【禁断】小狼×知世をひっそり語るスレ【村八分】

1CC名無したん2018/04/08(日) 23:03:53.53ID:gsYrtu+L0
小狼×さくらの公式カップルに萌える人が大多数の中、あえて小狼×知世のカップリングについて語りましょう。

一度このカップリングを語ろうものなら、しゃおさくのお姉さま方に絶対零度の視線を浴びることは必至。
変人っぷりを自覚して今まで内に秘めていたけれどツイッターなどでは語る余地もない…などとお嘆きのあなた!
溜まり溜まった小狼×知世への想い、妄想をお待ちしております。

155李小狼2018/05/17(木) 04:16:15.49ID:HxZQ2F4C0
おれもあの時の大道寺と話したことは誰にも知られたくない

さくらにはすまないが…

156CC名無したん2018/05/17(木) 06:35:16.90ID:+lrWTMiW0
なんて穢れのない二人なんだ
刹那的な美しさ
永遠じゃなくていいから一緒に空を飛んでほしい

157CC名無したん2018/05/18(金) 05:59:09.86ID:NC7J+rP/0
相変わらず素晴らしい

158木之本桜2018/05/19(土) 07:10:50.52ID:jrx1VIRV0
知世ちゃんとは取り合いたくないよ〜(´・ω・`)

159CC名無したん2018/05/19(土) 20:45:12.29ID:RDsEKW5x0
>>152
乙です!

160CC名無したん2018/05/19(土) 22:28:37.41ID:bl96trF40
素敵すぎますわ

161CC名無したん2018/05/21(月) 05:50:24.36ID:H2+XiMsI0
朗読会のとき、知世ちゃんの隣に小狼がいてニヤニヤした
さらに小狼から知世ちゃんに話し掛けていたのが新鮮だった
なかなかに珍しい気がする

162CC名無したん2018/05/21(月) 06:29:02.63ID:XOfbYp9Q0
>>161
俺も2828したよw

163CC名無したん2018/05/22(火) 00:50:39.90ID:olIpuDq/0
日直だった小狼は、職員室に日誌を提出して教室に戻る途中足元がふらつくのに気がついた。
『あれ』を使うのにはずいぶん慣れたが、場合によっては翌日に少し響くことがある。
そういう時はなるべく安静にしてやり過ごすようにしているが、今日はたまたまうまくいかなかった。
まず、昨夜少し遅かったこともあり、少し睡眠が足りていなかった。加えて体育の授業があったため、うだるような暑さの中校庭を走り回る羽目になった。さらに、日直の仕事まで重なって、こんな他の生徒が帰宅してしまったような時間まで学校に残ることになってしまった。
さすがに体力の限界を感じた小狼は、早く帰ろう、と速度を速めて教室を目指した。

ロマネスク様式の校舎は少し複雑な形をしている。瀟洒な校内はみる者の目を楽しませてくれるが、入り組んだ校舎内を歩く余裕は今の小狼にはなかった。なるべく人気の少ない場所を歩こう、そう思った小狼は、最寄りの階段を上り始めた。

息が上がる。頭がクラクラして壁に手をつきながらでないと体が支えきれない。
一歩、一歩と歩を進め、もう少しだ、そう思った時、目の前が真っ暗になって小狼は崩れ落ちた。
遠のく意識の中、誰かが自分の名前を呼ぶ声が聞こえた気がした。

164CC名無したん2018/05/22(火) 00:50:59.28ID:olIpuDq/0
なにか、温かいものに包まれている。不思議だ。俺は階段に倒れこんだはずなのに−−−−。

気がついた小狼が身じろぐと、聞き慣れた声が語りかけて来た。
「お加減いかがですか、李君」
「だい……どう…じ?」
その高く柔らかな声は、まぎれもない大道寺知世のものだ。
「なんで、ここに…」
「忘れ物を取りに行こうと思いましたら、李君が真っ青な顔で階段を上がっていらっしゃるのが見えまして。それで」
駆けつけてくれたというのか。すまない、ありがとう−−− 
一人ではないという事実に小狼はまず安堵した。
そして次に、自分の置かれている状況を認識した。
頭に血が上りそうになる。小狼は知世の腕の中にいたのだ。

