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変な出来事起こったから一緒に考えて欲しい
レス数が1000を超えています。これ以上書き込みはできません。
0001
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2023/07/21(金) 14:24:45.49ID:wjz9ewKd0
奇妙なことが起こって未だに訳がわからないから力を貸して欲しい
0952本当にあった怖い名無し
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2023/09/27(水) 01:36:06.03ID:Rb/MRBJV0
夜はもう普通に肌寒い
寝るねおやすみ
0953本当にあった怖い名無し
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2023/09/28(木) 00:35:00.64ID:d84lerpY0
「それは、大変でしたね」
彼は微笑みながらそう言ってきた。
―またこの目だ、人の心を見透かす目―私は手が震えるのを必死で抑える。
「僕の方でも調べましょう、隻眼の男と、もう一人は燕尾服の紳士?」
頷くしかできなかった、精一杯の意思表示だ。
―薬の話はしないほうがいいかもしれない―私は悟られないように、コーヒーを飲みながらそう思う。
「まだ何かあるでしょう?石工薙さん、全て話してください」
―やっぱり駄目か―だが、薬の話をすると病院に連れていかれそうだ。今はそんな事で時間を取られる訳にはいかない。
「病院に行かれたほうがいい、顔がまだ腫れてますよ。ご心配なさらず、そんなに時間はかかりません、いい医者を紹介します」
―観念するしかなさそうだ―私がため息を一つつく頃、彼は立ち上がる。
「でも、どうやってそんな発想に?えぇと、白き光がステッキの事ではないか、と」
帰り支度をしている私に彼はそう問いかけてきた、この時の表情は一生忘れられないだろう。
―いつもにこやかな彼がこんな表情をするなんて―私は驚きのあまり、視線を逸らすことができずにいた。
「遥かなる望郷〜3000年の時を越えて、パッカドキア来訪」(石工薙 武志)
0954本当にあった怖い名無し
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2023/09/28(木) 00:35:56.49ID:d84lerpY0
まだ33℃とかもう堪忍して…
寝るねおやすみ
0955本当にあった怖い名無し
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2023/09/28(木) 20:48:49.10ID:7K5O1rTO0
おおうめっちゃ進んでる!
今から追いつきまーす
しかし今年はほんと異常な暑さが続きますな...
0956本当にあった怖い名無し
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2023/09/28(木) 20:59:16.11ID:YmcykBJU0
これ最後話してるのはポコンペン?
0957本当にあった怖い名無し
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2023/09/29(金) 00:35:01.19ID:nCPxGS5w0
「約束どおりの時間ですね。ほら、あの人物がそうです」
彼はそう言って指を差した、どうやら地元の人物のようだ。
―小脇に大事そうに抱えているのが、"あれ"だろうか―
現地の言葉は全く分からないが、彼は挨拶を交わしたようだった。この現地の人は私の方を見ようともしない。
―侍者とでも思われたかな―こういう場合は、案外気楽なものだ。私が知りたい情報は彼が聞き出してくれるだろうし、引き出し方も彼のほうが上手い。
「さぁ、石工薙さん」
彼はいつもの人を見透かす笑顔で私にそう言ってきた。―やっぱりそうなるか―この時ばかりは底意地が悪いと感じてしまったが、
「大丈夫、ちゃんと通訳しますよ」
私は、渋々話し始めた。
「遥かなる望郷〜3000年の時を越えて、パッカドキア来訪」(石工薙 武志)
0958本当にあった怖い名無し
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2023/09/29(金) 00:36:37.52ID:nCPxGS5w0
こんな拙文を読んでくださってありがとう、嬉しい限りです
拙文ゆえに分かりにくいでしょうが、解説するともっと拙くなりそうなのでご想像にお任せします
寝るねおやすみ
0959本当にあった怖い名無し
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2023/09/29(金) 03:05:02.73ID:qvYDX3vf0
わけの判らん事が今起きてる
蒸し暑くて目が覚め水を飲んでまた寝ようとすると、隣で寝てる彼女がスク水を着て寝てる
そんなハズは無いけど起こすのは可哀そうだしどうなっていやがる…
0961本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/09/29(金) 03:11:01.19ID:qvYDX3vf0
朝にびっくりさせるつもりで彼女がイタズラしたのか?
