不思議なことに、なんら統計的あるいは実証的なデータも持ちあわせないのに、アプリオリに信じているところが歯がゆい。
ここでは筋力に話しをしぼるが、空手に限らず格闘技をこころざす平均的欧米人の筋力にたいする関心の度合い、知識、それに獲得するために費やす努力はすごいものがある。
すごいというのは日本人に比べてという意味で、本来格闘家になろうとするのならこちらの方が普通なのだといいたい。
最近では日本のスポーツマンもぼつぼつ筋肉トレーニングを本格的に取り入れはじめた者もでてきたが、具体的にその内容をみてみるとあまりのレベルの低さに愕然とするものがある。

努力してないといっているのではない。知識がなさすぎるのだ。
トレーニングというのは、まず、医学的、生理学的に合理的でなければならない。
医者に相談しているというプロスポーツマンもいる。
はっきり言わせてもらう。
スポーツ医学を勉強したり、自分で実践しているごく少数の医者をのぞいて大半の門外漢の医者に筋力トレーニングに関して的確な知識はない。
そもそも、正常な人間に過剰な筋力をつけるということは本来の医学の範疇ではないので、医者に責任はない。

理想のトレーニングとは、本人が遺伝的素質として持っている可能性の限界まで引き出す方法を見つけ、そしてそれを実践することだ。