おそらく、倒れこむところを抱きとめてくれたのだろう。ずるずると滑り落ちそうになる小狼の躰を、しゃがみこんだ知世の細腕が必死で支えている。
「す、すまない……!」
まだ小柄な方とはいえ、それなりに筋肉もある小狼の体重を支えるのは知世にとって容易ではないはずだ。力を振り絞って知世から離れようとするが、体にうまく力が入らない。
必死でもがく小狼の背中を、何も言わずに知世がとん、とんと叩いた。
それはまるで、大丈夫、と言っているようだった。
とん、とん−−−。とん、とん−−−。
それは優しく、緩やかに続けられた。
母親が子供にするような優しさで−−−。

165CC名無したん2018/05/22(火) 00:51:24.14ID:olIpuDq/0
鼓動のような一定のリズムに、小狼の体の強張りが解けていく。
先ほどまで感じていためまいも幾分和らいだような気がした。
小狼の冷たく冷えた体に、体温が戻って来た。
大きく深呼吸をして、今度こそ小狼は自分の体を起こすことができた。
「もう、大丈夫だ。本当にありがとう」
小狼を見つめる知世の紫色の瞳には、心配の色が浮かんでいる。
これ以上心配をかけまい、と小狼は立ち上がろうとする。が、体が大きくふらついた。
「李君!」
知世がそれを慌てて支える。
「まだ無理ですわ。そんな状態では」
ずるり、と膝をついた小狼は、日頃の彼からは想像もできないほど緩慢な動作で壁に寄りかかった。
「心配をかけてすまない。まだ、歩けるほど体調が回復していないみたいだ。俺は少し休んでからいく。遅くなるといけないから、大道寺は先に帰った方がいい」
知世を安心させようと、無理に笑顔を作って見せたが、ズキンと痛む頭に思わず眉間にシワがよる。
「李君、横になられた方がいいのでは」
知世が何気ない動作でハンカチを膝の上に広げる。
「よろしければ」
「…………!いや、それは……!」
知世は力なく抵抗する小狼を引き寄せ、頭をそっと膝の上に乗せた。そしてさっきのように小狼の体を優しくトン、トン、と優しく叩き始めた。
優しいリズムと知世の暖かな体温に、小狼は例えようのない心地よさを感じた。リラックスした体と脳に、甘い眠気が襲ってくる。
ああ、眠い。眠くてたまらない−−−
「……すまない、10分だけ、膝を貸してくれないか」
いつになく素直な申し出に、知世は笑顔で答えた。
「……はい」

とん、とん−−−。とん、とん−−−。

なんて、あたたかいんだ−−−

今だけは、全部忘れて眠ろう。
小狼は小さな子供みたいに眠りに落ちた。
知世はそんな彼を、黙って見守っている。

166李小狼2018/05/22(火) 01:50:22.27ID:w4MO4lXp0
そして、おれは眠った。

(大道寺の膝の上は心地よく暖かな体温がリラックスさせてくれるようで ずっとこうしていたいと思う 自分がいた)

(さくら…すまない…この状況を見たさくらはおれのことを心配してくれるのだろう…)

(だけど、誰にも知られたくない このまま大道寺の温もりを感じながら眠っていたい)

167CC名無したん2018/05/22(火) 07:16:13.15ID:dzoyliaq0

2828すぎる

168CC名無したん2018/05/22(火) 07:42:31.59ID:viKq7O7q0
聖母知世キタ━!
誰も見ていない校舎の片隅で、これまた絵になる二人よ
小狼は知世には自分の弱さをさらけ出せる、そんな関係な気がする

169CC名無したん2018/05/22(火) 21:19:31.34ID:ATPyVz/u0
>>166
GJ!