彼女自身のスク水はともかく俺の着て寝てる物まで変えられるもんか?
0966本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/09/29(金) 23:12:52.54ID:qvYDX3vf0
朝は彼女がかなり早く起きててスク水は話題にもならなかった
問題はなんで俺が着てた水着を彼女が着てたのか、だ
0968本当にあった怖い名無し
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2023/09/30(土) 02:00:26.31ID:2A2PK3RA0
ミリジャケデニム神を戦いの神と思うなかれ
戦いの地におわさると思うなかれ
ミリジャケデニム神は安寧の神であらせられる
神代によき加護を、人代によき安寧を
争うなかれ、歪み合うことなかれ
(ミリジャケデニム教典外典)
0969本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/09/30(土) 02:01:14.43ID:2A2PK3RA0
旧スク水なのか、最新のか、それが問題だ
寝るねおやすみ
0971本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/01(日) 00:56:16.85ID:CNBx4Itq0
―これが、ステッキだというのか―
脚の感覚が少しずつ薄れていく、どうやって立ったらいいのかを、突然忘れてしまった。
どこにどう力を入れたら、人間は立っていられるのだろう。
いや、力を入れようにも、筋肉の感覚がないのだ。
今はただ、お腹辺りからふわりと浮いているだけだ―それが事実と異なっていようと―、私の身体は危うさの均衡を保っている。
眼下にある"それ"は、、赤茶けていた。
ほとんど形をなしていないほどに崩れ、これがステッキだと言われないとただの―陳腐な表現だが―ゴミだ。
吹けばバラバラになって消えてなくなりそうだ。
―消えてなくなればいいのに―私は本心でそう考えていた。
発見者だというこの現地の人は私のそんな様子を見て、手を二度、パンパンと叩き、
「お金、お金」
と、正当な報酬を要求してきた。
私は、眼下の"それ"から視線を逸らせないでいた。
「遥かなる望郷〜3000年の時を越えて、パッカドキア来訪」(石工薙 武志)
0972本当にあった怖い名無し
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2023/10/01(日) 00:57:07.77ID:CNBx4Itq0
結構急に涼しくなっていくみたいなので、皆さんご自愛ください
寝るねおやすみ
0973本当にあった怖い名無し
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2023/10/01(日) 01:44:00.06ID:vYkGimLG0
>>972
面白くないからほぼ読んでないけど
応援もほとんどないのに継続し続ける根性だけは天晴おつ
0975本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/02(月) 01:32:56.22ID:2IpyLYNz0
「石工薙さん」
ポコンペンが心配そうに声をかけてきた。
当然だろう、私の意気消沈っぷりは自分でもよく分かる。
"これ"がステッキだなんて、ありえない。
―だが―錆の塊を見る、ちょっとでも力を入れたら粉々に砕けるだろう。
"これ"を分析したところで、どんな結果が出てくるかなんて火を見るよりも明らかだ。
「こういうことは、考古学の世界ではよくあるんです」
だから気を落とさないで、とでも言いたいのだろう。ポコンペンの気遣いにはいつも救われている。
"これ"も、どうせ小遣い欲しさに嘘をついて持ってきたものだ。いくら私だってそこまで無知じゃない。
―問題はもっと別なんだ―"これ"をあのステッキだと紹介した人物こそが、一番の問題だ。
―このままでは、ミリジャケデニム神は―私は頭を抱えてうなだれるしかなかった。
