リレー小説「中国大恐慌」
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2018年11月21日、中国東部を超巨大規模の停電が襲った。
北京周辺から上海周辺にかけて、地上から電気が消え、人々はパニックに陥った。
これはそんな架空の中国が舞台の物語である。
主人公の名前は李青豪(リー・チンハオ)。
29歳の青年である。通称は「ハオさん」。
愛称は「ハオ」。 数分後、ハオはまたリウ號機に尻の穴を掘られていた。 リウ號機の左肩から、ララが生えてきた。
生えてきたララはみるみる大きくなり、
リウ號機は彼女に吸収され、背中にリウの顔が人面創のようにチョコンと残る程度となった。
「見てハオさん、私やっと自分の体を手に入れたんだよ?」
ララの顔をしたそれは潰れたラグビーボールを繋げたような腕を広げハオを優しく抱きしめた。 「うげぇ」
ハオはララのために闘う気をなくしてしまった。
そして誰もが死んでしまい、ララも自分を殺した。
(完) 「まだだっ!」
ハオは立ち上がった。
「まだまだ! 思い出せ、ハオ! 優しくて可愛い、本当のララを!」
顔を上げた。
「大体このままじゃ俺、誰かが言ったような、マンコとお世話目当てで女に依存してるだけのクズに成り果ててしまう」
拳も上げた。
「俺はそんなんじゃない! たとえ今までそんなんだったとしても、そんなんじゃない自分になりたい!」 「ハオさんがどんなに否定してもクズなんだよ。」
死んだはずのララは呻きながら言った。
「ララ、生きとったんかワレ!」
ハオは横たわるララを見ながら叫んだ。
「…あはは、リウを完全に殺すために死のうとしたけど怖くて無理だった。」 「おい」リウは遂にブチ切れた。「お前ら、ええ加減にせぇよ」
リウは立ち上がると、左肩からララを無理矢理引っこ抜き、自分の前に立たせた。
立たせたララに右から左からビンタを往復させる。
ララの顔が紫になって倒れると、今度はハオを無理矢理立たせた。
「グダグダグダグダやりやがって。堪忍袋の緒が切れたわ!」 リウがハオに何かしようとしたとき、
男の叫び声の後、銃声が辺りに響き渡る。
振り返ると警官隊がリウに銃を向けていた。
しかしリウの傷はララの残りかすによりみるみる再生していく。
「くそったれ!」
異形のリウは標的を警官隊に変えた。その隙を突いて怪物のララはハオに乗り換える。 「そんな悪い子はお兄ちゃんの妹じゃありません!」
ハオは固く口を閉じ、ララの入居を拒否した。 つもりだったが、実体を得てしまったため乗っ取りは失敗した。
「ちくしょおおおっ、ちくしょおおおっ」
ララは悔しそうに叫びながらその場から逃走した。
「あっ」
ハオは全裸の彼女を追いかける 実体を手に入れたララの脚は速かった。
体力に自信のあるハオがどんどん引き離されていく。
「くそ、ララを早く捕まえないと、走る変態女として新聞に載っちまう。」
だがハオは息をきらして立ち止まってしまった。 ララはハオの中に戻ってもなお発狂が止まらなかった。
「ララ! 正気を取り戻せ!」ハオはララに支配されはじめながらも叫んだ。
ララはけたたましく笑い叫ぶばかりで声は届かない。
「ララ……。公園のご飯、美味しかったよなぁ……?」
ハオはなんとかララに優しい記憶を取り戻させようとする。
ハオの顔はどんどん紫色の毛細血管に染められて行き、ボコボコと音を立ててあちこちから角のようなものが生えてきた。
「アガアアアア愛してるんだ! ララ!」
キャハハハハと遠くからララの笑い声が響き、ハオは気が遠くなって行く。
「この時を待っていた」
背後から女の子の猛獣の声がした。
ハオを支配したララが振り向くと、鋼鉄と化した竹棒の尖端がすぐ目の前にあり、眉間を強く打つ。
倒れはしないものの脳にショックを与えられてフラフラしているハオの身体の下から黒豹が飛び上がる。
メイファンはハオの首を両腕で締めてぶら下がると、口に激しく噛み付いた。
「グァグァ!!」メイファンはそう唸ると、一気にララを吸い込んだ。
すぽんという音とともに、あっけなくララはメイファンの中へ収まった。 「あれっ? リロードしたつもりだったんだけど……」メイファンはポリポリと頭を掻いた。 むぅ。とりあえずララのカラダは誰のものなのか?と、メイファンは生きてたにしろ動けないんじゃなかったか?の説明をしなさい 「フッ。簡単なことだ」メイファンは説明を始めた。
「私は基本的に体力ではなく『気』で身体を動かすのだ。リウと闘うまでは出来んが、ハオを襲うぐらいは出来るわ」
「私が死んだということについてはただポカーンとしておった。顎骨折と手指骨折と細かな外傷程度で、なんか私、死亡確信されちゃった!?」
「ララの身体は巨大化したリウ・パイロンをちぎり取ったんじゃないか? これについてはよくわからん」 よく見たらララが2つに分かれていた。
メイファンが吸い出したララはメイファンの中に、
逃げ去ったララは全裸で逃げ去っていた。 「何だそれ、面倒臭いな」
メイファンはため息を吐いた。
「ま、つまり。狂ったララは私の中、身体を得たララは逃げ去った、ということか」
メイファンは自分の中に戻ったララが暴れているのを少しだけ感じた。
しかし長年ララを住まわせているメイファンは、ララにとって言わばバスチーユの監獄であった。
支配しようとしてもびくともしない、操縦しようと思っても操縦桿が存在しない。
「お仕置きだ、そこにいろ」メイファンは自分の中のララに言った。「やはり社会経験の乏しい奴を自由にさせるとロクなことにならん」 リウは警官隊と激しいリウ無双を展開していた。
「あっ。面白そうなことやってんな!」
メイファンはそう言うと竹棒に『気』を集め長槍に変え、振り回しながら参戦に向かった。 警官隊が一斉にメイファンに向かって発砲した。
メイファンは超高速で振り回す槍で銃弾を弾く。
「キャハハハ!」
立ち並ぶ警官達の首を次々とはねた。
「おい! メイファン! 殺すな!」リウが叫ぶ。
「だってぇ〜。これがぁ〜」メイファンは可愛くそう言いながら首を飛ばしまくった。「私の仕事ぉ〜」
人民武装警察部隊が出動した。武装した装甲車が甲高いキャタピラの音と地響きを伴って現れる。砲台がこちらを向く。
「わぁ、これ無理ぃ〜」メイファンが可愛く言う。
「仕方ない」そう言ってリウが超低空アッパーを打った。
装甲車は亀のようにひっくり返り、動きを止めた。
「ハオ! 貴様も来い! 成長するチャンスだ!」メイファンが振り返り、叫んだ。
「だ、だれが行くかぁぁ〜」ハオは腰を抜かして泣いている。 ハオはカラダを得て逃げたララのほうを必死で追いかけた。
カラダを得たのでセックスのできるララだ。でもそのカラダはリウ・パイロンのカラダだ。ハオは走りながらちょっとだけ吐いた ハオは途中に放置され横たわる原付バイクを見つけた。
