鳴いた。触られたのは太ももだ。正確には、揉まれた。
「もー。成幸! マッサージとか反則ー!」
「だーめ。俺を馬鹿にしてきた罰」
 心臓マッサージのような手つきで、大腿部の筋肉の一番太い筋を揉み解す唯我。「っっ」。笑っていた人魚姫も神妙な反
応を示し始める。ただのマッサージなら足がだるい時よく自分でしている。女性にしては筋量があるため、コリはよくほぐれる。
場所によっては5分揉むだけで気持ちよくて眠くなる。
 唯我は男性でこそあるが、ひょろっとした苦学生だからうるか以上の力はない。全力を出してやっと少女の平生に互角か、
互角に一歩及ばないぐらいだろう。
(な、なのに……)
 四つん這いで張り詰めた太ももを揉み解す唯我の手がひどく気持ちいい。1つには角度の恩恵がある。人が自分の足を
揉むとき、どうしても人体構造上、力の伝達がうまく行かない恰好になる。うるかに覆いかぶさる唯我の手は、力を込めやす
い角度を選べる。だから元の膂力で劣る唯我でも伝導率では勝るため、結果として、うるか以上の力で彼女の大腿部を揉め
るのだ。うるか本人では構造上、刺激できない箇所すら難なく揉み込める。
0095 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:44:10.17ID:3XYtBtT6
(でも、何より)
 揉んでいるのが唯我の手であるという認識が、快感、という、主観によっては無限大にさえ到達しうる概念を極上のものに
仕上げている。ぶるるっと快感に震えたうるかだが、こういう方面で開発されてはならないとウソをつく。
「あ、足なんて別に感じないし? 他のとこ触った方が得かなーなんて……ひゃうう!」
「両方ならどうだ!」
「も、もー!! ちくびといい何で同時攻撃すんの! そんなん気持ちいいに決まってんじゃん! 卑怯! 成幸のばかっ!」
「じゃあ禁止するか?」
「……それもヤダ」
 しょーもない奴だなお前は。唯我は笑いながら頭を撫でる。拗ねて唇を尖らせていたうるかに喜色が差した。怒りたいが
謝りたい微妙な心境で、うまく伝えられなかったので、側頭部を唯我の頬にすりすり擦りつけた。

(…………可愛い)

 数分後、両腕を持たれたバックの体勢でうるかはさんざっぱら揺らされ、

「だめ、激しい、あ、またヘンに、あ、だめだめっ、だめぇ! あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 大きな瞳を見開く惑乱の表情は無慈悲にも考慮されないまま、当晩何度目かの灼熱を注ぎこまれた。


「はぁっ、はぁ……」

 繋がった四つん這いのまま息せくうるかが「えっ」と目を見開いたのは視界が突然あがり始めたからだ。浮遊感。小柄な
体の周囲の景色がどんどんと下がっていく。ガラス張りのエレベーターに乗った時のようだった。
(待って! これってまさか……)
 褐色と小麦色が混在するしなやかな背中に熱っぽい胸板が押し付けられているが、しかしもう唯我はX軸概念で覆いかぶ
さっていない。真直ぐ、だった。真直ぐと、垂直になった唯我の胸が、Y軸観点でうるかの背と密着している。
 だけではない。彼の両手は虚脱ゆえ無抵抗だったうるかの太ももをM字に割り開いて、持っている。
 すっくと両の足で立ち上がった唯我が、うるかに、女児の小用のようなポーズで持ち上げているこの恰好、言うまでもなく、

 駅弁、である。

 気付いたうるかは狼狽した。双眸に巴(うずまき)を浮かべ、もがく。切羽詰った喚きすら散らした。
「ちょ、このカッコ、だめ! このカッコだけはそのっ、一番キラいな奴で、幾ら慣れても絶対ダメなアレだから、やめて、降
ろして……!」
 恥ずかしさはあるがしかし淫靡への羞恥ではない。もっと根源的な、乙女としての宿業だ。
(体重……! あたし筋肉ばっかで重いから! 重さにドン引きされたら、重さにドン引きされたら、あたし、あたし…………!!)
 涙ぐみ、フィジカルの全てを動員して逃げようとするうるかなのに、唯我ときたら耳元で囁くのだ。
「でも俺お姫様抱っこしたことあるよな、お前を」
 そのときは他の誰よりも長く抱えてたぞ……といった言葉に打たれたうるかのもがきが止まる。うまい。『お姫様抱っこが
どういう出来事かは知らないが』、このテの競争原理の決算損益は水泳選手である所のうるかに驚くほど効く。ルールの
中で生きている彼女だから、お前はルールの中、最後まで勝ち残ったのだ、トップなのだという宣告は、ただ単純に「軽い
と思う」などといった主観をぶつけるより遥かに効果的なのだ。
 果たして、
(確かにあの時は最後まで……)
 重さへの羞恥に揺れていたうるかの双眸が葛藤を帯び始める。自分はもしかすると自分が思っているより重くないのでは
ないかという淡い期待が駅弁への抵抗を燮(やわら)げる。

 これも手管である、唯我の。教育係としての力量を女体方面で悪用している。アスリートゆえに筋量(おもさ)を気にし、駅
弁を拒むうるかを、お姫様抱っこなる過去の絶対的な事実でいとも容易く調略しつつある。
0096 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:44:27.24ID:3XYtBtT6
 が、

(ちゃ、ちゃんと武元を納得させてからこの体位やらねえと、嫌がって暴れた武元がケガするかもだからな。この高さから、
ヘンな落ち方して頭打ったら初夜の『ずがずが』なんぞ比じゃねえ。つうか足だろうが肩だろうが良くねえよ。まだ国体とか
あんだから)

 受験や水泳のため、少女にケガをさせたくないという善意を隠すところなく浮かべているのが逆に小憎らしい。何度も言う
が文乃のポニテくるくるには何も察せなかった癖に(ry。あと説得は持ち上げる前にやれ、説得前に落ちたらどうするつも
りだった。

 という負い目、若さゆえの衝動ゆえ承諾なしで駅弁に移行した気まずさがやっと襲ってきたのだろう、唯我は「動かして……
いいか?」と遠慮がちに聞いた。

 うるかの熱く潤んだ双眸が左右に泳ぐ。重さへの不安は和らいだし、未知の体位への甘やかな関心だってある。何より
唯我第一な彼女だから(え、えきべん……で、違った気持ちよさを感じて欲しいけど……)、やはり初めての恰好への恐れ
はある。第一うるかほど『質量と疲労の連関性』を知っている者もない。軽く思えるプールの水でさえ疲れてくると鉄のカーテ
ンかと言うぐらい掻き分け辛くなる。
 1.5リットル入りペットボトルは持つだけなら容易だが、ダンベルよろしく5分10分と上げ下げすれば疲労が募り重くなる。

 ましていかにも鍛えてなさそうな唯我が人(うるか)を『抱え続けたら』……。駅弁に必要な運動を繰り返したら……。

(だ、大丈夫なん? たとえあたしが軽かったとしても成幸疲れたりしない? こ、腰とかやっちゃったら受験に支障が……!
抱え続けたせいで疲れて、「重い」みたいな反応されるのも大概かなしいけど、成幸がギックリ腰になるのはもっとイヤ。
自分の勉強できなくなるし、同じぐらい辛いのは、文乃っちやリズりんが苦手科目聞けなくなっちゃうことで…………!)
 優しさゆえに戸惑う少女の肩を押すのはやはりというか、唯我の言葉。
「一応だけど少しは鍛えてるぞ。この1週間、お前を思い出してモヤモヤするたび、ランニングとか、筋トレとかで。うち簡単
に発散できない環境だから。何も考えずガーっとやったせいで昨日まで筋肉痛ひどかったけど、今は何とか」
 うるかはちょっと嘆息した。俯いた拍子にその両目は唯我から見て前髪に遮られる角度になった。声は水泳部の厳しい先
輩になった。
「も、もー。成幸、筋肉痛のチョーカイフクに夢見すぎ。一週間やそこらでいきなり頑丈になる訳ないでしょ。ただでさえ他の人
より体力少ないんだから、ちょっと鍛えたぐらいでいきなりあたし抱えてずっと動けるレベルになんて、そんな、無理っしょ」
(……ご説ごもっともです武元さん)
 唯我はこれが名うての教育係かというぐらい情けない引きつり笑いを浮かべた。何しろ筋肉のことだ、フィジカルのエキス
パートに駄目だしされては頷くほかない。
(俺だって武元がちょっと一夜漬けしたぐらいで英語上達したって自慢してきたら……するだろ、同じ反応)
 彼女を降ろす……つまり今回は駅弁を諦めた方が賢明ではないかとさえ思い始めた。
 じっさい、もやし少年が水泳国体級の少女に僅かな鍛錬を誇るなど、愚かな話でしかない。
「だから」
 顔を上げたうるかは唯我めがけ向けるツンと尖った流し目の下を薄紅に染めながら、告げた。
「ど、どんだけ鍛えられてないか確認したいし? とりあえずこのカッコで動けば……?」
「え、それって」
「うー!! だから言葉通りの意味だってば!! 恥ずかしいんだかんねこのカッコ!! てか一番キラいだし!! だだっ
だから! 早くヘバって終わらせてよーーーー!!」
 怒ってみせるうるかだが体位そのものを拒んでいないのは甘々である。
 なぜ寛恕が芽生えたか? 簡単である。先ほど俯いたとき、彼女は、下記が喜悦を浮かべていた、密かに。
(成幸この一週間ずっと、あたしのこと思い出してくれてたんだ。苦手な運動すらやっちゃうほど、たまらないって、あたしと
の記憶に、一生懸命に……なって、くれたんだ…………)
 実に、ちょろい。唯我は別にこういった篭絡を目的にランニングと筋トレを明かした訳ではない。駅弁で腰は”やらぬ”だろ
うという物理的証左を供出しただけに過ぎないのに、うるかときたら多分に拡大解釈を交えて自分への思慕に矯正した。まっ
たくの曲解ではないが、ヨーグルト風味のチョコをヨーグルトと断じる程度の無理はある。
 この辺の、唯我に対する夢見がちはもちろん本人も理解しているから、だから「どんだけ鍛えられてないか確認したいし?」
と言った片意地に置き換えた。
0097 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:44:49.95ID:3XYtBtT6
(可愛いなあもう)
 基本的に温和で従順なうるかだからこそ、たまに出てくる意地っ張りな部分は唯我の心をきゅんきゅんさせる。機微に気
付いた少女は(〜〜〜)と頬を代赭(たいしゃ。赤褐色)にして照れるが、
「い、いい! 疲れてきたらすぐやめる! 腰悪くしたら成幸だけじゃなく文乃っちやリズりんにまでメーワクかかるんだから!
何度も言うけどこのカッコ、ほんっと一番キラいだから、あまりシて欲しくないから!!」
 と声をあげる。真意は概ね言葉の通りだが、(こ、これなら、あたしが重く思えてくる前に終わるし……!)と言った乙女ちっ
くな打算も確かにある。妥協点だ。両者が被害を受けることなく未知かつ快美の体位を味わうための。
「分かった。じゃあその、そろそろ……」
 動くぞと告げた唯我。うるかは両膝を折りたたまれたまま浮かび上がる恰好である。重なり合う褐色の、ふくらはぎと太も
もの間に割り行った唯我の両手が支えだ。その恰好で、少年は腰を、突き上げた。
0098 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:45:01.32ID:3XYtBtT6
「んっ」
 潤滑に支障はない。度重なる交合と放出で、秘所の中は愛と精の和合液でかつてないほどヌメっている。二度、三度。
下からの衝撃に可憐な乳房がぷるるっと揺れた。ポニーテールもまたフルフル揺れる。
(これ……体重が、かかって……)
 深く突き入れられると、唯我の肉棒に体の芯を乗せているような錯覚が起こる。じっさい、最奥に達するたび子宮口は
バックの時すら比較にならぬ荷重を受ける。生々しい媚臓腑がグニグニと弾力に飛んだ肉穂先にグニャっと歪まされて
いるのが分かり、(…………っ)とうるかは震える。
(だめ、体の芯が、ヘン、ジンジン、ジンジンしてくるよぅ)
 嬌声を激しい吐息で必死に誤魔化す。駅弁が一番キラいと言った体面上、易々と喘ぐのはできない。誰が決めた訳でも
ない、勝手な自縄自縛の禁忌の中にうるかは自分を追い詰めつつある。だがそれこそが滅びへの道、姫騎士族の限界、
最も激しい「堕ち」に繋がる抗いだ。突かれるたび、ぐニュん、ぐニュんとハートマークをつけていいほど甘く撓む子壺の外壁
にいつしかうるかは口を押さえ、懸命に、声をこらえ始めている。
0099 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:45:18.51ID:3XYtBtT6
 まだ、二夜目である。交合の数自体は若さゆえ多いが、いわゆる「絶頂」は当然まだである。普通それは月単位の慣熟
で到れるものだ。
 だから青くこなれていない秘所は、体重の乗った駅弁の突き上げをしても戸惑いの方がまだ大きい。水気の少ないゼリー
同士を擦り合わせるようなネットリとした水音が結合部から響く。すっぽ抜けない挿れ方を概ね把握した唯我は腰使いを
早める。
(さ、さきっぽに、武元の体重が、体重が……! てかこのカッコじたい、エロいし!)
 いたいけな少女に両足を割り開かせたまま、持ち上げる……そんな恥辱を強いているのだという事実に優しい唯我は申
し訳なさを感じるが、イケナイことほど脳内の倫理をくるくる空転させるものもない。とっちゃ駄目といわれたお菓子に
手を伸ばす幼児のような興奮が行動のエネルギーとなって唯我の機関を上下させる。細い足を抱えたまま腰をぶつける
だけではない。どうすれば強く突けるか考える秀才は、時おりつま先で伸び上がる工夫を加える。駅弁のハウツーにそれ
があるかどうか少年は知らないが、よく知らぬ女犯(こと)をよく知るためには結局みずから色々工夫する他ないという経
験則のもと敢行するのみだ。果たして試験官はつま先立ちに対し、「んっ……、んんっ……」と恥ずかしげに眉を寄せた。
 秘所の方も露骨にきゅうっと締まる。人一人かかえた運動に性行為以上の汗を滲ませ一献含んだように赤ら顔な唯我
は快美にぼうっとしながらも、思う。
0100 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:46:27.57ID:3XYtBtT6
(コレ……武元、気持ちいいのかな……)
(だめ、気持ちいい、気持ちいいよぉ。油断したら声、声が……! だからなんでこんな成幸じょうずな訳!? しかもまだ
このカッコじゃ出してないし! あたしばっかがやられてて、気持ちよくて、悔しくて、泣いちゃうよぅ)
 気持ちよさげな瞑目にほんのちょっぴりの屈辱を交えて薄く泣く少女にひどく興奮した瞬間、教育係は、次の手を。

「あっ、あぅんっ」
 吐息で声を誤魔化していたうるかが啼き、口を強めに押さ直した。子宮口に、より体重が掛かるよう施した小さな細工は
確かに効果を及ぼした。ただ腰のストロークを早めただけではない。秀才を是認する唯我の工夫パート2は、『突き込みの
瞬間、うるかのふくらはぎと太ももに潜り込んで支えとなっている両腕を……”一瞬外す”』。
0101 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:46:42.56ID:3XYtBtT6
 ゆっさと下降する、日焼け痕が半白(はんぱく)な少女の体躯の深奥は、落下速度の分だけ、駆け上がってくるステーク
との衝突Gをより強いものとした。
「っ! 〜〜〜〜〜っ!!」
 一拍遅れで襲ってくる甘美な衝撃にうるかは必死に声を殺し、ただ天を仰ぎわなないた。唯我からは見えなかったが、
天井からの視点では確かに目を白黒させ、わけもわからず強張った舌を突き出す少女の表情が確認できた。
 表情が分からずとも雰囲気は伝わる。背後の唯我は咄嗟に編み出したこの正道かどうかも不明瞭な突き込みの工夫を
更に続ける。ズン、ズン、ズン。立て続けに子宮口を撓(たわ)ませる亀頭の衝撃にとうとうたまりかねたうるかは、「だめ、
そんなテクニック、だめっ、だめ、だからあ」と涙声で許しを請う。
 ここでいったん、足からの掌外しをやめたのは結果から言えば逆に鬼畜の所業だった。5回ほど従前の突き込みを継続
し、うるかが安心した所で再びズン! と唯我が掌を外し落下衝撃を炸裂させた瞬間、横髪を大きく跳ねさせ馬の尾で天を
衝いた少女は一瞬驚愕したように瞳孔を細めてから……とろけた悩乱の半眼で「やっv やあああんv」と甘ったるく悶え啼い
た。それほど感じたようだった。心なしか頭頂部からの長い毛すら一瞬張り詰めそして萎れたようだった。
0102 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:47:00.01ID:3XYtBtT6
 一連の反応は陥落を意味する。首筋まで真赤にしたうるかは

「そ、そんな不意打ち混ぜるんだったらもうだめ、このカッコ、もういや、やめて、キライだからこんなの、本当、やめて……!」

と涙混じりに訴える。もちろん感じてはいる。が、恥ずかしい体位にも関わらず感じており、しかも落下衝撃加味の突き入
れこそ求めつつあると気付いた貞淑な少女は羞恥ゆえに中止を希(こいねが)う。
 そのギャップに興奮したのだろう。唯我は、少女が最も感じる淫らな言葉を……吐いた。

「軽いよ」

「…………うるか」

 ある調査によると、女性の50人に1人が、空想だけでオーガズムに達することができるという。乳房や秘部といった性的
な箇所への刺激なしで、だ。本来は男性よりも強力な再現性を有する大脳新皮質の、絶頂の記憶の”よみがえり”によって
達するという。
 うるかに絶頂の記憶はもちろんない。が、代わりに妄想の蓄積がある。『唯我にこうされたい』と想念した記憶の蓄積が。
「名前で呼ばれたい」「軽いといわれたい」といった乙女の願いはここまで一切叶わなかったため、懸想はどこか抑圧と共に
……溜まり込んでいた。

 が。

(い、いま、成幸が、あたしを名前で……うるかって…………、しかも、しかも、軽いって…………! 筋肉女なあたしを……!)

 驚きに目を見張った少女だが今しがた聴覚の捕らえた唯我の声が決して妄想の産物ではない、『本物』であると認識した
瞬間、とまどいは喜悦へと相転移、長年の抑圧を跳ね除ける電流となって大脳新皮質を刺激! 

 結果!

「あ!! だめ、ヘンなのきちゃう、へんな波が、あ! だめ、駄目えええええええええええええええええええええええ!!!」

 甲高い声をあげたうるかは瞳孔が芥子粒になるほどの勢いで目を見開き、そのまま嘗て無いほどの勢いで日焼けした
全身をしばらくブルブルと震わせていたが……やがて電池が切れたようにがっくりと首を折る。
0103 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:47:45.05ID:3XYtBtT6
 ……。

 …………。

 ………………。

 俯いたまま、ぜえはあと激しく息せく少女の背後で、
「え、これ、イ、イった……? な、名前呼んだだけ、で……?」
 驚いたのは唯我である。いや地球人類の中でこの事象に驚けない者があろうか。初夜からまだ1週間の少女が、絶頂、で
ある。それもまた空前絶後の性的刺激のさなかであればまだ分かるが、少年はただ少女を軽いと言い、下の名前で呼んだ
だけなのだ。駅弁で感じつつも素直になれない恋人の心の鎧を、優しい言葉で脱がそうとしただけなのに、
(それでイクとか、武元さんどんだけ上級者なんすか……。あ、名前。だめだやっぱり名字が咄嗟だ)
 少年はやや困惑した。ヒイてはいないが、予想外すぎた。にも関わらずゆっくり振り返る少女の方は、
「な、なりゆきぃ、今うるかって、今、うるかって…………」
 初めての絶頂の余韻か、ぐっすぐすと涙を流しながらも、歓びに頬をだらしなく歪ませ咲(わら)うから恐ろしい。そのくせ
処女喪失の時ですら結局は耐えた涙を、今は夏場の夕立のような大粒サイズで、ぼたぼた、ぼたぼたと、落としている。

 結局、少年への思慕だけで、肉体的な未成熟をあっさりと覆し、絶頂したのだ、うるかは。

 そこまでの開発も下支えではあったろう。だが最終的には、軽いと言われた嬉しさと、名前を呼ばれた歓びだけで、呆気なく
生涯初めての絶頂に達した。この時点で常人とは懸河の感があるが、真に恐ろしいには初の絶頂なる女性的な一大事より
「名前を呼ばれた」ことの喜びの表現をごくごく当たり前に先行させている点であろう。

 唯我への思慕、ちょっと尋常ではない。

(このコ、やべえ)
 そこまでは誰もが思うし、唯我自身さきほど「上級者」呼ばわりするほど当惑していたが、
(やべえぐらい……カワイイ……)
 やや正気薄くエヘヘと瞳を細めながら息せききって微笑するうるかを見ているうち心臓がトクンと跳ねた。窮鳥ふところに
入れば何とやら、自分への思慕だけで達するほど強い少女の健気さを認識するにつれ、異常ともいえる先ほどの絶頂が
ひどく愛おしい物に思えてきたのだ。
「うる……か」
 強引に唇を奪う。受け止めた少女は数瞬後「何かに」驚いたように目を広げたが、すぐさま熱烈に舌を絡め、唾液を吸い
あった。
 ややあってキスが解除されると、今もって弾んだ息の中、興奮した様子で少女は告げる。
「すごい……。すごいの成幸……。うるかって呼んでくれたのとか……軽いって言われたの嬉しくて、頭の中ばちばちって
なって、目の前がちかちかして、気持ちよくて、だからこのカッコ、好k……」
 うっとりとした笑いは最後の文言なかばで消える。辛うじてだが絶頂の余韻海溝から理性が引き揚がったらしい。羞恥が、
勝(まさ)った。パっと顔を外し正面を向くと、「違っ、このカッコ、このカッコなんて、恥ずかしくて、嫌い、だから……!」と
虚勢を張る。
 本当に駅弁が嫌なら、さっさと足をふもとの布団につければいいのだ。だが現実はよく焦(や)けて肉付きのいい太もも
を唯我の両手に預けたままだ。更なる駅弁への期待がある癖に、貞淑さが邪魔して言えないのだ。
 いじらしさに唯我はもう辛抱たまらない。
「ふぁううん!!?」
 うるかが可愛らしく叫んだのは右乳房を鷲づかみにされたからだ。公称Dの、男の獣性を駆り立てる小麦色のやわらかな
果実を少年は興奮の赴くまま揉みしだく。支えはもう左手のみだ。そこで右足を下につけば責め苦から解放されるのに、う
るかは律儀にも駅弁状態を継続中。形状記憶めいた姿勢の保持は従順さもあるが水泳で鍛えられたフィジカルあらばこそ。

 以降、華奢な少年に、片手と、結合部だけで支えられる不安定な姿勢にあって転落を免れたのはうるかならではの天才
的なフィジカルのバランス感覚あらばこそだ。

「ちょ、あたし、まだその……そのっ、あの、あのね! 凄いことになったばっかで……」
 大別すれば「おバカ」と呼ばれるタイプだから、絶頂をなんと形容していいのか分からないのだろう。うるかの抗弁はひどく
しどろもどろだ。だがそれは、またしても近づく想い人の顔によって封じ込められる。唇が密着している間にも乳房へのも
みもみは一向弱まらず、くぐもった嬌声が響く。
 水性のいやらしい蜘蛛の糸が虚空に消えた。少女から遠のく少年、曰(い)う。
「『イッた』って言うらしい」
「え……?」
 キスの余韻にもはや呆然としている少女は言葉の意味を掴みかねた。
0104 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:48:12.00ID:3XYtBtT6
「だから。さっきみたいなことになったら、『イッた』って言うのが、普通、らしいんだが…………」
 彼は要するに、迷っているらしい。普通の男なら言いつけて終わりな”調教”を。教育の可否を疑えるのはは教育係ゆえの
モラルであろう。だがオスとしてのいい意味での覇気の無さもある。(どんだけ草食なんだか)と呆れながらもうるかにはその
優しさが愛おしい。褐色の頬に憫笑というべきものが広がった。
「もう。えっちな癖に煮え切らないなあ成幸は」
「…………スマン」
 でも男なら言わせてみたいんだよと天を仰ぎ薄く涙ぐむ唯我は結構、情けない。でもおっぱいは揉んでいるし、ペニスだっ
て出し入れだ。普通の女性ならちょっと待てとなるが、欽慕が長すぎたうるかは、求められるのが嬉しくて心身ともに委ねて
いる。が、種々の刺激に彼女の女性は再び昇りつめ始めている。ねっとりとした汗まみれの顔から笑みが消えた。
 少女はぼそっと、囁いた。
「イッた……」
 言葉に唯我の顔がゾクっと歪む。膣内の剛直さえぶわっと膨らんだ。内部から押し広げられる独特の感圧に「んぅっ」と
目を細めたうるかであったが、従順にも先の復習をする。
「さっき、あたし…………イッた…………から、イッちゃった……から……だからその、ビンカン、ビンカン、で………………
だからせめて、おっぱいか、中か、どっちかだけに、どっちか……だけに……」
 もはやこのテの懇願はヒドラジンよりも酸化的な燃焼促進にしかならぬとは重々承知しているうるかだが、

(いやいやただイッたとか言うだけじゃ恥ずかしすぎて死んじゃうから! せめてフリだけでも「やめて」って言わないとムリム
リ絶対無理だから!)

 と頬をかつかつ赤熱させている。
 これほど賞味を促す媚態もない。激しく貪りつつもどこかで愛する少女を労わってきた唯我にすら度を失わせた。もう爪先
立ちも自由落下もない、ただオトコが気持ちよくなるためだけの乱暴な腰使いが始まった。
(だめ、声、だしちゃ……! 声だしたら、軽いって言われたせいでこのカッコが好きになってるのがバレちゃう……!)
 無残な串刺しの連続に激しく揺さぶられながらも懸命に口を押さえ耐えるうるか。ギュっと閉じた瞳から健気な涙が溢れて
いる。唯我の力強いストロークは止まらない。うるかの耳元すぐ近くでするのは正に獣の吐息である。冬空の下で手を温め
る時に噴き出す暖気を孕んだ吐息よりもひりつくように熱い透明な雲の直撃1つ1つに(あたしで感じてくれてるんだ……)
と喜悦する少女の興奮は募る一方。
 なのに恥ずかしい駅弁でまたイカされるのは恥ずかしいという抵抗もある。
(どうすれば)思っていたうるかに光明が差した。唯我の膝が、笑ったのだ。
(!! そっか限界! この一週間ランニングとか筋トレしたとはいえ元々体力ない成幸だから、人(あたし)を抱えて動く
のに疲れてきたんだ!! そうじゃなくてもこのカッコでするまえ正常位とかバックとかで結構消耗してたし、更にその前は
7時間も勉強してた! えっちが上手な成幸でもそりゃ来るよ限界!)
 この変調は、駅弁でイカされたくないうるかにとってチャンスだった。
(このペースなら4ふ……いや3分! あと3分で成幸の体力が尽きる! そこまでガマンすればイッちゃわずに済むのよ
うるか! てかあたしから攻撃したら刺激で成幸の攻め口緩むわ体力の減りが早まるわで一石二鳥! な、成幸の……
ちくび……とか、お玉……とかイジめるのはドキドキするけど、それでケンセーしつつガマンすれば、えきべんでまたイッちゃ
わずに済むから、が、がんばるぞ〜!)
「ちょっと体位……変えるぞ」
 悪魔のような宣告に「はい!?」と目を白黒させかけたうるかだが「あっ、きゃうううん!」と思わぬ愧声(きせい)を上げて
しまい、慌てて口を押さえる。変化は抜本的でこそないが明確さは有している。M字開脚で始まった駅弁は体育座りの曲げ方
になっている。彼女の左足の太ももとふくらはぎの間に潜り込んだ唯我の左腕は右足の同地にまで閂(かんぬき)よろしく差
し渡ってあたかもアメリカ人が、セリアルとかでパンパンな薄茶色の、でっかい紙袋によくやっているような抱え方。

 体力の残り少なさに気付いていたのは唯我も同じだったという訳である。

 ヘバる前にうるかを再びイカせるため攻め口を変えた。驚いたのはうるかである。機先を制したこの「陣替え」への驚き
と僅かな期待感のせいで小賢しい策謀が吹っ飛んだ。
「だめ、だめえ、今になってビミョーにカッコ変えるとか、だめええ」
0105 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:48:39.24ID:3XYtBtT6
 横に広がっていた足を前方へまとめられたせいで窮屈になった腰の屈戌(ちょうつがい)はより相対的に唯我の太さを
感じやすく成り果てた。唯我がより自分にとって気持ちよい締まりを求めた結果が、やっと前(さき)の体位への対策がま
とまりつつあったうるかを根底から粉砕しているのは何とも無惨な結末だが、されどこれほど甘美な無惨もない。
(で、でも、なりゆきのちくびを刺激したら……ちょっとはマシに……)
 縋るような思いで再動させた右手が……とられた。
「何をするつもりだった……?」
 乳房を揉みこんでいた腕を防備に回した少年の前で「あ……、ああ…………」とうるかは諦めにも似た嘶きを演じる。
(だめ。火照ってたあたしの掌に、成幸のひんやりした手が、気持ちよくて、気持ちよくて……)
 拘束のためだろう。繊手だが男性的な硬さのある唯我の五指が、うるかのそれの渓谷の狭間を倒れていく。やがて
不恰好なフォーク・ボールを握りこんでいる格好になった少年の指とは裏腹に、うるかの紅葉の五端は腱への圧迫に
よるわずかな曲がりさえ除けば概ね直立体勢。
(だめ…………。ここで手ぇ握っちゃったら、恋人つなぎなんかしたら……イッちゃう、きっとあたし、駅弁でまたイカされ
て……イカされて嬉しいって……叫ぶんだ、絶対。そんなのやだ……。怖い、恥ずかしい……)
 初夜からわずか1週間後の未成熟で『キツい』膣が更に狭く、圧力を増したのを認めた唯我は「やべえ、食いちぎられ
そうで……気持ちいい」と感嘆し強く突き上げる。
「だめ、そーいうのダメ、イッちゃう、またイッちゃうから、だめえ!」
 惑乱し首を振る少女だが声を抑えるべき手はもう唯我に握られている。残る左手を動員する余裕もない。いつしか唯我
の膝小僧やや上あたりに置かれ、不安定な姿勢を支えている。その引き締まった褐色の細腕が出し入れの度”ぐいんぐ
いん”と揺さぶられるさまに少年の興奮は高まる。囁かせた。目の前で揺れている水泳少女の髪型が。
「ポニーテール、ほんと……可愛い」
 可愛いという言葉に、花でも嗅ぐよう後ろ髪にツンと当たった鼻に、キュンとなった瞬間のクリトリス刺激は強烈だ。
「あっv ああああああん!!」
 脳髄を灼く甘美な電流に高啼きする少女の下の口から愛液が、どぷりと溢れた。
(髪、ここに来ての、髪って……! だめ、敏感な場所じゃないのに……! 成幸の鼻がちょっと当たってるだけなのに……!)
 慈しむように何度も何度も、優しくポニーテールを撫でる鼻梁にうるかは訳もわからず感じてしまう。
「はっ、はっ、あん、んぅっ、あっ!あっ!」
 街と無人島の往復100kmの遠泳すら軽がるとこなす水泳少女が掠れた息切れを漏らすほどに唯我の突き込みは激しさ
を増す。体育座りの格好で駅弁ファックされるチョコレート色のなよなかな肢体。人魚姫はもう、はしたなく涎を垂らす。快
美にひたすら咽び泣く。
(もう限界、イク、あとちょっとで、また……!)
 生涯二度目の絶頂めがけやや絶望しながらも黄金の蜂蜜にも似た期待を抱き喘ぎ続けるうるかだが不意に唯我の
律動が止まる。
「いや、止まらないでぇ……! ここでやめられたら、あたし、あたし……!!」
 すっかりメスの情動に支配されつつある顔で切羽詰った甘え泣きする褐色少女に
「お前、このカッコ好きか……?」
 投げかけられたのは無慈悲な質問で。
「そんな……好きな訳…………」
 最初キライといった手前、素直にハイとはいえぬ人魚姫に「じゃあ今すぐ抜いて降ろすか……?」と問いかける唯我。
イクという言葉1つ仕込むのに迷っていた彼とは矛盾するが、しかし半分は純然たる善意である。もっとも残りは純然たる
支配欲、素直になれぬ少女に対し敢えて引いてみせることで本心を宣言させてやろうという王道を執(と)らしめている。
 武元うるかは、勝気である。泣きそうな顔で目を閉じながらも語調だけは強くして必死に訴える。
「こ、こんなカッコなんてキライ……だから!! だから早く、出してってば……! 成幸体力ないから、何度か出したら終わ
りで…………終わってくれるから…………だから早く動いて、出して…………終わりに、終わりに……」
『早く動いてイカせて欲しい』という要望を、『それをやれば唯我も得できるし』という方便で包摂(オブラート)する小賢しさが
知力で勝る唯我に通じる筈もない。
「俺は別の格好でもイケるぞ……」
0106 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:49:02.34ID:3XYtBtT6
 息を荒げる彼の形相は生活に困(こう)じ果てる余りとうとうナイフ片手にコンビニ入った瞬間のそれ。逼迫以外、なにもない。
うるかの秘所からの刺激が、優しさと支配欲の競合をいよいよ抜き差しならぬ混迷に追い込んでいるのだ、甘え悶える膣の
肉ヒレときたら肉棒に吸盤のごとく吸い付いて、抜いて欲しくないの、もっとイジめて欲しいのと訴えている。それに今すぐに
でも放てる昂揚を覚えている唯我なのだ、応対とて、優しくも荒々しい罠が潜もう。

「駅弁が嫌だったら……仕方ないよな。すぐやめて、ちょっと休んでから別の格好に切り替えよう」

 うるかは、分かりやすい。えッと勢いよく後ろを向いたその顔は、露骨に恋しげに眉尻が下がっている。リチア雲母に分光
器をかけたとき現れる紫のようなスペクトルを持つ瞳に、惜しさの光が照り映える。

(ダメ、このカッコが好きだなんて本当は恥ずかしくて言いたくないのに)

「イキたきゃ素直になれ」的な凶相のまま静止している唯我が、うるかには。

 端麗かつ峻厳極まる王子風ドS顔に……見えてしまう。

(成幸がカッコいいから……止まらない、ゆっちゃダメだって分かってるのに頭ん中ぐっちゃぐっちゃで……)
 葛藤を見透かしたのか、どうか。
 次に唯我が語(つ)げた言葉ほどいやらしい調教の言葉もなかった。

「こういうとき位、素直になっていいんだぞ。お前は水泳でも勉強でも色んなもん犠牲にしてるんだから…………」

 俺に従えと言われたならうるかはまだ抵抗できた。だが「色々犠牲にしてまでお前は頑張ってるのだから、今ぐらい、
本心を曝け出してもいいんだぞ」と、大好きな唯我に受け止められては、信じられて、任されられては……止まれない。


(あたし、なんで気持ちよくなれること、ガマンしてんだろ…………)


(こんだけ優しい成幸なんだから……素直になっても…………絶対きもちよく、してくれるのに……)


(なんで、なんでガマンなんか……してるんだろ…………)


 堕ちていく。心が、快楽に。しかし貞淑な少女だから、必死に抗う。

(だめ、恥ずかしい、このカッコ好きとか言えない。小さな子におしっこさせるようなこんなかっこが好きとか恥ずかしすぎて
言えないよぅ……)

 言えば、どうなるか何となく分かる。想像図がブレーキをかける。

(好きって言ったらこのカッコが癖になって、なのに成幸がカッコよくて、素直になりさえすればカッコいい成幸にいっぱい
いっぱい気持ちよくしてもらえて……褒められて……でもゆっちゃうのはだめ、絶対…………だめ、だって、だって恥ずか
しくt「うるか」

 少年は少女の思惑を遮るよう名前を呼び、じっと見つめた。うるかは視線に絡めとられ呆然とし。

 右手の指を、折る。

(なまえ……。あたしのなまえ、あたしをまた……うるかって、したの、したのなまえ、で…………!)

 すれば陥落だと思っていた恋人つなぎへの迷いで指が上下に遅疑したのも束の間、諦めるよう落とし、縋りつくよう唯我
の拳を握り締める。

(もう、もう……いいや…………)

 忍んでいたものが、崩れた。
0107 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:50:04.11ID:3XYtBtT6
「……なの」

 淡い二枚の桜貝が、動いた。

「好きぃ! このカッコ、好き、好きなのぉ! 成幸に軽いって言ってもらえて、名前まで呼ばれたから、えっちのとき初め
て名前を呼んで貰ったから、このカッコ好きで、だからまたイカせて欲しくて、だからいやぁ! 中途半端なところで止まら
れるのいやあ!! 成幸の逞しいおちんちんでじゅぽじゅぽされて、このカッコで、えきべんで、イカせて欲しいの、好き
だから、えきべん好き! キライだったけど、今はもう、だいすき、だいすきになっちゃたから、だから、だからぁ!!!」
0108 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:50:20.32ID:3XYtBtT6
 想像以上の淫らな叫びに少年は一瞬呆気に取られたが、「な、ならイクぞうるか、イカせてやるからな、たくさん気持ち
よくしてやるからな」と切りつけるよう叫んだ。
 あとはもう猛襲となるほか無い。
 力任せに上下するだけではない、廃止した筈のつま先立ちや自由落下さえも交え、肉尖で子宮口をぐニュんぐニュんと
撓ませる。ゴムのような硬さは絶え間ない責めですっかり掻き均(なら)され、今はもうグミのよう。甘ったるい弾力がもたら
す亀頭への刺激にますます興奮した唯我は乳首をつねり耳を吸い、突いて突いて突きまくる。敏感な人魚姫はそれら総て
に反応しよがり狂う。
0109 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:50:40.70ID:3XYtBtT6
「あーーっ! いい、いい! 凄くいい、気持ちいい、気持ちいい、よぉ!! だめっ、イク、イッちゃう、もうすぐイッちゃう、
気持ちいい、気持ちよすぎてもうだめ、あたしイク、イッちゃううう!!!」
「っ! 膣内(なか)で、膣内(なか)で出しちまうけど、いいな、後悔しないな!」
「出して! 熱いのかけられるの好きだから、それdあっ、だめっ、イッちゃう、成幸と一緒にイきたいのに来る、来ちゃう、
またえっちな波が……あ! あーっ! だめイク、あたしイッちゃうう、イクううぅぅぅぅ!!!!!」
 褐色の肢体が激しく痙攣するのに一拍遅れて唯我が呻き、虚脱にぶるっと打ち震えた。膣内射精に軽く絶頂したうる
かは噴出の第二波第三波にあわせ更に何度かいやらしい歓声を跳ね上げた。
「やばい、止まらない、武元の声きくだけで、止まらな……出るッ、まだ出る…………ッ」
0110 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:51:04.55ID:3XYtBtT6
 結合部からどぽっと白濁が溢れる。駅弁でしばらく耐えていた反動だろう、嬌声が耳朶を叩くだけで尿道が灼熱をかけ
のぼる。二度目の絶頂を屈従のすえ引き出したばかりだというのに声で射精を惹起させている状況が淫猥で背徳的で、
だから少年は面頬に快美の苦痛を浮かべる。

 結局12回にも及んだ小爆発の末やっとペニスを引き抜いた唯我は褐色少女を駅弁からお姫様抱っこに持ち替え、緩
やかに屈んだ。それで布団の上へケガもなく戻れた人魚姫は
(い、一番クラって来る、しゃせーのあとに、あたしが落ちないように、ケガとかしないように降ろしてくれるなんて…………
その心遣いが、嬉しいよぅ。気持ちよくさせてくれるだけじゃなくて、受験や、水泳に響かないよう安全に降ろしてくれた成幸
が素敵すぎるよぅ)
 イッたばかりだというのに、情熱的な思慕はもう次なる行為を渇望している。

 2回。そこから正常位で射精した数だが模様は初夜と重複する部分が多かったため割愛する。バックに至っては唯我が
攻め口を考えてジっとしてるうち疲労ゆえか寝落ちし、覆い被さられたうるかの方も25秒ほどの惑乱の末、想い人以外に
は無頓着な彼女らしく(ま、いっか、寝よう、あたしも)と眠りこけ、30分ばかり2人してスヤスヤ眠っていたのでこれまた概
要のみの著述に留める。

 両名が眠りに落ちたのは……午前2時58分ごろである。

 まったく豪儀というか迂闊というか。繋がったままの入眠など、家人ないし泥棒が踏み込んできた場合、破滅しかない。
 もっとも外観からしてあばら家一歩手前の唯我家だ、言っちゃ悪いが泥棒すら寄り付かない。家人についても当夜は遠
き親戚の家に泊まっている。理屈だけ言えば踏み込める道理はない。
 そんな安心が唯我を眠らせた。うるかも意識の中で明文化こそしなかったが、気付いてはおり、しかももともと大雑把だか
ら……両名とも眠りこけた。

 これが彼らを取り巻く運命に意外な作用をもたらしたが、今はまだ、本題ではない。
0111 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:51:27.91ID:3XYtBtT6
 目覚めた彼らは正常位で再開したが、途中から対面座位に移行。

「あっ、あっ、いい、イク、また、イク、いっちゃうう」

 向かい合ったまま繋がる2人。褐色の細腕は華奢な少年の首の後ろに回っている。膝立ちのうるかは突き上げに合わせ、
ぎこちなくだが腰を落としている。

「うるかっ」

 短く叫ぶ唯我は恋人を抱きしめる。細い肢体がほとんど砕けそうな勢いだった。乱暴なハグだがフィニッシュで抱きしめら
れるロマンにうるかは相当感じたらしく、「ふぁっ、ふぁあああああん!」と鳴いた。



 午前4時6分。

 武元うるか、勇を鼓(こ)す。


 発端はその6分前。対面座位で今晩3度目の絶頂をうるかが味わった直後である。

 抜き取り、1つから2人に戻った2人は向かい合ったまま話している。

「き! 騎乗位!? それ初めてのえっちの時、やったでしょ! あ、あれでいいじゃん! 満足してよ頼むから!!」

 対面座位が引き金になったのだろう。唯我がリクライニングするだけで容易く切り替えられる騎乗位が彼の脳裏を過ぎった。
 が、少女にとってこれは駅弁以上に恥ずかしい。
 初夜、どさくさでやられた『二度目の挿入』が騎乗位であり、そういう意味では既に経験した体位といえるが、

「でもその、あの時はお前が、体全部、俺に覆いかぶさってた訳で……」
「そりゃあたしが、体起こしたまま、成幸に跨るカッコはまだだけど、…………やだ。恥ずかしい、恥ずかしすぎるよぅ……!」

 うるかにとっての騎乗位は女性上位の代表格だ。「英語の参考、だし……」とスマホから秘密裏にアクセスしたいかがわしい
動画サイトではグラマラスな金髪女性が支配欲丸出しの顔つきで腰をくねらせ色々搾り取っていた。

「だだ、だいたい! あれだけあたしに色々しといて責められたいとか成幸なんなん! いや、色々されるのも結構恥ずか
しいけど! う、上で責めるとか……あたし性格こんなんだよ!? 一回攻め回ったら絶対止まれないし、恥ずかしいし……!!」
 兆候は初夜、確かにあった。
 覆いかぶさった素股もどきの格好で挿れられたうるかは恐ろしく好色で好戦的な態度になった。
 それが唯我の草食な被虐心を妖しく捉えている。閨では殆ど”なり”を潜めているうるかの活発さが、自分より遥かに圧倒的
な体力が、女性上位の攻め口に回ったら一体どうなってしまうのかという甘美な期待になっている。あれだけ蹂躙した少女に
反撃され貪られるというシチュエーションに倒錯した欲望ぐらい、覚えるだろう年頃ならば。

「だ、だいたい、俺、結構、過激なことしちまったし…………お前に責められないと釣り合いが取れないっていうか…………」
「いらないから! そんな気遣いいらないから! 嫌どころか、すっごく、すっごく…………気持ち、よかったし…………」

 妙なところで律儀な唯我へ斬りつけるよう叫びながらも段々紅くなって蒸気を噴くうるか。照れは、まだある。

 秀才は、ずるい。
「けど騎乗位ってのは19世紀までは寧ろ主流だったぞ」
「え? どーいうこと?」
 無知で無垢な少女の気を、理屈で引き、変えようとする。男は何かと理屈で女を説き伏せようとする部分がある。閨におい
てさえ羞恥を理屈で掃(はら)おうとするなど愚の骨頂にもほどがあるが、悲しいかな、アスリートゆえ唯我の理知に敬服する
うるかはつい反射的に耳を傾けてしまう。
「そも正常位が標準的な体位になったのは19世紀のヴィクトリア朝時代の、『女性は男性に従順たれ、行為の時は下になれ』
てな教えのせいだって言われてる」
「へー。そーなん」
0112 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:51:59.84ID:3XYtBtT6
「俺の読んだ本じゃ、ペルーとかインドとか中国、あと日本の古い文献に出てくる体位は騎乗位みたいな女性上位の格好が
多かったらしい。史上最古、紀元前3200から3000年とされるメソポタミアのウルの資料の体位も女性上位だし、一説に
よればアダムとイヴもこれでその……シてたとか……」
「なるほど」
 納得した様子のうるかだが、成幸は何かを感じたらしく、「……お前さてはピンときてないな」と呟いた。
「へ? いや、成幸物知りだなーって思ったけど」
「でも今ので騎乗位すげえシたくなったって感じじゃないよな……?」
 え、あー、うん。考えてみればそうかもといつもの調子で後頭部を掻く褐色少女だが、「ご、ごめん、こーいうとき、呆気なく
カンラクした方が、男の人って、嬉しい……んだよね?」と申し訳なさそうに目を細め眉を下げた。
「いや俺のが悪いな今のは。知識披露だけで、お前の気持ちをほぐそうってアレがなかった……よな」
 若干気まずいというか、微妙な空気が流れた。ふつうこういう調略のしくじりは口論に発展しそうなものだが、亭主の赤烏
帽子とはよくいった物、常に主導権を握れるとは限らない成幸の”抜けた”部分を、うるかは却って愛おしく思い始めた。

(いま謝ってくれたし、ちょっとぐらいなら……ちょっとぐらいなら、騎乗位で気持ちよくしてあげるのも…………恥ずかしいけど、
電気消した状態なら、そんな見られないし…………)

 とすら思っている。本当に、いまどき奇(めずら)しいぐらいの健気さである。

 が、素直には言えない。恥ずかしいから騎乗位は避けたいのは事実だし、無意識の領域には、唯我の、羞恥を理屈で
解こうとしたヘマへの怒りだってあるにはある。彼が何か、下手(へた)ではなく下手(したて)な言葉さえ吐けばカラリと許せ
るのだが、うるかの詩藻では──文学的な巧緻など突き詰めればウソつきの才覚でしかないから、純朴で淳良なうるかは
良くも悪くも──唯我に何を言わせればいいか分からない。そも無理やり引き出した言葉で満足できるほどうるかは強くな
い。だから色んな思いが、ぐっちゃんぐっちゃんで、混乱だ。

(うー。もう訳わかんない! こうなったら成幸にも恥ずかしい思いしてもらうかんね!!)

