茨木敬くんの日常
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主人公は茨木敬くん、33歳独身のヤクザです。
顔も身体も傷だらけで喧嘩もメチャメチャ強く、見た目は怖いけど心は優しい人です。
子供、女性、老人は絶対に殴ることが出来ず、スイーツが大好きです。
孤児院出身なので、特に身寄りのない人に対してはとっても優しいです。
そのくせお酒や辛いものも好きで、敵対する人をブッ殺したことも何度もあって、渋みが全身から滲み出ています。
そんな茨木くんの平凡な日常。さて、今日はどんなことが起こるのかな? 「ハァ!? 何のポリコレだよ? 俺は男女差別も人種差別もしてねぇぞ!?」
男は少しパニックを起こしながら声を荒らげた。
「大体、俺には『氷室狂う介』って立派な名前があんだ!」 後ろでドアが開く音した。
「なんだお前ら!?」
氷室は勢いよく振り向くと暴徒と思われる集団がなだれ込んでくるではないか。
「これはどういうことだっ!?」
暴徒の1人が叫んだ。
「まさか、女性を拘束して乱暴していた!?」
さらに暴徒の女がショックを受けたような口調で言った。
「なんて日だ」
それは氷室にとって予想外の事態だった。 「ククク。じゃ、この娘は俺様が保護するぜ?」
無線の声の主が顔を見せた。
長い髪を後ろで束ねた強面の男だった。歳は30前後だろうか。
その男の顔を見た途端、ヤーヤはなぜだか安心した。
「ついて来い、俺様が主人公だ」
男はそう言うとヤーヤの手を強引気味に握った。
「俺の名は茨木 薪火太郎だ。よろしくな」 「待って!」
後ろから月夜野 舞が呼び止めた。
「私達も囚われてたの。ヤンちゃんの友達なのよ。一緒に連れて行って!」
「囚われてたってゆぅかあ……」
苗場 愛が意地悪そうに言った。
「ま、そういうことにしとくかあ……」
薪火太郎は振り向くと、嬉しそうに言った。
「おお、『どっぺり坂46』の月夜野ちゃんと苗場ちゃんじゃねぇか」
そしてその向こうでソファーに座ってフェレットを撫でているお人形のような美少女の姿を認めると、感動の声を漏らした。
「なんと……! 牧区上 昆子がこんな所に……。こりゃ、嬉しすぎるプレゼントだぜ」 ヤーヤ、牧区上、月夜野、苗場の4人は薪火太郎に連れられ、大きな寺の一室に入った。
「ここが俺の家だ。まぁ、何もないが寛いでくれ」
「密室感がなくていいわね」
月夜野が広々と開け放たれた黒檀と畳の空間を見渡しながら、言った。
「お寺とかウケるー」
苗場がバカにするように言った。
牧区上 昆子は何も言わずにフェレットのぱるを抱き締めている。
「じゃ、ヤーヤ、仕事行く」
そう言って出て行きかけたヤーヤを月夜野が後ろから止めた。
「待ちなさい。今、TVにでも出たら、ウチのスタッフがあなたの不法入国のことバラしちゃうわよ?」 「行くもん。ヤーヤ、アイドルしなきゃだもん」
「あなたは台湾に帰ってひっそり穏やかに暮らすのよ」
「おい」
言い合う二人の間に薪火太郎が割って入ると、言った。
「ヤーヤ、お前を俺の養女にする」 「は?」
月夜野が思わず素っ頓狂な声を出した。
「よ、ようじょ?」
「日本国籍を得れば誰にも文句は言われんだろ?」
薪火太郎はヤーヤの返事も待たずに言った。
「早速明日、手続きに行く」
「ヤーヤの日本のおとーさん、けいちゃんだよ」
ヤーヤは無視するなとばかりに言った。
「ヤーヤ、けいちゃんの娘になる」 「アイツはもうダメだ」
薪火太郎はニヤリと笑った。
「あのバカは物語の中心からはずれて平凡な日常を送ろうとなんてしてやがる。もうアイツは主人公じゃねぇ」
「この物語を平凡で平和にすればいいでしょう?」
ヤーヤは抵抗した。
「サザエさんみたいにすれば」
「おいおいヤクザのサザエさんなんて誰が喜ぶ?」
薪火太郎は笑い飛ばした。
「茨木敬の日常は殺伐としてなきゃいけねぇんだよ」 「それから……おい、牧区上 昆子」
