夜になると、ゾルヴェインとその配下達は呑気に酒宴を開きどんちゃん騒ぎをしはじめた。
一方、ノインは一人で寝ずの番をしている。
私はバッジを通じいとりに内緒話をする。

(やれやれ、お互い大変なことに巻き込まれてしまったな……。
ただソロモン殿やノイン殿は悪い人間ではないと思う。
私は彼らと共にナナシとやらと戦いながら帰る方法を模索しようと思う。
闇雲に動いたところで帰れるとも思えないしな。
ソロモン殿は召喚の術式が使えるなら送還の術式が使えても不思議はないだろう。
私はノイン殿からいろいろ聞いてみるとしよう、彼は異界から召喚された者の中でも特殊な立ち位置なのかもしれない。
そなたはソロモン殿とお喋りしてみてはどうかな)

というわけで、私は寝ずの番をしているノインに声をかける。

「ノイン殿、一人で番は大変だろう。昼間は何度も世話になったな、改めて礼を言うよ。
私達より以前に召喚された、と言っていたがこの世界に来てかなり長いのか?
いや、随分とこの世界のことに精通していると思ってな。
それにソロモン殿の信頼も厚いように見える」

もしかしたら、彼がこの世界に召喚された最初の異世界人なのかもしれない、等と思う。

「今回の儀式で召喚されたのは私といとり嬢の二人のようだが以前に召喚された勇者達も大勢いるのか?
彼らは今も各地でナナシと戦っているのだろうか。
そういえば……ブレイヴ殿は何者だのだろう。
ソロモン殿は“こちら側の人間”と言っていたがこの世界の人間でもナナシと戦える能力を持つ例外もあるのだろうか」

答えが返ってきたらもうけもの、ぐらいの気持ちでとりとめもなく疑問を口にする。