ブラゴ「なるほどな。そうなると最後の戦いの鍵は、『ディオガ級』や『シン』といった高位の呪文の勝敗ではなく」

シェリー「そう。小さな呪文を乱発して、いかに清麿の思考を奪うかよ」

シェリー「どんな魔物でもそうだけど、私達の呪文は特に高位のものほど長いのよ。『ニューボルツ・シン・グラビレイ』、『シン・バベルガ・グラビトン』、『ディボルト・ジー・グラビトン』…」

シェリー「これじゃいくら呪文に威力があったって、唱えきる前に清麿に『答え』を出されて終わりよ」

ブラゴ「なるほどな…となると俺達がこれから磨く呪文は初級呪文か良くて中級…」

シェリー「そうね。良くてギガノ・レイスやリオル・レイス、ザンク・マレイズってとこかしら。最も真っ正面からぶつけてもマントで防がれておしまいでしょうけど」


ブラゴ「ならばガッシュの死角から打つか。あるいはマントで守れない0距離から呪文を打つか…」

シェリー「いずれにせよ機動力がキーとなるわね。初級術を移動しながら乱発して、私も囮になったり、清麿の本を奪いに行ったりしないと」

シェリー「杖は要らないかもしれないわね。清麿の場合当たる前に避ける答えを出されて終わりよ」

シェリー「近距離で立ち回ればバオウ・ザケルガも出しにくいかもしれないわね」



ブラゴ「なるほど。戦い方次第では清麿の力は生かしにくいように誘導できそうだな…とすると最大の問題は奴らの最大呪文。『バオウ・ザケルガ』だな」


シェリー「もし唱えられたとしても、『シン』なら相殺できそうだけど?」

ブラゴ「‥いや、おそらくあの呪文を相殺することができるのは、清麿が『相殺目的』であの呪文を唱えたときだけだ」


シェリー「…え?」

ブラゴ「そうか…人間には分からないだろうな。あの呪文の力の本質が」
ブラゴ「あのガキのバオウは、清麿の『答えを出す者』の力より、余程理不尽な力だ」



シェリー「清麿の『答えを出す者』の力よりも!?」


ブラゴ「あの術はただの雷の竜ではない」
ブラゴ「本来はぶつかれば相殺するはずの敵の魔力を、『噛み砕いて吸収する』術だ」