薪火太郎はそう言いながら、畳にへたり込むように座る牧区上のほうへ歩いた。
「お前は俺の性奴隷にする。いいな?」
薪火太郎は主人公の熱い眼差しを牧区上 昆子に見せた。
これを見せられたらどんなに高級な登場人物でも自分の虜になる筈だった。
しかし牧区上は薪火太郎をじっとりした横目で睨むと、言った。
「……バカ?」 「あ?」
薪火太郎は思わずキレた。
「……てめぇ、主人公様の言うことが聞けねぇのか?」
「誰が主人公だよ糞野郎が」
牧区上 昆子は顎で突き刺す勢いで睨みつけた。
「あたしの人生の主人公はこのあたしだ。決まってんだろ!」
「……おい、クロ」
薪火太郎がそう言うと、部屋の隅にいつの間にかいたクロが答えた。
「なんだ」
「どうなってんだ? 俺が主人公なんだから、何でも思い通りな筈だろ?」
「そうは行かん」
クロは鼻糞をほじりながら言った。
「あくまで物語に必要なことだけだ。必要ないことは思い通りにならん」 「そっか。ま、いいよ」
薪火太郎はそう言うと、牧区上 昆子のしなやかな腕を強引に掴んだ。
「一発やっちまえば女なんてチョロいもんだ」
「何すんだバカ! 離せよ!」
牧区上が抵抗する。
「らっ、乱暴はやめてあげて!」
月夜野が薪火太郎に協力するように、牧区上のもう片方の腕を拘束しながら、言った。
「ぴり子は今、壊れてるの。ペットが死にかけてて、仕事も出来ないくらい壊れてるのよ。だから主人公様の言うことにも従わないんだわ!」
「どうせ壊れてるんなら……」
薪火太郎は言った。
「廃人になるまで壊し尽くしてやるよ」
「そうね!」
月夜野は嬉しそうに笑うと、言った。
「さ、ぴり子ちゃん。このお方に壊し尽くして貰いましょ」
「離せや!」
国民的アイドル牧区上 昆子は、そう叫びながら皆の前で上着を引きちぎられた。
「いやーーっ! 誰か! 助けて!」 その頃、茨木と優太はいつもの大衆食堂で向かい合って飯を食っていた。
「中條ママが剛力組の組長になってからいいことずくめだよ」
優太が機嫌よさそうにメザシとハンバーグを同時に口に運びながら、言った。
「俺、なんにもしなくても金が入って来る」
「実質、新飛島組と剛力組は統合したようなもんだな」
茨木は豚汁定食を姿勢よく頂きながら、言った。
「今度タピオカミルクティー屋をチェーン展開するんだ。まぁ、俺は資金援助してやらせるだけだけど」
「タピオカミルクティーか。いいな」
茨木は少し羨ましそうな目をした。
「俺はどうもシノギってもんに興味がねぇのがいけねぇ」 茨木「よし。俺もタピオカミルクティー屋をはじめよう」
優太「おいおい。もしかして自分で工夫して経営する気マンマンか?」
茨木「ああ、ヤーヤと協力し合って新しいタピオカドリンクを開発するんだ」
優太「ヤクザが創意工夫してどうすんだ。ヤクザってのはな、資金だけ出して、バカに頑張らせて、売れようが売れまいが毎月10万のショバ代取りゃいいんだよ」
茨木「……たった月10万の収入でどうやって暮らして行くんだ?」
優太「それを何十件も抱えりゃ月何百万だろ。その上俺みたいに自分のフロ屋も持ってみろ。何もしないで月収数千万円だぜ」
茨木「俺は……そんな悪どいことは……」 優太「ヤクザがエプロンつけて自分で工夫してタピオカドリンクなんか真面目にせっせと作ってみろ。世間の笑い者だぜ」
茨木「……」 ちなみに茨木敬の収入源は所属する桜田門組から支給される給料のみである。
しかも固定給21万円だ。 その代わり仕事は非常に楽なものだった。
ヤクザと関わってさえいれば、何をしていてもいいのである。
そしてそのケンカの強ささえ維持していればよく、茨木は昼間は主にパチンコか街の巡回をし、夜は部屋で大人しくテレビを見ていた。 薪火太郎が上着を引きちぎると、国民的アイドル牧区上 昆子は黒い下着だけのしなやかな肢体を露わにした。
「ウヘヘ。まずは……」
薪火太郎が黒いブラジャーを外しにかかる。
