「こっちこっちー」
山崎が女子連に声をかける。男子は着替えが早いので、もう二人ともプールサイドで待機中だ。
皆が二人の方に走る、集まったところで利佳がさくらの背中を押し、小狼の前に立たせる。
「あ・・・」
「ど、どうかな、似合ってる・・・?」
さくらの水着はひらひらのフリル付きバンドゥビキニ。赤を基調にピンクや白の桜の花が
デザインされたフリルが胸と腰を覆っている。
「あ、ああ・・・似合ってる。」
直視できないといった表情でやや目をそらし、赤面して答える小狼。
 隣では千春が山崎に水着を披露している、こちらはセパレートタイプながら、カラフルな
ストライプが入ったデザイン。スクール水着に比べて若干ハイレッグになっており、色気もある。
「うーん、いいんじゃないかな。似合ってるよ。」
「ホント?よかったぁ。」
実は事前に山崎は利佳からメールを受けていた、内容はこうだ。
”千春ちゃんの水着をホメること!ボケたら承知しませんよ!”
しぶしぶ冗談にするのを諦める山崎、隣で嬉々としている千春を見て、まぁいいか、と納得する。

 楽しい時間は過ぎるのも早い。競泳水着に身を包んだ苺鈴がさくらと競争したり、
リンシンが迷子と間違われたり、探しに行った秋穂が二重遭難したり、知世は終始さくらを撮影したり
ステラがナンパ男に絡まれては年齢を告げて引かれたり、奈緒子と千春が利佳との話に花を咲かせたり
売店には案の定、桃矢と雪兎がいてさくらをずっこけさせたり、クリームソーダを注文してから
さくらがやたら周囲を警戒してたり、その時すでに売店の中でケロが雪兎におごってもらった
クリームソーダに舌鼓を打っていたりしているうちに、あっという間に夕方が来てしまった。