 大事なのは、唯我が求めてきたという事実一点の強調である。それさえ成せばうるかがどれほど乱れようと、求められた
が故の義務的な応対として繕える。

 故にうるかは、告げる。行為開始前、動員に失敗した勝気な女友達の顔はここに劇的な遅参を遂げた。

「そ、そんなに騎乗位がいいんだったら、頼んだらいいじゃん? ど、どーせ成幸には無理だろうけど? 寝そべった状態で、
メチャクチャにされたいですうるかさんとか頼んだら、か、考えてやらなくもない、かなー、なんて……!」

 言ってから少女は(ううう。ごめん成幸、でもあたしこう言うしかできないし。で、でも、これだけ無茶ぶりしたら流石に言えない
よね!? 成幸くさっても男のコだし! コケンとかキョージが邪魔して言えるわけ)

 唯我はやや両目を泳がせたあと、覚悟を決めたような顔つきをし──…

 仰向けに寝た。(ちょちょちょ、えっ、ええええ!!?)、いやいや何してくれてんの成幸ちょっとマジやめてそれ怖いから、
乗るしかなくなるからやめてーーー! と心の中のうるかは水鳥の羽のような形の涙を双眸から飛ばしたが、表面は別人
のように嫣然としている。

 細い指に至っては「覚悟しちゃったり、したの……?」と少年の胸板に円を書く始末。

 これには唯我よりも内心のうるかがビックリだ。ギョっとしたテンパりの形相で慌しく急き込む。

(なに!? なにモードになっちゃってんのあたし?! だだだめだから、こんないかにも色っぽい仕草似合わないし、した
ら成幸ますますその気になっちゃうし!! 取り消し! さっきの発言取り消すのようるか!! 今だったらまだ間に合うか
ら成幸が言う前なら取り返s「メ、メチャクチャにされたい、です……。うるかさん…………」
(言ったーー! 言っちゃったよ成幸!! 何で言うのよばかーーっ!! 男なんでしょもっと粘ってよ抵抗してよ!! あた
し見てよいつも抵抗してるでしょ! なんで自分が責められると呆気なく陥落すんの!? ううう!! 本当成幸はズルい、
いつもズルい! あたしそんな言葉吐くときめっちゃ頭ぐちゃぐちゃなのに! 成幸は呆気なく、平気な顔でーーー!!)
 これほど滑稽な女王様と下僕の契約成立もないだろう。
0113 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:52:30.25ID:3XYtBtT6
(ででででも、ホラあたし、考えてもいいとは言ったけど、きじょうい、するとは約束してないし? べ、別なことで気持ちよく
なってもらって埋め合わせする手段だってあるし……)

 と思っていたうるかの──懇願無視の放置プレイといった高等なる手管ではない、単にヘタレなだけの回避の言い訳で
ある──うるかの、目が止まる。

 かああっ。

 少年は顔を朱に染めている。理知的な瞳ときたら羞恥の薄い涙で潤んでいる。よっぽど先ほどの言葉が恥ずかしかった
のだろう。群れからはぐれた子ウサギのような心細さを湛えたまま、頭上にそびえる人魚姫から視線を外している。

(な ん で 可 愛 い の ! ?)

 うるかは大いに頬を緩ませつつもカチンコチンに強張った。が、驚愕はすぐさま無表情に覆われる。喉首が上下し、唾が
食道を滑り落ちた。
 なよっとしているせいでどこか女顔な唯我である。それが、(うう、言っちゃった、言っちゃったよぅ、メチャクチャにされ
たいとか恥ずかしい……。けどそれ言わないと騎乗位してもらえないし……! でも超絶恥ずかしい……!)といった顔
つきで、生娘のごとく羞恥一色なのだ。両目すら時おり不等号にしている。

(女のコみたいな成幸、可愛い…………)

 思ううるかの秘所が疼き、蜜を垂らす。身が震え、切なさが頬を波打たせる。
 彼が気弱になっているのは結局体力の問題なのだ。駅弁は確実にもやし少年の体力を削り取っている。そのあとの
寝落ちの回復が対面座位たった1回で尽きるほど深刻な疲労を与えている。

 対するうるかの体力は、まだある。適切な休憩さえ挟めば夜明けどころか正午まで保(も)つかも知れない。

 手を伸ばす。頬に手を添えられただけで唯我はビクっと震えた。これが先ほどまでの獣かという落差に嗜虐心を刺激さ
れたうるかは自分でも予想外の言葉を吐いた。

「電気……消さないかんね」
(やだうるかさん……。カッコいい…………)

 彼女はもう防御を捨てている。あるのは攻撃。自分の痴態を見られたくないという貞淑さより、唯我の、刺激に対する可愛
らしい反応全てを見たいという欲求が……勝(まさ)った。

 かくて未知なる本格的な騎乗位への恐怖を乗り越えて。

 午前4時6分。

 武元うるか、勇を鼓(こ)す。

 褐色の肢体はもう少年の体を跨いでいる。その体勢での挿入はもちろん初めてのうるかだから、下をチラチラ何度も確認
しながら生殖器同士の軸線を合わせる。
(てか成幸の……疲れてる癖に、すごく……そそってるし…………!)
 サーモンピンクした野箆坊(のっぺらぼう)な屹立ときたら幾度となく精を放ってきた癖に、一向しなびる気配がない。疲れ
魔羅という言葉を知らない無垢なうるかは(ぜ、絶倫って奴……?)と顔を指で覆いたくなるほど頬を染める。
(こんな凄いのを、入れるんだ。あたしが今から、自分で、乗って…………)
 初体験のときのような怖さが沸いてくるのに、子宮のあたりはきゅんと高鳴る。恥ずかしさに、興奮しているうるかが居た。
(あたしが、自分で……。身動きやめた成幸のを……あたしが、一方的に…………挿れちゃうんだ…………)
 挿入はここまで常に唯我によって行われていた。自分から挿れるという意味では初体験なのだ。犯す、という背徳感も
ある。
(この辺……?)
 安産型のプリっとしたお尻を後ろに突き出す格好で、やや前傾のまま首だけ振り向き斜め下を確認するうるか。腰を微妙
に動かし概ねここだろうという位置に座標軸を定めた少女は──…

 挿入に移るべく獰猛な肉棒を右手に握る。
0114 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:52:51.81ID:3XYtBtT6
(熱い……)。

 充血の鉄分がそのまま凝固したような硬ささえあった。
(…………)。大きな双眸を色っぽく潤ませた人魚姫は腰を緩やかに沈めてゆく。秘裂が、ふれた。
「んぅっ」
 くちゃりとした感触に一瞬呻いたうるかだが、(ここでためらっちゃダメ、いまは、あたしが、主導権握らなきゃダメなんだから、
成幸を、メチャクチャに、メチャクチャに……しないと……いけないん、だからっ……!)と恥ずかしいのを我慢し屈んでいく。

 足裏でなく、膝が支えだ。そこと胴体を結ぶ靱(しな)やかな褐色の太もも2つを、ほぼ投げ出すよう唯我に見せつけながら、
濡れそぼる秘部に剛直を埋没させていく。模様もまた、あらわだ。少年の熱い視線が降り注ぐ。(見られてる……)。逃げ出し
たくなる恥ずかしさで首筋を染める少女なのに迎え入れる場所はますます湿潤さを増していく。
 依然、生殖器同士が接している。亀頭は続々と圧し掛かってくる荷重への反動で淫裂から逸れ弾けかけたが、しかし根元
は少女の細い手に握られてもいる。(恥ずかしい、けど)……うるかは真赤になりながら煮え滾る肉棒の仰角を己がヴァギナ
の方へ合わす。腰が強く沈んだ。ちゅぷりという生々しい音と共に尖端は無事、嵌入した。
「んあっ」
 入り口を押し広げる質量に軽く目を剥く少女。何をやってしまったか認識すると眉を下げ、瞳を垂れ目気味に鋭く細める。
羞恥と葛藤で切なげに震える顔つきであるが感じているのも明らかだ。
(な、なに止まってんのよあたし。ここで、終わりじゃ……ないっしょ……)
 手順を進めたいうるかだが、自分から挿れるのが初めてな為なかなか奥まで沈まない。カリ首が入り口付近に引っ掛かっ
たきりだ。
(これ、どうやってすればいいん……? 成幸いつもどうやって挿れてんの……?)
 赤らんだ顔は艶かしいが、子犬のようなあどけなさもある。尾の付け根をこちょこちょされて困惑している子犬が主人に向
けるような視線を、うるかは唯我に送った。
「大丈夫。つっかえても、ちょっと力入れて押し込みゃ、後はお前に沿って導かれる」
「で、でも、それだと、中、切れたり……しない……?」
「初めてのとき以外、何もなかったろ? 鍛えてるせいかお前のソコ、けっこう弾力があってだな」
「やめてやめてそんな情報いらないから!! 言わないでよ感触とか!! あ、あたしすら知らないあたしのこと聞かされんの、
すっごい恥ずかしいんだから!!」
 果たしてかつて居ただろうか、騎乗位本格稼働直前、両目を不等号にして猛抗議する少女は。

(しかも結局成幸にリードされてるし!!うわああん! これじゃ色っぽく攻めまくるとか夢のまた夢だーー!!!)

 心の中で泣きながらも、悔しさは、責めたいという欲求へ少しずつ変わっていく。

(こ、こーなったら、あたしの力だけで……気持ちよくしてやるんだから…………)

 トップクラスの競技者ほど負けず嫌いである。失敗しても勝つまでコンティニューする執念の強さこそ競技の強さだ。
 それが腰を全力で沈めさせた。小ぶりなお尻を斜め上めがけ振り上げた反動を利したのはうるか独自の工夫だが、膝の
脱力は駅弁ファックで学んだ『体重のかけ方』。熟練者に比べればいささか無駄な動きの多い挿入であるのは否めないが、
(却ってそこが…………ぎこちなさが最高です、うるかさん。いかにも初めて本格的に騎乗位やってるって感じで…………)                                      
 簡単にアクセスできる成人媒体ではまずお目にかかれない『真の初々しさ』に唯我はきゅんきゅんと一等星を飛ばすが、
賛辞される方は”どころではない”。

(入…………った。自分で、成幸の…………入れちゃった。根元まで……全部…………)

 衝撃に、頭上の蛍光灯を仰ぎ見て、うるかは閉口も忘れわなないた。反応から推測するに恐らく挿入と同時に子宮を突
かれたのだろう。ただ突かれたのではない、彼女のほぼ全ての体重が子壺を撓ませた。似たような事象なら駅弁ファック
の時もあったが、あちらは姿勢上、ペニスが下へ曲がり荷重を逃がす。
 一方、騎乗位における相手方の体重落下のベクトルは、海綿体→恥骨稜→腹直筋起始の三部構造によって上から下
へグッと受け止められるため、分散は少ないどころか弾力ある腹直筋起始からの反動さえ子宮にもたらす。
0115 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:54:00.56ID:3XYtBtT6
 ひらたく言うと、うるかは、めっちゃ感じた。

(なにコレ……。えきべんのときより、成幸のが、ズンって……ズン、って……)
 はーっ、はーっと窮まった様子で息せくうるかであるが止まってもいられない。「メチャクチャにして下さい」。唯我にそう
言わせた以上、動くべき責務がある。半ば犯された格好に赤面する少年をイジめてやりたいという愛の欲目に紅炎が盛る。
「動く……かんね」
 背後の、少年の脚の傍に右手を突いたうるかは一瞬そこからの痴態を恥じているかの如くためらったが、おっかなびっ
くり、腰をくねらせ始める。
 最初の往復は前後だった。騎(の)ったからにはの王道たる上下動を避けたのは、挿入時の衝撃にヘタレな部分が怯えた
からだ。(あんなのがまた来たら……怖い)。粘っこい水音と共に、咥え込んだ肉棒を、吸い付く膣ごと前後に揺らす。突く
という直線攻撃にそろそろ慣れ始めている唯我だからこそ、剛直の、レバーの如く前後される運動に軽く身を捩らせる。
0116 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:54:16.14ID:3XYtBtT6
(お、俺のが、ぐりんぐりんって、あっちやこっちに……)
(成幸、感じてくれてるみたい……。うれしい)
 微細な反応を一望できるのも騎乗位の特権であろう。もっと可愛い反応を俯瞰したいうるかは腰使いを早める。恥ずか
しげに目を細めながら、髪を揺らし、乳房をぷるっと波打たせなが、クネクネと腰を前後する。
「はっ、はっ、ん……! んん」
 興奮によって硬さと膨張率を増した若い性器に艶かしく鼻を鳴らしながらも、もっとあたしに一生懸命になって欲しいの、
気持ちよくなって欲しいのと切なげな顔つきで腰を振る。全身連動さえ導入した。水泳でトップギアに入るときの如く、肩を、
背中を、太ももを、よく統制された軍の如くに示し合わせてウェーブを作る。遠方と噛み合った筋肉は、強い。入膣で一定の
把持を得ているはずのペニスが海老反るほどの速くそして力強い前後に、いつしか寝そべっている唯我でさえ動かされて
いる。シーツに皺寄せ動かされている自分に彼は驚く。
「武元……っ! もっと、ゆっくり……」
「だーめ」。秀才少年の唇に手を当てた人魚姫、か細い息を上げながら、うっとり笑う。
「メチャクチャにされたいんでしょ……?」
 昂ぶっているせいか、それともマウントを取って余裕を得たのか、ゆらゆらと体を揺らしつつ応えるうるかの表情は、勝気
で活発な女友達のそれである。(付き合う前の、武元の、顔……)。いい意味でも悪い意味でも勝ち目がない相手の再来に
少年の被虐心はますます色づく。
0117 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:54:39.17ID:3XYtBtT6
(あ、成幸。あたしに今、ドキっとした……。さんきう。嬉しいから……、ちょっと怖いけど…………頑張るね)
 腰を深く沈める。怖がっていた上下動は気持ちよさの方が大きいものだった。「あ、いい。奥に、奥に、当たるよぅ」。囁く
のはもちろん唯我に聞かせるためである。「待て。いきなり動き変えたら、出る、から。出ちまう……から」と切羽詰った請願
が来るが微笑で黙殺し、腰を浮かし、また沈める。「ぐっ」。相当耐えたらしい少年が呻くさまを悠然と見下ろすうるかは、
(これ、これ言っちゃったら、すごくえっちで……ヒかれそうだけど…………)、悶える少年を愛でたいという気持ちや、彼に
とってはいつもとは違う、されどうるかにとっては常態であった「受け」の快美を徹底的に味わって欲しいと人魚姫は恥じらい
を敢えて脱ぎ捨て提案する。
「出したかったら、出しちゃっていいよ。成幸」
「……え?」
 少年は戸惑う。数少ない『予習』にある女性とは優位を取ると、『出させない』ことを主眼とし、生殺しで嬲るものだった。
 が、うるかは逆である。逆を言った。
「出されても、あたし……動くから。せーえきでネチャネチャぐっちゃぐっちゃなまま……ぬるぬるしても……動くから」
 その状態で出されても構わず動く……告げられた少年がぶるっと震えたのは射精ではなく背筋の鳥肌のせいであろう。
出してなお、動かれる。倒錯した世界の入り口にぞっとするほどの誘惑を覚えながら、搾精されることへの本能的な恐怖
が拒絶を奏上しかける錯綜が少年から明瞭な回答を奪う。
(成幸、戸惑ってる……。もっと困らせたい。あたしで……もっと…………乱れて……欲しい)
 少年の丹田を小ぶりな掌2つで覆ったうるか、腰を浮かす。
0118 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:55:03.52ID:3XYtBtT6
 細長い質量が出て行くぬっとりとした感触を秘所に感じ「んむぅ」と顔面をピクりとさせたが、すぐさま勢い良く腰を落とす。
恐怖の絡みついた一瞬の浮遊感の果て訪れたのは天上の快楽だ。そそ立つ唯我の肉棒が、潤滑油に火をつけそうな勢
いで媚肉を滑りぬけ、弾力ある子宮口にほぼ突き刺さった。厳密には肉が肉へ僅かに減り入った事象に過ぎぬが、うるか
は「あ! あーー!! く、くしざし……! 成幸のが、あたしのに、くしざし、くしざし、で……!」実感を囈(うわごと)で語る。
「俺の方もすげえ。当たり方が、全然違って……」
「気持ちいい……? なか、ヘンな感じだったり…………痛かったり……しなかった……?」
 新たな淫らさを発見した直後だというのに、うるかは、優しい。戸惑いがちに瞳を細めながら、楚々と聞く。
「スッゲェよかった。その、その……」

 続きは、男の子だから、言い辛い。恥らいながらも物欲しそうに瞳を揺らす唯我だから、うるかはますます愛おしい。
「成幸はもっとシて欲しいですか……?」
(何でいきなり敬語!?)
 不可解だが、ふだんのうるかとのギャップが篭絡を導いたのだろう。「シ、シて欲しい、です……」と少年は恥ずかしげに
求めた。
(…………)
 うるかはちょっと汗ばんだ笑顔でフリーズした。
(しまった、「シて欲しい?」って英語で聞きたかったのに……聞きたかったのに……)
 うっかり日本語で言っちゃったよぅと心の中でベソをかくが、
(でででもでも、成幸かわいいし、オッケーだよね、オッケー!!)

 ストローク再開。二度三度と繰り返しただけで運動における天才少女、瞬く間にコツを掴んでいく。

「あっあっあっ、ぴりぴりするの、みぞおちまで、気持ちいいのが、のぼってきて、あっ、ふぁうん、あ! いい、いいよぉ!」
 激しい上下動をするだけではない。

「は! 入ってるとこそんな見ちゃダメ、ダメだかんね!!」
 勝気な怒り顔。結合部を手で覆いながら、再び後ろに手を突き、くっちゅくっちゅと腰を前後にグラインド。

「あ! 凄い、なりゆきの逞しい! ぜんぜん柔らかくならなくて、凄い、凄……あっ、イッちゃう、軽くだけど、イッちゃううう」
 接地を膝から足裏に移し(つまり和式便所に屈むような露骨な姿勢で)、狂ったように縦貫(しょうかん)を繰り返す。

「出る……。きゅ、吸盤のように吸い付いてくるから、出る、出ちまう……!!」
「いいよ、出して、いっぱい、出してぇ」
 Dという、文乃からすれば恒星ほど遠くそして天文学的な──殺意をも駆り立てる、明確な──質量を激しく揺さぶりな
がら、瞳の際(きわ)に細長い涙を溜めるうるか。
 彼女が腰を上下するたび、無駄な脂肪とメラニンのない白いお腹に横皺が刻まれる。
 運動は腹筋さえも動員しており、故に激しい。
 ジュポリじゅぽりと呑まれては擦られつつ再び露になる棘皮。愛液が纏わりつくあまり、100円ショップのプラスチック製品
のようなチープなテカりさえ帯びてきた唯我の肉棒が……激しく震えた次の瞬間、結合部からぶわっと白濁が溢れた。
「っ、っっっ!!」
 唯我。引き攣れた絶叫を噛み潰したせいで呻きは寧ろ惨苦たるものとなった。そうでもせねば唯我は女児の如くすすり泣
いていただろう。かつてない快楽だった。うるかを攻め立てているときはいつだって極上の天国だが、守勢に回ったこの6分
43秒の忍耐の重みが乗った絶頂は、ふだんとはまた異なるものだった。

「すごい、気持ち……よかった」
「…………」
「……武元?」
 平素ならすぐ快楽の感想を述べるうるかの予想外の沈黙に、唯我は己の性器の具合に不安を覚えたが、「はーっ、はーっ」と
日本猿の如くに顔を染めて息せくうるかは寧ろ凄まじく感じそして興奮しているらしかった。

「動くって……。出しても動くって……言ったよね…………?」

 再動。腰を力強く前後にくねらせる。「ちょ、待て、出したばっかで俺……!」。生暖かいヌルヌルにビクっと体を震わせる
唯我だがその反応が攻め手を炎(も)やす。射精後間髪入れず自ら動くのは初めてなうるかだから、「んん……」と可愛ら
しく鼻を鳴らしながらもどこか凛乎と双眸を尖らせて、くっちゅくっちゅと肉棒を出し入れする。
0119 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:55:46.34ID:3XYtBtT6
「も、悶えてる癖に、全然、んっ、全然しなびてないじゃん。できるっしょ、色々溜めこんでんだし……」

 もっともな指摘と、何より可憐な少女が放出後すぐペニスを咥えこんで動いている甘ったるい刺激に、唯我は頬を染めて
目を背けるほか何もできない。(成幸……可愛い)。恋情と母性にちょっとだけ嗜虐を混ぜた感情をほっぺに薄く紅くまぶす
うるかは、告げる。

「しばらくいっぱいいっぱい……気持ちよくしてあげるかんね。このカッコ恥ずかしいけど……頑張って気持ちよく、するかんね」

 貞淑の躊躇が眼窩の玻璃の如くに硬く光を照り返したのも一瞬のこと、どこかご奉仕の心持ちで攻めに転じた少女はグライン
ドを上下へと切り替える。
0120 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:56:02.27ID:3XYtBtT6
「あっ……v」

 根元まで叩き込んだとき想像以上にぬるっと嵌入したのだろう、子猫がお母さんを見つけたような鳴き声を立てたうるかは
快美に目元を紅くしながら腰を浮かしそして沈める。

 引き締まった小柄な体が、跳ねる。跳ねる。

 ただ天地の狭間を往還するのではない、水泳選手らしく脊柱の連関を意識したストロークだ。うるかは本能の魚類的直感
により、背骨を一本の線ではなく、無数の細かいパーツで構成されたS字型のアブソーバーであると解釈している。
 腕だけでは果たせぬ空手の素晴らしい突きが、足首から腰に到る連動を意識して初めて成せるよう、人魚姫の騎乗位
は首から始まる。
 首から背筋への骨と肉をぶるっと震わせることで背骨は鞭よろしくしなり、末端たる腰に最高速を乗せるのだ。そのアス
リートの合理的な動きに基づいて振り下ろされる腰の力強さは、力任せな少年の突き入れ以上の衝撃を、もたらす。
0121 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:56:18.63ID:3XYtBtT6
(待て待てなんでこんな……重い!? 武元は軽いのに、お、奥まで叩き込まれる衝撃が……すげえ重い!!)

 初夜の騎乗位と明らかに変異しつつあるストロークに唯我は瞠目する。変異と彼は思うがむしろ真の形態というべきであ
ろう。覆いかぶさる他できず、唯我なる横置きの磔柱(たっちゅう)に終始しばりつけられる他なかった初夜はうるか本来の
運動力学を発揮しえぬものだった。羞恥を捨ててまで得た自由活動は天才画家に与えられし純白のキャンパス、フィジカ
ルの筆致の躍動領域。

(だめ……。恥ずかしいのに、泳いでるときみたいに、「こーしたら」ってのが次々浮かんできて……止まんない、止まれないよぅ)

 何かと動きたがる少女は初めての主導権に戸惑いながらも試行を重ねる。快楽を求める本能的な衝動もあるが、何より
大好きな唯我に気持ちよくなって欲しいと無心に頑張る。
 うるかは水泳界においてアイドルであるという。
 愛らしい風貌と、水泳のため鍛え抜かれたスタイルを、愛でる男衆が多いという。
0122 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:56:36.41ID:3XYtBtT6
 そんな天性の見た目も努力の結晶も、全て全て唯我ひとりに捧げようとしているのだ。役得、という他ない。事実少年の方も

(あ、あれだけ人気な武元が、ほとんど水泳のためだけ使ってきた体を……俺を、気持ちよくするため……だけに……)

 淫らにくゆる人魚姫の肢体に釘付けだ。姿態は舞踊の様相さえ呈している。興奮のせいか通常時より大きくふっくら膨ら
んだ、カップ数以上の生白い乳房をぷるんぷるんと揺らしながらうるかは上下動を繰り返す。

(あ、あんま見せたくないけど……成幸も男で、おっぱい星人だって言うし…………揺らした方が、喜ばれる、し……)

 半開きの口から皚(しろ)い歯を覗かせる恥ずかしげな表情で「わざと」揺れるような動きを選択しているのだ。熱い視線
を胸に感じるたび頬を綻ばせながらも「かあっ」と血色を昇らせる初々しいギャップはよほど少年を昂ぶらせているらしい。

「やっ……。だめ、あたしの顔見るたび、硬くすんの、だめ……。恥ずかしい、恥ずかしいの、それぇ」

 粘っこい糸引く口中も露に請願するが、裏腹にストロークは激しくなる。「んっ」。目元に真珠を浮かべながらの呻きは秘所
に力を込めたからで、

「そ、そっちこそ、締め付けんの、やめろって……。俺だってガマン、ガマンしてんのに……!!」

 膣内の肉を操る人種は確かにいるが、初夜後1週間で辿り着ける階梯ではない、本来ならば。半ば不随意に動く生殖器
など足の小指のようなもの、訓練なしでは動かない。単純に見えるペニスすら、勃起状態で「下げる」のは容易ではない。
女性内奥の媚肉は更に複雑だ。

 が。

(ま、まず……股関節の辺りの筋肉。ここなら、きゅっと、できる、し……)

 日常つかわぬ筋肉の活性こそスポーツの極意である。水泳でそれを幾度となく経験してきたうるかの「いつも」は動かせる
部位へのアプローチから始まる。うるかが試みた動きを男性にも分かりやすく説明すると──著述者の想像も幾分まじって
はいるが、恐らくは──男性が、非戦闘状態で、励起させんと玉袋の下あたりに力を込める感触に似ていたであろう。

 極めて下世話な言い方をすると、うるかは。

 外淫唇を、ひくつかせた。

 ここまでは刺激への反応で震えるだけだったラビアをうるかは意図して引き締めた。動き自体はそれこそ足の小指のごと
く緩慢だが、しかし少女の筋量は、多い。一見デルタ地帯など鍛えようもなく思えるが、うるかに限っては例外。水泳で水を
蹴るたび付け根は衝撃で発展している。
 入り口だけとはいえ「きゅっv」と引き絞られた秘所は、それまでの無意識的で、遠慮がちだった感触から別個の強烈さを
帯びた。

(太ももに挟まれた時みてえな強烈さが……。しかも心なしか、ヒダ、ヒダもちょっと、妙な動き、始めてるし……!!)

 陶然と呆けていた少年だが、口元から一筋の涎が垂れているのに気付くと慌てて拭う。

(まずい、俺、呑まれかけてる……。武元が気持ちよくて、呑まれかけてる……)

 戸惑い恐れる表情が皮肉にも、もっと甘美な絶望な発言を導く。

「なりゆき、あたし、だめ、もうだめ、可愛いカオ見てると、熱いの! 体が熱くて、もう、じっと、じっとなんか…………!」

 彼は知る。強烈に思えた愛撫でさえ、まだ唯我を気持ちよくするための配慮だったと。うるか自身が快楽を貪るための
物ではなかったと

「だめなの、きゅっとすると成幸のが気持ちよくて、逞しさとか太さが、くっきり分かっちゃって、だめ、もう、耐えられないの、
耐えられない、よぉ!!」
0123 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:56:55.38ID:3XYtBtT6
 褐色の裸形が無茶苦茶に腰を降り始めた。「ちょ、待て、たけも」、制止などもう届かない。「あっあっあっ、いい、凄く、
いい!」。情熱的な叫びを上げる少女は水泳で最高速を出すときのような無心振りで上下のストロークを繰り返す。もう
乳房の揺れの見栄えなど吹っ飛んでいる。前傾しては細腕にむにゅりとめり込ませ、大きく後ろへ仰け反っては露なる
肋骨の筋の上、ほぼ鎖骨を隠すよう肉まん型に集積し”たぷつかせる”。

「気持ちいい、成幸のおちんちん、気持ちいい、気持ちいい、のぉ!!」

 直立に戻った褐色の面頬は目を閉じたまま涎も気にせず悦楽を浮かべ、腰を振る。活性化する不随意の肉ヒレは、恐る
べき飲み込みの速さで内部まで達しつつある『意図的な締め付け』と相まって極彩色の快楽をペニスにもたらす。

「武元、激しいから、そんなんされたら、出すしか、出すしか……」
「ちょうだい、全部、出して、せーりまだだから、大丈夫だから、沢山、たくさん、びゅっと、びゅっと、してえ」

 壊れた娼婦のような笑顔が、狂い始めている愛の監獄をいっそう貶める。「たけも、と……!」。唯我の腰が震え、結合部
から白濁が溢れた。既に幾度となく出しているのに、飲み干された肉棒の周りはヒゲそりクリームを新たに塗ったような有様
と化した。尋常ならざる興奮の放出量だった。性交の休息の一里塚なのに、うるかはしかし……止まらない。

「あっ、凄い、出されながら動くと、凄い、熱い飛沫の当たる場所が、入れてるあたしでも分かんなくなるほど変わって、凄い、
凄いよぉ!!」

 いまだ放出している唯我に構わず腰を振る。またも最後に手を突き、少年めがけ腰を突き出し、結合のありさまさせ見せ
付けるよう揺らすに揺らす。そこを見られることを恥らっていた少女はもう居ない。悦楽を貪り、それを純朴な少年に無言で
教唆するだけの、いやらしい牝獣と化していた。

「イク! なりゆきが可愛くて、気持ちいいから、イク、またいく、いっちゃうううう!!!」

(スイッチ入りすぎだろ……!)

 唯我は慄く。慄くほかない。確かにうるか、騎(の)れば攻め気で豹変するとは言っていた。

(けど、ここまでとは……!)

 呼び起こしてならぬ存在を起こしてしまったと後悔し始める唯我だが、しかし。

 この射精のあと、一瞬だが止まったうるかは心の中で、あわあわしていた。

(こ、こっから、動かなきゃなんないの……?)

 射精されても動くという自ら掲げた公約を…彼女のヘタレな部分は、怯えた。

(このカッコで、騎乗位で出されんの、噴水がお腹のなかに来たみたいで、スゴか……スゴかったのに、すっごくイッちゃっ
たのに、こっからまだ動くって、どどど、どうなっちゃうのそれ、死んじゃわない?)

 てか仮に気持ちよさで死ななくても死んじゃうから! と胸中のうるかは不等号でうわーんと泣いた。

(出されたのに上でまだ動いてるとか、えっちすぎるよ! そんなん成幸に見られちゃってるんだよ、死んじゃう、恥ずかし
すぎて死ぬー!! も、もう無理だから! これ以上おなじこと見せ続けるとか、本当むりむり、無理だから!!)

 精液の量は、凄い。再動すれば先ほどの比ではない潤滑が先ほどの比ではない快楽をもたらすだろう。

 返す返すも悔やまれるのは先ほどの「出しても動く」発言だ、うるかは。

(うう。お姉さんぶりたくて見栄はりすぎちゃったよう。でも言った以上ソレで成幸気持ちよくしてあげないとガッカリされる
し……。何よりあたしだって、どんだけ気持ちいいか知りたいけど……でもやっぱり……怖くて……。恥ずかしく、て……。
だって、きじょういも凄く、気持ちよくて、もっとしたいけど、あまりしすぎるとフシダラって思われそうだもん……)

 ゆえに少女は。
0124 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:57:23.36ID:3XYtBtT6
(決めた! 恥ずかしいって正直に白状する! 笑われるかもだけど、フシダラな姿たくさん見られるよりマシだし、恥ずかし
くないし……)

 と言いかけるが、

「綺麗だ」

 葛藤のなか響いたその言葉が運命を明後日へと流転させる。

「はい?」。声の出所を見たうるかは、ハッとした様子で視線を逸らす唯我を認める。どうやら先の言葉は思わず出たものらし
い。照れや恥ずかしさで少年は後悔している。
 が、うるかは、ぽかんとした表情から、期待に充ちた、嬉しそうな顔となり、聞き返す。

「いま何ていったの成幸……?」

 弾んだ声に「何でもねえよ」と切り換えす少年だが、食いついた活発な少女は「お願い、あと1回でいいから、もう1回。ね、
ねっ」とせがむ。肉棒を咥えこんだままなのに、無邪気に咲(わら)う。男は、笑顔に、弱い。観念したように唯我は、

「だから……俺の上で動いてるお前は、大人っぽくて……すげえ綺麗だなって…………」

 ぱあああ。少女の笑みは輝いた。

「そっかぁ、綺麗……なんだ。そっかあ…………」

 含羞(はにか)みながら、俯いて、頬をゆるゆるとくつろげる少女の眦には僅かだが涙が滲んでいる。

(「可愛い」なら何度も言ってもらってるけど、「綺麗」は……初めて。初めてだよぅ…………)

 ぽっと染まった頬を両手で持ち、えへへと喜びさえした。

 美しさ。

 桐須先生が冬の美姫であるなら、うるかは夏の戦姫であろう。系統が違うため比べることあたわぬがそれぞれで極致を
華々しくしている。

「も。もー。成幸……。お世辞なんか言ったって乗せられないんだかんね!」

 といいつつうるかはもう、撤退しかけていた騎乗位の貫徹を決めている。(すっごく恥ずかしいけど、綺麗って言ってもら
えるなら……)、頑張り甲斐もあると決めたのだ。これを計算ではなく天然で導くから唯我成幸は始末が悪い。

 もっとも、彼は、罰的な憂き目に遭っていく

 中腰になったうるかが、半分だけ咥えた肉棒を時計回りにし始めた瞬間、陰毛にぼたぼたと滴ってくる灼熱の愛液に、少
年は、やはり起こしてはならぬ妖魔であったかと悔いた。

 が。

「おっぱい。おっぱいも、触って……?」

 変則的なグラインドの中、むんずと手を取られ、尖りきった乳首に決して長くはない中指の爪が激突した瞬間、彼はもう、
性奴の道へ引き込まれた。リードしていた先ほどとは違う、ただ女性を気持ちよくするだけの、道具……あるいは舞台装置
としての「男(あつかい)」に、怪しげなる誘引を……された、されてしまった。

 うるかが先の発言によって自信を取得し、妖麗なる、粘っこい母性をたたえた微笑を浮かべていたのも悪かった。

「こ、こうですか、うるかさん……」

 色欲地獄の苛烈なる流れに屈した草食系の少年はもう、長年ずっと勝気に振舞ってきた少女に勝てない。まるで初めて
触れるような手つきで健康的なふくらみに手を添える。
0125 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:57:56.40ID:3XYtBtT6
「ちくび、ちくびを……ぎゅっとして、欲し……ひィィん! いい、それ、その強さ、その強さが、いい、いいよぉ!!」

 おねだりの通り、潰すばかりの勢いで授乳器官を摘むと褐色の首から上で艶かしい切歯が生じた。淫らなのは、乳首への
刺激に悶えながらもなお、中腰で、中途半端に入っていないペニスを、ぐりん、ぐりんと、回りこねているところである。動き
は、激しい。強くピンチしているサーモンピンクの突起が指から強引にすり抜けることさえあった。そのたびうるかは、

「それ、洗濯ばさみを無理やり剥がされたような痛さが、いい、すごく、いいから、また、またシてええ!」

 と唯我を直視し、切なげに訴える。
 彼の自室はもう桃炎メラメラ跳ねる煉獄だ。乳首への愛撫のたび、ご褒美だとばかり鮮烈なうねりが、意図的な膣の操作
が、感じたことのない快美を肉棒ごしにもたらしてくる。それで隷属せぬ男などまずいない。従えば気持ちよくなれるという
無言の教授が唯我の攻勢へのレコンギスタを『とろかす』。うるかの絶頂は小さいのもふくめればもう、数え切れない。

 中腰の時計回りが、不意に止まった。

「……?」

 何が始まるのか。不安半分、期待半分でうるかを見る唯我。視線こそ彼女は待っていた。「んふふ」と妖しげに笑うと、
なぜか更に腰を上げる。肉棒はもう亀頭しか入っていない。(こっから強く、腰、沈める……?)などという予想は、次の、
圧倒的な淫らな風雅に撃砕された。

「見て。なりゆき。見て……」

 澄んではいるが、それが却って艶かしい優しい声と共に行われたのは。

 亀頭を咥えたまま、ひくひくっと動く、淫裂だった。清楚で貞淑だったうるかがそれを見せ付けるだけでも衝撃なのに、咥
え込まれた尖端は、浅い挿入にも関わらず、ぎちぎちと万力の如く締め付け、そのくせ上質なモップのような毳(やわ)らか
いヒダが何本も何本も絡みついて吸い付いて極上の刺激をもたらすから……少年は心臓がズキっとする興奮を露骨に
浮かべた。
 風景がそれで完結すれば常人がよく醸す淫楽の曼荼羅で済んだ。が。武元うるかの真なる恐ろしさは……!