「いやぁーーっ!」
腕を組んで抵抗するも空しく、牧区上のブラジャーは剥ぎ取られた。
薪火太郎が強い力で牧区上の腕を退かせると、先のつんと尖った形のいい乳房が晒された。 「待つ!」
ヤーヤは待てと叫びながら、薪火太郎に突進しようとする。
しかしその両腕を月夜野と苗場ががっしりと掴み、行かせない。
「やめる!」
やめろと言っても薪火太郎は止まらなかった。
自分も上着を脱ぎ、牧区上の身体を抱き固めながら、その乳房を堪能している。
「お手!」
「それは人間に言う言葉じゃねぇな」
思わず薪火太郎は振り向いた。 「こんなおとーさん、だめ! ヤーヤ、お前の娘なんかならないよ!」
そのヤーヤの言葉をバカにするように、薪火太郎は笑った。
「いや、お前は俺の養女になるんだ。これ、こんな風に、無理やり俺の娘にしてやるよ」
「だめぇーーっ!」
叫ぶ牧区上 昆子の黒いパンティーを薪火太郎は力任せに裂いた。 「ほぅら、可愛い黒猫ちゃんがピンクの舌を出してお出ましだ」
薪火太郎は牧区上 昆子の両足を掴んでそう言った。
既に自分の性器は取り出してある。
「お母さん!!」
泣き叫ぶ牧区上に構わず、薪火太郎はそこにむしゃぶりつくと、唾液でたっぷりと濡らした。
「おいおい。えらい綺麗なマンコだな。もしかして処女かい?」
薪火太郎は顔を上げると、愛液と唾液まみれの口で言った。
「では、いただくとするかな」 「待て!」
突然現れた謎の男を薪火太郎は一瞥すると、聞いた。
「誰だよ、お前」
「ククク。俺の名前はヨコヤ」
「ふーん。そうなのか」
そう言うと薪火太郎は狭い入口に肉棒をあてがった。
「やだっ!」
牧区上は身体をよじって抵抗するが、逃れられない。
「やめてっ! やめてぇーー!」
『ああ……メリケンサックさえあれば……!』
ヤーヤは変身用の武器を身に着けていなかったことを激しく後悔した。 「ギャオッ!」
突然、牧区上のフェレットのぱるが背中を怒らせ、鋭い牙を剥いて薪火太郎に襲いかかった。
身体は小さいとはいえ、ライオンに立ち向かったこともある小さな猛獣である。
「あ?」
薪火太郎はくだらないものを見るように、襲いかかって来るぱるを見ると、裏拳の構えを取る。
飼い慣らされたぱるの一瞬の野性は脆くも弾き飛ばされた。
「ぱる!!」
牧区上が自分の危機よりも重大な悲鳴を上げる。
病気に冒された体に暴力を加えられたぱるの身体は、投げられたタオルのようにくるくると宙を飛び、ヤーヤのほうへ飛んで来た。 『おねーさん』
ヤーヤにはぱるの声が聞こえた。
『ボクのぴりこママを守って』
ぱるはまっすぐ飛んで来ながら、長い身体を丸めた。
『ボクの力をあげるから』 ぱるはそのままヤーヤの拳に巻きつくと、メリケンサックに姿を変えた。
「ええっ!?」
「ぎゃあっ!?」
驚いて悲鳴を上げる月夜野と苗場を振り飛ばすと、ヤーヤは言った。
「アイヨー! Mode ferret!」 メリケンサックになったフェレットは、薪火太郎への怒りを形に変えた。
銀色のメリケンサックから長くはないが硬く鋭い牙が突き出し、それはドリルのように一回転してみせた。
「なんだそりゃ」
薪火太郎は面白くなさそうに舌打ちした。
「俺の楽しみを邪魔するなら、我が娘でも容赦しねぇぞ」
「娘じゃない!」
ヤーヤは吠えた。
「お前は人類の敵!」 「行くぞっ」
ヤーヤが飛びかかると、薪火太郎は背中を向けたまま、溜め息を吐いた。
「銀色白貂旋轉刀舞!」
今思い付いたばかりの技名を叫びながら、高速回転する牙を薪火太郎の肩めがけて繰り出した。 突然、薪火太郎の長髪を後ろで留めていたコヨリが切れた。
「オイ」
後頭部に凶悪な顔が現れ、ヤーヤを睨みつける。
「なんで肩なんだ」 ぎょっとして動きの怯んだヤーヤの頭を薪火太郎の手が掴む。
そのまま畳に叩きつけられ、ヤーヤは苦痛に思わず声を上げた。
薪火太郎は裏返っていた。