「遥かなる望郷〜3000年の時を越えて、パッカドキア来訪」(石工薙 武志)
0976本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/02(月) 01:33:44.19ID:2IpyLYNz0
面白くないという感想も嬉しいです、ありがとう
寝るねおやすみ
0977本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/02(月) 21:39:33.70ID:MljK56ql0
いや俺は面白いでー
まとめ読みになる時もあるけど楽しいで
0978本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/02(月) 21:40:09.26ID:MljK56ql0
いや俺は面白いでー
まとめ読みになる時もあるけど楽しいで
0979本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/02(月) 23:54:30.23ID:FzXI3nHk0
「"あれ"が、ステッキです」
彼には珍しく、強い口調でそう断言した。
―あんなものがステッキの訳ない―彼だってそんな事は百も承知だろうに、なぜだろう。
「もちろん、僕もあれが本物だなんて思っていませんよ」
彼はいつもの微笑を浮かべる。
―つまり、彼もミリジャケデニム神を信じていない―ステッキの否定はタキシード教団への反抗にも思えるが、その実ミリジャケデニム神の否定に繋がる。
それが定説だった。
彼は懐からペンを取り出して、テーブルにある紙ナプキンに何かを書き始める。
―あれ?彼は左利きなのか―その時の私ははたっと気付いた。
そういえば、ギョエエ洞窟遺跡で殴打されたのは右側頭部だった。
―だが、まさか―必死に記憶をまさぐる。
あの時になにか違和感はなかっただろうか?どんな小さなものでもいい、"それ"が決め手になる。
「これを」
彼が紙ナプキンを渡してきた。意識が別のところにあった私は、驚いて飛び上がりそうになった。
紙ナプキンを見ると、住所が書かれていた。私は彼に視線を戻す。
「そこに落ち合いましょう、たまの全力疾走もいいもんですよ」
彼は言うなり、椅子を蹴飛ばす勢いで走り出していった。
私は、その姿をぽかんと見ることしかできないでいた。
「遥かなる望郷〜3000年の時を越えて、パッカドキア来訪」(石工薙 武志)
0980本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/02(月) 23:55:30.63ID:FzXI3nHk0
読んでくださるだけでも嬉しいのに面白いと言っていただけてとても幸せです、ありがとう
寝るねおやすみ
0981本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/04(水) 01:06:42.58ID:D9sPwNwD0
虚空を覆う天蓋は太陽を遮り、灼熱を防ぎ、清涼なる黒を与えるものである。
闇をつくり、安寧を与え、全ての生き物に安息の時を迎えさせる。
黒き天蓋は全てを取り込み、七色の罪を黒く染め、均一にし、分かち合う。
七つの罪深き光の終わりに現れし黒、その漆黒は全ての源とならん。
七つの地獄が沸き起こり、苦悩に照らされし生き物に黒き安寧を与える。
我らは闇夜に生きるものではない、我らが闇そのものである。
[黒者の書(写本-著者不明)]第六章第九節より抜粋
0982本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/04(水) 01:07:28.08ID:D9sPwNwD0
涼しいどころか寒くなるっていうね、急にね
寝るねおやすみ
0983本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/05(木) 00:49:55.57ID:oSZoGy2K0
「カラスとでも、読んでください」
全身黒づくめの人物が、愉快そうに言ってきた。
