「……上空から見た限り、このエリアは確保出来た。まずはここの維持に努めるぞ」

ザ・フューズは地上に降りて、リジェネレイター、テスカ☆トリポカと合流。

「重役出勤してくるヌルいヒーローどもがまだいるはずだ。
 ソイツらが到着したらこの場を任せて、中に踏み込む。それでいいか?」

移動、交戦、制圧、確保、移動。
極めて模範的な制圧戦の段取りを提案するザ・フューズ。
その態度は至って冷静。

「それと」

>「オービット、スカとポカ、援護ゴ苦労デアッタ!」

だが彼女がNo14に視線を向けた瞬間、その声と眼光に、二つの感情が宿る。

「……人の命で博打を打つのは楽しかったか?ブリキ人形」

感情の名は、軽蔑と落胆。
 
「私は、お前のごっこ遊びに付き合うつもりはない。
 前衛はお前が努めろ。役に立つ内は援護はしてやる」

あの二人の子供が無傷でいられたのは、ただの幸運だ。
想定よりも多くの敵性兵器が彼らに反応していたら、
あるいはNo14の乱入に十分な反応が得られなかったら、
協会の防衛システムが停止ではなく奪取、再利用されていたら――あの子供達は、死んでいた。
もっと安全で、もっと上手いやり方があったはずだ。

一体いかなる理由でNo14の態度が変化したのかは、ザ・フューズには分からない。
だが、確実な勝利と己自身を擲ってでも人の命を守ろうとした――ザ・フューズが一流と呼んだヒーローは、ここにはもういない。
いるのは、不確実な勝算を頼りに、人命を危険に晒す――三流以下。
それだけで、彼女が落胆と軽蔑を抱くには十分だった。