背中が胸になり、振り返ることなくヤーヤのほうを向き、前屈みになってぐいぐいとヤーヤの顔を畳に押し付ける。
しかし下半身は牧区上 昆子のほうを向いている。
ヤーヤから見えるのは薪火太郎の裸の臀部であり、怒張したペニスは向こうにある。
「黙って牧区上昆子が犯されるのを見てろ、この不良娘が」
そう言って上半身でヤーヤを押さえつけたまま、下半身ともう片側の腕で牧区上 昆子を犯しにかかる。
まるで宇宙生物のように不自然なその姿に、月夜野と苗場が揃って恐怖の声を上げた。 「バカにすんなよ、お前!」
後頭部の顔がヤーヤに言った。
「肩なんか狙いやがって! 俺様ナメてんのか!!」
「おお、きっつい」
前のほうの顔が、牧区上 昆子のヴァギナに亀頭を押し込みながら、言った。
「でも、入るぞ。ほらっ!」
みしみしめきめきと音を立てるように、薪火太郎の肉棒は牧区上 昆子の小さな入口に入り込み、獣のように叫び声を上げるその身体を貫いた。 「うぎゃあっ! ひっ、ひぎいぃぃっ!」
快感とは真反対の声を牧区上 昆子が上げるのも構わず、薪火太郎は奥まで難度も貫いた。
「ハハッ! あの牧区上昆子と俺がセックスしてるぜ!」
薪火太郎はヤーヤを引き起こすと、結合部を見せつけた。
「どうだ? すげぇだろ!」
「日本人は……鬼か?」
ヤーヤは涙を流しながら言った。
「バーカ」
薪火太郎は高笑いをすると、答えた。
「俺が神なだけだ」 「しかしちょっと締め付けがきつすぎるぜ」
薪火太郎は牧区上昆子に言った。
「おい、お前。もうちょっと力、抜け」
しかし牧区上は何も答えない。
歯を喰いしばって破瓜の痛みと心の痛みに耐えている。
「こりゃあちと締めすぎだ」
薪火太郎は腰を動かし続けながら、言った。
「小陰唇に歯が生えてたら食いちぎられそうだぜ」 その時、突然、牧区上 昆子の小陰唇にフェレットの鋭い牙が生えた。
「なにっ!?」
牙は薪火太郎の肉棒に噛みつくと、回転をくわえて根本からちぎり取った。
「なんだこりゃ」
薪火太郎は呆れたように自分の下半身を見つめた。
「なんなんだよこりゃ」
「ぱる!」
ヤーヤが快哉を叫ぶ。
「ぱるのがここから飛んだよ! すごいね!」
ぱるが変身したヤーヤのメリケンサックからは白い牙が消えていた。 「ふざけんなよ」
薪火太郎は股間から噴水のように血飛沫を上げながら、後ろの顔でヤーヤを睨みつけた。
「悪い娘め。お仕置きしてやる」 6月27日夜9時前、我が家のフェレットのはる君が天に召された。
リンパ腫。わずか一週間の闘病生活だった。
まだ一歳半。若いと病気の進行が早いらしい。
はるが息を引き取る前後、不思議な体験をした。
頭がはるのことしか考えられないこともあり、その体験のことも含めてあの夜のことを、この場を借りて記しておこうと思う。 外で知らない人に可愛がってもらうのが好きな子だったので、夕方涼しくなるのを待って近くの公園に連れて行った。
元気な頃のようには動けないが、それでも楽しそうに歩き回り、人や犬がいるとそちらのほうへフレンドリーに向かって行った。
3歳ぐらいの男の子を連れたご夫婦に声を掛けられ、可愛がってもらった。
もちろん病気のことや、余命2ヶ月を宣告されていることなどは伏せた。
イケメンのご主人が「可愛いなあ」と言いながら背中を撫でてくれた。
本当はもっと触り心地がいいんですよと言いたかった。
たぶんご主人、フェレットって骨と皮だけの動物なんだと思ったに違いない。 家に帰ると食事の用意をした。
筑前煮の下ごしらえをし、あとは火にかけるだけにしておいて、肉を焼いた。
はるはクーラーの効いた居間にいる筈だった。
しかしふと見ると、足元にはるがいる。
居間と台所を仕切る引き戸は閉まっている。
引き戸なら自分で開けることの出来る子だが、締めることは出来ない筈。
私が移動する時、ついて来てたのを気づかなかったのかな、と思いながら抱き上げた。
「これしたら私もいくからね」
そう言いながら居間にはるを戻し、筑前煮を火にかけようとした。
