>>293
自分が後ろ向きなだけかもわからんが、パワーリフティングなんて「我成す事とは我のみぞ知る」の典型的なスポーツだよ。
気にかけてくれるのは、せいぜいジム仲間。競技会で競い合ってる選手。
パワリフの喜びとは自分の内部だけに生ずるものだ。

オレはパワリフしない奴に優勝おめでとうと言われたり、成績聞かれるのがイヤだった。
「お前らにオレがやった事の価値も意味も分かるもんかっ」てねw
マイナースポーツにはマイナースポーツの楽しみ方がある。

昔の小説だが、「江夏の21球」を書いた人(山際淳次?)のドキュメント小説に、スカッシュの日本チャンピオンと、シングルスカルでモスクワ五輪代表に選ばれたが不参加で行けなかった人の話がある。
前者は農村地帯のトヨタ自販のセールスマン。日中は普通に好きでもない車を農家の息子に売ってる。息子は農家を継ぐことを条件にセリカを買ってもらう。
「あんなヒョロヒョロに鍬が担げるのかね?」、「セリカに乗って田んぼに行くつもりなのか?」と内心では馬鹿にしている。
大きな試合に勝っても周囲の人は誰も知らない。彼も教えようとはしない。試合が終わって自宅のアパートに帰ると、彼女が背中をマッサージしてくれるのみ。
「幸せとはこんなものだ。これが幸せなんだ」と彼はつぶやく。

後者は有名な私立進学校にいたが勉強しないで何回も浪人し、不本意な大学に行き、無為の日々を過ごすしていた若者の話。
ある日彼はひらめく。もしオリンピックに出たら、自分の人生は変わるのでは?
どの種目が一番オリンピックに出やすいかリサーチし、シングルスカルを選ぶ。
最初の練習では転覆ばかりで船を前に進ますことも出来ない。しかし彼は懸命に努力し、本当にオリンピック代表になる。
しかしモスクワは日本のボイコットで行けなかった。彼はボートを止めた。

マイナースポーツの楽しみとペーソスに溢れていて、どちらのドキュメント小説も大好きだ。
「パワリフとはこういうもんだ」