なにがあったんだ?とか、やっぱ見たものを奥さんたちに伝えるべきだったかなとか思いながら体を洗って、
さっぱりして風呂から出ると、着の身着のまま携帯と財布だけ持たされて見覚えのない車に乗せられた。
助手席に座ってるおかんと、運転席に座ってるのは家の隣の神社の神主さんだった。
いよいよ悪ふざけでもないと気がついたので、神主さんに、「何かやらかしましたか…」と恐る恐る聞いてみれば
「いや、1ちゃんは何も悪くねえさ、ただなあ悪いもん持たされっつぁなあ…」
悪いもの?とか考えてたら、母さんが
「あんた、さっきの服のポケット何入れてた?」
と聞いてくる。
ポケットにティッシュいれっぱなしで洗濯機に入れてたことを思い出して、急にそのことで怒られるかと身構えると
「これ、見覚えある?」と何かを見せた。

ジップロックの中に入ってるそれは、非日常だった。
それ単体で本来邂逅することなんてほぼないに近い。
しかも今なんて言った?見覚えあるか?ポッケにまさかはいってたのか?

どう見たって、人の指だぞ、これ

背筋がぶわあっと粟立つ。
流れを増す今日1日の恐怖にもう既にかなり泣きそうだった。
「しら、知らんよ、なにそれポッケ入ってたん?嘘でしょ、」

「嘘じゃないんさ、とりあえずついて来ちまったもん元の場所に返さないといけっから。」

神主の言葉に、救ってくれるのかと少し安心して、後部座で頭をかかえる。

「とりあえず、何をみたのかだけ聞いていい?」

と母に聞かれかなり大雑把に説明をする。
母は何かを考えるそぶりを見せて、そう、わかった。と言った。