170CC名無したん2018/05/23(水) 07:51:17.62ID:0hLBenmp0
素晴らしい

171CC名無したん2018/05/26(土) 00:38:19.40ID:ZNkvNww70
小狼がすっかり寝入ってしまったのを確認して、知世はとんとんと叩き続けていた手を止めた。
規則正しい寝息をたてる小狼の表情は、日頃の凛と張り詰めたものから一転して、無防備な幼子のようだ。
初夏というには暑すぎる気温が日暮れの校舎に温もりを与え、落ち切らない太陽の光が、ゆらゆらと二人を包んでいる。
知世は小狼と出会った頃によく歌っていた歌の歌詞を思い出した。

『母が愛し子を腕に抱いて
 陽だまりの中で子守唄を歌う』

知世はくすりと笑った。
(本当に、あの歌のようですわ)
数ヶ月とはいえ自分より先に生まれた少年のことを「幼子」に例えるのはいかがなものかとは思ったが、小狼の寝顔は穏やかで、安心しきっている様は近頃の大人びた様子からは格段と幼かった。

『夢路に遊ぶ幼児の頬に
 妖精がつくる幸せのえくぼ』

172CC名無したん2018/05/26(土) 00:38:37.62ID:ZNkvNww70
知世は小さくハミングしてみた。
子供にするように小狼の頭をそっと頭を撫でてみる。陽に透けた小狼の髪はほとんど金色といってもいいくらい輝いている。
美しい色と絹のように滑らかな質感に、知世はその髪に顔を埋めてみたい衝動に駆られた。…が、代わりに、一筋の髪をそっと指先に絡めた。

脳裏に小狼が時折見せる厳しい表情が浮かび上がった。
それから、彼を送っていった際に見た真っ暗なマンションも。
きっと李君は今回の事件について何か知っていることがあるのだろう。
そして、それを一人抱えたままあの誰もいないマンションで耐えているに違いない。
偉さんや苺鈴ちゃんたちと過ごした賑やかな思い出が詰まったあの部屋で。

『淋しいときには ぬくもりを探し
 遥かにたどるよ 懐かしい記憶を』

それはどれだけ辛いことだろう。でも、彼だからこそできること。
だから、だから私はーーー。

『夢から覚めても笑みを残してく
 そんなやさしさの種子が心にある』

『張り詰めた心 ほどいてあげたら
 やさしさの種子をひとつ撒いておこう』

173CC名無したん2018/05/26(土) 00:38:58.71ID:ZNkvNww70
送っていく、という小狼の申し出を丁重に断って、知世は一人自宅へと帰ってきた。
(李君も、もうおうちへ戻られたでしょうか。お一人ですから、お夕飯の準備をなさっていらっしゃるかもしれませんわね)
知世は一人キビキビと家事をこなす小狼の姿を思い浮かべた。ごく短い仮眠だったにも関わらず、帰り際の小狼の顔色はずいぶん良くなっていた。
お膝を貸して差し上げた甲斐がありましたわ、と知世はひとりごちた。
ふと思いついて、カバンの中かから大切にしまったハンカチを取り出した。
洗濯しなければ。

(でも、その前に、一度だけ)

一度だけ、ですからーーー。
知世はゆっくりとハンカチに頬を寄せた。
まだ、小狼の体温が残されているような気がする。
小狼の息づかいと美しい髪の色が蘇ってきて、知世は心が震えた。
愛しい人を膝に頂いた喜び。つかの間の安らぎを与えた誇らしさ。
たとえ短い間とはいえ、小狼が自分の庇護のもとにあったという事実が知世を歓喜させた。
言いようのない幸福感があとからあとから溢れ出してきて、知世はそれを噛み締めるようにじっと、ただじっとハンカチに頬を寄せていた。

174CC名無したん2018/05/26(土) 00:39:13.11ID:ZNkvNww70
「コンコン」
突然のノックの音に知世はハッとした。
「はい」
「知世様、夕食の準備ができております」
「……すぐ参りますわ」
お待ちしております、という声と離れていく足音に知世はホッと胸をなでおろすと同時に、自分がハンカチから頬を離してしまったことに気がついた。
一度だけと、決めたのですもの……。
正直、名残惜しかった。しかし、約束は約束だ。意を決してハンカチを机に置いて部屋出ようとした時、何かがキラリとハンカチの上で光るのが見えた。
それは、薄い茶色をした一本の短い髪の毛だった。
知世は一瞬迷ったのちそっとそれをつまみ上げた。
そして裁縫箱から美しい緑の絹布を探し出すと、その髪を優しく包みあげ、そしてーーー、ひとつ、口付けを落とした。

