最後に、トレーニーにとっての最強食材である鶏肉について補足しておこう。
 昔から、ボディビルダーたちのあいだでは、「筋肉をつけたいなら鶏肉がベスト」と言われてきた。
なぜなら鶏肉は、高タンパク・低カロリーのお手本のような食品だからである。そんな鶏肉のな
かでも特におすすめの部位は「ササミ」というのが定説だった。タンパク質の含有量は、ササミ
もムネ肉も100グラム中、約23グラムだが、ムネ肉は脂質が100グラム中、1.9グラムあるのに対
し、ササミは0.8グラム。鶏肉のなかでも最も脂質が少ないのがササミだからだ。ちなみに、モモ
肉は鶏肉のなかで最も脂肪が多く、皮つき肉の脂質は19.1グラムになる(ただし、皮を取り除け
ば4.8グラムに減る)。
しかし、私はどちらかというと、ムネ肉を推奨している。その理由は、疲労回復に役立つ成分が
含まれているからだ。
渡り鳥は何日間も眠らずに飛び続けることができる。人間には到底、不可能な芸当だ。そんな
ことができるのは、翼を動かしているムネ肉に「イミダペプチド」という物質が含まれているから。
 このイミダペプチドは、われわれ人間の疲労回復にも威力を発揮することがわかっている。
ニワトリは、渡り鳥ではないが、そのムネ肉にもイミダペプチドは含まれている。
 筋トレをした後に、鶏ムネ肉を食べると、イミダペプチドの効果で疲れが早くとれるというわけだ。