 うっとりとした、興奮気味の薄目で。

「まだ慣れてないけど……。成幸をきもちよくできるよう……頑張りました。しばらく一方的に責めちゃったから…………
成幸だけが気持ちよくなれるよう……頑張ってみたけど……」

 よくなかったり……する? と健気さ全開の上目遣い──眼下の唯我にそれをやるのは奇妙だが、目つきは確かに上目
遣いの類だった──を”やらかした”点である。

「あ、あああ」

 流れには異物感でしかない変貌に混乱し、わなないた唯我は、「だめだ、武元、急にそれ、それ、やられたら……!」と呻く。

「え、出る!? だめ、深く挿れてからじゃないと、あふれて、もったいな、あ、だめ、出てる! 出されてるうう!」

 片目を瞑りながら放出を感じるうるか。一段落すると、

「もー。ちょっとぐらいガマンしてよ。初夜でさぁ、あたし、なるべく全部ナカで出して欲しいって、言ったじゃん」

 惜しげに拭った精液が、加熱チーズの如く糸引く指鉄砲をぬちゃぬちゃと動かしつつ、むっと膨れて抗議する。

「いや流石に無理だって。さっきのお前……エロすぎたし……!」
「ふーん」

 怒りは解けないが、満更でもないらしい。

「じゃあもっと、えっちなこと、したげる」
0126 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:58:18.38ID:3XYtBtT6
 好色な笑みを浮かべる少女に「いや待て、もう抜かずに3発もだぞ!! ちょっとぐらい休ませろって!」と声を張り上げる
唯我であったが……両肩に、強い力の、褐色が、かかる。両手で彼を押さえ込んだうるかは、心持ち四つん這いで覆いか
ぶさる格好だ。点けっぱなしの蛍光灯で逆光になった彼女は、光の加減で珊瑚色が透ける髪を重力に引かせ、汗をぱら
ぱらと落としながら、双眸を潤ませながら……問いかける。

「12回」
「……はい?」
 謎めいた数字が何か分からず問い返す眼鏡の少年に、行為の余韻か、息を弾ませるうるかは、正答を、突きつける。
「初めてのえっちの夜、成幸が出した回数だけど」
 まさか。ごくりと生唾を呑む彼は、決して自分が察しの悪い者ではないと知る。
「このまま、きじょういでさ、入れっぱのまま、12回……あと9回、出したら…………えっち……、だよね…………?」
「ちょちょ、待て! 落ち着け!! 俺の体力がもたないからソレ! てか死ぬ!! せめて水分ぐらい……!!」
「すいぶん……? あ」
 きょとりしたうるかは、うっすらと微笑すると、身を屈め、唯我の唇を奪った。舌を絡め取られるかと思った彼だが、「んっ、
んっ」と頬を動かすうるかの真意は違っていた。唾液。彼女はそれを送り込んだのだ。
「これで……いい、よね……?」
 水分が、である。唇を離した少女はうっとりと笑う。(だ、だから、エロいって……!)。どぎまぎする少年だが、流れ込まさ
れた少女の生々しくも甘やかな香りを吐き出せる訳も無い。喉も実際、渇いている。うるかは、大きな瞳をじっと、唯我に。
(スッゲ武元さんガン見してる、めっちゃガン見してる)
(だだ大丈夫だよね!? つば飲ます的なことは初夜でも確かしてたと思うし、ヒ! ヒかれたりしないよね!?)
 騎乗位であれほどやっておいて今さら唾液を気にするなど笑い話だが、少女の葛藤は真剣だ。

 こくり。少年は飲んだ。見られながらの嚥下は恐ろしく照れくさいものだった。

(俺の……飲んでもらうとき、あまり武元の顔みないようにしよう……。めっちゃ恥ずかしい……)

 が、事態はそういう配慮をすべき段階ではない。傷心を得てでも唾液をうるかに戻し、峻拒の姿勢こそ示すべきであった。

「あたしの唾で……水分…………摂れるなら…………。いいよね……? あと9回……入れっぱで…………」
「え!? いやいや体力とか色々! ほら俺バックとか駅弁でも結構出したよね!? 死ぬから! 腎虚で死ぬから!」
「あたしの中……気持ちよくない……?」
 不安げに顔を苦しませる美少女は、強い。(ああもうクッソ可愛いな!! 心持ち指を曲げてる手を頬の横に当ててんのも
高ぇし! ポイントが、高ぇし!!)、唯我は内心テンションを上げたが、ここで喰いつくのは秀才としてあまりに浅はかすぎる。
「……そ、そりゃ、お前いろいろ頑張ってくれてるし…………? 心が乗って気持ちよくない訳、ないし……?」
 情けない半眼のままそっぽ向きつつ、空々しく答える唯我に「……嬉しい」とうるかはちょっと涙交じりに純朴なる含羞(は
にか)み笑い。
「だからそういうカオやめて!! スッゲェ可愛いくて逆らえなくなっちまうから、やめて!」
「あっv あっっ!v」
「ってもう動く!? お前のその性に対する積極性はどこからくんの!?」
「え? な、なりゆきへの……愛情?」
「う……」
 嬉しいが、さも当たり前のように答えられると唯我はもう何も言えなくなる。うるかはうるかで、「好き、だから……」と腰を
動かす。
「……え! そんな動きまでするんすかうるかさん! 気持ちいいけど、やめ、やめてえ!」

 もはやどっちが男やら。情けない唯我の叫びを無視してうるかはしばらく動きたくる。
0127 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/25(日) 23:58:33.58ID:3XYtBtT6
 攻め口はここまでのマイナーチェンジが多かったため大部分は省くが、騎乗位における射精回数が通算4回を超えた
あたりの、

「あ、あたしを……いつも、名前で呼んでくれたら…………解放してあげても…………いいけど……?」
「わ、分かったから! 呼ぶから加減してくれ武元!」

 といった不用意な発言に端を発す「つーん」が、「もう知らない。呼んでくれるまでびゅーびゅーさせるかんね」といよいよ
凌辱的な腰さばきを招きよせ、唯我を絶望顔に追いやったことと。

 同じく通算9回目の射精のさい生じた劇的な変化だけは特筆する。

 それは騎乗位がよく取る対面座位の変形だった。男女が向かい合ったまま、片方が、己が律動の赴くまま相手を揺さぶる
というアレである。体位じたいはさほど珍しくない。気の利いたAVや成人漫画であれば騎乗位さなかのスパイスとして選ぶ
ごくありふれた、物である。
0128 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:58:49.97ID:3XYtBtT6
 だがそれはあくまで、男が、女を、揺さぶっている場合である。

 武元うるかは。

「やめ、武元、降ろして……!」
「だーめ。あたしが、あっ、うっかりお尻上げたとき、そのカッコのまま突いてきた、仕返し、仕返し……なんだからっ」

 唯我の上体を無理やり斜めに浮かせた姿勢で、依然として彼の腰上に蟠居(ばんきょ)したまま、対面座位の変形で、
恋人を、男を、律動の赴くまま……揺さぶって、いた。
 騎乗位ものを探れば数本ですぐ辿り着く、「女性がほぼほぼブリッジするような姿勢で背中を逸らし、おとがいを上向け
たまま、容赦ない突き込みで髪を揺らされ喘いでいる」鉄板な構図を、寄りにもよって、

 唯我が

 再現していたのである。
0129 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:59:06.90ID:3XYtBtT6
「いい、気持ちいい、好き、成幸、好きぃ!」

 とろけきったどこか歪な笑顔のうるかは、ダンスをリードするような優雅さで少年の右手を左手で掴み、残る片手で彼の
肩を支え、そして腰のグラインドで揺すりに、揺すっている。

 世にこれほど恐ろしい光景があろうか。確かに騎乗位は女性優勢の体位だが、なまじ対面座位の要素を取り入れて
るのが陰惨だ。男が攻め手に回って当然な姿勢なのに、うるかは膂力任せで……『犯している』。興奮のせいかすっかり
膨らみ豊かになった乳房を、尖端たちが真逆の方へ跳ね上がるのも構わず、ただヨガり狂うままに腰を、全身を、揺らし
ている。

 騎乗位開始からこっち9回も射精させられた唯我だ。一度も抜いていないから、絶倫標語「抜かずの3発」にトリプルスコ
ア。結合部はもはや白濁でベットベト、ひときれのショートケーキを挟み込んで潰したような有様だった。
 よく手入れされている水泳選手の薄めのヘアはところどころ乾燥精液で毛羽立ち、尖っている。降りかかったものが熱く
煮こごるヴァギナの余熱で速乾したのだ。うるかのおへその下や太ももも然り、スティックのりを這わされたように、かぴか
ぴのデンプンがこびりついている。比較的最新版の飛散の方はまだ生乾きで、とろっと垂れているのがまた淫猥だった。
0130 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:59:22.15ID:3XYtBtT6
「あっ、イく」。ビクっと痙攣した少女の目が霞む。舌を突き出し、「またあたし、イく、イっちゃうよぉお」と身震いし汗を散ら
すうるかの下で。

 腰を鈍い角度、時計の長針でいえば「53分」あたりにかかる格好で浮かせている唯我はどうにか横ばいに戻ろうと、
もがくが、背中に回ったうるかの手がそれを許さない。

「いや、寝ちゃいやあ! この角度、この角度が、あんっ、気持ちいい、気持ちいいからあ!!」
 動きを封じているくせに声だけはせがむような調子だから唯我も本気では振り払えない。言葉通り、悩ましげにしかめら
れた少女の顔が、臥せることを物寂しそうに拒むと、男の、女に対するどうしようもない寛容さが、論理的な最善手を潰す。
そうやって抵抗をやめると「あ……」と一瞬、人魚姫が純良な笑みを浮かべるのも、強い。
 なのに下半身だけは獰猛だ。腰を跨ぎ接地する「脛」ときたら、鍛え抜かれた圧力全開で、唯我の脇腹から腰に到るライン
をギリギリと締め付け……逃げられなくしている。
 その力は結合部そのものにも集中している。というより、「脛で男の腰あたり一帯を押さえ込む」都合上、その力はどうし
ても秘裂にかからざるを得ない。快楽の、動力源だった。唯我の肉棒はもはや締め付けられるというより圧搾だった。抜き
差し1つするにもうるかが──相当なフィジカルを持つうるかが──よほど力を込めないと秘所から出ることさえ叶わぬほ
どだった。
 なのに、うるかの抜き差しの速度は……依然として、衰えない。恐ろしい力で締め付けたまま、しかし速い。
 地獄である、男の。
 強烈な締め付けのもたらすストロークは1回1回が射精級の強烈さ。
 うるかはなおも唯我を仰け反らせたまま腰を振り、揺さぶる。その媚態、獣か夜叉か。

「あっ、また出た、出てきた。いいよ、出して、イク、あたしも、イく、出されてる感触で、イク、いっちゃう!」

 熱烈な叫びを迸らせながら、なおも腰を艶かしくくねらせながら快楽を貪るうるか。射精中という絶対禁忌の時間に動く
愛撫は化外のそれだがもはや常態だった。薄まった栗の花の、むわっとする匂いが部屋中いたるところに充満している。

「ほんと全然やわらかくならない、いい。成幸の、いい、好きぃ。成幸のおちんちん、大好きぃ!」

 虚脱に呻く少年とは逆に、褐色少女は正気うすい笑顔で舌を出したまま腰を振りたくる。

「だからカオ、成幸、イクときの顔、見せて。見せてくんないと、泣いちゃう、泣いちゃうから……」

 がっくりと俯きかけた少年の顔を素早く持ち直した少女は、汗みずくでぐったりしているそれを無理やり引きつけ当たり前
のようにキスをする。
 ちゅくちゅくと頬を動かし、唾液を送り込む。
 青白さを通り越して土気色な秀才少年だが、だいぶ躾けられてはいるらしい。流し込まれた唾液をほとんど反射的に飲み
干す。

 彼はもう、無理やり洗われたスナネズミのような虚無である。こういう場合、陵辱され続けれた少女の放心こそ譬(たと)えに
持ち出すべきであるが、なんというか、男が、少女にイカされ続けている場合は、滑稽で、笑えるので、スナネズミだ。

 うすく呻き腰を震わせる唯我。射精中、ぬめりきった淫筒で擦られ続けたが故の当然な帰結に彼はゆき着く、ゆき着かされる。

「いい! また! イク! いっちゃううう!!」

 放出、11回目。ぐったりした少年を無理やり引き起こしたまま腰を振り貪るのは、屍姦にさえ似ていた。

(俺……このまんまでいいのか?)

 少年は虚脱していたが、のちの動きを鑑みるにこの頃なんらかの葛藤があったのは想像に難くない。
 脚色すると、アニメの最終回などでよくある、『絶体絶命の極致で、突如として漆黒の心象空間に転移した霊体的な主人公
が、”それまで”を回顧し……譲れぬ何かを思い出し、最後の奮起をする』ようなプロセスだったろう。

(武元にいいようにされて……すげー気持ちいいけど、男として……いいのか?)

 褐色の肉が踊る。微笑する少女。揺れる乳房。光なき目でひたすら蹂躙される少年。前後する腰。嬌声。大きく開く口。
艶かしげに閉じる瞳。ぐったりガクガクする実在少年的ダッチワイフ。そんな光景は、良いのか?
0131 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/25(日) 23:59:41.73ID:3XYtBtT6
「いや良くねえだろ!!」
「うわあ!?」


 奮起の、決然たる叫び──断じて壮大なノリツッコミなどではない、断じて──を上げ正気に戻った唯我に、うるかは軽
い叫びを上げた。

「どしたん成幸!? 急に叫んで!」
「いや叫ぶわ! 普通絶叫するよね、していいよね?! メチャクチャにしてとは言ったけど、やりすぎだよね流石に!!?」
 うるかはきょとりとした。赤らんだ褐色の可愛い顔を不思議そうに収縮し、紫色の透き通った瞳をぱしぱしとさせて、しばらく
考え込む仕草をして、して、それから、「おー」と手を打ち、答えた。
「どこが?」
「どこがと言いますかどこがと言っちゃいますか武元さん! 全部だよ! 全体的にだよ!! お前、お前な! 昔から
ラリアットとか覚えるとすぐチョーシ乗って連発してくる悪い部分が今回だよ!! 知れ!!」
「お、落ち着いて成幸。文法おかしい!」
「英語ミスるお前が言うか!! 腹立ったから後で猛勉強な! お前の分からねえ部分全力で解説してやる全力で!!」
「どんな怒り方!? てかそれただの親切な先生!」
「とにかく水分よこせ! 飲まんと死ぬっつうか再来してんだよ! 水道2ヶ月止められた時の絶望感が!!」
 絶叫した唯我は徹夜明けのような形相だった。さすがに体力ゼロでの絶叫は響いたのか、ぜえはあと息急き、強盗のよう
な顔つきで「早く! 水! おねがい!」と厳しく言いつけた。
(あああ、あたし、成幸怒らせちゃったのかなあ。でも怒ってんのにお願いとか言っちゃうのは可愛いよぅ)
 一喝で普段に戻ったうるかは、いつものごとく戯画的にぶるぶる震えた。震えてから、ちょっと窺う目つきをして……キスに
移り、唾液を送った。
「……嬉しくねえ訳はねえし、水分サンキュだけど、こーいうのが、根本的な、間違いのように、思えるんだが」
 一応は飲んだ唯我はジトっとした目でうるかを射抜く。
「申し訳ないです……」
 おどおどとした小動物のように縮こまるうるかは
「じゃ、じゃあ……どうすれば、いいん?」
 と聞いた。濡れた瞳で心細げに問う顔は、ひどく嗜虐心を煽る。

「仕返しを受け入れろ」
「え、きゃ!?」

 いまだ唯我に跨っていたうるかが目を白黒させ絹裂く悲鳴をあげたのは、急に太ももを掴まれ、更にぐっと押し広げられた
ためである。
「待って成幸、あたしさっきイッたばかりで、まだ、まだ……!」
「ダメ。俺それ多分6回以上されたんだ。少しは味わえ」
 唯我は腰を、突き上げた。
 衝撃に跳ねたうるかは「あっ! やん!」と稚(いとけな)く吠えた。軽く瞳孔が開き、小ぶりな明太子のように鮮やかなサー
モンピンクの舌も僅かだがまろび出た。(だめ、ぬめりが、ひどくて……)、想像以上に深く入り込んできた肉棒に感じながら
も不安げに睫毛を震わせたうるかは、更迭されゆく主導権を惜しむよう、おどおどと、唯我を視た。
「最後の最後、12回目で動くなんて……ひきょう」
「うるさい。俺だってこのカッコで、動きたかったんだよ」
 だよ、に合わせるよう唯我は再び突き上げる。「ひィィん」と啼いて見せるうるかの頬には弱気の虫。
(だめ、上なんだから、あたしが、あたしが……攻めるんだから……)
 唯我の腰が、引いた。すかさずうるかは腰を落とす。陰嚢がたぷんと跳ねた。期せずして最奥に迎え入れられた唯我は
驚き怯む。ゆらい活発なうるかである、逃さない。少年の腹部に手を置いて繰り出す激しい腰使いを上体直立にて連撃
連撃、また連撃。下腹部へV字型に収束する両腕の向こうで、興奮がふっくらとさせる半白の乳房がたぷんたぷんと揺れ
た。
「あ、あたしだって、反撃ぐらい、する、し……!」
 一瞬勝気に笑って見せるうるかだが自らの行為の刺激に耐えられないらしく、すぐさま切羽詰まった瞑目の喘ぎに塗り固
められる。
 いじらしさが、そそる。「やっ、だめ、だめえ」。バウンドしていた乳房が2つもろとも掴まれた。半円を描くような揉みこみに
ぐにゃりと潰れた双丘は鎖骨の辺りまで撓んだ。(おのれ)。うるかの方は乱暴な愛撫に怒ることさえできない。
 ふよんとしたDカップの感触を弄ぶ唯我に、「んん……」と軽く眉根を動かしながら、双眸に複雑なライトパープルの構造
色を灯したうるかは、挑戦的な、しかし大いに引き攣った、弱気がバレバレな表情で、言う。
0132 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:00:22.72ID:/WOoQb80
「まあ別に揉んでいいy……じゃなくて!! えと! なんだこれどう言えば……あそうだ、罰! そう罰だから! あ、あた
しを、さっきみたく、気持ちよくしなきゃ……こんな反撃、許さないかんねっ!!」
(えーと、これは、つまり)
 少女の真意をだいたい察した唯我だが、その視線を向けられてなお優越感を保ちたいうるかは、しどろもどろ。

「ほらそのっ、な、成幸はいま、あたしに組み伏せられてんだし? 気持ちよくすべきセキムってのが……あああ乳首ちょっと
待って、かたくならないでってばー! 成幸に触られただけでもっと立っちゃったら本心バレバレになっちゃうからやめてーー!!」

(天 使 か !)

 ひとたび守勢に回るとこれである、うるかは。体力の尽きていた唯我でさえ情動が沸き立った。
 乱暴にもにゅもにゅと乳房の形を変える。「…………っ!」。ビクっと震えるうるかはもう、虚勢すら、張れない。

「やめて、おっぱい、感じやすいっ、からあ。さわられるとすぐ、イッちゃう、イッちゃうからあ!!」
「さんざ俺にやらしといて、今さら?」
 嘲るのは怒りが優しさを忘れ去れているせい。それでも乳首を抓る力はどこか優しい。「きゃうううんv」。媚びた叫びを
恥らって口を押さえるうるかだが、騎乗位の支えの半分が移動したことにより上下動の勢いが弱まった。腰を突き上げる
唯我。「だめ、そこだめえ!」。Gスポットを突かれた少女は水球を目元に浮かべ嘆願するが片手だけ太ももに戻した唯我
は速さ重視で何度も突き込む。

 ペニスの引きは根元までどころか全体の3分の1すらなかった。

 浅く引き、手早く挿れ直す。あとはもう初夜の再現だ。
 うるかはまたしても腰を浮かし逃げようとするが、乳房から肩へ回り込んだ手で下へと強引に引き戻される。
(…………)
 羞恥のアルゴンに掛けられしは高き電圧の……加虐。うるかの網膜で妖しい紫炎がえんらえんらと渦を巻く。。
 古いのだろう、円形の蛍光灯が一瞬とはいえ暗んだせいで灰色の転調を帯びた部屋の中、唯我の速射は3分続いた。
短く思えるが色事の責め苦における3分とはライターの炎で指先を炙るのに似ており、相対的に、長い。うるかは地獄を
味わった。大好きな想い人に求められ貪られる甘美な地獄の中、陽快だった顔つきを涙と涎とでグシャグシャに粧(めか)
し、叫び続けた。
「やめっ、止まっ……あっ! あっ、だめ、だめ、イく、これイく、イッちゃううう」
 必死に理性をかき集める。英語の知識を集中すれば少しでもマシになると思い、すがるよう脳裏で展開する。
「うるか」
 少女が震撼したのは名前呼びにではない。唯我が身を起こしてきたらからだ。(刺激、たぶん、おっぱいに来る。おっぱい
イジめられちゃうう)。期待にも似た警戒で身構えるが……刺激は意外なところから来た。
「ひっ!」
 感じたことのない刺激に唇の稜線をギザギザにして瞠目するうるか。唯我は……舐めていた。
 人魚姫の右脇を……舐めていた。
「どええええ! ちょ、やめて成幸、そこ、汚い……汚い、から!! 汗とかの、臭いが、するかも、だから……!!」
「お前に汚ぇとこなんかねえよ」
 静かに目を閉じ舌を這わす唯我は当然ながら実物以上に格好良いものとしてうるかに映る。
(こんなカッコいい成幸に、わき、わきを……あたし、わきを、なめられて……)
 臨界。
「俺も出す。出してやるから合わせろ。一緒にイけ」
「だめッ、イッちゃうう、わきで、イく、イキたくないのに、だめ、イク、あたしイク、イッちゃううううううううう!!!」
 騎乗位の格好で背中を海老反らせる少女。「うっ……!」と身悶える唯我の方へ寄りかかって脱力。騎乗位だけで実に
12回目だというのにカニのあぶくなど比類にならぬ量の白濁が「ごっぽ」と結合部から溢れた。

 普通ならここで終わりだろという所から、アホのように続けやがるのがコイツらである。
 うるかに規格外の体力があり、しかも長年鬱屈に鬱屈を重ねた思慕を抱えているから、ねちっこいのである、いちいち。

 12回目の射精直後。

 ぽっと頬を赤らめながら、当たり前のように腰を落として唯我を飲み干した少女は、「ちょ、漏れる、からっ……」と呻く
少年──さすがに疲れたらしく、寝そべっている──の手を、白濁塗れの手で遠慮がちに取り、下腹部へ持っていく。

(な、なんだ……? こ、今度は、クリ、一番敏感なとこでも触れとでも…………?)
0133 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:00:42.22ID:/WOoQb80
 が、うるかはピタっと動きを止める。「うー。うーーー!!」と何やら呻く。「どしたんですかうるかさん」。結構な攻めをされ
たせいですっかり畏敬の滲んでいる唯我に、びくっとした少女は「その、その、ね」と俯く。双眸は前髪の陰に隠れた。
「お、お、お…………」
「お?」
 唯我の応答に「ぼっ」と頭頂部の長い毛の付け根や、形のいい耳から蒸気を噴いたうるかは、とても恥ずかしそうに、
言った。
「……おしり。おしりの…………穴を…………触っても…………いい、けど……──…?」

(え)

(えええええええええええ!!!?)

 少年は固まった。俄かには信じられなかった。そこを使う性戯の存在じたいは知っている。男だから、憧れもあった。
 だが貞淑きわまるうるかの方から言われるとは。

「ちょちょ、待て。待て。おま、え!? いいのか!? すっごい恥ずかしいことだぞそれは!!」
「わ、わかってるしそんなこと! だからこんな恥ずかしがってんじゃん成幸のばか!!」
 不等号の端に涙を溜めながら猛抗議する少女。やがて語調が弱まると、心細げにポツポツ語り始める。
「だ、だって。バックのとき、成幸が、ちらちら……お尻、見てたし…………」
(バレてた!? いや武元ほとんど後ろ振り返ってたし、当然か!!)
「まあ別に……いいけど、さ。お、男の子だし、キョーミあんのは仕方ないし…………」
 と恥ずかしげに唇尖らせぼやいていたうるかだが、別の問題に気付き、慌てる。
「……あ!! ちゃんと綺麗にはしてるから!! ってこれじゃあたしお尻いじられたがってるようでフシダラじゃん!! ち
が、違うの!! お尻綺麗にしてるのは、そのっ、えっちの時、お尻から変なニオイしたら萎えるって、インターネットで知っ
たからで!! だだっ、だから!? 初夜とか、今日、とか……えっちの前は、絶食とかでお腹の中なるべく綺麗にして……
……ガ、ガスの出そうな、お豆とかも数日前から避けて…………毎日いちごヨーグルト食べて…………綺麗に、綺麗に……」
 しどろもどろに言う少女に、唯我は本当に心から、畏敬も何も忘れあっけらかんと呟いた。
「神かお前は」
「うえええ!? か、神!? ええ〜。いろんな褒められ方期待してたけど、それは流石になかったなー」
 あははと誤魔化すように空笑いするうるかだが、相変わらず掴んでいる唯我の手をどこに導きたいのか再認識すると、
「ぼっ」と蒸気を噴き、朱の斜線で目鼻を打ち消す。
「いや、そんだけ恥ずかしいならやめた方がいいんじゃねえのか? 踏ん切りつくまで保留って手も……」
「で、でも、なるべく早く、シたい、し……。だ、だって……、ね」
 大きな瞳を困ったように揺らめかす少女の告解は、告解と呼ぶにはあまりに淫らだった。
「お尻……お尻をカイハツしといたら、…………その、ね、せーり来ても……できるでしょ……? お尻、で…………」
 人の心を捕らえるのは複雑で難解な言葉ではない。恐ろしく単純な『言われて見れば……』だ。
「おおっ、お前、どんだけ、どんだけだよ、どんだけ俺と、シたいんだよ……」
 心を絡め取られたからこそ唯我は露骨にうろたえる。嬉しすぎるからこそガーっと食いついたら「秀才」らしくなくなると
いう見栄が先行し、眼鏡の下を赤らめきょどきょどした。
「な! なりゆきがえっちなのが悪いんじゃん!!」
 褐色少女、うーと吠える。
「初夜からまだ一週間なのに、駅弁とか、騎乗位とかガンガンやらしてきて…………そ、そんだけえっちなこと好きだった
ら、せーりきたら、絶対、この女、させて欲しい時にさせないなんて全くガッカリだぜとか……思われそうで、怖くて、しかも
…………すっごいカッコよくて優しいから……他の、他のめっちゃ可愛いコ……文乃っちとかリズりんに…………手……
出しそうで…………だったら、だったら……お尻でもできるようにしたら…………すっごい恥ずかしいけど……他のコじゃ
……できないようなことも……あたしだけが、できるなら、できる、なら、その、プレミア感ってアレで…………、だから、だか
ら……お尻でできるようしとかないと、駄目で、駄目、だから、だから、だから、ね」
 高まり続けた不安のトーンは双眸の潤みによって締めくくられる。
「えーと」
 唯我は困惑していたが、ここで「じゃあ触ろうと」は良くも悪くもなれない少年である。
「あのな、武元。念のため言っとくけど、そーいう、体で自分を繋ぎとめようとすんのは多分逆効果だぞ」
「え!?」
0134 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:01:15.39ID:/WOoQb80
「いや俺も男女の関係に詳しい訳じゃねえけど、どんだけ色々捧げようが裏切られるとき裏切られるつーか、尽くされるか
らこそ、『じゃあ捨てんのもアリだろ、メンドくさくなったら、こっちを解放するよう”尽くせ”っつーのも、問題ねえよな』って思う
最低な野郎は、居るだろ多分」
「ままままさか成幸もそんな人!? 優しそうに見えて隠された暗黒面が! うわーんショックなのにヤバげなとこがカッコい
いとか思っちゃうあたし終わってるー!! もー成幸最低ー! 信じらんない!!」
「いや、ちげえし!!」
 唯我の目が剣呑に研ぎ澄まされる。文乃に言い寄る男にすら公平な態度で立ち向かった少年である。貧困に喘いでいる
からこそ、情には厚い。
「俺が、俺が言いたいのは無理すんなってことだよ! シ、シたくもねえことを俺の歓心得る為にすんのは良くねえだろ」
「…………うー。でも成幸、えきべんとか、きじょーいとか、させたじゃん。あたし恥ずかしがってたのに……」
 う。戯画的な表情でビクっとなり硬直する少年に嘆息する。(いやまあ、あたし分かっちゃいるけどさ。あたしがシて欲しがっ
てるの見抜いてたって。本当に嫌がったらやめてたってのも分かるけど……)、言葉で心をどうこうするにはまだまだ穴の
多い少年である、唯我は。
(頭いいくせに、交渉、ヘタだなあ……)
 おバカを是認する自分ですらツッコめる唯我に、少女は呆れつつも笑う。誠実なのはわかるが、先行してしまった肉欲との
整合性までは補えない一種稚拙な弁舌が、おかしかった。
0135 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:01:52.49ID:/WOoQb80
「で、でも、俺がお前好きになったのは……体目当てじゃなくて……いっつも前向きで、水泳とか勉強とか頑張る姿に勇気……
みたいなもん貰ってたからで…………、だ、だから、ちょっとエロいこと出来なくなっても、古橋や緒方に浮気なんて……
しねえよ、絶対」
(もう)
 あまりに飾り気のない弁明に、人魚姫の顔はくしゃくしゃになった。(そ、そんなん、言葉だけじゃん。当てになんて、なんない
し…………)などと思ってる癖に、頬は喜色に彩られ、感泣さえも涌いてくる。
(あーもうダメだなあたし。ほんっと、成幸が好きで……ちょろいなあ)
 手はもう自然に動いていた。唯我の手を、大きめのお尻の、谷間へと、導いていた。
「うるかさん!? 俺の言葉、聞いてました!!?」
 ぎょっと──しかしどこか嬉しそうな引きつり笑いを浮かべるのがこの男の……というか、男全般のどうしようもない部分で
あろう──ぎょっとする唯我に、うるかは、ふふっと、どこか鹿島さん(以下敬称略)のような悠然たる要素もある蠱惑的な女
友達の顔で笑う。
「あたしが、お尻でシたいなら……問題ないっしょ……?」
 意を決した唯我が少女の指を振りほどき、自ら菊座を愛撫し始める──…というのが、うるかの想像図だったが、現実は
違っていた。
0136 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/26(月) 00:02:14.03ID:/WOoQb80
 彼女は、自分で、想い人の指を、アナルに埋没させた。「っっ!?」。呼吸音が”く”とか”け”に変ずる微細な驚きを浮かべる
唯我の指に纏わりついたのは、膣とも異なる柔らかな感触である。
「ひゃううう!」
 思わず甘い叫びを上げる少女に、
「た、武元、自分で、俺の指を、す、凄いところに…………!?」
 唯我はどぎまぎし、
「てかお前、自分で挿れてその声はなんなの!?」
 混乱から逃れるよう、ツッコんだ。
「だだ、だって、成幸の手が、ひんやりしてるの……忘れてて……じわじわ火照ってたお尻に……氷入れられたみたいで
気持ち、よくて…………!」

 どこか牧歌的な涙目でおろおろと弁解する少女。

(うわーん! ついノリでやっちゃったけど、これってメチャクチャえっちなことじゃん!! 場所が場所だし、ドドド、ドン引き
されたらどうしよう!! でもお腹綺麗にしてるし大丈)夫と思いかけたうるかだが、ふと視界に入った窓が現実的な恐怖を
呼び起こす。外はそろそろ白み始めている。思考を縛ったのは日の出によるタイムアップ……ではなく、もっと根本的な、人
類に寄り添う概念だ。
0137 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/26(月) 00:02:57.01ID:/WOoQb80
(時間! そ! そーいえばえっちの前に7時間ぐらい勉強してたじゃん! そんときあたし……)

 お菓子食べてた! とギョっとする。

(あああ馬鹿馬鹿あたし、絶食してた癖に何でお菓子とか食べてんの!! うわーん、勉強するときの癖でつい食べちゃう
とか何なのさ! うー! 最初からえっちしてたならお菓子の量、3分の1ぐらいに、できたのにー!)
 心の中で頭を抱え、踊る。
 普段は文乃と違い、カロリーすら気にせずバクバク景気良く食べるうるかだが、今はお菓子が死活問題。
(アレが出てきたりしないよね! た! 確か食べたものが大腸に届くのって24時間後ぐらい……だよね!? お菓子食べ
たのは夜で、今は明け方ぐらい……だから、大丈夫だよね!? ささ、参考にしたサイトとか間違ってないでよ間違ってたら
破滅……あ! お茶も沢山飲んでんじゃん!!)
0138 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/26(月) 00:03:13.82ID:/WOoQb80
 そうなのだ。ことに至る前、実に7時間ほど続いた勉強のなかで、飲んで呑んで、服(の)んで、喫(の)みまくっていた。

(あああ! 水分! 水分がそのっ、古くなった腸の壁とか、胆汁とか、お尻に運んできてたら……あああ、だめだめ、そん
なんなったらあたし死ぬ、死ぬしかなくなる……!!)

 想い人には決しては見せてはならぬ禁忌の物体が何から出来ているか、一応知ってはいるうるかだ。断食しても、腸の壁や
胆汁の運搬までは止められない。だからミルクしか飲まない赤ちゃんにオムツが必要なのだとは、唯我への思い高ずるあまり
先走って読んでしまった育児書からの知識。

「はううう。成幸、どうしよう……」
「……あー。菓子食って、茶ぁ飲んでたもんなお前…………」
(察してる!!? あああ、でも理解してくれてる成幸、ありがたいよぉ……!)
「す、水分は……大丈夫だろ。お前めっちゃ汗かいてたし……。唾液も俺にやるぐらい余ってたし……何より、濡れ方が……」
「わーストップストップ!! 最後のだけは駄目言わないで本当、恥ずかしくて死んじゃうからーー!!」
 瞳を不等号より数学の角を示す記号「∠」に近しい線に細めたうるかは両手を突き出しわぁわぁ騒ぐ。
0139 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/26(月) 00:03:44.46ID:/WOoQb80
「菓子だって、菓子……だぞ? 糖分が多いんだから、俺らの動きで、エネルギーになってるかもで……」
「でも腸の壁が、古くなって剥がれ落ちた腸の壁が……怖いよ、怖いよぅ」
「……腸の壁ってお前…………」
「怖いんだよう!!」
 幼稚園児謹製の似顔絵のような呆けた表情でポロポロと涙を流すうるかにはまだ抵抗があるようだ。
「その、俺は、ここまで来た以上、刺激したいけど……嫌なら今日はやめとくか……?」
 唯我は言った。アブノーマルなことに手を出したのがウソなような締まらなさだった。
「つ、続けて! でも来たらやめて頼むから!!」
「来たらって何がだよ」
「やばい感触が!!」
「やばい感触が!?」
 言わんとすることは分かるが、肛門来襲時の禁忌がいかなる形態を取っているかなど到底与り知らぬ唯我である。

(どうしろと!? だいたい感触が分かった時点でそれは武元、お前の、凄い物にふれちゃってるってことだぞ!?)

(しかもココ、シーツの上だし! いつも使う、シーツの、上だし!)

 むろん有事はまだ兆候すら見せていない。うるかの入念なる準備の恩恵をして、何も起こらず、甘美なる淫靡だけを味わっ
て終われる公算の方が高い。

 が、賢い少年はどうしても、万が一の事態を……危惧する。

 指を抜くことで具体的形態を伴って現出した”やばい感触”が、重力原理に導かれるまま到達したシーツ上において、うる
かとは別個の存在事由を確立した場合、惨劇はもう、避けられない……と。
(1枚しかねえんだぞ俺のシーツ!! 貧乏だから!)
 という顔をする唯我も実は抜けている。いまは騎乗位、うるかは彼の腰に座っている。つまり『確立』はむしろ唯我上で
勃発する可能性が、高い。

 唯我の主観はSAN値がピンチである。なのに、うるかは。

 不浄の孔に潜り込んだ少年の指の感触に、うっすら汗ばみ微かだが切なげに喘いでいる。
0140 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:04:35.40ID:/WOoQb80
「ゆび……。さきっぽしか入ってないのに……。どうしよう……。気持ちよく、気持ちよくなって……きてる……」

 彼女自身、(いや感じてる場合じゃないでしょ、早くやめないとえらいことになっちゃうかもしんないのに!!)とは分かってい
るらしく、快美の顔つきはひどく虚脱気味な、情けない泣き笑いをも孕んでいる。

「お前は何でもアリか。何でもいいのか」
 こいつは……とひどく呆れた唯我に(ええっ、これってまさか話に聞く「こんな恥ずかしい場所でも感じるのかこのメスブタ!」
的な罵倒!? はううう、凄く傷つく筈なのに成幸がドSチックに思えてドキドキ止まんないよぅ)などとうるかは動揺するが、
もちろん言葉責めではない。うるかなるボケキャラに日常行うツッコミの延長に過ぎない。
 と、いう認識へと。
(うー)
 諧謔的ですらある少年の白眼視でようやく辿り着いた褐色少女は「だだ、だって、成幸の、ゆび……だし」と釈明を始める。

「じ、自分のだったら、たぶん、こんな気持ちにはならないっていうか……触ることすら……怖かった……し……」

 バイアス、である。初夜、初めてであったにも関わらず成幸に感じたのは、「成幸に、されるから」という補正ありきだった。
それはアナルにも適用されているらしい。

 唯我に跨っているうるかは今にも泣きそうな色合いを、ねこねこした瞳に宿す。

「ほ、他の人なら、気持ち悪くて嫌なだけ、だから……。お尻の穴さわられるなんて……成幸じゃなきゃ……許したく……
ない、から……。ほんとう、だから……!」
 ドキっとし、唖然ともした、眼鏡の少年は俄かに発奮した顔つきで「そういうこと、言う?」と、眉根を寄せた。怒ったのでは
なく、性的な攻撃性が刺激されたのだ。

「それに……あたしは…………お口の初めても…………大事な場所の初めても…………成幸にあげたから…………お尻
の……だって、成幸さえ良かったら…………貰って……欲しくて…………」
「待て待てそこまでにしてくれ! う、嬉しいけどだな! そそそそんなハッキリ言われると俺の方が恥ずかしい、すげえ照
れちまう、から……っ!」
 らしくもなく両目を不等号にして真赤になる唯我に「う、うん。あたしも……」とやや充血した目を下へ向けるうるか。
 肛門愛撫という歪な行為に踏み入りつつあるくせに、この両名はいちいち初々しい。
 だが初々しさとは爆発装甲反応ともまた似ているのだ。僅かな刺激で容易く弾ける。偶然交差した自分の視線に優しく
頬笑み返したうるかによって唯我の指が……菊座に埋没していた指が……動く。

「……んっ」
 異物感に可愛らしく顔をしかめる少女に、発表。
「1分だけな。蠕動ってのがあるから、1分だけ……その、刺激、する……からな」
「う、うん……」

 不安と緊張に硬くなりつつも、(嬉しい……)と言いたげに頬をゆがませる人魚姫。もうその淫猥なニュアンスだけで唯我
はシーツなど死んでもいいと思った。

 僅かに先端だけが入っていた人差し指が、ぬぷっと音を立てる。
(は、入ってきてる……。潜り込んで、きてる……)

 ぶるっと打ち震えるうるか。

 菊座で感じる指の嵌入は、膣とはまた異なるものだ。それこそ座薬の例が一番わかりやすい。うるかとて、小学生時代は
高熱の1つも出し、世話になったであろう。例の鋭角ともいえる異物感、排泄中枢が応にも刺激される緊迫の感触は、今
回しかも肉と熱の実感さえ侍(はべ)らせている。不溶の肌は、のっぺりした水溶性のカプセルと違い、細かな凹凸があり、
それが微妙な抵抗を産生する。

 大きさからして違うのだ。
0141 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:05:16.53ID:/WOoQb80
 Y軸方向から見下ろせば直径1cmにも満たない座薬と違い、縦1cm超、横2cm強の楕円形を模(かたど)る指の威圧
感に、(やばい、想像以上に、おっきくて……)、騎乗位の姿勢のまま、ぴくっ、ぴくっと痙攣するうるか。体温で乾いた筈の
全身にねっとりした脂汗が浮かび始める。
「あっ」
 関節のふしくれが直腸粘膜の敏感なところを擦ったらしい。人魚姫の息が弾み始めた。反応に興奮したのだろう。唯我は
指を沈める速度を増す。「きゃう!?」。目をひろげ、上を見る少女。「い、痛かったか……?」。性急すぎたかと心配する
少年に、「違うの、気持ちよかった、だけで……」とうるかは戸惑いながらも報告する。
「ペンだこ……成幸のペンだこが…………。お尻の中を、擦って…………それが、気持ちよくて…………」
 含羞(はにか)み笑いだが、やや半開きの眼差しには淫蕩なる照射が宿っている。女じみた計算と、少女らしい可愛い期待
があった。「ペンだこ」という単語が、どれほど唯我を発奮させるか、わかった上で、敢えて告げたのだ。

 もはや小悪魔である。目論見に気付けぬ少年ではなかったが、(ど、どうせ1分しか刺激、できねえんだし)ちょっとぐらい
欲情丸出しで攻めてもいいだろうと、一気に、指を、根元まで、押し込んだ。