ハオはバイクに乗り込むとそれで追いかけた。 ハオは前方にララを発見した。ララは筋肉モリモリで走る衝撃でおっぱいが揺れていた。 一時間の逃走劇の末ララはハオに捕らえられた。
「キャハハッ、捕まっちゃった。」
体を得たララは狂った方のララだった。
メイファンに吸われた方は人体で言うところの外皮に当たる残り滓だ。 流石のメイファンとリウも近代兵器にはかなわず、1時間の攻防の末に捕獲されどこかに連れて行かれた。 護送車に乗せられ、連行される間中、メイファンはぶつぶつ言いながら距離を図っていた。リウの顔は緊張し続けている。
「2……1……来るぞ!」
そう言うとせーので二人は強化ガラスの窓を容易く割り、素早く窓から飛び出した。
「えっ?」慌てて警官がとぼけた声を上げる。
その頭上からアメリカの超小型ミサイルがあっという間に降って来て、護送車を爆破した。
その炎を背に、メイファンとリウは急いで東へと走る。
『施設』からちょうど20kmと10m離れたところだった。 「ハハッ。これでお前も立派な犯罪者だな!」メイファンが嬉しそうに笑う。
「なってしまったことは仕方がない。これからどう生きるか、それのみだ」リウはトーストを食べながら言った。
二人は邯鄲のオープンカフェで遅い昼食を取っていた。のどかな町の風景のすぐ向こうに山脈が聳えている。万里の長城がすぐそこに見えた。
「言い遅れたが」メイファンが言った。「アメリカはお前を攻撃対象から外したそうだ」
「そうなるだろうとは思っていた。俺がただの散打王だとそのうち気づいてくれるだろうとな」
「さっきのミサイルは私一人を狙って来たものだ。お前は自由だぞ」
「自由?」リウは肩をすくめて笑う。「お尋ね者だぞ?」
「我が国の警察などザルだ。簡単に逃げられるだろ。人民解放軍は私の支配下にあるから敵は人民警察だけだ」
「ザルまではいかんだろう」リウは思わず笑った。
「あの長城をずっと歩いて逃げるというのはどうだ」
「トレーニングにはなるな」リウは冗談で言った。
「東端は私の故郷の甘粛だぞ。そこへ住め」
「お前を疎外した町にか」
「なら、どうする?」
「とりあえず西安へ一度帰る」リウはハンバーグソースのついた唇をナプキンで拭くと、言った。「どうしても会いたい女性がいる」 「俺のことより」リウは心配した。「お前は大丈夫なのか。あれほど警官を殺しておいて」
「おいおい」メイファンはドヤ顔で答えた。「私は天来殺人者(生まれつき殺人者)だぞ?」 リウを見送り終わった直後、メイファンの中のララに異変を感じた。
「…なんだ?」
メイファンの中のララはゆっくりと溶けるように霧散してしまった。
「…してやられた?この私が?」
メイファンを騙すためにわざと吸わせた残り滓だということに気が付いた。
「…くくくっ、……ゆるさん。」
メイファンは笑っていたかと思えば、眉間にしわを寄せ、瞳の中に怒りの炎燃え上がらせた。 町を外れた往来で、ハオは捕まえたララに何度も繰り返しキスをしていた。
ルージュも何もつけていないのにピンク色の、真ん中のぽってりとした唇が可愛くて。
身体のほうは極力見ないようにした。
「念願の身体を得たんだな、ララ」
美味しいキスを繰り返しながらハオはうっとりと微笑んだ。 そしてその下ではララのマンコがヒクヒクしながら
ハオのチンポを今か今かと待ち構えているのだ。 ハオはちょうど近くにあった温泉へララを連れて入った。
お湯をかけるとみるみるとその身体は丸みを帯び、白く柔らかい女体に変わる。
ハオも着ていたものを全て脱ぐと、優しい笑顔で抱き締めた。
ララはずっと無表情に虚空を見つめていたが、ハオの体温を全身に感じて少し唇を開き、小さくその身を震わせた。
「抱くぞ?」
もう抱いているにも関わらずハオはそう言い、ララの白いうなじに口づけ、ゆっくりと舌を這わせた。
ぴくんとララの腰が震え、顔が悔しそうに歪む。
逞しい胸を柔らかな胸に優しく擦りつけながら、そそり立った肉棒をお腹に強く押し付ける。
指を頭の後ろから背中、腰、お尻まで這わせ、前に回して差し入れるとララの割れ目はすっかりとろとろに蕩けていた。
「ララ……愛してる」
そう囁きながらハオはララを寝かせる。
豊かな桃饅頭のような白い胸を揉み、乳首を心行くまで舌と唇で苛めると、顔を下のほうへと移動して行く。
「ぁぅ……ぉ……お兄ちゃん……」
ハオはゆっくりとそこへ辿り着くと、すぐには舐めず、その周り中へキスをお見舞いした。
「は……早く……お願い」
「やめてほしいの?」
ララはいやんいやんと首を横に振った。
「はっきり言ってごらん」
「クリトリスが……泣いてるの」
「泣いてるのはココだよ?」
ハオは割れ目に人差し指をあてがうと、左右に揺らして苛めた。愛液をたっぷりと指先につけると、クリトリスに塗りつけた。ララが泣き声を上げる。
「もっと泣かせてやるよ」ハオはそう言うなり割れ目に舌を這わせた。「お帰り、ララ」
「あったかいよ」ララは涙を流して腰をくねらせた。「あったかいよ、お兄ちゃんの……」 びっくりして眺めている他の客の視線など気にもせず、ハオはララの小陰唇を掻き分け中指を入れる。
それをお腹の裏側から突き上げ、ぐりぐりと擦ってあげるとララは大きくのけ反った。
それを続けながらクリトリスを舐めては啄み、へその中に舌を入れて愛おしみ、乳首をまた苛め、顔に戻って来るとララのほうからキスをして来た。
蕩けるような唇を割って舌を差し込むと、すぐにララもそこに柔らかい舌を絡め、二人は長い間キスを続けた。
キスをしながらハオの手が脚を開かせる。生の肉棒がゆっくりとヒダを割って入って来た。
ララの唇が離れ、苦しみと愛しさが混じり合った声を上げる。
ハオはそのまま奥まで挿れると腰を強く押しつけた。子宮口の上を亀頭で圧迫され、ララの膣が音を立てて締まる。ぴったりとハオを掴んで離さない。
ハオはそれでも強引に肉棒を引き出すと、また優しく強く、奥を突いた。
ララの声が大きくなり、ハオの動きが速くなるにつれて小刻みになる。肉と肉とが打ち合う音が浴場中に響く。
ハオは抱え上げたララを回転させると俯せにし、湯の音をざぶざぶ言わせながら後ろから突きまくった。
後ろで順番待ちするように立っている老人を手で追っ払うと、肩を掴んでララを立たせ、プロレス技を決めるようになおも背後から突き上げる。
ハオの揺れる金玉がララのクリトリスを容赦なく叩く。
二人は幸福と快感にたまらない声を上げると、同時に絶頂へと達して行った。 ハオとララの横でオザワ先生と蓮舫もまた同時に絶頂へと達したのであった。
「そっちの味はどう?」
「入口近くにひっかかりがあってなかなか良かったよ」
「じゃ、交代しようか」
「よかろう」 ハオはララの中に射精を遂げても、なおもララのことが可愛くて仕方がなかった。
岩の上に伏せて呼吸を荒くしているララの耳許で愛を囁き、もう一度行為を開始しようとしたところで警官達に取り押さえられた。
二人は別々にされ、それぞれ取り調べを受けた。
ハオは死んだことになっていたのを取り消され、世帯主のシン・シューフェンに連絡がなされたが、今はこちらのほうが亡くなっていた。
