>「……ふん! まあ、今回は英雄たるソロモン殿の顔を立てて寛大にも許すとしよう!おい、行くぞお前たち!」

「……助けられてばかりだな。今後は軽率な行動は慎むとしよう」

と、先程までブレイヴと会話していたいとりが、魔法で作ったらしいいぶし銀なピンバッジを渡しにきた。

>「これを持ってる人同士の間で、テレパシー……って通じるかな。心と心で会話できるようになる、魔法のバッジだよ。
 とりあえず、今回一緒に来た人たち向け。
 あ、勝手に思考が漏れたりはしないから安心してね」

「君の魔法はそんなことも出来るのか! 凄いな……。有難く貰っておこう」

同時に似たような世界から召喚されいとり嬢は、一番私と感覚が近そうである。
……いとりに怒られそうだから口には出さないが、魔法少女仲間でもある。
今回みたいな偉そうな輩が現れた時に内緒で愚痴を言い合うのに丁度よさそうだ。
一方のブレイヴは、ソロモンの横を素通りし、馬車の方へ向かう。

>「ブレイヴ、無事じゃったか……」
>「ブレイヴ…?」

出発を急ごうとしていたらしきブレイヴに、ノインが声をかけて引き止める。

>「ブレイヴ。廃村とはいえ屋根と壁が有れば雨風は凌げる。それに、寛大な伯の事だ。配下や客分の者に毛布の一つも提供してくださる筈だ」
>「先を急ぐ気持ちは判るが、今は屋内で少しでも体を休めるべきであろう」