知世は照れ臭そうに笑うと、絹に包まれた髪を小箱にしまい、小声で歌を口ずさみながらダイニングへと駆けていった。


『やがて芽を出し 蕾はほころぶ
 美しい場所を心に持つなら

 いつかは誰もが澄んだ青空を
 思い切り高く自由に羽ばたける

 自由に羽ばたける その胸に花を咲かせて…』

175CC名無したん2018/05/26(土) 08:50:10.00ID:XWzq6ieq0
>>174
最高ですわ〜

176CC名無したん2018/05/26(土) 09:08:14.76ID:8IP9rOan0
小狼と知世ならではの安心し合える関係を描いた創作小説をずっと読みたいと思っていた
その完成形に出会えた気がする
素晴らしいです、本当にありがとう

177CC名無したん2018/05/28(月) 15:51:17.98ID:dC3BVIOU0
素晴らしい

178CC名無したん2018/06/01(金) 08:16:52.09ID:G9VJXR2S0
GJです

179CC名無したん2018/06/05(火) 08:47:26.13ID:Mf564FkR0
知世ちゃんが小狼も撮りたがってたり園美さんが小狼にも興味もってるのは萌える

180CC名無したん2018/06/14(木) 14:13:09.70ID:wNEFKr+e0
朗読会前にピアノなら大道寺のほうがと言ってたけど、知世ちゃんがピアノを弾いているor弾けるという設定って明らかにされてたっけ?

181CC名無したん2018/06/23(土) 05:44:56.99ID:CsUP11C90
こんなスレがあったとは

182CC名無したん2018/07/13(金) 22:53:05.79ID:4TBkk9+Z0
小狼は寝間着姿のままガランとしたリビングのテーブルの前に座っていた。
テーブルの上には羅針盤とグレーのクマのぬいぐるみが置かれている。
小狼は難しい顔をしていた。
これが本来の目的からは逸脱していることはわかっている。
しかし、もし今この魔法を使うことができたなら、本来の持ち主もそうしただろうことは確信があった。
意を決した小狼はぎゅっと握りしめていた右手を羅針盤の上にかざした。
念を込めて小さくを唱える。羅針盤が光を放ち、小さな光の粒が生まれた。
額に汗が浮かぶのもかまわず、さらに念を込めるとその光の粒が次々と形を変え、丸い珠となったところで小狼は唱えた。
「彼の者に極上の夢を届けよ」
小狼の言葉に珠が振動する。
「ドリーム!」
最後の言葉を受けて強い光が発現し、魔法が発動したことを知らせた。
どさっ、と小狼は背もたれに身を預けた。これでおそらく彼女は、今日は嫌な夢を見ずに済むだろう。
ひどく疲れてはいるが、嫌な疲れではない。小狼は安堵の息をついた。そして、額の汗を拭うと、静かにリビングを後にした。

183CC名無したん2018/07/13(金) 22:53:29.51ID:4TBkk9+Z0
「知世ちゃん、なんだか顔色悪いよ。どうかしたの?」
「さくらちゃん……。実は最近、夢見が悪いんです」
「夢?怖い夢を見るの?」
「よく覚えてはいないんですが、でも、とてもうなされて、夜中に何度も目がさめてしまうんです。それで、少し寝不足で」
「大変だね。私に何かできることがあればいんだけど」
「さくらカードが使えたら、ドリームのカードで知世にええ夢見せられるんやけどなぁ。しかし、今カードは透明になってしもてるさかい…」
「まぁ、ドリームのカードではそんなことも出来るんですの?」
「せやで。クロウもたまーにドリームつこて夢の中で遊んどったわ」
「へぇ〜。カードが使えるようになったら私もドリームでいい夢見てみようっと!」
「そらあかん。さくらがドリームつこてええ夢見てしもたら、毎朝遅刻決定や!」
「なんですって〜!?」