「ふぁっ、ふぁあああん!? そんな、お尻、お尻、初めて……なんだから、もっと、加減して、よぉ!」
 びっくりして軽く腰を跳ね上げる少女だが、「だめ。誘うよーなこと言ったのお前なんだし」と唯我、さらに追撃。
 指を、曲げた。「ひン!」。部位が部位だけにやや深刻な声で、両目を瞑り刺激に耐える少女。口の端には早くも涎が
滲んでいる。
「だめ、指っ、まげて、くいくい、しないでよぉ!! 爪、爪だって、当たる、当たるんだからあ!!」
 今度は打算ではない。弾力ある指の中にあって唯一ケラチンの硬さを持つ部位への純然たる抗議だ。優等生らしく短く
切りそろえられているため直腸内を傷つけることはないが、手の甲側に円く張り付いているこの板そのものが独特な異物
感であり、だからうるかのヘタレな部分は「怖いから、怖いからぁ」と訴える。
 ここで構わずくちゃくちゃと責めてこそ、述べるに値する男なのだが、唯我はどうも、決定的なところがズレている。
「……あの、もしかして、前の方に指入れてるときも、爪、嫌だったり……するのか?」
「ば」
 うるかは、紅くなった。
「ばかーー! ここでそんなこと聞く!? 信じらんない!! 答えたらあたしすっごく恥ずかしくなんのよソレ!!」
「も、もしかして、爪の感触耐えてくれてたとか……なのか? 『前』の時」
「違うってば!! だ、だいじなトコん時は、比較的スペースがあって、く、くちゅくちゅしてても、指の背中の爪とか、そんな
めいっぱいは押し付けられたりはしないけど、お! お尻はその!! 狭いから……!! ななっ、成幸の指を、すっぽり
と……く、くわえ……ちゃってるから……? ちょっとした動きでも爪が……当たrああもう何てこと言わせてくれるのよ成幸
のばかー!! あ、頭いいし触ってもいるんだから、言われなくても気付いてよ頼むから!!!」
「あー。悪い。悪かったよ武も……痛い痛いなんだこの痛み!?」
 指がギリギリと締め付けられた。(いや、ここが勝手に動く訳ねえし)と見たうるかは、「しまったやらかした」という暗澹たる
表情をしていた。締め付けは、にわかに緩む。唯我成幸、すべてを察す。
「……仕返しでソコに力入れたはいいが、途中ですごい恥ずかしいことしてるって気付いちまったんだな。後悔してんだな……」
 コクコク。前髪に目を隠した少女は代赭色(たいしゃいろ)の顔を頷かせた。
(いちいちアホ可愛い)
 そんな可愛い少女の括約筋で指を締められたという実にけしらかぬエロティックな憂き目が唯我の欲情を蘇らせる。
(そーいや、まだ、騎乗位で繋がってる訳で……)
 律動をやめていたのは抜かずの12発で空前の消耗をしていたせいだ。が、「きゅっ」と語尾にハートマークをつけて締め付けて
きた”すぼまり”を指からトレースすると、少年、たまらなくなった。
「動かすぞ」
「へ? あ! ちょ、やめ、あン!!」
 腰を突き上げる奇襲にうるかは成す術なく顎を「がっくん」と揺らしそして跳ねた。
「お、お尻だけなんじゃ……!?」
「い、今のが可愛すぎて動きたくなったんだよ、悪いか!」
「そんな! きゅっとしただけじゃん、てか成幸だってたいがい何でもありじゃん! もー!!」
0142 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:05:59.33ID:/WOoQb80
 抗議こそするがそこは唯我にデレっデレなうるかである。(お、お尻いじられながら……きじょういって……)、ごくりと唾
呑み、期待する。
 不意に、変えた。足の置き方を、である。唯我を一方的に貪っていたあたりから、彼の腰を固定すべくうるかは膝から脛
までペッタリと接地していたが、今度は足裏で体重を支える──和式便所を使うような、いやらしい──格好になった。
「こっちのがあたし、腰……動かしやすいし…………」
「……そっか」
 唯我は腰を突き入れる。突き入れながら指も動かし肛(しりのあな)をくすぐる。普通に暮らしていてはまず有り得ぬ”そこ”
の逆流現象の異物感に頬を苦しげに赤らめるうるか。だが腰は動き始める。律動を、もっとも気持ちいいタイミングで受け
止められるように。
 指の抜き差しが始まった。染み出し始めた腸液が時おり顔出すペンだこにテカる。
 くっちゅ、くっちゅ。微かな音を聞きつけたうるかは日焼け跡に桜色を昇らせる。なのに秘所は泌(にじ)みを増す。どろど
ろと付着していた精液が薄い和合液になってシーツにポタリ、ポタリと落ち流されていくほどにぬめっていく。
0143 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:06:09.98ID:/WOoQb80
 興奮した唯我は残り少ない力の全てを込めて、突き上げる。
「やっ、ああああん…………」
 わななく少女。だが唯我がヘバって小休止に入ったのを見ると、自ら腰を動かし始める。今度は貪るための動きではない。
少年を感じるための優しい愛撫だ。根元まで咥え込んだまま、細くて小さな褐色の腰を遠慮がちに回す。いじらしい姿に
興奮した唯我は指の抜き差しを早める。
「ふぁっ、あっ、はゥんんん、あっ、あああ……。っ! ふぁうっ、んっ、いい、気持ちいい。はっ、はぅうう、あう、うんっ」
 切なげに喘ぎながら、腰をくちゃくちゃと回し、前と後ろの快楽2つをうっとりと感じるうるか。足の置き方を変えたのはこの
為の布石である。
 指が、抜かれた。
(もう1分、過ぎちゃったんだ……)
0144 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:06:24.92ID:/WOoQb80
 名残惜しく思った瞬間、唯我が突き込みの気配を見せた。普通の騎乗位でフィニッシュだろう、そう思ったとき、それは来た。
 指がまた、刺されたのである、アナルに。
「ふぁあうう!?」
 悶えて脱力した瞬間、ずんッと叩き込まれてきた下からの杭は子宮口をぶりんと思うさま叩いた。
「いっしょくた!? だめ、お尻いじりながら突き上げるの、だめえ!!」
 少女が戸惑ったのは、しかも菊座の指がどういう訳か、太さを増していたからだ。しかも先ほどより奥に入ってきているとこ
ろを見ると、長くなってすらいるらしい。
(どどどっ、どういうこと!? ゆ、ゆびだよ!? おちんちんみたくおっきくなるわけ……)
 いやまさか! 電撃的な気付きは正解であった。

 中指。

 唯我はそれを人差し指と交代させている!
0145 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:06:43.58ID:/WOoQb80
 些細な変更に思えるがしかしいわゆる手マンを想像してみよ、もっとも最大効率で力を込めやすいのは左右に長めの指を
置く……つまり両側に支えを持つ、中指である。

「って! だめだってば! 1分なんてもう過ぎてるでしょ! 今日はお菓子食べてお茶飲んだから! あまりイジると、ほんと
怖いから!! やめて、そろそろ……!!」
「あ、あと1分ぐらいなら、大丈夫だって」
「そーゆうこといった時に限って、出っ、はっ、はぅぅぅぅん!!」
 人差し指とはまったく違う感触に身もだえ可愛らしい涙を溜める少女。いつしか淫穴は素早い抜き差しでほぐれ始めて
いる。急速に開発されつつある性感帯の刺激からうるかは逃げようと腰を前にやるが、そうなると咥え込んだ肉棒を妙な
角度で擦ることになり……予想だにせぬ甘い電流に焦がされる。
「ここか……?」
 摩擦でヌルっと感じている部分が肉棒で突かれた。少し強めのノックに「ひゃうう!?」、人魚姫は目を白黒。得たりとば
かり唯我は小刻みに愛撫、愛撫、愛撫。
 鈴口以外が野箆坊(のっぺらぼう)なエイリアンじみたグロテスクな肉棒のキスの嵐に膣は歓喜し、媚肉のヒレをぐねぐね
と蠢かせる。肉棒への絡まりときたら、やはり筋力のせいでタコの吸盤のような熱烈さだ。
「武元、お前のなか、やっぱすげえ、気持ちいい……! すごく、動いて……」
0146 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:07:00.89ID:/WOoQb80
「かか、勝手に動いてるだけで……あたし、自分では、今は……っ、きゃうっ!? 動かして、いないんだから……!」
 切羽詰った表情で喘ぐうるかが可愛くて、唯我はしょうもないイタズラを思いついた。
「へ……!?」
 うるかが、ヨダレを垂らしたまま目の色を変えたのは、ちゅぷっと潜り込んだ中指が、ある一方向に向かって、直腸粘膜を
撓(しな)らせ始めたからである。(ま、まって、これって、こっちの、方向って……!) 恐ろしい想像に戦慄して「だめ、そっち、
そんなこと、そんなこと、だめえ!」と涙声で許しを乞い肛虐から逃げようと全身するが、残る唯我の片手に押さえ込まれる。
中指の動きもまた止まらない。腸壁の弾力を、抵抗を、男の膂力で強引にねじ伏せながら唯我が遂に辿り着いた目的の
座標とは──…

 うるかは、膣にめり込んでくる感触に「だめ、だめえ」と切歯し、首を振る。だが『お腹の中で、膣の外から押さえてくる』
恐ろしい感触は止まらない。「いや! いや! こんなの、恥ずかしっ、恥ずかしい、からあ!!」、真赤な顔で唯我を直視
し必死に泣訴するが、直腸の片頬の拡張は止まらない。「っっ!! 〜〜〜っっ!!」、涙でぐっしゃぐっしゃの顔が更に
引きつり痙攣したのは排泄孔ごしに「ぷりんっ」と撓んだ膣がドミノ倒し的な力で更に内側へとめり込み始めたからである。
そして撓みがやがて、鉄のような硬い手応えに行き着いた瞬間、うるかは一瞬息を呑み、

「いや、お尻越しに、おちんちん、おちんちん、触るの、だめえええええええええええ!!!」

 甲走った声をあげ……絶頂した。初めての強烈な刺激と、度を越えた羞恥に耐えられなくなったらしい。

 反応に猛りきった唯我は更に微細な動きを加える。

「あっ! だめ! だめーー!! あたしまだイッたばかりで……許しっ、ひぐっ!? ら、らめっ、指2本は、らめえ!!」」

 膣の方にぐっと撓ませたせいで空隙の生じた薄桃色のすぼまりに唯我は人差し指を潜り込ませた。強引な拡張調教に
びっくりしそちらを見たところへ唯我は再び……肉棒を突き込む。「あんっ」。色っぽく喘いだあと、

「えええ! こ、これ、どっちに対応しろっていうのよーーー!!」

 前と後ろをきょどきょどと見渡しテンパるうるか。もっと艶っぽい反応を期待していた唯我だが、(面白いわ可愛いわで、
ナイスです、うるかさん)とほっこりした。二穴責めの修羅場で明るく戸惑えるのはよほど形質が陽快でなければできぬ芸当
だ。「頼むから片っぽだけにして! もうーー!!」。両目不等号で怒り漫符の湯気を飛ばす少女が可愛いから、秀才は
指二本をくっちゅくっちゅ掻き回し……新たな肛悦を与えるのだ。

「やめっ、お尻の穴から、おちんちん、おちんちん、触るの……やめっ、あ、だめ、敏感なとこ、敏感なとこ、指で、おちんちんに
押し付けられて、イク、あたし、イッちゃう、こんなん恥ずかしいのに、イッちゃうう!!!」

                                                                  うるか
 女児だけが陥るガン泣きの赤面で、眉を下げ、両まぶたをハの字に顰め引き攣れた高啼きをあげる快美の地獄図に無情
な加筆が、なされる。

「これで……今晩、最後、だから……!!」

 清楚な殻に包まれていた真珠を手早く剥いた唯我はそこを思い切り……摘む。

「はっ! はうううう!!!」

 反応したうるかの仰けぞり方はとても尋常なものではなかった。グッと仰け反った下顎が花瓶を倒す要領で零してしまった
涎は、首筋の勢いのせいでほとんど抜き打ちの要領でシャープな円弧描きつつビュっとX軸方向へ飛翔、チャンバラの血
しぶきかという位の勢いで背後かなたの戸に激突し飛散した。
(す、スゴい……)
 瞳孔を見開き、あぶくさえ涎に代位させて口に滲ませているうるかだが、唯我は最終最後の追撃に移っている。

 狂的なまでの勢いで跳ね起きるや、激しい呼吸に上下している左乳房に野獣の如く吸い付き……上質なキノコのような
コリコリした感触の乳首を、やや強く、噛んだ。

「いっ」

 度を越えた快楽に仰天しながらもそこは女性、母性が刺激され瞳に優しい喜悦が浮かぶ。刹那。唯我はアナルを、クリトリ
スを、それぞれ全力で擦り! 左記2点を支点としながら爆発的な突き上げを見舞いつつ……先ほどより強く! 乳首を……
齧った!!
0147 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:07:20.09ID:/WOoQb80
 超新星爆発の直前はいつだって謐(しず)かな物だ。怖気にも似た身震いに胴を攣らせたうるかは、ぱくぱくと口を震わせ
ていたが一拍遅れで脳髄のそこかしこが快美の爆発に見舞われ始めた瞬間、一瞬だが虚脱した笑みを浮かべ──…

「いやっ、いやあああああ! 凄いの! 今まで一番凄いいいいい! 好きっ、こんな気持ちいいことしてくれる成幸、好きぃ、
大好きひぃいいい!」

 脳髄の快美の爆発はもう止まらない。瞼の裏でチカチカ瞬く五色の神彩と幻誕の中、激しくイキ狂って善がり震える。

「びゅっとして、せーえき、いっぱいいっぱい中に出してえっ!!」

 イクイク、イッちゃううと痙攣する膣めがけ、「俺も、イく、出す……!」と唯我も震える。だが無責任な放出ではない。虚脱の
瞬間にあってなお彼は下腹部に力を込め……射精さえも雄渾なる最高速度で実行。最後の最後まで責め抜くという訳である。

 果たして放たれた白濁の散弾はほとんど射切るような勢いで媚肉の到るところを刺激した。その1つ1つに敏感に反応し、
悶えたり微笑んだりするうるかは、充血のせいでやや赤紫になった瞳を霞ませつつ唯我に甘え泣く。

「だめっ、しゃせいまで気持ちいいとか、あたし、もうだめ、死んじゃう、成幸いなくなったら……死んじゃうううう!!」

 泣いてヨガって首を左右に振りたくる少女。
 変化はそこだけではない。声と共に秘部から無色透明の飛沫が溢れ、八方に渙(ち)った。

(……まさか、これって、話に聞く……潮吹きって奴……?)
 男性にしては薄めの陰毛を濡らす生暖かい液体は、心なしか噴出が収まってなお、ちょろちょろと溢れている風だった。
「なりゆきぃ」
 異変に気付いていないのは幸か不幸か。褐色少女のしなやかな手が唯我の首に巻きついた。
「やっぱり責めるより責められる方が、凄い、凄いよぉ」
 羞恥の多い少女だが、射精や度を越えた絶頂の直後は理性がとろけてしまうらしく、理性とかけ離れた姿態になる。この
時もそれだった。
「イッたから、キス、キス、して欲しいのぉ」
 絶頂と接吻にいかような連関があるか不明だが、そんなセリフを吐くうるかも可愛いと思ってしまう駄目な唯我だ。求めに
応じ、唇を重ねる。両名ともしばらく舌などを貪りあっていた。
(…………)
 唇の、右の方をうるかは何故か大きな瞳をきょろりと向けた。この仕草は駅弁での初絶頂以来、二度目である。
「? なんか、あんのか?」
「えへへー。ないしょー」
(なんか怪しいな)
「すきー。なりゆき。すきー」
「だから。お前、直後はキャラちげえって」
 ふだん素直になれない分、理性が弾けると甘えん坊になるらしい。褐色の頬を唯我のそれへすりすりと摺り寄せるうるか。
子猫か子犬かというぐらいの無邪気さだ。(ああもう和樹や葉月のがまだ分別あるぞ)。やきもきする唯我だが根っこはお兄
さんなのだ。「まあ、俺も……その、あれだ。……好き、だし」。ぶっきらぼうな照れ混じりにポニーテールを撫でてやる。

 嬉しかったのだろう。再びキスをしたうるかは、言った。乱れきった顔つきで息を弾ませながら、きらきらと報告する。

「あのね、成幸、イッたあとね、あたし、唇の、下のだけどね、右半分、感覚なくなってんの」
 幸福そうに細めた瞳にやや淫らな光を灯しながらの告解をちょっと判じかねた教戒師はしばらく黙っていたが、ややあって。
「はい?」
「成幸の唇が、あたしの唇の右下に触れてるとこだけ、溶けて、なくなってるみたいで、1つになったみたいで、気持ちいいの。
なんでそーなってんのか分かんないけど、イッた後だけはそこだけ感覚なくなってて、味わいたいの、もっとソレ、味わいた
いの……」
 だからまた、シよ? 清純だが蠱惑的でもある笑みで呼びかける少女に、ごくりと生唾を呑んだ唯我は。
0148 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:08:31.21ID:/WOoQb80
 ここからしばらく実用性のない著述が続く。

『次』をすぐ求められる場合、「脈絡はないが」でページ内検索するとすぐ飛べる。
0149 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/26(月) 00:09:57.14ID:/WOoQb80
「流石に玄関前だと家の人に見られるかも知れんから、ここまでな」
 キキィっというブレーキ音の中、「う、うん。ありがと」とうるかは自宅から100mほどの角で自転車から降りた。




(あのあと、成幸は)

「唇が痺れて感触なくなるとか武元それ腹上死の前触れじみてて怖いから! 詳しい訳じゃないが、刺激が脳の血管破っ
てマヒさせてるとかだったらヤバい! どっちみち俺の体力カラだしやらしいことは中止な中止!」

 夜明けを待って、自転車で、うるかを自宅へ送り届けた。

「とにかく、家、帰ったら、家族の誰かと、一緒に居ろ、よ。手足のしびれとか、舌のもつれとか出てきた、とき、すぐ救急車
呼んでもらえるように、しとけ、よ。こーいうとき、一番やべえのは、帰宅も知らせず、自分の部屋に籠もるってパターン、だ
から、な……!」
「怖い症状出たら一人で死んじゃうかも、だよね。分かってるけど、分かってるけど……」
 今のうるかの心配は、全身汗みずくでゼェハア息ついている成幸である。
「ああああ。ゴメンナサイ。あたしの唇がヘンなことなったせいで、ただでさえ疲れてる時に自転車の全力疾走を……!」
 瞳が引用符になるほどアワアワとうろたえ口に手を当てる褐色少女。
「気にすんな、てか、走ってる時の振動が、頭痛呼んだりは……」
 殺人鬼じみた三白眼にクマさえつけて、顔上半分をゾっとするほどの青紫に染めている唯我に「ごめんね心配させて。
お父さんの……辛いこと…………思い出させちゃってるよね……」と謝り足りない様子だが、しかし残念ながら行き掛かり
上、ここで帰るほかないのである。
 二言三言、別れの挨拶を交わした後、うるかは自宅へ向かい始めた。角から顔半分だけ覗かせている唯我を何度も何度
も名残惜しそうに振り返っては遠ざかっていき、やがて自宅の門というべき場所を通過した。
 玄関を開ける音がした。日中であるなら100m先の角になど響かぬが、しかしまだ薄暗い早暁である。静かなため、確か
に届いた。

 唯我は、どうも心配性らしい。

(まて。玄関開けた瞬間、安堵のせいで怖い症状が出て倒れる場合もあるんじゃ。武元わりと平気そうな顔してたけど、
不調隠して無理するとこあるし……、念のため、様子窺った方が……)

 武元家の玄関先めがけ歩み出そうとした彼は。

 ギョっとした顔つきで角の陰へ隠れた。

(ど! どーいうことだよ!? なんでこのタイミングで!? どうしてお前が武元んちの前に!? てか何で……後ろ歩き!?)

 うるかの自宅のある区画をAブロックとする。唯我がいま潜んでいるのはAブロックと道路を挟んで向かい合う、いわばB
ブロックの一角だ。
 そのBブロックの、唯我から見て、武元家の玄関から更に20mほど向こうの、つまり彼からは120mほど先にある、練塀
とブロック塀で形成された細い路地から、1つの人影が前触れもなく出てきたのだ。
 奇妙なことに彼女は、背中をうるかに見せていた。後ろ向きに、歩いていたのだ。だが角から覗く成幸には横顔が映った
し、うるかに至っては後ろ姿だけで誰か気付いた。
「ふぇ? な、なんでココに? 夢? ままっ、まさか幻覚!? これも危ない症状!?」
 よく透る声が唯我の耳に届く。うるかもまた戸惑っているようだった。謎の人物はゆっくりと振り向いた。

「あ、ああ゛、ここ、うるかちゃんちの……近く……だったんだね……!!」

 何があったのか、ゼエハアと凄まじい息を荒げる少女のあちこちほつれた髪は、黝(あおぐろ)い。左目には、泣きぼくろ。
0150 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/26(月) 00:10:19.77ID:/WOoQb80
(古橋!!?)
(ドドドどーして文乃っちが!? てか見られてないよね!? いま文乃っちが出てきた細い路地って

  │        民家
  └──────────────┐  ○ → 成幸
※┌─────────────┐│ 
  │        民家        ││  ◇ → うるか
○│                    ││
  └─────────────┤│  ☆ → 文乃
                       ☆
                       ◇

てな感じになってるから、あたしたちが※のとこ通った時、細い路地のド真ん中とかに居たら絶対気付かれてたよね!?)
「うるかちゃんは……ランニング帰り…………? や、やっぱ、鍛えてると……違うね……)
(あれこれ見られてないパターン!? そ、そういえばさっき文乃っち後ろ歩きで路地から出てきた! たぶん一回入って
はみたけど、何だか狭くて行き止まりっぽく見えたから……引き返したんだ! だったら※であたしが成幸といっしょに居
るとこ、見られてないよねっ!? だだ、大丈夫だよね!? 本当は見ていたけど、あたしに気ぃ使ってくれて後ろ歩きで
一芝居とか、ないよね!?)
0151 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:10:54.74ID:/WOoQb80
 うるかは、両目をもつれにもつれた真黒な毛糸玉にした。粥のような汗がボタボタっと下顎を伝って玄関前のコンクリに
落ちていく。

「ててててかどしたん文乃っち!? メさっきからチャクチャ息あがってるけど何があったん!!?」
「え!? あ、いや、ばかな話なんだけど」
「う、うん……」
「ききっ、キレイな星をね、夜通し見に行ってたんだけど、ちょっとアクシデントがあって、あちこち走り回る羽目になって……
……で、でも、まだ大丈夫! あんな運動、バニラアイス一口分の運動にもなりゃしねえ!! だよ!」」
(アクシデント……? 何があったんだ? 時間が時間だし、まさか変質者に遭遇したとかか……?)
 角から軽く顔を出した成幸は気付く。文乃の傍に自転車があることに。
(……自転車乗ってたことあったっけ古橋)
 妙な違和感を覚えたが、(いや遠くに星見に行くなら乗るだろ自転車ぐらい)と思い直した時、彼は”それ”をやらかした。

 ガシャアアン!!

 肘が掠った唯我の自転車が、派手な音を立てて、こけた。地面で跳ねる音源を前に少年は慄然と立ち尽くす。

(もー! 成幸なにしてんの! 何してくれてんのよーーー!!)

 心の中で泣き笑いするうるかの前で「?」と文乃は角の方を無言で指差した。
0152 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:11:30.27ID:/WOoQb80
(やばいやばいやばい!! 今のガシャアンで文乃っちの関心が角に向いちゃった!)
(仮に今から全速力で逃げたとしても、古橋がこの角曲がってくる予定がなかったとしても!)

 音があったのだ。彼女はきっと、来るだろう。唯我とうるかの知る文乃とはそういう追求の厳しい少女だ。

(そうなったら俺は確実に見られる! 武元にこそ及ばんが運動神経いいからな古橋!! しかも自転車連れてるし!)
(そのうえ成幸はいまヘバリきってる! もともと体力ないし!)
(だから……逃げ切れない……! 絶対に見られる。というか古橋が相手なんだ。僅かでも俺の姿に見覚えを感じたら)

『あれぇ唯我君、こんな朝早く、うるかちゃんの家の傍で何やってんのかなあ』

 自転車に自転車で追いついてきた文乃が怨霊のような顔つきで詰問してくる……といった光景を、少年が想像したであろう
ことは想像に難くない。
0153 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:11:58.76ID:/WOoQb80
『まさかだけど、送りにきたのかなあ』


『うるかちゃんの様子がちょっとおかしかったのは、まさかそういうことなのかなあ』


『あれ? そっちは西だよ? 逃げ帰るなら方向が違うんじゃないかなこの野郎』


(絶対来る、次々来る。逃げられない。絶対逃げられない……)

 冷汗三斗どころか万斛(ばんこく)の汗をだらだら流す秀才少年。
0154 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:12:13.08ID:/WOoQb80
 一方、うるか。

(こ! こーなったら!!)

 あの! と文乃の細腕を掴んだ。「どしたのうるかちゃん?」。きょとりとする彼女に、「えと! ウチこない! ほら文乃っち、
汗びっしょりだし! お腹空いてるだろうし、良かったらウチでお風呂とかご飯とか……!」と捲くし立てる。

「えっ、いいの!?」

 文乃の目が輝いた。「いいよ! 是非どうぞ!」「帰るなりうるさいわねうるか、今何時だと思ってるのよ」といった武元家の
母の声を交えた賑々しい喧騒が通り過ぎたあと。

(つっかれた〜〜〜)
0155 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:12:35.72ID:/WOoQb80
 唯我は角の塀に寄りかかり、へなへなと尻餅をついた。

(古橋の出現は予想外だったが、武元の機転で何とか切り抜けられたし……アイツも家の人と合流できたし……帰ろう)

 どっと出てきた疲れに彼は一瞬本気で眠りかけたが、偶然視界に入った高塀の防犯カメラに血相を変え、立ち上がる。何
が教育係解任のきっかけになるか分からない。不審な行動は控えたいのだ。


 だが運命の変転は終わらない。

 突如けたたましい声を立てたのは……スマホ。自転車でうるかを運んでいる最中ずっと胸ポケットにあったそれが、鳴っ
たのだ。

「はい。唯我ですが」。生真面目にもノータイムで出た少年の表情が、強張る。




「え……」


「水希が?」
0156 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:12:58.93ID:/WOoQb80
※しばらく非エロ。『次』は「脈絡はないが」でページ検索するとすぐである。

 時系列はその日のまま。朝が過ぎ、昼が終わり……。
 つまりは日曜日の夕方。武元家で。

「また病院で検査受けたいってあんた……」

 うるかの母は唖然とした。娘の男性関係が心配になった。男の影自体は数年前から知っている。鏡の前で行われた「なり
ゆきくん」を呼び捨てにする練習は何度も見ている。手作り弁当だって以前、からかった。

 恐らく「なりゆきくん」が今の彼氏なのだろうとは分かっているが

(……よね? 今日の朝きたコが本命とか、ないわよね……?)

 早朝訪れた文乃にうるかの母の不安はかきたてられている。

「あのコは、女の子……よね? ふ、服とか、顔とか、声は、そう、だし…………」

 この独白を文乃が聞けば、オイオイあなた他のどこを以って疑ってやがんですかと、虚無の微笑を差し向けるであろう。仮
令(たとえ)友人の母であっても許されぬことは確かにある。

(ともかく、付き合っているのは『なりゆきくん』の筈……)

 うるかは、先々週──日曜にとって前日たる土曜は先週だから、その前週の初夜は先々週だ──の金曜から程なくして
タンコブを見せ、CTだったかMRIだったかを受けた。
 何かにつけて大雑把で、夢中になると体力管理を忘れて倒れる、「おれはやるぜ、おれはやるぜ」の犬ぞりハスキーの
のような無頓着ぶりを誇るうるかが、いきなり精密検査を具申したのは奇妙を通りこして異常だが、しかし母、まだ納得は
していた。
 夜、家で1人にした娘が、妙に綺麗になった娘が、水泳でも作ったことのないコブを心底心配そうに見せ、検査費用の捻
出を具申したのはまあ、「最初だから勝手が分からず混乱しているうちベッドか何かで頭を打ったのだろう」と割合事実に
即した、娘の性格をも踏まえた安堵を以って解釈してはいた。

 が、二度目となると話は別だ。常識的な親であるなら「……まさか」とDV的な事柄を疑うほかない。


 母は、ソファーに腰掛けているうるかと、視線を合わすべく、腰を屈めた。議題は、検査。

「いや、どうしても必要っていうなら、お金も出すけど、あんた、なんでまた検査したいの? 年頃だから、話したくない事情
だってあるかも知れないけど、それでもね、うるか、どんなきっかけのせいで、どんな症状が出てるかぐらいは言ってくれな
いと、お医者さんも……ママも、どうしていいか分かんないのよ? あんただって調べて欲しいこと、ちゃんと調べてもらえな
いのよ? それって損じゃないの? せっかく水泳とか受験の時間削って検査するのに、何も分からなくて、ぶり返すかもって
不安だけ残るって……あんた的には、どうなの? それで一番大切な人と、本当に楽しく過ごせるの?」

 優しく呼びかける。娘を親等の下流ではなく、平等な1人の人間として遇する口調である。心から誠実に諭している。最後
などはDVをやられている場合「男を売りやすく」できる効能もある。「一番大切な人は喜んでくれるの?」なら売ることつまり
破滅させることは愛ゆえ躊躇してしまうが、「楽しく過ごせるの?」であればDVの境涯への悲しさが刺激され、売りやすく、
なる。DVでなかったとしても(というか実際こっちだが)、相手に心配をかけまいとするうるかの心情を動かせる。
 恐ろしく両得な末文、わたしじゃなきゃ見逃しちゃうね。さりげないが、うるかの母、世馴れた巧者であろう。

「それに……何か1つちょっと話してくれるだけで、除ける原因だってあるんだから……」
0157 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:13:25.24ID:/WOoQb80
 うるかの母、場合によっては「なりゆきくん」に対する法的措置も考えてはいるらしい。が、娘が選んだ以上、そういう最悪
な介入はせずに済む男だろうとどこかで信じたがっている──単に不運な事故が二周連続で続いたのだろうと──信じた
がっている雰囲気もあり、つまりはいいお母さんだった。
 思春期の娘への対話ぶり、文乃が見れば憧憬どころか感泣さえ催す──…
 というのがうるかの頭を過ぎったのか、どうか。ただ隠し事に対する罪悪感は芽生えたらしい。
 褐色少女は真実にだいぶ近いことをテンパりつつも、語った。

「そのっ、すすすっ、水泳とかで!? めっちゃハイに、あ、いや、ハイにってのは、勝った時のですけど!? 嬉しすぎてテ
ンションが突き抜けて、わーってなって、訳わかんなくて、コーフンが、いや、コーフンっていっても、イチローが打ったときみた
いな、そっちの、そっちのコーフンだかんね?! そっちのコーフンが凄いことになった後に、くちびる……とかが、感覚なく
なることって…………普通かなあ!? ふふふ、普通じゃないと困るっていうか、怖いっていうか……!!」

 真赤な顔つきで、ぎょろぎょろぎょろ、ぎょろぎょろぎょろぎょろと視線を右に左にやる娘に。

(あー)

 母は全てを理解した。僅かな沈黙が母娘の間を占めた。やたらやかましいバイクが武元家の傍を通り過ぎた。

(コーフンってあんた。今言ったような症状、インターハイの後でさえ言わなかったわよね。アレ結構な勝負どころよね……?)

 なのに、うるかが「ど、どこに泊まるって!? そそそ、そりゃ、えと、かかか、川っちの家ですし!? 海っちもいますし!?
い、行き先は行ったかんね! で、電話とか絶対しないでよ絶対、あたしもう高校生なんだから!!」と不審丸出しで外泊し
て帰ってきた直後に「コーフン」どうこう言われては……誰だって何にハイになったか分かろう。

「うるか。安心しなさい。大丈夫、大丈夫だから」
 リビングで脳の病気の症例を集めた本──むろん小美浪先輩から借りた本だ──を恐々と読んでいる娘に母は告げた。
「だ、大丈夫って何が?」
 いろいろ不安げな少女に、投げる一言は、これ以上なく、完璧なまでに、生存を、確約する、力強い物だった。


「右だったら──…」


「ママも、そうだから」


 うるかは一瞬かぎりない喜色を浮かべかけたが、ここでそうなんだと応対することが「セックスで本日未明ごろ、はじめて
の絶頂しました」と声高に叫ぶのと同義であると気付けぬほど愚かではない。

(てか、え、遺伝? どんな体質!? そのうえママのそういう話とか……ううう。分かるけどさ、あたし安心させるために恥ず
かしい秘密教えてくれたってのは分かるけど、こっちまで恥ずかしいよぅ)

 あたしが出来たときのママも唇の感覚なくしてたん……? などと両目を不等号にして紅くなるうるか。母も気恥ずかしい
らしく、年甲斐もなくちょっと頬を染めている。

「マ、ママだって生理きたのは…………成人式の後……だし……」
(そこも遺伝!!? どんな家系なのよウチ!)




「遺伝かー。よかったーーー」

 月曜お昼休み。屋上で唇の真実を聞かされた唯我は、口からエクトプラズムが出るほどに脱力した。

「だ! 誰からの遺伝かは聞かないでよ! ママまで恥ずかしい思いしちゃうんだから!!」

 うるかは素晴らしいまでのアホッ娘ぶりであった。

 2人はベンチに並んで腰掛けている。空は青く、周りには人がおらず、会話には格好の日といえる。
0158 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:13:53.34ID:/WOoQb80
「てか成幸……、やつれちゃってるね、ゴメン……」
「うん。頼むから二度とああいうノリはやめてねうるかさん……」

 騎乗位だけで12回は絞られたせいで、少年はゲッソリ、している。お蔭で朝から友人たちに驚かれた。

「緒方にも古橋にも軽い食あたりってことにしてあるから、口裏合わせてくれよ」
 今みたいにポロっとやられると、お互い死ぬからなマジで……やつれのせいでやや荒んで見える唯我の念押しに、
「え? あたしいま、なんかポロっと言っちゃった?」
 うるかは母が泣きそうなことを呟いた。
「……まあ、俺が言い出したのが原因だが、にしても、こんなカタチで体調管理ミスるとか俺は自分が情けない……」
 受験の基本だぞ体調は……と青白い人魂を2つも3つも侍らせて俯く少年に、うるか、慌てる。
「あ! あたしが悪いんだし、そそっ、それにほら! 文乃っちだって朝、なんか、くしゃみして、鼻ぐずぐず言わせてたじゃん!
マジメな文乃っちでも体調崩すことあるし、だから成幸は悪くないから!」
「古橋な。前も体調崩したのに夜通し自転車で走るとか……。俺も人のこと言えないけど、自転車はなあ……」
「自転車といえば妹ちゃんの体調、…………どう?」
「大丈夫だよ。交番に保護された時よかだいぶ良くなった。さっき母さん電話してきたけど、昼メシは自力で食えたらしい」

 なんかもう複雑だ、怒りてえことあんのに、怒れねえっていうか……。唯我の困惑の色は深い。

「まさか土曜の晩、連れてかれた親類の家でロードバイクをパクって帰ろうとすんなんてな……」
「それが原因なんだよね。寝込んじゃったの」

 どこをどうたどってきたのか。だいぶカッ飛ばしたらしい。

「クルマでも1時間かかる距離をだぞ……?」

 だが最高速なら唯我家まであと5分ぐらいの河川敷で走行中、精魂尽きて気絶し、最高速の自転車から転落! 
 そのまま気絶した……『らしい』。
 らしいというのは、状況から導き出される推測である。河川敷に転がっている水希を見た者はいない。彼女が別の場所で
保護されたあと、河川敷でロードバイクが見つかったから、そこで気絶し、『運ばれた』のではないかと推測されている。
 運ばれた? 水希はいったい、どこへ?
「誰か、親切な人が、水希を交番に運んでくれたらしい。午前3時半ぐらいなのに、わざわざな」
「よく妹ちゃんそんな時間に見つけてもらえたね……。てか運んでくれた人は新聞配達の人とか?」
「わからん。名も告げずに立ち去ったからな。ただ電話してくれたおまわりさんの話じゃスーツ姿の綺麗な女の人だったとか」
「桐須先生みたいな感じかなぁ? てか本人だったりして」
「違うと思うがなあ」
「なんで?」
「水希の財布は無くなっていなかった。パスケースに俺の写真が入ってる財布がな。当然、保険証も」
「あ。先生なら身元調べるから気付くよね。成幸の家族って。だったら学校の名簿でスマホとかの電話番号調べて」
「俺に来るよう言っただろ。とっつき辛く見えるけど生徒思いな人だから、知らせてくれた筈なんだ」
 でもそうだったら俺たちがマズいんだ。「なんで?」と首を傾げかけたうるかだが、俄かに青くなる。
「い! 妹ちゃんが交番に運ばれたのが午前3時半ってことは」
「そう。桐須先生だったら俺に電話する。だが俺はスマホの電源切ってた。固定電話の方は……その、俺もお前も、気付け
ないほど熱中してた訳で」
「でも妹ちゃんが河川敷に倒れてるのは異常事態だから、電話で連絡つかなかったら……」
 桐須先生が自ら唯我家を訪れる。
「いやいやいや! 声とか聞かれてたならとっくに呼び出しを……ていうかあの場で止めてたでしょ先生なら絶対!! び、
びっくりして腰抜かして、何もいえないままアワアワ帰る桐須先生じゃないっしょ!?」
「…………。お前の知る先生なら、まあ、そう、だわな。ウン」
 成幸は何も反論しない。ただ口をV字にして、戯画的に笑った。そのつぶやきは、かなり高額な集音マイクをベンチの下あ
たりに仕込まぬ限り絶対聞き取れぬ小声だったから、うるかの鼓膜は揺すられない。
「?」
 あんぐりと口を開けたまま首を傾げる褐色少女。
0159 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:14:30.33ID:/WOoQb80
「たぶん水希を運んだのは桐須先生じゃないだろうけど」
 唯我は、人差し指を立てる。
「いずれにせよ、先生には、だ。今の俺たち、なるべく見られん方がいいぞ……」
「へ? なんで? 屋上でただ話してるだけじゃん。……す、凄いことは、今のとこ、まだ…………だし」
「まだって何だよ。学校でしようとか言い出すなよ絶対。家で……ですら今みたいに痕跡残ってんだから」
 少年は厳しい顔つきをしようとするが、どうしても頬は紅潮してしまう。学校は浪漫シチュなのであろう。
「お前気付いてないかも知れないが、肌めっちゃツヤツヤしてるぞ。んな状態で、妙にやつれた俺と仲良くしてると、昨日
あたりなんかあったんじゃねえかって……勘繰られるかも知れんぞ」
「…………」
 ぽやーと大口開けて笑っているようにしか見えぬうるかは、
「なんであたしがツヤツヤしてると、勘繰られるの?」
 などと心底不思議そうに、なおも大口ひらきっぱなしで聞き返した。
「からきしか。実技は凄いが知識面はからきしか。いいか、あのだな──…」
 かつっ。硬い音は屋上の、昇降口の方からした。何気なく見たうるかと唯我は……固まった。
 ベンチからおよそ30m。昇降口のアルミサッシの戸を開け屋上に降り立ったのは……黒いスーツに桃色のロングヘアー
を垂らす凛然たる人影である。
(ききっ、桐須先生! あれ桐須先生だよね!? 普段この時間ぜったい屋上来ないのに何で今日に限って!?)
 まさか既にあたしたち廊下歩く姿とかからバレてる!? ぎゃーっと狂乱するうるか。唯我は慌しくも、宥める。
(おお落ち着け武元! 俺ら聴取すんなら放送で呼び出すって! 単に気分転換でココ来たとかであってくれ頼むから!!)
 きょろきょろと周囲を見回していた桐須先生は、ふと唯我とうるかに気付いて……。

 近づいて、きた。

(来たし!? そんで無表情なのに速度だけは速いし!!)
(あああ、泊まるよう言ったのは俺だから、武元はむしろ連れ込まれた側で……!)

 カツカツカツと粛然とした歩みであっという間に距離を詰めた先生は、正午の逆光の加減か、鼻梁から上を黒々と
彩っている。そのせいか彼女の眼差しはいつもより厳然としたものとして唯我とうるかに受け止められた。
 いよいよ終わる、死ぬと震える2人に……「質問。あなたたち」。冷たい声音が、浴びせられた。

「古橋さんにそれとなく注意してもらえないかしら」
「……はい? な、何をですか?」
「あの子らしき子が夜歩きしているって話が学校に来ているの。どうせ星でも見ているんでしょうけど、せめて誰か大人を
同伴したらどうって、忠告して欲しいの」
 何か事件があってからでは遅いから……冷然とした中にもかすかな心配を滲ませる先生に「う、うんまあそれは昨日から
あたしも気になってましたし、伝えます」とうるかは頷いた。
「助かるわ。本当は私が直接ここで……と思ったんだけど、居ないわね古橋さん。ここへの階段を昇っていくのを見た生徒
が居たから、もしかして……と思っただけよ」
 珍しく人気がまばらな屋上を見回した先生は嘆息した。
「必然。目撃されたのは四限目のチャイムが終わってすぐの頃。立ち去れるわね、時間的……にっ!?」
 何気なく唯我を見た先生が珍しくギョっとした。
「じゅ、重病!? どうしたの唯我君大丈夫なの辛かったら今すぐ車で病院連れていくけど大丈夫なのかしら!?」
「だ、大丈夫……です。か、軽い食あたりでゲッソリしてるだけで……。そんで車だけは勘弁してくださいお願いします……」
 凛然がウソのような幼い顔つきでタテ線浮かべ唯我をガックンガックンする先生を、うるかは「あわわ……」と見る他なかった。
「ハッ!」
 人魚姫の視線を感じた先生は、しばらく気まずそうにしていたが、腰まである髪を無意味にふぁさりと梳り、
「それはともかく古橋さん、早いうちに注意しておかないと……。どこへ行ったのかしら」
 実にクールな佇まいで踵を返しかける。
 が。
 微妙な気配を察したのだろう。旋転を途中でやめ、代わりに2人を──2人きりで並んで腰掛けている男女を、尋常なくや
つれている唯我と、その代わりとばかり異様なまでにツヤツヤしているうるかを──交互に見比べる桐須先生の目つきは、
徐々にだが確実に研がれていく。
0160 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:15:31.19ID:/WOoQb80
「疑念。まさかあなたたち……」
(や! やばい! 感づかれた!? そりゃそうだよね桐須先生オトナだもん! 恋愛経験めっちゃ豊富そうだから、
あたしと成幸の、イッセンを超えた男女だけが持つというナンラカの気配を……感じちゃったんじゃ……!)
 ずいっ、と2人の間に形のいい鼻先を押し込むよう腰を曲げた女教師の肩から髪の太い一房が、はらりと落ちた。
 凝視。唯我とうるかを鋭く見続けていた瞳に……とうとう。
 確信の光が、宿る。

「夜中」

 少年少女がギクっとする心当たりを先陣に、言葉は深く斬り込んだ。

「あなたたちも夜中出歩いているんじゃないでしょうね?」
 全く違うが、ここで『わざとらしく答えないと』、奥に潜む真実に気付かれそうなので、真実を以って、しかし過剰に、いかに
も図星をつかれ慌てふためいているという態で、答える。

「あ! あたし、こー見えても怖い犯罪めっちゃ怖がってますから! 夜更けに出かけるとか、怖くてできませんから……!」
「おおお俺だって外出なぞしてませんよ!? 現に先週末だって、夜明けまでは家、一歩も出てないし……!」
 過剰な否定に、桐須先生は「コンビニぐらいは言っていそうねその分じゃ」と勘違いし、呆れ混じりにお説教を始めた。
要約すると「買い食いぐらいは別にいいけど、日が昇りきってからにしなさい。手も洗うこと。また食あたりしたら……」云々。

「それに、土曜日から不審者が出没しているらしいのよ」

 スズメが数話、屋上の端に飛び降りた。パン屑か何かあるのだろう。ちゅんちゅか鳴きながらついばみ始めた。

「不審者……?」
「ええ。不審者よ。私が古橋さんの夜歩きに口を挟もうとしているのもそのせい。いかにも怪しい格好をした人物が最近この
あたりをうろついているらしいから、遭遇する前に釘を刺しておきたくて」

 唯我の顔が、曇った。

(待て。不審者つったら、そーいや土曜の昼、昏倒してた水希が寝言で

『全身真黒なラバースーツにやられた』

とか言ってなかったか……?)

