今からちょうど10年前の2008年5月、筆者は青森県の白神山地に居た。
遊びに行っていたわけではなく、山に入るちょっと特殊な仕事で現地に入っていた。
この時の筆者は20代前半、そんな20代の繁忙期、白神山地に入って、ちょっと不思議な体験をした事がある。
今日はそんな話をしてみたいと思う。

 2008年5月、人と荷物が満載の車を運転し、筆者は函館のフェリーターミナルに向かっていた。
天気は良好。出発してから4時間弱で目的のターミナルに着いた。
乗船手続きを済ませ、船員の誘導に従い車をフェリーの中に突入させる。
誘導された場所に車を停める。車から降りると、トラックのエンジン音と排気ガスの臭いが海水の臭いと混ざって独特の臭いがしている。

客室へ上がり、ウダウダしていると出港のアナウンスが流れ、のそのそと船が動き始めた。
この日乗っていたのは津軽海峡を渡る船。大部屋のマスにはトドになった人がゴロゴロとしている。
座っていると、尻が突き上げられては体がフワッと浮く。内臓が浮く感じがした。
この日の津軽海峡は、ことのほか波が荒かったのを憶えている。

そんなこんなでしばらくすると、着港まで後何分とアナウンスが流れたので車へ戻るのだが、
暇という地獄から開放されたせいだろうか、足取りがやけに軽い。
船のゲートが開き、車を船から滑らせるように出すと、新鮮な景色が広がっていた。青森に着いた。


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