0053創る名無しに見る名無し
2019/11/23(土) 19:59:28.62ID:G3AU7B9Eラントロックは怪訝な顔になって問う。
「……スフィカさん?」
「本当は、人間に成るのが怖いんだ。
本当に人間に成れるのかも。
もし、失敗したら、どう仕様か……。
そんな事ばかり考えてしまう」
深刻に悩む彼女に、ラントロックは言う。
「もし成れなくても大丈夫。
俺はスフィカさんを見捨てたりしないよ。
どこかで潜(ひっそ)りと暮らそう。
禁断の地みたいな、共通魔法使いの目の届かない所で、静かに暮らすんだ」
「有り難う、トロウィヤウィッチ」
スフィカに感謝されたラントロックは、少し困った顔をした。
「『トロウィヤウィッチ』じゃなくて……。
スフィカさんも俺を名前で呼んでくれないか?
俺は『ラントロック・アイスロン』だ。
『トロウィヤウィッチ』は魔法使いの名前、バーティフューラーは一族の名前。
俺自身はラントロック」
「ラントロック?」
「そう、ラントロック。
長いならラントで構わない」
「分かったよ、ラント」