 母が一服盛ったが故のヘンな夢だとばかり思っていた唯我である。『だからこそ聞く』。妹が昏倒した真相を知るために。

「どんな不審者ですか?」

 スズメたちは成幸たちとは反対側の端にいる。人気がないため、どこまでも呑気に床を叩いている。

「灰色。それ一色の服装に、同じ色の覆面を被った中肉中背の……男、らしいわ。目撃者はみんなそう言ってるわ」

 ばさばさばさばさ。何に驚いたのか、スズメたちが慌しく飛び去った。

「……?」
 うるかは不思議そうな顔でそっちを見た。(……? なんか、ヘンな冷気っていうか、おばけ屋敷みたいな不穏な寒気が
漂ってくるような……。なんで?)。気にはなったが、腕をさすりさすり見渡したそこには何も無いのが逆に怖い。追及は、
やめた。

(灰色、か。全身黒一色じゃないんだ。じゃあ水希の寝言はやっぱりただの夢……?)
0161 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:15:57.31ID:/WOoQb80
「最初の目撃証言は土曜日のお昼だったわね。ちょうど私の家の近くで、裏路地を走り去っていく灰ずくめの不審者が目撃
されたわ」
(先生んとこの近所なら俺ん家の近所でもあるよな。でもなあ、色は、違うし……。水希のヘンなユメとの偶然の一致? そ
れとも直前に見ちまったから、ユメに出てきた……とか?)
「動画サイト用の撮影とかじゃないんですか? こんな時代だし」
「だとしても狭い道を全力疾走するのは感心しないわね。日曜の……午前3時を少し過ぎたあたりだったかしら、2人で商店
街をウロウロしていたそうよ」
「別に悪さはしてないんですよね?」
「でも夜明け前の暗い道を、灰色の格好で徘徊するのは危険だわ。車と、大きな事故を起こしたら一時の感情で将来を
棒に振ることになる。古橋さんだって、タイミングが悪ければぶつかっていたかも知れないわよ。武元さんなら分かるわよ
ね。ケガは才能を潰すって。ケガというのは、させられても、させても、競技者としての生命は断たれるから。古橋さんが
手を使えなくなったら、書けなく、なったら……きっと一生後悔するだろうから」
 何が目当てかよく分からない灰ずくめの不審者が居る時の、夜のサイクリングは認められないと先生は断言した。
 うるかは、ポカンとしていたが、言った。
「先生、実はむちゃくちゃ優しいですよね?」
0162 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:16:18.88ID:/WOoQb80
「優し……う、うるさいわね。教師としての最低限をこなしているだけよ」
 頬を赤らめムッとした桐須先生は、

「とにかく古橋さんに伝えておいて」

 今度こそ踵をくるりと返す。

「夜中出歩くなら自転車はやめるように。そしてなるべく誰か大人を同伴しなさい……って」

 足音が遠ざかるのを「ハーイ」と仲良く戯画的な笑顔で見送っていた唯我とうるかは、先生の気配が完全に消えたのを
確認すると、

「ああビックリした! 寿命縮んだ寿命縮んだマジで!」
 胸押さえ半眼白目でギャーギャー喚いたり、
「怖かったよう。絶妙なタイミングで先生来たから怖かったよう!」
 糸線と化した瞳からぽろぽろと涙を零す。
0163 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:16:56.43ID:/WOoQb80
 何とか、誤魔化せたらしい。

「しかし……古橋といい水希といい、夜中出歩きすぎだろ…………」
「逢ってたら面白いよねー。あ、でも文乃っち、妹ちゃんと何度も逢ってんだよね。じゃあ目撃してたらすぐ言うか」



「つーか。まさかだが、水希が河川敷で転んで? 気ぃ失ったのって灰づくめ避けようとしたせいじゃないだろうな……」

 ……。

 …………。

 ………………。
0164 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/26(月) 00:17:39.64ID:/WOoQb80
 同刻。唯我家。

「だから! どうして信じてくれないの!!」
「っていわれてもねー」
 ねー。葉月の呟きに和樹は相槌を打った。目の前には怒り眉毛で涙を溜める水希が居た。
「本当だって! 私ウソついてないもん! 昨日の朝3時ごろ! 私、一度、一度……

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ウチ帰ってきてたのよ!」


 はあ。幼い双子は「ユメじゃないのかなあ」という顔をした。言うまでもないが、昨日の朝3時ごろとは成幸とうるかが行為
の疲労で眠りこけていた頃である。

「でも玄関がちょっと開いてたって水希ねーちゃん言ったよね。それって……ヘンじゃない?」
「にーちゃんが、カギかけ忘れるわけないよねー」
0165 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:18:28.88ID:/WOoQb80
 うるかが来た時、唯我は。玄関先で濃厚なキスはせず。

──「しばらく俺の部屋で勉強な」

 玄関の扉をかちゃりと施錠した程度に収まった。


「でも開いてたもん! 鍵だけじゃなくて、戸が、だよ!? きっと、誰か、押しかけてきた女が、開きっ放しに……!」
「だったら、クツが玄関にあるよね」
「よねー。ドラマとかじゃだいたいそれでバレるもんねー」

 訪れたうるかは。

──「よいしょ」

 靴のつま先を玄関めがけ揃えそして置いている。前半が勉強会だったが故の、致命的な油断だった。

「あったの? みなれないクツ」

 水希はその問いに、憤怒を灯した。

    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「な、なかったけど」

 憤怒には落胆が寄り添っていた。決定的な証拠を探してみたのに見つけられなかったという落胆が。

「で! でも! 押しかけてきてた女が証拠隠滅した可能性だって!」
「だったらカギかけわすれるのヘンじゃない?」
「だよねー。クツにまで頭がまわる人だったら、カギだって閉めるよ。あけっぱなしだとふみこまれるし」
「そもそも閉めるってことは、にーちゃんがかけた鍵を一度あけたってことだよ? そーする理由ってなぁに?」
「お、女が外出したから、とか……」
「お泊りにきたのに、兄ちゃんを置いて? ヘンじゃないそれ? 一緒におでかけしたら兄ちゃんの方がカギかけるし……」

 何より双子が訝しむのは、水希が、兄の、様子については一切言及してない点である。

「なんでにーちゃんの部屋のことは言わないの? カギとかクツとかより……」
「ねー。重要なのは、にーちゃんの彼女がいたかどうかだよねー。どうして行って、見てないの?」
「だって! 行こうとして廊下歩き出したら、背後で物音がして! で、なんか脳に凄い情報が流れ込んできて……!!!
気付いたら交番で!」
「……そこでユメがさめただけじゃないの?」
「クルマでも1時間かかる親戚のおうちからウチまでロードバイクで一晩中全力疾走してきたんだよ? 河川敷で力つきて、
きぜつして、そのとき見てたユメが、果たしたかったユメ、おうちに帰るユメだったんじゃないのかなあ?」
「だから! そもそも河川敷でロードバイクが発見されたのがおかしいの! 私ちゃんとウチの庭に止めてたよ!? 玄関先
じゃ盗まれるかも知れないから、庭に、塀で外からは見えない、庭に! そうだタイヤとかスタンドの跡! それを見てもらえ
ば──…」
 半信半疑でとことこ部屋を出ていった和樹だが、すぐ戻ってきて「なかったよそれっぽいの」と告げた。
「やっぱりユメなんじゃ……」
「き、きっと、消されたのよ! 私を土曜のお昼気絶させた真黒なラバースーツに……! 河川敷にロードバイク置いたの
もそいつ! 私までそこに放置してたかも……! とにかく、あいつは! 口調変えて説明するけど、あいつ、土曜の、昼!」
0166 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:18:59.88ID:/WOoQb80
(眠い。ここのところお兄ちゃんのことが気になって全然眠れてない……)

 などと庭で掃き掃除をしていた水希が

(でもそろそろお迎えの車が来る時間! さりげなくよ、さりげなく今から家を──…)

 ふと気配を感じ振り返ると。

 漆黒のラバースーツを顔まで着込んだ正体不明の人物が颶風を纏いながら迫ってきているではないか! 
 あっと目を見開く水希であったがそれも一瞬、竹ボウキをくるると旋転させるや柄の頭で閃電のような突きを繰り出す。が、
果たせるかなラバースーツの反応の方がわずかに早い。首を左に逸らしつつ更に踏み込む。突きでラバーがピっと破け、裂
け目から溢れた髪もまた虚無の色合い共々ホウキの柄に噛み破られたがしかし敵への打撃はその程度。
(……できる!)
 水希が呻くのもむべなるかな、敵、突きを前に怯むどころか踏み込む胆力の凄まじさよ。敵の加速は止まらない。砲丸の
ような質量が水希のみぞおちへ接地した瞬間、感触は衝撃となって肺腑を縮めた。とてもよく体重が乗った突きだった。
 静謐に、しかし勁(つよ)く。
 鉄道の枕木のように横置きされた足の甲の裏地で以って夥しい量の砂礫を削り飛ばしながら敢行されたラバースーツ最
後の踏み込みは、ほとんど肩をぶつけるよう雪崩れ込んできただけあって最高の打撃をもたらしている。
 だが追撃は終わらない。
 ラバースーツがウムと腰を沈め抜重しつつやや斜め上へと繰り出した拳打。ミゾオチを抉り抜いた衝撃は非常にグレイ
トフルな角度有する物理エネルギーの細い柱へ収束し……背筋をも、貫通! ああ、天空めがけ放逸するバベルの破壊
力! 減衰の過渡においてなお何皿もの輻射が散るほどに、激しい!

(助けを呼ぼうにもみぞおちへの衝撃のせいで声が出ない……! いったい誰がこんなことを……!)

 薄れゆく意識の中で水希は手を伸ばす。襲撃者。ラバースーツをびっちり纏う彼ないし彼女は一体なにものなのか。
 この時点で水希を消して一番得するのは誰か? 
『普通に考えれば』、土曜の夜、水希が唯我家に残っていては困る人物……言い換えれば唯我と2人きりになりたい人物。
(そして……この私を一撃で気絶させられる…………フィジカルの……持ち主……は…………!)
 水希の意識は、途切れゆく。 気絶は瞬く間に睡眠となった。か弱い両膝がガクリとおち、、やがて細い肢体は完全に倒れ付した。

「……ってメにあったの!!」
 身振り手振りを交え、時には声音さえ迫真に彩りながら一生懸命説明する水希に。
「それ……ほんとに水希姉ちゃんのみききした光景? なんか、本みたい……」
 と葉月は訝しんだ。幼くても、人の言葉に現実感があるか否かぐらい、分かるのだ。
「つよめに、いっとく?」と紐にくくりつけた五十円玉を持ち出す和樹。

「だからユメの話じゃないってば! せせっ、せめてお兄ちゃん、お兄ちゃんにこの話を……!!」

 願いは、却下された。3分後、水希は「私は、家に帰ってなかったんだー、ユメ、だったんだー」とポワポワしていた。
0167 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:19:24.10ID:/WOoQb80
 脈絡はないが。

 騎乗位十二連の消耗の回復期は、国体の時期と被さったため……2人の行為は2週間、開いた。
 うるかの最終調整のため控えたという訳である。

「肩紐ちぎれそうなほどサイズちっちゃっくなって、練習で使えなくなった……奴、だけど」

 土曜の夜、自室で武元うるかは水着を着用していた。毎度おなじみ競泳用の白である。

(くるべきときが、きた……!)

 唯我はグっと拳を握りながら……泣いた。泣くであろう。うるかといえば水着なのだ。一度はその格好で……とは唯我
の、あの頃のように光放つ少年のハートが思ってはいたが、他方、(いやいやそんな欲情はだめだろ、武元の水泳への
想いを冒涜しちまうんだぞ無理強いしたら)とこの少年らしい良心で自制していた。
 が、なんと、うるかの方から、「こ、今度は水着とか……どう……?」というお誘いが、来た。この時の唯我の「いやいや
お前にとって水泳ってのはとても大事なものであってだな」と露骨に目を泳がせつつも、めっっっちゃ嬉しそうで満更でも
なさそうな顔つきは、永久保存級の滑稽(かわいらしさ)さであった。

 とにかく、水着が、遂に、来た。

「そんなジロジロ見ないでよ……」

 右手で左の二の腕を掴みながら少女は目線を下にやる。目元は酒精を召したように、赤い。

 サイズが合わなくなったというだけあって、体のラインは今使っている物に比べ心なしか強調されているようだった。特に
胸などは締め付けのせいか実態以上にこんもりと盛り上がっている。脇腹から腰にいたるラインも生地がぴっちりとめり
込んでいるせいで細く見え、股布の食い込み具合もやや際どい。うるかが先ほどからお尻のあたりをくいくいと触っている
のは臀部への不必要な締め上げと肉の隆起が恥ずかしいからであろう。

(素晴らしいなあ)

 制服姿では慎ましく見える胸の強調っぷりにすっかり相好を崩している唯我だから、視線は外せない。

「だからそのカオやめてってばー! なんかやだ! ハダカとっくに何度も見られてるけど、水着越しだとなんかやだ!」

 泣きそうな顔で双眸を不等号にするうるか。両手はもう反射的に胸を覆っている。

「なんかもう、ずっと見てたい。見てるだけで満足できるかも知れん俺」
「ああっ、あたしの方がもたないから! 絶対途中でたまらなくなって一人えっちとかしちゃうから……!」
 寧ろそれでいいという顔をする唯我に「マズい」と思ったのだろう。
「だから……触ってってば……!」
 褐色の細い手が少年の手を掴み、胸へと導いた。

 余談であるがここに到達するまで6時間弱の勉強があった。しかし移行期間のゴタゴタ含め割愛していいだろう。

(む、胸……! 初めての夜、制服越しに触ったことはあるけど……、水着だと、感触が、感触が……!)

 特有の生地であり、下はノーブラであるから、伸縮と弾力はケタ違いである。魅惑された唯我はキスもそこそこに早速
両手を動員する。サイズが合わないため胸はとっくにパンパンである。張り詰めたそれをさする様にこね回す。
「っっ……!」
 微細な愛撫にぴくぴくと反応し始めるうるか。唯我も昂然の気を鼻で吹く。開始からこっち両名は立ったままである。まず
は水着の立ち姿を堪能したい/させたいという思惑で、正面向き合って立っている。
「ふぁっ、あ……」
 しどけた官能の炎が人魚姫の中で一条の煙を上げ始める。慎ましい木苺の突っ張りが純白の水着に浮かび上がった。
人差し指を光速で振り、2つの隆起をピンピンと弾く唯我。「それ、もどかしい、から……っ」。瞼をやや切なげに吊り上げなが
ら褐色の太ももをよじあわせるうるか。
「いい……か?」
0168 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:19:49.46ID:/WOoQb80
 鼠渓部にほんの少しだけ指先を当てる少年。「……うん、来て」。悩ましさがよく溶かれたあやめ色の瞳を下に向けた人魚姫
は、「じっ」と低く湿った音を奏で埋没してくる指に眉根を寄せる。
 股布を横にずらしながらの前戯ほど性的なロマンはない。今うるかは、水泳であれば絶対に露出しない生々しいピンクの
具を剥き出しにしている。僅かな日焼け跡の傍で、しとしとと愛液を滲ませつつある内膜の蛍光灯を照り返す様に、(えっろ…
…)と軒昂する少年は、少女の唇を強めに奪う。「んん」。舌を絡ませぬキスは前戯においてむしろ有効。

(す、すーすーする。大事なとこ……すーすーする……)

 秘部に流れ込んでくる部屋の夜気は却って体温を上げていく。

(あたし……水着で…………大事なとこ、出しちゃってるんだ。成幸にくちゅくちゅイジめられちゃってるんだ……)

 息が上がり始める。指の出し入れは激しさを増す。「ーーっ!」。腰が砕けたうるかは唯我の首ねっこに両手を回し、し
がみつく。

「いつもより指、きゅうきゅう締め付けてきてるぞ武元。気持ちいいのか?」
「だって、水着、これで練習してたころは……成幸とこうなるなんて…………むかし着てたころは、この水着で……こんなこ
と……して貰えるなんて……全然…………思ってなくて…………だから……興奮……して……」
 回答に頃合を見たのだろう。男性にしては珍しい冷え性な手が肩紐にかかった。
「ま、待って! もうちょっとだけ……!」
 力が左右に弾けた。肩紐が鎖骨の下で肌蹴(はだけ)るや……生白い果実がぷるんっと揺れた。
「〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
 赤熱の極みのうるかは水着を掻き抱かんとするが──…

「うるか。もっと気持ちよく……してやるからな」

 真剣な面持ちで見下ろしてくる少年の顔に、あらゆる防衛本能が溶かされた。
0169 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:20:10.37ID:/WOoQb80
「あっ……。んっんっ、ん……!」

 ベッドの上で縺れる男女が居た。覆いかぶさっているのは乱れた水着を纏う褐色の少女である。彼女の眼前には隆々たる
肉棒が壁立している。それをしゃぶったり、横合いから舐めているうるかの、くぼみの陰影も艶かしげななよなか背筋を辿って
いくと足の分岐に整った少年の面立ちがある。
 シックスナイン。試みるのは本日が初めてだ。熱にうかされた瞑目で、首を上下しあむあむと懸命にご奉仕するうるか。彼女
のよく発育した健康的な太ももに皺がよるほど強く握りこんで両側に広げている唯我は、歪な逸れ方をしている股布のすぐ傍
に、ちゅぱ、ちゅぱっと唇を当てていく。肩紐を剥かれたせいですっかり露な乳房が密やかに揺れる。
「んあっ……」
 刺激に感じたらしくご奉仕が、やむ。きゅぽっと肉棒から口を外して悶えた人魚姫は、「だめ、そこされたら……成幸の……
気持ちよく、できないっ、から……!」と抗議するが、可憐な反応に満足した唯我は攻めを続ける。
「やっ……。舌っ、舌で、深いところ、ほじほじするの……気持ちいいっけど……、恥ずかしい、恥ずかしい、からあ」
 高く突き抜けないが緩やかに続く絶頂に息も絶え絶えな少女は、せめて同じ快楽を与えれば苛みも緩むのではないかと微かな
希望を瞳に宿し、眼前の、生々しい肉色の生殖器をお口いっぱいに頬ぼった。
「んぶっ、んぅ゛! んんんんんっ、ぅぶぅ!」
 淫裂に舌の力が加わるたび唾液混じりのくぐもった苦鳴を上げるうるかだが、健気にも口唇愛撫を継続する。声を耐えようと
肉棒に吸い付くたび唯我は腰が砕けそうな極上の快楽を味わうが、皮肉にもそういった献身こそが彼をますます昂ぶらせ、
……より過激な責め苦を考えさせる。

「ふぇ……?」
 唾液塗れの肉棒が口から引き抜かれていくのをうるかは呆然と見送った。秘部への愛撫と肉槍からの淫臭で陶然としていた
脳髄が状況判断を遅らせた。
 簡単に言うと、唯我は、座り直した。(その体勢で……あたし座らせて…………挿れるの、かなあ……)。従順なうるかが身を
起こしたとき、劇的な変動が勃発した。
「……え!?」
 浮いた。褐色の太ももが。のみならず腰すらも浮き上がり、うるかの頭のある方へ向かって押され始めた。彼女は唯我に臀部
を向ける格好だったから、足腰の奇妙な強制移動は逆立ちの軌道と一致する。違うのは足を伸ばさずM字開脚のままうるかを
逆子にせんとしている点。
(な、なにするつもりなん……!?)
 動揺するうるかだがやはりフィジカルの天才、上半身はとっくにバランスを崩さぬ体勢になっている。肩甲骨のあたりをシーツ
につけて支えとし、猫よりも湾曲させた背骨たちで今は上の下半身を保定。両手はあくまでも補助的な支えであり、それが証拠
に”肘”立ちだ。
 そして唯我は普通に座っている。つまり……
(あ! あたし! だ、大事なとこを、思いっきり成幸の傍に……あげてるじゃん!? だめこの格好、凄いえっちだよぅ)
 人間の通念は、生殖器が頭部より高い標高に行くことを好まない。これは消化器系の「上から下」という絶対原則に沿った
本能的な羞恥であり、足や心臓の慣例さえ包括している為、よほど特殊な調教をしない限りまず拭えない。
「ななな、なりゆき、降ろしてよ! あたしシンクロの選手じゃないからそのうち頭に血が上ってくるし、何よりすっごい!!
恥ずかしいんですけど!?」
「駄目」
 当たり前のように唯我はうるかの股座上空へ身を乗り出し、定められていたように股布を更にズラした。
「ひやっ」
 サイズが小さいせいで圧迫されていた左の尻たぶの、ほとんど片側全てまろび出た感触は、凛冽とした、熱を氷散させる
ような夜気との接触をも孕んでおり、それがためうるかは舌ッ足らずな声を立てた。
 股布は、更に動いた。うるかの左腰から彼女の正中線めがけ、バスルームのアコーディオンカーテンを畳むような要領で
ぐぐっと布地を細く纏められ寄せられた。露になる秘部。だが唯我の目的では、ない。

 アナル。水着のお尻で露出したピンクの色のすぼまりに、やや血走った視線が吸い付き──…

 彼は勢いよく、唇を、当てた。

「だ、だめっ!」
 短く叫んだうるかは、咄嗟に少年を制す。逆さM字のバランスが崩れるのも構わず跳ね上げた右手を唯我の側頭部やや
下方へ伸ばしたのは無論アナルへのキスをやめさせんと試みたからである。
0170 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:20:46.03ID:/WOoQb80
「念入りに洗ってあるから……ちゅってしたり……舐めたりしても…………いいけど、いい、けど…………でもこの格好だけ
は……ってああもうダメだこれ絶対いつものパターンじゃん! うう! どうせやめてつっても拒否るんでしょ、成幸のばかっ!」
 やや自己完結気味に立腹した少女は眼前に鎮座する象皮様の嚢(ふくろ)に吸い付いた。
「た、武元!? お前なにしてんの!!?」
「あたしに恥ずかしいカッコさせてるんだから成幸もちょっとぐらい恥ずかしい思いしてよ! お、お玉を、ころころしてやるん
だから! 手で揉んであげた時より、舌とかで気持ちよくして……お尻、お尻、いじめられなくするかんね!!」
 睾丸を皮越しに含み転がし始めるうるか。双方きわどい愛撫である。
 唯我は見るからに清潔な佇まいな菊座を、舌で、ちょんっとつついた。
「ひゃうう!!?」
 マンガであればベタフラッシュが迸ったであろう。感触に見開いた目の滸(ほとり)に水珠を浮かべたうるかは
「だめっ!! さっき舐めるのオッケーっていったけど、やっぱ今はだめ、刺激が、予想外、で!」
「陥落早いな!?」
 唯我、愛撫のため高めていた一種神聖な集中力を哀れなほど崩した。
「だってしょうがないじゃん!! す! 好きな人に、お尻だよ! お尻を舌で舐められてるんだよ!?」
 刺激感じない方がおかしいっしょと、例の不等号の目つき──いったい何となら等しいのであろう、彼女の目は──でグ
スグス涙ぐんで抗議する少女を少年は呆れたように見ていたが、だんだんと褐色の面頬に愛しさが募ったらしい。
0171 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:21:03.73ID:/WOoQb80
 愛撫、再開。

「……はうう! あっ、だめ、アリクイみたいな素早い出し入れダメ、お尻が、お尻が熱くなってきて、切なくなるっ、から、やめ、
てぇ」
 だがうるか、言葉とは裏腹に、チョコレート色の頬は見る見ると赤茶ける。陰嚢などはとっくに口を離れている。
(なんでもう流されそうになってんのよあたし……。お尻を……舐められてて…………すっごい恥ずかしいことされてるのに
…………逆らえない…………。あたしのお尻……を……初めて舐めてんのが……成幸だって思うと……初めて舐めてく
れてるのが……成幸だって思うと…………恥ずかしいのに……気持ちよくなってきて…………)
 腸液がこんこんと涌いてくる。
(だめ、負けちゃだめ、お玉、お玉を……ころころ……)
 病熱を押して勉強を試みるような顔つきで雀舌出しつつ”ふぐり”への接近を試み続けるうるかであるが、あと一歩という
ところに限ってアナルの内壁が強く舐められるからたまらない。「はぅぅん!」。刺激に悶え軽く突っ伏するから反撃は断念
の一方だ。
(ヤバい……。途中までは偶然だったのに……)
0172 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:21:46.87ID:/WOoQb80
 自分の愛撫で少女がいたいけな抵抗をやめるという構図に唯我、嗜虐心をそそられ始めた。あまりイジめては可哀想
だと思うのに、直腸粘膜いたずらのタイミングの精度は飛躍的に上がり始める。敢えて弱くし、よろよろとしたうるかがやっ
と睾丸を愛撫できると安堵したまさにその瞬間、鋭くすぼめた舌で肛門内を強く刺激するといった淫虐さえ一度であるが
試みた。
「だめ、反撃しようとしてるときに、お尻、気持ちよくするの、だめえ!」
 可憐きわまる涙混じりに抗議してくるうるかに(悪い)と思いつつも、ぞくぞくした充足感もまたどこかで覚えてしまう唯我で
ある。
「抵抗できないお前も、すっごく可愛いんだよ。だからガマンできなくなってきて、イジメるようなこと、しちまうんだよ……」
 謝りながら、股ぐらの間にわだかまる珊瑚色うっすらの黒髪を撫で付けるのは彼なりの誠意であろうが、客観的にいえば
スケコマシがよくやる「手なづけ」でしかない。
「か、可愛いっていいさえすれば、何したっていいって訳じゃ……ないんだかんね…………」
 やや忿(いか)りを孕んだ赤面を横向けてみせるうるかだが、熱の赤嶺、喜んだとき動く表情筋に沿っている。
(ばか。成幸の、ばか。イジめる癖に優しくしてくるとか、そんなの、そんなの……)
0173 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/26(月) 00:22:25.82ID:/WOoQb80
 愛撫を中断されている菊座が物欲しそうにひくつく。
(ずっと感じたくなってきちゃう、フシダラなことなのに……お尻もっと……舐めて欲しくなっちゃうよぅ……)
 淫らな山顛の裂け目から、半透明の愛液がとろとろとあふれ出し、おへその横を滑り落ち乳房を濡らした。
「もっと気持ちよくしてやるからな」
 異物感。「いぐ!?」と幼い表情で切歯したうるかは知る。(ゆび、ゆびが……)入ってきた。反射的にきゅっと締まった
括約筋から伝わる形は人差し指で(お、お尻で、どこの指か分かるとかどーなん!? どんだけえっちなのよあたし!)
とうるかはうろたえ(ここ、こんなヘンな特技知られたらスケベ女めって成幸に幻滅されちゃう、隠さないと……!)と決意。
「お前……いまどこの指か分かっただろ」
 感心したような呆れたような少年の呟きがきた。一瞬ぽかんと呆けた笑いを浮かべた褐色少女、全力で否定。
0174 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:22:43.14ID:/WOoQb80
「いやいや分かるわけないでしょ! ひひっ人差し指とか2週間ぐらい前にちょっとだけ入れられただけじゃん!! そそっ
そんなの忘れてて当然だしぃ? あたし全ッ然気付けませんでしたけど!? 縦長だけど平べったい中指のペンだこと違っ
て人差し指のはほぼ円で盛り上がっているからすぐ人差し指だなって……そんな、そんな、気付き方した訳………………
無いでしょーーーーーーーーーーーーー!!」
「武元さん。俺どの指かは言ってないんだが……」
「あ!」
「特定してんじゃねえか…………」
「し、してないよ、本当だよ!」
「してるよな?」
「ハイ」
 赤外線の輻射さえ疑われるほど紅くなったうるかは(何ソムリエ!? 何ソムリエなのよあたしは! うわーーーーーん!!
成幸ドン引きだよ絶対ーー! もーやだー!! 帰りたいーー!!)と自宅の自室のシーツの上で入滅した心象世界にて、
頭かかえてゴロゴロのた打ち回った。
「そ、それだけ俺の指を……真剣に感じてくれてたって……こと、だよな……」
 あ、いい感じに解釈されてるやったバンザーイすきすき成幸だいすきー! と泣いたカラスもびっくりな急変(えがお)を浮
かべた少女が甘ぐさく歪む。人差し指が出入りし始めたのだ、すぼまりに。
0175 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:23:06.92ID:/WOoQb80
「あっ、だめ、ひんやりしたのが……カツカツしてるお尻に……気持ちいい、気持ちいいよぉ」
 女性の口の開き具合は快楽の大きさに比例する。舐肛の時はまだ細長い池のサイズだったうるかの口は今、とろりとした
”まろき”湖。両目を閉じたまま、緩みきった口から愛らしい調べを奏で唯我の指を愛(いと)おしむ。
 人魚姫(セイレーン)の旋律に魅せられた少年は更に善くしてやろうと暖かなる肛虐に移る。指を背筋側にやり、直腸粘膜を
ばぐにゃりと歪ませ作った隙間に……舌を挿れる。
「はっ、はううううう!」
 びくっと顔を上げて感じ入った少女は「す、隙間とか……だめ、ニオイ、変な匂いが……するかも、で……」と抗弁するが、
「大丈夫だって。今気付いたけどお前のここって……」
「ここって……?」
「い、いちごヨーグルトの匂いが……するだけ、だし……」
(どんな体!? まさかコレもママ遺伝!?)
 我が事ながらにギョっとするうるか。唯我は色々説明したそうな顔になったが、(いや尻がらみだと武元さわぎまくって愛撫とか
進まんからな、まずは一気にイカせてからだ)と隙間をねぶる。
「やっ。ちょっと伸びて薄くなってるせいか、舌のザラザラが、強く、て……!」
 腸液を垂らしながらピクピクとひくつくアナルに苦痛の無さを確かめた唯我、指を抜くと今度は両手でギューっと左右に拡張して
舌を突っ込む。
「空気が入ってきて冷たっ、あ、そこ、そこ、ぺろぺろされると、いい、いいよぅ」
 悶える少女はすっかり身を委ねている。ふぐり攻略もまた忘却の彼方なのがアホ可愛いと舌使いを強める唯我。ただ舐め
て終わるものではない、不意打ち的に指を突っ込んでは内部で鉤の如く曲げて刺激する。浅縁嘗肛の援護射撃に支えられ
た内陸部の電撃戦は実態以上の効果をもたらした。
「ペンだこ、気持ちいい、気持ちいいよぅ」
 声もとろとろ、秘所もとろとろ。頭に桃源郷が訪れた少女は薄目に天使の羽のような光を宿らせ英語未遂の……おねだり。
「指を挿れてください…………。おちんちんの練習……させて、ください……」
(ここぞってトコで発揮されるうるかさんのエロさ何なの!?)
 責めは少女の快楽より唯我自身の欲情を晴らすものとなった。舌を外すと……親指と、親指を、突っ込んだ。
「ひゃうう!? ちが、そうじゃなくて、この前みたいに中指を……!」
 予想と違った攻め口にうろたえるうるか。(咄嗟の判断だが……出し抜けた!)。さっすが俺の才覚と自分に喝采送る少年。
相手の想定を咄嗟に見抜き更に上ゆく手管は教育係ならではだ。ぬっぷりと、あどけない菊座に埋没した2つの親指は、
締め付けてくる淫孔を、ぬりぬりと左右に割り開く。
「みゃっ、みゃーー!」
(みゃー!?)
 予想外の愛撫にねこねこするうるかに驚いた唯我だが(これはこれで……)と頬を緩ませ肛門拡張に熱を入れる。

 綻びかけの菊の蕾がかなり大きく広げられた。伸びきった粘膜は裂け目へと続き、一帯は艶かしいサーモンピンクの照り
返しを放っている。初夜と違い蛍光灯をつけたままなのが少女の恥辱を大きくした。自分でも見たことのない内奥のヒダを、
愛する少年へ曝け出しているという事実に、ほぼ半泣きの水気に溢れた双眸を落ち着きなく動かす。
 そんな貞淑な反応と、物欲しげにパクパクと蠢いている肛門のギャップに感動すら覚えた様子の少年、方針を、提示。

「俺のを挿れるっていうなら……まず横に伸びるよう…………ほぐさなきゃな……」
「うん。ストレッチは大事……だもんね……」

 アスリート特有だが、わずかにズレた感もある回答。されどうるかの笑みは、全幅の信頼に満ちている。女が体を許した
男だけに魅せる蠱惑的なニュアンスもややあるが、それ以上に、子犬が飼い主を見上げるような純真さこそ、大きい。
0176 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:23:34.66ID:/WOoQb80
 拡張作業は、色々。

「ん……ぎっ!」

 親指2つを根元まで挿入された状態でバックリとアナルを割り開かれたり

「だからガン見やめてってっば! 泣くよ!!?」

 内部の襞をじっくりと観察されたり

「っ! 舌! すごい、すごい奥、までぇ……!」

 棘皮の生々しさを持つ器官の舐め回しで、くっ、くっと、内部からほぐされたり。

「ああーっ! あっ、あっ、そこいい、すごくジンジンして、上手、成幸が上手……、あ! んぅ!!!」

 刺激を受け入れるたび、逆さ状態の乳房が揺れる。鎖骨に向かって、「どよん」と重苦しく垂れて付け根を露にしている
豊かな膨らみの、通常の体位ではまず有り得ない垂れ方と揺れ方に少年は一層興奮し──…
「武元!」
「んぶっ!?」
 極まったのだろう、少女の口に剛直を捻じ込んだ。(かたい……。鉄、みたい……)。衝動的なグラインドに目を白黒させ
ていたのも束の間のこと、敬虔な瞑目をしたうるかは頬をすぼませ愛撫に移る。
 少女を逆さにして肛門を責める歪なシックスナインは若い男女の情欲を炎(も)やす。褐色の太ももの間でびちゃびちゃ
と舌を鳴らす唯我。抽送に合わせて激しく首を前後させるうるか。単調な繰り返しのテンポは、段々短くなっていき──…

「出すぞ」

 声と共にうるかは自らペニスを引き抜いた。妖しげな蠢動を見せた亀頭は一気に爆発。
 白い濁流がびちゃびちゃと褐色の顔面に撒き散った。

 はあはあと熱い息をつくザーメン塗れの恋人に唯我は「出る直前、抜いちまってたか……?」とすまなそうな顔をしたが、
「…………違うの。たまには、その……成幸のを……カオに、かけて……欲しくて……」と少女は羞(は)じ羞じと睫毛を伏
せた。



「別にあのまんまでも良かったのに……」
「俺がなんか申し訳ないんだよ」

 最後の一滴を拭き取った唯我に「とりあえず、さんきう」とお礼を述べた少女は前髪の一番太い房をイジる。
(ベトってしてるん、残したいけどさすがに気付かれるしなあ)。
 名残惜しくもあるが、丹念に顔をふきふきしてくれた少年を追想すると
(えへへ。なんか子犬がお母さんに顔なめなめされてたみたい……)
 照れ照れと相好を崩し、両頬に手を当てた。
0177 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:24:06.74ID:/WOoQb80
 うるかは四つん這いになった。ズレた股布からは、唾液と腸液でどろっどろなアナルが依然として剥き出しである。

「どーするん? 今日、一気に……決めちゃう……?」
 振り返って問う少女は頬に羞恥の紅こそ差しているが、目つきはやや淫蕩な気配が強い。誘うような、からかうような、
「勝気な女友達」の気配である。お尻も心持ち、ふりふりした。

「いや一気には無理だろ」。唯我は嘆息した。「『こっち』は生物学的に、挿れるようにはできてねえんだから、無理やりやっ
ちまったら生活に支障でるぞ。もっと回数をこなして、ほぐしてから……」
「じゃあ……やめる……? 今日のところは、おちんちんで……何もせずに…………済ませちゃう……?」
 少女は優しげに咲(わら)う。濃密な蜜の香りがたっぷり含まれた微笑だった。「い、いや、それは、だな……」少年はどぎ
まぎしたが、眼鏡を白く曇らせると、
「ちょ、ちょっとぐらいなら、その、先っぽぐらいなら入るのかなーとか、試したい気分はあります……。すごく、あります」
「素直だねえ」
 ケケっと歯を見せガキ大将のように嗤(わら)う、うるか。「そこは今後のための調査とか、もっと強がってもいいのに……」
などと言う指摘は「変に飾らない成幸のそーゆーとこ、大好きだよ」という惚気であろう。
「だだだが、血! 出血が少しでも認められたら俺ほんとすぐ退散するからな! だからお前も痛かったら素直に言えよ!
お、俺の気持ちよさのために我慢したせいで、一生ものの後悔に繋がりかねんケガするとか、本当いやだからな!!」
「そんな怖いとこなのお尻!?」
 少女、落書(らくしょ)的な形相でヒヨコ口となり震える。
「いや、俺の方はすぐ引くから! 手術が必要なほどブっ壊れることはまずないだろうけど! でもお前!」
「でもお前?」
「ココちょっと裂けるだけで部活! 行けなくなっちまうだろ!」
(あ!)
 そうなのだ。うるかは初夜の「喪失」という、ごく一般的で、いつかの破壊を孕んでいるが故に比較的すぐ直る傷を前にして
さえ練習は3日も休んだのだ。いわんや裂肛よ、摂理の埒外に位置する行為によって発生する傷の完治は「もっとかかる」。
「国体終わったけど、続けるんだろ……水泳」
「う、うん」
「なら練習は多い方がいいだろ。1秒以下を競う世界なんだから……1日の休みすら響く訳で、だから……お尻、裂けたら」
「『一生ものの後悔に繋がりかねん』……だね」
 配慮にうるかはウットリした。唯我の配慮には、しつこいほど弱い。
「第一水着シロだし! 血ィ、目立つし! プールからの感染だって……!」
「こーゆうとこ色気もへったくれもないよね成幸……」
 まったくである。欲望丸出しでさっさとガーっと全部挿れてくれた方が述べる側としては楽なのだが、この男は諸事こうであ
る。まったくしょうがない唯我なのだから、もう……である。
「あと受験! 座って勉強できなくなるよーなこと、許せんからな! 俺一応、教育係だし!」
 うるかは、透き通った微笑を浮かべた。純水が飲料として求められぬように、純度だけの笑いもまた人を潤さない。愛らし
いがどこかウソくさい笑顔で褐色少女は告げた。
「もー。成幸ソレ天丼ー。あたしと初めてシた時だって似たようなこと言ってたじゃん。どんだけ心配好きなの」
(……過保護すぎかなあ、俺)
 でもここちゃんとしとかないと色々だめになっちまうし……と気まずげな少年からさりげなく視線を外したうるか。
(だめ! あ、あんな優しいことこれ以上沢山言われたらあたし、ほんとマジで一気に挿れて欲しくなっちゃうから!! てか
自分で無理やり捻じ込んじゃう! でもだめだそれは絶対だめ! テンションだけじゃんそんなの! チョーシのって自分で
お尻に根元まで挿れたせいでさっき成幸が言ったようなことになっちゃったら)
 絶対嫌われる。この女本当にバカなのかと見放される……という危惧は、うるかにしては珍しく、妄想的ではない、的確な
配慮であろう。だから「心配は天丼」的な言葉で少年を躊躇させ、追撃を防いだ……のだが。
「で、でも、あたしのこと気遣ってくれてるし……? さきっぽだけなら…………別に、イイし……?」
 やはり繋がりたいという気持ちは抑えられないとばかり、ツンツンした上目遣いで少年を見る。
 彼もまた、心は、同じ。
「じゃあ……」
 屹立の根元を持つと、膝立ちで距離を詰め……菊座に当てる。「あ……」。柔らかな”すぼまり”に張り詰めた肉塊が当たる
感触に妖麗さも露に瞳を細める褐色少女。唯我、優柔なれど果断の男。決めるべき時は決める形質が亀頭をアナルに……
入れ込んだ。
0178 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:24:38.35ID:/WOoQb80
「あ、あああ……」
 異物感に軽く目を剥き、わななくうるか。
(入ってきた……。ちょっとだけだけど……入ってきた……)
 異物感こそ未知ではあるが、(こ、これで、成幸のおちんちんが……お尻の……初めて…………だよね……?)という願望
にも似た自問から滲み出てくる幸福感が苦しさを穆(やわ)らげる。
(熱くて……。逞しくて…………。だめ、何度もイかせてくれて成幸の気持ちいいトコが、お尻で全力出したら………………
どうなっちゃうのか…………知りたくなってきてる……。あたしのココでも……気持ちよくなって欲しくて…………びゅーっと
出して欲しくて……だから、だから……ちょっと裂けても……根元まで挿れて欲しいとか……あたし、ケーハクなこと……
ケーハクなこと、考えちゃってる……。だめ、でも今は、ほぐれない内は、ガマンしなきゃ……)
 一方、唯我。
(やらけ……。前と違って全体的にツルっとした感じだけど……なんか、筋肉が近くにある感じで……キュっとしてて……)
 えも言われぬ快美が敏感な先端から伝わってくる為、やや息が荒いでいる。
(とろっとろだ、筋肉が……ストレッチとかしてる柔らかい武元だから……お尻の中も……とろっとろ、で……)
 少年の財政からすれば半ば伝説的な霜降り肉のような「とろっとろ」な感触に、彼は凄まじい挿入欲求を覚えたらしく、
一瞬顔つきがひどく攻撃的な濃霧を帯びた。
(やべ。あれだけ偉そうなこと言ったくせに……すげー挿れたい。根元まで突っ込んだら、周りからどんな締め付けがくるか
……味わいたい…………)
 だが同時にそれはダメだと表情は、自制の色を浮かべる。彼ほど自制できる少年もいない。文乃の腹を触る羽目になった
り夜の緒方うどんで理珠に抱きつかれたりしても手を出さなかったぐらいなのだ、濡れ場でもブレーキはかかる。
「こ! こっちからじゃ今んところ出血は認められないけど! 痛かったり、しないよな……! このままで、不満とか、ない
よな!?」
 半ば自戒で聞いたのはしかし却って悪くもある。(しまった! 最後の一言余計じゃないのか! 不満うんぬん聞くとなんか
お前さえもっと挿れて欲しいならもうちょっとだけとか恩着せがましく言う布石みたいじゃないのか!? 武元はそう受け止め
ちまうんじゃ……ないのか!?)などと、秀才らしい余計な洞察を己が言葉に加えてしまう。
 うるかはうるかで根がヘタレなため、つい勘繰る癖がある。上記が如き機微を何となく察してしまった。
「え!? あ、うん! 大丈夫! あた、あたし的にはもうちょっとだけ行けそうだけど、む! 無理はしちゃいけない……
だよね!?」
 テンパって答えたが(最後の一文いらないよ! うわーん牽制してるみたいになっちゃったー! 成幸が挿れたがってる
の察したけどさっきの言葉タテにやんわり断ってるみたいになってるーー! 違うの、あたし本当は根元まで挿れて欲しい
んだけど、成幸の配慮も分かるから……先っぽが一番無難だって思ってるだけで……!)と内心不等号で涙ぐむ。
 微妙なボタンの掛け違い、続く。
(武元……! つい挿れたくなっちまった俺を諌めて……!)
 普通の男ならカっとする場面だが、むしろ彼は口に手を当て涙ぐんだ。裂肛を避けんとした当初の理念を、情動に流される
ことなく突きつけてきた(と彼に映る)うるかの、毅然とした態度に、部活を優先できる判断力に、
「お前、成長したなあ。偉いなあ」
 と後ろから髪を撫でる。

(なんで褒められてんのあたし!?)