しかし、いくらやってもガスコンロの火が点かない。
さっきまで肉を焼いていたのに、元栓も開いているのに。
ガス漏れの安全装置でも作動したのかな? と首をひねりながら、後でチェックしようと思い、夕食の焼き肉を持って居間に移動した。 食事をしている間、はるは彼のベッドの上にいた。
しんどそうにぐったりしながらも、身体が痒いのか何度も後ろ脚であちこち掻いていた。
心配で食事をしながら私が見ていると、だんだんとはるが不自然なポーズを取りはじめた。
首が180度後ろを向きながら、前両脚が反対方向へ180度回り、天井を向いている。
「その格好、へんだよ」
私が言うと、はるが目を剥いた。
不自然な格好のまま、カハッと息を吐き、苦しみはじめた。
「はる!?」
私は慌てて箸を置き、近くへ寄った。
息を荒くして相当苦しそうなので、楽な格好にしてやろうと思い、抱き上げ、仰向けにしてやる。
その時にもうはるの息は止まっていた。
「はる!? はる!?」
私は呼び掛け、抱き上げた。
私の腕の中ではるの目から光が消えて行くのがわかった。 心臓が止まっているのを確認し、ぐにゃぐにゃになったはるの身体をベッドにそっと戻すと、私は号泣しながら残りの肉を口に突っ込み、外へ飛び出した。
私は辛いことがあったり不安に襲われたりするとすぐに車を運転する。
わあわあ泣きながら行く宛もなく街に車を走らせた。
それでも冷静に信号の変わり目を予測したり、他の車に譲ったりもしながら、私は車の運転が天職だななどと思って精神が安定するのだ。
3時間と少し車を走らせ、家に帰った頃には落ち着いていた。
たかがイタチが一匹死んだだけでしょ、と考えながら引き戸を開け、居間のはるを見た途端、また嗚咽が漏れた。
もう冷たく、固くなっているはるを抱き上げ、肉球を触った。
リンパ腫って何なんだよ、なんではるが死ななきゃならないんだよと何度も天を呪った。 項垂れながら、お風呂に入った。
本当は今日、はると一緒に入る予定だった。
浴槽に浸かると死にたくなりそうだったので、さっさと身体を洗った。
歯を磨こうとすると、超音波歯ブラシの電源が入らない。
明らかに充電切れだが、それなら前使った時に赤いランプが点き、震動も弱くなるので、気づかないわけがない。
ガスコンロのことといい、命が消える時には周囲のエネルギーが奪われるものなのだろうか。
お風呂を出て、ガスコンロのスイッチを入れると普通に点いた。 その頃、茨木敬は車屋にいた。
「やっぱり色はピンクがいいかな。ヤーヤが好きそうだ」
13年落ちのピンクのワゴンRを舐めるように眺めると、店員に言った。
「これ試乗できますか?」 「やれやれ……。極道モンが軽に乗る時代ですかい?」
店員は言った。
「お客さんみたいな見た目の怖いお人には、やっぱり外車のセダンに乗って欲しいもんですがねぇ……」 茨木敬「見た目で人を判断するな。それって『軽だから遅いだろう』と煽り運転する奴と一緒だぞ」 「なっ……なぜ私がアオラーだとわかった!?」
営業マンは上着を抜き捨て、正体を現した。 茨木「やはり貴様……アオラーだったか」
アオラー「ククク。ばれちまっちゃ仕方ねぇ、お客さん、勝負だ!」 アオラーは茨木の背にピッタリくっつくと、蛇行を始めた。
アオラー「オラオラ!」
茨木「くっ……! こっちが初心者の軽だからと付け上がりやがって……!」
アオラーは茨木をぶち抜くと前に回り込み、急ブレーキを踏んだ。
アオラー「オラオラてめー迷惑なんだよ!」
茨木「うわあああっ! あぶない!!!」 その頃、ヤーヤは薪火太郎に押さえつけられていた。
「ウッ、ウェイシャマ(どうして勝てないの)……っ?」
「悪い娘にはお仕置きだ」
薪火太郎の股間に新たな男根がゆっくりと生えてきた。 薪火太郎はヤーヤーの背後に立っていた。
「ハッ!?」
だがヤーヤは気付いておらず、突然消えたことに狼狽していた。