ベッドの上で知世は今朝のことを思い返していた。愛らしい親友と黄色いぬいぐるみのような守護者のやり取りを思い出すと自然と笑みが溢れる。
しかし、これから眠りにつかねばならないことを思うと気分が沈んだ。
また、夢を見るかもしれない。重苦しくて、何かが迫ってくるような、暗い夢。
神様、どうか今日は夢を見ずに済みますように。
見るなら、どうか、幸せな夢を。

184CC名無したん2018/07/13(金) 22:54:14.31ID:4TBkk9+Z0
『何か面白い記事はありました?』
テーブルの上に紅茶を置くと、知世は尋ねた。新聞を読んでいた小狼が顔をあげて答える。
『ありがとう。別に面白いというほどのことではないんだが、国際情勢のことで少し、読んでおきたい記事があったから』
『そうでしたか。李くんはいつも勉強熱心ですわね』
『これからは李家と大道寺家の両方を引っ張って行かなくてはならないからな。そのためには、いろいろ勉強しておかないと』
そう言って紅茶に口をつける小狼の眼差しは真剣で、奥に秘めた情熱が溢れている。知世はそんな小狼のことを好ましく見つめていた。
親が決めた結婚相手ではあったが、実直で、努力家な彼のことを知世は心から愛していた。
紅茶を飲み干した小狼が知世の方を見た。ぱちっ、と視線がぶつかって、二人は思わず微笑みあった。暖かな空気が二人の間を満たす。
『ところで』
『はい』
『いつになったら名前で呼んでくれるのか』
突然の問いかけに知世はさっとほおを染めた。
『……まだ、慣れませんわ』
リンゴのように赤くなって恥じらう乙女の姿に、小狼は言いようのないくすぐったさを感じた。
最初は、なぜ海を越えて妻をめとらねばならないのかと不満があった。
しかし、知世の持つするどい洞察力と並外れた包容力に触れるにつけ、小狼はこの人ならば、との思いを強めていた。
豊かな黒髪のかかる肩を抱き寄せ耳元に口を寄せてささやいた。
『いつか名前で呼んでくれると嬉しい。知世−−−−−−』

185CC名無したん2018/07/13(金) 22:55:04.04ID:4TBkk9+Z0
ジリジリと朝を知らせるベルが鳴る。
目を開けると見慣れた天井。
朝だ。今日は一度も目が醒めることなく眠れたらしい。
なんだろう。もう、覚えてはいないけれど、とても、とても幸せな夢を見ていた。
胸の中が暖かくて仕方がない。でも……思い出せない。
忘れてしまった甘やかな夢の名残に、知世の目から一筋の涙がこぼれた。

いつものように朝食の目玉焼きを焼く。
昨夜例の魔法を使ったにも関わらず、不思議とよく眠れた。
そのせいだろうか。なんだか心も穏やかだ。
準備のできた朝食をテーブルに運ぶと、小狼は紅茶を淹れた。
「……?」
なんだろう。この香りを知っている気がする。
その時、俺はとても幸せだった。