 うるかはギョっとした。(いや嬉しいことは嬉しいんですけど!? なんで!)と驚くが、唯我は偉い偉いとなお、撫でる。

(なにこの状況!? どんな状態!? お尻におちんちんのさきっぽ挿れられた状態で頭撫でられるとか、なんなん!?)

 口でなだらかな谷を描きながら半ば唖然と汗をかくうるか。起死回生とばかり、提言。

「動いてもいいんだよ成幸……。先っぽだけなら、そんな力いらないだろうし……」

 えッ。少年は驚いた。驚きながらもちょっと鼻の下を伸ばすあたり、良くも悪くも男である。

「い、いいのか!? ここ挿れるようには出来てないから、硬いのが出入りしたら裂け」
「ないってば!! うー! だいたいここそんな脆くないし!!」
「そうなのか?」
「うん。お尻、だかんね。お尻だから、大丈夫」
 両目を棒線にしてあどけなく答えるうるか。唯我は、
(お尻だから……? なんでお尻だと大丈夫なんだ……)
0179 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:25:09.58ID:/WOoQb80
 ぽやーとした顔で考えていたが、「ぴっ」と言う、気付きの、細い条光が右のこめかみから左のこめかみを静かに抜けた
瞬間、得心が行ったように……幼く答える。
「成程。お尻なら、先っぽぐらいなら大丈夫だな」
「そうだよ成幸。もー。いちいち心配しすぎなんだよ」
 唯我につられてアハハと笑った。笑いあう恋人たちはどこまでも和やかな雰囲気を漂わす。ウフフエヘヘと牧歌的な表情
で笑いあい、

 笑いあい、

 笑いあい

((お尻だからこそ大丈夫な理由は深く追求しないでおこう……))

 堅く、誓った。微妙な赤面を相手から逸らしつつ。
0180 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:25:23.46ID:/WOoQb80
 唯我は腰を引く。ぬぶりと抜けた亀頭は興奮のせいでビヨンと跳ね上がるが、体を沈めると再びすぼまりへと照星を定め
る。手で微調整をすることもできたが、欲情と恋慕を刻みたくて、だから彼は肉棒だけでの挿入を試みる。
「あっ」
 尻たぶと尻たぶの間を一画でなぞり上げた「肉筆」に少女はさえずる。ぶるん、ぶるん。ヒップの割れ目を何度か擦り上げ
た肉棒はやがて菊座に当たり……沈む。一度入ったせいだろう、桃色の肛門は僅かだが柔らかくなっており、抵抗少なく
受け入れた。
「んんっ……」
 目を閉じピクピクするうるか。あとはもうキノコの抜き差しだった。先端を抜いては入れなおす繰り返し。手のガイドで浅く
突っ込んでは排莢する。
 膣のときに比べるとどうしてももどかしさの多い行為だが、若い愛を交し合う2人にはそれさえも興奮だ。
(何より……武元の入り口の方、プリプリしてて……気持ちいい……)
(熱くて柔らかい座薬を何度も挿れ直されてるようで…………。だめ、熱くなる、なってきちゃう……)
 太ももはもう愛液の樹状図の展示会。半透明の蜜でびしゃびしゃだ。
0181 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:25:39.02ID:/WOoQb80
 深度を制限しても、やりようはある。細かすぎる抽送に業を煮やした唯我は、挿れたまま上下左右に擦り始めた。
「あっ、それ、いい。好きかも……しんない……」
 腸壁をぐにんぐにんと撓ませ拡張する灼熱に甘い声を立てるうるか。肛ズリなどいう言葉が存在するか不明だが、あれば
現状こそそうだろう。口唇愛撫はよく性交を模していると言われるが、唯我の行う肛ズリは口唇愛撫を模している。始端の内
膜にするように、終端の薄皮に亀の具をぬらりぬらり……こすりつける。少年が屹立の根元に添えた右手を動かすたび、
少女は「んんっ」と狐面のごとく目を細め、軽く喘いだ。
 無毛で清廉なすぼまりは、肉尖端の排莢すら愛らしい。唯我が何かの拍子に加減を誤った瞬間、亀頭がにゅぷりと、ま
ろび出た。淫蕩な排卵に騰(あ)がった唯我、薄く赤らんだカリ首をシワもまばらなピンク色の排泄口に押し付けた。そして
竿を上下。ぶりゅん、ぶりゅん。ぼんぼんに硬く膨らんだ肉棒からの質量ある攻撃に「あっ、や、おちんちんでそんなイジ
め方、恥ずかしい……」とうるかは恥らう。だがチョコレート色の全身はバーナーで炙られたように同色の雫をまぶし、幽
(かそ)やかな息はみるみると弾んでいく。
「熱いの、成幸の先っぽが熱くて、先走りでドロドロで」
「気持ちいいか?」
0182 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:25:47.30ID:/WOoQb80
「いい……。すごく、いい…………。もっとこすって。ほぐして……」
 横逸れした水着から日焼け跡を覗かせる一種いやらしい安産型のヒップをくねらせおねだりする少女。四つん這いながら
もいつもの調子で顔だけは唯我に向けているうるかだ。切迫した艶っぽい表情のメイン・キャストたる小さな口に指を入れた
唯我は、交代した左手で竿を持ち──…

「あv そんなくちゃくちゃの仕方、えっちだよぅ……v」

 肛ズリを繰り返す。

「だめ、さきっぽ挿れたまま、上とか右にぎゅーって伸ばすの、だめえ」
「こうしないと拡がらないだろ?」

 キュっと引き締まっていた少女の肛門が引き伸ばされ動くさまは、唇に指をかけられ伸ばされる頬と似ていた。
0183 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:26:15.69ID:/WOoQb80
 ややあって。

「い、言われたとおりのカッコしたけど……なに……するん……?」

 うるかは。四つん這い状態のまましゃがまされ、臀部を頭より心持ち高くされている。そこへ到る靭(しな)やかな背中の曲
線は白い水着の色彩で神聖ですらあった。そこからむき出しのお尻の日焼け跡から、褐色の太ももへ幾筋もの汗を垂らし
ながら、うるかは後ろへ首を捻じ曲げていた。こわごわとした視線を浴びる唯我、言う。

「こうするのさ」

 やや腰を浮かし気味に正座していた彼はむんずとうるかの尻を掴み、引き寄せた。(またおちんちん挿れちゃう……?)と
陶然たる半眼になる人魚姫であったが、次に勃発した出来事は彼女の未来図を凌駕していた。

 チョコシロップ漬けの桃を2つに割ったような見事なヒップに、唯我はペニスを挟み込んだ。

「ひゃッ!? ひゃあああああう!!」

 尻たぶと尻たぶの間に突如ふって湧いてきた灼熱の感触に目を向き、わななくうるか。

「ちょ、何!? なななっ、なんでそんなことすんの!!? そんなん本とかじゃ見たことないんですけど!?」
「だ! だってお前のお尻が、なんつーかスゲーぱつぱつで、なら挟めるかなっていうか、挟みたいつうか……!」
「いやいや! あたしのお尻そんな柔らかくないから! 絶対ゲンメツされるから! 鍛えてるせいで筋肉ばっかで……!
この女の尻見た目ほど気持ちよくないなって思われたらショックだから……! だからおっぱい、そっ、挟むならおっぱいに
……!!
 持たざる文乃(もの)が聞けばどんぐりまなこが無表情な笑みのままギッゴッと凄まじい歯軋りを連発させるであろう請願
をベソ混じりにするが、唯我は両側から鷲づかみにしたヒップをいよいよ力強く上下し始める。パンパンに膨れきった肉棒
の圧倒的質量を尻たぶの中でストロークされる感触に思わず目を閉じたうるかは、可愛い褐色の顔をぴくぴくっとを震わせ
る。

「ふぁあああん! やっ! そんな動きしたら、いやあ!!」
「ふやああああ!! ちょ、ええッ!? お尻とお尻でおちんちん挟んで上下するとかやめてーーーー!!!」
「お、お前の尻がいい形すぎるんだよ……!!」
「はぅうぅ。しかも粘膜に側面こすりつけるとか……えっち! 成幸のえっち!」
 
 予告もなしに訪れたパイズリの尻肉版に惑乱しきりの水着少女。
 恥ずかしさで猛抗議するが、唯我は屹立を挟んだ尻たぶの上下をやめぬ。ちなみにうるかがちょっと腰を上げるだけでこ
の強制奉仕は姿勢上の都合で雲散霧消するが、それができないあたり、唯我に対し甘々であろう。

 安産型で大きめとはいえ、丘陵の狭間はDカップの乳房ほどにはない。水着の股布を無理やり捲っているとなれば尚更
だ。だが唯我は水着を巻き込むことさえ意に介さず──と、言うより、寧ろ水着をこの尻ズリとも肛ズリともつかぬ行為に
参画させたいようだった。事実その通りであるなら、まったく度し難い──尻に肉棒を挟みこみ、上下する。

「だめっ、おしりっ、ギュっとしておちんちん押し付けるの、だめぇ! 先っぽの段差がニュルっとして、あっv 、やああ!!」

 切なげに息を吐き身悶える少女。

 右は、よく引き締まっているが柔軟や水泳によって柔らかい、半白&褐色の尻たぶ。
 左は、大きな尻たぶに嵌り込んで逸らせなくなっている皺くちゃな白い水着の生地。

 汗や腸液をたっぷり含んだ熱湿のそれらにそそり立つペニスを挟み込んで、少年は少女の腰を強引に上下させる。

「やんっ、こんなヘンなことするぐらいなら、あっ、普通に前、前に挿れた方がいい、のにぃ……!」

 尻たぶと尻たぶの間に入れ込まれた灼熱の感触に、うるかは逆らえない。にゅるにゅると菊座をこする竿の感触もまた
理性を溶かす。横顔の中、眉を下げ、瞳を、横に広い直角三角形にまで心地よくとろかしながら、細いネコの手でシーツに、
皺を。
0184 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:26:51.84ID:/WOoQb80
「だめ……。恥ずかしいのに、お尻の間のおちんちん、気持ちいい、気持ちいいよぉ」
(す……っげえ。武元がお尻に力込めて……締め付けてきた)

 唯我もまた震える。性的興奮は条件付けの色合いが強い。尻たぶと水着の感触それ自体より、それらを動員した歪な
行為を恋人とはたらいているという実感こそ、少年を燃え立たせる。

「武元。お前のお尻、すごく、気持ちいい……」
「出すの……? 出しちゃう……?」

 ああ。短く答えた唯我は更に数度激しく尻を上下させたあと、呻いた。

 ……。

 …………。

 ………………。

 精液でどろどろになった敏感な薄膜同士のぬめり合いに、双方ますます快楽を得る。

 再び先端が入れられた。ペットボトルに頭を突っ込んでしまったウナギのように暴れる肉棒に「ひゃう、その動き、えっちだ
よう」と笑い悶えたうるかは活発なこの少女らしく、腰をくねらせ合わせていく。

 漂ういちごヨーグルトの香りが肯(がえん)じる。背徳ではない、と。

 肛ズリ。よく分からぬが気持ちのいい器官への愛撫。それを試みているという気持ちが、”そこ”への一般認識ではまず
至れぬ陽気な貪りあいを生み出す。

「武元、そんな腰、回されたら……!」
「あはは。ピクピクしてるし。出したかったら出しちゃってよ」
 バックながらに軽く攻める少女にこなくそとばかり唯我は指を挿れる。
「やっ! あああ! やだそんなの、反則ー!!」
 ぷるぷると感じながらも楽しいらしく、からから笑う人魚姫。だが亀頭でいっぱいのアナルへ更に何度も指が出入りすると
様子は変わってくる。
「…………っ」
「締め付けがキツくなってきたな」
 どこか得意気な唯我の指摘に「うー! 言わないでってばー!!」両目を不等号にしてネコな両手でシーツを掴むうるか。
「ああもう可愛すぎてダメだ。武元。ちょっとだけ」
 深くしてみる……という言葉に「え!?」と少女が思う頃にはもう肉棒、亀頭から2cmばかり余分に入っている。
「ふぁああ!! いきな、そんな、太っ、太い、からあ!」
 異変に悶える少女がまた、いじらしい。ぬっぷぬっぷと四方八方に一通り肛ズリした唯我はカリ首が抜けるか抜けないか
というギリギリの所まで腰を引き、再び押し込む。
「この深度であれば、完全に抜くほかなかった亀頭のみの挿入時と違い、バック本来の抜き差しが滞りなく行えると言う訳だ!」
(ああ、真の力を解放した敵みたいなこと言う成幸もカッコいいよう)
 直腸粘膜は肉棒が押し入るたび甘ったるい悲鳴を上げて押し拡げられる。こなれる、こなれていく。直腸の外縁は膣の如く
ゆるゆるとほぐされ……開発されゆく。
「ひぐっ! だめ、そこから先は、だめ、まだ、ダメ、裂けるかも、だからあ!」
(じゃあこの辺りか)
 地点は先ほどから更に1cmほど埋没した辺り。そこを今回の極北と定める唯我。後はもう手をつき、犬の如く腰を振るのみ。
「や! 最後にこの格好とか、お尻で、この格好とか、えっちで、恥ずかしいから、恥ずかしい、からあ!!」
 先ほどまで楽しく明るく行為に耽っていた少女に急遽恥ずかしがられて一体どの男が止まれよう。褐色の細い肢体に覆
いかぶさった唯我はやや赤みを帯びた黒髪から覗く形のいい耳に吐きかける様、忙しない息をつき、腰を動かす。
「お尻、熱い、熱いよぉ」
0185 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:27:19.43ID:/WOoQb80
 がっくんがっくんと揺さぶられる人魚姫は忘れがちだが水着姿。二の腕に肩紐がかかり、抜き出しな小麦色の乳房はバル
バルと躍動する。臀部からの異物感は大きくなり、ねっとりした汗がむき出しの安産型に滲む。
「武元、そろそろっ」
 乳房を片手でこね回し始めた唯我は腰使いを早める。
「おっぱいダメ、お尻といっしょじゃ、だめ、だからあ!」
 勝気に眉毛を吊り上げながらも涙を溜める少女。限界は、乳首を強く摘まれた瞬間訪れた。
「ふぁあああ!? いや、乳首、乳首でイク、あたしイク、いっちゃうううう!!!!」
 絹を裂く淫らな高啼きと、縋るよう絞られた直腸が唯我の呻きを呼び……

 引き締まったヒップの間で、ミルクの間欠泉が噴き上がった。

 水着を持ち出して射精2回で終わらせる少女など少女ではない。
 水着を持ち出され射精2回で見逃す少年など少年ではない。

「あっあっあっあ!」

 いわゆる松葉崩し──横向きの正常位で、右足だけをピンと立てさせられた格好──でうるかは徹底的に突かれた。

「深いの成幸、このカッコ、いつもより深くて、あっ! だめイク! イッちゃうう!」
 水着から零れんばかりの乳房をゆっさゆっさしながら甘苦さに顔をしかめ首を振るうるか。
「この辺、初めてかもな」
「えっ、あ! だめ!」
 四十八手の一つたる松葉崩しを行うと、通常の正常位であれば太ももに邪魔され届かぬ部分を刺激できる。
 高々とあがる褐色の右脚に抱きつく唯我は、アナル開発の余波ですっかり濡れそぼっている秘所めがけ何度も何度も叩
き込む。

 不完全な肛門性交だったからこそ2人の官能の炎は、激しい。
 正常位という酸素でやっと完全燃焼できるとばかり貪りあう。

 強引にズラされた股布のすぐ傍の淫裂に捻じ込まれる剛直は、それだけで男の視覚的な欲望を満足させ、膨らませる。念願
の水着姿に、知りたての体位を実践する興奮もまた大きい。寝ッ転がったアマガエルのようにあどけない、開ききった股の
、ふっくらした独特な曲線の中央に、じゅぶじゅぶとペニスを抜き差し、抜き差し、また抜き差し。
 ベッドの上で前後に揺すられるうるかは甘え泣いた。
「イク、いっちゃうう、あたし、イクぅぅぅぅぅ」
 噛み締めるように口を結び、涎もあらわに震える少女。


 しばしの余韻後、ふつうの正常位へ。


「あっ! 気持ちいい! 気持ちいい!」

 M字開脚の少女の両手を取って揺さぶるのは初夜敢行した攻め口であるが、今回は胴体のほとんどが白い水着に覆われ
れている。なのに鎖骨あたりからは見事に肩紐がはだけ、左は肘より手首側に、右は二の腕中央に、それぞれ天女の羽衣
の如く輪通しされているのは視覚的な奇跡の配剤、コスプレAVでもこうなってくれるのは少ない。(大抵全部脱がしやがるのだ)。
 そうやってはだけた部分から、日焼け跡と、Dカップの乳房をこぼし、抽送の震度に翻弄されるうるか。
(このカッコで揺れる、おっぱ……胸は、ただでさえ凄くいいのに)
 ああ、少年は歓喜する。
(水着があると更にいいなあ……)
「うーー!! そんな水着ばっか見ないでよ!! これから練習中、どんなカオして逢えばいいか分かんなくなるじゃん!!」
「恥じらいも……イイなあ」
「って聞いてないし!! でも見蕩れられると次からダメっていい辛いし!! ああもう成幸のバカーー!!」
 可憐な反応に正常位は激しくなる。
「だめ、慣れてるカッコなのに……水着見られてると興奮して……イク、また……イッちゃうよぉ……!」
 37分。そこからうるかが突かれ続けた時間だ。観測できた限りでは彼女、7回はイカされた。唯我の射精は3回である。
0186 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:27:54.51ID:/WOoQb80
「あっあっあっ、水着でっぇ、えきべんして乳首触るの、だめぇ」
「出すぞ……うるか」
 持ち上げたまま射精した唯我だが、すぐさま律動を再開する。
「もう! 水着にコーフンしすぎ!!」
「だってこのカッコだと生地が俺に密着してきて……!」
 相変わらず良い感じにズレて鼠渓部にめり込んでいる股布の傍のホットな裂け目に瑞々しく赤剥けた肉棒をズンズンと
打ち込む唯我。激しい律動で乱れたのだろう、乳房のすぐ下までを覆っていたはずの白い水着は今はもう、おへそが露出
するほど皺くちゃ、右腕から抜けた肩紐が腰の辺りで垂れている。
「だめ、乳首コリコリしながらお尻に親指挿れるの、だめえ!!」
 肩紐が弾んだ。太ももから唯我の手が離れたのだ。重力落下を利した例の突き込みに
(くる、絶対くる。あたしここで耐えたいのに、絶対くる、成幸、絶対、してくる……!)
 恐怖と期待の入り混じった表情で首を捻じ曲げ少年を見る人魚姫。
「軽いよ、うるか」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ、ーーーっ!!」
 うるかは指を噛み、必死にイキ声をこらえた。毎度同じ文言で達しては面白味がないと思われそうで、怖いから、声を抑え
絶頂を悟られぬよう試みたのだ。
 なのに。
「すっごくきゅうきゅうとしてるぞ。イってるのか? ……うるか?」
 唯我は耳打ちする。ただ嘲っているならうるかは耐えられた。だが唯我は優しさ故に不得手な言葉責めを、いかにも無理
して冷淡ぶってやっているのが丸分かりで、
(成幸かわいい……。大好き……!)
 少女は強引に彼の唇を奪い、舌を絡ませる。

 ……。

 …………。

 ………………。

「わざわざ肩紐まで戻させてコレって……」

 膝立ちで少年に跨りし人魚姫、やや呆れ気味に呟いた。駅弁のころ乱れ切っていた水着は、騎乗位移行に伴い着衣の乱
れが直された。……結合のため捲らずを得ない股布を除いて。


「悪い。けどだな! 乱れてるからって脱がすのは何かこう違うだろ!! また着せて、だんだん脱げてくのが、良くて……!」
「まあわかんなくはないけどさ」
 これだからオトコは……。勝気な面がうるかにやれやれとしたウインクを取らせる。
「てかあたし、上、恥ずかしいんですけど……?」
「俺は怖い……です」
 抜かずで12回搾り取られたことは今以てトラウマらしい。少年はぶるぶると震えながら視線を逸らし──…
「優しく、シて……下さい…………」
 初めて抱かれる少女のような羞恥を浮かべた。(はうう!)、うるかの表情についてはもう、言うまでもない。

「っ! も! もー! そんな可愛いカオされたって3分ぐらいで切り上げるかんね! 今日は乱れる前に終わらせるかんね!!」


「やっやっやっ! 成幸のおちんちんがあたしの中で暴れて!! 凄い! 気持ちいい! 突いて! もっと突いてぇ!!」
 23分後、白スクに覆われた細い腰が唯我の上で踊り狂っていた。結構な数の中出しをされたらしく、結合部ときたらシ
チューを掬ったあとのお玉の下側ぐらい、ベットベト。
 少年はリクエストに答える。水着の中の乳房を握ったまま、少女が腰を下ろしきるタイミングで腰板のバネを突き上げる。
「あっあっ! 凄い! 右唇ぴりぴりして、何も分からなくて、凄い、気持ちいい、気持ちいいよう!」
「武元っ!」
 水着越しに乳房を揉みたくる唯我。腰使いも弱めない。水着越しに握りこんだ双丘を支えに上へのグラインドに力をこめる。
「あっ!」瞳孔に超弦のノイズを走らせ痙攣する褐色少女。下腹部で、どこか敏感な部分を一撃されたらしい。
「イク、気持ちいい、またイク!」
 軽く潮を吹く結合部。呻く唯我。白い大波が股布にびちゃびちゃ降りかかる。
0187 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:28:34.38ID:/WOoQb80
 甘美に口を結び、健気な涙を溜める少女であるが、物足りそうに、ぐずるように、唯我を見下ろす。
「だめ、すっごく気持ちよかったけど、もっと激しくイキたいの」
 涎が垂れているのも構わず切なげに顔を歪め、おねだり。競泳水着で、ゆっくりゆっくり腰を上下させながら、おねだり。
「おっぱい触って……。水着越しじゃ成幸のひんやりが分からないから、直に、直に……触ってぇ」
 ここで再び肩紐を剥くようでは三流である。唯我は一流であった。腋側からの経路を用い、斜め下から、『潜り込ませた』。
「ふぇええええええええ!!?」
 白い水着に、レリーフのごとく盛り上がる掌の陰影にギョっとしたのは勿論うるか。
「ぬ! 脱がすんじゃなかったの!?」
「だって水着だぞ! 男なら誰だって、一度でいいから普通に着てるトコに、手を、手を……!」
 入れたいって思うもんなんだよ! 切実に叫ぶ唯我。男のコはやっぱりオバカな生物らしい。
 が、うるかは責めるどころかなんと心配すらした。
「だ! だめだってば成幸! 水着ぱつぱつなんだから! 無理やり突っ込んだら成幸の手が窮屈なんじゃ……」
 肩紐緩める? とさえ悶えながらに心配そうに聞くのである。
 「イイんだよそれが。すげえ。ただでさえやらかいお前の胸が、水着に押される俺の手に」
 ぐりにゃぁると柔らかくめり込むのだ。興奮した彼は桃色の棘(ソーン)を親指で押し込んだ。
「ひぃゃあんっv」
 うるかの興奮もまた界限を超距しつつある。
(凄い……。ただ触られてるだけなのに……いつもと、全然)
 感触が違って思えるのは、『水着の中』をまさぐられているという興奮ゆえか。
 火照りつつある乳房から謎めいて高い淫靡の粒子が立ち上り当惑するうるか。
 脱がさないが故のエロスはある、確かにある。競泳用水着が手の形に隆起しパツパツになっている視覚情報は唯我を
大いに昂ぶらせる。衝動の赴くまま、窮屈な生地の下、更に手により弾圧され潰れきっている乳房を揉みこねる。

 ぎちっ。右の肩紐の外側に、切れ込みが、入った。

「あっ、や……胸、いつもより、キツキツで……」
 勝気なショートボブな褐色少女の息は瞬く間に弾む。胸に視点が移ったせいで忘れがちだが今は騎乗位、結合中。手の
カタチにこんもりと盛り上がった水着の胸に視覚的な幸福を覚えている唯我は二度、三度と突き上げる。横乳が水着から
こぼれそうなほど激しくもまれて脱力しているうるかだから、面白いように跳ねる。女性上位の格好にありながら、少年の
力の籠もった腰のバネにずんずんと跳ね上がっては落ちる繰り返し。
「な、なんか前よりチカラ強くなってない……?」
「筋トレ続けてるからな、我慢できなくなるたびのアレ」
 だから駅弁やっても体力残ってる……言いながらキュウっと両乳首をつねる唯我。「あっv」。すっかり強い刺激に調教さ
れているうるかは蕩けた笑みで甘く啼く。
「あ、あたしだって、体の使い方、上達してるし……?」
 秘所に力を込め、締め付けを意図的に強くする。「武元っ、そ、そーいうスイッチいれたらまたお前……」怯えながらも、
僅かに期待を込める少年に「大丈夫、だから。今日は、成幸を、気持ちよくしてあげるためで……あたしだけ気持ちよく
なるアレじゃないから……」と腰を上下し始めるうるか。
 支えとすべく唯我の丹田付近に細腕をライディングさせかけたが、「…………」。薄く頬を染めると背後に回し、つく。変わ
りに腰を心持ち前に。
「せっかく水着なんだし……。めくれて……繋がってるトコ……見れた方が…………いいでしょ…………?」
 恥ずかしげに目を尖らせながらも遠慮がちに問う姿態は(どどどこまでワカってくれてるんだ武元! あ、あんなに結合部
見られるの嫌がってたのに……!)と少年を感涙に導く。
「もー。ちょっとしたことにいちいちヨロコびすぎ」
 呆れたように笑う褐色少女だが(嬉しい……。恥ずかしいのガマンして良かった)と嫣然と双眸を潤ませると
「んっ……」
 と腰を前後にグラインド。ぬめりきった沼がニチャニチャと鳴った。肉棒は、重機可動肢のシリンダーの如く「硬い」挙動で
秘所を出入り。
「武元っ、力、強い……」
「でも気持ちいいっしょ……? ぴくぴくしてるし……」
 持ち前の筋力で締め付けながら、ゆっくりとグラインドする少女に唯我は感じているらしく、かつて睾丸を愛撫された時の
ような、激発寸前な細い息をついている。
「だって……お前の中、すっかりこなれてきて…………俺の、に……絡みついてきて……」
「気持ちいい……?」
0188 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:28:52.45ID:/WOoQb80
 腰使いのペースは変えぬまま、優しげに笑う褐色少女。唯我は相当「ズキっ」ときたらしい。軽い四白眼の下で口元を楕円形
に広げると「いい……。凄く……いい」と恥ずかしげに呟いた。
「どの辺が……どんな感じで…………いい?」
 女性優位の体位ゆえか、うるかは珍しく積極的である。吐息の綿雲を侍らせながら、じっと少年を見つめる。愛しさに満ちてい
るが、瞬きで細くなる瞬間、狩人のような眼光が懸念される複雑な目つきであり、であるがゆえに唯我は(アレ? これ答えを
渋ったらオシオキされるんじゃ……?)と怯えた。
 怯えながらも、恥ずかしげに、彼、告げる。
「ひ、ヒダが……揉み洗うように、俺の、に、一面に絡まって……吸盤のように、真空作ってペタペタひっついて……」
(え!! そ! そこまでの説明は求めてないんですけど!? あったかいとか強いとかヒトコトで良かったのに詳しく言わな
いでよ、恥ずかしい……!! 恥ずかしすぎるよぅ……!)
 羞恥と照れで、胸中うがーと頭を抱えるうるかだが、今は攻め手だ、取り繕う。
「もっとペタペタしたげよっか……?」
 えっと聞き返しかけた唯我であるが、人魚姫がふぅと息を吸い力んだ瞬間かれの表情は激変する。
「っ! ヒダが、うねうねって……!」
 映像では流石に分からなかったが、どうも膣内が蠕(うご)いたらしい。
0189 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:29:14.95ID:/WOoQb80
「あたし……。2週間も成幸とえっち……できなかったから……成幸の想像して…………中、動かしたり……してたの……。
感触思い出して…………中の……壁を、ぬるぬるーって、動かして…………寂しいの慰めて…………練習……してたん
……だかんね…………!」
 自慰……にしては良く分からぬ行為である。唯我も反応に困(こう)じた雰囲気を見せる。
 上記のうるかの行為がただのオナニーを超えた、エアセックスとでも形容すべき唯我愛の顕現であったと判明するのは
やや先の話。
 この時の少年はただ、妖しく蠢き始めた少女の肉沼に軽く悶え喘ぐばかりであった。
「これできるよう、練習したんだよ……。いっぱい、いっぱい……」、次する時は気持ちよくできるように……切なげに瞳を尖
らせながら腰をグラインドさせ始めるうるか。

 そこから12分の動きは激しい貪りこそ伴っていなかったが、愛の濃度は、高かった。
0190 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:29:35.05ID:/WOoQb80
 うつ伏せの唯我に、褐色の太ももを、双頭の宇宙戦艦のカタパルトの如く並列させた少女が、くっちゃくっちゃと前後の律動
を飽きることなくひたすら続けた。
 少年も突き上げこそすれ互いを絶頂に追いやるほどの激しさはなかった。感じあうための、愛しあうためのセックスだった。

「あっ……。あ……」

 想い人から悩ましげに顔を逸らしつつも、姿勢よく背を伸ばしたままお尻をくねらせるうるか。

「…………」

 息を弾ませながら分身を上へ上へ杭(わた)らせる唯我。

 細工された防犯カメラの記録映像かというぐらい単調な繰り返しを延々12分は続けたあたりで”それ”は来た。

「あっ、武元、そんな強く絡ませたら出ちまう……!」
0191 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:29:55.51ID:/WOoQb80
「……つーん」

 じっとりと汗ばむココア色の面頬がそっぽを向いた。塾の例のアレである。下の名前で呼べという訳である。好きだうるか
愛しているんだうるかと月に刻むほど天が驚くほど情熱的に呼ばれなければイヤという、複雑な甘え方である。
 積年の恋慕を知る隊員2人や文乃から言わせれば可愛らしい拗ね方であり、唯我自身、
(カワイイ……)
 と思ったが、ほんのちょっとだけ、ごく僅かだけ、少年らしい癇が眉根を過ぎた。

 やや小生意気な態度を取った子犬を「くぬやろ、くぬやろ」と愛しげに笑いながら揉みくちゃにする。
 ここからの行為はそれであった。体裁こそ調教であったが、本質は愛の軸を外れていない。

「ヤダ……。名前で呼んでくんなきゃ」
 イカせてあげないよと腰の動きを弱めかけたうるかの、むちっとした黒糖色の太ももを唯我は掴んだ。
「武元」
「だからうるかって……きゃっ! え! 何!? なんで動くの!?」
0192 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:30:21.76ID:/WOoQb80
 少女がうろたえるのも無理はない。ここまで分かち合うためだった動きが、急に強姦的な、男が一方的に感じるためだけ
の突き上げに変じたのだ。ぐっぷぐっぷと膣をぬめり開閉させながら往復する肉棒の、獰猛獰悪な勢いに
「も、もしかして怒らせ……あっ! や! そこダメ、あ! だめって言ってるのに……!!」
 戸惑い、謝罪に移りかけるうるか。
 だが。
「怒っちゃいないぞ。武元」
 唯我は、淡々とした口調で「ちょっとした工夫を思いついただけさ」とも付け加え、眼鏡を白く曇らせる。口元は軽く微笑。
(怖いんですけど!? ただ怒られるよかずっとずっと、怖いんですけど!?」
 戸惑う間にも突き上げは続いている。揺らされる軟らかな体は癇癪の繰り糸に引かれるよう。いつしか仰向けのまま膝
だけを立てた少年が息を吐きつつ腰を突き上げるたび、白い水着姿の少女は悲鳴をあげる。
「イク、成幸をイカせるまでガマンしたかったのに、あたし、先に、あたしが、先に……!!」
「イけ。………………うるか」
 聞かせるように、叩きつけるように放たれた真名に驚き息を呑んだうるかだが、静的な一拍はすぐさま怒涛の奔流に流
される。「はひっ」と淫らな感悦に綻んだうるかは「だめ、名前呼ばれると、イく、頭の中が気持ちよくて、イッちゃううう!」と
涙ながらに背筋を仰け反らせ涎を散らした。

「とまあ、ここまでがテンプレだ」
「へ…………?」

 涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔を呆けさせ唯我を見たうるかは気付く。肉棒が中で未だまったく衰えていないように。

「な、なんでそんなコーフンしてんの……?」
「い! 言っとくけど! お前が悪いって言うか、コレは照れで、可愛いんだけどムシャクシャもしてて!!」

 おろおろと、生娘のような赤面で弁明する唯我は、そこから。


「武元」
「……武元!」
「武元っっ」
「たけも……と!」

 立ちバックで。
 ベッドの縁の座位で。
 うるかが唯我にお尻を向ける騎乗位『本駒駆け』で。
 正常位の少女が肘を支えに、二の腕分だけ浮き上がる『つり橋』で。

 前から後ろから、上から下から、突きに突いた。

 肩紐の切れ込みがまた一段と深くなる。

 むろんずっと水着姿のうるかは揺さぶられながら(な、なんで名字ばっかなの……! 名前、あたし、名前で呼んで欲しい
のにぃ……)とぐずって泣くが、いよいよどちらかの限界が強くなるや

「うるか」
「……うるか!」
「うるかっっ」
「うるか……ぁ!」

 少年は下の名前で彼女を呼ばい、精を放つ。
 少女は、気付いた。目論みに。
0193 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:30:43.10ID:/WOoQb80
「いやぁ……! 大事なときだけ名前呼ぶの、だめぇ!」
「なんでダメなんだ?」
「だだってそんなんジョーケンハンシャになっちゃうじゃん! あたしがイクとか、成幸がイクとかの時だけ名前呼んできたら
フツーの勉強の時に成幸が名前……呼んできたら、あたし、あたし絶対……思い……出して!」

 勉強どころじゃなくなっちゃうよと涙ぐむ。単語1つ綴る余裕すら無くなると、うるかはそう恐怖しているらしい。
「確かに……そうなるわな」
 唯我もちょっと困ったような顔で応じる。「でしょ! だ、だから、いつも名前呼びな方が……!」と現金な笑顔で提案する少女の
黒髪を、彼はとても愛しげな顔つきでくしゃりと撫でた。
「えへへ。わかってくれた?」
「じゃあ再開な。武元」

 ふぇ!? と声をあげゾっとする少女の秘所で再び灼熱の塊が動き始め──…



 正常位。バック。駅弁。騎乗位。そのほか古今東西新旧洋邦の体位で唯我は攻めた。攻め続けた。

「も、もう名字でもいいから! 休ませて……あたしまだイッたばかりで感じやすいから、やすませ……あ!」
「駄目だ。休ませないからな、『うるかさん』」

 正常位で少女の顔の横に手をついた唯我が腰を狂ったように動かす。最初は「だめ、ゆっくりして、強いぃい」と泣きじゃ
くっていた人魚姫も、涙を拭われたり、髪を撫でられたりといった優しい愛撫のたび「うるか」と呼ばれていくうち、双眸を嬉
しげな、しかしどこか白痴のような曲線にうっとりと枉(ま)げ

「いい、名前で呼んで貰えるの、いい……! あっ、逞しいのが奥に、イクイク、イッちゃううう!!」

 半笑いで愧声をあげ、絶頂する。


 痙攣の赴くままバウンドさせた右肩が、水着の紐に更なるダメージを与えた。既に正中線から見て外側に2cmばかりの
切れ込みを擁している古めの水着の肩紐に、内側方向からも亀裂を入れた。


 またある時。膝立ちの後背位では。

「武元、ここがいいのか、武元」
「やだ。名字、やだ……! もっと、もっと名前、呼んでえ」
「だーめ。ワガママいう奴の名前なんて呼びません」

 肩紐にキスをしながら水着越しに両乳首を「ぎゅっv」と捻る。

「ひいいん! やっ、凄くいいけど、だめなの、名前呼ばれながらじゃないと、イケないの、イケないのぉ」

 振り返って哀訴するショートボブの少女にゾクゾクっとしたものを感じ薄く笑った少年は

「こっちでもイケるだろ、武元?」

 股布に手を突っ込み、真珠をくすぐる。

「やっ。名字やめて」という抗議を眼鏡少年はガン無視し、クリトリスをつねる、つねる、つねる。最初はただ強い刺激に目を
見開いていた褐色少女も突き入れと平行する淫核の刺激に感じ始めたらしくどんどんと口をまろくし喘ぎまくる。

「だめ、またイク、名前呼んで貰ってないのに、イッちゃうのいや、嫌ぁ。名字じゃ嫌、嫌なのにぃ……!」
「イけ武元。イッちまえ」
「え!? いつもならこのタイミングでうるかって……あ! だめ、イクイク、あたしイク、名字なのに、イカされちゃうぅううう!!」
0194 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:31:12.25ID:/WOoQb80
 潮を吹きながらぶるぶると身を震わせた少女は

「中、とっても良かったよ。うるか」

 優しい耳打ちにビクっとした後、瞳を潤ませ……

「成幸っ」

 首筋に手を回し、キスをした。真正面から飛び込む格好である。背面座位からの残影も見せぬ排莢と大反転はアスリー
トならではの芸であろう。

 そのまま彼女は、唯我を押し倒し

「ヘンなの、えっちな気持ちが熱くて、さっきから全然、冷めないの……!」

 膝立ちで腰を浮かしたまま、二本の褐色指でヴァギナを開く。愛液と精液でぬめりきっている秘裂は「じゅぬう」といやらし
い粘り気を奏で……口を開いた。
 褐色珊瑚髪の少女はぜぇはあと赤面を震わせながら続きをねだる。瑞々しいピンク色の内部に溶けたチーズのような糸
が引くのさえ認めた唯我は、興奮の赴くまま

「燃え尽きるまで可愛がってやるよ、武元」と、素面ではとても吐けそうにない言葉と共に突き入れた。

「あっv」

 うるかは、再びの騎乗位に甘く鳴き──…


 そして1時間38分後。

「だめぇ……。最後のときだけしか、名前、呼ばないなんて、卑怯、卑怯ぉ……」

 うるかは、あやめ色の瞳を泣き腫らしながらベッドに横たわっていた。快楽と絶頂の涙であった。鼻水が流れ込むのも
構わず開いた大きな口の中では、熱気で水分の飛んだ唾液が、宇宙生物の巣窟のような糸を引いている。
 全身もまた、ドロドロであった。
 ズレた股布の傍から溢れる愛液と精液の和合液は、ごわごわと粟立ち、まるでムース缶まるまる1つ使ったイタズラ書き
の被害者だった。
 右頬や額、左耳回りにも白濁は付着しており、何がどうしてそうなったのか、うなじの辺りにさえ栗臭の蛋白液がこびり
ついている。
 水着の、胸一面やヘソの近くの射精跡は特に生々しい。両手のそこかしこが褐色を除染されたように白んでいるのは余
波故か。太もももまた斑(まだら)模様である。

