「『持ってる人』に言われても、そんなの慰めでしか無いわ。私がクロウ・カード集めの時
さくらにも小狼にも負けずにカードを手に入れられた時があった?」
言葉に詰まるさくらに、苺鈴はこう続ける。
「さっき何て言った?私が羨ましい、ですって!?私はずっと昔から思ってたわよ!
さくらが羨ましいって!魔力を持つあなたが、あのヌイグルミ(ケロ)に選ばれたさくらが!」
そう吐き捨てる苺鈴。言葉を紡ぐたびに感情的になっていく気持ちを抑えられずに、叫ぶ。

「あんたは特別なのよ!カードに受け入れられ、小狼に受け入れられ、皆に受け入れられる。
それを自覚しなさいっ!!」
苺鈴の叫びがさくらの胸に響く。さくらはいつか小狼が話してくれた言葉を思い出す。

−特別な力を持つって言うのは、そういう事なんだ−

 特別な力、それは他人に劣等感を感じさせる、否応なしに。
普通なら『仕方ない』と諦めることも出来ただろう。しかし魔法の一族に生まれながら
それを持たない、その悔しさを努力で埋めようと頑張ってきた苺鈴にとって、その心は、矜持は、
さくらが思う以上に傷ついていたのだ。
「私・・・どうすれば、いいの?」
顔を伏せたままさくらが呟く。自分の魔力が人を魅了し、人を傷つける。
そんなさくらに苺鈴は声のトーンを下げて、語る。