インピーダンス式の体組成計の体脂肪率測定の工程はだいたい以下の3つ
それぞれの工程で構造上それなりの誤差が出て、最終的にはそれらが掛け算されるので誤差はかなり大きくなる

1.インピーダンスによる身体密度(体重/体積)の推定
2.密度法による体脂肪率の計算
3.水没法に基づく統計情報による補正


インピーダンスによる身体密度は、要は体に微弱な電流を流してその抵抗により身体の体積と密度を推定する

式はこう
体積 = 電気抵抗率(ρ) × 身長² ÷ インピーダンス

まず、電極が足にしか無いやつは、どっちかの足から入った電流がもう片方から出てくわけだから、電流は足しか通らない
上半身をどれだけバルクアップさせようが対象外なので、論外レベルの誤差が出る

手にも電極があるやつは一応全身流れるが、それでも電気というのは抵抗の少ない場所を流れるものなので、皮下脂肪の中は基本通らない
市販の体組成計で実際よりも体脂肪率が低く出る理由はだいたいこれ
また、皮下脂肪を頑張って落としても体脂肪率が変わらない理由もこれ


密度法による体脂肪率の計算式はこれ

体脂肪率 = (4.950/身体密度-4.500) × 100

よくみればわかるが、身体の体脂肪以外の部分の密度を完全に定数として置いてる

実際には体脂肪以外の部分(タンパク質、ミネラル、水など)の密度は人によって違うし、同じ人でも日によってそこそこ変わる

平均的にはだいたい近しい値になるとされているものの、個別には4%前後の誤差が出る


最後に上記で推定した値をベースに統計情報で補正する
統計情報ってのは、水没法で測った体脂肪率に関するたくさんのデータ

ただ、まず水没法自体に誤差がそれなりにある
人間を水に沈める際、肺や腸に空気が残ってるとそれが誤差になる

で、水没法で測った体積を基に上記密度法による計算をするので、ここでも誤差が出る

極めつけは、この統計情報を身長体重でリファレンスするから、対象が統計的な標準体型から外れるとまったく意味をなさない
例えばボディビルダーを対象にすると、8%もの誤差が出る(本当は10%なのに18%と出る)

また、体重が増えつつ体脂肪が減ったときにもまったくフォローできない


このような構造なので、例えば筋肉が増えて脂肪が減り、結果的に体重が変わらないという場合、体組成計の体脂肪率はまず変わらない
そもそも皮下脂肪が電流による調査の対象から外れがちだし、統計的には体重が変わらなければ補正のしようがないから