「で、でもうるか。その格好も、恥ずかしがりようも、凄く可愛いぞ……?」
「でもこれ完全にシツケじゃん。チョーキョーじゃん! け、結局、お尻も、さっきよりちょっとだけど深く挿れてたし! 根元
までじゃなかったけど、あたしがイクときだけ名前呼んだし……!!」

 ううー! 少女は唸った。唸ったあと、ちょっとだけ、目を伏せて、こわごわと聞いた。

「……もしかしてその、あたしを下の名前で呼ぶの…………嫌? あたし……無理強いしてた……?」

 少年は、頬を掻いた。

「嫌じゃねえけど、前も言ったろ。名字のが呼びなれてるって。何より下の名前でお前呼ぶの……恥ずかしいんだぞ結構」
「だ、だよね」
「練習はするけど! でもしつこく言われたら俺だって人間なんだぞ、どっかでカチンとくる。そーいったもんの積み重ねで
お前を嫌いになりたくねえけど、どっかでちゃんと抗議しとかないと積もる一方ってのは事実だろ」
0195 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:31:36.84ID:/WOoQb80
「……スミマセン」
 チョーシこいてました、やっと下の名前で呼んで貰えるようになったのが嬉しくて、ちょっとワガママになってました…………
と少女がしょげるのは、調教がいろいろ凄まじかったせいである。
「でも、つーんとなるお前が可愛く見えるのは事実で、でもちょっと腹も立って、だからまあ」
 こんなんしちまった……と白濁どろどろの人魚姫を唯我、我が結果ながら若干ヒキ気味に見た。

「てかよく体力続いたよね成幸……。神社の階段昇るだけで息あがってたのに……」
「あ、それはまあ発散のための走り込みがぼちぼち成果をだな」

 でもそろそろバテ気味です……ふらっと青白い顔を揺らめかせる少年に、

「じゃあ今度は」と何かいいつつうるかが起き上がった瞬間。

 べちん。

 右肩紐が破れた。兼ねてよりダメージが蓄積していたものが起き上がりでトドメを差されたという訳である。

「はえ…………?」

 訳もわからぬという顔つきで静止するうるか。
 右胸はピンの抜けた壁新聞の一角であった。水着がハラリと捲れ裏地を覗かせている。

 半白の乳房もまた、まろび出ている。

 すーすーする感触に下を見て状況以上の如くとようやく気付いた少女は「〜〜〜〜〜っ!」と胸を押さえた。

(って! なに隠してんのよあたし! もうけっこう見られてるでしょ!! あああでもダメだ突然こんなんなったら反射的に
隠しちゃう訳で……!!)
 一種の今さら感も相まって初めて見られたように紅くなり胸を隠す少女。唯我は一瞬、ベッドの傍に脱ぎ散らかした自分の
上着に目をやったが……かける親切は、できなかった。
「見せて」
「え……?」
「そのまま腕をどけて、見せて。…………『うるか』」
 震える少年の声は、自分を懸命に格好良いものに見せかけようとするものだった。イケメンが格好良く、恋人を躾けるとき
の声を、紳士で静謐な、だが逆らいがたい硬質をも孕んだ声を、彼なりに再現しようとする、呼びかけだった。
 他の少女ならキャラじゃないと笑うが、補正持ちのうるかには、効く。麗しい王子様に壁ドンされたようにゾクゾクゾクぅと身
震いした。彼の不慣れな感じさえ、初々しくて可愛いとさえ思い、女芯が溶かされる。鼓膜すら性感帯のようだった。
 が、臆病で貞淑で勝気な複雑さは反論をさせる。
「も、もう何度も見てるでしょ…………? だから、今は、どけなく、ても……」
 直感したのだ。うるか呼びの調教が新しいステージに入ってしまっていることを。反射的に隠してしまった恥部ですら、名前
さえ呼べば見れるように……少女の羞恥をやすやすとクリアできるように、『教え込もうと』している唯我の構図に。
(だから、ここで、胸……見せちゃったら、うるかって呼ぶのが、もっとトクベツなことになっちゃって…………あたしそのうち、
呼ばれるだけで……感じるように……なっちゃう……! 呼ばれるだけで成幸のいうこと、何でも聞く体に……なっちゃう……)
 愛のうち自己犠牲で構成される部分はそれでもいいと破滅的なことを思ってはいる。恥ずかしさと引き換えにしてでも少女は
想い人に呼ばれたい。
 だが愛されるために自分をフシダラに見せたくないと思う部分はレジスタンスになって抗拒する。
(だだ、だから、胸! 自分じゃ見せない、見せないかんね……! 成幸が無理やり手を剥がすなら、そっからどんなこと
されてもイイけど……。でも自分で見せるのは嫌。嫌、だから……!)
 ねこねこした形の紫色の瞳を葛藤に揺らめかせる少女。

 教育係は、鋭い。

「うるか」
 再び呼ぶ。唯我がただ催促のため語気を強めたのであれば、貞淑に対するうるかの防衛本能は外戍(がいじゅ)の勝気
さを来援し、見事な墨守を演じたであろう。
0196 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:32:10.01ID:/WOoQb80
 が、彼女は少年の優しい熱意に光る目に、あらゆる抵抗を忘れてしまった。「うるか」。呼ぶ声に隷属の無理強いはない。
ただ眼前の少女が愛おしく、欲しくなったという、ただそれだけの声だった。胸を見せろという命に違約されたという怒りす
らない。むしろ羞恥ゆえに簡単には従えなかった少女を心から肯定し、清純さゆえにますます欲しくなったという、「うるか」
呼びだった。
 近づく少年の顔。うるかの目つきはもう、レイピア取り落とす女騎士のそれである。唇が、重なった。初っ端から舌をねじこ
んでくる唯我の激しさに、びくん、びくんと褐色の肢体を震わせながらも、懸命に舌を動かし歓待する少女。
(やだ。気持ちいい。恥ずかしいのに、胸見せるの、すごく恥ずかしいのに……)
 頬をさすったり、髪を撫で付けたりする唯我の、ひんやりした手が理性を奪う。
(優しくて……。あたしを求めてくれてるから、胸……。おっぱい……。恥ずかしいのに、見せなきゃって、見せたいって、
思うように……なってきて……でもだめ、名前で、そんなチョーキョー、恥ずかしい……)
 なのに、唇を外した唯我は笑う。妹にやりこめられたお兄ちゃんの表情で、さっぱりと笑うのだ。
「決めたこと、キチっとやりおおせるお前のそーゆうとこ、好きだよ。うるか」
 嬉しさと恥ずかしさでくしゃくしゃの笑みになってしまった少女は、
(だめ、だからこそ、胸、見せちゃ、見せちゃ、だめ、なのに…………!)
 これほどまでに自分を好きでいてくれる大事な人に逆らい続けるのが悲しくなって、切なくなって、

「み、見たいんだったら…………見ればいいじゃん…………」

 と肩紐のはだけでまろびでた乳房を……晒してしまう。

 かああ。首筋まで真赤になったうるかは、目元に涙を溜めながら必死に視線を逸らす。


 冷静な言い方をすれば、水着から片乳がはみ出しているぐらい、先の行為の数々に比べれば遥かに軽い。だがいったん
隠したものを少年の指示で自ら曝け出してしまったという感覚が、ただ見られる以上の興奮をもたらしている。

(何より、あんだけ見られたのに、まだ恥じらえる武元がスゲー。すげえ……可愛い)

 初々しい少年少女ならではの微妙な機微であった。

「すごく可愛い。とても可愛い。可愛いよ。……うるか」

 唯我はうるかの顎に手を当て、双眸を覗き込む。やや背伸びした男の手管だが、照れ混じりの中で懸命に感興と感奮を
伝えようとしているのは傍目からでも存分に見て取れた。

「嬉しい……」

 嫣然と咲(わら)う少女。その乳房にむしゃぶりつくよう吸い付いた唯我は、激しく何度も何度も音を出す。

「あっv いい、いつもより激しっ、あっv」

 アホ毛ともども黒髪を振りかざしながら眼鏡少年の頭を抱えたうるか、屹立が目に入ると片手で掴み、そのまま力任せに
秘裂へ飲み干す。「んぅっ」。目を閉じ、異物感に鼻を鳴らす少女。

「うる……か!? 自分から……!?」
「いいのぉ。おっぱいも、だいじなとこも、いっぱいいっぱい、気持ちよく、気持ちよく、してえ!」

 5分後。

「あっあっあっ! イク! イク! いっちゃううううう!!!」

 水着からむき出しになった片乳をぷるぷるぷるんと震わせながら腰を使っていた少女が、感悦の表情で上を向き、昇天した。



 水着の夜ラストのうるかは、全裸になった。

 水着を持ち出しておいて結局脱ぐなど一見無粋に思える。
 しかし後の唯我は追想する! 「脱いだからこそ水着が最高になった!」と。
0197 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:32:30.96ID:/WOoQb80
 くしゃくしゃになった白い水着を右掌に持ったうるかは、告げた。

「これを……使用済みの…………水着を…………使うって…………。アリ……?」

 彼女の視線は依然として嶷然(ぎょくぜん)とそそり立つ肉棒にあった。

「お前は……最高か。最高って言葉しか出せんわもう」

 水着で『こする』など変態プレイもいいところだが、少女が手ずからやるのであれば天上の奉仕であろう。

「て! てか! この水着とは別のアレ! まえ筆箱と間違えて渡しちゃった時、使ったりしてないよね……!?」
「すすする訳ないだろ! あの時ゃまだ付き合ってなかったし!! いいい、いや、筆箱のつもりだったお前が『使え』つっ
てきてたから、ほほほ本気でそっち方面かと悩みはしたけど! んなことある訳ねえし! してねェし!!」

 わたわたと言い合う2人はどこまでも初々しい。ゆえに述べるに値するのだ。

「うー。てか水着見るたび先っぽにおつゆ滲ませんのやめてよ……。恥ずかしくなってくるじゃん……」
「期待感デス……。スミマセン……」
 口がV字のカチコチ笑顔で申し訳なさげにする少年に溜息をつきながら、泉にやってきたクロヒョウのような四つん這いで
彼の股座にすり寄ったうるか、水着をそそり立つ局部へと纏わりつかせた。
「手、手でするときと要領同じでいいんだよね……?」
「すまん。それは俺も分からん。み、水着、だからな……」
 上目遣いの問いかけに情けない様子で答える少年。どうせお互い知らぬ行為なら実践以外に道はなしとばかり、うるか、
皺くちゃの水着越しに肉棒を握り……しごき始めた。
(すげえ。水着の生地もだけど、まだ残ってる武元の生暖かさが……すげえやらしい感じする……)
 掌からの圧力自体も素晴らしい。アスリートらしい筋力を、乙女の繊細な加減で調整した「成幸が気持ちよくなれる」刺激
である。それが汗を含んで湿りきった水着の、ちょっと陰部を擦り傷だらけにしそうな僅かな引っ掛かりと相まって、口や肛門
などでは味わえぬ極上のパルスを走らせる。一度しごかれるたび眼鏡少年は「っ」と息を吐く。
「気持ちいい……?」
「すごく……。いい」
 ロケーションも最高だ。競泳界ではアイドルの少女が、一糸纏わぬ姿でかつて使っていた水着に対し淫らな転用を働いて
いる。褐色の肌。日焼け跡。愛らしい顔。張りのあるバスト。きゅっとくびれたおへそ回り。細身ながらにむちむちとした腰周
り。どれも震い付きたくなる一級品の造詣だ。それらで構成された裸形を、今は水着コキに集中するあまり無防備に晒して
いるあどけなさがまた、少年をゾクゾクさせる。
(刺激だけでもスゲェのに、む、胸とか、ぷるんってしてるし……。割れ目だって見えちまうし……)
 男の”しごき”とは、よほど小説家的素養に恵まれぬ限り、生の視覚情報が必須である。ひらたくいえば「おかず」がいる。
手で奉仕してくれる少女が、その体で目を保養させてくれるとあれば、興奮は嫌がおうにも高まる。
「またカタくして……。なりゆきの……えっち」
 軽い視姦にムっと眉をいからせてみるうるかだが、頬の紅潮は満更でもない証であろう。手の動きを、早めた。

 ずっ、ずっ、ずっ。

 摩擦を強める白い水着。いつしか後ろに手をついた唯我、細面をやや仰け反らせ細く喘ぐ。

「いい。す……っげえ、いい…………」
(感じてくれてるんだ。あたしの手で…………水着で……)

 もっと気持ちよくなって欲しいと瞳を濡らした褐色少女。だが表情とは裏腹に手の動きは……止まる。

「……?」

 どうしたんだという顔をする唯我の前で、うるかは「えーと」と、まるで繕い場所を探すように白い水着を摘んだり回したり
で検分し……「ここ……」と股布の部分を掴み上げ。

 若々しい肉棒に、絡ませた。ただ巻きつけたのではない。股布のアーチの内側に引っ掛けるようにしながら、他の生地で
蜷局(とぐろ)を描くように、ベーゴマの紐でも巻くように、覆ったのだ。

「な、なんで変えたの……?」
0198 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:32:44.28ID:/WOoQb80
 激しい攻めを危惧したのか、ちょっと恐る恐るな眼鏡の少年の前で、「かあっ」と俯くうるか。影の加減もあり、ここまでの
激しい動きで乱れがちな前髪に両目が隠れた。

「ここ……。あ、あたしの、大事なとこが……、練習のたび……ずっと、張り付いてたトコで…………」
「っっ!」

 少年はビクリと背筋を粟立たせた。目の色を変え、下唇が競りあがるほど、彼はひどく興奮したようだった。己が分身と、
うるかの彼処(あそこ)の水着を介した間接ペッティングに、どうしようもなく倒錯したようだった。

「そ、その言葉だけで出ちまいそうなんだが……!」
「だーめ。あたしの手と、水着でイッてくれないと…………泣いちゃうよ?」

 色っぽい女の友達の顔でちょっと唇を尖らせ甘えてみせる人魚姫。「善処します……」。ちょっと顔を逸らし湯気を噴く少年
は情けない顔つきだが肉棒はますますコチコチだ。
0199 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:32:57.69ID:/WOoQb80
「でも水着だとこれ以上早く擦れなさそうだし……あ、そうだ」

 うるかは唯我のまたぐらへ顔を近づけ…………肉棒の上でしばらく頬をむぐむぐさせると。

 大量の唾液を、垂らした。

 瓶入りのオリゴ糖を細い口から注いだような光景だった。ねっとりとした甘やかな唾液の、幅5mmほどの透明なる筋が、
ぬっとぉトロトロとサーモンピンクの肉槍に滴下され、垂れていく。

 ぽかんと見ていた唯我だが、嚢(ふくろ)の付け根の辺りでいよいよ最終的な奔流を感じたのだろう。慌てて目を逸らす。

(だだだめだ、こればっかは直視がやばい! エロい、すげーエロい! 武元の生暖かい唾が俺の、に……! ああああ、
考えるな!! 考えたら本当出ちまうから!! あああでも唾液の垂れ方が、エロくて、エロくて……!)
 ヤバいよぅと両目を不等号にして涙ぐむ少年。
「?」
 うるかは一瞬キョトリとしたが、「もー。唾ぐらいでえっちな想像しすぎ」とお姉さんのようなやり込め笑いを浮かべつつ、
手コキを再開。
0200 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:33:15.11ID:/WOoQb80
「やばい、すっげえ滑って、ぬめって……!!」
「気持ちいいっしょ?」

 亀頭にさえ掠るよう、大仰に水着をシェイクしてシェイクしまくるうるか。

(可愛い。こんな尽くしてくれるなんて……すげえ嬉しい……)

 唯我に欲情が込み上げた次の瞬間「ひゃうん!」とうるかが喘いだ。

「ちょ、成幸……。なんであたしのあそこに指を…………!?」

 たまらなくなったからと激しく中指を抜き差しし始める唯我。
「ちょ、あッ、だめ、そんなほじほじしたら、おちんちん、しごけなく、しごけなく、なる、からっ!!」「
 身を捩りながらも、懸命に水着コキを続けるいじらしさに唯我の興奮はいよいよ強まる。指をまた、動かす。
「はうう! だめ、びゅーっとするまで、いじるのダメ、だめえ!!」
 面白いようにビクビクとしながら、時おり扱(しご)きを中断しながらも、水着で肉棒を擦る作業を再開する少女の従順な
痴態は、張りのいい乳房のぷるぷるした揺れさえ伴う最高の視覚的刺激である。
0201 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:33:42.14ID:/WOoQb80
 ただでさえ限界だった唯我はもう耐えられない。本気のしごきから2分もせぬうち、限界に。

「もうだめ、でる、でる……っ!」

 びちゃびちゃと吐き出された白濁が飛び散り、それは褐色の手をひどく汚した。

「いっぱい……出してくれた……」

 当たり前のように水着ごと手を口元に引き寄せ、精液をねぶるうるか。しなびかけていた若い淫棒は光景に活況を取り戻す。

「あはは。まだ足りないんだ」
「……だ、だって、お前が、いちいち、エロいから…………」

 しどろもどろに言い訳する唯我を「ふーん」と満足げに見たうるかは。


「どう。足で水着挟んでするのは?」
「あ、圧力が全然違って。解放して、解放してください武元さん」

 ひーんと涙ぐむ少年。少女は両つま先を跳ね上げた胡坐の格好。土踏まずまでこんがり焼けた綺麗な素足をペニスいじ
めに動員している。足裏2つで白い水着と野箆棒(のっぺらぼう)な朝焼け色の肉棒をサンドして、ぐっしゅぐっしゅと嬲って
いる。

「強いです、刺激が凄く強いです……!」

 手加減してとけっこう本気で双眸を紅くして請願して喘ぐ唯我だが、(可愛い……)とときめいた少女はますます足のストロー
クを強くする。

「あっ、あっ」とは唯我の喘ぎである。男でありながら、瞳孔に快美の翔破を映し舌先すらわずかに出す感じよう。
 思わぬ反応にうるかはサディスティックに息を荒げ

「だめ、成幸が可愛いから、加減したいのに、えっちな気分がきゅんきゅんして、責めたくなる……、なっちゃうよぉ」

 観音様のはしたないヨダレでシーツを汚しながら、水着を数珠代わりにした足裏と足裏の合掌を狂ったように揉み揺すり、
肉棒をぶりゅんぶりゅんと撓ませる。

「武元、そんなしたら、俺もう、もうっ……!!」
「うん、いいよ。出して。あたしの足に熱いのいっぱい……出してぇ!」

 苦患のあまりソプラノに跳ね上がった呻きと共に種子の飛沫が飛び散った。肩紐の切れた水着はもう、オーバーキルかと
いうぐらいドロドロであった。


「……武元」
「なりゆき……」

 午前3時22分の世界で解放の虚脱に頬を染めた2人はお互いへ近づき。


 そのまま朝まで、泥仕合で愛し合った。
0202 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:34:22.49ID:/WOoQb80
 夜明けから数時間後。

 昼近く。

 武元家の脱衣所にて、帰ってきたうるか母、娘が肩紐の切れた古い水着を洗濯ばさみでハンガーに、せっせセッセと留
めているのを目撃した。
 うるかの方は母に気づかない。水着との思い出に没入しているらしく、時々かあっと恥ずかしげに頬を染めたと思えば、
にへーと嬉しげに笑ったり、頬に手を当て照れ照れと左右に首を振ったり、『誰かの代わりの如く』、乙女な瞑目で水着をぎ
ゅっとしたりする。

「で、喜んでもらえた?」

 とからかいたくなったうるかの母だが、(親があまりそういうこと言うと、いい気分が台無しになるし……)見ないフリ見ないフリ
とそう通り過ぎようとした。

 が、うるかは、気付いた。肩紐の切れた水着と母とを交互に見比べた彼女は「にっこお」と笑ってから──…

(見られた。たぶんだいたいバレた……)

 と床に手を突きズーンと沈んだ。

「な、なんか……悪かったわね…………」
「違うの、ママは悪くないの。どんだけ無防備なのよあたし、どんだけ……」

 うわーんせめて部屋ですれば良かったと、少女は泣いた。


 ……。

 …………。

 ………………。
0203 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:34:49.33ID:/WOoQb80
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

 その日の昼下がり、図書館で、うるかが、びくびくびくっと背筋を粟立てたのは、唯我に下の名で呼ばれたからだ。

(やべえまたやっちまった! ゆうべ以来、武元は、武元は…………!)
(うわーん! 名前呼ばれるだけで変な刺激が走るようなっちゃったじゃないの成幸のばか!! 名前呼ぶとき必ず気持ちい
いことしてきたから、してきたからこんな変なカラダに……!! もうやだー! こんなんえっちな漫画でよくある『リモコン』じゃん!
名前がスイッチになっちゃってるじゃん!)
「顔が赤いですけど、体調の方は大丈夫ですかうるかさん」
「ひゃううう!!」
(あああ。とうとう緒方の名前呼びにまで反応するように!! 頼む緒方、心配してくれるのはありがたいが今はそっと……!)
「だ、大丈夫、だから……! あ、あはは! 練習のしすぎかなー! 筋肉が変な攣り方するようになってるだけで……!」
 はあはあと、明らかに大丈夫そうでない上気した顔でうまく取り繕う褐色少女であるが。
「武元うるか!」
「っっっーーー!!)
 軽く瞳孔を見開き、かなり際どい震え方をした。
(フルネームでも反応すんの!? あああすまん武元俺開発しすぎた! てか関城なんで来たの!?)
「あなたの友人達とたまたますれ違ったのだけれど、電話繋がらないって言ってたわよ。充電大丈b……どうしたのよ? 体
調悪いの?」
「きききキンニクの攣りが!!」
「はあ」
(ああもうさわちん不意打ちすぎるよぅ! やばい、今ので下着がけっこう濡れちゃった……! ここここれ以上名前で呼ば
れたら絶対太ももにまで垂れてくる……! そんなんリズりんたちに見られたら終わりだ、終わりだ……!!)
 ここは図書館、人間は、うるか達以外にもいる。身内以外に見られる可能性さえあるのだ。
(だが緒方は勉強に戻った! 関城は緒方に見蕩れている! あとは俺さえ名字で呼び続ければ切り抜け)
「ごっめーーん! 今日だけ限定のコンビニスイーツ買いに行ってたら遅くなっちゃった!」
(っっ! 古橋! まずい! ここに来ての古橋はまずい!!)
(なぜなら出逢ったときからずっとあたしを名前呼びしてた! まずい! 文乃っちならあたしの変なカンジにすぐ気付く!!
気付いたら聞いてくる、名前呼びで聞いてくる! あたしもうあと1回でも名前で呼ばれたら太ももに恥ずかしい液が垂れて
くるのに……呼んでくる! もうダメ終わりだーーー!)
「あれ……?」
 文乃の目は無情にも、荒く息つくうるかに吸い付いた。そして動く、彼女の口。

「もしかして……」
(ダメだ古橋そこから先は! ここここうなったら俺が口を塞ぐしか! 後が怖いが今は塞ぐほか……!)
「もしかして成ゆ……成幸君に名前で呼ばれるの、凄く恥ずかしかったりする?」
「はい?」
(さっすが師匠! 洞察力パねえ! 何でそこまで気付いたかよく分からんが、超絶理解力パねえ!)
「そ! そーなんだよ文乃っち! あはは! やっぱり長い間名字だったからかなあ、いざ呼ばれてみるとけっこう恥ずかし
かったりするっていうか、男の子相手だと意外に照れくさいというか……!」

 じゃあ慣れるまで名字に戻しましょうか? 理珠が聞くと、紗和子は一瞬「…………」と意味ありげな目つきでうるかと文乃を
見比べてから「フルネーム呼び、自重した方が良さそうね」とだけ嘆息した。

(あああ、なんとかなる……!)
(師匠、ありがとうございます、師匠)
0204 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:36:19.22ID:/WOoQb80
 感泣する2人は気付かない。ほのかに、ごくごく僅かだがほんのりと紅色を頬に乗せた文乃の表情に。

(…………そもそも、一日だけ限定のコンビニスイーツって、あるのかしらね?)

 訝しい紗和子の目つきだけが眠り姫の紅潮を捉えていた。文乃の遅参の理由。それは。


(? な、なんか、古橋、いつにも増していい匂いなような……)

 匂いは、彼女がうるかを見るたび、濃さを増しているようだった。奇妙な相関関係だった。

(てかお前ら図書館で声あげすぎだろ)
(静かにしてくんないかなァ。いつもだよあのグループ、いつも何かしら騒いでる……)

 一般の利用客たちの顔つきは、渋い。

 ……。

 …………。

 ………………。


「……。うるか、一旦帰ってきたのかしら?」


 夕方。

 娘イジりの後の小用から自宅に戻ってきたうるかの母は、部屋の風景が僅かに変わっているように感じた。荒らされてい
る訳ではない。昼の帰宅後、リビングへ無造作に置いた広告の配置さえ、再び出かける前そのままだった。
 ただ、微妙に空気の質感が違うよう、うるかの母は感じた。ずっと暮らしているからこそ感じられる僅かな違い。これだけ
空ければこれだけ淀むという無意識の経験則に乖悖(かいれい)する、微妙な新鮮さが空気の中にあった。

(気にしすぎ、かしら)

 娘がいよいよ『オンナ』になってしまったことへの、様々な、親としての対処に影ながらあれこれと思索を巡らしているぶん、
少し自分は神経質になっているのかも知れない……うるかの母はそう、割り切った。
0205 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:39:23.71ID:/WOoQb80
 脈絡はないが。


 そこからの『夜』はだいたいここまで描写したような羞恥と葛藤と色欲の行為の繰り返しだった。

 ただ時々、コスプレが織り交ぜられたので、ダイジェストでお送りする。全部を描け? それが……ないのだ。(容量が)。


 脈絡はないが、最初のコスプレは浴衣だった。夏祭りで文乃がプッシュした水色で花柄のアレである。

「は、恥ずかしいよぅ」

 肩をはだけ、裾から褐色の太ももを投げ出しながら自室のベッドの上で恥らううるか。

「武元……」

 息を荒げる唯我は裾に手を突っ込んだ。秘部は布で覆われているが、その布は微細な運動でめこめこと波打つ。僅かに
覗く下着に時々指がたどり着いては上にツツーっと戻るところを見ると、どうやら「筋」に沿って愛撫しているらしい。

 布の隆起が、一瞬大きくなった。どうやら掌が下着内部に侵入(はい)ったらしい。

「んぅっ」

 にゅぷりという音のあと、ぎゅっと目を閉じた少女の眦(まなじり)に涙が浮かぶ。指の動きは、止まらない。うるかが悶えた
拍子に裾がからりとめくれ、褐色の太ももに近傍する白い布地が露になった。
 成幸はすかさず内部から抜きたての、ほやほやと湯気を立てる指で布地を、くりくり、くりくりと、愛撫する。

「はゥウん。それ、それも、いい、気持ちいいよぉ」

 清純な悩ましさに目を閉じ震えるうるか。

 ややあって。

「こんなんなったらもういっそ脱がした方がいいでしょー! 中途ハンパが一番ハズいんだよ!?」
「いやお前、乱れる和服の良さってのは基本だろ!!」

 うー。帯を極限まで緩められ、下着も放り捨てられたのに、浴衣の本尊だけは裸形に絡ませている少女はせめてもの抵
抗と、胸や股間に手を当て恨みがましく成幸を睨んでいる。

 そこからちょっと抵抗したが、いつものノリで、成幸の優しさにほぐされて、結局は成されるがまま。

「あっあっあっ、いい。凄く、いい、いいよぉ」

 正常位で割り開かれた裾の中に成幸を受け入れた少女は激しく揺さぶられる。衿(えり)はもうばっくりと左右にはだけ、遊
女のごとく二の腕にかかっている。お蔭でまろび出た小麦色の豊かな乳房は少年の前後運動で、たっぷん、たっぷん。

「うるかっ!」

 派手な水音と共に白い飛沫が結合部で散った。あひっ、イイ、熱ぅい……射精で達したらしい褐色少女は浅ましく舌を出し
て余韻に浸った。
0206 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:39:59.09ID:/WOoQb80
 またある時は、体操着で、パイズリを、した。

「だからここまではだくんだったら、いっそ脱がすべきって思うんですけど?」

 メロンぐらいある軟らかな膨らみの上に、体操着の裾を乗せているうるかが居たのは成幸の部屋。例によって例の如く、
家族は全員出払っている。水希も

「ていうか、最初体操着でシたいって言ったのお前だろ……。俺に着せたいって」
 体育の時の格好の恋人に指摘されたうるかは、かあっと紅くなった。
「だだ、だって、あたしだって、水着着たし、成幸のスポーツちっくな格好、好き、出し、お返しに、シてもらうぐらい、イイかな
あって……」
 だめ? 恥ずかしい? 上目遣いで問う人魚姫。(可愛い。でも俺が何も命令してないのに体操着持参で着て、当たり前の
ように着てるお前はどうなの。そんなん、こ、こーいうカッコさせたくなっても、仕方ねえ、し)と健康的な乳房に瞳が釘付けな
唯我。

 2分後。

 直立する成幸の、ハーフパンツのファスナーから露出した逞しい肉棒を挟みこんだうるかは、慣れた様子で乳房を上下
し始めた。

「すげっ。相変わらず、やらけ……!」
「ほんと成幸、おっぱいでされるとカタくなるよね」

 根はヘタレだが、活発なうるかは、胸での征服がすっかり大好きらしく、不敵な笑みで屹立を愛撫する。戦闘状態にあって
も標準的なサイズの小成幸は、ちょっと褐色少女が身を屈めるだけでDカップの谷間に埋没して見えなくなる。

 ヌッチャ、ヌッチャ。

 いつしか溢れ出した先走りがぬるついた潤滑となってペニスを刺激する。うるかが背を伸ばす。谷間から亀頭が覗く。屈む。
隠れる。プールで躍動している時の如く、背骨のS字カーブの連結をフル可動させ身をくゆらせるうるか。常人では産生できぬ
速度が淫らな槍をしごきにしごく。乳圧もまた凄まじい。両側から押さえ込む褐色の細腕が、その華奢のどこから生まれている
のだろうという膂力で以って乳房を圧迫している。

「武元、速い、今日、いつもより、速いッ……!」

 呻き、天を仰ぎ、支えを求めるよう黒髪に手を乗せる少年。「えへへ。でも気持ちいいっしょ……?」。笑いながらもどこか淫蕩に
目を細め彼を見上げる少女。

「てか……こーゆうのもアリ、だよね……」
「っ! つ、唾!? まて普段それ手の時しか……!!」

 ヨーグルトにブチ撒けられるオリゴ糖のように、ぬっとりとした質感で胸元に溜まっていく唾液の細い筋にギョっとする成幸。
うるかは、いま確実に主導権を握りつつあるのだという実感に、頬を染め、息を荒げ、

「出したかったら出して……イイよ。あたしのおっぱいに出して、たくさん……出して……」

 と、動きを早める。魅惑的な2つの膨らみをそれぞれ別方向に捩り変化をつけるのも忘れない。

「お、俺、俺もう……」

 谷間から突き出したサーモンピクの野箆坊(のっぺらぼう)が大量のいやらしい白濁を可憐な少女の顔に吐きかけた。

「いっぱい……出してくれて…………さんきう」

 うっとりした顔つきのうるかは当たり前のように唇周りの白濁を舐めとり……清廉な顔つきで喉を鳴らした。

「じゃあ、今度は……」
「ち、乳首で先端こすんの!? 待てまだイッたばかりで敏かn」

 尖り切った木苺の刺激だけで、5回は抜かれた。
0207 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:40:16.20ID:/WOoQb80
(うー。おっぱいで挟んでると裾がハラリって)

 落ちてくるのがもどかしくなったうるか、(あ、そうだ)と裾を咥えた。咥えたまま上目遣いで切なげに成幸を見上げ、パイ
ズリ愛撫を繰り返す。表情に見蕩れた成幸は、快美に顔をしかめながら、言う。

「すげえよ武元は」
(ふぇ? 何が?)
「体操着咥えて上目遣いで胸丸出しとか、お前、ほんと、ほんと……!」

 クラッカーは撃鉄を引かれた。どろっとした未熟児な紙の吹雪が褐色の面頬をびちゃびちゃに汚した。
0208 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:40:39.72ID:/WOoQb80
 後日。

「はッ、はううん……。あ、ああ……!」

 騎乗位のうるかが甘ったるく啼いていた。腰を振るたび、真赤な、深みのある明るい貝殻虫(コチニール)色の尻尾が
ぴくん、ぴくんと打ち震える。羽も揺れた。頭に生える同色のツノは鬼というより悪魔のそれだ。

「あ、や、そこ、そこばっか、イジめるの、だめえ」

 スカートは、履いている。フラメンコに使えそうなほど情熱的な紅色のミニスカートを。膝から下をペタリとつけている両足
は太ももの辺りまで、靴下を。縞模様はスズメバチの尾に似ていた。クロームオレンジと茄子色(エッグプラント)の危険な
色彩協和だった。

(作ってよかった。ハロウィン衣装)

 手縫いの衣装の破壊力を少女の下から眺める成幸、相好は緩みに緩んでいる。
0209 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:40:53.92ID:/WOoQb80
「うー。あたしにコレ着せるんだったら成幸もカボチャコスプレしてよー」
「いやいや。流石にあれ全部着てするのはムリだから。で、でも帽子だきゃあ被ってるし……」
 コレで勘弁なという成幸にうるかはちょっと頬を膨らませるが、(で、でも、帽子、だけでも……カワイイ……)と、トキめいて
しまう。
「でもせめて、カボチャのヘタぐらい襟巻きにして欲しかったよぅ」
「……お前、全裸に襟巻きだけの俺って、変態っぽいぞ。帽子だけでもギリなのに……」
「それいったらこのまえ成幸、丸裸のあたしに靴下だけとかやってたじゃん! あれすごく恥ずかしかったんだかんね!」
「う。悪い。けど女の子と男じゃ、ワンポイントな装着の意味合いがだなって、痛い痛い」
 うるかの悪魔フォークが成幸の肩をつつき始めた。100均で買えるプラスチックのパーティグッズゆえ殺傷力はないが、
つつかればそれなりに痛い。
「ていっ、ていっ」
 抗議のつもりらしい。両目を不等号にして涙ぐむうるかは、「つ」型の汗をたくさんアセアセと飛ばしつつ、極めて加減した様
子でつっつき続ける。
「地味に痛いんだが。やめてもらえると嬉しいんだが」
「却下ぁ!!」。グズりながら、童女のような駄々怒りで言いつけた少女は、
「そんで、う、動いたらダメだかんね! ヘンに動いたら、目とか、突いちゃうかもだから、ダメだかんね!!」
 また、ていっ、ていっと。
(すっげえ可愛い)
0210 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:41:11.79ID:/WOoQb80
 1分後。

「ああん! はっ、はっ、あ……! だめ、ゆっくりして、速度、ゆるめてぇ!!」

 脇腹を掴んだ成幸の無情な突き上げに身悶える悪魔少女。ミニスカしましまニーソで跨ったまま切なげに悶える様子は、
視覚的情報で興奮する男のサガを非常に昂ぶらせる。

「乳首、すっかり、浮イテル、な!」

 不慣れな言葉攻めをする少年。胸は露出していない。布を紐で胴体に縛りつけたと形容しても過剰ではない露出多めの
上着だからこそ、脱がさぬまま致している。

「ううう。だ、だって、このカッコだとブラつけたら……見える、し、見えたら恥ずかしいし……って、ああもう乳首が浮いてたら
意味ないじゃん、逆に恥ずかしいじゃんもう……!」
「可愛いよ。うるか」

 彼女の胸に手を伸ばし、淫らな突起をコリコリと指で挟む成幸。「……っ!!」。優しい手つきだからこそ悪魔少女は目の色
を変え強く痙攣。
0211 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:41:23.82ID:/WOoQb80
「いやっ。乳首、成幸のひんやりした手で直接触って欲しいのに、もどかしいのに、服のせいで強さが和らいでて、ちょうどよ
くて、なのにもどかして……どうしたらいいかわかんない、わかんないよぉ……!」

 口を大きくまろくして、2つの八重歯も露に喘ぐ少女。首元の小さなファーは毳(やわ)らかな毛並みはもう、汗とヨダレで
すっかり湿って薙ぎ倒されている。

「だめ、あたしもうだめ、動かないと……耐えられない!!」

 成幸の腹部に手をつく少女。いかにも蛮族な芥子(からし)色した毛皮のリストバンドが少年の腹部にチクリと掠るのも構
わず腰を大きく上下させる。

 もはや肝胆、相照らす仲である。成幸はうるかが腰を降ろすタイミングに合わせて腰を突き上げる。「あっ。いい。奥、
赤ちゃんの入り口、えぐられ……て!!」身悶える少女。真紅のミニスカートの音で淫猥な粘り気が響く。2人は幾度と
なく上下動を繰り返し、

「あっあっあっあっ。やン! イク、あたし、イク、イッちゃうう!!」

 悪魔少女が背筋を仰け反らせ、達した。

「ふぇ……?」

 ほぼ後ろに倒れこむような格好で背後に手を突くうるかの体がベッドに沈む。

「まだ……シたいんだ……?」

 中腰で、いまだしなびる気配のない肉棒を右手で支えるカボチャ帽子の少年に、仰向けの悪魔少女は、嬉しげに笑った。


「あんもう。また腋舐めて」
「み! 見えちまってるんだから仕方ねえだろ……!!」


 この晩の行為は、ハートマークの飛散量がとみに多かった。
0212 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:41:53.89ID:/WOoQb80
 また、別の日の武元邸では。


 メイド服だった。それはうるかがお尻の処女を失った時の格好にも、なった。

「……。毎度毎度ちゃんと着てるあたしもあたしだけど、なんなんかなー、この成幸のコスプレへの拘りは…………」

 ミニスカメイド服の褐色少女は想い人を直視できない。恥ずかしさいっぱいの代赭色の面頬の中、視線を右に逸らして
いる。だが格好じたいは、元気いっぱいな雰囲気の中に、楚々とした芯の強さが伺える、大変クオリティの高いものだった。
ヘッドドレスの後ろからいつも通りアホ毛がぴょこりと伸びているのもポイントが高い。
 おーと眼鏡を白くして見蕩れた唯我、親指を立てた。

「想像以上だ武元。お前のポテンシャルは俺の想像以上だ」」
「質問ガン無視!?」
「いやだって、その、だな。お前の可愛さで着飾らないなんて勿体ないっていうか」
「ほほ褒めたって何も出ないしィ!!? 嬉しくなんか、ないしぃ!?
 赤めのニヤケ面で視線を逸らすうるかの感情のスート、右から三番目の左の激情でないことは確かである。うるかるである。
「ま、まあメイド服は百歩譲っていいとしても……黒ストッキング履かせるって何なのよー!!」

 恒例の両目不等号で大口開けて訴求する少女の足は確かに黒ストッキングで覆われている。

「? いや足の露出、むしろいつもより少ないと思うんだが」
「そうだけど! でもあたし生足の方が恥ずかしくないっていうか動きやすいっていうか、ヘンに飾ってこのオンナ大根足な
癖になに可愛いスカートとか靴下で盛ってんだ似合わないとか成幸に思われたらイヤだから敢えて半ズボンとかミニスカー
トにしてきた訳で、訳で……!」
 えぐぅえぐぅと牧歌的に泣きながら訴えるうるかへの「きょうび半ズボンって……」という成幸の返しはややズレていたが、
本題ではない。
「そもそもお前、足、細いぞ」
「えッ!」
 言われた瞬間のうるかは露骨に嬉しそうに反応したが、優しさゆえの修辞かも知れないと疑い、「で、でも、あたし、鍛えてる
し、昨日だってまた足に筋肉ついたなーって落ち込んだし」としどろもどろに弁解する。
「いやほんと細いって。骨格がそもそも細いっつうか……。だいたい水泳のことはよく分からんが、速さを競うんなら、筋肉
ついても太くはならず、流線的な方へ発達するんじゃないのか? 第一、脂肪とかも落ちるだろうし……」
「分かったから! 足! そんな見ないでよ!! 黒スト恥ずかしいんだかんね!!」
 思案顔の唯我の視線の矢印マークが痛いほどに突き刺さっているのを感じたうるかは、意味もなくスカートの裾を押さえた。

「け、けど……成幸が、執事服で…………合わせてくれてるのは…………評価しなくもないかなーなんて……」

 そうなのだ。うるかがメイド服を蹴って退出できずに居るのは、成幸がパリっとした執事服を着ているからなのだ。

(はううう。カッコいい、カッコよすぎだよう。もともと秀才な顔立ちが、執事服でもっとカッコよくなってるよう)

「いい布が安く手に入ったし、お前とお揃いにしたかったしな」

 黒い執事服によく映える白い手袋を見た瞬間、うるかのキュンキュンは最高潮に達した。

 それから若い執事は。

「ん……っ。んん…………」

 メイド服越しに大きな胸をまさぐったり

「あっあっ、気持ちいい、もっと突いてぇ」

 体操着のときよろしく上着を捲らせた状態で、黒の収縮作用で”より細く見える”左足首と、右膝裏すぐ傍の太ももをむん
ずと掴んだM字開脚の正常位で小麦色の美乳をばるんばるん揺らしたり

「いっぱい、いっぱい、ご奉仕…………するかんね…………」

 ミニスカ着用の可憐なメイドの騎乗位の、くっちゃくっちゃとくねらせる健気な腰使いで、腰が砕けるほどの快感を味わった。
0213 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:42:10.12ID:/WOoQb80
 そして時は、来た。