186CC名無したん2018/07/13(金) 22:55:32.48ID:4TBkk9+Z0
昼休みになるといつものように馴染みのメンバーが集まった。
皆で和気藹々と昼食をとり、雑談が始まった頃に奈緒子があるものを取り出した。
小さな、家の模型である。今度の演劇部の舞台を大道具用にジオラマ化したものだという。
「私……、私、今朝このジオラマの夢を見たような気がしますわ」
「このジオラマの?これ、昨日完成したばかりで、演劇部以外の人ではみんなが初めて見るんだよ」
「変ですわね。でも、確かにこのリビングに見覚えがあるんです。確か男の方と女の方がいましたわ。二人はとても信頼しあっていて……。とても幸せな夢でしたわ」
「すごーい、今度の劇、1組の恋人の話なんだよ。それで、物語はこのリビングで展開するの!」
「ねね、それって予知夢っていうやつなんじゃない?」
「予知夢……。夢十夜の時に習ったあれですね!」
「そうそう、予知夢といえばね!!」
「山崎くんは黙ってて!」
興奮気味に予知夢の話に盛り上がる友人たちを横目に、さくらはカバンの中の守護者にそっと声をかけた。
「知世ちゃん、昨日は怖い夢見なくて済んだんだね」
「おぅ。ゆっくり眠れたみたいでほんまよかったわ。せやけど、なんや妙やな」
「妙?」
「知世はジオラマの夢を見たんやろ?しかも、夢の内容と劇の内容が大体一致しとる。それやったら千春のいう通り予知夢やないか。けど、知世は魔力を持ってへん。誰かが予知夢を見るような力をつこて、知世に夢を見させたとしか…」
「でも、誰が?私はカード使えないし、ケロちゃんも何もしてないんでしょう?」
「わいはなんもしてへんで。だいたい、人に予知夢を見させるような魔法は高度な魔法や。そんな簡単に出来るもんやない。小僧やったらできるかもしれへんけど、でも…」
ケルベロスはそっと小狼の方を見た。小狼はジオラマを見て何か困惑したような表情を浮かべている。
「小僧でもないみたいや」
「小狼くん、どっちかというと夢でジオラマを見ちゃったみたいな顔をしてるよ」
「うーん。一体どういうことなんやろうなー」
「どういうことなんだろうなぁって、ケロちゃんが言い出したんでしょ?」
「せやけど、よおわからんしー。わいの考えすぎやったりして。あはははは!」
「考え過ぎって、もう、無責任なんだから!!」

187CC名無したん2018/07/13(金) 22:55:50.38ID:4TBkk9+Z0
役目を終えて戻ってくると、使役者はすでに眠りに入っていた。
ドリームは彼の顔をじっと見た。まだ幼さの残る顔に疲労の色が見える。
新しい主にこそならなかったが、現主への献身的サポート、本人の努力や実力を以ってして彼はカード達からも一目置かれていた。
だからこそ、この異常な事態の中でカード達が彼のいうことを聞いていると言っても過言ではない。
それでなくとも、ドリームはかつて自分を封印した小狼のことを少なからず特別に思っていた。
出過ぎた振る舞いかもしれない。けれど、このようなイレギュラーな状況なのだ。
カードの自分が少しばかり勝手な振る舞いをしても主は許してくれるだろう。そして、彼も。
ドリームは対象者の額にそっと手を当て、願った。
この心優しき少年に、安息の夢を。

188CC名無したん2018/07/14(土) 17:22:23.72ID:fI6YrYVr0
>>187
素晴らしいです
スレ見てたかいがありました

189CC名無したん2018/07/16(月) 05:51:25.90ID:UfqbqEbt0
GJ!

190CC名無したん2018/07/17(火) 03:18:31.37ID:dozK9O140
たまらないですね

191CC名無したん2018/07/19(木) 04:11:33.17ID:e2ZAQZ9K0
良い話すぎる

192CC名無したん2018/08/03(金) 11:18:55.62ID:KJ4g/MJd0
すばらしかった

193CC名無したん2018/08/08(水) 22:39:07.54ID:I94iJ75o0
その申し出はまさに青天の霹靂というべきものだった。
『式服の仕立てを辞退する!?』
何気ない調子で偉が切り出したのは、長年務めてきた小狼の式服の仕立ての辞退だった。
『はい。私も年をとりましたし、満足な仕事が難しくなっております。それに何より、知世様がいらっしゃいますので』
『しかし、偉……』
『お願いいたします小狼様。どうか、式服の仕立てを知世様にご依頼なさってください』
偉の表情はいつもどおり柔和なものだったが、その表情とは裏腹に、言葉と態度はきっぱりとしたものだった。
こうなってはどうなだめすかしても偉がうんと言わないことは誰よりも小狼がよくわかっている。
『そうか……』
しぶしぶと小狼は引き下がり、戸惑いを隠せないままその申し出を受け入れた。

