https://wired.jp/2018/08/02/a-decades-old-math-problem/
2018.08.02 THU 19:00 WIRED

数学の60年来の難問を、「不老不死研究」の生物医学者がこうして解き明かした

60年にわたって数学者を悩ませてきた「ハドヴィガー=ネルソン問題」が、解決に向けて大きく前進した。
その立役者となったのは、「人間の寿命は1,000歳まで延びる」との主張で知られる生物医学・老化学者のオーブリー・デ=グレイだった。専門外である彼は、なぜ難解な数学の問題を解き明かすことができたのか。

頂点が826個あるこのグラフは、直線で結ばれた2個の頂点が同じ色にならないように色を塗るのに、少なくとも5色が必要だ。

シカゴ大学の学生だったエドワード・ネルソンが1950年に投げかけた、一見すると簡単そうな問題。この問題に数学者たちは、数十年にわたって頭を悩ませ続けてきた。

「グラフ、すなわち直線で結ばれた点の集まりについて考えよう」と、ネルソンは問いかけた。直線はみな同じ長さで、同一平面上にあるものとする。いま、すべての点に色を塗るが、連結された2点は同じ色にならないように彩色する。

では、この種のどんなグラフでも、無限個の頂点を連結して形成されたグラフでも、彩色するのに必要な最小の色の数はいくつだろうか。これがネルソンの問題だ。