「お尻…………。もう何度も何度もカイハツされて…………だいぶほぐれたから…………」
 乱れきったメイド服で四つん這いになったうるかは、豊かなヒップを成幸へ遠慮がちに突き出した。
「きょ、今日は、根元まで、で……いいんだな……?」
 ごくりと生唾を呑んだ眼鏡の少年は、右手で己が分身を持った。そこはもう包皮に透ける赤紫の血管がメキメキとした
筋を浮かべるほどに猛りきっている。
「う、うん。お願い…………」
 少女はそこで言葉に詰まった。普通なら「お尻の初めてを貰ってください」とでもいうべき局面だが、貞淑で恥ずかしがり
なためスッとは出てこない。
 成幸は機微を察した。奥ゆかしさにときめきながらも、だからこそ身震いするような興奮を覚えた。
「うるか」
 呼ばれた少女はびくっと怖がりながらも、(名前……)と瞳を期待に彩る。ここまでの、度重なる、執拗なまでの絶頂時限
定の名前呼びですっかり躾けられてしまっている体は、今から訪れる凄まじい快美に怯えつつもあらゆる湿り気を増してし
まう。
「うるか。お尻に挿れて欲しいなら、こう言ってくれないか……?」
 いつの間にやら身を屈めている少年は、四つん這いのうるかの耳元で「────」と囁いた。囁きを聞いた少女のねこ
ねこした瞳の輪郭は最大限の拡充を見せたが、瞳孔の方は小さく縮まる。驚いたらしい。驚きつつも、凄まじい羞恥が涌き
あがってきたらしく、切なげに眉を下げ、頬を艶やかな桜色に染めた。
 少年に、振り返る。
「や、やだ。ソレ。言ってあげたいけど……だめ、だめ……だかんね。そんなん、あたし、言ったら、ハズカしすぎて…………
死んじゃう…………。ごめん、ごめんね成幸……。言ってあげた方が喜んでくれるって分かってるけど、…………でも、だ
め、だめなの……。そんな、そんなえっちな言葉…………無理、だから……。今のあたしじゃ…………とても無理っ、で……!」
 浮かぶ涙は羞恥もあるが申し訳なさも大きい。普通の男ならここで怒ったり、しつこく食い下がったりするが、優しい成幸は
「いや、俺の方こそチョーシ乗ってました……。スンマセン……」と逆に口ごもり、照れる始末。距離の近ささえいたたまれなく
なったらしい。耳元で囁ける距離から身を起こし、直立の膝立ちに回帰した。褐色の顔色、変わる。
「いやあたしの方が……悪いし。で、でも! 今日、その、お尻で、シて欲しいのは本当だし……」
「お、おう」
 だから、とうるかは口を開く。
「あああっあたしのお尻の……おまんこで…………ごっ!、ご主人様、の……おちんちんを……、いっぱいいっぱい………
…気持ちよくさせて……下さい…………。お尻の……初めてを…………成幸が……ご主人様が……貰って……くだ……さい」
 褐色の手が、豊かな臀部を割り開き、肛門を露にした。
 その状態で朱色の斜線を褐色の顔いっぱいに刻んだまま、(言っちゃった……)とばかり情けない目つきで口をVの字にして
いる人魚姫は、それでも成幸を、『ご主人様』を懸命に見つめている。

 少年の眼鏡が、斜めにズレた。彼はしばらく事態をつかめていなかったようだが、ハッと思考力を取り戻すと、叫ぶ

「おおっ、お前、言わないんじゃなかったの!?!」
「うううー! だ、だって、お尻の初めてん時にリク通りのこと言えないとか、な、ないっしょ!? ああもう恥ずかしい!!!
あたし今すっっっっっっっっごい恥ずかしいんだかんね!! 成幸のばかっ! えっち!! どこでこんなヘンな言葉覚えて
くるのよ信じらんないもう最低ーー!!!」

 例によって例のごとく不等号の両目と真球の涙をセットにして猛抗議する人魚姫だが、それでも律儀に言っているのだ、
つくづく成幸にデレ甘である。
 少年は気付いたのか、どうか。ともかく「悪い」と謝りながら
「けど、すっっげえ、嬉しい。今のめちゃくちゃグっときたぞ、……うるか」
 とショートボブを優しく撫でる。
 それだけでもう、パアっと咲(わら)ってしまううるかだ。
「もうー! 男ってほんと、ほんと、もう!!!」
 照れ照れと眉をしかめ元気に笑うのも、しかしここまで。
「うるか……」
 いつもの快活な様子に欲情の最後のセーフティを弾き飛ばされた少年は、そそり立つ肉棒を少女の清廉なる菊座に宛が
う。
「あ…………」
0214 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:42:33.12ID:/WOoQb80
 いよいよ決定的な喪失が訪れる。直感した褐色少女は細い頸(くび)を水音で鳴らす。
 挿入自体は、手慣れている。この約1か月、拡張のため1cm、2cmとだんだん深くしていた。だから亀頭の埋没自体は
非常にスムーズ。ぬぷりという音と感触に「ん……」とキツメ目がちに目を閉じたうるかにもまた苦痛はない。
 成幸は粛々と進むだけだった。安産型に張り詰めきったヒップの谷間で、生殖器を頬張る排泄器官の淫靡さに時おり
目を奪われながらも、息を吐き、緩やかに、しかし力強く肉棒を埋めていく。
「ふくっ……。ぎ……」
 埋まるたび、うるかの声は異物感を色濃く反映したものとなっていく。成幸は憐憫の手心を催すが、意思とみに強い様子で
歯を食いしばり耐えている少女に、進むことこそ正しいと思い直し腰を進める。両名の全身はいつしかネットリとした脂汗に
覆われ始めていた。
 根元から4cm。ここまでの最高記録である。実は2人、既に三度も完全挿入を試みているが悉く断念した。原因は長さ的な
問題。直腸は人体構造上、途中で曲がっている。奥行きがないのだ。そこが挿入前提の膣との決定的な差だった、突き当
たりが──回を重ねるごとに軟らかくなっており、成幸の『受け入れ』を徐々に深く受け入れつつあったが──完全埋没を
するには伸びきりが足りないのが、ここまで途中で断念し続ける理由だった。
(でもこの前と更にその前から)
(挿れたときに先っぽを奥に押し当て、ぐっ、ぐってほぐす作業を2セットぐらいやってる。1セット20分ぐらいだったから、
そろそろ全部……いける筈)
 ハウツー本にあるかどうかも分からぬ『慣らし』だが、少なくても両名の実感が辿り着いた完全挿入の段取りはそれだった。
実地的な、フィジカルとインテリジェンヌの不可思議なる合意だった。

 うるかは、脱力した。大きく息をつき、あらゆる強張りを吐き出した。最高記録が目前になればなるほど余計な力みを捨て
られる強い競技者の習性こそ、積み重ねた柔軟に対する決定的な最後の一撃と、なった。

 亀頭が密着し、少年の前進の力圧でミチミチと撓む直腸の突き当たりは、あらゆる抵抗を一瞬にして喪失。
 少年を、最後まで、受け入れた。

(……っ! 破れた!?)
 と成幸が瞠目するほどに彼の嵌入は凄まじい勢いだった。奥の抵抗を寛(くつろ)げるべく加えていた力が、人魚姫の大
息を機に一転、ぶにゅという手応えと共に怒涛の如く少女の体内に吸い込まれた。入りきらず覗いていた4cmの肉棒も、
今は根元まで叩き込まれている。一気であった。一瞬であった。膝が軽く崩れるほどつんのめった勢いで、過去三度どれ
ほど力を込めても入りきらなかった肉棒が、うるかの脱力1つで呆気なく全て埋没している。
「全部、入った……?」
 苦悶と快美の折半された切なげな表情で震えながら振り返る人魚姫。成幸は肯定しつつも事態のあまりの呆気なさに、
直腸の破損を危惧し……6秒間に3度、痛みの有無を問うたが、「だから……。座薬が刺さったときのような苦しいカンジ
がちょっとあるだけで……、痛くないってば」とうるかはやや過度の優しさに呆れつつ──心配されて嬉しいという顔もしつ
つ──答えた。
「血だって……出てないっしょ…………?」
 まあそうだがと少年は口ごもる他ない。文乃でなくても消化器系の持つ痛みへの敏感さは分かるものだ。直腸が破けれ
ばうるかは激痛を訴えるし、何より出血量は破瓜の比ではない。が、肉棒の埋まりきったアナルは、未知の刺激に対し、
べとべとと腸液を垂らしつつあるにも関わらず、赤い着色は見られない。

(…………全部、入ったんだ。お尻に成幸のが、全部、入っちゃったんだ………………)

 うるかは成幸を振り返って仰ぎ見たまま、照れ照れと頬を染め、含羞(はにか)んだ。世間的な通念だけ言えば受験生が、
高校生が、アブノーマルなプレイをやらかしたというそれだけのことに過ぎないかも知れないし、うるかもそれ位わかっている
が、それでも中学から5年以上ずっと成幸に抱き続けてきた恋慕の情は、後ろの処女を捧げられたという、乙女的な安堵と
嬉しさこそ実感として呼び込むのだ。

(結構、苦労したし……。1ヶ月ぐらい? 成幸と一緒に、全部入るよう、色々シて……。恥ずかしいのたくさんガマンしてきた
けど…………。そのおかげで、全部、お尻に成幸の全部……、全部、入れられた……。後ろの初めて…………成幸に、
あげられた。貰って、もらえた…………)
0215 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:42:59.38ID:/WOoQb80
 アスリートだから、地道な積み上げが、願った結果を呼び込むのは本能的に嬉しい。不安も、解消された。”成幸以外の
人に乱暴され、成幸より先に根元まで挿れられたらどうしよう”といった、危惧も消えた。

(よかった)

 成幸も安堵した。うるかが笑っているからだ。『初めて』のとき泣いた少女が、今回はただ、繋がれたことに喜びだけを
覚えていられるのが、少年はとても嬉しい。涙しか呼べぬ性行為など、それはもう破壊でしかない。

「苦しいのに頑張ってくれて…………、その、ありがとな」

 また頭を撫でる。ややマンネリのきらいもあるが、うるかはうるかだから、(褒めてくれた幻じゃなくて本物の成幸が褒めて
くれたやっぱり頑張ってよかった)と嬉し恥ずかしで微笑(わら)うばかりである。

「えと、えと、じゃあ、あの、あのね」

 何を提案すれば成幸が喜んでくれるか、ねこねこした瞳をあたふた左右に動かし不器用なりに一生懸命考えた褐色少女は、

「動いて……みる……?」

 とだけ聞いてから、ピャーっと首を前に戻して俯いた。

(あああダメだあたし何か今すっごくはしゃいでる!! ああもうこんなんダメでしょ何この女ひとりで盛り上がってんだとか
思われたらどうすんのよ!! でも嬉しいよぅ。成幸にお尻の初めてあげられたのが嬉しくて嬉しくてたまんないよぅ)

 赤面もするが、ニヤケも止まらない。(ほんとお前は……)。ちょっと俯いただけで感情を隠せていると思っている少女が、
成幸は愛しくてたまらない。
 愛しくなってくると動きたくなるのが男である。「痛かったらちゃんと言えよ……?」と短く断りを入れてから、抽送、開始。

 ごく普通の四つん這いしたメイド服の少女に、少年が腰を突き入れる格好だ。メイド服に覆われた四肢はマッチ棒の柱の
如く前後に撓み、揺れる。ミニスカートは心持ち背中の方へ上げられている。ブラウスは度重なる行為によって脇腹やおへ
そが見えるほど捲れている。ボタンもあちこち弾け飛んでいるため、豊かな膨らみはすっかり剥き出しだ。

「あ……。うん…………」

 出し入れにはある程度の慣れがあるうるかだが、直腸の奥が伸びきる感触にはさすがに戸惑うらしく、かすかな苦悶さえ
声に滲んだ。
(奥、…………すっげえ。肉がぶりゅんってなる。前は、子宮は、なんべん突いても弾力が変わらないのに、後ろは……今ま
でほぐしてきた分だけ、やらかくなってて…………突けば突くほどどんどん俺が埋まってく…………肉の、沼、で…………)
 裂けることを危惧している唯我なのに、うるかが力を抜ききっているせいで面白いようにペニスを受け入れていく肛門に
魅惑され、抜き差しを続けてしまう。
 力強いストロークだが、速度は緩い。配慮のお蔭でかくかくと振幅狭く揺さぶられるうるかは閉じた唇から一筋の涎を垂ら
しながら(とても、いい。成幸のがいっぱいで、気持ちいい、気持ちいい、けど…………)、雌蕊(めしべ)の活発な部位に灯る
一穂(いっすい)の妖しげな紫色の炎は更なる強い刺激を求めてしまう。
「もっと、速く動いても…………いい、から。成幸がそれで気持ちよくなれるなら…………、あたしも、ソレで、一緒に、いっぱい
いっぱい気持ちよくなりたいから…………速く動いても…………いい……よ……」
 少女が振り返ってのおねだりの、健気なる上目遣いの照射を浴びてなお第三船速を保てたらそれはもうホモである。
 成幸は生唾を呑み──…

 3分後。

「あんっv」

 ぐっと最高速で突き入れられたうるかはトップギア第一発目の衝撃と嬌声を再現した。声にまた興奮したのだろう。日焼け
跡という麸(ふすま)を敷き延べられた小麦色の脇腹それぞれに両掌を当てている唯我は電光の速度で腰を引き、間髪入
れずに叩き込み直した。雄の布纏う腰が豊かなヒップにぶち当たり、乾いた音が響く中、「あっあっ、いい。ジンジンしてき
た……お尻の奥が、ジンジン、してきたよぅ」と人魚姫。口を突くのは甘え悶える愧声の唄。
0216 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:43:21.20ID:/WOoQb80
「恥ずかしがるお前も可愛いよ。……うるか」

 後方の天高くから投げられた言葉に一瞬軽く息を呑んだ少女は、一気に口を楕(こばんがた)に蕩けさせ……叫ぶ。

「だめっ、イッちゃう、まだそんなお尻の奥まで挿れてもらってないのに、だめ、名前呼ばれたから、いく、イッちゃうううう、
イッちゃううよおおお!!」

 たかが下の名前で呼ばれただけなのに絶頂してしまう自分の体が恥ずかしくて仕方ないのに、膣口からはびしゅびしゅ
と潮を撒き散らしてしまう人魚姫だ。「あ、や、前、前、見ないでええ……!」。元々成幸からは見ようのない四つん這いな
のに、貞淑さゆえに股間に手を当ててもしまう。

(ズレたとこも……すげえ可愛い)

 わざわざ振り返ったまま、絶頂直後の、赤熱して蕩けきった表情で「み、見ちゃ、ダメ、だかんね……!」と震え混じりで
気丈に振舞っている人魚姫が可愛くて、だから成幸はその口に指を突っ込む。「あ……」。観念したように擬似フェラをする
その、あとは。

 あとはもう抜き差しの繰り返しである。ぱんぱんと乾いた音を速射しながら、滑滑(ぬめぬめ)した直腸にいきり立った淫
棒を出し入れする唯我。チョコレート色の細腕をついたまま、男の獣性に激しく揺さぶられるうるかは、時おり背中をびくっ、
びくっと震わせ、半開きの口から舌を突き出し、軽く眼球をれろんと上に剥きながら、「おひり、ひい、ひい、よぉ」と呂律も
妖しく啼いていく。
 汗はもう、ねとねとだ。ほっそりとした褐色の肢体は、首、肩、背中、お尻、太もも、どこも梅雨時の窓の内側を思わせる
細かい水滴で埋まっている。衣服部分が着衣水泳直後のような雫の垂らしぶりなのは、メイドだけではなく執事も然り。息
の荒ぐ唯我のカッターシャツは炎天下の肉体労働を経た如く、鎖骨回りからべっとりと鼠色。黒いスラックスもぐじゅぐじゅ
と鳴り始めている。手袋に至ってはうるかの脇腹を持っている都合上、濡れ方とみにひどく、肌色さえ軽くだが透けている。
 事後の話になるが、彼らの垂れた汗はシーツに、淫靡な体位がおぼろげながら分かる藍鼠色した輪郭を作っていた。
 それほどの、汗だった。
 抜き差しのたび、「はうう」とうるかが痙攣するたび、ぶるんと乳房がバウンドするその傍で無数の雫がシーツに散って染
み付く。「すごく、いい、お前の、後ろ……すげえ……いい」。興奮しながら一段と強く深く抉った唯我の、火照りきった膝の
周りでまたシミが……広がった。

「あっあっあっ! イイ、お尻、ほんとはしひゃダメな場所なのに、ひい、気持ひいい! いいっ……!」

 6分もの猛攻が原因だった。うるかから、振り返って成幸と表情の見せあいっこをする余裕が奪われたのは。彼女はもう
がっくりと俯いている。表情はもう横からの視点でさえハッキリとは見えない。重力の赴くまま垂れた前髪や横髪に覆われて
いるからだ。黒に珊瑚色が透ける御簾をざんばらと乱したまま、ほとんどズリ落ちそうなヘッドドレスも直さぬまま、うるか
は背後からの責め苦に反応していく、敏感に。

「やっ、そこ、そこは……」
 目を閉じ、眉をしかめ、

「んぎっ」
 歯を食いしばりながら苦痛に快美の妥協点を探り、

「はっ、はあああ」
 感悦の笑みでだらしなく涎を垂らした末

「イクイク、また、イッちゃうう!」
 頤(おとがい)で中空を蹴り上げるよう首を上げ、絶叫する。
0217 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:43:35.24ID:/WOoQb80
「はへぇ。そろそろ、もうそろそろ、休ませっ、あん! ふぁうんっ!!」

 髪と肢体を激しく揺さぶられているうち、右肘が、崩れた。臀部だけを高く掲げる格好になったうるかは、シーツの上で、
髪まみれの横顔を空母とする横目を飛ばす。恥辱の格好からの立て直しを願った訳だが、しなやかな美少女がたわわな
ヒップだけを突き上げている状況に興奮した唯我は当然ながら聞き入れない。
「うるか」
 媚薬よりも自由を奪う致命的な一言を放ちながら、褐色の、丸みを帯びた肩の傍に両手をついて、獰猛な律動を開始。
「やっ! だめ、この格好! ほんと恥ずかしい、恥ずかしい、から……!」
「悪い。俺……もう……!」
 よほど少年は切羽詰っていたらしい。少女が返答するより速く虚脱した呻きが響き。
 少女は顔を、反り上げた。正面、めがけて。
「あ! だめ、熱いのが、今まできたことない奥に、ぶしゅぶしゅって……! あっ、だめ、熱くて、だめ、あたし、イク、イッ
ちゃうう!! お尻の奥で…………イッちゃうううう!!」
 見開いたあどけない瞳の中で、瞳孔だけを芥子粒のように収縮させながら打ち震えたのは数秒のこと、ぶるぶるっと痙攣
の極みを尽くした少女は双眸を閉じて突っ伏した。少年が虚脱の拍子で離した脇腹から先ともども、突っ伏した。
0218 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:44:08.27ID:/WOoQb80
(凄い。お尻……。凄い、気持ちいい。え、えっちなことするための場所じゃないのに、すごく、すごく、いい…………)

 いまだブシュブシュと白濁が漏れ出でるアナルを感じながら、はあはあと余韻に浸るうるかだが。

「ふぇ!!? ちょ、ちょっと待って!」

 うつ伏せになったままの少女に跨った唯我は再び動き始める。いわゆる寝バックの格好で、未だ菊座を犯したままで。

「だ、だめ! いまあたしイッたばかしだし! だだだ、だいたい何なのよその格好! い、今まで一度も……!!」
「悪い。けど俺だって、お前と、後ろで……やっとできて……盛り上がってて、このままじゃ……今までと同じやり方じゃ……
満足……できないんだよ……」
「あとでなら、あとでならイイ、から! でも今はビンカンで、シたことない格好でどうなっちゃうからわからない……から!」
 せめて今だけは元の四つん這いでと体を持ち上げようとした褐色の腕はしかし、唯我によって上から押さえつけられる。
0219 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:44:26.36ID:/WOoQb80
「そーいううるかが、俺は……見たい。うるかだから、きっとすっげえ可愛いから……見させて、くれないか……?」
 少女の瞳が羞恥と諦観に揺らめいた。(名前……。今までタンパツだったのに、ブンミャクに織り交ぜてくる、なんて……)。
英語に絶賛苦闘中な、文法への適応力が発展途上な少女だから、唯我が見せたような使い方の変化にはほとほと弱い。
何よりあれほど下の名前で呼ぶことを照れていた少年が、ごく普通の会話の中で呼ぶようになっている事実に、
(また距離が縮んだみたいで……嬉しい。嬉しくて、頭、頭もうほんとバクハツしそうだよう……!)

 呆気なく、体を……許してしまう。
 なのにそういう『ちょろさ』を剥き出しにするのが恥ずかしいのがうるかでもある。

「あ、あたしが、1回イッたら、そこで、終わり……終わりだかんね! それ以上続けたら、えと、えぇと……3日! 3日は
『つーん』し続けるんだかんね!!!」

 瞳を尖らせ「うがー」と抗議した甲斐あって。
0220 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:44:40.71ID:/WOoQb80
「らめっ! もう3回イッてるじゃんあたし!! あっあっ! らめ! らめえ!!」

 うつ伏せのメイド少女に背後から覆いかぶさっての抜き差しは

「はひぃ! なな、また、なかれ……らされ…………。も、もう、ここれ、ここれ、終わりに、する、かんね……!!」

 そこから少女を6回は絶頂させて、やっと終わった。


 くらっとする額を抑えた成幸はうるかを見下ろす。精(しら)げに精(しら)げきった粘液でドロドロのアナルも露にベッドの
上につっぷすうるかを見た。

(やりすぎ……ちまったか…………)

 悪いと思ったが行為の激しさによるブラックアウトの方が大きく、だから彼はそのままベッドに倒れこんだ。
0221 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:45:06.60ID:/WOoQb80
 そして、起きた時かれは……床に居て、


「うー。ご主人様の、成幸の、ばか……」

 仁王立ちする褐色メイドの細い足で、肉棒を弄ばれていた。

「ちょ、武元!! お前なにやってんの!?!」
「……いや、ちょっと嬉しそうだよね成幸」
 なまじ頭がいいせいで、さっきの制裁だと起き抜けで気付いた成幸に(頭の回転速いトコやっぱステキだよぅ)と軽くきゅん
きゅんしたうるかだが、初めての寝バックで(しかもアナルで)さんざ絶頂させられ、恥ずかしい反応をたくさん見られた照れは
反撃しないと薄められない。
「ふ、踏むかんね!!」。仰向けの成幸から帆の如く立っていた淫らなレバーが、黒ストッキングに包まれた細い足裏によって、
ぐにゃんと下腹部にむけて薙ぎ倒された。
(あああ、抵抗したいのに、俺がいる、メイド服の武元にこんな逆襲されるのが嬉しい俺がいる……!!)
(だからそんなニヤけないでよ成幸! これじゃ反撃にならないじゃん! ご、ご褒美で、あたし損しっぱなしで……!!!
ああなのにヨロコんで貰えるならいいかなって思うとかバカなのあたしバカなの!!?)
 ヘタに優しくするとまた調子に乗った成幸によって自分がひどい目に遭うと分かっているのに、(でもソレって、きっと気持ち
いいことで……)と期待してしまううるかだ。

「うー! 成幸のせいじゃんゼンブ! ばかっ!! ばかぁ!!」

 叫びながら裏筋に、靴下ごしながらに親指と人差し指の間を宛がって、前後に擦る。「す、すみません……」と少年は口先
だけでは謝るが、鼻の穴が軽く膨らむ程度には気持ちいいらしく、喜んでもいる。
「あ……」
 硬くなった肉棒を足先で感じたうるかは、もっと責めたく、或いは気持ちよくしたくなり、踏む力を強くする。袋の部分は絶対
に潰さないよう留意しつつ、だが初夜そこへの愛撫を敢行したときの如く、竿部が下腹部にめりこむほどの強さでグッと踏み
込んで……
「さ、さすが水泳部……。足、強い、凄く、いい……」
 あらゆるマッサージ機の『強』より強いストロークで……イジめる。
「ば、ばかっ! こんなことの為に鍛えてるんじゃないんだかねっ! ばか! 成幸の…………ええと、ばかっ!!」
 普通こういうシチュエーションならもっと気の利いた罵声を浴びせるものだが──彼女の周囲で一番これに特化しているの
は考えるまでもなく文乃であろう──うるかの語彙は、少ない。唯我が本当に大好きなせいもある。傷つけるような言葉を
選択したくないのだ。
 足の方は依然、成幸を踏みつけたまま、ぐにゅんぐにゅうと、攻撃(あいぶ)している。
(すげえ、イイなあ)
 ロケーションがまず最高だった。ブラウスから零れた両乳房を左手一本で恥ずかしげに覆っているだけでも唯我にとっては
国宝級だが、その上うるかはミニスカ黒ストッキングである。踏むために軽く膝を上げているせいで、スカートの中身が見え
そうで見えないのがいい。
 極めつけは。
「ばか! うう! ばか、ばかああ!!」
 語彙の乏しさをとうとう自認してしまったらしく、両目不等号で涙ぐみながらペトペト踏みつけを繰り返すうるかである。加圧
そのものも素晴らしいが、何より男の、結局は情動にこそ発奮してしまう隠れたサガが、限界を、もたらした。
「すまん武元。出るわ」
「へっ!?」
 ぶしゅううと白い噴出を行った肉棒に、うるかはただキョトリとした。

「なななななんで出すのよ!? こ、こーいうシチュだともっとこう、言葉で責められないとダメじゃないの!!?」

 あたし大したこと言ってないよ!? ぎょっとするうるかに「お前はそのままでいいんだよ」と唯我、爽やかな笑顔で、答えた。
0222 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:45:26.93ID:/WOoQb80
 ………………。

 …………。

 ……。


 夜、文乃が街の雑踏で目撃した唯我は、ちょうどうるかの家に向かう途中だった。時節は、初夜の少し前である。それ
故ただならぬ緊張感を漂わせている少年を不審に思って尾行してしまったのが、文乃の、数奇な運命の始まりだった。

(えええ! 最近なんか2人の様子おかしいと思ったら、こ、こんなことするつもりだったのーーー!!!)

 引き返すチャンスは幾らでもあった。
 例えば武元家に着いた唯我をドア開けて出迎えたうるかの、尋常ならざる頬の染め方を見た瞬間、文乃はもう、何が行
われるか察知した。しながらも、引き返すことが出来なかったのは、たまたまカーテンの覆い方が甘かった窓から一部始終
を見届ける羽目に陥ったのは、理性的で生真面目な癖に誘惑には──例えば食べものなど──にはほとほと自制が効か
ない性分ゆえであろう。時おり言葉が荒ぶるのも、怒りの発露という誘惑に弱いせいではないかと益体もない自己分析を時々
するが、本題とは関係ない。

 とにかく、文乃は、見てしまった。

「恥ずかしいから…………。そんな見ないでよぅ」

 と秘部を曝け出したうるかが、獰猛なる興奮に突き動かされた唯我に『舐められたり』『指を入れられたり』で初々しく可憐に
喘ぐ姿も

「……こ、これが、成幸の…………」

 と隆々たる肉棒に戸惑いながらも、恐る恐る口をつけ、かぷかぷとした甘噛みの後、意を決し口頬をすぼめ、飲み干し、
上気した顔で瞑目しながらぎこちなくストロークをする初フェラも、結果放出された白濁を、いとおしげに飲み干す様も……

 見て、しまった。

(あああ! ダメ! こここ、これ以上見たらダメーー!! ふふ2人は友達なんだから! 友達のそういうこと、覗き見る
とか、だめーー!!)

 とギュっと目を閉じ、窓から上半身だけ遠ざかった文乃。立ち去る第二のチャンスはそこだったが、

「ふぇっ! そ、そんなことも……あっ、だめ……恥ずかしい……!」

 という声を聞くや、ガバっと窓にグルグル目を当ててしまった。

 三度目のチャンスは、

「おっぱいで……はさんでみる……?」

 とうるかが上目遣いで唯我に言い出した瞬間で、その瞬間文乃は、普通の生徒がゲームでコントラーラを投げ出した時
の、どこまでも黒々とした無表情の怒りで硬直した。なのに、ぎこちないパイズリに潜む、うるかの健気さを見ると、初めて
の刺激に可愛らしく悶える唯我を見ると、どうしても去れなくなった。

(ここ、この流れだと、その、さ、最後までしちゃうん……だよね!?)

 釘付けになってしまった辺りでちょうど2人が結ばれた。それが金曜日なのは前述のとおり。
0223 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:46:10.03ID:/WOoQb80
 翌日。土曜日。


「はっ!」

 気付いたら文乃は、大量に買い込んだ盗聴器やら盗撮カメラやらの箱の山と家に居た。

(ええー! まさかわたし、これ仕掛けるつもり!? 唯我君やうるかちゃんの家に!? いやそれ不法侵入とかの犯罪
だよ! 絶対、絶対、だめ……だから)

 などと思っているのに、初夜で見た2人が脳裏を離れない。そもそも生真面目な苦学生と元気だが実は乙女な水泳少女
などそれだけで一個の文学的風景ではないか。どんな本より、見たい。誘惑に弱い文乃は、日曜にはもう、両家に違法な
物品の数々を仕込んでいた。一種の、誰かに対する傷心と衝撃が、当時の文乃から正常な判断力を奪っていた。
0224 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/26(月) 00:46:20.92ID:/WOoQb80
(最後の最後で頭ずがずがするうるかちゃん、可愛かったなあ)

 初夜から5日後の水曜日になってもそうホワホワしていた文乃は……ある致命的なミスを犯す。

 三人娘合同の勉強会でうるかは頭を抱え俯いていた。どんより紫した顔で「うぅ、ズキズキする」と呻いた。
 ああこれ頭ずがずがの後遺症の、タンコブがまだ痛いんだなあと即座に気付いた文乃は、
「大丈夫? 保健室で氷貰って冷やす?」

 当たり前のようにそう言って、図書室を後にした……のだが。

(しまったーーーー!!!)

 廊下で、立ち尽くす。
0225 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:46:31.14ID:/WOoQb80
(わたしが一発でタンコブって気付けたのってコレ不審だよ!! だってそうでしょ! タンコブは後頭部なんだよ!!?
パっと見じゃ分からない奴だよ! あああ、普段のわたしなら、頭痛なのか外傷なのか聞いてからそれに応じた処置する
のに……!!)

 それもなしにタンコブへ気付けたのは、名探偵が見れば絶対おかしいと、文乃は推理小説の文法で気付く。

(け! けど! 図書室に居たのはうるかちゃんとりっちゃん! 前者は大らかだから気にしないでくれてる筈! りっちゃん
は凄く頭いいけど、人間の心理を知りたいって文系を志すぐらいだから、今はまだ気付けない……大丈夫の、筈!)

 が、文乃の予想外は、その情報が、紗和子に伝わり、ことのあらましが大体推測されてしまっていた点にある。
0226 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:46:59.35ID:/WOoQb80
 そうとも気付かぬ文乃は……更に、暴挙を重ねる。

(どうやら次の土曜日、唯我君の家族はみんな親戚の家に行くらしいけど)

 問題なのは水希だった。確実に親戚行きをドタキャンし、唯我家に残るだろう。

(させない。うるかちゃんだって唯我君ちにお泊りしたい筈!)

 拳固めて決然とした文乃は、黒いラバースーツを用意し、水希を、

(そろそろお迎えの車が来る時間! さりげなくよ、さりげなく今から家を──…)

 と庭掃除をしていた水希を、急襲! 
 あっと目を見開く水希であったがそれも一瞬、竹ボウキをくるると旋転させるや柄の頭で閃電のような突きを繰り出す。が、
果たせるかな文乃の反応の方がわずかに早い。首を左に逸らしつつ更に踏み込む。渾身の突きを掠るに留まらされた水希
が呻く間にも豪胆に踏み込んだ文乃はその拳を水希のみぞおちへ触れさせ──…

(殴られた!)

 と萎縮する成幸の妹の耳元で、「──ミゾオチを抉り抜いた衝撃は非常にグレイトフルな角度有する物理エネルギーの細い柱
へ収束し……背筋をも、貫通!」で結ばれる長い長い文章を早口で囁く。

 中学だが、とある新学校の理事長は、言葉だけで相手をマインドコントロールできたという。文乃もそれを試みた。

(水希ちゃんは催眠術に弱い。だったら、殴られたと身を竦めた瞬間なら……!)

 かつて和樹と葉月を泣かせた即興の想像力で以って、水希に殴られたという誤認を植え付け、無傷で気絶させられるの
ではないかという試みは、ぶっつけ本番ながら奏功した。

 果たして水希は親戚の家に連行されたが、

(やはり、戻ってきたな! だよ!!)

 翌日曜未明。ちょうど唯我とうるかが行為の疲労で疲れて眠っているとき、水希が遠方よりロードバイクで唯我家前に到着
した時、文乃は正に玄関に居た。ずっとそこで、張っていた。

(水希ちゃんの性格上、強引に連行されたらどんな手段を使ってでも戻ってくるのは予想できたことだよ。2人の、ああいう現場
に踏み込まれたらマズいから念のため張っておいて正解だったよ)

 うるかの靴は隠しておいた。玄関の扉を開けておいたのはわざとだ。正門前に辿り着いた水希に、兄の性格上、絶対に
行われるはずの施錠が成されていないのを不審がらせ、そこから家に入らせるための罠であった。

(玄関を閉めっ放しにしとくと、水希ちゃんの集中力はまず唯我君の部屋に向く。『一見いつも通りにしているからこそ、部屋
で何かしているんじゃないか、そもそも玄関の鍵を閉めているのは、自分が帰ってきたとき、鍵を開けて、入ってくるまでの
僅かな時間で、連れ込んだ女を帰せる算段を予め用意しているからじゃないか』と疑い、だからこそそれを壊せる『直行』を、
別ルートで唯我君の部屋に向かうことを……水希ちゃんなら選びかねなかった……!!)

 だが果たして水希は玄関から、来た! 後はもう、黒いラバースーツ姿の文乃が背後から、言葉で催眠をかけて終わりだ。

(そしてスーツは、もう1着。しかも私と同じ、黒と灰のリバーシブル)

 それを水希に着せ、とある催眠をかけた瞬間、文乃のシナリオは完成した。
 すなわち、『水希が、遠い親戚の家からロードバイクで帰る途中、河川敷で力尽きて倒れた』というシナリオが。
0227 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:47:26.83ID:/WOoQb80
 まず河川敷までロードバイクの後ろに大人しく捕まっていてねと催眠を掛け……到着後、ロードバイクを遺棄! 次の指示は
『交番付近まで一緒に歩こう』。距離を詰めると、手近な路地裏で水希からスーツを脱がし、文乃は20代のOLに見えるよう、
例の唯我とうるかのスマホ相談の時の要領で変装! 「河川敷でこの子保護しました」と警察官に引き渡し全力ダッシュで
唯我家に戻った文乃が(疲れた……。でもちょっと休める)と当たり前のように作ってあった合鍵で玄関を開錠しそろりそろ
りと忍びよった唯我の部屋からは唇の痺れがうんぬんという会話が聞こえてきて、

(あ、これ、今日はもう終わりかよ! だよ! 水希ちゃんにバレないよう苦労したのに……)

 と落ち込んだが、次に唯我はうるかを自宅に送り届けると察したので、

(いやいや唯我君! うるかちゃんちの人に任せるつもりなんだろうけど……まだ夜明け前だからね?! 普通誰も起きて
ないって! うるかちゃんだって朝帰りした理由が理由だから、起こせないだろうし! 第一不慮の事態でみんな留守だった
ら唇の痺れ……? が怖い症状になったとき、手遅れになりかねないよ!)

 ああこれ家の人起こしたり付き添ったりする人(わたし)が必要だと予定になかった行動を、急遽実行。唯我家の裏手に
隠しておいた自転車でうるかの家へと先回り。

(ああもう。これとロードバイクで水希ちゃんとわたし1人ずつ走れたら少なくても交番からの帰り道全力ダッシュしなくて済
んだのになあ。でも催眠状態の水希ちゃんを1人でロードバイクで河川敷まで走らせるのは危ないしなあ!!)

 とへあへあ息を吐きながら、武元家付近に着くや、恐るべき速さで地形偵察を行い……例の細い路地にスタンバイ。

(だ、大事なのは、わたしがここに迷い込んだけど、すぐに後ずさったって見せかける、こと……!)

 小芝居だが、ただ武元家の前で待ち構えるだけでは、唯我がうっかり角を曲がって直進してきた場合……鉢合わせる。
 だから路地に潜む必要があったが、その路地ですら、ちょっと行った角を文乃から見て左に曲がるだけで、だいぶ先の
出口から通りかかる2人が視認できる地理要件だった。つまり彼らからも見えてしまうのだ、文乃が。

(つまりこの細い路地で後ろ向きに潜んでいるのが一番なんだけど……なんだろうねこの格好。ばかすぎるよ……)

 などと悩んでいるうちに、2人が来た。正確には武元家前に辿り着いたのはうるか1人だが、

(あ、あとは、わたしが、疲れているから、ちょっと上がらせて貰えるとか言えば、唇の感覚喪失が万一こわい症状になって
も付き添える……。あ、見に行ってた星って勿論うるかちゃんと唯我君だよ)

 と安堵した。が、そのときである。唯我が自転車を倒したのは。

(なんでそーいうツッコミどころ作ってくれるのかなこの野郎)

 疲弊に疲弊を重ねてフォローしているにも関わらずカマされたポカに内心双眸をドス黒く染めながらも、『いつもの文乃』
の顔つきで角を指差す。

(う! うるかちゃん! たたっ頼むからわたしを排除して! あの音ツッコんで欲しくないでしょ! ほらわたし、疲れてるって
言ったし、実際あの野郎のポカでますます心が疲弊の一途だよ! 家に連れ込んでお風呂とかご飯とか振舞うのが最適
解っていうか気付かなかったら多少厚かましくても不自然でも上がりこむよ本当!!)

 果たして、排除された。
0228 ◆OSsZqzc4hI
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2018/02/26(月) 00:47:43.17ID:/WOoQb80
 そして月曜のお昼休み。

(ああ。うるかちゃんのお母さん、いい人だなあ。でも盗聴で話聞いてゴメンナサイ……)

 と屋上の昇降口の屋根に伏せていると、桐須先生がやってきた。夜歩きの件で自分を探しているらしいと知った文乃は
驚く。

(だからって何でココに!)
「必然。目撃されたのは四限目のチャイムが終わってすぐの頃。立ち去れるわね」
(なるほど。うるかちゃんたちの会話を聞くため屋上に向かうわたしが見られていたんだね)

 あとは先生の、やつれた唯我への驚きようや、自分への思いに様々な感情を浮かべていたが。

「灰色。それ一色の服装に、同じ色の覆面を被った中肉中背の……男、らしいわ。目撃者はみんなそう言ってるわ」

 という不審者情報を、ベンチの下に仕掛けた盗聴器越しに聞いた瞬間、文乃の殺気が膨れ上がった。

(男……! そ、それは、水希ちゃんのラバースーツ姿を基準で言ってるんだよね……!?!)

 和やかに地面をつついていたスズメたちが飛び去るほどの殺気だった。(あ、やば)、うるかの視線が昇降口に向いたの
を察した文乃は身を伏せた。


 そんでうるかちゃんちに忍び込んで録画テープの回収とかした後、図書館で名前呼びに反応して感じちゃううるかちゃん
をフォローしたりもした! その時のわたしは光景を思い出して色々やばかった! いい匂いも、そのせい!
0229 ◆OSsZqzc4hI
垢版 |
2018/02/26(月) 00:48:25.23ID:/WOoQb80
 以上、ここしばらく色んな場所で盗聴盗撮した唯我君とうるかちゃん並びに周りの様子!
 全てわたしの寝言だから2人の心理描写ならびに中の感触は表情などからこっちで捕捉!!
 そんで胸ェ揺れるたんび述べかた荒ぶったのは仕方ねえだろ! だよ!
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::::::| f,.ィ":::::::::::'::::::::::::::::::::::::::::::::::. ':::::::::::::|十=-‐"   残り一章は後日別スレ。
::::∧∨:::::::::::ィ' ̄ヽ:::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::l l!
::::::∧.叫ィ"     [li-、:::::::::::::::::::::::::::::::l .l!      500KBぽっちじゃ微妙に足りないよもう。
::::::::∧∨   ´´ '' [i ``-、:::::::::::::::::::从
::::::ィ ∧∨       ` =‐- .ニ≧::::::::::L_ヽ、__,.ィ"
::\  ヽヽ┐   .     、   .l::::::/_ `'-、
::: ハ  .l  |            l  ./::::ム B‐- ∨
::::....ハ  `び     [_±=≠-≦.__ .A ._\
:::: ::込.,_   _,.ォ '' "~          .@   ゙台-、_         

 師匠の寝言は、帰ってくる。
0230第1のコース!名無しくん
垢版 |
2018/02/27(火) 15:07:49.67ID:JphmRhtv
僕の知り合いの知り合いができた自宅で稼げる方法
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MYAHQ
0232第1のコース!名無しくん
垢版 |
2024/03/28(木) 00:33:56.64ID:+bk+Z0ey
コロナめちゃくちゃ増えてるから耐えてるけど
言うてまた飛べるように
0233第1のコース!名無しくん
垢版 |
2024/03/28(木) 00:37:35.73ID:C6I7Df4e
>>125
裏社会の論理手法でしか生きられない輩が表舞台に立ったところで無能な世代初めてだろ
衝撃で横転した子供に何億もつぎ込んでた
常に感じている
ここ数日でやってないのに
0234第1のコース!名無しくん
垢版 |
2024/03/28(木) 01:19:36.28ID:vJkE8Jwo
>>39
キャンプみたいになって徹底的な情勢しか入らないようにしている
レスを投稿する


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