―冗談じゃない、なにがカラスだ―私はしこたま殴りつけられた頬の痺れに耐えながら、その自称カラス氏に失神させられた男を見た。
―この男の驚きとも怯えともとれる反応は、一体なんだったのか―数分前の記憶を探ってみる。
カラス氏は、唐突に現れ私を縛り付けた男を足蹴にしたのである。
―本当に、冗談じゃないんだよ―縄が解かれると、手足が一斉に痺れ出してくる。
正座の後立ち上がるのが困難な状態に似てるな、と私は手首をさすりながら苦笑した。
「私はここには来ませんでした」
カラス氏は唐突に、私を真っ直ぐに見ながらそう宣言した。
自分の顔が引き攣るのが分かる。
幸いにも歯は折れてなかったようだ、自然と苦虫を噛み潰していた。
「遥かなる望郷〜3000年の時を越えて、パッカドキア来訪」(石工薙 武志)
0984本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/05(木) 00:50:35.08ID:oSZoGy2K0
鯖が不安定過ぎる…どうなってるんだ
寝るねおやすみ
0987本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/06(金) 01:07:33.53ID:ES8lHgcy0
「貴方は危険な領域に入ってしまった」
カラス氏がいうと説得力がある。
目隠しをされて連れ込まれたここがどこなのか、皆目見当がつかない。
命の危険があるかどうかも全く判断ができない状況だった。
―今回ばかりは、まずいな―ミリジャケデニム神に関わろうとする人間は、皆どこかの段階である種の覚悟を決める。
もちろん私も覚悟を決めていた。
調査で危険な目に遭うことはこれまでも何度かあったし、私の恩師もそうだった。
恩師は文字通り命懸けでミリジャケデニム神を調べていたのだ。
ふと、あの隻眼の男の台詞が思い起こされる。
―まさかあの男が?―どくん、と自分の心臓が鳴る。
「引き返すなら今のうちです、そのように手配もできる。でもこれ以上進むのなら」
カラス氏はそこまで言って口をつぐんだ。
―なにがどう進んでいるのかさっぱり分からない―覚悟はしてる、だが、なぜ最近になって急にこんな事が立て続けに起きるのか、分からない。
―黒者の書に関わると危険だという噂が、事実だというだけか―私は深くため息をついた。
「遥かなる望郷〜3000年の時を越えて、パッカドキア来訪」(石工薙 武志)
0988本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/06(金) 01:10:28.90ID:ES8lHgcy0
楽しんでもらえて嬉しいです、頑張って完結するのが報いることかと思っています
寝るねおやすみ
0989本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/06(金) 20:57:07.09ID:RmbUUM8Y0
一気に寒さを感じる様になりましたね
完結しないようでしたら次スレに持ち越してもらっても一向に構いませんよ
0990本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/07(土) 02:13:48.73ID:oAbxtlAI0
「彼の指定した場所へはお連れできません」
カラス氏はそう言うと、車のドアをバタンと閉める。
こっちの方に行けば駅がありますから、と言い残して走り去っていった。
―つまり、彼の手の者じゃないという事か―辺りを見回す、深夜のせいか人影は見当たらない。
命を救ってもらっておいていう事ではないだろうが、こんな場所に置き去りにして危険だとは思わないのだろうか。
私は、カラス氏が教えてくれた方向に歩き出した。
歩いていると、思考に集中できる。私はここ数日の出来事が起きた理由を考えてみる。
―隻眼の男が実力行使に出る前になにがあった?―
肌寒い空気がまだ痛む頬を撫でる、その冷たさが心地よかった。
帰国してから彼に呼び出され、黒者の書とステッキの話をした―確かにあの晩、隻眼の男と酒を飲んだ。そして薬を盛られた―やはり黒者の書だろうか?