「……と、いうわけで、今後は式服の仕立てもお願いしたい。これがその詳細だそうだ。偉から預かってきた」
「まぁ」
「心配するな。李家専属の仕立て人に頼むこともできるから、難しく考える必要はない」
努めて大事ではない風に振る舞う小狼ではあったが、知世はそう簡単な問題ではないとわかっていた。
式服は李家にとってとても大切な正装の一つだ。着る人にぴったりと誂えたもので、動きやすく、美しく見えるものでなければならない。
(それに……)
それに、式服を仕立てる、ということはただ衣服を誂える以上の意味があるはずなのに。
知世は小狼から手渡された偉のメモをじっと見つめた。

194CC名無したん2018/08/08(水) 22:39:55.92ID:I94iJ75o0
「偉さん」
「これはこれは、知世様」
偉がさっと最上級の礼を取ろうとするのを押しとどめる。
「聞きましたわ。式服のお仕立てをご辞退なさったそうですわね」
「はい。知世様がいらっしゃればこの老いぼれが仕立てる式服よりもずっと良いものが出来上がると確信しておりますので」
知世は偉の言葉に悲しくなった。
小狼の好みを誰よりも知っているのは彼だ。
好み、破れやすい場所、バランス……。長年そばに仕えてきたからこそわかる事。
そして、小狼がそんな偉のことをとても大切にして頼りにしている事。
老いぼれだから用済みだ、という偉の発言は、二人が積み重ねてきた信頼のどれもを否定してしまうものだった。
「それは違いますわ、偉さん」
知世はそっと両の手で偉の右手を包み込んだ。
「あなたの主人に必要なのは正確な採寸ではありません」
知世の言葉に常に冷静な偉の表情が揺れる。
「信頼と理解と、自分を受け止めてくれる人とのちょっとした時間ですわ」
知世が包み込んだ手は、どうやってあの式服の細かな細工を施しているのか思うほど、無骨で、大きな手だった。

195CC名無したん2018/08/08(水) 22:40:28.30ID:I94iJ75o0
「知世様……」
偉は後に続く言葉を紡ぐことができなかった。
特に仕立てを学んだというわけではなかったが、持ち前の器用さで小狼の式服を繕い、そして、気がつけばいつの間にか式服の全てを仕立てるようになっていた。
採寸など必要ない。ただ、ちょっとした雑談をするためだけのようなものだ。
今日も小狼様はお元気だろうか。何か困ったことはないだろうか。偉にできることはないだろうか……そんな事を思いながら採寸をし、式服を仕立てること。それが偉にとって小さな喜びの一つであった。
小狼様に大切に思う人ができて、その人はとても裁縫に長けている。それであれば、老いぼれが縫うものより、愛する人が作る衣服の方がずっと良いと思っていた。
自分はもう少し、小狼様のお役に立つことができるのだろうかーーー?
そんな偉の心の中を見透かしたように知世が言った。
「念のこもった衣服はその人を守ると言いますわ。偉さんが主を大切に思う気持ちは、何よりも強い保護となります。偉さんはとても大切な存在なんです。
ですから、どうかもっとそばにいてあげてください。お二人には積み重ねた長い長い時間と絆があるのですもの。こればっかりは、私でも偉さんにかないませんわ」
そういって微笑んで見せる知世を見て偉は思った。
よかった。
このような方が小狼様のそばにいてくださって、本当に、よかったーーー。

196CC名無したん2018/08/08(水) 22:40:53.00ID:I94iJ75o0
「小狼様」
「偉、どうした」
「この間あのような事を申し上げておきながら恐縮なのですが……」
「?」
「式服の採寸をさせていただいてよろしいでしょうか」
偉の申し出に、小狼は今にも泣き出しそうな顔で答えた。
「……喜んで、偉」

