「独標の11人」悼む調べ 松本深志高卒業生ら


 松本深志高校(松本市)の音楽部と吹奏楽部の卒業生や現役生徒でつくる「志音会(しおんかい)オーケストラ」の第6回定期演奏会が20日、
松本市音楽文化ホール(ザ・ハーモニーホール)であった。半世紀前、北アルプスを集団登山した同校2年生11人が落雷で死亡した際、
学校葬で演奏したベートーベンの曲を披露。出演者や来場者は悲劇を思い起こし、曲と向き合った。

 落雷に伴う遭難事故は1967(昭和42)年8月、北アルプス西穂高岳・独標(どっぴょう)付近で発生。
学校葬では、同校音楽部卒業生らがベートーベン作曲の交響曲第3番「英雄」の第2楽章「葬送行進曲」を演奏した。

 この日は10〜70代の約80人が出演。厳かな調べの葬送行進曲を奏でると、会場に哀愁が漂った。
フィンランドの作曲家シベリウスや、ブラームスの作品も演奏した。

 約350人が来場。安曇野市の女性(68)は「身近で亡くなった人への思いも込み上げてきて、曲が胸に迫った」と話した。

 定期演奏会は2005年に初開催し、ほぼ2年に1回開いている。「英雄」の演奏は今回が初めて。
代表の等々力康友さん(73)は学校葬の演奏にも加わったといい、「深志高にとって大きな事故。当時のことを思い起こしながら演奏した」とした。

http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180521/KT180520FTI090005000.php