その後、この巨大グラフを1,581頂点のグラフに縮小するのに成功した。4色で彩色できないものをコンピューターによるチェックで検証できたのだ。

デ=グレイはカリフォルニア州立大学ロサンゼルス校の数学者であるテレンス・タオに対して、数学の共同研究プロジェクト「Polymath(ポリマス)」で扱う問題の候補として、最小の5色グラフを見つける問題を提案した。

60年にわたる問題
Polymathは約10年前、ケンブリッジ大学の数学者ティモシー・ガワーズ[日本語版記事]が、数学分野での大規模なオンライン共同研究を促進することを目指して開始したものだ。
Polymathで扱う問題に関する研究は公開で行われ、誰でも貢献できる。デ=グレイは最近、双子素数問題に関して重要な進展につながったPolymathの共同研究に関与していた。

するとすぐに、オハイオ州立大学の数学者のダスティン・ミクソンと共同研究者のボリス・アレクジーヴが1,577頂点のグラフを発見した。
テキサス大学オースティン校のコンピューター科学者であるマライン・ヒュールは4月14日、わずか874頂点のグラフを発見した。4月16日には、頂点数を826にまで減らした。

こうした取り組みが、60年来のハドヴィガー=ネルソン問題がもう一度見直すに値するという期待をかき立てている。
西オーストラリア大学の数学者であるゴードン・ロイルは、次のように語る。

「このような問題にとっての最終的な解決法は、何か途方もなく難解な数学のようなものかもしれません。
あるいは単に、誰かの独創的なアイデアによって、多くの色を必要とするグラフが見つかるかもしれないのです」