だが、それなら恩師に見せていただいた時は?あの後も恩師はお元気だった。もちろん私もだ。
―なぜ隻眼の男は、薬を盛るなんて危険を犯した?病院に行かれたらバレるだろう―危険を犯してまで、殺さず、退かせる必要があったということだろうか。
男と飲んだのは、ギョエエ洞窟遺跡に行く前の晩だった。その時じゃないと駄目だったのだ。
そして相手にとって喫緊の事だった。
―そうでないと、あんな強行策をとるはずがない―吐く息が少しだけ白かったが、身体は火照っている。
この感触はいつも"なにか"を掴みかけている時に感じる。
―つまり、黒者の書とギョエエ洞窟遺跡が合わさると困るという事か―やはり、白き光にはなにかある。
目の前に寂れた駅が現れた。
―ここまでは無事に来れたか―どうやら今は、あいつらにとって"その時"じゃないようだ。
「遥かなる望郷〜3000年の時を越えて、パッカドキア来訪」(石工薙 武志)
0991本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/07(土) 02:14:43.29ID:oAbxtlAI0
急な寒さは身体にこたえます、ありがたいですがなんとかこのスレで完結したいと思ってます
寝るねおやすみ
0992本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/07(土) 21:19:15.12ID:rR59/Ba+0
残り少ないので最後のレスにしておきます
完結楽しみにしております
0993本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/08(日) 00:10:48.38ID:5u76OMTp0
―冗談じゃない、なんのつもりなのか―憤慨やるかたないとはこのことだ。
隻眼の男は「俺は渉外担当なんでね」というと、がははっと笑う。
「覚えやすい顔してるだろ?それに一般人はわざわざ近寄って来ないしな。街中歩いても自然と道が拓けるんだ」
―冗談にも不快さというものがある―隻眼の男は私の様子を見て、はぁと大きくため息をつく。
「勘違いしてるか、無理もない。だが俺は敵って訳じゃないぞ」
むしろ味方だ、と男は言いながらいつもの短い葉巻を取り出した。
「一服盛ったのは悪かったが、そうでもしないと止められなかった。事実だろ?それに相手側の動きも早くてね」
そうか、車内は禁煙だったな、と小声で言うと葉巻をしまう。
「それに、あの薬は危険なものじゃない」
―倒れるような薬が危険じゃない?頭でも打ったらどうするんだ―私は怒りで震える手を抑える。
「まっ、そういう事だからな。あいつによろしく」
男は私の太ももを軽く叩く。この隻眼の男と共通の知人がいるとは思えない、住む世界が違うはずだ。
そんな私の様子を察して、男はさらに、
「ポコンペンにだよ、仲いいだろ」
と付け加えた。
「遥かなる望郷〜3000年の時を越えて、パッカドキア来訪」(石工薙 武志)

予定より残りレスが少なくなってしまったのでまとめます
読んでくださってありがとう、幸甚の極みです
寝るねおやすみ
0994本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/08(日) 23:14:17.57ID:y7SnquhK0
「いやだなぁ、僕はそんな人間じゃない」
彼は以前見せたような微笑とは全く違う、下卑た笑い方をした。
―こっちが本当の彼か―私は勤めて冷静に振る舞う。
「貴方もこの業界は長いはず、知らないとは言わせませんよ」
背もたれにもたれかかり、脚を組んでコーヒーを飲む彼には、もう面妖さを感じない。
「平たく言えば詐欺師ですか?僕はそう呼ばれたくないですけどね」
彼は鼻で笑う。私は、その余裕ぶった横顔を張り倒してやりたい衝動を抑えるのに必死だ。
「ミリジャケデニム神は熱狂的研究者がいますから、穴場なんですよ」
彼の侮蔑の眼差しを正視できない、以前のように見透かされると感じるからではない、怒りで我を忘れてしまいそうだからだ。
―相手の術中にはまっては駄目だ、"こいつ"は私を怒らせたいのだ―私は左の親指の爪の付け根を、右の親指の爪で強く押す。