197CC名無したん2018/08/08(水) 22:41:24.47ID:I94iJ75o0
「小狼様、肩の動かし具合はいかがでしょうか」
「大丈夫だ。とても動かしやすくできている」
ほとんど仕立て上がった式服を、小狼が試着して偉があれやこれやと微調整を加える。今まで何度となく繰り返されてきたことではあるが、今回はいつもにも増して特別に感じる。
「ところで、偉。実は彼女になにか贈り物をしたいと思っているのだが、どんなものが適しているだろうか」
「私に知世様のご趣味はわかりかねます、しかし……」
「しかし、なんだ?」
「いつか式服の採寸にご招待してはいかがでしょうか」
「……そうだな。きっと喜ぶ」

今日もまた、小狼と偉のなんでもない会話が弾む。
そんな何気無い日常が守れた事を、知世は一人、誇らしく思うのだった。

198CC名無したん2018/08/09(木) 19:08:07.86ID:YiBRd4rP0
2828する

199CC名無したん2018/08/09(木) 21:05:19.06ID:5Tq4JpY/0
「開けてみてくれ」
小狼から差し出されたのはなんの変哲も無い、小さな木箱だった。
「なんでしょう」
知世は刺しかけの刺繍を置いて、小箱を手に取った。小首を傾げて箱を開けると、紫の美しいビロードが敷き詰められているほか、中には何も入っていない。
代わりに、静かな、美しい曲が流れてきた。
「不思議ですわね。何も入っていないのにピアノの曲が……。魔法みたいですわ」
「魔法なんだ。俺と偉でかけた術で曲が鳴っている」
「お二人で、かけてくださったんですか?」
「ああ。まだ俺が子供の頃、よく偉と練習した術なんだ。魔力の制御を覚えるためにな」
初めて聞く話に知世は静かに耳を傾けた。
「でも、このピアノは……」
小狼が少し赤くなって顔をそらした。
「俺が弾いた。あまり上手く無いが、それは我慢してくれ」
素敵なピアノなのに、すぐに赤くなったり照れたりするところが小狼らしい。
そんな小狼の様子に自然と笑みがこぼれる。
知世はそっぽを向いたままの小狼に聞こえるよう、言った。
「大切にしますわ……」
小狼と偉の思いやりの詰まった小箱をぎゅうっと抱きしめると、なんだかぽかぽかと暖かかった。

200CC名無したん2018/08/09(木) 21:06:32.60ID:5Tq4JpY/0
クロウカードを集めていた時から小狼を見ていた知世は知っていた。
小狼の式服がカードの攻撃などで破れたり、痛んだ時は、それが綺麗に繕われていた事を。遠目からはわからぬよう、控えめな、けれど美しい刺繍によって。
それは、本当に心のこもった仕事だった。

「以前私がコスチュームをお作りした時、ある人におっしゃっていただいたんです。思いのこもった衣服をまとえば、それは何よりも強い守りになると」

だから、知世は小狼の衣服を一人で全て作ってしまわないのだ。
小狼を想う様々な人の思いを乗せたものを着てもらうことで、より強く、より優しく小狼を守りたいと願うから。
魔力はなくても、出来ることがある。これが、知世が見つけた、一つの答え。

201CC名無したん2018/08/10(金) 03:15:30.09ID:9reNsjLa0
ここまで知世ちゃんを魅力的に描けるなんて感動します
ある意味で知世ちゃんの世界一の理解者ですね

202CC名無したん2018/08/10(金) 14:16:25.48ID:1gDXSJpm0
本当に魅力的ですばらしい

203CC名無したん2018/08/10(金) 23:42:32.98ID:auiZbTsw0
気の向くままだいぶ書いてしまったんだけど、好意的に読んでいただいているみたいでよかった
なるべく原作・アニメのイメージから外れないように、
その上で、それぞれのキャラがもっと好きになってもらえるようなものにしたいと思っていたので
自分が書いたキャラが魅力的だと言ってもらえたのは何よりの賛辞です、ありがとう

204CC名無したん2018/08/11(土) 14:45:10.91ID:3Bpr5TxY0
たまらないですよこのSS
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205CC名無したん2018/08/21(火) 09:07:18.80ID:odG4Rg860
最高

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