目の前から突然姿を消した彼を見つけるためキョロキョロしている。 「さあ、お仕置きタイムだ」
薪火太郎がボソリと言うと、ヤーヤは勢いよく振り向き反撃してきた。
だが薪火太郎の方が早かった、圧倒的に。
「わわっ」
薪火太郎の手捌きにヤーヤはなにも出来ず、
衣服を全て剥ぎ取られ、その裸体を晒した。 「えっえっ?」
薪火太郎の動きはヤーヤには目に追えず、
ただただぼう然とするしかなかった。。
「うーん、着痩せするタイプが」
薪火太郎はそう言いながら、ヤーヤのバストを鷲づかむ。
「なにーっ!?」
ヤーヤは胸から伝わる圧迫感にハッとし、
自分が全裸であることにここで初めて気が付いのだ。
「うるせえな」
薪火太郎は彼女の乳房を堪能する。片手に収まりきらないそれは、薪火太郎の手の動きに合わせるように様々な形に歪む。 薪火太郎は無言で反り立つポコチンをヤーヤの股間に押し当てた。 ヤーヤは抵抗しようとしたが、力が入らない。
「ううっ」
彼女は呻いた。薪火太郎のポコチンがヤーヤの膣口を押し広げながら少しずつ侵入してきたのだ。
「初めてじゃなさそうだな、まあいいか」
薪火太郎は腰に力を込めると一気に奥まで突き入れた。 「いや、待てっ!」
堪らず流を無視して茨木敬が突入して来た。
「そっ、それだけはイヤだ! それだけは許さん!」 だが薪火太郎もヤーヤもなぜか茨木には気づいていない。
「ウオア〜ッ!」
茨木は構わず薪火太郎にタックルをかました。 だが茨木は薪火太郎の体をすり抜ける。
「ファッ、何が起きたんだ・・・!?」
茨木は違和感を感じながらも薪火太郎に拳や脚の連撃を加えるが
それらはすべてすり抜けていく
薪火太郎は腰をヤーヤの臀部に打ち込み始めた。
パンパンパンと肉同士のぶつかる乾いた音が周囲に鳴り響く
「オアァァッ、やめろーっ」
その光景に茨木は発狂したように攻撃を加えるがやはり結果は変わらない。 茨木はアオラーとの勝負で相打ちとなり、すでに死んでいたのだ。 「や、やめてくれぇぇ〜え」
茨木は遂に子供のように泣き出した。
「その娘は……その娘だけは……」 だが薪火太郎はそれを嘲うかのように、
ヤーヤの臀部に腰を打ち付け続ける。腰の動きに合わせるように彼女の引き締まった臀部が波打ち、その背中の下では年齢の割には大きな乳房が揺れていた。
静寂に包まれた部屋に肉と肉がぶつかり合い、
乾いた音が鳴り響く。
それは茨木にとっては悪夢のような光景だった。今の茨木はうずくまり耳を塞ぐことが精一杯だった。
「くっ!!」
一方ヤーヤは屈辱に耐えながら反撃の機会をうかがっていた。しかしそれとは裏腹に膣の締め付けは強さを増していた。
「うおっこれは」
薪火太郎は思わず声を上げ、腰の動きを早める。
「あっ、くっ」
や そこへポリコレ騎士団が壁を破壊しながら乱入してきた。
「はわっなんだなんだッ!?」
流石の薪火太郎も驚いてイチモツをヤーヤから抜いて後退る。
「レイシストめ、しねぃっ!!」
騎士団員の一人が薪火に素早く接近して、
ポリコレソードを振り下ろした。
「がっ」
薪火太郎は咄嗟に躱したつもりだったが
自身の汗で滑ったあげく、別の騎士が繰り出した斧の一撃を腹部に貰ってしまった。
「ち、チクショウ…」
薪火太郎は薄れる意識の中、周囲を見渡す。
そこにはぱるやヤーヤの姿はなかった。 茨木敬の頭の中に黒い女の声が響いた。
《ザマァないな、茨木敬》
「ふぁっ、ふぁれふぁっ!?」
茨木は泣きながら誰何した。
《お前が主人公の為すべきことから外れようとするからこのようなことになるんだ》
「クロか!?」
《お前に平凡で平和な日常などあり得ない。辛い目に遭いたくなかったら苦しい戦いの中へ身を浸すしかないのだ》
「クロッ! 貴様っ!」
《クロではない》
黒い女の声は言った。
《私の名はメイファン。ラン・メイファン》 茨木「うるせーっ、ば〜かっ!!」
茨木は幼児退行を起こしていた。 メイファンと名乗った女の声は続けて言った。