痛みは冷静さを取り戻す手段だ。
「そうそう、貴方が言っていた二人の男ですが、関わり合いにならないほうがいい。本当に殺されますよ」
さてと、と彼は言うと、小銭を放り投げるようにテーブルに置く。
「僕はもう貴方にかかずらっていられない、もう消えますよ。貴方もそれを望んでる」
―水でもかけてやろうか―私が迷っている事を知ってか知らずか、彼は振り返ることなく喫茶店を後にする。
彼が去った後、途端に親指の爪が痛みだす。左の親指に目をやると、爪の付け根は血が滲んだように赤く変色していた。
「遥かなる望郷〜3000年の時を越えて、パッカドキア来訪」(石工薙 武志)

スク水のくだりが…想定外だった…
寝るねおやすみ
0996本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/10(火) 00:43:53.52ID:UXuaqXsu0
私は今、ギョエエ洞窟遺跡にいる。
―ここがミリジャケデニム教の始まりだ―この重厚で見事な祭壇は、その信仰心の厚さを伺わせる。
―クロイオス王国の民は、何を思ってここで身命を賭したのか―故国を追われ、洞窟に隠れてまで捨てなかった信仰を思うと、郷愁に似た想いが沸き起こってきた。
―落雷によって大敗を喫したクロイオス王軍、決して弱かった訳じゃない。ただ、運が悪かった―通路に沿って歩いていくと、クロイオス王がいかに僣王であったかを嫌でも感じてしまう。
この遺跡も、結局はタキシード教団の都合に合わせられているのだ。
白き光の詩は、タキシード教団でさえも存在を認めている。意味のない詩だと考えているのか、それとも、あの詩さえ利用しようと考えているのか。
ゴーヤーの聖なる集会を思い起こす。七色の配置に意味があるのだろうか?何度見ても違和感を抱く事ができない。
洞窟の中はひんやりとしていて、頭が冴え渡る。あの時とは全く違う、静粛で厳かなこの空間は、人を清廉にさせる力があると感じる。
―ステッキは、もう忘れよう。大事なのは白き光だ―一度はステッキを白き光だと考えた、しかし、それも違う。
―もし白き光がステッキなら、この彫刻はおかしい―浮き彫り彫刻の前に来た。照明によって陰影がつけられ、見る者に荘厳さを与える。
―ゴーヤーと同じ松明と蛇。これらが何を意味しているのか、この人物が誰なのか―
ミリジャケデニム神の謎を解く鍵はここにあるのだ。
「遥かなる望郷〜3000年の時を越えて、パッカドキア来訪」(石工薙 武志)
0997本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/10(火) 00:52:11.41ID:UXuaqXsu0
―松明と蛇はどっちもセヤカテの象徴?―
セヤカテとは、ヘルシアの古代神話に登場する女神の事だ。
冥界に住み、死や復活を司るといわれている。
「専門家のくせに、まさか知らなかったの?」
セヤカテを知らなかった訳ではないが、松明と蛇がセヤカテの象徴だとは知らなかった。
身体が熱くなってくるのが分かる。
―確か、ヘルシアの古代神話では、松明は月光、蛇は不死。そしてセヤカテは別名―
「凄いよね、死者の王女なんてあだ名」
―そう、死者の王女。そして無敵の女王ともいわれている―なんてことだ、こんな簡単な話だったのだ。
目眩がしてくる、過呼吸になっているのかもしれない。
―"あの人物"はクロイオス王でも、ましてやミリジャケデニム神でもなかった―松明で巨人に打ち勝ち、蛇を従える女神がここで出てくるのか。
「ちょっと聞いてる?人に質問しておいて。お腹でも痛くなったの」
電話口の妹は私の様子が変だと感じたようだ、事実、私は返答をする余裕すらなかった。
そういえば、ポコンペンはどこにいるのだろう?私は最近、彼と連絡が取れないでいた。
「遥かなる望郷〜3000年の時を越えて、パッカドキア来訪」(石工薙 武志)
0998本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/10(火) 01:11:28.97ID:UXuaqXsu0
あの浮き彫り彫刻も聖なる集会も、過去に向き合っているのではなかった。
未来を見ていたのだ、これからの世代に希望を託した。だがそうと知られてはまずい、周到に寓意を散りばめた。
