0103名無しさん@お腹いっぱい。
2024/03/10(日) 15:40:27.69ID:jtCtDtW1舞台は中世ヨーロッパ風のファンタジー世界
悪の帝国が大陸の近隣諸国を侵略して征服し、大陸統一を成し遂げている
とある王国の騎士領も帝国の統治下に置かれ、新しい領主には前の戦争で武功を上げたガストンっていう帝国軍人が任命される
このガストンという男、よほど食欲旺盛なのか「食」というものに異常なほどの執着心を抱いているらしく、民に重税を課せて大量の食糧を徴収して備蓄し、さらに配給制度まで設けることによって民の自由な生活や商売を制限した
それはさながら共産主義の独裁国家みたいな感じで、多くの領民がガストンに反感を抱いた
特に、善良で正義感に溢れるアデルっていう若い騎兵が義憤に駆られ、出奔してガストンに反旗を翻すが、いかんせんガストン領は広大だし兵力も高くて太刀打ちできない
そこへ通りがかったのが亡国の王子として王国奪還のために反乱軍を率いる主人公
アデルから協力を求められ、主人公は領民を救うべくガストン領に攻め込むこととなる
戦いが始まると、アデルは主人公の威光を借り、かつての仲間である敵兵達に説得を試みていく
その説得によって多くの敵兵が主人公側へ寝返って味方となる
こうして主人公達は味方を増やしながら戦場を駆け抜けていく
だが、戦いが中盤にさしかかった頃、アデルの説得に応じない忠義者な敵兵達も出てくる
敵兵「昔、私の家は食い詰め、一家心中しようとしていた事が有った。その寸前でガストン様が食料を持って現れ、『死ぬ必要は無い』と言って、パンとスープを与えてくださり、食卓を供に囲んでくれまでした。ガストン様は我が命の恩人。それを裏切ることなど私には出来ぬ」
悲しいけどこれ戦争なので、主人公たちはその敵兵達を倒していく
そして中間地点である街を制圧し、帝国の支配からの解放を領民達に宣言する
でも街に居た町人からの反応は何故か薄い。普通はもっと歓喜するところなのに
町人「確かにガストン様は重税を課していますが、配給はちゃんとしてくれていますよ?」
って感じで、「帝国よりは王国に統治された方がマシではあるけど、別にガストンの統治ってそこまで悪くなくね?」的なニュアンスが漂っている
ついに主人公たちはガストンの砦に辿り着き、ガストンを討ち取ることに成功
瀕死のガストンは、陥落した砦を見て「苦心して集めた食料が」と嘆く
なんとこの期に及んでまだ食料のことを考えている
そんなガストンを主人公たちは罵るが、ガストンは反論する
「私は私利私欲で食料を集めていたわけではない。『飢饉』に備えて食料を蓄えていたのだ。この戦乱の時代、いつか必ず飢饉が起こる。その時ための備蓄食料だったのだ」
さらに領主は、こう言い遺す
「主人公よ、お前も王であるのなら、決して民を餓えさせるな・・・。幼い頃に私がしたような苦しみを、民に味合わせるな・・・」
「・・・ああ・・・でも・・・私はもう・・・飯の心配は・・・しなくていいのか・・・・・・」
この領地の奪還後、領地の騎士は「税を徴収する権利は我々に戻ってきた。これで昔のように裕福な生活が出来る」と喜び、商人は「商売で大儲け出来る」と喜んだ
町人は「ガストン様は配給を遅らせるようなことは決して無かった」少しだけ領主を惜しんでいる様子だった
(個人的に思ったことだけど、領主が極端に餓えを怖れる異常者だったのは事実として、餓えを無くしたいという願い自体は純粋だったし、ただ手段を間違えていただけのような気もする。そして騎士や商人の反応を見るに、重税と配給制度を敷いた領主のことを一番疎んでいたのって「既得権益者」だったのではなかろうか?って)