《私は本当は日本語は喋れないのだが……》
《本当は中国語と英語とフランス語とドイツ語とヒンディー語しか喋れないのだが……》
《あ。一応チベット語とサンスクリッド語も解するのだが……》
《こんなことを言っておいて恥ずかしいことにネイティブ級なのは中国語と英語だけなんだが……》
茨木敬は言った。「もういいよ。それで?」
《今の私はいわば幽霊みたいなものだ。身体がなく『気』もなく、精神だけだ》
《ゆえにテレパシーのように日本語しか喋れないお前と会話することが出来る》
茨木はどうでもよくなってヤーヤを探しはじめた。
「おい! ヤーヤは? ヤーヤはどこ行った!?」
《ヤーヤはうまく逃げたようだ。だから安心して話を聞け》
「ヤーヤっ! どこだ!?」
茨木は慌てて早足で歩き出した。 「エッ、何事っ!?」
茨木が外へ出るやいなや、町はところどころ火の手が上がっているではないか。
辺りには人が焼ける臭いが漂い、
遠くから叫び声や銃声が聞こえる。
その様相を見て、ここが生まれ育った日本だとは思えなかった。
「ヤーヤっ!」
それでも茨木は娘の名を叫びながら戦火に包まれた街を彷徨う。 「おい」
電柱の陰からクロが声を掛けて来た。
「クロっ!」
茨木は振り返り、藁にすがるように聞いた。
「ヤーヤを見なかったか!?」
「人の話は最後まで聞けバカ」
クロは腕組みをしながら牙を剥いた。
「お前が主人公としてしっかりしてくれないから世界がこんな風に混沌としちまった」
「ヤーヤは!?」
クロの腕が突然、槍に変わり、茨木ののど元を狙った。
「何すんだてめぇ!」
茨木は間一髪避けると、クロを睨みつけた。
クロはもう片方の腕を棍棒に変えると、野獣のような目で茨木を睨み返した。
「もうお前、殺すわ」 「あ」
棍棒は既に振り下ろされ、茨木の脳天をたたき割る・・・
かに見えたが棍棒は彼の体をすり抜け地面に打ち付けられた。
茨木は既にこの世の人間ではなかった。
茨木の肉体はアオラーが起こした事故により、バラバラの肉片とかしていたのだ。 「フン。そうだったな」
クロは鼻で笑うと、言った。
「ならば私も霊体になろう」
クロの身体からうっすらと闇のようなものが抜け出し、茨木の前に立つ。
「お前……さっきの……?」
「そう」
クロから抜け出したそれは言った。
「ラン・メイファン。世界一の殺し屋だった者の霊だ」 >>749
「もちろん消すんだよ」
メイファンの霊は茨木の前でだんだんと形を作りはじめた。
「お前が邪魔だからな」
「どうやら俺はもう死んでいる。もう消す必要なんかないだろ」
茨木は自分が幽霊になっていることに気づいていた。
「現在の主人公ポイントを教えてやろう」
メイファンはメモ帳を見るまでもなく、記憶している数字を告げた。
「薪火太郎101pt、ヤーヤ91pt、飛島優太23pt。そしてお前、茨木敬が100ptだ」
「それがどうした」
「たった1pt差だ。何か主人公らしいことをして2pt得るだけでお前は主人公に返り咲く。わかるだろ? 主人公は不死身だ」
「つまり主人公に再びなれれば……」
茨木ははっとして呟くように言った。
「……生き返れるのか?」 ちゃめ『うわっ。あのスレの癖が出ちまってアンカーつけちまったw』 茨木敬の幽体は岩のように硬くなり、形を持ちはじめた。
「お前を倒し、肉体を取り戻す!」
「おいおい」
メイファンの霊はくねくねと煙のように身をよじり、バカにするように言った。
「私は女だぞ。女は殴れないお前に何が出来る」 「こんなことしてる場合か!」
茨木は我に返り、足のない足で地面を蹴った。
「女だろうと構わん! お前を倒し、日本を……じゃなくて身体をとりもろす!」
「へえ」
メイファンはバカにするように笑った。
「お前の信念って脆いねえ。いい加減だねえ、女は殴らんとか言っといて都合次第で簡単に覆すんだ?」
「ぐっ……!」
言葉に詰まった茨木は、もう何も考えずに攻撃を始めた。