強姦でないことが確証されると、公然わいせつの罪で10日間だけ拘留されることになった。
ララのほうは少し難しく、ラン・ラーラァという人間が存在しないので、不法滞在の外国人かと疑われた。
もしやスパイではないのかと、身元が判明するまで地下の拘留所に監禁されることになった。 もちろんオザワ先生は公然猥褻及び強姦及び国際スパイの罪で処刑された ハオは監禁されている間、ララに会いたくて仕方なくはあったが、心配はしていなかった。
どうせあのオッサンが何とかするだろう、そう高を括っていた。
「ララを救わねーのかよ!」
執務室でメイファンは習近平を愕然として見つめる。
「ララちゃん……リウ・パイロンの身体でハオ君と人前でファックしたそうだね」
習の脳裡にはとてもおぞましい絵が浮かんでいるようだった。
「そんなおぞましい子はもう私の娘ではない」
「ララがいねーと私も働けないぞ」
「そんなことはないでしょう」
習は無表情に言った。
「治療なら我が国の最高医療を施す。何よりもハオ君と……」
習の顔が憎しみと怒りで険しくなった。
「ハオ君と出来てしまったララなどもう何の価値もない役立たずだ! 国際スパイにでっち上げ、死刑にしてやる!」 その頃、留置所ではララが脱獄して大騒ぎになっていた。 身も心も化け物なってしまったララにとって脱獄は朝飯前だった。 まもなくメイファンにハオとララの暗殺の指令が下り、彼女も2人の捜索に当たっていた。
だが習達が中国全土を血眼になって、一ヶ月間探し続けたが見つからなかった。 メイファン「いや、そんなザコどもの暗殺なんか私の仕事じゃねーから。国家に危害を与えるでもなし」 その頃ララとハオはアメリカにおり、
タケルという活動家の助手として働いていた。 そして習の努力もむなしく二人を捕まえることも、
その手がかりすらなくさらに一月が過ぎた。 家に帰るとメイファンはひとりぼっちだった。
前はリウパイロンがいたが今はいない。ジャン・ウーもいない。
習がたまに会いに来る場合もあるが彼では
この孤独と退屈の埋め合わせにはならなかった。
飲む酒の量が増えた。眠れない日が続くようになった。 ___ ヽ __
|  ̄フ / 7
ト、 /|\ /ヽ/
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ー/一 ヽヽ ヽ,__/_ 〈/ ノフ __l__ __|__ −/一 ヽヽ ヽ,__/_
/ −¬ /∨ ヽ '-rヽ|工| 、/ 、.| / −¬ /∨ ヽ
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∠__人 )
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下ネタ ( ゚_/)dVレi
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)`チ ( `ヽー1___ 〔
j ガ ( 丿 ,、``´ヽ,
) ウ l´ _>,、/ `-、ノっ
`vヽ( ゙-' 「ズーランさん」
名前を呼ばれて二階の窓から顔を出してみると、リウ・パイロンがこちらを見上げていたので、ズーランは慌てて隠れ、窓を閉めた。
「無理もない」リウは呟く。
町を破壊しているという噂の極悪人が何の用だと怯えているに違いない。リウは用件だけ窓の外から告げて消えることにする。
「シャオ・ホンフーとジンチンさんの居場所を知っていたら教えてほしい、それだけなんだ」
リウは暫く待ったが返事がない。仕方なく他を当たろうと踵を返しかけた時、再び開いた窓から一枚の紙片がひらひらと降って来た。
拾って開いてみると『シャオをいじめるな』と書いてあった。
なるほどシャオはズーランの部屋にいるのかもしれない。店を失い泣きついて来た男に情が移り、住まわせることになったのかもしれない。
シャオは惚れた女と想いを遂げることができたのだろうか。人と人の間は塞翁が馬だ、もし想像通りだとするならば、自分は結果的に良いことをしたのだろうか?
そんなことをニヤケ顔で考えながら、シャオを探すのはやめることにして、リウはジンチンを探しに向かった。
あれだけの怪我をしたのだ、どこかの病院にいることは間違いがなかった。
リウはジンチンに自分の身体が噛みつき、肉を引きちぎった時のことをはっきりと覚えていた。
必死な顔だった。醜くも、誠実な顔だった。
どれだけ傷つこうともララを救い出す覚悟を決めている顔だった。
どれだけ外見が醜くとも、精神の美しさが現れた顔だった。
あんなに必死で誠実な人間の顔を見たのは、30年の人生の中でも僅かに2回目だった。
膵臓癌の痛みをまったく周囲には気づかせもせず、美しい笑顔で観る者を圧倒する女優がかつていた。
永遠の愛を誓い、自分が妻とした女だった。
肉体の強さは男に敵わないとしても、精神の強さは男は女性には敵わないのだろうか。
肉体は弱くとも『気』の力を自由自在使い、自分と互角以上に闘う女だっている。
「尊敬するぜ、素晴らしき女ども」
そんなことを心の中で呟きながらリウは歩いた。 ふとあの白梅の咲く寺院の裏庭へ行ってみたくなり、足を運んだリウは驚いてしまった。
口の周りの肉が齧り取られたままの姿のジンチンが、あの時と同じように石のベンチに座っていたのだ。
「ジンチンさん」
声を掛ける前から彼女はリウに気づき、嬉しそうに笑っていた。
「よかった。また会えただなァ」
「病院には行っていないのですか!?」
「必要ねェだよ。元々ひでェ顔だァ」
ジンチンはそう言って、裂けた口を大きく開け、黄色い歯を剥き出しにして笑った。リウはその顔を心から美しいと思った。
「僕が連れて行こう。僕がつけた傷だ」
「いいってェ。それより……」ジンチンはリウの中を覗き、言った。「ララちゃん、無事に出ただな?」
「ええ、彼女の一番好きな、愛くるしい顔をした妹の中へ無事帰りました」
「よかったァ」ジンチンは心から嬉しそうに笑った。「本当によかったァ」
「隣に座っても?」
「オデなんかの……」ジンチンは頬を染めた。「本当に……オデなんかの隣でよかったら」
どこかで聞いた台詞だった。などと記憶を辿るまでもなく、リウにはわかった。
(『こんな私で……』シューフェンは泣きながら笑顔を浮かべた。『本当に……こんな私でよろしければ』)
そうだ。プロポーズをしたシューフェンの返答の言葉だ。
リウはジンチンの横顔を激しく見つめた。
自分にはジンチンやメイファンのように、ララが誰かの身体の中にいてもはっきりとわかることは出来ない。
もしかして……リウは思わずにいられなかった。もしかして、ジンチンの中には、シューフェンがいるのではないのか? 暫く二人は白梅の花びらが軽やかに降る中、並んで座っていた。言葉は必要なかった。
やがてリウが口を開いた。
「ジンチンさん」
「リーランって呼んで」
「リーラン? 本名なのか?」
「さすがにヤォバイ・ジンチン(揺れろ、心のままに)なんて名前はねェだよ」彼女は笑った。
「格闘家らしい素晴らしい名前だと思ってたよ」
「ゲヘヘ……」
「リーラン」
「あい?」
「僕と一緒に来てくれないか?」
「え? どこへだァ?」
「日本だ」 メイファンは二人の会話を陰に隠れて聞いていた。
ララを探すのを手伝ってほしいと思い、リウに助けを求めに来たところだった。
『日本……?』
気を消すのはメイファンの得意技だ。リウは聞かれていることにまったく気づかずに、話を続けた。
「僕はもうこの国にいられない。罪をいくつも重ねてしまった」
「アンタの罪じゃねェだよぅ!」
「そんなことわかっちゃ貰えないさ。日本に住んでいる友達が何人かいるんだ。彼らを頼ろうと思う」
「アンタ……この国にいれば、国民的英雄なのに、勿体ねェだ」
「僕は反中国共産党なんだよ。元々この国に馴染んではいない」
「そうかァ〜」
「リーラン、君にも一緒に日本へついて来てほしい」
「……オデなんか連れて歩いて恥ずかしくねェだか?」
急に二人は沈黙した。メイファンにはリウがジンチンにキスをしたのがわかった。
「君は綺麗だ」リウは真剣な声で言った。「今、生きている人間で君より綺麗な女性を僕は一人も知らない」
『畜生』なぜだかメイファンはとても悔しかった。『どんな美人だ』
壁から覗き見をして、思わず声を上げてしまった。「ヒッ!」
「メイ!」リウに気づかれた。
メイファンは姿を見せ、ジンチンをまじまじと見た。見た目が醜いだけのものなんかすぐに見慣れてしまった。
「聞いていたのか」
「フン……。貴様、日本なんかへ行くのか」
「世話になったな。何の礼も出来ずに行くが、すまない」
「フン」メイファンはなるべくリウを見ないようにして言った。「これで完全に敵同士だな」
「そうだな」リウはまっすぐに見て、言った。「お前は中国共産党の家族、俺は国外から中国民主化を企む戦士だ」
「中国共産党なんかどーでもいい。ただ、仕事でお前を殺しに行くことはあり得る」
「いつでも来いよ」リウは笑った。「また殺し合おうぜ、俺の最高の妹」
「チッ」メイファンは顔を伏せてしまった。「日本なんか行くなよ。中国人嫌いがいっぱいいて、いじめられるらしいぜ」
「俺がいじめられるタイプに見えるか?」
「シューフェンさん置いて行くのかよ? ひでぇ奴だな」
「もちろん連れて行く。位牌も、髪の毛も、形見のネックレスも」
「私は!」メイファンはそう叫んでから何が言いたかったかわからなくなってしまった。「私は……行かねーからな」
「いや、いつでも遊びに来いよ」リウはニヤニヤと笑った。「俺はお前のお兄ちゃんだからな」
突然メイファンは走り出した。寺院の角を曲がり、公園を抜け、足に『気』を込めて、走って、走って、走り続けた。
リウが行く国はそんなに遠くではない。しかしその距離よりも遥かに遠い所へ行ってしまうような気持ちがして。 夜、メイファンは自分の部屋に一人でいた。
今まで一人でいたことなんて一度もなかった。
いつでもララがいた。ララがいなくなってからは、眠るまでリウが側にいてくれた。
ピンクのウサギのぬいぐるみを抱き締めながら、呟いた。
「友達欲しいなぁ……」
考えたら主要キャラ4人の中で友達がいないのは自分だけだった。
リウには数えきれないほどいるし、ハオにはズーランがいる。ララにさえ施設内に友達が多くいるし、ジンチンとは親友だと聞いた。
いつかララに言われたことを思い出す。
『メイは人をモノみたいにすぐ壊す。だから皆メイのことを怖がって、猛獣みたいな目で見るの』
「ララだけいればよかったんだよ」
メイファンはそう呟くと、空っぽになった自分の身体を強く意識してしまい、ぬいぐるみを強く抱き締めた。
「だって友達なんか作ってもつまんねーからすぐ殺しちまうに決まってんじゃねーか」
しーんとした部屋に耐えられなくて、大好きなリー・ロンハオの音楽をかけてみた。
しかし今日のハオ様はなぜかよそよそしく、別のハオのほうが懐かしくなってしまった。
「あぁ……ハオの腕、斬り落としてぇ……」
イメージの中、斬り落とした腕をすぐにララが治してしまった。
「二人でアメリカにいるだと? なんでそんな敵国に……なんでそんな遠くにいんだよ?」
ララとハオが笑顔でアメリカン・ドッグを食べてディズニーランドで遊んでいる光景が浮かぶ。
「なんでそこに私、いないの?」声がくぐもる。「なんでララ、私の中にいねーの?」 溶鉱炉は夜も忙しく稼働していた。
メイファンはその上に立ち、飛び込もうかなぁと考えていた。
別に死ぬのは怖くない。自分が死ぬのなんかどーでもいい。仕事中に何度か死にかけた時も他人事のようにリラックスしていた。
「でも、私が死んだらララが悲しむかなぁ……」
想像してみた。ララはハオとディズニーランドで笑っていた。
「死ぬか」
メイファンは飛び込んだ。 「あむなーい!」
そう叫びながら、ジェット・エンジンを背負った男が飛んで来て、メイファンを抱き止め、向こう側へ着地した。
苦しまずに一瞬で死ねるようにと気を解いていたので、何も反応できなかった。
「」 「あむないなぁ、死ぬところだったよ?」
「誰だ貴様」
「ここの職員だよぉ」
「死ぬ邪魔をするなボケ」
「多感な時期の女の子はいろいろある。わかるよ。わかるけど……」
「お前が死ねカス」
メイファンは手刀で職員の首を斬り落とそうとした。しかし彼は鮮やかにそれを避けた。
「まったく、お年頃だなぁ」
「凄いな、貴様」
「てもね、死ぬ気になれるなら何でも出来る!」
「うざいな、貴様。とりあえずお姫様抱っこやめろ」
「僕が友達になってあげるよ」
「うぜぇ、やっぱ殺す」
職員は再び手刀を避けた。
「女の子がそんなもの振り回しちゃダメっ」
「まぐれじゃないのか。貴様、何者だ」 「君はね、まだ人を愛することを知らないんだ」
「んだと、コラ」
「それでいて人から愛されることも拒絶する、一体君に何があるんだ?」
「うわー、いるいる、こういう人のこと知ったかのように決めつける奴!」
「君はでも、実はもう、人を愛することを知ってしまっているんだよ?」
「きもっ」
「素直になりなよ。自分に正直になるんだ」
「自分に正直にか」メイファンは男の腕を掴むと、ベキバキと音を立ててひねった。「これが私の正直だ」 「そうかそれが本当の気持ちなんだね。」
男はにこやかに答えた。
「あ?」
メイファンは男の返しに違和感を覚えた。次の瞬間、
「わたし、ララお姉ちゃんに会いたい。私寂しいよ…辛いよ…。ううっ、グスッ…。」
突然、自分の口が動き喋り始めた。目から涙も溢れてきた。
だがメイファンの意思ではない。感覚がないのだ。涙が頬を伝う感触も口を動かす感触もないのだ。
誰もいないはずのメイファンの中から何者かが這い出てきて
彼女の体の使用権を奪ってしまったのだ。 それは世間においてはありふれた、「ホンネ」という名で呼ばれる怪物だった。
「ぬあぁぁハオぉぉ! 許さんぞ! 貴様! イヌやブタ以下の存在のくせに!」
「ぅぅぅぅぁララァ! なぜ私を捨てた! 許さんぞ! 貴様だけは絶対に許さん!」
「おおおお兄ちゃんだとぉ!? リウ・パイロン! あのバケモノ女を殺してお前を奪ってやる!!」
メイファンの涙はだんだんと赤く染まった。 メイファンはリウを棒で突きまくって弱らせ、ジンチンをバラバラに刻んで殺し、
手錠にかけたリウに一本ずつ針を刺し、気が済むまで「愛してる』と言わせる妄想をし、うっとりとする。
しかし自分はおそらくアメリカの衛星カメラにより監視されている。
施設より20km以上離れれば、自動で小型追尾ミサイルが発射される仕組みになっているのだろう。
メイファンは自分の部屋に閉じ籠り、リウ・パイロンやララを思う存分愛する妄想をするしかすることがなかった。 もちろんハオのことはバラバラに切り刻み、ララに治させ、またバラバラに切り刻むのを繰り返した。 ノースキャロライナの青い空の下、中国から移住して来た男女がビルの一階を借りて、太極拳教室を開こうとしていた。
「ララが英語喋れるからホント助かるよ」
「メイがネイティブ級だからね〜。あたしはそれに付き合って勉強したからちょっと喋れるだけ」
ハオは段ボールを運びながら、段差に躓いた。
「わぁ」と叫びながら中身をぶちまける。中国から持って来たお菓子、お茶、カップラーメンなど。
「もぉ〜、ハオハオったらいつまで経ってもドジなんだからぁ〜」
「ララぁ、膝打っちゃった。血が〜、血が〜」
ララが手を当てるとみるみ傷は塞がる。
「ついでに頭の悪いのも治しましょ?」
そう言うとララはハオの頭に白い手を当てる。ハオはそれを掴んでぐいと引っ張ると、引き寄せたその唇にキスをした。
「だめぇ。お兄ちゃんとのキス、美味しすぎるからぁ」
「止まらなくなっちゃう?」
「止めちゃ嫌ぁ〜」
二人は通行人が前を行き交う中、座ったままもつれ合い互いの甘くて柔らかい唇と舌を貪り合った。 最近、メイファンの部屋にあの例の男性職員がやってくるようになった。
「…んでね。ハオってやつがね…。」
いつしかメイファンはその男性職員に心を開き愚痴をこぼすようになっていた。
「うん……うん…」
男性はただ黙ってメイファンの話を聞いて頷いているだけだったが、それでも彼女にとっては安らぎとなっていた。
ある日、ふと思ったメイファンは「…お前の名前は?」と尋ねた。
「僕の名前かい?僕は…タケル。」
「…タケル、日本人か。」
メイファンがそう呟くと、タケルはマスクを外した。
「…!」
メイファンはその顔を見て驚愕、激昂し飛び掛かろうとした。しかし、
(…違う、似てるけどよく見れば別人だ。ハオじゃない。気の色も違うし。)
と別人だと気が付くとベッドの上に座り込んだ。 メイファンはリウ・パイロンの唇を切り取ると自分の口に咥え、ちゅっちゅっと音を立てて味わった。
「お兄ちゃんの唇、美味しいよぉ〜」うっとりとした声で言う。「あそこがじゆわあぁぁってなっちゃう」 「もしもし、お取り込み中のところすいません」と、二人に中国語で男が話しかけて来た。
「あれっ?」振り向いたハオが声を上げる。「お前、メイファンの手下の猪八戒じゃん」
「ブーちゃん、何でいるの〜?」ララが目を丸くする。
「習近平様より伝言です。一度、中国へ帰れとのこと」
「やだよ。俺達はアメリカ人になるんだ!」
「ブーちゃんもこっちに住もうよ〜。楽しいぞ〜」
「実は……」猪は声をひそめた。「例の計画をいよいよ実行します。つまりここは危険なのです」
「例の計画?」ハオがきょとんとする。
「えー、アレ、結局やるの?」ララが言った。「中止にすればいいじゃん。あんなのハオハオが死んじゃうかもしれないのに」 ララ「ていうか私たち犯罪者な上に、私なんて帰ったら殺されちゃうじゃん。」
ハオ「…うん、ここで帰ったらなんのために苦労してアメリカに逃亡したか分からないよ」 「国務指令一三五六零です」猪は厳しい顔をして言った。「拒否は出来ません」
「はぁ……」ララがため息を吐く。「しょうがないね」
「しょうがないの!?」ハオが目を丸くする。「俺、死ぬかもしれないって!? どういうこと!?」
「えーとね」ララが説明する。「国家機密なの」
「説明になってねぇよビシッ!」
「大丈夫、私も一緒だから」
「え。……ララも死ぬかもしれないってこと?」
「大丈夫だって」ララは少し絶望しているように笑った。「ハオハオのこと、信じてるし」
「信じてる顔じゃねぇよ!」
「それに、たぶん、お兄ちゃんの格好いいとこ見られるから、楽しみだよ」
「……ララは無理してるのすぐバレるよな」
「では早速お帰りください」猪が言った。「飛行機を用意してありますので」 「ねぇ、タケちゃん」
部屋のベッドに座り、メイファンは嬉しそうに言った。タケルは頷きながら、それを聞いた。
「あいつら、帰って来るらしいんだ」
「よかったね」
「うん! 凄く嬉しい」
「再会したら、まず何がしたい?」
「えーとね。えっとね。まずハオのお腹をハサミで切って、大腸を引きずり出したい」
「うんうん」
「それをね、少しずつ、少しずつララの口に詰め込んであげるんだぁ」
「うんうん」
「でも、固くて食べにくいだろうから、バーナーを用意して、ララの口の中でしっかり焼いてあげよう」
「優しいね」
「エヘヘ」
「楽しみだね」
「楽しみだなぁ」 ハオとララは習近平の執務室へ入った。
習は不機嫌そうな顔でハオを睨んだが、ララを見ると思わず崩れ、笑顔になってしまった。
「ララちゃんっ」身体を得たんだね! と言おうとして呑み込んだ。
これはリウ・パイロンの肉、これはリウ・パイロンの肉、と小さく口の中で繰り返すと、再びハオを睨む。
「君は……毎日リウ・パイロンの身体を抱いているのかねこの野郎?」
「はぁ?」
「違う違う」習は頭を振った。「どうしたんだ国家主席! 真面目な話をするのだ!」
「大丈夫か、このオッサン」
「私も大人げないことはしたくない」習はララを睨んだ。「時期が来た、ララ」
「ピンちゃん……やるの?」
「やるんだ」習の目がいつになく真剣になる。「そのためにハオ君を特訓して来たのだ」
「そうだね……」ララは俯き、少し笑った。「あたしも……一緒に……行くね?」
「ふむ……」習は少し考え、言った。「生命維持装置を用意させよう」
「ありがとう」
「あのー」ハオが口を挟む。「ぼく、ちっともわかってないんですけど」
「その時が来たら教えるから黙れ」習は優しく言った。「では下がってハオ君の部屋で休みなさい」
二人は一礼して出て行こうとした。すると後ろから習が思い出して言った。
「そうそう、メイファンが自分の部屋に来るようにと言っていたな」 ハオは一緒に行こうとした。しかしララが止めた。
「あたし、メイには謝らないと……。お願い、まずは二人きりで話をさせて?」 その頃メイファンはタケルと共に地下室にやって来た。
「いいのかい?、お友だちを待たせてしまって。」
タケルが聞いた。
「いいよ、待たせておいてもへーきだよ。タケルがいってた見せたいものがみたいの。」
メイファンはガラにもなく、手を後ろで組み腰をゆらゆら揺する。
「ここにあるんだ。」タケルは扉を開けた。
「こんなところがあったなんて知らなかった。」メイファンは驚いた。
「…あれをみてごらん?」
「…え」
タケルが指差した方向には、リー・チンハオにそっくりな男達がたくさんいた。
ある者は牢に閉じ籠り、ある者は同じ姿をしたもの同士で談笑をしていた。
それらすべて、個体差はあるがハオその者にしか見えない。
「…おいおい、嘘だろう」流石のメイファンもこれには困惑するしかなかった。 メイファンは帰って来た二人を出迎えなかった。ずっと部屋にいた。最高に嬉しい瞬間は3人きりで迎えたいと思っていた。
「やっぱりまずララを殺そっかなぁ」
ウキウキ気分で呟いた。特別な日のために用意していたとっておきの豪華な黒いチャイナドレスを着ている。
「そんで、死ぬ直前でララを吸い出して、私の中に閉じ込めるんだっ」
語尾には八分音符のマークが軽やかなスタッカート付きで乗っていた。
「それから目の前でハオをぉ……」
ドアをノックする音がした。
よく知っている、遠慮がちな3回ノックだ。
「……ど、どうぞ」
メイファンがなぜか緊張しながら言うと、ドアがゆっくりと開き、同時に白いセーター姿のララが顔を覗かせた。
ララはベッドの上に胡座をかいているチンドン屋みたいな格好のメイファンを見た。
ララがドアを閉めてから、暫く二人とも無言で見つめ合っていた。
「……不思議な気分だな」メイファンが言った。「今まで鏡でしか見たことなかった姿が……」
「っていうか生まれて初めてだよね」ララが明るく笑った。「左右逆になってない顔を生で見るのって」
「凄いな。本物のララだ」
「エヘヘ。身体ゲットしちゃったよ〜。夢みたい」
無言で互いを隅から隅まで見た。そのうち何かはっと気づいたような顔をしたメイファンにララが言った。
「ごめんね、メイ。何も言わずに行っちゃって……」
手をナイフのような形にして何かしようとしていたメイファンは動きを止め、子供が駄々をこねるような声を出した。
「ウィーチャットもメールもくれねーなんて……ひでぇ」
「だってスマホにメイの番号もメアドも入ってないんだもん」
「誰かに聞けばいいだろ!」
「中国に電波検閲されてるかもって思ったら……さ。とにかくゴメン」
ララがペコリと頭を下げた。初めて見る姉の頭頂部は隙だらけだったが、愛らしかった。
メイファンはゆっくりと立ち上がり、近づくと、その頭に手を触れた。
「わぁ、柔らけーな、ララの頭。ゴワゴワの私と大違いだ」
ララは泣きそうな顔を上げると、メイファンを抱き締めた。
「凄い。私、メイを抱き締められるよ」
メイファンは頬を涙でびちょびちょにしながら抱き締め返した。
「おっぱい糞でけーなボケ」
「後で一緒にお風呂入ろう」とララが言おうとすると、同時にメイファンが「おっぱい揉んでいいか?」と言った。
「凄い! ぶりぶり言わない」
「ぶりぶりも懐かしいけどな」
二人は並んでベッドに腰掛けると、とりとめのない長話を開始した。ハオを廊下で待たせていることなんかすっかり忘れた。 主な登場人物まとめ
・ハオ(リー・チンハオ)……主人公。習近平とメイファンにより謎の施設に軟禁され、謎の過酷な特訓を受けていた。
恋人のシューフェンをリウに取られ、失ったが、その後すぐにララに乗り換える。しかし愛した女には一途な性格である。
太極拳の使い手。青い『気』を使い、メイファン曰く四千年に一人の武の素質の持ち主だが、やる気がない。ダメ人間。1月1日で30歳になった。
・ララ(ラン・ラーラァ)……ハオの現在の彼女。21歳の天然フェロモン娘。メイファンの姉。妹の中に住んでいた『気』だけの存在だったが、
リウ・パイロンが過剰な肉体を自ら引きちぎったことによりあっさり自分の身体を得る。かつて自分をレイプしたリウのことを深く憎んでいる。
白い『気』を使い、大抵の傷ならすぐに治すことが出来る。性格は妹と正反対で女らしく、お喋り好き。裁縫が得意。発狂しがち。
・ラン・メイファン……ララの妹。17歳の色黒の美少女。国家主席習近平のボディーガードであり凄腕の殺し屋。
黒い『気』を操り様々なことに使える武術家、というよりほぼ超能力者。『黒色悪夢』の通り名で恐れられている。
『気』を纏っていない時は芸能人が大好きなただの女の子。ただし友達は一人もいない。
・リウ・パイロン……中国の格闘技『散打』のチャンピオンであり国民的英雄。シューフェンの夫であり、彼女の死に深く沈む。
メイファンの元弟子だが、ボロボロに負かした上当時8歳のメイファンをレイプし、彼女の元を去る。
犯罪者として中国を追われ、新たな恋人ジンチンとともに日本へ逃げた。赤い『気』の使い手であり、必殺技は超低空アッパー。
・シン・シューフェン……ヒロイン。膵臓ガンにより逝去。ハオの恋人だったが、リウに取られた。
元々ハオにはもったいないほどの美人であり、リウの紹介で女優デビューする。
故人であるが、ハオとリウには特に大きな影響を与えた女性であり、ハオの枕元には今でもよく現れる。
・シャオ・ホンフー……42歳だが50歳代にしか見えないほど老けている、元散打王。新人の頃のリウに試合中、片目を潰され、散打界を去る。
引退後、ボッタクリ四川料理店を経営しながら殺し屋、地下ファイトの主催者等をしていたが、リウに潰される。料理がヘタ。
・ヤォバイ・ジンチン(リーラン)……21歳女性。スキンヘッドのデブだったが、変身して身長2m20cmの痩躯かつ巨乳の鬼婆になった。
性格は優しく、ひたむきでおおらか。リウとの恋が叶い、日本へついて行く模様。本名はリーラン。強い。
・ズーラン(ズズ)……ハオの幼なじみ。30歳のニューハーフ。豪華なクラブの経営者であり、歌手。
シャオの思い人だが、シャオは彼の正しい性別を知らない。
・ジェイ……20歳のイケメン。日本人。本名不明。ズーランの舎弟。東京生まれだがコテコテの関西弁を喋る。
・習近平……言わずと知れた中国国家主席。孤児だったメイファンを引き取り、殺し屋として育てる。ララのファンだったが今は憎しみに変わっている。
・ドナルド・トランプ……言わずと知れた(略)
・ジャン・ウー……メイファンの仲間の殺し屋。通り名は『酒鬼』。昔のカンフー映画に出てくるような見た目をしている。
メイファンに首をはねられ死去したかと思いきや生きていた。酔拳の使い手。
・タケル……謎の日本人。メイファンを助け、慕われるようになっている。 (・・・まただ、体が動かない。殺したい奴が目の前にいるのに。)
メイファンは必死で体を動かそうとしたが、ピクリとも動けない。
そして視覚と聴覚以外の感覚もない。
(・・・私の体に何が起こってるんだ?) メイファン(?)「所でハオ兄は?」
メイファン(ハオ兄はじゃねえぇーっ、何能天気に聞いてんだよコイツ!?)
ララ「…あっ、廊下に待たせてたの忘れてた。」 ハオが部屋に入って来るなりメイファンは右腕を斬り落とした。
「うあっ!?」
「ちょ……ちょっと!」
ララが腕を拾い、くっつけようと振り向いた時には既に左腕も落ちていた。
「メイ!」
メイファンがハオの腹に手刀を刺し、掴んだ大腸をずるりと出したところでララはようやく言った。
「国務指令一三五六零よ! メイファン!」
するとメイファンの手がぴたりと止まる。目を丸くして振り向き、聞く。
「発令されたのか?」
「そうよ」ララはその隙に右腕をくっつけた。「メイなら意味わかるよね?」
「し……習近平は鬼か」脂汗が額から滴る。
「だから、今、ここで、任務の出てるお兄ちゃんを殺したら……ね?」
「し……習近平は悪魔か」ガクガクと震えながら泣き出した。
ララは左腕もくっつけ、はみ出た大腸を怖じ気づくこともなく、しっかり両手に持つと押し込んだ。ハオはへなへなとベッドに座り込んだ。
「やだ。こんなのすぐには治んない」
そう思っていると、ハオの中から青い『気』が湧き出し、みるみる内蔵の位置を戻し、傷も塞いでしまった。
「あれっ?」ララは驚き、ハオの顔を見た。
ハオは意識朦朧となり、そのためか余計な力が抜け、青い『気』はいつもの濁りが取れて海のような色になっていた。
「これなら……」ララは瞳に希望を浮かべる。「任務の成功もアリかも」
「国務指令一三五六零〜……」メイファンは布団に入り、うなされていた。 すこしララとはなしをしたあと、ララはハオをお姫様だっこをして出ていった。
メイファンはまたひとりぼっちになった。
二人が帰ってきても彼女の孤独や寂しさがなくなることはなかった。
きっとこれはハオをいたぶって遊んでも埋められないモノだとわかっていた。
ララ姉に任務の件で止められなくとも、虚しさでやめていただろう。
「…タケルちゃんに会いたいよ。」
メイファンは誰もいない部屋で声をあげて泣き叫んだ。 最愛の姉を奪った憎むべきハオだった。
こんなアホ男に姉がついて行くことがとうしても許せなかった。
しかしメイファンほど自由で我儘な殺し屋でも国務指令一三五六零には逆らえなかった。
仕方なくハオとララに言葉の釘を刺しておくにとどめた。
「おい、私はお前らが一緒にアメリカに戻ることは許さねーからな」
するとララが言ったのだった。
「メイ。私、もう1人の独立した人間なんだよ? これからは自分のことは自分で決めたいの。わかってほしい」
「このアホはお前を殺しかけたんだぞ? アホな人形にお前を入れようとして……。同じようなこと繰り返すに決まってる!」
「大丈夫。二人で成長してみせるから」
「共依存ってヤツだぞ、それ。絶対コイツはララを不幸にする!」
ハオはアホ面をして黙って聞いていた。
「メイ」ララは頭を下げた。「心配してくれてありがとう。でも私、ハオのこと信じてるの」
「世界で一番信じちゃダメなヤツだろ」
「メイも信じてたからずっと殺さずに特訓してくれてたんじゃない」
「え。いやそれは……」
「今日、その答えが出るのよ」
「作戦? 早速今日やんのか?」
「ねぇ、メイ」ララは真剣な顔で言った。「もしハオが見事作戦を成功させたら、生きて帰って来たら、ハオのこと信じて、私達のこと許してくれる?」
「……死ねばいいのに」
「私もハオと一緒に行くのよ」
「な!?」
「この人には私が必要だから。1人じゃ何にも出来ないから」
「バカ! 行くな! 許さん!」
「行くわ」ララの目は強い決意と覚悟を浮かべていた。「自分で決めたの」
「死ぬぞ!」メイファンは怒りながら泣きはじめた。
「あのー」ハオが口を挟んだ。「そんな死ぬかもしれないことなら最後にララに俺が満足するまで肛門舐めてほしいんだけど、いい?」
メイファンの手刀がハオの首をはねようとして10cmだけ斬ったところで止まった。
「畜生。国務指令一三五六零がなければ……」 思う存分肛門を舐めてあげるとハオは満足して眠った。
ハオの部屋で膝にその頭を乗せながら、ララは思った。
『ねぇ、お兄ちゃん。私、シューフェンお姉ちゃんみたいになれてるのかなぁ』
『私の頭に爆弾が入ってて、起爆ボタンを押すぞと脅されたら、あなたは私のためにもビルの111階から飛んでくれますか?』 ララは生命維持装置にかけられ、ハオのキスを待った。
ハオが上から覆い被さってキスをすると、口を通じてハオの中へ入った。
『エヘヘ、久しぶりだねお兄ちゃんの中』
『テレパシーで心が通じ合う感じ、いいな』
『抱き合えないけどね』『抱き合えないけどな』二人は同時に言った。
それからようやく習近平の口から直々に作戦の内容が伝えられた。
「作戦第七百五十一號を開始する」
「作戦名『ジョウシュ・ベンダン』。尚この作戦を実行するにおいて国務指令一三五六零が発令されている」
メイファンが震え上がった。
「作戦を妨害しようとする者は誰であれアレな目に遭うので気をつけるように」
「ハオ君」習はハオに言った。「作戦成功の暁には君を名誉国民として勲章を与え、一生涯の富と生活を保証しよう」
「え。マジで?」
「どーでもいいから」ララの声がハオの中から言った。「早く内容を説明してあげて」 「ウム」習は言った。「これより我が国の核ミサイルを予告もなしにアメリカのワシントンへ向け発射する」
「は?」ハオが思わず声を出した。
「ドナルドのアホも気づき、生意気に迎撃ミサイルを打って来るだろう」
「ウンウン」ハオは激しく頷いた。
「何もせずにいればミサイルは太平洋上で爆破され、アメリカに本格的開戦のきっかけを与えてしまうだけだ」
「ウン。だからやめよう?」
「そこでハオ君には核弾頭の先端に乗り、迎撃ミサイルを捌き、太平洋に沈めて貰いたい」
「えっ?」
「前もって伝えると絶対に逃げると確信していたので直前まで言わなかったことをお詫びしよう」
「断る!」
「国務指令一三五六零が発令されている。拒否するとアレにされるぞ」
「ヒッ」ララが怯えた。
「アレって何だよ!」
「大丈夫だ」習はハオの肩をぽんと叩いた。「君なら出来る。中国の未来は君の『捌き力』にかかっている。頼むぞ」
「嫌です!」
「やるしかないのよ!」ララがハオの操縦桿を握った。 メイファンは震えている。緊張はもちろん恐怖感によるモノでもない。
「私は…」
メイファンは小さく呟いた。その目には怒りと狂気を湛えていた。任務とかアレとかなんてどーでも良くなりつつあった。
かつてメイファンがリウと勝手に和解したことを許せなかったララのように。
(…わたしもう)
彼女の心はもはや爆発寸前だ。 ここで主要4キャラの愛憎関係をまとめてみた。
【ハオ】
・ララ→最愛。大好き。可愛い妹であり、恋人。
・メイファン→ひどいことをするので嫌い。だが憎んではいない。むしろ依存という意味で愛している。
・リウ→人見知りの相手。
【ララ】
・ハオ→最愛。大好きなお兄ちゃんであり恋人。
・メイファン→最愛。大好きな妹。ただし自分を束縛し、抑えつけるところを憎んではいる。
・リウ→12歳までは大好きだった。現在では最悪最凶に憎悪する対象。
【メイファン】
・ハオ→心底どーでもよかったが、ララを自分から奪った相手として憎んでいる。
・ララ→世界でただ1人の最愛の姉。その反動として自分から離れたことを激しく憎んでいる。
・リウ→誰がどう見ても大好きだが、頑なに認めない。昔自分を傷つけた相手として今でも憎んでいると言い張る。
【リウ・パイロン】
・ハオ→会話をして貰ったことがない。
・ララ→微妙。昔の通り愛しているとも、自分を犯罪者にしたことを憎んでいるとも。
・メイファン→好敵手として、何より可愛い『妹』として愛している。恋愛の対象外。 補足
・メイファン→ハオ
弟子としては愛着を持っている。人間としては見下している。異性としては興味がない。
・ララ→メイファン
自分の気持ちは無視してリウ・パイロンと勝手に和解したことについては強く憎んでいる。
・メイファン←→ララ
生まれた時から1つの身体を共有して育って来ただけに、愛も憎しみも膨大であり、他人には計り知れない。
・メイファン→リウ
自分のことを『女』として見てくれないことを憎らしく思っており、新しい恋人のジンチンともども殺したいほどに激しく憎んでいる。 「…貴様ら、いい加減にしろ」
メイファンはボソリと呟くように言った。声は低く震えていた。
しかし誰も聞いていない。
目の前の三人は下らない茶番を繰り広げている。
「何が指令一三五六零だ、捌き力だ、私は主人公だあーッ」
メイファンは発狂した。
突然雄叫びをあげたメイファンに驚きその場にいたもの達の視線が
彼女に集まる。と同時に兵士や職員が真っ二つに吹き飛び恐ろしい早さの突きがハオや習、ララに迫っていた。 「あ、死ぬ。」
ハオはそう思った。目の前の景色が止まって見え、今までの思い出が走馬灯のように流れていく。
しかしハオは無意識にララをかばうように動いていた。 「仕方がないね、国務指令一三五六零をメイファンに適用し、処罰する」
習近平がそう言っただけでメイファンは瞬時に存在を消去された。
もう誰もラン・メイファンなんて人間がいたことすら覚えていない。
元より存在していなかった人間として物語は進んで行く。
わかっていたはずなのになぜ自ら消えることを選んだのか、それは誰にもわからない。
以後、メイファン登場禁止とします。 習は言った、「中国とはそういう国なのだ。一個人の自由などないと思え」 ハオの心に狂気が沸いてきた。
「なんだか分からねえが勇気がわいてきたぜ。主席、この件は任せてください。きっと捌いて見せますよ!」 主な登場人物まとめ
・ハオ(リー・チンハオ)……主人公。習近平により謎の施設に軟禁され、謎の過酷な特訓を受けていた。
恋人のシューフェンをリウに取られ、失ったが、その後すぐにララに乗り換える。しかし愛した女には一途な性格である。
太極拳の使い手。青い『気』を使い、誰かが四千年に一人の武の素質の持ち主だと言ったが、やる気がない。ダメ人間。1月1日で30歳になった。
・ララ(ラン・ラーラァ)……ハオの現在の彼女。21歳の天然フェロモン娘。殺し屋。元々身体を持たない『気』だけの存在だったが、
リウ・パイロンが過剰な肉体を自ら引きちぎったことによりあっさり自分の身体を得る。かつて自分をレイプしたリウのことを深く憎んでいる。
白い『気』を使い、大抵の傷ならすぐに治すことが出来る。性格は女らしく、お喋り好き。裁縫が得意。発狂しがち。
・リウ・パイロン……中国の格闘技『散打』のチャンピオンであり国民的英雄。シューフェンの夫であり、彼女の死に深く沈む。
習近平及びララの元弟子だが、ボロボロに負かした上当時12歳のララをレイプし、彼女の元を去る。
犯罪者として中国を追われ、新たな恋人ジンチンとともに日本へ逃げた。赤い『気』の使い手であり、必殺技は超低空アッパー。
・シン・シューフェン……ヒロイン。膵臓ガンにより逝去。ハオの恋人だったが、リウに取られた。
元々ハオにはもったいないほどの美人であり、リウの紹介で女優デビューする。
故人であるが、ハオとリウには特に大きな影響を与えた女性であり、ハオの枕元には今でもよく現れる。
・シャオ・ホンフー……42歳だが50歳代にしか見えないほど老けている、元散打王。新人の頃のリウに試合中、片目を潰され、散打界を去る。
引退後、ボッタクリ四川料理店を経営しながら殺し屋、地下ファイトの主催者等をしていたが、リウに潰される。料理がヘタ。
・ヤォバイ・ジンチン(リーラン)……21歳女性。スキンヘッドのデブだったが、変身して身長2m20cmの痩躯かつ巨乳の鬼婆になった。
性格は優しく、ひたむきでおおらか。リウとの恋が叶い、日本へついて行く模様。本名はリーラン。強い。
・ズーラン(ズズ)……ハオの幼なじみ。30歳のニューハーフ。豪華なクラブの経営者であり、歌手。
シャオの思い人だが、シャオは彼の正しい性別を知らない。
・ジェイ……20歳のイケメン。日本人。本名不明。ズーランの舎弟。東京生まれだがコテコテの関西弁を喋る。
・習近平……言わずと知れた中国国家主席。孤児だったララを引き取り、殺し屋として育てる。成長したララに女として思いを寄せていたが、今は憎しみに変わっている。
・ドナルド・トランプ……言わずと知れた(略)
・ジャン・ウー……ララの仲間の殺し屋。通り名は『酒鬼』。昔のカンフー映画に出てくるような見た目をしている。
ララに首をはねられ死去したかと思いきや生きていた。酔拳の使い手。 国務指令一三五六零の発動した主席は習で二人目だった。
そして国務指令一三五六零は発動すると適用された人物以外記憶が残らない。
さらに因果律や時空にも影響を及ぼすため外見が変わってしまうのだ。
そう、リウ・パイロンはバイセクシャルになってしまったし
ハオからは駄目人間要素が薄いカルピスのごとく薄れてしまった。
おまけに習はもりもりマッチョメンの聖帝様だ。 習はハオと肉体関係を結んでいたが、しかしララに横取りされたのだ。 ハオは核ミサイル取り付けられ
発射のカウントダウンが始まった。 ミサイルは轟音と煙を上げて発射。
ハオとララを乗せ資本主義者の居城へ飛んだ。 「永住しようと思ってた国にまさかミサイルをお届けしなきゃならんとはね……」
ハオは発射されてしまってもなお気乗りがしなかった。
「でも、俺は友達まだ1人も出来てないからアレだけど、ララは早速何人かアメリカの人と仲良くなってたよな?」
「私にとって一番大切なのはハオだけだから」
ララは答えた。
「他の人がどうなってもいいとは言わない。でも、ハオ1人を助けるために、私は全世界の人を殺せるわ」
「……ララ」
「ハオ……」
二人はひとつの唇をちゅっと言わせてキスをした。
「ところで一番大切な人、もう1人いなかったっけ?」
「? いないわよ。ハオだけ。あとは全員モブよ」
向こうからアメリカの迎撃ミサイルが飛んで来るのが見えて来た。
あちらのミサイルにも誰かが乗っている。
「あれは……!」
「ケン・リュックマン!」 ハオ「メイって誰?」
ララ「??聞いたこともないわ???」 レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。