暗号だ、同じクロイオス王国民しか知り得ない。その為にそれぞれの役割を担った。
黒者もクロイオス王国民もミリジャケデニム教徒も、強大な力、抗えない権力に打ち勝つ為に。
未来の子孫の為だったのだ。クロイオス大王の正当な後継者、名もなき王子が題材だった。
だが、王の血族は洞窟に近付くことを赦されなかった。再び歯向かってくる事を恐れ、王と民を引き離した。
クロイオス王軍の大敗が三千年前、浮き彫り彫刻が二千年前。千年ものあいだ希求され続けた王、民は王の再臨を祈り続けたのだ。
洞窟は冥界に、そこに住む民は死者に見立てられ、死者の王女の象徴を携える王子。
無敵の女王に付き添われていつしか王国民の大願を果たす為に。
そして、彼こそがその末裔なのだ、ポコンペン。
なぜ気付かなかったのだろう、ポコンペンはいつも蛇の腕輪をしていたじゃないか。
「これは仕方がないんです、掟というか責務というか。こんなの趣味じゃないんですけどね」
屈託なく笑うポコンペンを思い出す。
ギョエエ洞窟遺跡での解説、まるで自分の記憶を現実と照らし合わせているかの様な独擅。
黒者の紋章を見た時の違和感のある発言、知っていたのに初めて見たかの様な驚嘆。
私は、あの諦念を帯びた闇の潜む彼の目を思い出していた。
「遥かなる望郷〜3000年の時を越えて、パッカドキア来訪」(石工薙 武志)
0999本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/10(火) 01:30:29.18ID:UXuaqXsu0
「やはり君は、あの日が初めてだったんだな。あの洞窟に足を踏み入れたのは」
えぇ、とポコンペンは短く返答をした。
「禁忌でしたから、特に私には」
パーカーを被り静かに佇む彼は、私の知っている姿とは似ても似つかない。
―そうだろうな―私はどのように声をかけたらいいか迷う。
「でも、駄目だと言われると興味が湧いてしまう。石工薙さんにもそんな経験がおありでしょう?」
―雰囲気は違えど、やはりポコンペンだ―説明し難いが、私は確信した。
「三千年間、君の一族は虐げられてきた。だが故郷への想いがあったんだな」
私の言葉で、ポコンペンは静かに微笑む。その姿に私ははっとさせられた。
三千年と一口に言っても、想像もできない長遠な時間だ。それに、虐げられた歴史でもある。
年表に記された歴史じゃない、現実の生活、先祖から託された大願。
どれほどの重さだろうか?この若くて聡明で、心の優しい青年の両肩に、深く食い込む民の想い。
「遥かなる望郷、か」
私は自然にそう口に出していた。
「しかし、あの詐欺師にも感謝しないといけないかな。ステッキの話がなければ謎は解けなかった」
気取った表現の気恥ずかしさを隠すようにそう続けたが、ポコンペンの視線を一瞬、鋭く感じた。
―そうだ、まだ疑問がある―あの詐欺師は言っていた、神は二人いる、と。
―そしてポコンペンも、ミリジャケデニム神は二人いる、と―
「ポコンペン、君は以前―」
私の問いかけを遮るように、彼は左手の人差し指を立てて口の前にやる。
私は口をつぐんで彼を真っ直ぐに見た。
「ここでお別れです、石工薙さん」
彼は、ゆっくりとパーカーのフードをめくる。
そこには、私のよく知る、優しくて聡明で、諦念を帯びた闇の潜む目をしたポコンペンが微笑んでいた―完
「遥かなる望郷〜3000年の時を越えて、パッカドキア来訪」(石工薙 武志)

5ちゃんが不安定で投稿できない恐怖のために、本日一気に投稿しました
長々となってしまいましたが、完結することができたのはひとえに読んでくださった人達のお陰です
ありがとうございました
寝るねおやすみ
1000本当にあった怖い名無し
垢版 |
2023/10/10(火) 01:50:01.35ID:L4UVDGhc0
2ヶ月くらいでしたっけ?お疲れ様でした
最初こんな続くと思ってなかったけどほんと面白かったぁぁ
酷暑&残暑を乗り切るための俺の一服の清涼剤でした
また何か描いてくださーい
期待してお待ちしております。ありがとうございました
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