「喰らえ! 『覇王色の覇気』」 そう叫びながら放った無数のパンチは、
メイファンの顔を体を、ガードした腕ごと粉砕していった。
「じゃあ僕、場違いなのでお先に失礼するね」
アオラーは三途の川へ行った。 「いたぁい」
メイファンは泣き出した。
「いたいよぅ。16歳の美少女にこんなことするなんてヒドぉイ……」 「……なんてな」
メイファンはニヤリと笑うと、全身を巨大な手裏剣に変え、回転しながら茨木に襲いかかった。
間一髪で避けたが、茨木は吃驚していた。
「全身砕いた筈だ!」
「そんなフリしたんだよ」
けろりとした顔でそう言うメイファンに茨木は続けて言葉を浴びせかけた。
「その身体……お前人間じゃねぇ!」
「ああ、人間じゃねぇよ」
「バケモノだ!」
「ああ、バケモノだよ」
そう答えるメイファンの目には少し涙が滲んでいた。 「違うわ」
茨木の背後で別の少女の声が言った。
「バケモノはあたしのほう」
茨木が振り向くと、そこには優太がいた。
優しく泣いたあとのような目をこちらに向けて歩いて来る。
「優太!?」
茨木は驚き、言った。
「お前、オカマになったのか!?」 「ゆーた?彼なら私の精神に飲み込まれたよ。」
目の前の人物はニタニタと笑った。
(まさかコイツ、飛島優太じゃ、ない…!?)
茨木は後退った。 「よう、ブフネラ菌」メイファンが言った。
「何よ、アブラムシ」優太に乗り憑っている何かが言った。
「私達は二人で一つだよな?」
「そうね。合体しましょ」
そんな会話の後、茨木の目の前で合体が始まった。 とは言っても優太の身体にメイファンがすうっと入り込んだだけだ。
「これで私達は完璧だ」
そう言うと、優太は着ているものをすべて脱ぎ捨て、全裸で襲いかかって来た。 だが茨木にふれることは出来ない。
彼は退場者だからだ。 「フン。舐めるなよ」
優太の口でメイファンはそう言うと、その口から霊気砲を発射した。
「これはただの私の乗り物だ。これ以外にも豊富に武器を搭載している」 「操縦してるのはあたしだけどねっ、キャハハハ!」
もうひとつの少女の声が発狂したような声で言った。
「動かすのはあたし、撃つのはメイ。逃げられませんよっ!」 突如、そこにヨコヤが現れた。
ヨコヤ「ククク...どうやら私の出番が来た様ですね」
優太「何者?物語をややこしくしないで」
ヨコヤ「ククク...」
遂に再登場を果たしたヨコヤ。
そう、彼は今この瞬間を待っていたのだ。
この物語は波乱を迎える事になるだろう─── 「隙あり!」
ヨコヤに気を取られていた優太のどてっ腹に茨木はパンチを入れた。 「私がうつくしいからでしょう?」
通りすがりの男にいきなり胸を揉まれた女性は、余裕の微笑みでそう答えた。 「そうだ、その通りだ」
通りすがりの男は頷いた。
「しかし、なぜだ? なぜ、君が美しいというだけの理由で、俺はこうして見ず知らずの女性の胸を揉んだ?」
女性は胸を揉まれるままにされながら、余裕の微笑みで男の話を聞いた。
「それ以前に……男はなぜ、見かけた女性が美しかったというだけの理由で嬉しくなる? もう二度とすれ違うこともないかもしれないのに?」 空中に乳房がぶら下がっている。
その先端を、男は口に含んだ。
手など使うことなく、唇と舌だけで、男はその実を揺らし、濡らして行く。
んああ、んああん。
上から女のはしたない声が降ってくる。 男の名はヨコヤ
通りすがりの死神だ
女はララ
亡霊だ ヨコヤは腕をララの下のほうへ伸ばすと、自慢のイボつきの中指を立てて子猫ちゃんを刺激した。 「何すんねん!」
ララは自慢の股間蹴り上げトルネードキックで応戦する。 ヨコヤ「お前らの出番はもうお終い、お疲れ様でした。」 「き……効いてないの?」
必殺の金蹴りを受けてけろりとしているヨコヤの顔を、ララは信じられないといった面持ちで見つめる。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています